kél-

品詞
動詞
意味
伐る
辞書形
kéla
発音
[ˈkela]
読み
ケーラ
分野
基本動作

意味

  1. 伐る

    木を伐り倒す。

    lísa lisár virán pélsei kélenoi.

    読み:リーサ リサール ヴィラーン ペルセイ ケーレノイ。

    lís-alis-árvir-ánpéls-eikél-en-oi
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>言葉-<対格>脂の木-<与格>伐る-<〜した・〜された>-<重性・与格>

    「書記は伐った脂の木(の札)に字を書く。」

    pélsa「脂の木」は、名詞としては軽性の語形(与格 -ei)のまま。けれども伐られた材なので、分詞は重性の与格 -oi で一致する。荷札が重性になるのは、この規則による。

    dulíþan kelárai slúun báronur gandérur.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ スルーン バーロヌル ガンデールル。

    dul-íþ-ankel-ár-aislúunbáron-urgandér-ur
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>千本-<〜らの>硬木-<〜らの>

    「樵たちが硬木千本を下ろす。」

    slúun「千」は名詞として働き、量の名詞 báron「本」を複数属格でとる。その báron がさらに硬木を複数属格でとるので、属格が二つ続く。直説法では、-íþ- が自分で強勢をとる。

    dúlo gandér kélen kelárar só du orén.

    読み:ドゥーロ ガンデール ケーレン ケラーラル ソー ドゥ オレーン。

    dúl-ogandérkél-enkel-ár-arsóduorén.
    下る-<(重いものが)>硬木<主格>伐る-<〜した・〜された>伐る-<〜する人>-<〜らの>この<重性>下手縁<対格>

    「樵たちが伐ったこの硬木が、縁へ下りていく。」

    名詞句の並び順は「名詞–分詞–属格–指示詞」。分詞は重性・単数・主格なので一致の語尾がない。分詞の後ろの属格 kelárar は「樵たちによって」の意味。関係節がないので、重性の指示詞 só が名詞句の終わりの目印になり、du orén は主節にかかる。

    dúlo du dálor gandér te kéelan kelárai.

    読み:ドゥーロ ドゥ ダーロル ガンデール テ ケーラン ケラーライ。

    dúl-odudálorgandértekéel-ankel-ár-ai.
    下る-<(重いものが)>下手下の国<対格>硬木<主格><関係節>伐る<〜し終えた>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>

    「樵たちが伐り終えた硬木が、下の国へ下りていく。」

    関係節は名詞の後ろに無強勢の te を置き、すぐ後ろに動詞を続ける。目的語が抜けた穴は空けたままにする。関係節は文の終わり(か読点)まで続くので、du dálor を主節にかけるために、関係節つきの重い主語を文末に回している。dúlo gandér te kéelan kelárai du dálor と言うと、du dálor は関係節の中に入ってしまう。gandér は重性だが、関係節を導くのは te のままで、tó にはならない(tó なら「あの硬木」)。

    lúin áuran ombára ilánai, dulíþan kelárai gandér.

    読み:ルーイン アウラン オンバーラ イラーナイ、ドゥリーサン ケラーライ ガンデール。

    lúináur-anombárailán-ai,dul-íþ-ankel-ár-aigandér.
    とき昇る-<彼らが>十灯-<〜たちが>下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>

    「十の灯が昇ると、樵たちは硬木を下ろす。」

    「〜とき」の節は lúin で始め、ふつう主節の前に置く。ombára ilánai「十の灯」は星座の名前で、古い形の「十」が固まって残ったもの。星を数えているわけではない。

    duliþíre kelár fáron es orénos, toriþéla dálor.

    読み:ドゥリシーレ ケラール ファーロン エス オレーノス、トリセーラ ダーロル。

    dul-iþ-ír-ekel-árfáronesorén-os,tor-iþ-él-adálor.
    下る-<〜させる>-<もし〜なら>-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>荷<対格>から縁-<属格>来る-<〜させる>-<〜だろう>-<(軽いものが)>下の国<対格>

    「樵が縁から荷を落とせば、下の国を呼び寄せることになろう。」

    条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作り、主節の前に置く。帰結の節は推量法。後半では主語を言っていないが、動詞の語尾から、前半と同じ樵が主語だとわかる。崖から物を落としてはいけない、という禁忌の説明。

    dúlan kelárai es dúnos.

    読み:ドゥーラン ケラーライ エス ドゥーノス。

    dúl-ankel-ár-aiesdún-os.
    下る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>から丘-<属格>

    「樵たちが丘から下りてくる。」

    es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。主語の kelárai は軽性の複数(kél-「伐る」+-ár「〜する人」)なので、動詞は3人称複数の -an をとる。dún の属格は重性の -os になる。

    lísim gandér kélen kelárar.

    読み:リーシン ガンデール ケーレン ケラーラル。

    lís-imgandérkél-enkel-ár-ar.
    記録する-<私が>硬木<対格>伐る-<〜した・〜された>伐る-<〜する人>-<〜らの>

    「樵たちが伐った硬木を(帳簿に)記録する。」

    市の帳付けの文。分詞 kélen は名詞の後ろに置き、その後ろの属格 kelárar は「樵たちによって」の意味になる。gandér は重性なので、対格でも語尾がつかない。

    kélan kelárai téir gandérul.

    読み:ケーラン ケラーライ テール ガンデールル。

    kél-ankel-ár-aitéirgandér-ul.
    伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>三硬木-<〜たちを>

    「樵たちが硬木を三本伐る。」

    伐り出しのようすを言う文。会話では量の名詞 báron(本)を省き、数詞の後ろの名詞をそのまま複数にする。重性名詞は複数でも主格と対格が同じ -ul になる。時制がないので、「伐った」とも訳せる。

    sénim fáir kelárais.

    読み:セーニン ファイル ケラーライス。

    sén-imfáirkel-ár-ais.
    見る-<私が>四伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が四人見える。」

    目下の者や働き手は人数で数えてよいので、数詞をそのまま使う。目上の人には数詞をつけられないので、同じ言い方はできない。kelár は軽性の子音語幹で、複数対格は -ais。

    mé kelésa gandér an loiméi.

    読み:メー ケレーサ ガンデール アン ロイメー。

    mékel-és-agandéranloim-éi.
    <禁止・願いの打ち消し>伐る-<〜すべし>-<(軽いものが)>硬木<対格>上手詞-<与格>

    「詞を唱える前に、硬木を伐らぬこと。」

    降ろし場の碑や森の司の定めに見える、当為法の禁止。主語を言わないので「人は〜すべし」の意味になり、軽性の形 -a をとる。an+与格は時間の「〜の前に」。生えている硬木も重性なので、対格は主格と同じ gandér になる。

    dulíþan kelárai gandér es orénos.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ ガンデール エス オレーノス。

    dul-íþ-ankel-ár-aigandéresorén-os.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>杭材<対格>から縁-<属格>

    「樵たちは縁から硬木の丸太を下ろす。」

    乾風期の吊り下ろしを述べる文。gandér は重性なので、主格と対格が同じ形になる。動詞のすぐ後ろの kelárai が主語で、その次の gandér が目的語。ここでは数を言わずに、伐り出された材をひとまとまりとして言っている。帳簿で数を書くときは、かならず量の名詞 báron「本」を添える。

    dulíþan slúun kelárar gandér du orén.

    読み:ドゥリーサン スルーン ケラーラル ガンデール ドゥ オレーン。

    dul-íþ-anslúunkel-ár-argandérduorén.
    下る-<〜させる>-<彼らが>数えきれぬ伐る-<〜する人>-<〜らの>硬木<対格>下手縁<対格>

    「数えきれぬほどの樵が、硬木を縁へ下ろす。」

    誇張をこめた語りの言い方。この slúun は実際の数ではなく、「数えきれないほど多い」の意味。「slúun+複数属格」が主語になると、動詞は3人称複数で受ける。gandér と orén は重性なので、対格は主格と同じ形になる。du+対格で「下手へ」。

    ésa pélsa sé gléin, táula kelár pelsó éles.

    読み:エーサ ペルサ セー グレーン、タウラ ケラール ペルソー エーレス。

    és-apélsaségléin,tául-akel-árpelsóél-es.
    いる-<(軽いものが)>脂の木<主格>この<軽性>清い取る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>樹脂<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「この脂の木は清い。樵はその樹脂を採る。」

    立ち木から樹脂を採る話。立ち木なので、pélsa を受ける繋辞も代名詞も軽性の形になる(ésa、éles)。樹脂 pelsó は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印を打つ。

    éso pélsa kélen némei.

    読み:エーソ ペルサ ケーレン ネーメイ。

    és-opélsakél-enném-ei.
    いる-<(重いものが)>脂の木の材・荷札<主格>伐る-<〜した・〜された><私>-<与格>

    「私には荷札(伐った脂の木の札)がある。」

    荷札にする脂の木の薄板を言う文。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。名詞は軽性の語形 pélsa のままだが、伐った材なので、繋辞は重性の -o をとり、分詞 kélen も重性で一致する。名詞の語尾とまわりの語の性が食い違うのが、この意味の特徴である。

    lúin lóima ráuvan loimán, kéla kelár gandér.

    読み:ルーイン ロイマ ラウヴァン ロイマーン、ケーラ ケラール ガンデール。

    lúinlóim-aráuvanloim-án,kél-akel-árgandér.
    とき唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>伐る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>硬木<対格>

    「森の巫が詞を唱えると、樵は硬木を伐る。」

    硬木を伐る作法を述べた文。「〜するとき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。kelár「樵」は kél- に「〜する人」の -ár がついた語。硬木は重性なので、主格と対格が同じ形 gandér になる。詞を唱えずに伐ることは禁忌とされる。

    keléimor gandér dórel.

    読み:ケレーモル ガンデール ドーレル。

    kel-é-imorgandérdórel.
    伐る-<〜だろう>-<我々が>硬木<対格>明日

    「明日は硬木を伐ることになるだろう。」

    樵どうしの日常会話。時制がないので、未来のことは推量法で言う。1人称の語尾 -imor の前では、推量法の -él- の l が落ちて -é- になる。強勢は推量法の接尾辞に移り、語根の ´ は消える。

    kúula kelár tambór.

    読み:クーラ ケラール タンボール。

    kúul-akel-ártambór.
    煮る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>雑穀<対格>

    「樵が雑穀を煮ている。」

    日常の文。時制がないので「煮る」とも「煮ている」とも訳せる。tambór は重性の子音語幹名詞で、主格と対格が同じ形になる。主語と目的語は VSO の語順で見分ける。主語の kelár は人なので軽性で、動詞は -a をとる。綴りは〈tamboro〉で、古い脱落の前の形を残している。

    pómbar báronul dulíþan kelárai du dálor?

    読み:ポンバル バーロヌル ドゥリーサン ケラーライ ドゥ ダーロル?

    pómbarbáron-uldul-íþ-ankel-ár-aidudálor?
    いくつ本-<〜たちを>下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>下手下の国<対格>

    「樵たちは下の国へ何本下ろすのか。」

    降ろし場での日常の問い。数を問う pómbar は数詞と同じく名詞の前に置き、量の名詞 báron を複数にする。ここでは目的語なので複数対格 báronul(重性なので主格と同じ形)になる。降ろし場で数えるものは硬木と決まっているので、数えるものの複数属格は省いている。数を問う語句は、目的語の名詞句ごと動詞の前に出る。人を数える問いにはこの形を使わない。

    éso gandér gróm an kelárei.

    読み:エーソ ガンデール グローン アン ケラーレイ。

    és-ogandérgrómankel-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>重い〜よりまさって伐る-<〜する人>-<与格>

    「硬木は樵よりも重い。」

    比較は an+与格「〜の上手に」で言い、性質の程度がまさることを表す。重さのような下向きの性質を an で比べると、ふつうは皮肉に響く。ただし硬木の重さは「下へ行く」成就のしるしなので、樵や森の司はこの言い方を誇らしげに使う。主語 gandér が重性なので、繋辞は -o をとる。

    éso gandér fláin du kelárei.

    読み:エーソ ガンデール フライン ドゥ ケラーレイ。

    és-ogandérfláindukel-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>軽い〜より劣って伐る-<〜する人>-<与格>

    「硬木は軽さでは樵に及ばない(樵より重い)。」

    du+与格で、性質の程度が劣ることを表す。下向きの性質を an で比べると皮肉に響くので、改まった話し方では反対の軽い性質を du で比べて言い換える。意味は gróm an kelárei と同じになる。

    ésa lóna nakélen.

    読み:エーサ ローナ ナケーレン。

    és-alónana-kél-en.
    いる-<(軽いものが)>柱の木<主格><〜ない>-伐る-<〜した・〜された>

    「その柱の木はまだ伐られていない。」

    まだ伐られていない立ち木なので軽性で受け、繋辞は -a をとる。伐り倒したあとは、同じ語でも、受ける語が重性の形になる。

    dúlo lóna kélen du orén.

    読み:ドゥーロ ローナ ケーレン ドゥ オレーン。

    dúl-olónakél-enduorén.
    下る-<(重いものが)>柱材<主格>伐る-<〜した・〜された>下手縁<対格>

    「伐った柱材が縁へ下りていく。」

    名詞の lóna は軽性の語形のままだが、伐られた材なので、動詞は重性の -o で一致する。分詞 kélen も重性・主格の形で、語尾はつかない。du+対格で「下手へ」。

    kéla kelár gandér, dulíþa ó du orén.

    読み:ケーラ ケラール ガンデール、ドゥリーサ オー ドゥ オレーン。

    kél-akel-árgandér,dul-íþ-aóduorén.
    伐る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>硬木<対格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>それ<対格>下手縁<対格>

    「樵は硬木を伐り、それを縁へ下ろす。」

    前の節に出た重性名詞 gandér を、代名詞 ó で受けている。ó は重性なので、主格と対格が同じ形になる。後ろの節では主語を言わないが、動詞の語尾から同じ樵が主語だとわかる。

    lúin áuran ombára ilánai, dúlan kelárai du orén.

    読み:ルーイン アウラン オンバーラ イラーナイ、ドゥーラン ケラーライ ドゥ オレーン。

    lúináur-anombárailán-ai,dúl-ankel-ár-aiduorén.
    とき昇る-<彼らが>十灯-<〜たちが>下る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>下手縁<対格>

    「十の灯が昇ると、樵たちは縁へ下りていく。」

    「〜とき」の節は lúin で始めて、主節の前に置く。ombára ilánai「十の灯」は年の始まりを告げる星の群れの名前で、ombára は数えた結果ではなく名前の一部。そのため、星を数えることの禁忌には当たらない。ilánai は語根 ilán- に複数主格の語尾 -ai がついた形。

    pómbar gandérul dulíþan kelárai?

    読み:ポンバル ガンデールル ドゥリーサン ケラーライ?

    pómbargandér-uldul-íþ-ankel-ár-ai?
    いくつ硬木-<〜たちを>下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>

    「樵たちは硬木を何本下ろすのか。」

    降ろし場での問い。帳簿では量の名詞 báron「本」を入れるが、会話では省くことが多い。pómbar は名詞の前に置き、名詞は複数にする。疑問の名詞句は目的語として文頭に出るので、gandérul は複数対格。

    plúin dulíþan kelárai gandér?

    読み:プルーイン ドゥリーサン ケラーライ ガンデール?

    plúindul-íþ-ankel-ár-aigandér?
    いつ下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>

    「樵たちはいつ硬木を下ろすのか。」

    疑問詞 plúin は、ほかの疑問詞と同じく動詞の前に置く。plúin は格変化しない。時制がないので、過去のことにも先のことにも使える。答えはふつう、lúin 節(「十の灯が昇ると」など)か、an nébroi「霧の前に」のような時を表す句で返す。

    hóinan ómbra kelárar.

    読み:ホイナン オンブラ ケラーラル。

    hóin-anómbrakel-ár-ar.
    帰る-<彼らが>みな<主格>伐る-<〜する人>-<〜らの>

    「樵たちはみな帰っていく。」

    ómbra に人を表す複数属格を添えると、「〜たちの全員」、つまり「みな」の意味になる。意味の上では複数を指すので、動詞は3人称複数で受ける。一人ひとりを数えずに全員をまとめて言う言い方。

    méira houmár tambór kelárail ínin.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ケラーライル イーニン。

    méir-ahoumártambórkel-ár-ailínin.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>それぞれ

    「「家の主は、樵たちそれぞれに雑穀を分け与える。」」

    炉ばたで食べ物を分ける場面。受け手を与格 íninei で言い、誰のそれぞれかを複数属格 kelárar で添える。ínin は子音語幹の軽性として変化する。

    dulíþan kelárai gandér du dálor selúin.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ ガンデール ドゥ ダーロル セルーイン。

    dul-íþ-ankel-ár-aigandérdudálorselúin.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>下手下の国<対格>今の世

    「今の世、樵たちは硬木を下の国へ下ろしている。」

    年代記の記事の書きぶり。昔(統一の前)と比べて、今の王の世のならわしを述べている。直説法には時制がないので、selúin が時代を区切る働きをする。gandér は重性なので、主格と対格が同じ形になる。

    sénim lím kelárais.

    読み:セーニン リーン ケラーライス。

    sén-imlímkel-ár-ais.
    見る-<私が>五伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が五人見える。」

    くだけた日常会話。樵は目下の働き手なので、数詞で数えてかまわない(目上の人は数えない)。kelár は軽性の子音語幹で、複数対格は -ais になる。

    ké sénes ánþa kelárais?

    読み:ケー セーネス アンサ ケラーライス?

    késén-esánþakel-ár-ais?
    <〜か>見る-<あなたが>八伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が八人見えるか。」

    文頭に ké を置いた、はい・いいえの問い。2人称を使っているので、同じ段か下の相手に向けた話し方になる。樵は働き手なので、人数を数えてかまわない(目上の人は数えない)。答えるときは動詞を繰り返して sénim、または na sénim と言う。

    dulíþan slúumbar kelárar gandér.

    読み:ドゥリーサン スルーンバル ケラーラル ガンデール。

    dul-íþ-anslúumbarkel-ár-argandér.
    下る-<〜させる>-<彼らが>一万伐る-<〜する人>-<〜らの>硬木<対格>

    「一万人の樵が硬木を下ろす。」

    伐り出しの規模を誇張まじりに言う文。目上の人は数えないが、働き手は人数で数えてよいので、kelár「樵」を複数属格でとれる。slúumbar kelárar 全体が主語なので、動詞は3人称複数になる。

    dulíþan kelárai déral fáronos sórel.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ デーラル ファーロノス ソーレル。

    dul-íþ-ankel-ár-aidéralfáron-ossórel.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>半分<対格>荷-<属格>今日

    「今日、樵たちは荷の半分を下ろす。」

    何の半分かは属格(fáronos)で後ろに示す。dulíþ- は dúl-「下る」の使役で「下ろす」。直説法なので -íþ- が強勢をとる。sórel のような時の語は文末に置く。降ろし場で、その日の吊り下ろしの段取りを言う文。

    lúin kélan kelárai gandér, loimésa ráuvan loimán téir fréimais.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン テール フレーマイス。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,loim-és-aráuvanloim-ántéirfréim-ais.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>三度回-<〜たちを>

    「樵たちが硬木を伐るときは、森の巫が詞を三度唱えるべし。」

    降ろし場の碑に刻まれるような、儀礼の作法を定める当為法の文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。主節では主語を言っているので、それに一致して3人称単数・軽性になる。強勢は当為法の -és- に移り、語根の ´ は消える。三度は téir fréimais(複数対格)。

    ké sénes keláran éulan?

    読み:ケー セーネス ケラーラン エウラン?

    késén-eskel-ár-anéul-an?
    <〜か>見る-<あなたが>伐る-<〜する人>-<対格>よその家の-<軽性・対格>

    「よその家の樵を見かけたか。」

    村の中のくだけた問い。はい・いいえで答える問いは文頭の ké で作る。2人称を使っているので、下向きか並びの話し方になる。kelár は軽性の子音語幹で、対格は -an。éul も軽性・対格の -an で一致する。答えるときは動詞を繰り返し、sénim「見た」か na sénim「見ていない」と言う。

    rainíþa ólmar þeláis gandéros kelárail.

    読み:ライニーサ オルマル セライス ガンデーロス ケラーライル。

    rain-íþ-aólmarþel-áisgandér-oskel-ár-ail.
    知る-<〜させる>-<(軽いものが)>長老<主格>名前-<〜たちを>硬木-<属格>伐る-<〜する人>-<〜らに>

    「長老は樵たちに硬木の呼び名を教える。」

    村の暮らしを述べる文。硬木は、心材の色、沈み方、樹齢、伐ったあとの状態で何通りにも呼び分けられ、その呼び名は村の長老が受け継いで伝える。rainíþ-「教える」は ráin-「知る」に使役の -íþ- がついた形で、教わる人を与格、教える内容を対格でとる。

    ésa kelár sé gúrnal.

    読み:エーサ ケラール セー グルナル。

    és-akel-árségúrnal.
    いる-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>この<軽性>力の強いもの

    「この樵は熊のような力持ちだ。」

    人を gúrnal にたとえて、力の強さをほめる言い方。森の言葉でも崖道の言葉でもよく使う。人を熊にたとえても軽性のままなので、侮辱にはならない。指示詞 sé は名詞の後ろに置く。

    ráina tókal árnelan, ráina kelár tókalan.

    読み:ライナ トーカル アルネラン、ライナ ケラール トーカラン。

    ráin-atókalárnel-an,ráin-akel-ártókal-an
    知る-<(軽いものが)>きつつき<主格>木-<対格>知る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>きつつき-<対格>

    「きつつきは木を知り、樵はきつつきを知る。」

    樵のあいだの諺。きつつきの叩く音を聞き分けて、木の中が空洞か詰まっているかを知る習わしを言う。tókal は軽性の子音語幹で、対格は tókal-an。前半と後半はどちらも動詞で始まる VSO の文で、同じ形の文を二つ並べる対句になっている。

    éso árnel kélen gróm.

    読み:エーソ アルネル ケーレン グローン。

    és-oárnelkél-engróm.
    いる-<(重いものが)>木<主格>伐る-<〜した・〜された>重い

    「伐った木は重い。」

    材木を主語にした繋辞文。根を断たれた木はもう昇らないものとされるので、繋辞は重性の éso をとる。分詞 kélen と形容詞 gróm も重性・単数・主格の形で、語尾はつかない。

    lúin kéla kelár árnelan, na kéla búl.

    読み:ルーイン ケーラ ケラール アルネラン、ナ ケーラ ブール。

    lúinkél-akel-árárnel-an,nakél-abúl.
    とき伐る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>木-<対格><〜ない>伐る-<(軽いものが)>根<対格>

    「樵は木を伐るとき、根は伐らない。」

    búl は重性なので、主格と対格が同じ形になる。伐る前の木は立ち木なので、軽性の対格 árnelan をとる。後半の節は主語を言っていないが、動詞の語尾から、前半と同じ樵が主語だとわかる。

    ké ésa flaindél kélen sé káil?

    読み:ケー エーサ フラインデール ケーレン セー カイル?

    kéés-aflaindélkél-ensékáil?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>版の木<主格>伐る-<〜した・〜された>この<軽性>乾いた

    「この伐った版の木は乾いているか。」

    版木の工房で交わされる、くだけた問い。版木は、伐ってから数年寝かせて乾かす。伐った木はふつう一致が重性に移るが、版の木は例外で、伐ったあとも軽性のままである。そのため、繋辞は ésa、分詞 kélen は軽性・単数・主格(語尾なし)、指示詞は軽性の sé になる。伐った脂の木なら kélenoi(重性)のように重性の形で一致するので、比べるとわかりやすい。

    mé kél árnelan sé, ésa bóula fóndel.

    読み:メー ケール アルネラン セー、エーサ ボーラ フォンデル。

    mékélárnel-ansé,és-abóulafóndel.
    <禁止・願いの打ち消し>伐る<命令法><あなたが>木-<対格>この<軽性>,いる-<(軽いものが)>どんぐりの木<主格>古い

    「この木を伐るな。このどんぐりの木は由緒ある古木だ。」

    森の村で、年長者が若い樵をたしなめるときの言い方。禁止は mé+命令法(むき出しの語幹 kél)で言うので、下向きの話し方になる。後半では、生えているどんぐりの木が軽性なので、繋辞は ésa になる。fóndel は「古くて由緒ある」というほめる響きの語。

    níla kelár nímbo.

    読み:ニーラ ケラール ニンボ。

    níl-akel-árnímbo.
    飲む-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>乳<対格>

    「樵が乳を飲む。」

    VSO の基本的な文。主語の kelár「樵」は人なので軽性で、動詞は -a をとる。nímbo「乳」は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形。毛山羊の乳は高原の日常の飲み物である。

    nílo lóna kélen ílmo.

    読み:ニーロ ローナ ケーレン イルモ。

    níl-olónakél-enílmo.
    吸いこむ-<(重いものが)>柱の木<主格>伐る-<〜した・〜された>水<対格>

    「伐った柱の木は水を吸いこむ。」

    lóna は名詞としては軽性a語幹の形のままだが、伐られた材なので、分詞 kélen も動詞 nílo も重性で一致する。名詞の語尾は軽性で、まわりの語は重性という組み合わせになる。樵や大工が、材を乾かして寝かせる理由を言うときの文。

    méiran ólmarai kailó kelárail.

    読み:メーラン オルマライ カイロー ケラーライル。

    méir-anólmar-aikailókel-ár-ail.
    与える-<彼らが>年長者-<〜たちが>乾酪<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>

    「年長者たちが樵たちに乾酪を与える。」

    主語が複数なので、動詞は3人称複数の -an をとる。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)。受け手の kelár「樵」は軽性の子音語幹で、複数与格は -ail。kailó「乾酪」は重性o語幹の名詞で、対格も主格と同じ形。

    kráila kelár tálmo.

    読み:クライラ ケラール タルモ。

    kráil-akel-ártálmo.
    手に持つ-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>斧<対格>

    「樵は斧を手に持っている。」

    ものを握って持っている状態を言う。時制がないので、持ち上げた瞬間ではなく、持っている状態としても読める。tálmo は重性o語幹で、主格と対格が同じ形。

    táula kelár sóumbo.

    読み:タウラ ケラール ソーンボ。

    tául-akel-ársóumbo.
    取る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>きのこ<対格>

    「樵がきのこを拾い上げる。」

    雨期の森での採集を言う、ふつうの直説法の文。語順は動詞–主語–目的語。sóumbo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。主語の kelár「樵」は人なので軽性で、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。

    héla lisár an kelárei.

    読み:ヘーラ リサール アン ケラーレイ。

    hél-alis-árankel-ár-ei.
    座る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>上手伐る-<〜する人>-<与格>

    「書記は樵の上手に座る。」

    an+与格で「〜の上手(北側)で」。家でも宮廷でも北側の高い座が上座なので、段の高い書記(四段下り)が樵(八段下り)の上手に座る。

    nóirau dáu kelárau.

    読み:ノイラウ ダウ ケラーラウ。

    nóir-audáukel-ár-au.
    眠る-<双数>二伐る-<〜する人>-<双数>

    「樵が二人、眠っている。」

    dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、動詞も双数の -au をとる。双数の動詞は人称も性も区別しない。時制がないので、「眠る」とも「眠っている」とも訳せる。

    nóiro gandér kélen.

    読み:ノイロ ガンデール ケーレン。

    nóir-ogandérkél-en.
    寝る-<(重いものが)>硬木<主格>伐る-<〜した・〜された>

    「伐った硬木は寝かせてある。」

    樵や森の司の検め役が、材の状態を言うときの文。硬木は重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。分詞 kélen は重性・単数・主格なので、一致の語尾はつかない。

    bróla kelár kailó.

    読み:ブローラ ケラール カイロー。

    bról-akel-árkailó.
    作る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>乾酪<対格>

    「樵が乾酪を作る。」

    毛山羊の乳から乾酪をこしらえることを言う、日常の文。kailó は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。主語は人なので、動詞は軽性の -a をとる。

    kráila kelár árnelan.

    読み:クライラ ケラール アルネラン。

    kráil-akel-árárnel-an.
    つかんで離さない-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>木-<対格>

    「樵が木にしがみついている。」

    しがみつく対象を対格の目的語にとる。生えている木 árnel は軽性の子音語幹なので、対格は -an になる。

    gélan kelárai or véinor dórel.

    読み:ゲーラン ケラーライ オル ヴェーノル ドーレル。

    gél-ankel-ár-aiorvéinordórel.
    行く-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>日の出側湖<対格>明日

    「明日、樵たちは日の出側の湖へ行く。」

    時制の語形はないので、未来のことでも直説法で言い切れる。確かでなければ推量法 geléla などを使う。東西の移動は or(日の出側)・vel(日の入り側)+対格で表す。véinor は重性で、対格でも形が変わらない。

    rainíþa ólmar sóumbo kelárail.

    読み:ライニーサ オルマル ソーンボ ケラーライル。

    rain-íþ-aólmarsóumbokel-ár-ail.
    知る-<〜させる>-<(軽いものが)>年長者<主格>きのこ<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>

    「年長者が樵たちに、食べられるきのこを教える。」

    きのこの見分け方は村の年長者が受け継ぐ知識で、この文はそれを伝える場面を表す。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)。rainíþ-「教える」は ráin-「知る」に使役の -íþ- がついた語で、強勢は -íþ- に移る。

    mána kelár þérno! hál ráuvanan!

    読み:マーナ ケラール セルノ!ハール ラウヴァナン!

    mán-akel-árþérno!hálráuvan-an!
    食べる-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>毒きのこ<対格>呼ぶ<命令法><あなたが>森の巫-<対格>

    「樵が毒きのこを食べた!森の巫を呼べ!」

    急を告げるくだけた言い方。動詞に時制の形がないので、mána だけで「食べた」の意味になる。重性名詞の þérno は、対格でも形が変わらない。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 hál。森の村では、毒や葬送のことは森の巫に任される。

    þóro lóna kélen só.

    読み:ソーロ ローナ ケーレン ソー。

    þór-olónakél-ensó.
    立つ-<(重いものが)>柱の木<主格>伐る-<〜した・〜された>この<重性>

    「この、伐った柱の木の柱が立っている。」

    lóna「柱の木」は、名詞としては軽性a語幹の語形のままである。けれども伐られて材になっているので、動詞は重性の þóro、分詞 kélen も重性・主格の形(語尾なし)、指示詞も重性の só で一致する。生えている木なら þóra lóna sé となる。

    bruumíre kelár, mé grúun.

    読み:ブルーミーレ ケラール、メー グルーン。

    bruum-ír-ekel-ár,mégrúun.
    転ぶ-<もし〜なら>-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格><禁止・願いの打ち消し>怒る<命令法><あなたが>

    「樵が転んでも、怒るな。」

    凍った坂道や森の道での日常の文。条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。仮定法の3人称単数・軽性は -e で終わる(bruumíre)。人は軽性なので、樵には軽性の形を使う。禁止は「mé+命令法」で、grúun はむき出しの語幹。

    þráuna kelár tambór.

    読み:スラウナ ケラール タンボール。

    þráun-akel-ártambór.
    投げる-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>雑穀<対格>

    「樵が雑穀を投げる。」

    日常の文。語順は動詞–主語–目的語。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形で、語順から目的語とわかる。手で雑穀を投げて播く動作にも使える。

    mé þráun gandér, kelár.

    読み:メー スラウン ガンデール、ケラール。

    méþráungandér,kel-ár.
    <禁止・願いの打ち消し>投げる<命令法><あなたが>硬木<対格>伐る-<〜する人>

    「硬木を投げるな、樵よ。」

    下向きの禁止。「mé+命令法」で言い、命令法の2人称単数はむき出しの語幹 þráun になる。呼びかけは呼格を使わず、役職を文の終わりに読点で区切って添える。硬木は儀式を経て扱う木なので、乱暴に扱うことが戒められる。

    na fíndan kelárai viráis ólmarar.

    読み:ナ フィンダン ケラーライ ヴィライス オルマラル。

    nafínd-ankel-ár-aivir-áisólmar-ar.
    <〜ない>聞き入れる-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>言葉-<〜たちを>年長者-<〜らの>

    「「樵たちは年長者の言うことを聞かない。」」

    年長者がこぼすときによく使う言い方。直説法なので、否定は na を動詞の直前に置く。この意味の fínd- は、言葉を耳で聞くことではなく、言われたとおりにすることを表す。

    lúin nóiran kelárai, nóura ólmar.

    読み:ルーイン ノイラン ケラーライ、ノーラ オルマル。

    lúinnóir-ankel-ár-ai,nóur-aólmar.
    とき眠る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>思案する-<(軽いものが)>年長者<主格>

    「樵たちが眠ると、年長者は思いにふける。」

    「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。nóur- はここでは、ひとりで静かに考えこむことを表す。

    dróuman kelárai es meirós.

    読み:ドローマン ケラーライ エス メイロース。

    dróum-ankel-ár-aiesmeir-ós.
    嘆く-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>から税-<属格>

    「樵たちは税を嘆いている。」

    日常の不満を言う文。meiró は語尾に強勢のある重性o語幹で、属格は -ós。

    dróuma ráuvan es gandéros kélenos.

    読み:ドローマ ラウヴァン エス ガンデーロス ケーレノス。

    dróum-aráuvanesgandér-oskél-en-os.
    悼む-<(軽いものが)>森の巫<主格>から硬木-<属格>伐る-<〜した・〜された>-<重性・属格>

    「森の巫は、伐られた硬木を悼む。」

    硬木を伐るときに、上へ伸びてきた木をねぎらう詞の場面。分詞 kélen は gandér(重性)の属格に一致して -os をとる。

    víra kelár ré éso nébro tó gráis.

    読み:ヴィーラ ケラール レー エーソ ネーブロ トー グライス。

    vír-akel-árréés-onébrotógráis.
    言う-<(軽いものが)>伐る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>霧<主格>あの<重性>不吉な

    「樵は、あの霧は不吉だと言う。」

    人から聞いた兆しを伝える言い方。ré の節の中も、動詞で始まる語順を保つ。tó は重性の指示詞「あの」。

    méira houmár tambór kelárail pírail.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ケラーライル ピーライル。

    méir-ahoum-ártambórkel-ár-ailpír-ail.
    与える-<(軽いものが)>炉-<〜する人>雑穀<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>若い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・与格>

    「家の主は、若い樵たちに雑穀を与える。」

    語順は「動詞–主語–目的語–与格」。人は軽性なので、形容詞は軽性の複数与格 -ail で一致する。

    lúin kélan kelárai gandér, lóima ráuvan loimán.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイマ ラウヴァン ロイマーン。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,lóim-aráuvanloim-án.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>

    「樵たちが硬木を伐るとき、森の巫が詞を唱える。」

    硬木を伐るときの儀礼を説明する文。loimá「詞」は lóim- に -á「〜するもの」がついた派生語で、動詞の目的語に同じ語根の名詞をとっている。

    dulíþan kelárai téir gandérul dréumul.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ テール ガンデールル ドレウムル。

    dul-íþ-ankel-ár-aitéirgandér-uldréum-ul.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>三硬木-<〜たちを>黒い-<重性・〜ら(古い母音交替)・対格>

    「樵たちは黒い硬木を三本下ろす。」

    心材の黒い硬木を言う文。会話なので、量の名詞を省いている。三より上の数の後ろでは名詞が複数になり、形容詞も重性・複数・対格の -ul で一致する。

    kéla houmár árnelais, ré esénde lúsa élei.

    読み:ケーラ ホウマール アルネライス、レー エセンデ ルーサ エーレイ。

    kél-ahoumárárnel-ais,rées-énd-elúsaél-ei.
    伐る-<(軽いものが)>家の主<主格>木-<〜たちを><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(軽いものが)>日々の糧<主格><3人称単数・軽性>-<与格>

    「家の主は、粥に困らぬよう木を伐る。」

    「ré+願望法」は目的を表す。所有は「ある+持ち主の与格」で言うので、「その人に粥がある」が「暮らしに困らない」という意味になる。élei は家の主を指す。ここでの lúsa は、日々の食い扶持を広く指している。

    níla kelár nímbo.

    読み:ニーラ ケラール ニンボ。

    níl-akel-árnímbo.
    飲む-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>乳<対格>

    「樵が乳を飲む。」

    日常のことを述べる VSO の文。nímbo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。主語の kelár「樵」は人なので軽性で、動詞は -a をとる。

    táulan kelárai méldo.

    読み:タウラン ケラーライ メルド。

    tául-ankel-ár-aiméldo.
    取る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>蜜<対格>

    「樵たちは蜜をとる。」

    森の暮らしを述べる文。méldo は重性o語幹で、対格は主格と同じ形。森の民は蜂の巣から蜜と蝋の両方をとる。

    ésa tendá kelárar kéum, na ésa rús.

    読み:エーサ テンダー ケラーラル ケウン、ナ エーサ ルース。

    és-atend-ákel-ár-arkéum,naés-arús.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>伐る-<〜する人>-<〜らの>生成りの<〜ない>いる-<(軽いものが)>茶色の

    「樵たちの布は生成りで、茶色ではない。」

    染めていない布や毛の色をいう kéum の用法。八段下りの森の民は染めない布を着る。後半は主語を言わず、動詞の語尾で前半と同じ布が主語だとわかる。na は動詞の直前に置く。

    kráila kelár tálmo kumbóros.

    読み:クライラ ケラール タルモ クンボーロス。

    kráil-akel-ártálmokumbór-os.
    手に持つ-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>斧<対格>青銅-<属格>

    「樵は青銅の斧を手に持つ。」

    tálmo は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。この文で tálmo が目的語だとわかるのは、VSO の語順による。材料を表す属格 kumbóros は名詞の後ろに置く。主語の kelár は人なので軽性で、動詞は -a をとる。

    bróla kelár bóral némei.

    読み:ブローラ ケラール ボーラル ネーメイ。

    bról-akel-árbóralném-ei.
    作る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>家<対格><私>-<与格>

    「樵が私に家を建ててくれる。」

    VSO の基本の文。bóral は重性の子音語幹名詞で主格と対格が同じ形なので、動詞のすぐ後ろの kelár が主語、その次の bóral が目的語だと語順で決まる。受け手は与格 némei。家は石の土台に柱の木で組み、中心に炉を据える。

    bróla kelár snélo bóralos.

    読み:ブローラ ケラール スネーロ ボーラロス。

    bról-akel-ársnélobóral-os.
    作る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>屋根<対格>家-<属格>

    「樵が家の屋根を葺く。」

    snélo は重性の o語幹名詞で、主格と対格が同じ形。属格 bóralos は名詞の後ろに置いて「家の」を表す。高原の家の屋根は傾きが急で、板か黒い薄石で葺く。

    bróla kelár reinándo bóralos só.

    読み:ブローラ ケラール レイナンド ボーラロス ソー。

    bról-akel-árreinándobóral-ossó.
    作る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>樋<対格>家-<属格>この<重性>

    「樵がこの家の樋を作る。」

    重性の reinándo は主格と対格が同じ形なので、VSO の語順で目的語だとわかる。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」で、指示詞 só は中心の名詞 reinándo(重性)に合わせる。樋は軒に渡して雨水を甕へ導く。

    táula kelár pelsó es pélses.

    読み:タウラ ケラール ペルソー エス ペルセス。

    tául-akel-árpelsóespéls-es
    取る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>樹脂<対格>から脂の木-<属格>

    「樵が脂の木から樹脂をとる。」

    pelsó は pélsa「脂の木」に、重いものを表す -ó がついてできた重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。樹脂をとるのは生えている木からなので、pélsa は軽性の属格 -es のままになる。

    émbelau ráuvan si kelár aursárais.

    読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。

    émbel-auráuvansikel-áraursár-ais.
    祀る-<双数>森の巫<主格>と伐る-<〜する人・主格>祖先-<〜たちを>

    「森の巫と樵が祖先を祀る。」

    祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。

    lúin kélan kelárai gandér, áura aurvirá ráuvanes.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、アウラ アウルヴィラー ラウヴァネス。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,áur-aaurviráráuvan-es.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>昇る-<(軽いものが)>祈り<主格>森の巫-<属格>

    「樵たちが硬木を伐るとき、森の巫の祈りが昇る。」

    硬木を伐るときの儀式を述べる文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。

    ké tóra ráuvan? na tóra. séiran kelárai.

    読み:ケー トーラ ラウヴァン?ナ トーラ。セーラン ケラーライ。

    kétór-aráuvan?natór-a.séir-ankel-ár-ai.
    <〜か>来る-<(軽いものが)>森の巫<主格><〜ない>来る-<(軽いものが)>待つ-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>

    「「巫は来たか?」「まだ来ていない。樵たちが待っている。」」

    伐り出しの前の、森の村での日常のやりとり。二人の発話を一つにまとめている。儀式の詞を唱えずには硬木を伐れないので、樵たちは森の巫の到着を待つ。「はい/いいえ」にあたる語はなく、問いの動詞を繰り返して答える(否定なら na tóra)。時制がないので、tóra は「来た」とも「来ている」とも訳せる。

    lúin kélan kelárai gandér, áura loimá ráuvanes.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、アウラ ロイマー ラウヴァネス。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,áur-aloimáráuvan-es.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>昇る-<(軽いものが)>詞<主格>森の巫-<属格>

    「樵たちが硬木を伐るときには、森の巫の詞が立ちのぼる。」

    硬木を伐る作法を述べた文。詞は息なので、煙のように上へ昇るものとされ、動詞 áur-「昇る」の主語になる。loimá は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。硬木 gandér は重性なので、主格と対格が同じ形になる。

    duméiran kelárai meiró pelsós aldárei áurenei.

    読み:ドゥメーラン ケラーライ メイロー ペルソース アルダーレイ アウレネイ。

    du-méir-ankel-ár-aimeirópels-ósaldár-eiáur-en-ei.
    <〜させていただく>-与える-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>貢ぎ物<対格>樹脂-<属格>座-<与格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格>

    「樵たちは、高き座に樹脂の貢ぎ物を献上する。」

    森の氏族が王に産物を納めることを述べる文。差し出す側を低める謙譲の du- を動詞につけ、受け手の「高き座」は与格で表す。分詞 áurenei は aldárei(軽性・単数・与格)に一致する。同じ meiró でも、受け手が王なら「貢ぎ物」、倉なら「税」と訳し分ける。

    dulíþan kelárai gandér an órunei.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ ガンデール アン オールネイ。

    dul-íþ-ankel-ár-aigandéranórun-ei.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>上手日の出-<与格>

    「樵たちは日の出の前に硬木を下ろす。」

    時の前後を、川の上手・下手として言う文。an+与格は「〜の上手で」で、「〜の前に」を表す。「日の出の後に」なら du órunei と言う。órun は軽性の子音語幹で、与格は -ei になる。

    tóra tráimel ível, dulíþan kelárai gandér.

    読み:トーラ トライメル イーヴェル、ドゥリーサン ケラーライ ガンデール。

    tór-atráimelível,dul-íþ-ankel-ár-aigandér.
    来る-<(軽いものが)>年<主格>新しい下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>

    「新しい年が来て、樵たちは硬木を下ろす。」

    暦と仕事の流れを説明する文。年は乾風期の初めに始まり、硬木の最初の下ろしもこの時期に行われる。tráimel は軽性の子音語幹で、形容詞 ível はその後ろに置いて一致させる。主節は二つ並んでいるので、あいだに読点を打つ。

    dulíþan kelárai dáumbar gandérul tráimelei sé.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ ダウンバル ガンデールル トライメレイ セー。

    dul-íþ-ankel-ár-aidáumbargandér-ultráimel-eisé.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>二十硬木-<〜たちを>年-<与格>この<軽性>

    「この年、樵たちは硬木を二十本下ろした。」

    年代記や森の司の記録に見られる書き方。「この年に」は、与格 tráimelei に指示詞 sé を添えて言う。九十九までの数詞は名詞の前に置き、三以上なら名詞を複数にする。重性の複数対格は -ul になる。

    lúin tóra vélun, hóinan kelárai an dún.

    読み:ルーイン トーラ ヴェールン、ホイナン ケラーライ アン ドゥーン。

    lúintór-avélun,hóin-ankel-ár-aiandún.
    とき来る-<(軽いものが)>日の入り<主格>帰る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>上手丘<対格>

    「日が沈むと、樵たちは丘の上へ帰っていく。」

    vélun は軽性の子音語幹として変化する。lúin の節は主節の前に置く。「日の入りが来る」という言い方で「夕方になる」を表す。日常の語り口の文。

    tóran kelárai sal hóum.

    読み:トーラン ケラーライ サル ホーン。

    tór-ankel-ár-aisalhóum.
    来る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>〜の外に炉<対格>

    「樵たちが炉ばたの外へ出てくる。」

    日常の文。sal はほかの方向の前置詞と同じく強勢をもたず、組む格で意味が変わる。この文のように対格と組むと「〜の外へ」という向きを表し、与格と組むと「〜の外で」という場所を表す。hóum「炉」は重性なので、対格は主格と同じ形になる。

    tóra álva kelárar.

    読み:トーラ アルヴァ ケラーラル。

    tór-aálvakel-ár-ar
    来る-<(軽いものが)>時節<主格>伐る-<〜する人>-<〜らの>

    「樵たちの時節が来た。」

    乾風期のはじめ、硬木の伐り出しが始まるころの村の言い方。kelár「樵」に複数属格の -ar をつけ、「樵たちの頃合い」と言う。álva は軽性なので、動詞は -a で一致する。

    lúin ésa kailálva, dulíþan kelárai gandér du dálor.

    読み:ルーイン エーサ カイラルヴァ、ドゥリーサン ケラーライ ガンデール ドゥ ダーロル。

    lúinés-akailálva,dul-íþ-ankel-ár-aigandérdudálor
    ときいる-<(軽いものが)>乾風期<主格>下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>下手下の国<対格>

    「乾風期のあいだ、樵たちは硬木を下の国へ下ろす。」

    乾風期が硬木の伐り出しと吊り下ろしの季節であることを述べた文。gandér と dálor は重性なので、主格と対格が同じ形になる。使役の -íþ- は、後ろに強勢をもつ接辞がないので、自分で強勢をとる。

    kélan kelárai gandér þailúinei.

    読み:ケーラン ケラーライ ガンデール サイルーイネイ。

    kél-ankel-ár-aigandérþailúin-ei.
    伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>澄みの頃-<与格>

    「澄みの頃には、樵たちが硬木を伐る。」

    森の村で、一年の仕事の段取りを話すときの言い方。時を表す þailúin は前置詞をつけず、与格だけで「〜の頃に」を表す。軽性の子音語幹なので与格は -ei になる。硬木の伐り出しが始まる時期であることをよく表す文。

    toríþa ráuvan kelárais un krévan, salóur na kélan kelárai árnelan.

    読み:トリーサ ラウヴァン ケラーライス ウン クレーヴァン、サロール ナ ケーラン ケラーライ アルネラン。

    tor-íþ-aráuvankel-ár-aisunkréva-n,salóurnakél-ankel-ár-aiárnel-an.
    来る-<〜させる>-<(軽いものが)>森の巫<主格>伐る-<〜する人>-<〜たちを>内に練習の場-<対格>しかし<〜ない>伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>木-<対格>

    「森の巫は樵たちを稽古の場へ呼び寄せるが、樵たちは木を伐らない。」

    un と対格を組み合わせると「〜の中へ」の意味になり、un krévan は「稽古の場へ」となる。伐り出しの詞を稽古で唱えても本番の儀式にはならず、樵はそこでは斧を入れない。そのことを言った文である。使役の toríþ-「呼び寄せる」は、後ろに強勢のある接辞がないので、-íþ- が強勢をとる。逆接の salóur は二つめの文の頭に置く。立っている木 árnel は軽性なので、対格は -an になる。

    þúelan kelárai tromó.

    読み:スーエラン ケラーライ トロモー。

    þúel-ankel-ár-aitromó.
    追う-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>足跡<対格>

    「樵たちは足跡をたどる。」

    kelárai は kelár「樵」の複数主語。tromó は足跡をひと続きの痕として受ける。比喩的「跡を追う」の用法。

    snémba kelár gandér só.

    読み:スネンバ ケラール ガンデール ソー。

    snémb-akel-árgandérsó.
    こする-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>硬木<対格>この<重性>

    「樵がこの硬木を指先で確かめるようにこする。」

    森や木口の場面。主語 kelár は人を指す軽性なので、動詞は3人称単数軽性 -a をとる。硬木 gandér は重性で、単数の直接目的語は主格と同じ形のまま。指示詞 só は重性名詞句を閉じる。

    brúna kelár plén só.

    読み:ブルーナ ケラール プレーン ソー。

    brún-akel-árplénsó
    背負う-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>板この<重性>

    「樵がこの板を背負う。」

    日常生活の文。plén は加工された木材を指す重性名詞で、単数の目的語では plén のまま。指示詞 só は重性の plén に一致する。主体の kelár は人なので軽性の動詞語尾 -a をとる。

    lóima kelár loimán, senkráno senó keláres.

    読み:ロイマ ケラール ロイマーン、センクラーノ セノー ケラーレス。

    lóim-akel-árloim-án,senkrán-osenókel-ár-es.
    唱える-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>詞-<対格>,目が止まる-<(重いものが)>目<主格>伐る-<〜する人>-<属格>

    「樵が詞を唱えると、樵の目は思わず見開かれた。」

    儀礼の詞を唱える場面を想定した文。森の言葉ではこの語が通常の言い方として使われ、宮廷では「目が硬くなる」という語感が粗野に響くため、婉曲的な言い方に置き換えることがある。loimán は loimá「詞」の対格。

    kekélan kelárai derván.

    読み:ケケーラン ケラーライ デルヴァーン。

    kekél-ankel-ár-aiderv-án.
    こねる-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>粉-<対格>

    「樵たちは粉をこねる。」

    食事作りの場面。主語 kelárai が複数名詞句なので、動詞は3人称複数形の kekélan になる。粉を表す dervá は軽性a語幹で、対格は derv-án。

    áuran ombára ilánai, duói dulíþan kelárai dulfáron.

    読み:アウラン オンバーラ イラーナイ、ドゥオイ ドゥリーサン ケラーライ ドゥルファーロン。

    áur-anombárailán-ai,duóidul-íþ-ankel-ár-aidulfáron.
    昇る-<彼らが>十灯-<〜たちが>その次に下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>下ろし荷<対格>

    「十の灯が昇る。その次に、樵たちが下ろし荷を下ろす。」

    年代記の記事を読み上げる場面。決まった順の項目を、文1, duói 文2の形でつなぐ改まった用法。duóiは原因ではなく単に項目順を示す。第二節は動詞で始まる。

解説

木を伐り倒す他動詞。樵のいちばん大事な仕事を表す語で、とくに硬木を伐るときは、森の巫か樵の長が決まった韻律の詞を唱えなければならない。分詞 kélen「伐られた」は、木が軽性から重性へ移ったことを示す形としてよく使う。

文法

他動詞。直説法3単 kéla/kélo、3複 kélan。完了語根 kéel-(母音が長くなる)。分詞 kélen「伐られた」。

語源

派生語に kelár「樵(伐る人)」。

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