小説
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友
親しい仲間。とくに同じ段の者どうし。
ké tóra séulin táses?
読み:ケー トーラ セウリン ターセス?
| ké | tór-a | séulin | tás-es? |
| <〜か> | 来る-<(軽いものが)> | 友<主格> | <あなた>-<属格> |
「お前の友は来たか?」
はい・いいえの問いは、文のいちばん前の ké で作る。tás の属格 táses は、所有者として名詞の後ろに置く。2人称と ké を使っているので、目上の人には使えない話し方。
pórin éses, séulin?
読み:ポーリン エーセス、セウリン?
| pórin | és-es, | séulin? |
| どのように | いる-<あなたが> | 友 |
「どうしている、友よ。」
同じ段の親しい者どうしの、くだけた挨拶。呼びかけには呼格を使わず、名詞を文の終わりに読点で区切って添える。目上の人には2人称を使えないので、この言い方はしない。
toríro nébro, na sénimor nóumo séulines.
読み:トリーロ ネーブロ、ナ セーニモル ノーモ セウリネス。
| tor-ír-o | nébro, | na | sén-imor | nóumo | séulin-es. |
| 来る-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | 見る-<我々が> | 顔<対格> | 友-<属格> |
「霧が上がってくれば、友の顔も見えない。」
霧期の不安を語る言い方。霧の中では名前を呼べないうえに、顔も見分けられない。条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。霧 nébro は重性なので、仮定法の動詞も重性の -o をとる。
ésa séulin némes faronár.
読み:エーサ セウリン ネーメス ファロナール。
| és-a | séulin | ném-es | faronár. |
| いる-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> | 運び人 |
「私の友は運び人だ。」
日常の会話で人を紹介する文。繋辞 és- を先頭に置き、「és-+主語+述語」の順に並べる。「私の友」は名詞の後ろに属格を置いて séulin némes と言う。séulin はとくに同じ段の者どうしの親しい仲間を指す。
hoinéndes an dún, séulin.
読み:ホイネンデス アン ドゥーン、セウリン。
| hoin-énd-es | an | dún, | séulin. |
| 帰る-<〜しますように>-<あなたが> | 上手 | 丘<対格> | 友 |
「丘の上へ帰ってくれよ、友よ。」
同じ段の友に向けた「並び」の依頼。並びの話し方では、命令法ではなく願望法の2人称を使う。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格も主格と同じ形。日常では呼格を使わず、呼びかけの名詞を文末に読点で区切って添える。
ésa séulin némes tráumo.
読み:エーサ セウリン ネーメス トラウモ。
| és-a | séulin | ném-es | tráumo. |
| いる-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> | 確かな足場 |
「私の友は、渡り氷のように頼れる男だ。」
人を「確かな足場」にたとえる、ほめ言葉。述語の名詞は重性だが、主語が人なので繋辞は軽性の -a になる。人を重性の一致で受けると侮辱になるので、ここで性を取り違えてはいけない。
pán séires? séirim séulinan.
読み:パーン セーレス?セーリン セウリナン。
| pán | séir-es? | séir-im | séulin-an. |
| 誰<対格> | 待つ-<あなたが> | 待つ-<私が> | 友-<対格> |
「「誰を待っている?」「友を待っている。」」
日常のやりとり。疑問詞の対格 pán を文頭に出す。答えでは、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。
lúin méira séulin tambór némei, glénim élei méldo.
読み:ルーイン メーラ セウリン タンボール ネーメイ、グレーニン エーレイ メルド。
| lúin | méir-a | séulin | tambór | ném-ei, | glén-im | él-ei | méldo. |
| とき | 与える-<(軽いものが)> | 友<主格> | 雑穀<対格> | <私>-<与格> | 返礼する-<私が> | <3人称単数・軽性>-<与格> | 蜜<対格> |
「友が私に雑穀をくれると、私はその人に蜜でお返しをする。」
「返礼する」の意味では、お返しの品を対格に、相手を与格にとる。村の暮らしでよく聞く、くだけた言い方。
ráinim nourán fóuman séulines.
読み:ライニン ノウラーン フォーマン セウリネス。
| ráin-im | nour-án | fóum-an | séulin-es. |
| 知る-<私が> | 心-<対格> | 親身な-<軽性・対格> | 友-<属格> |
「私は友の親身な心を知っている。」
心やもてなしの温かさも fóum で表す。nourá「心」は語尾に強勢のある軽性a語幹なので、対格は -án になる。形容詞は語根に強勢があるので、無強勢の -an で一致する。
ésa séulin némes náum, na grúuna.
読み:エーサ セウリン ネーメス ナウン、ナ グルーナ。
| és-a | séulin | ném-es | náum, | na | grúun-a. |
| いる-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> | 穏やかな | <〜ない> | 怒る-<(軽いものが)> |
「私の友は穏やかな人で、怒ることがない。」
人柄を言う日常の文。後半の主語は言っていないが、動詞の語尾 -a から、前半と同じ友が主語だとわかる。時制がないので、習慣としての「怒らない」の意味になる。
niléndes muró, séulin.
読み:ニレンデス ムロー、セウリン。
| nil-énd-es | muró, | séulin. |
| 飲む-<〜しますように>-<あなたが> | 濁り酒<対格> | 友 |
「まあ一杯やってくれ、友よ。」
同じ段の相手に酒を勧める「並び」の言い方で、願望法の2人称を使う。muró は強勢のある -ó で終わる重性o語幹で、主格と対格が同じ形。日常では呼格を使わず、呼びかけの名詞を読点で区切って文の終わりに添える。
na véilim grúndo, séulin.
読み:ナ ヴェーリン グルンド、セウリン。
| na | véil-im | grúndo, | séulin. |
| <〜ない> | 忘れる-<私が> | 負い目<対格> | 友 |
「その恩義は忘れないよ、友よ。」
同じ段の親しい相手への言い方。呼格は日常では使わないので、呼びかけの名詞を文の終わりに読点で区切って添える。grúndo は金銭の掛けだけでなく、人に負っている恩義も指す。
dúlan téir tráimelai, na tóra séulin némes.
読み:ドゥーラン テール トライメライ、ナ トーラ セウリン ネーメス。
| dúl-an | téir | tráimel-ai, | na | tór-a | séulin | ném-es. |
| 下る-<彼らが> | 三 | 年齢・年数-<〜たちが> | <〜ない> | 来る-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> |
「三年が過ぎたが、私の友は来ない。」
年月が経つことは、川の水が下るのにたとえて dúl-「下る」で言う。時制がないので、「過ぎた」ことは文脈から読みとる。三以上の数詞の後ろでは、名詞は複数になる(tráimelai)。動詞はこの複数の主語に一致して、3人称複数の -an をとる。
aurénde, séulin! séirim séndoi dórel.
読み:アウレンデ、セウリン!セーリン センドイ ドーレル。
| aurénde, | séulin! | séir-im | sénd-oi | dórel. |
| さようなら | 友 | 待つ-<私が> | ここ-<与格> | 明日 |
「「さようなら、友よ。明日ここで待っている。」」
親しい者どうしの別れ際。別れの aurénde にも「相手の息が無事に昇るように」という願いがこもるが、日常ではただの「さようなら」として使う。séir- は直説法で、時制がないので、「明日待つ」という未来の予定もこの形で言える。
grómim. véilim þelán táses, séulin.
読み:グローミン。ヴェーリン セラーン ターセス、セウリン。
| grómim. | véil-im | þel-án | tás-es, | séulin. |
| すまない | 忘れる-<私が> | 名前-<対格> | <あなた>-<属格> | 友 |
「すまない、友よ。お前の名前を忘れてしまった。」
親しい相手への、くだけた謝罪。grómim は「私は重い」というのがもとの意味で、過ちを「自分が重くなった」ととらえる見方から来ている。呼びかけの séulin は、読点で区切って文の終わりに置く。
grómim! nagróm, séulin.
読み:グローミン!ナグローン、セウリン。
| grómim! | nagróm, | séulin. |
| すまない | 気にするな | 友 |
「「すまない!」「気にするな、友よ。」」
二人の発話。くだけた謝罪 grómim「(私は)重い」に、nagróm「重くない」と返して相手の過ちを打ち消す。感謝への返事と同じ形を、謝罪への返事にも使う。
ái, tóra séulin némes.
読み:アイ、トーラ セウリン ネーメス。
| ái, | tór-a | séulin | ném-es. |
| おや | 来る-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> |
「おや、友が来た。」
ちょっとした驚きを表す日常の言い方。所有者は属格の代名詞 némes で、名詞の後ろに置く。人は軽性なので、動詞は -a をとる。
súndau andaulóura si séulin hóumoi.
読み:スンダウ アンダウローラ シ セウリン ホーモイ。
| súnd-au | andaulóura | si | séulin | hóum-oi. |
| 世間話する-<双数> | 祖母<主格> | と | 友<主格> | 炉-<与格> |
「祖母と友が炉で世間話をする。」
炉ばたでの日常。場所を示す裸の与格。単数の主語を二人並べると動詞は双数で一致する。
anórel, ruunléima séulin tálmo tásei.
読み:アノーレル、ルーンレーマ セウリン タルモ ターセイ。
| anórel, | ruunléim-a | séulin | tálmo | tás-ei. |
| 昨日 | 返す-<(軽いものが)> | 友<主格> | 斧<対格> | <あなた>-<与格> |
「昨日、友はあなたに斧を返した。」
借り物・預かり物を元の相手に返す日常の用法。時制の語形はないので、anórel「昨日」で過去を示す。受取人は与格で表す。
láma séulin néman.
読み:ラーマ セウリン ネーマン。
| lám-a | séulin | ném-an. |
| 慰める-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<対格> |
「友が私を慰める。」
人同士の慰めを言う言い方。第一人称目的語は ném-an(néman)を使う。主語の友は人なので、動詞は軽性の3人称単数 -a で受ける。
友、仲間。同じ段どうしの親しい間柄を言うのがふつうで、段の違う者どうしを séulin と呼ぶのは、目上の側からの親しみの表れにも、目下の側からの思い上がりにもなる。
名詞(軽性・子音語幹)。対 séulinan、双 séulinau、複 séulinai
高原語固有の語。
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