小説
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年長者
年をとった人。
wéinsa ólmar ilánan.
読み:ウェーンサ オルマル イラーナン。
| wéins-a | ólmar | ilán-an. |
| なる<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 灯-<対格> |
「年長の方は星になった。」
「〜になる」wéin- は、なったものを対格で言う(行き着く先の対格)。死後一年が過ぎて昇名が定まった死者について言う。
wéira ólmar senár.
読み:ウェーラ オルマル セナール。
| wéir-a | ólmar | sen-ár. |
| いる<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 見る-<〜する人> |
「年長の方は目付になった(今は目付である)。」
és- の完了 wéir- は「〜であるようになった」。なった結果の今の状態に重きがある。
áursa ólmar némes sórel.
読み:アウルサ オルマル ネーメス ソーレル。
| áurs-a | ólmar | ném-es | sórel. |
| お昇りになる<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <私>-<属格> | 今日 |
「私どもの年長者が、今日お昇りになりました。」
人の死を、魂が上へ昇ることとして高めて言う婉曲表現。二重母音の語根 áur- は、-s- を足した áurs- で完了相を作る。死者の名は一年のあいだ口にしないので、名前ではなく親族の呼び方や立場で指す。
dróuma ólmar ré éso nébro bróus sórel.
読み:ドローマ オルマル レー エーソ ネーブロ ブロース ソーレル。
| dróum-a | ólmar | ré | és-o | nébro | bróus | sórel. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <〜と(節)> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 多い | 今日 |
「今日は霧が多い、と年長者は嘆く。」
ré で始まる「〜と」の節を、主節の後ろに置いた文。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 bróus は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。ここでは量が多いことを表す。
auríþan ólmarai kréinul an þráin.
読み:アウリーサン オルマライ クレーヌル アン スライン。
| aur-íþ-an | ólmar-ai | kréin-ul | an | þráin. |
| 昇る-<〜させる>-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 遺骨-<〜たちを> | 上手 | 峰<対格> |
「年長者たちが遺骨を上手の峰へ運び上げる。」
葬送の描写。火葬のあとの骨は、北の高みや丘の上の納骨所に収める。使役の auríþ-「上げる」と an+対格「上手へ」を組み合わせて、骨を高い所へ送る動きを言う。
sneimésa endríña ólmarei.
読み:スネイメーサ エンドリーニャ オルマレイ。
| sneim-és-a | endríña | ólmar-ei. |
| 礼をする-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 年長者-<与格> |
「子は年長者に礼をすべし。」
当為法は法典や教えの書の文体。強勢が -és- に移るので、語根の ´ が消えて sneimésa になる。礼を受ける相手は与格で表す。
ké vríners ólmarais?
読み:ケー ヴリーネルス オルマライス?
| ké | vrín-ers | ólmar-ais? |
| <〜か> | ないがしろにする-<あなたがたが> | 年長者-<〜たちを> |
「お前たちは年長者をないがしろにするのか。」
転じて、目上の人や順序を飛び越えて軽んじる意味。ké は文のいちばん前に置く。年長の者が若い者を叱るときの言い方。
rainíþa ólmar loimán dulóurei téir lóurul.
読み:ライニーサ オルマル ロイマーン ドゥローレイ テール ロールル。
| rain-íþ-a | ólmar | loim-án | dulóur-ei | téir | lóur-ul. |
| 知る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 詞-<対格> | 下の世代の血族-<与格> | 三 | 瀬-<〜たちを> |
「年長者が曾孫に詞を教える。」
森の村などで、古い詞を年長者から三世代下へ受け継ぐ場面。語順は動詞–主語–目的語–与格。dulóur は与格 dulóurei になるが、後ろの téir lóurul は道のりの対格のまま変わらない。
dróuma ólmar es ráunos dúlenos.
読み:ドローマ オルマル エス ラウノス ドゥーレノス。
| dróum-a | ólmar | es | ráun-os | dúl-en-os. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | から | 水の落ちた流れ-<属格> | 下る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「「年長者は、水の落ちた流れのことを嘆く。」」
村や家の会話での言い方。崖を下りた人々を正面から「下りた者たち」とは言わず、この婉曲表現を目的語にしている。重性の名詞と分詞は、対格でも語尾がつかない。
mé mán an ólmarei!
読み:メー マーン アン オルマレイ!
| mé | mán | an | ólmar-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 食べる<命令法><あなたが> | 上手 | 年長者-<与格> |
「年長者より先に食べるな。」
食事のとき、親が子どもをたしなめる言い方。年長の者、段の高い者が先に箸をつけるのが作法である。禁止は mé+命令法。an+与格は、時の上では「〜の前に」の意味になる。
lúin ráumimor an dún, ráuma ólmar an némorei.
読み:ルーイン ラウミモル アン ドゥーン、ラウマ オルマル アン ネーモレイ。
| lúin | ráum-imor | an | dún, | ráum-a | ólmar | an | némor-ei. |
| とき | 歩く-<我々が> | 上手 | 丘<対格> | 歩く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 上手 | <我々>-<与格> |
「丘を上るときは、年長者が我々の上手を歩く。」
坂道の作法を説明する文。坂を上るときは目上の者が先(上の位置)を歩き、下るときは目下の者が先を歩く。lúin の節は主節の前に置く。an+対格の an dún は「丘の上手へ」、an+与格の an némorei は「我々の上手の側で」。
méiran ólmarai kailó kelárail.
読み:メーラン オルマライ カイロー ケラーライル。
| méir-an | ólmar-ai | kailó | kel-ár-ail. |
| 与える-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 乾酪<対格> | 伐る-<〜する人>-<〜らに> |
「年長者たちが樵たちに乾酪を与える。」
主語が複数なので、動詞は3人称複数の -an をとる。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)。受け手の kelár「樵」は軽性の子音語幹で、複数与格は -ail。kailó「乾酪」は重性o語幹の名詞で、対格も主格と同じ形。
mé hél an ólmarei!
読み:メー ヘール アン オルマレイ!
| mé | hél | an | ólmar-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 座る<命令法><あなたが> | 上手 | 年長者-<与格> |
「年長者より上手に座るな。」
子どもや目下の者をたしなめるときの禁止の言い方で、mé+命令法の形。an+与格は「〜の上手で」を表す。目上の人より高いところ、北側の座に座るのは無礼とされる。
rainíþa ólmar sóumbo kelárail.
読み:ライニーサ オルマル ソーンボ ケラーライル。
| rain-íþ-a | ólmar | sóumbo | kel-ár-ail. |
| 知る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | きのこ<対格> | 伐る-<〜する人>-<〜らに> |
「年長者が樵たちに、食べられるきのこを教える。」
きのこの見分け方は村の年長者が受け継ぐ知識で、この文はそれを伝える場面を表す。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)。rainíþ-「教える」は ráin-「知る」に使役の -íþ- がついた語で、強勢は -íþ- に移る。
na fíndan kelárai viráis ólmarar.
読み:ナ フィンダン ケラーライ ヴィライス オルマラル。
| na | fínd-an | kel-ár-ai | vir-áis | ólmar-ar. |
| <〜ない> | 聞き入れる-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 年長者-<〜らの> |
「「樵たちは年長者の言うことを聞かない。」」
年長者がこぼすときによく使う言い方。直説法なので、否定は na を動詞の直前に置く。この意味の fínd- は、言葉を耳で聞くことではなく、言われたとおりにすることを表す。
hálim ólmaran, na tóra.
読み:ハーリン オルマラン、ナ トーラ。
| hál-im | ólmar-an, | na | tór-a. |
| 呼ぶ-<私が> | 年長者-<対格> | <〜ない> | 来る-<(軽いものが)> |
「年長者を呼んだのに、来ない。」
日常の言い方。時制がないので、hálim は「呼ぶ」とも「呼んだ」とも訳せる。後半では主語を言っていないが、動詞の軽性の語尾から、呼ばれた年長者が主語だとわかる。名前で呼ぶのではなく、ólmar「年長者」のような呼び名を使うのが礼にかなっている。
ráina ólmar loimán gandéros.
読み:ライナ オルマル ロイマーン ガンデーロス。
| ráin-a | ólmar | loim-án | gandér-os. |
| 心得ている-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 詞-<対格> | 硬木-<属格> |
「年長者は硬木の詞を心得ている。」
硬木を伐るときに唱える詞のような、身につけた知識について言う。属格 gandéros は名詞の後ろに置く。
lúin nóiran kelárai, nóura ólmar.
読み:ルーイン ノイラン ケラーライ、ノーラ オルマル。
| lúin | nóir-an | kel-ár-ai, | nóur-a | ólmar. |
| とき | 眠る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 思案する-<(軽いものが)> | 年長者<主格> |
「樵たちが眠ると、年長者は思いにふける。」
「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。nóur- はここでは、ひとりで静かに考えこむことを表す。
lúin gléna ólmar ombríl sáun, sáilimor.
読み:ルーイン グレーナ オルマル オンブリール サウン、サイリモル。
| lúin | glén-a | ólmar | ombríl | sáun, | sáil-imor. |
| とき | 答える-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 句<対格> | 吉い<重性><対格> | 喜ぶ-<我々が> |
「「年長の方が吉い句を返すと、我々は喜ぶ。」」
詩の挨拶で、目下の者が先に詠み、目上の者がうまく句を返したときのことを言う文。返しの句がうまく続くと、その出会いは吉とされる。sáun は軽性・対格の ombrílan に一致して sáunan になる。
povéra endríña ólmarei ré es pós tóro nébro.
読み:ポヴェーラ エンドリーニャ オルマレイ レー エス ポース トーロ ネーブロ。
| povér-a | endríña | ólmar-ei | ré | es | pós | tór-o | nébro. |
| 問う-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 年長者-<与格> | <〜と(節)> | から | 何<属格> | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> |
「子どもは年長者に、霧はなぜ来るのかと尋ねる。」
尋ねる相手は与格で示し、尋ねる内容は ré の節で言う。es pós は「どこから」と「なぜ」の両方の意味になる。ré の節の中でも、疑問詞は動詞の前に出る。
lúin lóima endríña virán, glenésa ólmar.
読み:ルーイン ロイマ エンドリーニャ ヴィラーン、グレネーサ オルマル。
| lúin | lóim-a | endríña | vir-án, | glen-és-a | ólmar. |
| とき | 詠む-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 言葉-<対格> | 句を返す-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> |
「子どもが句を詠んだら、年長者が句を返すべし。」
詩の挨拶の作法を述べる文。目下の者が先に詠み、目上の者が返す。「句を返す」の意味では、目的語を言わずに使うことが多い。virá「言葉」は、詠む動詞の目的語になると「句」の意味になる。
mé vír virán rúgalan ólmarei!
読み:メー ヴィール ヴィラーン ルーガラン オルマレイ!
| mé | vír | vir-án | rúgal-an | ólmar-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 言う<命令法><あなたが> | 言葉-<対格> | 粗野な-<軽性・対格> | 年長者-<与格> |
「年長者に粗野な言葉を口にするな。」
家の戒め。禁止は「mé+命令法」で言う。rúgal を言葉に使うと、品のない、粗野な言い方を指す。炉の前で下品な言葉を言ってはならない、という禁忌とも結びついた言い方。
dróuma ólmar ré víran faronárai viráis rúgalais.
読み:ドローマ オルマル レー ヴィーラン ファロナーライ ヴィライス ルーガライス。
| dróum-a | ólmar | ré | vír-an | faron-ár-ai | vir-áis | rúgal-ais. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <〜と(節)> | 言う-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 粗野な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「年長者は、運び人たちが粗野な言葉を使うと嘆く。」
都でよく聞く嘆き。ré の後ろの節も、主節と同じく動詞で始まる。形容詞は軽性・複数・対格の rúgalais の形で viráis に一致している。
lúin tóro nébro, kúulan ólmarai.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、クーラン オルマライ。
| lúin | tór-o | nébro, | kúul-an | ólmar-ai. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | 煮出す-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> |
「霧が来るころになると、年長者たちは(影の木の葉を)煮出す。」
霧の季節に葉を煮出して茶にする習わしを述べた文。煮出す物は文脈でわかるので、言っていない。lúin の節は主節の前に置く。霧 nébro は重性なので、節の動詞は -o をとる。
lúin táula ólmar rínelul, mánimor.
読み:ルーイン タウラ オルマル リーネルル、マーニモル。
| lúin | tául-a | ólmar | rínel-ul, | mán-imor |
| とき | 取る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 箸-<〜たちを> | 食べる-<我々が> |
「年長の者が箸を取ってから、私たちは食べる。」
年長の者が先に箸をつけるという、食事の作法を述べた文。箸は伐った木などで作った道具なので重性で、複数対格は -ul になる。ひと組の箸は双数でも言えるが、ここでは複数で言っている。
kloimésa endríña tróvalan es ólmares.
読み:クロイメーサ エンドリーニャ トローヴァラン エス オルマレス。
| kloim-és-a | endríña | tróval-an | es | ólmar-es. |
| 学ぶ-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 作法-<対格> | から | 年長者-<属格> |
「子どもは年長者から作法を学ぶべし。」
教訓の書や家訓の書き方。当為法 -és- は強勢をもつので、語根 klóim- の強勢は消える。es+属格は、方向を問わない「〜から」で、教えの出どころを表す。
tóran ólmarai an aurándo, émbelan aursárais.
読み:トーラン オルマライ アン アウランド、エンベラン アウルサーライス。
| tór-an | ólmar-ai | an | aurándo, | émbel-an | aursár-ais. |
| 来る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 上手 | 社<対格> | 祀る-<彼らが> | 祖先-<〜たちを> |
「年長者たちは上手の社へやって来て、祖先を祀る。」
儀礼について述べる文。白月の満月の夜の祖先祀りなどで使う言い方。aurándo は áur-「昇る」+-ándo「〜する所」から来た語で、「昇る所」を表す。重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。an+対格で「上手へ」を表す。後半の節は主語を言わず、動詞の語尾から前半と同じ年長者たちが主語だとわかる。
lúin áura álmar or dún, émbelan ólmarai aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル オル ドゥーン、エンベラン オルマライ アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar | or | dún, | émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 日の出側 | 丘<対格> | 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が丘の日の出側に昇ると、年長者たちは祖先を祀る。」
天体の位置を言う決まった言い方。星や月は指さしてはいけないので、よく知られた目印と方向の前置詞で位置を示す。or+対格で「〜の日の出側へ」を表す。lúin で始まる時の節は主節の前に置く。
tóran ólmarai vel kórvo.
読み:トーラン オルマライ ヴェル コルヴォ。
| tór-an | ólmar-ai | vel | kórvo. |
| 来る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 日の入り側 | 倉<対格> |
「年長者たちは日の入り側の倉へやって来る。」
行き先を方角で言う文。vel+対格で、日の入り側(西側)へ向かうことを表す。vel は vélun「日の入り」から来た語で、強勢がない。kórvo は重性なので、対格は主格と同じ形になる。日本語話者は v をバ行に聞くので、vel を「ベル」と聞き取ることが多い。
émbelan ólmarai aursárais órunei.
読み:エンベラン オルマライ アウルサーライス オールネイ。
| émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais | órun-ei. |
| 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> | 日の出-<与格> |
「年長者たちは日の出の時刻に祖先を祀る。」
時刻を言う文。前置詞のない与格 órunei で、「日の出の時刻に」「明け方に」を表す。年代記で、出来事が明け方に起きたことを書くときにも、この与格を使う。
mé duliþésa ólmaran du dúror.
読み:メー ドゥリセーサ オルマラン ドゥ ドゥーロル。
| mé | dul-iþ-és-a | ólmar-an | du | dúror. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 年長者-<対格> | 下手 | 下座<対格> |
「年長者を下座へ下げてはならない。」
作法の書に見られる当為法の文。当為法は mé で否定する。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る。
méira ólmar houmíño endríñei.
読み:メーラ オルマル ホウミーニョ エンドリーニェイ。
| méir-a | ólmar | houmíño | endríñ-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 椀<対格> | 子ども-<与格> |
「年長の方は、子どもに椀を与える。」
炉ばたでの配膳の場面。ふつうの椀 manó に代わる、年長者が用いる婉曲語 houmíño。動詞は主語の年長者(人・軽性)に一致。与格 endríñei が受け手(子ども)を示す。
émbela ólmar houmíño aursárail.
読み:エンベラ オルマル ホウミーニョ アウルサーライル。
| émbel-a | ólmar | houmíño | aursár-ail. |
| 祀る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 椀<対格> | 祖先-<〜らに> |
「年長の方は、(恵みの)椀を祖先に供する。」
祖先祀りの場面。houmíño は供えられる食物そのものを指す詩的用法。aursár(「昇った者=祖先」)は複合名詞として1語の語根で、複数与格語尾 -ail が付く。動詞は主語の年長者(人・軽性)に一致。炉の北側の座から火のうえへ置く行為の婉曲な言い方。
súla ólmar muró.
読み:スーラ オルマル ムロー。
| súl-a | ólmar | muró. |
| すする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 濁り酒<対格> |
「年長の方が濁り酒をすすっている。」
炉ばたで濁り酒をすする場面。muró は重性o語幹なので主格と対格が同じ形になる。主語 ólmar が軽性(人)なので動詞は -a をとる。対格の印が主語にも目的語にも見えない重性名詞どうしの文では、動詞直後の名詞が主語、その次が目的語という語順が意味を決める。
raunérim ólmaran.
読み:ラウネーリン オルマラン。
| raunér-im | ólmar-an. |
| 追う-<私が> | 年長者-<対格> |
「私は年長者についていく。」
意味1の日常会話。人を追う・ついていく用法。他動詞の目的語は対格で、ólmár は軽性人名詞なので単数対格に -an が付く。
salésa ólmar eelþó aurándoi.
読み:サレーサ オルマル エールソー アウランドイ。
| sal-és-a | ólmar | eelþó | auránd-oi. |
| ならす-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 灰<対格> | 社-<与格> |
「「社では年長者が灰を平らにすべきである。」」
作法や碑文向けの当為法。語根 sál- に -és- -a が付き、語根の強勢が接尾辞へ移って salésa となる。主語 ólmar は人を指す軽性。場所 aurándoi は前置詞を伴わない裸与格。
duméirim kórviño ólmarei.
読み:ドゥメーリン コルヴィニョ オルマレイ。
| du-méir-im | kórviño | ólmar-ei. |
| <〜させていただく>-与える-<私が> | 箱(小倉)<対格> | 年長者-<与格> |
「年長者に箱を差し上げる。」
改まった・丁重な場。du-で自分を低め、受け手を与格で表す。
þráka ólmar.
読み:スラーカ オルマル。
| þrak-a | ólmar. |
| 舌打ちする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> |
「年長者が舌打ちをした。」
日常の平叙。炉ばたや帳場など、改まりの薄い場で、無言のまま短く苛立ちや急かしを示す行為を述べる。主語は人のため、動詞は3人称単数軽性で一致する。
auþovonóran ólmarai.
読み:アウソヴォノーラン オルマライ。
| au-þovonór-an | ólmar-ai |
| <お〜になる・御〜>-顔を影へ向ける-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> |
「年長者たちは、顔を影へ向けられた。」
礼法書や詩で、年長者複数名の失望を示す叙述。主語は人なので軽性複数-ai、動詞は3複-an。au- は年長者複数全体への敬意を示す。日常では用いられず、礼法上の不信心・道徳的拒絶を記すときに近い。
anórel, sensála ólmar endríñais
読み:アノーレル、センサーラ オルマル エンドリーニャイス
| anórel, | sensál-a | ólmar | endríñ-ais |
| 昨日 | 見回す-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 子-<〜たちを> |
「昨日、年長者が子どもたちを順に見回した。」
書物・記録風。時表現 anórel を動詞の前に置いている。主語 ólmar は人を指す軽性なので、動詞は軽性3人称単数の -a。高原語に時制標識はないが、anórel が過去を指定する。
trolhéla ólmar endríñei.
読み:トロルヘーラ オルマル エンドリーニェイ。
| trolhél-a | ólmar | endríñ-ei. |
| しゃがむ-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 子-<与格> |
「年長者が、子どものために座の高さを下げる。」
婉曲用法。年長者が子どもと同じ高さになる動作を、敬意を込めて述べる。与格 endríñei は「〜のために・〜に対して」の利益・関係先を示す。
lúin áuran ombára ilánai, seláura ólmar.
読み:ルーイン アウラン オンバーラ イラーナイ、セラウラ オルマル。
| lúin | áur-an | ombára | ilán-ai, | seláur-a | ólmar |
| とき | 昇る-<彼らが> | 十 | 灯-<〜たちが> | 目覚める-<(軽いものが)> | 年長者<主格> |
「十の灯が昇ると、年長者は目を覚ます。」
書物・年代記向けの描写。lúin による時節節が主節の前に置かれる。áuran ombára ilánai は「十の灯が昇る」という星座名に基づく定型表現。主節の seláura は主語 ólmar に一致して軽性 3 人称単数。
tréla unlóur ólmar eelþó.
読み:トレーラ ウンロール オルマル エールソー。
| trél-a | unlóur | ólmar | eelþó. |
| 混ぜる-<(軽いものが)> | まだ | 年長者<主格> | 灰<対格> |
「年長者はまだ灰をかき立てている。」
炉ばたの儀礼でも行われる動作。unlóur「まだ」は動詞の直後、主語の前に置く。灰 eelþó は重性o語幹で、単数の対格が主格と同形である。
kekéla ólmar eelþó klér.
読み:ケケーラ オルマル エールソー クレール。
| kekél-a | ólmar | eelþó | klér. |
| こねる-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 灰<対格> | 冷たい |
「年長者が冷えた灰をかき回す。」
炉場の日常。主語 ólmar は軽性単数なので動詞は kekéla。灰 eelþó は重性o語幹の単数で、対格は主格と同形。形容詞 klér は重性単数では無標で、名詞の後ろに置かれる。
lína ólmar márou.
読み:リーナ オルマル マーロウ。
| lín-a | ólmar | már-ou. |
| 伸ばす-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 手-<双数・対格> |
「年長者は両手を伸ばす。」
両手という一対の肢体。目的語に双数形 márou を取る。主語の身体部位を指す場合、所有の属格を添えない形も自然。
houmníla ólmar dreló só.
読み:ホウンニーラ オルマル ドレロー ソー。
| houmníl-a | ólmar | dreló | só. |
| 炉に与える-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 火棒<対格> | この<重性> |
「年長者がこの火棒を炉にくべる。」
炉に棒類をくべる古い火棒用法。主語は人なので軽性一致、目的語は重性o語幹の単数対格。
þrenéra endríña ólmarei
読み:スレネーラ エンドリーニャ オルマレイ
| þren-ér-a | endríña | ólmar-ei |
| 段-<〜でする>-<(軽いものが)> | 子供<主格> | 年長者-<与格> |
「子どもが年長者の前で跪く。」
日常の礼法の場面。与格が跪きの対象・位置を示す。主語 endríña は主格なので語全体を一つの形態素として書き、子供.NOM と示す。動詞は3人称単数軽性語尾 -a で一致する。
selvatáula ólmar þelán sé.
読み:セルヴァタウラ オルマル セラーン セー。
| selvatául-a | ólmar | þel-án | sé |
| 聞き取る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 名前-<対格> | この<軽性> |
「年長者がこの名を聞き取る。」
改まった名乗り・系譜の場面。名 þelá の対格 þelán に指示詞 sé を添える。主語 ólmar は人を指す軽性。
senáura ólmar aldáran áurenan.
読み:セナウラ オルマル アルダーラン アウレナン。
| senáur-a | ólmar | aldár-an | áur-en-an. |
| 見上げる-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 座-<対格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> |
「年長者は高き座を見上げる。」
敬意を伴う仰ぎ。高き座(aldár áuren)を見上げる作法。対象の名詞と分詞が軽性単数対格に一致する。-an を LT.ACC として独立の形態素で示す。
duhélim ólmarei.
読み:ドゥヘーリン オルマレイ。
| duhél-im | ólmar-ei. |
| 謝る-<私が> | 年長者-<与格・単数> |
「私は年長者に詫びます。」
目上の年長者に、態度や身分を一段低くして詫びる改まった場面。詫びの対象は与格で取る。ólmar の単数与格は ólmar に -ei が付いた ólmarei。
lúin tóra loimá, þalfínda ólmar loimán.
読み:ルーイン トーラ ロイマー、サルフィンダ オルマル ロイマーン。
| lúin | tór-a | loim-á, | þalfínd-a | ólmar | loim-án |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 詞-<主格> | 耳を澄ます-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 詞-<対格> |
「詞が来るとき、年長者は詞に耳を澄ます。」
祀りの詞の場面。時節はlúinで導き、主節に先立つ。主節動詞は年長者に一致して軽性3単。語り詞の継ぎ目で、次の音を受けるために静止して聞く意。
tóra ólmar es amfóndaros
読み:トーラ オルマル エス アンフォンダロス
| tór-a | ólmar | es | amfóndar-os |
| 来る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | から | 上手の源-<属格> |
「年長者がアンフォンダルから来た。」
国名が属格 amfóndaros をとる例。es+属格で「〜から」を示し、国を出自・源として述べる。年長者をさす ólmar は軽性の人名詞なので、動詞は軽性一致 tóra を受ける。系譜や由緒を述べる改まった場向き。
vúla ólmar nourán endríñei.
読み:ヴーラ オルマル ノウラーン エンドリーニェイ。
| vúl-a | ólmar | nour-án | endríñ-ei. |
| 注ぐ-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 心-<対格> | 子-<与格> |
「年長者は子どもへ心を注ぐ。」
液体を器へ注ぐ動作を転じて、注意や関心を相手へ向ける意。抽象名詞 nourá を直接目的語に取る。
múndula ólmar ílmo gléin.
読み:ムンドゥラ オルマル イルモ グレーン。
| múndul-a | ólmar | ílmo | gléin. |
| 注ぐ-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 水<対格> | 清い |
「年長者が清い水を注ぐ。」
祭祀や書物の文脈で使える言い方。名詞 ílmo は重性で、後置の形容詞 gléin は重性単数の無標語尾。器の口を下げて上から来る水を扱う動作として自然な文。
wéinsa ólmar þrén ául
読み:ウェーンサ オルマル スレーン アウル
| wéins-a | ólmar | þrén | ául |
| なる<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 段<対格> | 高い |
「年長者は高い段になった。」
昇進を表す文。wéin-「なる」の完了形で、行き着く先を対格に置く。þrén は重性の単数対格で主格と同形になり、形容詞 ául も重性対格無標として一致する。
bíla ólmar dáunaun.
読み:ビーラ オルマル ダウナウン。
| bíl-a | ólmar | dáun-aun. |
| 仲立ちする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 二人-<双数の〜の・〜に> |
「年長者は二人の間で仲立ちをする。」
直説法の書き言葉。見出し語 bíl- をそのまま用い、完了の母音交替は加えない。
lóima ólmar þelán ráimaros, duói lóima ólmar þelán gléinaros.
読み:ロイマ オルマル セラーン ライマロス、ドゥオイ ロイマ オルマル セラーン グレーナロス。
| lóim-a | ólmar | þel-án | ráimar-os, | duói | lóim-a | ólmar | þel-án | gléinar-os. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 名前-<対格> | ライマル-<属格> | その次に | 唱える-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 名前-<対格> | グレイナル-<属格> |
「年長者がライマルの名を唱え、その次に、グレイナルの名を唱える。」
系譜の名を一瀬ずつ唱える儀礼の場面。duóiは名と名を結び、前の名を上手、次の名を下手に置く。名は属格で「〜の名」とする。主語は年長者。
þuláura naþelár ólmarei
読み:スラウラ ナセラール オルマレイ
| þuláur-a | naþelár | ólmar-ei |
| 得意がる-<(軽いものが)> | 若者<主格> | 年長者-<与格> |
「若者は年長者に対して偉そうにする。」
年長者の向こう側への態度を示す与格。若者の得意がりを年長者に向かう態度として書き表す平叙。この与格の構文は、年長者や客を向かえると角が立つとされる。
láma ólmar klóno némes.
読み:ラーマ オルマル クローノ ネーメス。
| lám-a | ólmar | klóno | ném-es. |
| 掌でさする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 膝<対格> | <私>-<属格> |
「年長者が私の膝を掌でさする。」
世話・手当ての場面として自然な言い方。目的語は膝。膝は重性o語幹で、目的語も主格と同形。所有は名詞に後置した代名詞の属格で示す。
láma ólmar endríñan.
読み:ラーマ オルマル エンドリーニャン。
| lám-a | ólmar | endríñ-an. |
| 慰める-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 子ども-<対格> |
「年長者が子どもを慰める。」
目的語に人を取ると、冷えや不安を和らげる手当てとしての「慰める」意になる。子どもは軽性a語幹で、対格は -an をとる。
léima ólmar ín slóvo.
読み:レーマ オルマル イーン スローヴォ。
| léim-a | ólmar | ín | slóvo |
| 置く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 一 | 人分<対格> |
「年長者が人分を一つ置いておく。」
配給・食事などの一人分を指す日常的な用例。主語 ólmar は人として軽性なので動詞は軽性単数。slóvo は重性o語幹の単数対格形。
kréva ólmar slóvo torárei.
読み:クレーヴァ オルマル スローヴォ トラーレイ。
| krév-a | ólmar | slóvo | torár-ei |
| 預かる-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 取り置き分<対格> | 客-<与格> |
「年長者が客の取り置き分を預かっておく。」
まだ来ていない者や予定者のために、先に一人分を確保しておく意味。動詞 krév- は「預かる・責任を持つ」。与格 torárei は受益者を示し、slóvo は重性単数の対格形。
vérin, vréna ólmar pír-in.
読み:ヴェーリン、ヴレーナ オルマル ピーリン。
| vérin, | vrén-a | ólmar | pír-in. |
| そのとおり, | うなずく-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 小さい-<〜して・〜く> |
「「そのとおり」と年長者は小さくうなずく。」
改まった集まりで了解を示す動作を記述する文。主語の人名詞は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の-aを取る。程度は後続の副詞pír-inが表す。
séima dóulin ólmar un nórloi.
読み:セーマ ドーリン オルマル ウン ノルロイ。
| séim-a | dóulin | ólmar | un | nórl-oi. |
| 身を横たえる-<(軽いものが)> | もう | 年長者<主格> | 中に | 寝床-<与格> |
「年長者はもう寝床についている。」
炉ばたの語りが済んだ後の家庭の描写。人語の主語に合わせて動詞は軽性三人称単数の語尾 -a をとる。相の副詞 dóulin は動詞の直後に置く。un+与格は、寝床という落ち着く場所を示す。
na þúla ólmar, kréula.
読み:ナ スーラ オルマル、クレウラ。
| na | þúl-a | ólmar, | kréul-a. |
| <〜ない> | 従う-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 拒む-<(軽いものが)> |
「年長者は従わず、首を振って拒んだ。」
比喩的な「拒む」。þúl-「従う」を否定して合意の流れに従わないことを示し、kréul-で拒否を表す。主語は前の節にのみ現れ、後節は動詞の一致だけ。
víra ólmar ré þrunésa dulsóilan.
読み:ヴィーラ オルマル レー スルネーサ ドゥルソイラン。
| vír-a | ólmar | ré | þrun-és-a | dulsóil-an. |
| 言う-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <〜と(節)> | 削る-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 下髪-<対格> |
「年長者は「顎毛は剃るべきだ」と言う。」
作法・戒めを述べる文。当為法 þrunésa は主語を明示しないとき、一般の人を主語として軽性の形をとる。
lúin víra ólmar élan, núnim
読み:ルーイン ヴィーラ オルマル エーラン、ヌーニン
| lúin | vír-a | ólmar | él-an, | nún-im |
| とき | 言う-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <3人称単数・軽性>-<対格> | 目を伏せる-<私が> |
「年長者がそれを仰るとき、私は目を伏せる。」
日常の敬意の場面。目上者の前で静かにまぶたを下ろす作法。núnim 自体は謙譲の接頭辞を持たないが、動作が敬意を表す。vír- は他動詞なので、目的語の代名詞 él に対格語尾 -an を付けた él-an を補う。
kréima ólmar loimán torárei.
読み:クレーマ オルマル ロイマーン トラーレイ。
| kréim-a | ólmar | loim-án | torár-ei. |
| 説明する-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 詞-<対格> | 客-<与格> |
「年長者は客に詞について説明する。」
儀礼・法廷での用い方。唱えることそのものではなく、詞の内容や作法を言葉で説明する意味になる。受け手は与格。
ké houmsíla ólmar endríñan hóumoi
読み:ケー ホウンシーラ オルマル エンドリーニャン ホーモイ
| ké | houmsíl-a | ólmar | endríñ-an | hóum-oi |
| <〜か> | 炉ばたで諫める-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 子-<対格> | 炉-<与格> |
「年長者が炉ばたで子どもを諫めているのか。」
改まった場面での問い。疑問小辞 ké が文頭に立つ。houmár の場合と違い、ólmar を主語にして、炉の場を hóumoi の裸与格で補っている。儀礼的な所作を含む戒めとして使える。
長老
村や家で知識と経験を受け継ぎ、敬われる年長者。
selvána aurólmar ré torélo nébro.
読み:セルヴァーナ アウロルマル レー トレーロ ネーブロ。
| selván-a | aur-ólmar | ré | tor-él-o | nébro. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-長老 | <〜と(節)> | 来る-<〜だろう>-<(重いものが)> | 霧<主格> |
「長老の方は、霧が来るだろうとおっしゃる。」
敬われる長老の言葉を人に伝える言い方。尊敬の接頭辞 au- は母音の前で aur- になる(au-+ólmar → aurólmar)。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節は元の法を保ち、ここでは推量法。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。
rainíþa ólmar þeláis gandéros kelárail.
読み:ライニーサ オルマル セライス ガンデーロス ケラーライル。
| rain-íþ-a | ólmar | þel-áis | gandér-os | kel-ár-ail. |
| 知る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 長老<主格> | 名前-<〜たちを> | 硬木-<属格> | 伐る-<〜する人>-<〜らに> |
「長老は樵たちに硬木の呼び名を教える。」
村の暮らしを述べる文。硬木は、心材の色、沈み方、樹齢、伐ったあとの状態で何通りにも呼び分けられ、その呼び名は村の長老が受け継いで伝える。rainíþ-「教える」は ráin-「知る」に使役の -íþ- がついた形で、教わる人を与格、教える内容を対格でとる。
年をとった者、とくに村や家の長老。きのこの見分け方、雨読み、昔語りなどの知識を受け継ぎ、伝える者として敬われる。礼儀として、年下の者は ólmar の名前を口にせず、この語か住む場所で言い表す。
名詞(軽性・子音語幹)。対 ólmaran、複 ólmarai。尊敬形 aurólmar
古高原語 *ólmara から。語源の詳細は不明。
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