þrúm-

品詞
動詞(自動詞)
意味
死ぬ
発音
[ˈθrum]
読み
スルーム
分野
基本動作

意味

  1. 死ぬ

    獣・鳥・魚・虫などが死ぬ。狩りや牧畜の場面でふつうに使う。

    þróuma hérvan.

    読み:スローマ ヘルヴァン。

    þróum-ahérvan.
    死ぬ<〜し終えた>-<(軽いものが)>大鹿<主格>

    「大鹿が死んだ。」

    狩猟の場面で動物の死を告げる、ごく普通の報告の文。動物は軽性なので、動詞は完了語根 þróum- に3人称単数・軽性の -a がつく。

  2. 枯れる

    木や草が枯れる。木が枯れた場合は、重性の一致で受けることが多い。

    þróumo árnel.

    読み:スローモ アルネル。

    þróum-oárnel.
    死ぬ<〜し終えた>-<(重いものが)>木<主格>

    「木が枯れた。」

    木が枯れたという文。立ち枯れてもはや昇らないものとして、動詞は重性の一致 -o をとる。

  3. くたばる

    荒い言葉や陰口で、人に向けてわざと使う侮辱的な言い方。魂が昇らずに沈んだという含みがあり、人の死に普通に使う áurs-「昇りきる」の反対の響きになる。

    þróumo dórin tó.

    読み:スローモ ドーリン トー。

    þróum-odórintó.
    死ぬ<〜し終えた>-<(重いものが)>男<主格>あの<重性>

    「あの男はくたばった。」

    人に対して þrúm- をわざと使う荒い陰口。人を重性の一致で受けるのと同じ種類の罵倒で、魂が昇らずに沈んだという含みがある。

  4. くたばれ

    命令形 þrúm! で使う、強い罵りの言葉。炉の前や改まった場では禁忌とされる。

    þrúm!

    読み:スルーン!

    þrúm!
    死ぬ<命令法><あなたが>

    「くたばれ。」

    命令法2人称は語幹 þrúm- がそのまま語末に立つ。人に向けた強い罵りとなり、炉の前や改まった場では禁忌として避けられる。

解説

ふつうの「死ぬ」。獣・鳥・魚・虫が死ぬこと、木が枯れることに使う基本の動詞で、狩人や樵、牧人の言葉ではごく普通に使う(þróuma hérvan「大鹿が死んだ」、þróuma méula「毛山羊が死んだ」)。 【人には使わない】人の死を þrúm- で言うのは強い禁忌で、死者の名を口にするのと同じように忌まれる。þrúm- は「底に着いて、そこで止まる」という響きをもつので、人に使うと「その人の魂は昇らずに沈んだ」と言うことになるからである。人の死は、áur-「昇る」の完了語根 áurs- を使って áursa「昇りきった」と婉曲に言うのがふつうである(áursa ólmar「年長の方が昇りきった=亡くなった」)。目上の人には尊敬の au- を添えた形を使い、王については「お昇りになった座」と言う。崖から落ちた死や溺れた死のように、本当に「下へ引かれた」と恐れられる死でも、遺族の前では áurs- を使い、þrúm- は決して使わない。 【荒い言葉】運び人や森の民の荒っぽい話し方や、喧嘩・陰口では、人にもわざと þrúm- を使う。「くたばる」に当たる強い侮辱で、人を重性の一致で受けるのと同じ種類の罵倒になる。命令形の þrúm!「くたばれ」は高原語でもっとも汚い罵りの一つで、炉の前で口にすると、すぐに祖先への詫びの詞を唱えさせられる。 【木と性の一致】生えている木(árnel)は軽性だが、枯れた木はもう昇らないものとされる。そのため、木が枯れたことを言うときは、動詞と分詞を重性の一致にする話し手が多い(þróumo árnel「木が枯れた」、árnel þrúmen の与格は árnelei þrúmenoi「枯れ木に」)。伐られた木と同じ扱いである。

文法

自動詞。直説法 þrúma(3単・軽)/þrúmo(3単・重)。完了語根は u→ou の母音交替で þróum-(þróuma「死んだ・死んでしまった」)。強勢をもつ法の接尾辞がつくと強勢が移る(þruméla「死ぬだろう」)。完了分詞 þrúmen「死んだ・枯れた」は名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する。命令法2単 þrúm! は罵りとしてしか使わない。使役 þrumíþ-「死なせる・枯らす」も作れるが、狩りの場面では避けて別の言い方をすることが多い。人を主語にする用法は荒い言葉にかぎられる。

語源

古高原語 *þrúm-「底に着く・沈みきって止まる」にさかのぼるとされる。もとは水に沈んだ物が底に落ち着くことを言った語で、森の言葉には「淀み・川底のたまり」を指す þrúmo が残る。「重いものは下へ行き着く」という見方から、生き物が息を止めて動かなくなることを表すようになった。

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