小説
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天
空の高み。星と月の巡る場所。
sén! áura aurá an élvaran.
読み:セーン!アウラ アウラー アン エルヴァラン。
| sén! | áur-a | aurá | an | élvar-an. |
| 見る<命令法><あなたが> | 昇る-<(軽いものが)> | 縁鷲<主格> | 上手 | 天-<対格> |
「見ろ、縁鷲が天へ昇っていく。」
縁の肩で、崖からの吹き上げに乗る鷲を見て言う言葉。áura「昇る」と aurá「縁鷲(もとは昇るもの)」は、強勢の位置だけが違う。日本語話者には同じに聞こえやすい。
auríþa élvar nébro.
読み:アウリーサ エルヴァル ネーブロ。
| aur-íþ-a | élvar | nébro. |
| 昇る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 天<主格> | 霧<対格> |
「天が霧を引き上げる。」
霧期の終わりに霧が持ち上がって雲に変わる様子を、信仰の言い方で語った文。霧が天に引き上げられると、人々は安堵する。nébro は重性o語幹なので、目的語でも主格と同じ形になる。
lúuman aursárai séndo es élvares.
読み:ルーマン アウルサーライ センド エス エルヴァレス。
| lúum-an | aursár-ai | séndo | es | élvar-es. |
| ご覧になる-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | この世<対格> | から | 天-<属格> |
「祖先は天からこの世をご覧になる。」
祖先祀りの詞の一句。上の世界 élvar と、中の世界 séndo が対になる。祖先の行いには尊敬の補充形 lúum- を使う。séndo は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
víran dalorárai ré brúuma naþrenár es élvares.
読み:ヴィーラン ダロラーライ レー ブルーマ ナスレナール エス エルヴァレス。
| vír-an | dalorár-ai | ré | brúum-a | naþrenár | es | élvar-es. |
| 言う-<彼らが> | 下の国の者-<〜たちが> | <〜と(節)> | 落ちる-<(軽いものが)> | 異邦人<主格> | から | 天-<属格> |
「下の国の者たちは、異邦人が天から落ちてきたと言う。」
干潟の言い伝えを、高原の人が伝え聞いた形で言う文。ré の節は主節の後ろに置く。高原の世界観では、上から落ちてくる者は流れ星と同じく不吉なものとされるので、この種の話は泥の国の迷信として語られることが多い。es+属格で方向を問わない「〜から」。
áura aurá an élvaran.
読み:アウラ アウラー アン エルヴァラン。
| áur-a | aurá | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 縁鷲<主格> | 上手 | 天-<対格> |
「縁鷲が天へ昇っていく。」
崖から吹き上がる風に乗って鷲が昇るのを見たときの、ごく日常的な言い方。élvar は軽性の子音語幹(aldár と同じ型)で、an+対格で「天へ」の意味になる。
ésa élvar þáil sórel, aurélau dáu sílarau.
読み:エーサ エルヴァル サイル ソーレル、アウレーラウ ダウ シーララウ。
| és-a | élvar | þáil | sórel, | aur-él-au | dáu | sílar-au. |
| いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 澄んだ | 今日 | 昇る-<〜だろう>-<双数> | 二 | 月-<双数> |
「今日は天が澄んでいる。二つの月も昇るだろう。」
乾風期の晴れた日によく交わす言葉。述語の形容詞 þáil は軽性・単数・主格なので語尾がつかない。未来のことは推量法で言い、強勢は -él- に移る。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、双数の動詞は人称も性も区別しない。月は星ではないので、数えて双数にしてもかまわない。
an élvares réina, es dáloros sáko.
読み:アン エルヴァレス レーナ、エス ダーロロス サーコ。
| an | élvar-es | réina, | es | dálor-os | sáko. |
| 上手 | 天-<属格> | 上からの恵み<主格> | から | 下の国-<属格> | 塩<主格> |
「上からは雨の恵み、下からは塩。」
動詞のない諺。天からの恵み(軽性の réina)と、下の国から来る塩(重性の sáko)を対にしている。塩をありがたがりながらも少し後ろめたく思う、という気持ちを表す。an+属格は「上手から」の意味になる。
brúuma hílva es élvares sórel.
読み:ブルーマ ヒルヴァ エス エルヴァレス ソーレル。
| brúum-a | hílva | es | élvar-es | sórel. |
| 落ちる-<(軽いものが)> | 雪<主格> | から | 天-<属格> | 今日 |
「今日、天から雪が降った。」
凍りの頃の朝によく交わす言葉。雪は上から来るものなので軽性で、動詞は -a をとる。es+属格で「〜から」。時制がないので、「降った」とも「降る」とも訳せる。
dúla anléuma es þráinos, ésa élvar þáil.
読み:ドゥーラ アンレウマ エス スライノス、エーサ エルヴァル サイル。
| dúl-a | anléuma | es | þráin-os, | és-a | élvar | þáil. |
| 下る-<(軽いものが)> | 上の風<主格> | から | 峰-<属格> | いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 澄んだ |
「上の風が峰から下りてきて、空が澄みわたっている。」
乾風期の初めのころの空模様を言う文。接続詞を使わずに主節を二つ並べ、あいだを区切りの印(読点)で区切っている。anléuma は北の高みから下りてくる風なので、動詞は「昇る」ではなく dúl-「下る」を使う。þráin「峰」は石の峰なので重性で、属格は -os になる。anléuma は清く良い風とされ、この風が吹くと星読みの季節が来る。
áura aurléuma es orénos, auríþa nébro an élvaran.
読み:アウラ アウルレウマ エス オレーノス、アウリーサ ネーブロ アン エルヴァラン。
| áur-a | aurléuma | es | orén-os, | aur-íþ-a | nébro | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 昇る風<主格> | から | 縁-<属格> | 昇る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 霧<対格> | 上手 | 天-<対格> |
「昇る風は縁から昇り、霧を天へと持ち上げる。」
雨期の天気のしくみを説明する、書物風の文。an+対格で「上手へ」、つまり天のほうへ向かうことを表す。霧は昇る風に天まで引き上げられると、上に属する清い雲に変わると考えられている。地を這う霧(重性)が自分から雲になるわけではなく、昇る風に引き上げられて初めて雲になる、という見方である。
áura árnel an élvaran.
読み:アウラ アルネル アン エルヴァラン。
| áur-a | árnel | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 木<主格> | 上手 | 天-<対格> |
「木は天へ向かって伸びる。」
生えている木は上へ伸びるものなので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。木が下と上をつなぐ、という考え方を表す格言風の文。an+対格で「上手へ」。
lúin élþa virá lísen, áura an élvaran.
読み:ルーイン エルサ ヴィラー リーセン、アウラ アン エルヴァラン。
| lúin | élþ-a | virá | lís-en, | áur-a | an | élvar-an. |
| とき | 燃える-<(軽いものが)> | 言葉<主格> | 書く-<〜した・〜された> | 昇る-<(軽いものが)> | 上手 | 天-<対格> |
「書かれた言葉は燃えると、天へ昇っていく。」
願いごとを書いた紙を燃やして祖先に届ける習わしを言う、儀礼の場の文。lísen は virá(軽性・単数・主格)に一致する分詞で、一致の語尾はつかない。後半の主語は省かれているが、動詞の語尾から前半と同じ「言葉」だとわかる。lúin の節は主節の前に置き、an+対格で「上手へ」と言う。
élþan elþái aursárar élvarei, áurau dáu sílarau.
読み:エルサン エルサイ アウルサーラル エルヴァレイ、アウラウ ダウ シーララウ。
| élþ-an | elþ-ái | aursár-ar | élvar-ei, | áur-au | dáu | sílar-au. |
| 灯る-<彼らが> | 火-<〜たちが> | 祖先-<〜らの> | 天-<与格> | 昇る-<双数> | 二 | 月-<双数> |
「天に祖先たちの火が灯り、二つの月が昇る。」
詩の言い回し。星を祖先の炉の火と見る考え方から、星を「祖先たちの火」と言い換え、élþ-「灯る」を使っている。星を数えない言い方なので禁忌には当たらない。月は星ではないので、数詞 dáu をつけて双数で言える。
hóinau dáu sílarau élvarei.
読み:ホイナウ ダウ シーララウ エルヴァレイ。
| hóin-au | dáu | sílar-au | élvar-ei. |
| 巡ってくる-<双数> | 二 | 月-<双数> | 天-<与格> |
「二つの月が、また天に巡ってくる。」
天体が一巡りしてまた現れることに hóin- を使う。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、双数の動詞は人称も性も区別しない。場所は前置詞なしの与格で言う。
fíndan aursárai viráis némores an élvarei.
読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス ネーモレス アン エルヴァレイ。
| fínd-an | aursár-ai | vir-áis | némor-es | an | élvar-ei. |
| 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | <我々>-<属格> | 上手 | 天-<与格> |
「祖先たちは天の上で、我々の言葉を聞いている。」
信仰を説く言い方。言葉は息なので上へ昇り、天にいる祖先の耳に届く、という考えを表している。時制がないので、いつでも成り立つ事柄として直説法で言う。an+与格で「上手の側で」。
áura tíula kumbóros an élvaran.
読み:アウラ ティーウラ クンボーロス アン エルヴァラン。
| áur-a | tíula | kumbór-os | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 音<主格> | 青銅-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「青銅の音は天へ昇る。」
祭祀や鈴の護符について言う決まり文句。音は「上へ昇る軽いもの」なので tíula は軽性で、動詞も -a をとる。青銅 kumbór は重性なので、属格は -os になる。an+対格で「上手へ」。
néulimor þáilan élvares, grémimor nébros.
読み:ネウリモル サイラン エルヴァレス、グレーミモル ネーブロス。
| néul-imor | þáil-an | élvar-es, | grém-imor | nébr-os. |
| 好む-<我々が> | 澄み-<対格> | 天-<属格> | 恐れる-<我々が> | 霧-<属格> |
「「我々は空の澄みを好み、霧を恐れる。」」
þáil を名詞として使い、軽性の対格 -an をつけている。二つの主節を読点で区切って並べた文。澄んだ空と霧を、上と下の対として語る高原らしい言い方。
lúin ésa élvar þáil, sénimor sílarau.
読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、セーニモル シーララウ。
| lúin | és-a | élvar | þáil, | sén-imor | sílar-au. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 晴れた | 見る-<我々が> | 月-<双数> |
「空が晴れると、我々には二つの月が見える。」
lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。雲も霧もない空を言う用法で、乾風期の夜によく使う。月は星ではないので、双数で言ってよい。
lúin ésa élvar þáil, þondésa.
読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、ソンデーサ。
| lúin | és-a | élvar | þáil, | þond-és-a. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 晴れた | 誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)> |
「誓いは、空の晴れたときに立てるべし。」
主語のない当為法は「人は〜すべし」という一般の主語を表し、軽性の形をとる。祖先が見ている、星の見える晴れた夜の誓いだけが重いとされ、霧の夜の誓いは無効とされる。
ésa snélo élvares dréum, na sénimor sílaran.
読み:エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ナ セーニモル シーララン。
| és-a | snélo | élvar-es | dréum, | na | sén-imor | sílar-an. |
| いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 天-<属格> | 黒い | <〜ない> | 見る-<我々が> | 月-<対格> |
「天の屋根が黒く、月が見えない。」
snélo élvares「天の屋根」は高い雲を言う詩的な表現。名詞の形は重性の o語幹のままだが、雲は上に属するものなので一致は軽性になり、繋辞は ésa、述語の形容詞 dréum も軽性の形をとる。雨期の夜によく言う言い方。
lúin ésa snélo élvares dréum, lúuman aursárai némoran.
読み:ルーイン エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ルーマン アウルサーライ ネーモラン。
| lúin | és-a | snélo | élvar-es | dréum, | lúum-an | aurs-ár-ai | némor-an. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 天-<属格> | 黒い | ご覧になる-<彼らが> | 昇る<〜し終えた>-<〜する人>-<〜たちが> | <我々>-<対格> |
「天の屋根が黒いときも、祖先は我々をご覧になっている。」
雨期に星が見えなくても不安がらない理由を説く、信仰の言い方。雲は上の層に属するので、祖先は屋根の上から変わらず下界を見ていると考えられている。snélo は重性の語形だが、この意味では一致が軽性になる(ésa)。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。
áura elþá aursáres an élvaran.
読み:アウラ エルサー アウルサーレス アン エルヴァラン。
| áur-a | elþá | aursár-es | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 火<主格> | 祖先-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「祖先の火(星)が天へ昇っていく。」
詩の一句。星を、昇っていった祖先の炉の火とみて elþá と言う。一つの祖先の火を指しているので単数で、数詞はつけない。an+対格で「上手へ」。
áura þondá némes an élvaran.
読み:アウラ ソンダー ネーメス アン エルヴァラン。
| áur-a | þondá | ném-es | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 誓い<主格> | <私>-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「私の誓いは天へ昇る。」
星の見える晴れた夜に、改まった誓いを立てるときの言葉。誓いは息なので軽いもので、上へ昇って祖先に届くと考えられている。þondá は軽性なので、動詞は -a で一致する。
áura hóurna an élvaran, sáilimor.
読み:アウラ ホールナ アン エルヴァラン、サイリモル。
| áur-a | hóurna | an | élvar-an, | sáil-imor. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 送りの煙<主格> | 上手 | 天-<対格> | 喜ぶ-<我々が> |
「送りの煙が天へ昇っていく。我らは喜ぶ。」
火葬に立ち会う人々の言葉。煙がまっすぐ高く昇るほど、魂がよく昇ったとされる。煙は軽いものなので、動詞は軽性の -a で一致する。
áura selvá es méndales an élvaran.
読み:アウラ セルヴァー エス メンダレス アン エルヴァラン。
| áur-a | selvá | es | méndal-es | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 息<主格> | から | 中の世界-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「「息は中の世界から天へと昇る。」」
弔いの詞や祈りによく出る一句。méndal は重性の子音語幹として変化する(属格 méndalos)。人の住む高原を、天と下の国にはさまれた層として言う。
áura álmar an méndalan élvares.
読み:アウラ アルマル アン メンダラン エルヴァレス。
| áur-a | álmar | an | méndal-an | élvar-es. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 上手 | まん中-<対格> | 天-<属格> |
「「白月が天のまん中へと昇っていく。」」
天体の位置を、まわりのものとの関係で言う言い方。月は星ではないので、こうして名指しして言ってよい。méndal は重性なので、対格は主格と同じ形になる。
lúin tóro nébro, na sénimor álmaran un élvarei.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ セーニモル アルマラン ウン エルヴァレイ。
| lúin | tór-o | nébro, | na | sén-imor | álmar-an | un | élvar-ei. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | 見る-<我々が> | 白月-<対格> | 内に | 天-<与格> |
「霧が来ると、天の内に白月が見えなくなる。」
霧期を言う文。un+与格で、天という広がりの内側にあることを表す。霧は下から割りこむ帳なので、天にあるものが見えなくなる。
áura aurselvá an élvaran.
読み:アウラ アウルセルヴァー アン エルヴァラン。
| áur-a | aurselvá | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 高原語(詩語)<主格> | 上手 | 天-<対格> |
「高原語(詩語)は天へ向かって昇る。」
儀礼や詩の一行。意味1では aurselvá を、高原語そのものを詩語として指す名に使う。主語は軽性a語幹の無標主格で、動詞 áur- は軽性の3人称単数 -a をとる。an élvaran は方向句で、an と組んだ élvar の対格 élvaran が「天へ」を示す。
auríþo nebroauró nébro an élvaran.
読み:アウリーソ ネブロアウロー ネーブロ アン エルヴァラン。
| aur-íþ-o | nebroauró | nébro | an | élvar-an |
| 昇る-<〜させる>-<(重いものが)> | 霧上げ<主格> | 霧<対格> | 上手 | 天-<対格> |
「霧上げが霧を天へ持ち上げる。」
儀礼・詩の語り。nebroauró を自然現象の行為者として重性単数主格で使う。nébro の対格は主格と同形。方向は an+対格。
snáula arnélvar an élvaran.
読み:スナウラ アルネルヴァル アン エルヴァラン。
| snául-a | arnélvar | an | élvar-an |
| 生える-<(軽いものが)> | 梢の天蓋<主格> | 上手 | 天-<対格> |
「梢の天蓋が天へ伸びていく。」
詩的表現。arnélvar を梢の天蓋として、天へ延びる動きに添える。前置詞 an と対格 élvaran が組んで、方向「天へ」を表す。arnélvar は生えている木々の集まりなので軽性だが、詩では梢の上層を天とつなげる比喩として使う。
祖先の住むところ
死者の魂が昇っていく上の層。葬送や祈りの詞で使う。
aurénde selvá élaures an élvaran.
読み:アウレンデ セルヴァー エーラウレス アン エルヴァラン。
| aur-énd-e | selvá | élaur-es | an | élvar-an. |
| 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 息<主格> | 昇りゆく人-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「昇りゆく人の息が、天へ昇りますように。」
火葬の場で唱える送りの詞の一句。死後一年は名前を口にしないので、死者は élaur「昇りゆく人」と言い表す。願望法の3人称単数・軽性の語尾は -e になる。an+対格で「上手へ」。
hóina selvá an élvaran, an aursárais.
読み:ホイナ セルヴァー アン エルヴァラン、アン アウルサーライス。
| hóin-a | selvá | an | élvar-an, | an | aursár-ais. |
| 帰る-<(軽いものが)> | 息<主格> | 上手 | 天-<対格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「息は天へ、祖先たちのもとへ帰っていく。」
死と魂についての教えを説く書物によく出る文。前置詞句を二つ並べて、天と祖先が同じ場所であることを示している。魂が天へ行くことを、「行く」ではなく hóin-「帰る」で言うのが決まった言い方である。
空の高いところ。世界の三つの層のうちの「上」で、星と二つの月が巡り、昇っていった祖先が住む場所とされる。澄んで、軽く、乾いて、光に満ちたものの行き着く先。日常の「空模様」の空にも使うが、つねに信仰の響きを帯びる。霧のかかった低い空は élvar とは呼ばない。
軽性・子音語幹(②型)。ふつう単数で使う。an élvaran「天へ」、élvarei「天で」。
古高原語 *élvara から。áur-「昇る」とは別の語根だが、詩ではしばしば対にして詠まれる。
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