小説
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雲
空の高みにある雲一般。厚さや色で呼び分けるときは形容詞を添える。
na éso nébro fléura.
読み:ナ エーソ ネーブロ フレウラ。
| na | és-o | nébro | fléura. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 雲 |
「霧は雲ではない。」
述語の名詞は自分の性・主格のまま置く。動詞は主語の霧に合わせて重性の -o。
tóra fléura dréum es orénos.
読み:トーラ フレウラ ドレウン エス オレーノス。
| tór-a | fléura | dréum | es | orén-os. |
| 来る-<(軽いものが)> | 雲<主格> | 黒い | から | 縁-<属格> |
「縁のほうから黒い雲がやって来る。」
雨期の初めに、雨が近いことを知らせる言い方。雲は上に属するものなので軽性で、動詞は -a をとる。形容詞 dréum は軽性・主格の形なので語尾がない。同じように下から来るものでも、霧 nébro は重性なので、動詞は tóro になる。
ké ésa fléura ál sórel?
読み:ケー エーサ フレウラ アール ソーレル?
| ké | és-a | fléura | ál | sórel? |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 雲<主格> | 白い | 今日 |
「今日は白い雲が出ているか。」
同じ段の者か目下の者に向けた、くだけた問い。存在を言う動詞は、主語の fléura(軽性)に一致して -a をとる。形容詞 ál も軽性・主格の形。答えるときは動詞を繰り返し、「はい」なら éisa、「いいえ」なら na éisa と言う。動詞は雲に一致しているので、人称は変わらない。
ésa fléura sé múl
読み:エーサ フレウラ セー ムール
| és-a | fléura | sé | múl |
| いる-<(軽いものが)> | 雲<主格> | この<軽性> | 厚い |
「この雲は厚い。」
天候を話す場面の文。fléura「雲」は軽性で、主格単数の指示詞 sé を受ける。指示詞の後の múl は名詞句外の述語形容詞で、軽性単数主格では無語尾。
gúna fléura.
読み:グーナ フレウラ。
| gún-a | fléura |
| 集まる-<(軽いものが)> | 雲<主格> |
「雲が集まる。」
雲・霧・水などのものが自然に寄り集まるのに使う中立的な集合動詞。fléura「雲」は軽性なので、動詞は3人称単数軽性の-a。
séulan fléurai réinan.
読み:セウラン フレウライ レーナン。
| séul-an | fléur-ai | réin-an. |
| 散らして配る-<彼らが> | 雲-<〜たちが> | 雨-<対格> |
「雲たちが、雨を散らして配る。」
詩的な用法。天からの恵みが四方へ散る意味に用いられる。fléura は軽性名詞で、fléurai は複数主格。受詞 réinan は軽性の対格。与格は文脈で省略されている。
sneléra ilána un fléurei
読み:スネレーラ イラーナ ウン フレウレイ
| snelér-a | ilána | un | fléur-ei |
| 隠れる-<(軽いものが)> | 灯<主格> | 中に | 雲-<与格> |
「星が雲に隠れる。」
雲に覆われて見えなくなる意。雲は「天の屋根」なので、星は屋根の下に身を引いた扱いになる。この語を霧について用いるのは語法として認められない。
snelérau sílarau un fléurei
読み:スネレーラウ シーララウ ウン フレウレイ
| snelér-au | sílar-au | un | fléur-ei |
| 隠れる-<双数> | 月-<双数> | 中に | 雲-<与格> |
「二つの月が雲に隠れる。」
二つの月について自然に用いられる双数の文。月は星ではないので数えられ、双数にすることもできる。主語・動詞とも双数で一致している。
天の屋根
雨期に空を覆う厚い雲の層。祖先が屋根の上から下界を聞く、という信仰と結びつく。
lúin brúuma réina, ésa fléura du aursárail.
読み:ルーイン ブルーマ レーナ、エーサ フレウラ ドゥ アウルサーライル。
| lúin | brúum-a | réina, | és-a | fléura | du | aursár-ail. |
| とき | 落ちる-<(軽いものが)> | 雨<主格> | いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 下手 | 祖先-<〜らに> |
「雨が降るときも、天の屋根は祖先の方々の下にある。」
雨期に星が見えなくても不安に思わなくてよい、と説くときの決まった言い方。du+与格で「〜の下手に」。天の屋根が祖先の下にあるということは、祖先は屋根の上にいて、変わらず下界を聞いているということになる。
an éndrail snélo, du aursárail fléura.
読み:アン エンドライル スネーロ、ドゥ アウルサーライル フレウラ。
| an | éndr-ail | snélo, | du | aursár-ail | fléura. |
| 上手 | 人-<〜らに> | 屋根<主格> | 下手 | 祖先-<〜らに> | 天の屋根<主格> |
「人の上には家の屋根、祖先の下には天の屋根。」
雨期の詩合わせでよく引かれる、動詞のない詩句。an と du、家の屋根(重性の snélo)と天の屋根(軽性の fléura)を対にしている。人は家の屋根の下に、祖先は天の屋根の上にいる、という縦の並びを詠んでいる。
空の高いところにある雲。雨期に南の風が崖で押し上げられてできる厚く高い雲の層を、とくに「天の屋根」と呼ぶ。雲は上の層に属するので、雲が星を隠しても祖先は屋根の上にいて下界を聞いている、とされる。地面から湧く霧(nébro)とは別のもので、同じものとは決して考えない。崖の上から見下ろす霧の海を fléura と呼ぶのは誤りとされる。
軽性・a語幹(①型、語根に強勢)。対 fléuran、属 fléures、複 fléurai。
古高原語 *fléura。主格の -a は活用表の支えがあって復元された。
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