小説
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炉に捕まる(話し込む)
話に没入して手が止まり、気づけば炉の火が落ちている。主語は人(軽性)で、捕まった側である。炉ばた・井戸の脇・織り機の脇のいずれでも使う。
krailhóuma líura sórel.
読み:クライルホーマ リーウラ ソーレル。
| krailhóum-a | líura | sórel. |
| 炉に捕まる-<(軽いものが)> | 女<主格> | 今日 |
「その女は今日、炉に捕まっている。」
日常会話。織り機の脇で杼が止まっているような場面。時点を表す sórel を主語の後ろに置いた文。
掴まる(比喩・くだけた)
話に限らず、昔話や星読みの語りや、縁の人々の荷担ぎ歌の囃しに掴まって動けなくなる、というより広い意味でも使う。くだけた言葉でのみ許される表現。
lúin lóima ilanár, krailhóuma endríña.
読み:ルーイン ロイマ イラナール、クライルホーマ エンドリーニャ。
| lúin | lóim-a | ilanár, | krailhóum-a | endríña. |
| とき | 唱える-<(軽いものが)> | 星読み<主格>, | 掴まる-<(軽いものが)> | 子ども<主格> |
「星読みが唱えると、子どもは掴まる(語りにのめり込む)。」
比喩・くだけた用法。炉ばただけでなく、星読みの語りに子どもがのめり込んで動けなくなる。捕まる対象は文法上は表れず、状況から補う。
話に没入して、手が止まり、呼吸が途切れ、時間が消える感覚を表す婉曲表現。kráil-「手に持つ・掴む」の「掴まれている」感覚と hóum「炉」の中心性・固定性が重なり、話に「捕まって」動けなくなるさまを指す。井戸の脇で桶を洗っていた手が止まる、炉ばたで薪を割っていた斧が止まる、織り機の杼が止まる、その「止まり」の向こうにある没入を、炉に掴まっていることで表す。高原の信仰では息は軽く上へ昇るものだが、この語では「炉に掴まっている」=昇らずに留まっている、という反転が時間の停止の感覚を帯びる。村の女性のくだけた言葉で生まれ、炉ばた・井戸の脇・織り機の脇の三つを一度に指す、家庭の中心の語。都ではやや俗語の響きがあり、改まった文では用いられない。
自動詞。軽性で受ける。複合語なので、前要素 kráil- の強勢は落ち、後要素 hóum の強勢だけが残る(krailhóum-)。完了相は、強勢のある母音(後要素の o)が oo に変化する(krailhóom-)。
kráil-「手に持つ・掴む」+hóum「炉」。炉は家の中心で、北側の高い座(上座)がある固定された場所。話に「掴まる」ことを、炉に身体が固定されている比喩で表す。複合語の強勢の規則(後ろの要素だけ強勢を残す)により、前要素の á は無強勢になる。
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