小説
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禁忌
してはならない行い、口にしてはならない言葉。
léimsan aursárai sárvo ré mé duliþésa fáron du dálor.
読み:レーンサン アウルサーライ サルヴォ レー メー ドゥリセーサ ファーロン ドゥ ダーロル。
| léims-an | aursár-ai | sárvo | ré | mé | dul-iþ-és-a | fáron | du | dálor. |
| 据える<〜し終えた>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 禁忌<対格> | <〜と(節)> | <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 荷<対格> | 下手 | 下の国<対格> |
「祖先たちは、下の国へ荷を落としてはならぬという禁忌を定めた。」
ré の後ろの節は当為法を保ち、mé で否定している。主語を言わない当為法は「人は〜すべし」の意味で、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る。崖から物を落としてはいけない、という禁忌のいわれを語る文。
na ráina dalorár sárvo némores.
読み:ナ ライナ ダロラール サルヴォ ネーモレス。
| na | ráin-a | dalorár | sárvo | némor-es. |
| <〜ない> | 知る-<(軽いものが)> | 下の国の者<主格> | 禁忌<対格> | <我々>-<属格> |
「下の国の者は、我々の禁忌を知らない。」
干潟の人について、高原の人が言う決まり文句。どこか見下す響きがある。sárvo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。ここでは単数で「禁忌というもの」を総称している。「我々の」は代名詞 némor の属格 némores で表し、名詞の後ろに置く。
lúin tóro nébro, mé virésa éndran. éso sárvo.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー ヴィレーサ エンドラン。エーソ サルヴォ。
| lúin | tór-o | nébro, | mé | vir-és-a | éndr-an. | és-o | sárvo. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 言う-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 人-<対格> | いる-<(重いものが)> | 禁忌<主格> |
「霧が来たら、人の名を呼ばぬこと。これは禁忌である。」
季節の言い習わし。霧の中で名前を呼ぶと、下の国にその名前を聞かれるとされる。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。当為法は mé で否定し、主語を言わないときは一般の人が主語になるので、軽性の形をとる。vír-「言う」は人の対格をとると「名を呼ぶ」の意味になる。最後の文は、存在の és- と重性の sárvo で「禁忌である」と言う。
éso flóndo só sárvo
読み:エーソ フロンド ソー サルヴォ
| és-o | flóndo | só | sárvo |
| いる-<(重いものが)> | 岩間道<主格> | この<重性> | 禁忌<主格> |
「この岩間道は禁忌である」
名詞述語文。動詞の直後の flóndo só が主語、末尾の sárvo が述語名詞。述語名詞は主語に一致せず、名詞としての主格の形のまま置く。儀礼や法文で、その通路が人の通行・使用の禁じられた所であることを告げる言い方。
na éso þíndel sárvo.
読み:ナ エーソ シンデル サルヴォ。
| na | és-o | þíndel | sárvo. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 星盤<主格> | 禁忌<主格> |
「星盤は禁忌ではない。」
作法書や儀礼の説明で用いる名詞述語文。否定の直説法は na を動詞の前に置く。動詞 és- は主語 þíndel の重性単数に合わせて -o を取り、述語名詞 sárvo は主格のまま後に置く。
禁じられた名
婉曲に、口にしてはならない名前そのもの。王の名や喪中の死者の名など。
na vírimor sárvo, lísimor ó.
読み:ナ ヴィーリモル サルヴォ、リーシモル オー。
| na | vír-imor | sárvo, | lís-imor | ó. |
| <〜ない> | 言う-<我々が> | 禁じられた名<対格> | 書く-<我々が> | <3人称単数・重性> |
「禁じられた名は口にしない。書き記すだけだ。」
名前の禁忌について説明する文。名前は息の形そのものとされるので、口にしてはならないが、書くのは息を使わないので禁じられない。sárvo はここで、王の名や喪中の死者の名を遠回しに指している。sárvo が重性なので、受ける代名詞も重性の ó になる。
funeléra lourvirár sárvo sóndelei.
読み:フネレーラ ロウルヴィラール サルヴォ ソンデレイ。
| funelér-a | lourvirár | sárvo | sóndel-ei. |
| 書き留める-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 禁じられた名<対格> | 書物-<与格> |
「系譜読みは、禁じられた名を書物に書き留める。」
家の記録の作法を述べた文。死後一年は口にできない名前も、書くことは息を使わないので禁じられず、系譜読みは書き入れておく。重性の sárvo は、主格と対格が同じ形になる。語順は「動詞–主語–目的語–与格」の基本の形。
してはならないこと、口にしてはならないこと。崖から物を投げ落とすこと、星を指さしたり数えたりすること、人をまたぐこと、霧の中で名前を呼ぶこと、死後一年の死者の名前を口にすることなどが sárvo に当たる。破ると「重くなり」、下へ引かれると考えられている。婉曲に、口にしてはならない名前そのものを指すこともある。
重性・o語幹(④型)。主対 sárvo、属 sárvos、与 sárvoi、複 sárvul。
古高原語 *sárv-「触れる」に由来すると考えられる。「触れると下へ引くもの」の意味。
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