小説
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読む
帳簿・証文・手紙などの書かれた字を、黙って、または声に出して読むこと。
vóilim sáindaran gléinan.
読み:ヴォイリン サインダラン グレーナン。
| vóil-im | sáindar-an | gléin-an. |
| 読む-<私が> | 証文-<対格> | 清らかな-<軽性・対格> |
「清らかな書きぶりの証文を読む。」
言葉や書きぶりが整っていることをほめる用法。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、形容詞は軽性・対格の -an で一致する。書きぶりで書き手の教養を測る習わしをふまえた言い方。
vóila lourvirár þeláis brélar sélvanes.
読み:ヴォイラ ロウルヴィラール セライス ブレーラル セルヴァネス。
| vóil-a | lourvirár | þel-áis | brél-ar | sélvan-es. |
| 読む-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 名前-<〜たちを> | きょうだい-<〜らの> | セルヴァン-<属格> |
「系譜読みが、セルヴァンのきょうだいたちの名を読み上げる。」
婚姻の取り決めで、系譜の巻を読み交わす場面の文。名詞の後ろに属格を二つ重ねて、「名前・きょうだいたちの・セルヴァンの」の順に並べる。書かれた名前を読むことは禁忌に当たらない。
na vóila naþrenár té lisáis némores.
読み:ナ ヴォイラ ナスレナール テー リサイス ネーモレス。
| na | vóil-a | naþrenár | té | lis-áis | némor-es. |
| <〜ない> | 読む-<(軽いものが)> | 異邦人<主格> | あの<軽性> | 字-<〜たちを> | <我々>-<属格> |
「あの異邦人は我々の字を読めない。」
日常の会話。時制も「できる」の語形もないので、「読まない」と「読めない」は文脈で決まる。na は動詞の直前に置く。名詞句は「名詞+指示詞」「名詞+属格」の順。
lúin vóila endríña lisáis fóndelais, glóuma.
読み:ルーイン ヴォイラ エンドリーニャ リサイス フォンデライス、グローマ。
| lúin | vóil-a | endríña | lis-áis | fóndel-ais, | glóum-a. |
| とき | 読む-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 字-<〜たちを> | 古い-<〜たちを> | 惑う-<(軽いものが)> |
「子どもは古い字を読むと戸惑う。」
主節の主語は、lúin の節の主語と同じなので言わない。軽性の動詞の語尾 -a で受けている。
vóilsim viráis fóumais ambréles.
読み:ヴォイルシン ヴィライス フォーマイス アンブレーレス。
| vóils-im | vir-áis | fóum-ais | ambrél-es. |
| 読む<〜し終えた>-<私が> | 言葉-<〜たちを> | 親身な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> | 兄・姉-<属格> |
「兄(姉)の心のこもった言葉を読み終えた。」
手紙に書かれた言葉について言う文。語根 vóil- は二重母音をもつので、完了相は母音を変えず、-s- を足して vóils- にする。言葉は軽性なので、形容詞も軽性・複数・対格になる。
vóila senár férmalais kéumos.
読み:ヴォイラ セナール フェルマライス ケウモス。
| vóil-a | sen-ár | férmal-ais | kéum-os. |
| 読む-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人・主格> | 法の条-<〜たちを> | 碑-<属格> |
「目付は碑に刻まれた条々を読み上げる。」
縁の市で揉め事を裁く前に、目付が度量衡の碑の条々を読み上げる場面の文。複数形の férmalais は、一つひとつの決まりを並べた「条々」を指す。属格 kéumos は名詞の後ろに置く。
voilélan éndrai dulúines sóndelan sé.
読み:ヴォイレーラン エンドライ ドゥルーイネス ソンデラン セー。
| voil-él-an | éndr-ai | dulúin-es | sóndel-an | sé. |
| 読む-<〜だろう>-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 行く末-<属格> | 書物-<対格> | この<軽性> |
「行く末の人々が、この書物を読むだろう。」
書物の序や詩に見られる言い回し。属格 dulúines を「人々」の後ろに置いて「後の世の人々」と言う。名詞句の中では、名詞のすぐ後ろに属格、そのあとに指示詞 sé が来る。
ké vóiles sáindaran anóreles?
読み:ケー ヴォイレス サインダラン アノーレレス?
| ké | vóil-es | sáindar-an | anórel-es? |
| <〜か> | 読む-<あなたが> | 証文-<対格> | 昨日-<属格> |
「昨日の証文は読んだか。」
同じ段か目下の相手への、くだけた問い。属格の anóreles を名詞の後ろに置いて、「昨日の〜」を表す。目上の人には ké を使わず、推量法で尋ねる。
póso? na vóilim lisáis.
読み:ポーソ?ナ ヴォイリン リサイス。
| póso? | na | vóil-im | lis-áis. |
| これは何だ | <〜ない> | 読む-<私が> | 字-<〜たちを> |
「これは何だ? 字が読めないんだ。」
字の書かれた荷札や木札を示して尋ねる言い方。下向きかくだけた場で使う問いで、目上の人には使わない。高原語には「〜できる」を表す専用の形がないので、「字を読まない」で「読めない」の意味を表す。
ké vóiles lisáis?
読み:ケー ヴォイレス リサイス?
| ké | vóil-es | lis-áis? |
| <〜か> | 読む-<あなたが> | 字-<〜たちを> |
「お前は字が読めるか。」
はい・いいえで答える下向きの問い。「〜できる」にあたる専用の形はなく、直説法で「字を読むか」と尋ねて読み書きの力を問う。答えは動詞を繰り返して vóilim、または na vóilim と言う。
ké vóiles sáindaran sé?
読み:ケー ヴォイレス サインダラン セー?
| ké | vóil-es | sáindar-an | sé? |
| <〜か> | 読む-<あなたが> | 証文-<対格> | この<軽性> |
「お前、この証文が読めるか?」
下向きの問い。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。答えるときは動詞を繰り返して vóilim(読める)、na vóilim(読めない)と言う。目上の人には ké も2人称も使わない。
ké vóiles kéumo só?
読み:ケー ヴォイレス ケウモ ソー?
| ké | vóil-es | kéumo | só? |
| <〜か> | 読む-<あなたが> | 碑<対格> | この<重性> |
「この碑を読めるか。」
古い字形の碑を前にした、くだけた問い。「〜できる」にあたる語形はなく、直説法のまま「読むか」で能力も尋ねる。kéumo は重性の o語幹なので、対格も主格と同じ形で、指示詞は só を使う。
vóila krambár þóvo.
読み:ヴォイラ クランバール ソーヴォ。
| vóil-a | krambár | þóvo. |
| 読む-<(軽いものが)> | 狩人<主格> | 影<対格> |
「狩人は影を読む。」
実用的・日常の場面。狩人・牧人が影の長さで日暮れまでの時を読む言い方。主語 krambár は人を含む行為者名詞で軽性なので、動詞 vóil- は 3人称単数・軽性の語尾 -a で受ける。þóvo は重性 o 語幹であり、単数対格は主格と同形。
vóilim plíndo es kumborhóumos.
読み:ヴォイリン プリンド エス クンボルホーモス。
| vóil-im | plíndo | es | kumborhóum-os |
| 読む-<私が> | 荷札<対格> | から | クンボルホウム-<属格> |
「私はクンボルホウムからの荷札を読む。」
帳場や市での読み上げの場面。es「〜から」+属格で、荷札 plíndo の産地・送り元を示す。固有名詞 kumborhóum は重性語として属格 -os を受ける。plíndo は重性単数で、対格は主格と同形の無標。
vóilim monsnembán.
読み:ヴォイリン モンスネンバーン。
| vóil-im | monsnemb-án. |
| 読む-<私が> | 写し-<対格> |
「写しを読む。」
書物や資料として写しを読む場面。monsnembá の「写し」の意味。対格のみで用いる。
ké vóilin þíles sóndelan un þailviréi?
読み:ケー ヴォイリン シーレス ソンデラン ウン サイルヴィレー?
| ké | vóil-in | þíl-es | sóndel-an | un | þailvir-éi? |
| <〜か> | 読む-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> | 書物-<対格> | 内に | 高原語(雅称)-<与格> |
「書物を高原語(雅称)で読めるか。」
学び舎で能力を尋ねる文。副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を身につけていてできることを問う。ここでのþailviráは、都の改まった言葉としてだけでなく、高原語全体を雅に呼ぶ名として使う。
見分ける
焼印や荷札のしるしの形を見て、何を示すかを読みとること。
vóila faronár símbo gandéros, na vóila lisáis.
読み:ヴォイラ ファロナール シンボ ガンデーロス、ナ ヴォイラ リサイス。
| vóil-a | faron-ár | símbo | gandér-os, | na | vóil-a | lis-áis. |
| 見分ける-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人> | 印<対格> | 硬木-<属格> | <〜ない> | 読む-<(軽いものが)> | 字-<〜たちを> |
「運び人は硬木の焼印は見分けるが、字は読めない。」
同じ vóil- が、前半では焼印の形を見分ける意味で、後半では文字を読む意味で使われている。丸太の木口の焼印は何百本にも同じ形で押されているので、文字を知らない者もその形を覚える。
pórin vóilimor símbo só?
読み:ポーリン ヴォイリモル シンボ ソー?
| pórin | vóil-imor | símbo | só? |
| どのように | 見分ける-<我々が> | 印<対格> | この<重性> |
「この印は、どう見分ければいいのか。」
荷札や焼印のしるしの読み方を仲間に尋ねる言い方。疑問詞 pórin は動詞の前に置く。símbo は重性なので、指示詞も重性の só を使う。
書かれた字を目で追って意味をとることを表す他動詞。黙読にも音読にも使う。ただし詞や系譜のように韻律に乗せて声に出すときは lóim-「唱える」を使い、vóil- は帳簿・証文・手紙など実用の文を読む語として感じられる。
完了語根 vóils-(二重母音の語根なので -s- を足す)。分詞 vóilen「読まれた」。命令2単 vóil!
古高原語 *vóil- から
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