小説
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筆
墨で字を書く筆。
ésa fírna tásei, lís þelán táses.
読み:エーサ フィルナ ターセイ、リース セラーン ターセス。
| és-a | fírna | tás-ei, | lís | þel-án | tás-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 筆<主格> | <あなた>-<与格> | 書く<命令法><あなたが> | 名前-<対格> | <あなた>-<属格> |
「筆はあるだろう、自分の名を書いてごらん。」
師や親が子どもに字を習わせるときの、下向きの言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく、持たれている fírna(軽性)に一致する。命令法の2人称単数は語幹そのまま(lís)。二つの節を接続詞なしで並べるので、あいだを読点で区切る。
na ésa fírna némei.
読み:ナ エーサ フィルナ ネーメイ。
| na | és-a | fírna | ném-ei. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 筆<主格> | <私>-<与格> |
「私には筆がない。」
所有の否定。「持つ」という動詞はなく、「ない」は na+存在の動詞+持ち主の与格で言う。動詞は持たれている物 fírna に一致して、軽性の -a をとる。
ké éso só fírna? na éso. na éso só póin sal árnelei.
読み:ケー エーソ ソー フィルナ?ナ エーソ。ナ エーソ ソー ポイン サル アルネレイ。
| ké | és-o | só | fírna? | na | és-o. | na | és-o | só | póin | sal | árnel-ei. |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | この<重性> | 筆 | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | この<重性> | 何か | 外 | 木-<与格> |
「「これはペン(書く道具)ですか?」 「いいえ。これはただの木の棒です」」
直訳は「これは筆か?」「(筆では)ない。これは木の外の何ものでもない」。辞書の語だけで訳せたので、仮置きの語はありません。既存の用例と照らし合わせましたが、食い違いは見つからなかったので、元の訳のまま返します。 1. 「ペン」:辞書の fírna(筆)を使いました。「書く道具」の意味にちょうど合います。 2. 「これ」:指示詞 só を単独で「これ」として使いました(定型句 póso「これは何だ」と同じ使い方)。重性の só にしたのは、指している物が伐った木の切れ端だからです。伐った木は荷札と同じく重性で受けます(既存の sén gandér só と同じ)。繋辞も só に合わせて重性の éso にしました。述語の fírna は軽性の名詞ですが、述語の名詞は自分の性・主格のまま置くので、形は変えていません(既存の na éso nébro fléura と同じ組み立て)。 3. 問いの形:目上かどうか分からない相手へのふつうの問いとして、文頭に ké を置きました(既存の ké éso fóndar só gléin? と同じ形)。目上の人に聞くなら、ké を使わず推量法で尋ねます。 4. 「いいえ」:高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がありません。そこで問いの動詞を繰り返して na をつけ、na éso としました。動詞は物に一致しているので、人称は変わりません(既存の「na éso tambór némei」と同じ)。 5. 「ただの木の棒」は言い換えました。「棒」にあたる語はないので、árnel(木・材木)で「木切れ」の意味にしました。「ただの」にあたる語もないので、na … póin sal árnelei「木の外の何ものでもない」と否定で言い換えました。前置詞 sal(〜の外に)がとる格は決まっていません。ほかの前置詞が「その場にあること」を与格で言うのにならって、与格にしました。 6. 性の決め方:árnel は生えている木と同じ軽性の子音語幹とみて、与格を -ei にしました。名詞の形は伐っても軽性のままで、一致だけが重性になります。póin(何か)は疑問詞 pó にならって重性とし、主語 só と同じく、繋辞は重性の éso にしました。
ésa þailfírna fírna lisáres.
読み:エーサ サイルフィルナ フィルナ リサーレス。
| és-a | þailfírna | fírna | lis-ár-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 都の書体<主格> | 筆<主格> | 書く-<〜する人>-<属格> |
「都の書体は、書記の書きぶりだ。」
名詞が述語の文(és- +主語+述語)。都の書体は、書記や宮廷の人の手紙の字として知られる。
mé veilésa kloimár krévan fírnes.
読み:メー ヴェイレーサ クロイマール クレーヴァン フィルネス。
| mé | veil-és-a | kloimár | kréva-n | fírn-es. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 忘れる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 弟子<主格> | 練習-<対格> | 筆-<属格> |
「弟子は筆の練習を怠ってはならない。」
学び舎の心得書きの文体。当為法の文なので、否定には mé を使う。当為法の -és- が強勢をとるため、語根 véil- の強勢は消えて veilésa になる。何の練習かは、属格 fírnes を後ろに置いて krévan fírnes「筆の練習を」と示す。véil-「忘れる」をこのように使うと「おろそかにする」の意味になる。
書きぶり
転じて、その人の字や文の書きぶり。
ésa fírna sélvanes séuril.
読み:エーサ フィルナ セルヴァネス セウリル。
| és-a | fírna | sélvan-es | séuril. |
| いる-<(軽いものが)> | 書きぶり<主格> | セルヴァン-<属格> | 美しい |
「セルヴァンの書きぶりは美しい。」
人の字や文をほめるときの言い方。「AはBだ」の文も動詞 éis- が先頭に来て、「éis-+主語+述語」の順になる。述語の形容詞 séuril は軽性・単数・主格なので、語尾がつかない。書きぶりは身分と教養を測るものとされるので、この一言は高いほめ言葉になる。
na ésa fírna dunémes séuril, mé augruunénde aurél.
読み:ナ エーサ フィルナ ドゥネーメス セウリル、メー アウグルーネンデ アウレール。
| na | és-a | fírna | duném-es | séuril, | mé | au-gruun-énd-e | aurél. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 書きぶり<主格> | 手前-<属格> | 美しい | <禁止・願いの打ち消し> | <お〜になる・御〜>-怒る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | あの方 |
「手前の書きぶりは拙うございますが、どうかお気を悪くなさいませぬよう。」
目上の人へ送る手紙の結びの決まり文句。前半では自分の書きぶりをへりくだる。後半は上向きの話し方なので2人称を使わず、相手を aurél「あの方」と3人称で言い、動詞に尊敬の au- をつける。禁止の mé は願望法と組み、強勢は願望法の -énd- に移る。
字を書くための毛筆。毛山羊などの毛を木の軸につけて作る。言葉を運ぶ道具なので軽性。
①型
古い語。
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