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この付録には、本文で扱った接辞、不規則な形、逐語訳の略号を、引きやすいように一か所にまとめます。それぞれの働きと用法の詳しい説明は、各欄に挙げた章を見てください。
名詞の曲用の型と格の働きは第3章で扱います。形容詞と分詞の一致の語尾も、同じ形を使います(→ 第4章)。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| -a | NOM | 主格 | 軽性a語幹名詞の単数主格。主語を表す。 | 語尾に強勢のある語では -á(virá, selvá)、語根に強勢のある語では無強勢の -a(ilána, plána, pélsa, lóna)。古い脱落の条件に当たっても、a が活用表のほぼすべての形に現れるので類推で復元された。軽性子音語幹(aldár, sílar)にはもともとこの語尾がない。重性o語幹では語幹末の -o がそのまま見える(nébro)。 | 語による |
| -an | ACC | 対格 | 直接目的語を表す。前置詞 an・du と組むと「〜へ」。分詞の一致では道のりの対格(何段・何瀬下りたか)にもなる。 | a語幹で語尾に強勢のある語では -án(virán)。それ以外は無強勢の -an(plánan, aldáran, sélvanan, lisáran)。重性名詞には対格の語尾がなく、主格と同じ形になる(gandér, fáron, nébro)。 | 語による |
| -es | GEN | 属格 | 「〜の」。名詞の後ろに置く。前置詞 an・es と組むと「〜から」。 | 軽性:語尾に強勢のある語では -és(virés)、それ以外は -es(ilánes, aldáres)。重性:-os(gandéros, orénos, nébros)。 | 語による |
| -ei | DAT | 与格 | 受け手「〜に」、場所「〜で」。前置詞と組むと「〜の側で」。 | 軽性:語尾に強勢のある語では -éi(viréi)、それ以外は -ei(pélsei, aldárei)。重性:-oi(gandéroi, dúnoi)。 | 語による |
| -e | VOC | 呼格 | 呼びかけ「〜よ」。古い詩と、系譜を唱えるときにだけ残っている。 | 軽性:-e。重性:-o(fóndaro ráimaros!「ライマルの源よ」)。 | なし |
| -au | DU | 双数 | 二つのもの、ひと組のものの主格と対格。数詞 dáu「二」に由来する。 | 軽性:-au(viráu, sílarau, viríñau)。重性:*-o-au から生まれた -ou(gandérou, aumárou)。崖道の言葉では、名詞は双数のまま、動詞と形容詞を複数で受ける。 | 語による |
| -aun | DU.OBL | 双数の属格・与格 | 双数の「〜の」「〜に」。二つは同じ形。 | 軽性:-aun(aldáraun)。重性:-oun(gandéroun)。双数の代名詞 dáun では、この語尾を重ねて dáunaun となる。崖道ではほとんど使わず、複数の -ar・-ail で代える。 | 語による |
| -ai | PL.NOM | 複数主格(軽性) | 軽性名詞の複数主格「〜たちが」。 | 語尾に強勢のある語では -ái(virái)、それ以外は -ai(aldárai, kelárai, élai)。重性名詞では -ul を使う。 | 語による |
| -ais | PL.ACC | 複数対格(軽性) | 軽性名詞の複数対格「〜たちを」。星を総称するときにも使う(ilánais)。 | 語尾に強勢のある語では -áis(viráis)、それ以外は -ais(ilánais, élais)。重性名詞では -ul を使う。 | 語による |
| -ul | PL | 複数主格・対格(重性) | 重性名詞の複数主格と複数対格。二つは同じ形。逐語訳では、文の中での役割に応じて PL.NOM か PL.ACC と書く。 | *-o-l から生まれた(語末の流音の前で o が u になった)。gandérul, þrénul, lóurul, nébrul, óul。少数の一音節の重性名詞は、母音交替で複数を作る(次の行)。綴りは〈-ol〉。 | なし |
| ü(母音交替) | PL | 母音交替の複数 | 少数の一音節の重性名詞は、語根の母音 u・o を ü に変えて、複数の主格と対格を作る。ほかの複数の格は、母音を変えた語幹に規則どおりの語尾をつける。 | dún「丘」→ dǘn、món「石」→ mǘn、kúr「谷」→ kǘr、búl「根」→ bǘl。dǘnur「丘々の」、dǘnuls「丘々に」。 | 語根に残る |
| -ar | PL.GEN | 複数属格 | 「〜らの」。百・千・量の名詞が数えるものを示すときも、この格を使う。 | 軽性:語尾に強勢のある語では -ár(virár)、それ以外は -ar(ilánar, aldárar)。重性:-ur(gandérur, báronur)。綴りは〈-or〉。 | 語による |
| -ail | PL.DAT | 複数与格 | 「〜らに」。 | 軽性:語尾に強勢のある語では -áil(viráil)、それ以外は -ail(ilánail)。重性:-uls(gandéruls)。語末の -ls は主に屈折語尾に現れる(ほかには élþ- の命令形 éls のような、語根末の子音の置き換えでできた形だけ)。綴りは〈-ols〉。 | 語による |
形容詞・分詞の一致の語尾は、軽性なら軽性子音語幹(aldár の型)、重性なら重性子音語幹(gandér の型)と同じです。
| 軽性 | 重性 | |
|---|---|---|
| 単 主/対/属/与 | 語尾なし/-an/-es/-ei | 語尾なし/語尾なし/-os/-oi |
| 双 主対/属与 | -au/-aun | -ou/-oun |
| 複 主/対/属/与 | -ai/-ais/-ar/-ail | -ul/-ul/-ur/-uls |
人称の語尾は、法の接尾辞の後ろ(直説法では語根の直後)につきます(→ 第5章)。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| -im | 1SG | 1人称単数 | 「私が」。直説法では法の接尾辞がなく、語根に直接つく。 | 推量法では -él- の l が落ちて -é-im になる(liséim)。 | なし |
| -es | 2SG | 2人称単数 | 「あなたが」。目上の人には使わない。 | 無強勢(líses, liséles)。 | なし |
| -a | 3SG.LT | 3人称単数・軽性 | 主語が軽性の3人称単数(人、息、星など)。 | 願望法と仮定法の後ろでは -e になる(lisénde, lisíre)。古い *-ia が縮んだ名残。 | なし |
| -o | 3SG.HV | 3人称単数・重性 | 主語が重性の3人称単数(硬木、霧、荷など)。重性の代名詞 ó と同じ源。 | どの法でも -o(dúlo, lisélo, liséndo, toríro)。 | なし |
| -au | DU | 双数 | 動詞の双数。人称と性の区別はない。 | 直説法では無強勢(lísau)。命令法の双数 -áu とは、強勢の位置だけで区別される。 | なし |
| -imor | 1PL | 1人称複数 | 「我々が」。聞き手を含むか含まないかは区別しない。 | 推量法では -é-imor になる(senéimor)。 | なし |
| -ers | 2PL | 2人称複数 | 「あなたがたが」。 | lísers, lisénders。 | なし |
| -an | 3PL | 3人称複数 | 「彼らが」。 | és-「いる」だけは不規則で、sán になる(直説法のみ)。 | なし |
法の接尾辞は、語根(敬語の接頭辞や使役 -íþ- がつけばその後ろ)と人称の語尾のあいだに入ります。直説法には接尾辞がありません(→ 第5章)。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| (なし) | — | 直説法 | 言い切り。逐語訳には人称の語尾だけを書く。 | — | — |
| -él- | PRSM | 推量法 | 「〜だろう」。推し量り。未来のこと、確かでないこと、目上の人へのやわらかい問いに使う。 | 語根の強勢を奪う(liséla, gloiréla)。1人称の語尾 -im・-imor の前では l が落ちて -é- になる(liséim, senéimor)。 | あり |
| -énd- | OPT | 願望法 | 「〜しますように」。願い。改まった場で、命令の代わりに使う。尊敬は au- や敬語の補充動詞で表し、願望法そのものは尊敬を表さない。 | 3人称単数・軽性では -énde となる。くだけた話し方では -énd とも発音される。小辞 ende は、この形が固まったもの。 | あり |
| (語幹のみ) | IMP.2SG | 命令法・単数 | 一人への命令。語尾がなく、むき出しの語幹で言う(lís!「書け」)。 | 語末に置けない子音は調整される(vánd- → ván、rímb- → rím、dulíþ- → dulís、pák- → pá。→ 1.8.4)。 | 語根に残る |
| -áu | IMP.2DU | 命令法・双数 | 「二人で〜せよ」。下向きの話し方でだけ使う。 | lisáu。直説法の双数 lísau とは、強勢の位置だけで区別される。 | あり |
| -ir | IMP.2PL | 命令法・複数 | 「皆で〜せよ」。複数の相手への命令。 | lísir。 | なし |
| -és- | DEB | 当為法 | 「〜すべし」「〜せぬこと」。法典・碑文・詞に使う。主語を言わないときは一般の人が主語になり、軽性の形をとる。 | 3人称の形しかない(-ésa, -éso, -ésau, -ésan)。duliþésa。 | あり |
| -ír- | COND | 仮定法 | 「もし〜なら」。仮定や条件を表す。詩でも好まれる。 | 3人称単数・軽性では -íre、重性では -íro になる(toríro)。 | あり |
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| ei(母音交替) | PFV | 完了相 | 「〜し終えた」。事柄が完了していることを表す。語根の母音を変えて作り、語尾はどの法でも未完了と同じものを使う。状態を表す動詞では「〜するようになった」の意味になる。見出しの ei は、いちばん多い i → ei の型。 | i → ei(lís- → léis-)、u → ou(dúl- → dóul-)、a → ai(mán- → máin-)、e → ee(kél- → kéel-)、o → oo(þór- → þóor-)、ü → eu(glǘn- → gléun-)。二重母音や長母音の語根には -s- を足す(áur- → áurs-)。補充形:és- → wéir-、gél- → váls-、tór- → táis-、vír- → þóul-、sén- → sóin-。 | 変わった母音の最初の字 |
| -en | PTCP | 分詞 | 完了の語根ではなく、ふつうの語根につける。完了の意味をもち、自動詞では結果の状態(dúlen「下りた」)、他動詞では受け身(kélen「伐られた」)を表す。名詞の後ろに置き、その名詞の性・数・格に一致させる。短い関係節の代わりにもなる。 | 一致の語尾は、軽性が 単主なし・-an・-es・-ei・-au・-aun・-ai・-ais・-ar・-ail、重性が 単主対なし・-os・-oi・-ou・-oun・-ul・-ur・-uls(áuren, dúlenan)。 | なし(語根に残る) |
| -in | CVB | 副動詞 | 「〜して」。動詞の語根につけて、文を飾る副動詞を作る。未完了の語根なら「〜しながら」(vándin)、完了の語根なら「〜し終えて」(léisin)。形は変わらず、主語は後ろの動詞と同じでなければならない。形容詞につけると副詞「〜く」になる(gléinin「清く」)。代名詞から副詞を作る -in(sérin「このように」)と同じもの。 | 変わらない。 | なし(語根に残る) |
接頭辞は語の頭につきます。綴りでは次の語につなげて書き、尊敬の au- だけは結び字で書きます(→ 第2章、第8章)。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| au- | HON | 尊敬 | 「お〜になる」「御〜」。話題の人の行い、持ち物、体の部分、その人を指す名詞を高める。aur-「昇る」に由来する。 | 母音の前では aur-、v-・w- の前では aub-(aubandénde)、h- の前では h が落ちる(auél-)。いる・行く・来る・言う・食べる・見るの六つは補充形を使う(aldán-, fléir-, glóir-, selvén-, nélis-, lúum-)。 | なし |
| du- | HUM | 謙譲 | 「〜させていただく」。自分の行いを低める。dul-「下る」に由来する。 | 母音の前では dul-、v-・w- の前では dumb-(dumbánd-)。六つの動詞は補充形を使う(dóm-, drén-, dunér-, léun-, dúmar-, dúrel-)。 | なし |
| na- | NEG | 性質の否定 | 「〜ぬ」。分詞と形容詞を否定する(nadúlen「下りぬ」、narímben「数えられていない」、nagléin「清からぬ」)。名詞を飾る形や、述語の形容詞の性質そのものを打ち消す。 | 母音で始まる語の前では n- になる(náuren「高からぬ」= n- + áuren)。 | なし |
派生の働きと例は第9章で扱います。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態・例 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| -íþ- | CAUS | 使役 | 自動詞から「〜させる」「〜下ろす・上げる」という他動詞を作る(dulíþ-「下ろす」、auríþ-「上げる」、toríþ-「呼び寄せる」)。 | 命令形では語末の þ が s になる(dulís!)。 | 後ろに強勢をもつ接辞がなければあり(dulíþa/duliþésa/duliþándo) |
| -ár | AG | 行為者名詞 | 「〜する人」を表す、軽性の子音語幹名詞を作る。古い *-ára の母音が落ちた形(主格・対格にしか -a がなく、支えがなかったため)。 | lisár「書記」、kelár「樵」、senár「目付」。母音が落ちたあと、軽性子音語幹にならって対格 -an を新しく作った(lisáran)。 | あり |
| -á | NMLZ | もの名詞(軽性) | 「〜するもの」のうち、軽いものを指す軽性a語幹名詞を作る。 | aurá「縁鷲」、virá「言葉」。 | あり |
| -ó | NMLZ | もの名詞(重性) | 「〜するもの」のうち、重いものを指す重性o語幹名詞を作る。 | duló「滝」。例外は古い語 vándo「秤」だけで、強勢が語根に残り、-o は無強勢。 | あり |
| -ím | ABST | 抽象名詞 | 「〜の技」「〜さ」。行為・技・性質を表す、軽性の抽象名詞を作る。*-íma の母音が落ちた形。 | lisím「書法」(lísim「私が書く」とは強勢の位置だけが違う)、aurím「高さ」。綴りは〈lisima〉。 | あり |
| -ándo | PLACE | 場所名詞 | 「〜する所」を表す、重性o語幹名詞を作る。 | duliþándo「降ろし場」、senándo「見張り台」。-íþ- の強勢も奪う。 | あり |
| -íña | DIM | 指小 | 「小さな〜」。自分の言葉や持ち物に、へりくだって「拙い〜」の意味でつけることも多い。もとの語の性を保つ。名の語根につけて幼名を作る(silíña)。 | 軽性:-íña(viríña「小句」。a語幹として変化し、格語尾の前では viríñ- となる:viríñau)。重性:-íño(moníño「小石」。o語幹として変化する)。 | あり |
| -ér- | DENOM | 名詞から動詞 | 名詞から「それを使って何かをする」という動詞を作る。 | món → monér-「石を敷く」、virá → virér-「詩句を詠みかわす」。 | あり |
接辞ではなく独立した小さな語ですが、文法の働きをもつので、ここに挙げます。
| 形 | グロス | 呼び名 | 意味 | 異形態・注 | 強勢 |
|---|---|---|---|---|---|
| na | NEG | 否定の小辞 | 「〜ない」。直説法・推量法・仮定法の文を否定する。動詞の直前に置く。 | — | なし |
| mé | PROH | 禁止の小辞 | 願望法・命令法・当為法の文を否定し、禁止を表す。 | 無強勢の na と違って強勢をもつ。 | あり |
| ké | Q | 問いの小辞 | 「〜か」。文頭に置いて、はい・いいえで答える問いを作る。目上の人には使わず、推量法で尋ねる。 | — | あり |
| te | REL | 関係節の小辞 | 関係節を導く(→ 第7章)。 | 強勢がないので、指示詞 té「あの」と書き分ける。 | なし |
| ré | COMP | 「〜と」の小辞 | 「〜と(言う・知る)」の節、目的の節を導く(→ 第7章)。 | — | あり |
| ende | どうぞ | 固まった小辞 | 「どうぞ」「頼む」。願望法の3人称単数の語尾 -énde が独立した決まり文句。市の取引言葉でよく使う。 | 運び人どうしでは énd。 | — |
本文で扱った不規則な形と例外を、品詞ごとにまとめます。多くは、歴史上の音の変化や、古い形が固まって残った名残です。
| 形 | 不規則な点 | 参照 |
|---|---|---|
| 母音交替の複数:dǘn「丘々」、mǘn「石々」、kǘr「谷々」、bǘl「根々」 | 複数の主格・対格を、語尾 -ul ではなく語根の母音を ü に変えて作る(dún, món, kúr, búl)。ほかの複数の格は、母音を変えた語幹に規則どおりの語尾をつける(dǘnur, dǘnuls) | 第3章 |
| vándo「秤」 | 派生の -ó はいつも強勢をもつのに、vándo だけは強勢が語根に残り、-o は無強勢。強勢をとる -ó が広まる前に固まった古い語 | 第3章、第9章 |
| ilána「灯・星」 | 古い脱落の条件に当たるのに、語末の a まで読む。a が活用表のほぼすべての形に現れるので類推で復元され、星の司が祀りの唱えで古い発音を守ってきた。plána, lóna など a語幹の語も同じ | 第1章、第2章 |
| dálor「下の国」 | 古い脱落の条件に合わないのに、重性名詞の多くにならって語末の母音を落とした。綴りは〈dalora〉、属格は〈daloros〉=dáloros | 第2章 |
| lisáran の類(-ár・-ím の派生語) | 古い母音が落ちて主格と対格が同じ形になったので、軽性子音語幹にならって対格 -an を新しく作った | 第3章、第9章 |
| 伐られると一致だけが重性になる木:pélsa「脂の木」、lóna「柱の木」など | 名詞の語尾は軽性のままで、受ける分詞・形容詞・指示詞・動詞・代名詞が重性になる(pélsei kélenoi)。紙(plána)と版の木は、伐ったあとも軽性のまま | 第3章 |
| 形 | 不規則な点 | 参照 |
|---|---|---|
| dáumbar「二十」 | dáu「二」+ombár「十」の縮約形(*dáu-ombár)。ほかの十の位は téirombar「三十」のように規則どおり | 第3章 |
| ombára「十(そろった)」 | 古い脱落の前の形のまま、星座名 ombára ilánai「十の灯」の中にだけ残る。ふつうは ombár。綴りは同じ〈ombara〉で、読みが二つある | 第2章、第3章 |
| lími「五」 | 森の言葉だけに残る古い形。都では lím | 第3章、第10章 |
| 形 | 不規則な点 | 参照 |
|---|---|---|
| dáun「(我ら・お前たち・あの)二人」 | もとは数詞 dáu の属格・与格(*dáu-aun)が代名詞に転じ、主格・対格として使われるようになった | 第4章 |
| dáunaun | dáun の属格・与格。双数の語尾 -aun をもう一度重ねる | 第4章 |
| pón「何を」 | 重性の名詞は主格と対格が同じ形なのに、疑問詞 pó「何」だけは対格 pón をもつ。pá「誰」・pán「誰を」にならった新しい形。前置詞の後ろでは古い形 pó のまま(an pó, du pó)。崖道や縁のくだけた言葉では pón を使わず、森の古い詞にも pón はない | 第4章、第6章 |
| 形 | 不規則な点 | 参照 |
|---|---|---|
| sán | és-「いる」の3人称複数(*ésan ではない)。直説法だけの形で、願望法では規則どおり eséndan | 第5章 |
| -e(願望法・仮定法の3人称単数・軽性) | -a ではなく -e になる(lisénde, lisíre)。古い *-ia が縮んだ名残。重性の -o は規則どおり | 第5章 |
| -é-(推量法の1人称) | 1人称の語尾 -im・-imor の前で、-él- の l が落ちる(liséim, senéimor) | 第5章 |
| 命令法2単の語幹の単純化 | 語末に置けない子音のつながりが削られる。nd → n(vánd- → ván!)、mb → m(rímb- → rím!)、þ → s(dulíþ- → dulís!) | 第5章 |
| ende「どうぞ・頼む」 | 願望法の3人称単数の語尾 -énde が、独立した小辞として固まったもの。運び人どうしでは énd | 第5章、第10章 |
| dóulin「もう」 | dúl-「下る」の完了 dóul- に -in がついた「下り終えて」が、副詞として固まったもの | 第5章、第7章 |
| lúin「〜とき」 | 古い -in の形が小辞として固まったもの。lú-in の二音節で読む | 第5章、第7章 |
補充の完了語根:よく使う五つの動詞は、完了の語根がまったく別の形になります。
| 意味 | 未完了の語根 | 完了の語根 |
|---|---|---|
| いる・である | és- | wéir- |
| 行く | gél- | váls- |
| 来る | tór- | táis- |
| 言う | vír- | þóul- |
| 見る | sén- | sóin- |
敬語の補充形:日常よく使う六つの動詞は、敬語にすると別の語に入れかわります。名詞では補充形を使わず、規則どおりに au- をつけます(ausenár「目付の方」)。
| 意味 | ふつう | 高める | 低める |
|---|---|---|---|
| いる | és- | aldán-「おわす」 | dóm-「控える」 |
| 行く | gél- | fléir-「お出ましになる」 | drén-「参る」 |
| 来る | tór- | glóir-「お越しになる」 | dunér-「参上する」 |
| 言う | vír- | selvén-「おっしゃる」(selvá「息」から) | léun-「申す」 |
| 食べる | mán- | nélis-「召し上がる」 | dúmar-「いただく」 |
| 見る | sén- | lúum-「ご覧になる」 | dúrel-「拝見する」 |
接頭辞と語根の融合:尊敬の au- と謙譲の du- は、語根の頭の音によって形が変わります。歴史上の音の変化の名残です。
| 語根の頭 | au- | du- |
|---|---|---|
| 母音 | aur-(「昇る」aur- の古い形が顔を出す) | dul-(「下る」dul- の古い形が顔を出す) |
| v-・w- | aub-(au-vánd- → aubánd-「お量りになる」) | dumb-(du-vánd- → dumbánd-「量らせていただく」) |
| h- | h が落ちる(au-hél- → auél-) | そのまま |
| それ以外 | そのまま | そのまま |
例文の逐語訳のもとになる略号です。画面の逐語訳では、これらの略号を < > で囲んだ日本語の呼び名に置き換えて示します(灯.NOM → 灯<主格>、丘-DAT → 丘-<与格>)。逐語訳の上にカーソルを置くと、もとの略号が出ます。
| 略号 | 意味 | 略号 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 1・2・3 | 1・2・3人称 | PRSM | 推量法(〜だろう) |
| SG | 単数 | OPT | 願望法(〜しますように) |
| DU | 双数(二つ) | IMP | 命令法 |
| PL | 複数 | DEB | 当為法(〜すべし) |
| NOM | 主格(〜が) | COND | 仮定法(もし〜なら) |
| ACC | 対格(〜を/〜へ) | PFV | 完了相(〜し終えた) |
| GEN | 属格(〜の/〜から) | PTCP | 分詞 |
| DAT | 与格(〜に/〜で) | CVB | 副動詞(〜して・〜しながら・〜し終えて) |
| VOC | 呼格(〜よ) | CAUS | 使役(〜させる・〜下ろす) |
| DU.OBL | 双数の属格・与格 | HON | 尊敬(高める) |
| LT | 軽性 | HUM | 謙譲(低める) |
| HV | 重性 | NEG | 否定(事柄) |
| AG | 〜する人(行為者名詞) | PROH | 否定(働きかけ:〜するな) |
| NMLZ | 〜するもの(もの名詞化) | Q | 問い |
| ABST | 〜の技・〜さ(抽象名詞化) | REL | 関係節の小辞 te |
| PLACE | 〜する所(場所名詞化) | COMP | 「〜と」の小辞 ré |
| DENOM | 名詞から作った動詞 | DIM | 指小(小さな・拙い) |
| PRED | 述語(「AはBだ」のB) |
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