小説
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毒きのこ
食べると害のあるきのこ。
maníres þérno, elþélo bélo táses.
読み:マニーレス セルノ、エルセーロ ベーロ ターセス。
| man-ír-es | þérno, | elþ-él-o | bélo | tás-es. |
| 食べる-<もし〜なら>-<あなたが> | 毒きのこ<対格> | 燃える-<〜だろう>-<(重いものが)> | 腹<主格> | <あなた>-<属格> |
「毒きのこを食べたら、腹が焼けるぞ。」
条件の節には接続詞を使わず、仮定法 maníres だけで「もし〜なら」を表す。帰結の節は推量法で、主語の bélo が重性なので -o をとる。雨期にきのこを採るときの戒めの言い方。
na éso þérno. éso sóumbo, kuuléimor ó sórel.
読み:ナ エーソ セルノ。エーソ ソーンボ、クーレーモル オー ソーレル。
| na | és-o | þérno. | és-o | sóumbo, | kuul-é-imor | ó | sórel. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 毒きのこ<主格> | いる-<(重いものが)> | 食べられるきのこ<主格> | 煮る-<〜だろう>-<我々が> | <3人称単数・重性> | 今日 |
「毒きのこではない。食べられるきのこだ。今日煮よう。」
採ってきたきのこを確かめたときの答え。þérno「毒きのこ」と対比されると、sóumbo は「食べられるきのこ」を指す。主語は言わず、繋辞 és- の重性の語尾 -o で「それは」を表す。推量法の -él- は1人称の語尾の前で l が落ちる(kuuléimor)。
ké éso sóumbo só þérno?
読み:ケー エーソ ソーンボ ソー セルノ?
| ké | és-o | sóumbo | só | þérno? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | きのこ<主格> | この<重性> | 毒きのこ<主格> |
「このきのこは毒きのこか?」
はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。sóumbo も þérno も重性o語幹なので、指示詞は重性の só、繋辞は重性の éso になる。答えは動詞を繰り返して、éso(そうだ)、na éso(違う)と言う。
mána kelár þérno! hál ráuvanan!
読み:マーナ ケラール セルノ!ハール ラウヴァナン!
| mán-a | kel-ár | þérno! | hál | ráuvan-an! |
| 食べる-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 毒きのこ<対格> | 呼ぶ<命令法><あなたが> | 森の巫-<対格> |
「樵が毒きのこを食べた!森の巫を呼べ!」
急を告げるくだけた言い方。動詞に時制の形がないので、mána だけで「食べた」の意味になる。重性名詞の þérno は、対格でも形が変わらない。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 hál。森の村では、毒や葬送のことは森の巫に任される。
na ésa náuvra þérno, na ésa sóumbo.
読み:ナ エーサ ナウヴラ セルノ、ナ エーサ ソーンボ。
| na | és-a | náuvra | þérno, | na | és-a | sóumbo. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 酔いきのこ<主格> | 毒きのこ | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 食べられるきのこ |
「酔いきのこは毒きのこではないが、食べられるきのこでもない。」
きのこを、食べられるもの・毒・薬・酔うものに分ける考え方を示す説明の文。主語の náuvra が軽性なので、繋辞は軽性の ésa になる。重性の sóumbo・þérno と並べると、性の違いが動詞の形に表れる。
陰で害する者
比喩。見た目は無害なのに人を害する者や言葉。人に使うのは強い悪口になる。
ésa orenvandár té þérno. séuril virá éles, gráis nourá éles.
読み:エーサ オレンヴァンダール テー セルノ。セウリル ヴィラー エーレス、グライス ノウラー エーレス。
| és-a | orenvandár | té | þérno. | séuril | virá | él-es, | gráis | nourá | él-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 縁商人<主格> | あの<軽性> | 陰で害する者<主格> | 美しい | 言葉<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 悪い | 心<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「あの縁商人は毒きのこだ。言葉はきれいだが、腹は黒い。」
人を þérno と呼ぶのは強い悪口で、陰口に使う。主語が人なので繋辞は軽性の ésa になるが、重性の名詞を人に当てること自体が侮辱になる。後半は繋辞を落として述語の形容詞を先に置く、諺の語順。
éso lúdro þérno nourés.
読み:エーソ ルードロ セルノ ノウレース。
| és-o | lúdro | þérno | nour-és. |
| いる-<(重いものが)> | 嘘<主格> | 陰で害する者<主格> | 心-<属格> |
「嘘は、心を蝕む毒きのこである。」
教えの書や戒めの言葉に見られる比喩の言い方。見た目は無害でも内側から人を害する言葉を þérno にたとえる。lúdro「嘘」は重性なので、繋辞は éso。nourés は nourá「心」の属格。
毒のあるきのこ。食べられるきのこ sóumbo とはっきり呼び分ける。転じて、表向きは無害に見えて人を害する者や言葉のたとえにもなる。
重性・o語幹(④型)。主対 þérno、属 þérnos、複 þérnul。
古い森の語。
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