小説
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灯を消す
蝋燭・松明・祀りの灯の炎を意図的に止める。
þalíþim ilánan.
読み:サリーシン イラーナン。
| þal-íþ-im | ilán-an. |
| 止まる-<〜させる>-<私が> | 灯-<対格> |
「私は灯を消す。」
日常の室内での言い方。þalíþ- は þál-「止まる」に -íþ- がついた使役形。灯 ilána は軽性a語幹で、単数対格は ilánan。主語「私」は代名詞ではなく語尾 -im に表れる。
火を消す
炉の火や野焼きを意図的に止める。灰で覆って燃えを止めさせる。
þalíþa andaulóura elþán hóumos.
読み:サリーサ アンダウローラ エルサーン ホーモス。
| þal-íþ-a | andaulóura | elþ-án | hóum-os. |
| 止まる-<〜させる>-<(軽いものが)> | 祖母<主格> | 火-<対格> | 炉-<属格> |
「祖母は炉の火を消す。」
家庭の日常。人間は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。elþá は軽性a語幹で単数対格 elþán。名詞句 elþán hóumos は「炉の火」。
痕を消す
足跡・印・音・動きを意図的に消し去る。かき消す、踏み消す、黙らせる。
þalíþim símbo es sáindares.
読み:サリーシン シンボ エス サインダレス。
| þal-íþ-im | símbo | es | sáindar-es. |
| 止まる-<〜させる>-<私が> | 印<対格> | から | 証文-<属格> |
「私は証文から印を消す。」
帳場・書の日常。痕を消す意。símbo は重性o語幹で、単数の主格と対格は同形。es+属格 sáindares は「証文から」。
自然に止まる þál-「止まる」の使役形。人が意図的に、燃えている・動いている・存在しているものを「止める」行為を指す。やむ(自発的停止:風がやむ、音がやむ)と消す(意図的停止:灯を消す、痕を消す)の対を、自動詞と使役の文法的対として表している。碑文や法典では灯や火の扱いの決まり(炉の前で火を消さぬこと、祀りの灯を勝手に消さぬこと)に当為法で現れる。くだけた言葉では使役の -íþ- が落ち、þál- に近づくこともある。
他動詞(使役)。完了語幹は語根の a→ai 交替だが、強勢は -íþ- に残るため綴りは基本形と同一(þalíþ-)。命令形は þalís!(語末の þ→s)。
þál-「止まる」(自動詞)+-íþ-「〜させる」(使役接尾辞)
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