小説
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投げる
手に持ったものを放って投げる。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | から | 崖の際-<属格> |
「崖の際から何も投げ落とさぬこと。」
碑文や法の文体。当為法は mé で否定する。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。強勢は当為法の -és- に移る(þraunésa)。崖から物を投げ落とすのは、下の国を呼び寄せる行いとして禁じられている。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | 〜から | 縁-<属格> |
「縁から物を投げ落とさぬこと。」
碑文に刻まれる型の禁止の文。当為法の -és- が強勢をとるので、語根 þráun- の強勢は消える。崖の縁から物を投げ落とすことは、決められた降ろし場の作法の外では禁忌とされる。
þráuna kelár tambór.
読み:スラウナ ケラール タンボール。
| þráun-a | kel-ár | tambór. |
| 投げる-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 雑穀<対格> |
「樵が雑穀を投げる。」
日常の文。語順は動詞–主語–目的語。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形で、語順から目的語とわかる。手で雑穀を投げて播く動作にも使える。
mé þráun gandér, kelár.
読み:メー スラウン ガンデール、ケラール。
| mé | þráun | gandér, | kel-ár. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる<命令法><あなたが> | 硬木<対格> | 伐る-<〜する人> |
「硬木を投げるな、樵よ。」
下向きの禁止。「mé+命令法」で言い、命令法の2人称単数はむき出しの語幹 þráun になる。呼びかけは呼格を使わず、役職を文の終わりに読点で区切って添える。硬木は儀式を経て扱う木なので、乱暴に扱うことが戒められる。
mé þráun fáron es orénos, murár!
読み:メー スラウン ファーロン エス オレーノス、ムラール!
| mé | þráun | fáron | es | orén-os, | mur-ár! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる<命令法><あなたが> | 荷<対格> | から | 縁-<属格> | 濁った-<〜する人> |
「縁から荷を投げるな、このぼんくら!」
崖の上の降ろし場や崖道で、年長の者が目下の者をどなりつけるときの言い方。禁止は「mé+命令法」で言い、命令法の2人称単数は語幹のまま(þráun)。murár は呼びかけなので、文の終わりに読点で区切って主格のまま添える。崖から物を投げ落とすのは禁忌なので、ここではただの不注意ではなく、「下の国を呼び寄せかねない愚かさ」をとがめる響きがある。
mé þraunésa dulilmó es orénos.
読み:メー スラウネーサ ドゥリルモー エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | dulilmó | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 下汲み桶<対格> | から | 縁-GEN. |
「縁から桶を落とさぬこと。」
崖道の碑文・禁忌の文。当為法は主語を言わないので一般の「人」(軽性)が主語になり、動詞は軽性の -a。mé(働きかけの否定)で当為法を否定。重性の目的語は主格・対格が同じ形(dulilmó)。es+属格で「〜から」。度量衡の碑の「縁から荷を落とさぬこと」と同じ構造。
mé þráun krailílmo es orénos.
読み:メー スラウン クライリルモ エス オレーノス。
| mé | þráun | krailílmo | es | orén-os |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる<命令法><あなたが> | 水袋<対格> | から | 縁-<属格> |
「縁から水袋を投げ落とすな。」
縁の縁から物を投げ落とすことを禁じる作法・禁忌の場面。禁止は mé に命令法を続ける。動詞 þráun-「投げる」の2人称単数命令法は語幹のまま þráun。出どころは前置詞 es と属格で表す。
þráun hilvíñan sé
読み:スラウン ヒルヴィーニャン セー
| þráun | hilvíñ-an | sé |
| 投げる<命令法><あなたが> | 雪玉-<対格> | この<軽性> |
「この雪玉を投げろ。」
子ども同士や親しい者どうしのくだけた命令。命令法 2人称単数は語幹のむき出し形で表す。目的語も軽性 a 語幹の斜格語幹 hilvíñ- に -an を付けた形。指示詞 sé は名詞句の末尾に置く。
投げ捨てる
要らないものを放り捨てる。崖についてこの意味で使うのは禁忌に触れる。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げ捨てる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | から | 縁-<属格> |
「縁から何ものも投げ捨てぬこと。」
碑文や決まりごとの文体。当為法 -és- で「〜すべし」、mé で否定して禁止になる。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。崖から物を投げ落とすのは禁忌なので、崖について þráun- を使うと、この「投げ捨てる」の意味になる。
þráunsim tambór trúum.
読み:スラウンシン タンボール トルーン。
| þráuns-im | tambór | trúum. |
| 投げ捨てる<〜し終えた>-<私が> | 雑穀<対格> | 古びた |
「古くなった雑穀は捨ててしまった。」
家での日常の文。語根に二重母音 au があるので、完了相は語根の後ろに -s- を足して þráuns- とする。形容詞 trúum は重性・単数・対格の tambór に一致し、一致の語尾はつかない。
ものを手から放って投げることを表す。崖の縁から物を投げ落とすことは強い禁忌である。物を下ろせるのは、決められた降ろし場で作法に従う場合だけで、その場合は dulíþ- を使う。そのため、縁の近くで þráun- を口にするのは不吉だと嫌われる。氷の遊びや狩りで石を投げることには、ふつうに使う。
完了語根は þráuns-。投げる先は前置詞+対格で示す。
古高原語から受け継いだ語。
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