小説
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祖先
亡くなって天へ昇った、家の先祖。
fóndaro ráimaros, léunim þeláis aursárar.
読み:フォンダロ ライマロス、レウニン セライス アウルサーラル。
| fóndar-o | ráimar-os, | léun-im | þel-áis | aursár-ar. |
| 源-<〜よ> | ライマル-<属格> | 申す-<私が> | 名前-<〜たちを> | 祖先-<〜らの> |
「ライマルの源よ、祖先たちの名を申し上げます。」
系譜読みが系譜を唱えはじめるときの決まった呼びかけ。呼格は日常では使わず、古い詩と系譜の唱えにだけ残っている。重性の fóndar は呼格で fóndaro になる。léun- は「言う」の謙譲の補充形で、祖先に対して自分を低めている。
luuménde ilána aursáres sélvanan.
読み:ルーメンデ イラーナ アウルサーレス セルヴァナン。
| luum-énd-e | ilána | aursár-es | sélvan-an. |
| ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 祖先の星<主格> | 祖先-<属格> | セルヴァン-<対格> |
「祖先の星が、セルヴァンを見守ってくださいますように。」
祀りの席で唱える祈りの句。祖先の星は目上なので、「見る」の尊敬の補充形 lúum- を願望法で使う。強勢は -énd- に移り、3人称単数・軽性の語尾は -e になる。
na lúuman aursárai séndo, lúin tóro nébro es orénos.
読み:ナ ルーマン アウルサーライ センド、ルーイン トーロ ネーブロ エス オレーノス。
| na | lúum-an | aursár-ai | séndo, | lúin | tór-o | nébro | es | orén-os. |
| <〜ない> | ご覧になる-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | この世<対格> | とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | から | 縁-<属格> |
「縁から霧が上がってくるとき、祖先はこの世をご覧にならない。」
霧期を恐れる理由を語る言い方。ここでの séndo は話し手のいる場所ではなく、上(天)と下(干潟・地の底)のあいだにある、人の生きる「中の世界」を指す。祖先には「見る」の尊敬の補充形 lúum- を使う。祖先は数えないので、複数はひとまとまりの「方々」の意味になる。
lúuman aursárai séndo es élvares.
読み:ルーマン アウルサーライ センド エス エルヴァレス。
| lúum-an | aursár-ai | séndo | es | élvar-es. |
| ご覧になる-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | この世<対格> | から | 天-<属格> |
「祖先は天からこの世をご覧になる。」
祖先祀りの詞の一句。上の世界 élvar と、中の世界 séndo が対になる。祖先の行いには尊敬の補充形 lúum- を使う。séndo は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
ésa ómbra lúumen aursárar.
読み:エーサ オンブラ ルーメン アウルサーラル。
| és-a | ómbra | lúum-en | aursár-ar. |
| いる-<(軽いものが)> | すべて<主格> | ご覧になる-<〜した・〜された> | 祖先-<〜らの> |
「すべては、ご先祖さまがご覧になっている。」
祖先祀りや戒めの場で使う、改まった言い方。「見る」の尊敬の補充形 lúum- の分詞に、行為者を表す複数属格 aursárar を添えている。祖先は数えないので、複数はひとまとまりの「方々」を表す。
lóima lourvirár þeláis aursárar an fóndaros.
読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル アン フォンダロス。
| lóim-a | lourvirár | þel-áis | aursár-ar | an | fóndar-os. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 系譜読み | 名前-<〜たちを> | 祖先-<〜らの> | 上手 | 源-<属格> |
「系譜読みは、源から祖先たちの名を唱えていく。」
婚姻の取り決めや祖先祀りで、系譜を読み上げる場面を言う文。lourvirár は lóur「瀬」+vír-「言う」+-ár「〜する人」からできた語で、軽性の子音語幹。an+属格で「上手から」。系譜は源から一瀬ずつ下へ向かって唱えるので、起点を an fóndaros で示す。
lúin áura álmar, émbelimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月 | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ると、私たちは祖先を祀る。」
白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを言う文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。aursár は人を指すので軽性の子音語幹で、複数対格は -ais。祖先は「数えない」ものなので、数詞をつけず複数でひとまとまりに言う。
fíndan aursárai viráis gléinais.
読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス グレーナイス。
| fínd-an | aursár-ai | vir-áis | gléin-ais. |
| 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 清い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「祖先たちは、清い言葉を聞き届ける。」
整った言葉は息となって上へ昇り、天の祖先に届くという信仰を表す、格言のような一句。主語の複数主格 aursárai に合わせて、動詞は3人称複数の -an をとる。形容詞 gléin は、修飾する viráis に合わせて軽性・複数・対格の -ais で一致する。
émbelau véiranau aursárais.
読み:エンベラウ ヴェーラナウ アウルサーライス。
| émbel-au | véiran-au | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 夫婦-<双数> | 祖先-<〜たちを> |
「夫婦は祖先を祀る。」
双数の véiranau は、数詞 dáu をつけなくても「ひと組の夫婦」を表す。夫婦は、双数がとくに好まれる組み合わせの一つ。双数の動詞の語尾 -au は、人称も性も区別しない。
lúin áura endríña an þráin, léuna aursárail.
読み:ルーイン アウラ エンドリーニャ アン スライン、レウナ アウルサーライル。
| lúin | áur-a | endríña | an | þráin, | léun-a | aursár-ail. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 未成年の者<主格> | 上手 | 峰<対格> | 申す-<(軽いものが)> | 祖先-<〜らに> |
「未成年の者は峰に登ると、祖先に言葉を申し上げる。」
成人の儀の次第を述べる書き言葉の文。主節では主語を言っていないが、動詞の語尾から、lúin の節と同じ者が主語だとわかる。祖先に向けた言葉なので、謙譲の補充形 léun- を使う。この儀を終えると成名が与えられ、endríña ではなくなる。
lúin áura álmar, émbelimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ると、我々は祖先を祀る。」
家々の祖先祀りを説明する文。白月は見守る祖先のまなざしの象徴とされ、満ちた夜に祖先を祀る。lúin の節は主節の前に置く。月は軽性なので、動詞は -a で受ける。
hóina selvá an élvaran, an aursárais.
読み:ホイナ セルヴァー アン エルヴァラン、アン アウルサーライス。
| hóin-a | selvá | an | élvar-an, | an | aursár-ais. |
| 帰る-<(軽いものが)> | 息<主格> | 上手 | 天-<対格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「息は天へ、祖先たちのもとへ帰っていく。」
死と魂についての教えを説く書物によく出る文。前置詞句を二つ並べて、天と祖先が同じ場所であることを示している。魂が天へ行くことを、「行く」ではなく hóin-「帰る」で言うのが決まった言い方である。
lúin brúuma réina, ésa fléura du aursárail.
読み:ルーイン ブルーマ レーナ、エーサ フレウラ ドゥ アウルサーライル。
| lúin | brúum-a | réina, | és-a | fléura | du | aursár-ail. |
| とき | 落ちる-<(軽いものが)> | 雨<主格> | いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 下手 | 祖先-<〜らに> |
「雨が降るときも、天の屋根は祖先の方々の下にある。」
雨期に星が見えなくても不安に思わなくてよい、と説くときの決まった言い方。du+与格で「〜の下手に」。天の屋根が祖先の下にあるということは、祖先は屋根の上にいて、変わらず下界を聞いているということになる。
an éndrail snélo, du aursárail fléura.
読み:アン エンドライル スネーロ、ドゥ アウルサーライル フレウラ。
| an | éndr-ail | snélo, | du | aursár-ail | fléura. |
| 上手 | 人-<〜らに> | 屋根<主格> | 下手 | 祖先-<〜らに> | 天の屋根<主格> |
「人の上には家の屋根、祖先の下には天の屋根。」
雨期の詩合わせでよく引かれる、動詞のない詩句。an と du、家の屋根(重性の snélo)と天の屋根(軽性の fléura)を対にしている。人は家の屋根の下に、祖先は天の屋根の上にいる、という縦の並びを詠んでいる。
ésa réina aursárar, dúmarimor.
読み:エーサ レーナ アウルサーラル、ドゥーマリモル。
| és-a | réina | aursár-ar, | dúmar-imor. |
| いる-<(軽いものが)> | 上からの恵み<主格> | 祖先-<〜らの> | いただく-<我々が> |
「祖先の方々の恵みがここにある。いただきます。」
雑穀の食事の前に、家の者がそろって唱える言葉。雨で実った穀物を「雨」と呼んで、上から返されてきた恵みとして言う。dúmar- は「食べる」の謙譲の補充形。
éso kreinándo aursárar þráinuls.
読み:エーソ クレイナンド アウルサーラル スライヌルス。
| és-o | kreinándo | aursár-ar | þráin-uls. |
| いる-<(重いものが)> | 納骨所<主格> | 祖先-<〜らの> | 峰-<〜らに> |
「祖先たちの納骨所は北の高みにある。」
複数形 þráinul(ここでは与格 þráinuls)は、峰々の連なる北の山地全体を地名のように指す。納骨所 kreinándo は重性の o 語幹なので、動詞は -o で一致する。骨を谷底や崖下に埋めず、天に近い高みに納めるという葬送の慣習を述べた文。
bróla lisár virán aursárail.
読み:ブローラ リサール ヴィラーン アウルサーライル。
| bról-a | lis-ár | vir-án | aursár-ail. |
| 詩を作る-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 言葉-<対格> | 祖先-<〜らに> |
「書記が祖先に捧げる詩を作る。」
祖先に詩を捧げる習わしを言う文。virá を目的語にとると「詩を作る」の意味になる。捧げる相手は与格で示す。
léimsan aursárai sárvo ré mé duliþésa fáron du dálor.
読み:レーンサン アウルサーライ サルヴォ レー メー ドゥリセーサ ファーロン ドゥ ダーロル。
| léims-an | aursár-ai | sárvo | ré | mé | dul-iþ-és-a | fáron | du | dálor. |
| 据える<〜し終えた>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 禁忌<対格> | <〜と(節)> | <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 荷<対格> | 下手 | 下の国<対格> |
「祖先たちは、下の国へ荷を落としてはならぬという禁忌を定めた。」
ré の後ろの節は当為法を保ち、mé で否定している。主語を言わない当為法は「人は〜すべし」の意味で、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る。崖から物を落としてはいけない、という禁忌のいわれを語る文。
lúin émbelimor aursárais, flúunimor nóumo.
読み:ルーイン エンベリモル アウルサーライス、フルーニモル ノーモ。
| lúin | émbel-imor | aursár-ais, | flúun-imor | nóumo. |
| とき | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> | 清める-<我々が> | 顔<対格> |
「祖先を祀るとき、我々は顔を清める。」
lúin の節を主節の前に置いている。祀りのための清めは、ふつう軒で集めた雨水で行う。体の部分 nóumo「顔」は重性o語幹なので、対格も同じ形になる。
élþan elþái aursárar élvarei, áurau dáu sílarau.
読み:エルサン エルサイ アウルサーラル エルヴァレイ、アウラウ ダウ シーララウ。
| élþ-an | elþ-ái | aursár-ar | élvar-ei, | áur-au | dáu | sílar-au. |
| 灯る-<彼らが> | 火-<〜たちが> | 祖先-<〜らの> | 天-<与格> | 昇る-<双数> | 二 | 月-<双数> |
「天に祖先たちの火が灯り、二つの月が昇る。」
詩の言い回し。星を祖先の炉の火と見る考え方から、星を「祖先たちの火」と言い換え、élþ-「灯る」を使っている。星を数えない言い方なので禁忌には当たらない。月は星ではないので、数詞 dáu をつけて双数で言える。
lúin hóina sílar, lísimor viráis aursárail.
読み:ルーイン ホイナ シーラル、リーシモル ヴィライス アウルサーライル。
| lúin | hóin-a | sílar, | lís-imor | vir-áis | aursár-ail. |
| とき | 巡ってくる-<(軽いものが)> | 月<主格> | 書く-<我々が> | 言葉-<〜たちを> | 祖先-<〜らに> |
「白月がまた巡ってくると、我々は祖先たちに言葉を書く。」
白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを言う文。白月が一巡りしてまた満ちることに hóin- を使う。lúin の節は主節の前に置く。受け手の祖先たちは複数与格 -ail で示す。
fíndan aursárai viráis némores an élvarei.
読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス ネーモレス アン エルヴァレイ。
| fínd-an | aursár-ai | vir-áis | némor-es | an | élvar-ei. |
| 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | <我々>-<属格> | 上手 | 天-<与格> |
「祖先たちは天の上で、我々の言葉を聞いている。」
信仰を説く言い方。言葉は息なので上へ昇り、天にいる祖先の耳に届く、という考えを表している。時制がないので、いつでも成り立つ事柄として直説法で言う。an+与格で「上手の側で」。
hálimor aursáran nadúlenan fóndar.
読み:ハーリモル アウルサーラン ナドゥーレナン フォンダル。
| hál-imor | aursár-an | na-dúl-en-an | fóndar. |
| 呼ぶ-<我々が> | 祖先-<対格> | <〜ない>-下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> | 源<対格> |
「我々は、下りぬ祖先を「源」と呼ぶ。」
二つの対格をとる用法。一つ目の対格が呼ばれるもの、二つ目の対格がその呼び名を表す。fóndar は重性なので、対格も主格と同じ形になる。分詞 nadúlenan は aursáran(軽性・単数・対格)に一致している。家系を川の流れとみる世界観で、始祖のことを説明するときの言い方。
ésa þelá aursáres lísen rólanei.
読み:エーサ セラー アウルサーレス リーセン ローラネイ。
| és-a | þelá | aursár-es | lís-en | rólan-ei. |
| いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | 祖先-<属格> | 書く-<〜した・〜された> | 巻-<与格> |
「祖先の名は巻物に書かれている。」
家の習わしを述べる文。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、受け身にあたる意味になる。書くことは息を使わないので、口にしてはならない名前でも書き留めてよい。場所は前置詞なしの与格で表す。
lúin áura álmar, ésa aurþelá aursáres lóimen.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エーサ アウルセラー アウルサーレス ロイメン。
| lúin | áur-a | álmar, | és-a | aurþelá | aursár-es | lóim-en. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | いる-<(軽いものが)> | 昇名<主格> | 祖先-<属格> | 唱える-<〜した・〜された> |
「白月が昇ると、祖先の昇名が唱えられる。」
祖先祀りの場面。生前の名前は二度と声に出さないので、祖先を口にするときはかならず昇名を使う。時を表す lúin の節は、ふつう主節の前に置く。後半は「és-+主語+分詞」で、受け身にあたる意味を表している。
lúin áura sílar, nóurimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ シーラル、ノーリモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | sílar, | nóur-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 月<主格> | 思い慕う-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「月が昇るとき、我々は祖先を偲ぶ。」
祖先祀りの場の言い方。白月は見守る祖先のまなざしの象徴とされ、満月の夜には祖先を祀る。
néulan aursárai viráis séurilais.
読み:ネウラン アウルサーライ ヴィライス セウリライス。
| néul-an | aursár-ai | vir-áis | séuril-ais. |
| 好む-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 美しい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「祖先は美しい言葉を好む。」
整った言葉は昇って祖先に届く、という信仰を言う教えの文。形容詞 séuril は、修飾する virá(軽性)の複数対格に一致して -ais をとる。
gremésa aursárar si aldáres áurenes.
読み:グレメーサ アウルサーラル シ アルダーレス アウレネス。
| grem-és-a | aursár-ar | si | aldár-es | áur-en-es. |
| 畏れる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 祖先-<〜らの> | と | 座-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格> |
「人は祖先と高き座を畏れるべし。」
教えの書や詞に見える当為法の文。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢が -és- に移るので、語根の ´ は消える。畏れる対象は属格でとり、分詞 áurenes も aldáres の属格に一致する。
lúin sénan éndrai sílarau, gréman aursárar.
読み:ルーイン セーナン エンドライ シーララウ、グレーマン アウルサーラル。
| lúin | sén-an | éndr-ai | sílar-au, | grém-an | aursár-ar. |
| とき | 見る-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 月-<双数> | 畏れる-<彼らが> | 祖先-<〜らの> |
「人は二つの月を仰ぐとき、祖先を畏れかしこむ。」
lúin の節は主節の前に置く。月は星ではないので双数で言える。後半の主節では主語を言っていないが、動詞の語尾から前半と同じ人々だとわかる。畏れる対象は属格でとる。
ausailéndan aursárai lisímei sé.
読み:アウサイレンダン アウルサーライ リシーメイ セー。
| au-sail-énd-an | aursár-ai | lis-ím-ei | sé. |
| <お〜になる・御〜>-嘉する-<〜しますように>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 書く-<〜の技・〜さ>-<与格> | この<軽性> |
「ご祖先がこの手跡を嘉したまいますように。」
願いを書いた紙を燃やして祖先に届けるときの決まり文句。高い者が主語なので尊敬の au- をつけ、願望法で言う。強勢は -énd- に移る。嘉する対象は与格。
þóndim aursárail ré na vírim lúdro.
読み:ソンディン アウルサーライル レー ナ ヴィーリン ルードロ。
| þónd-im | aursár-ail | ré | na | vír-im | lúdro. |
| 誓う-<私が> | 祖先-<〜らに> | <〜と(節)> | <〜ない> | 言う-<私が> | 嘘<対格> |
「私は祖先に、嘘は言わないと誓う。」
星の見える晴れた夜に立てる誓いの基本の形。誓う相手は与格で示し(aursárail「祖先たちに」)、誓う中身は ré の節で後ろに置く。ré の節は元の文の法をそのまま保つので、ここでは直説法の否定 na vírim になる。時制はないので、「言わない」は文脈から未来のことと読む。
viríres lúdro, gruunélan aursárai tásei.
読み:ヴィリーレス ルードロ、グルーネーラン アウルサーライ ターセイ。
| vir-ír-es | lúdro, | gruun-él-an | aursár-ai | tás-ei. |
| 言う-<もし〜なら>-<あなたが> | 嘘<対格> | 怒る-<〜だろう>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | <あなた>-<与格> |
「嘘をつけば、ご先祖様がお前にお怒りになるだろう。」
年長者が子どもを戒めるときの言い方。条件は接続詞を使わず、仮定法で表す。帰結の部分は推量法になる。法の接尾辞 -ír-・-él- は強勢をもつので、語根の ´ は消える(grúun- → gruunélan)。
lóima lourvirár þeláis aursárar fóndelar.
読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル フォンデラル。
| lóim-a | lourvirár | þel-áis | aursár-ar | fóndel-ar. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 名前-<〜たちを> | 祖先-<〜らの> | 源に近い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・属格> |
「系譜読みは、源に近い祖先たちの名を唱える。」
祖先祀りで系譜を唱える場面の文。系譜について fóndel と言うと、始祖から下った瀬の数が少ないことを表す。古い詩の言い方で、改まった響きがある。形容詞は aursár の複数属格に合わせて -ar になる。
fóndel aursár, gléin selvá éles.
読み:フォンデル アウルサール、グレーン セルヴァー エーレス。
| fóndel | aursár, | gléin | selvá | él-es. |
| 源に近い | 祖先<主格> | 清い | 息<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「源に近きは祖、清きはその息。」
諺や詩の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞–形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると、格言や詩句だとわかる。
lúin áura sílar, ansénan aursárais.
読み:ルーイン アウラ シーラル、アンセーナン アウルサーライス。
| lúin | áur-a | sílar, | ansén-an | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 月<主格> | 思い出す-<彼らが> | 祖先-<〜たちを> |
「月が昇ると、人々は祖先を思い出す。」
祖先祀りの習わしを述べる文。月 sílar は軽性なので、動詞は3単・軽性の -a。主節の主語を言わない3人称複数 ansénan は、「人々は」という一般の主語を表す。
lóimimor viráis aursárail.
読み:ロイミモル ヴィライス アウルサーライル。
| lóim-imor | vir-áis | aursár-ail. |
| 詠む-<我々が> | 言葉-<〜たちを> | 祖先-<〜らに> |
「我々は祖先たちに詩句を詠む。」
都の暮らしと祖先祀りを語る文。整った言葉は祖先への捧げものとされる。1人称複数の語尾 -imor には強勢がなく、強勢は語根に残る。受け手の祖先は複数与格で言う。
lóimsa endríña virán an aursárais.
読み:ロインサ エンドリーニャ ヴィラーン アン アウルサーライス。
| lóims-a | endríña | vir-án | an | aursár-ais. |
| 詠む<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 言葉-<対格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「子どもは祖先たちへ向けて、句を詠み終えた。」
成人の儀を終えたことを伝える文。語根 lóim- は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して lóims- にする。「an+対格」で、祖先のいる上方へ向けることを表す。
ansóina lourvirár þeláis aursárar an fóndaros.
読み:アンソイナ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル アン フォンダロス。
| ansóin-a | lourvirár | þel-áis | aursár-ar | an | fóndar-os. |
| 覚えている<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 名前-<〜たちを> | 祖先-<〜らの> | 上手 | 源-<属格> |
「「系譜読みは、源から続く祖先たちの名を覚えている。」」
ansén- は「思い出す」のほか、「記憶にとどめている」という状態も表す。時制がないので、未完了の形のままで、いつも覚えているという意味になる。系譜読みの務めを説明する文。
na fíndan aursárai virán múran.
読み:ナ フィンダン アウルサーライ ヴィラーン ムーラン。
| na | fínd-an | aursár-ai | vir-án | múr-an. |
| <〜ない> | 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<対格> | 崩れた-<軽性・対格> |
「祖先は崩れた言葉を聞き入れない。」
宮廷や家で、言葉づかいを戒めるときの言い方。virá「言葉」は軽性なので、形容詞は軽性・対格の -an をとって múran となる。崩れた言葉は重く、上へ昇らないという信仰が背景にある。
áura elþá aursáres an élvaran.
読み:アウラ エルサー アウルサーレス アン エルヴァラン。
| áur-a | elþá | aursár-es | an | élvar-an. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 火<主格> | 祖先-<属格> | 上手 | 天-<対格> |
「祖先の火(星)が天へ昇っていく。」
詩の一句。星を、昇っていった祖先の炉の火とみて elþá と言う。一つの祖先の火を指しているので単数で、数詞はつけない。an+対格で「上手へ」。
lúuma elþá aursáres némoran.
読み:ルーマ エルサー アウルサーレス ネーモラン。
| lúum-a | elþá | aursár-es | némor-an. |
| ご覧になる-<(軽いものが)> | 火<主格> | 祖先-<属格> | <我々>-<対格> |
「祖先の火(星)が、我々をご覧になっている。」
白月の満月の夜に祖先を祀るときなどの、祀りの言葉。祖先の火(星)は目上のものなので、「見る」の尊敬の補充形 lúum- で受ける。
lúin áura álmar, embeléimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベレーモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | embel-é-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<〜だろう>-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ったら、我々は祖先を祀ろう。」
満月の夜に祖先を祀る習わしについての、家の中の会話。lúin の節は主節の前に置く。推量法の -él- は、1人称の語尾 -imor の前で l が落ちて -é- になる。強勢が接尾辞に移るので、語根の ´ は消える。
émbelau ráuvan si kelár aursárais.
読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。
| émbel-au | ráuvan | si | kel-ár | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 森の巫<主格> | と | 伐る-<〜する人・主格> | 祖先-<〜たちを> |
「森の巫と樵が祖先を祀る。」
祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。
dulémbelim virán aursárail.
読み:ドゥレンベリン ヴィラーン アウルサーライル。
| dul-émbel-im | vir-án | aursár-ail. |
| <〜させていただく>-捧げる-<私が> | 言葉-<対格> | 祖先-<〜らに> |
「ご先祖さまに、言葉を捧げさせていただきます。」
祖先を祀る場で詩を捧げるときの前置き。謙譲の du- は母音の前で dul- になる。捧げる相手は与格で表す。
lúin hóinan faronárai, émbelan virán aursárail.
読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、エンベラン ヴィラーン アウルサーライル。
| lúin | hóin-an | faron-ár-ai, | émbel-an | vir-án | aursár-ail. |
| とき | 帰る-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 捧げる-<彼らが> | 言葉-<対格> | 祖先-<〜らに> |
「運び人たちは帰ってくると、祖先に言葉を捧げる。」
崖道から戻った者が、改まった言葉を祖先に捧げる習わしを説明する文。後半の主語は前半と同じなので言わない。
áura aurvirá an aursárais.
読み:アウラ アウルヴィラー アン アウルサーライス。
| áur-a | aurvirá | an | aursár-ais. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 祈り<主格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「祈りは祖先のもとへ昇る。」
祈りについての決まった言い方で、葬送や祭祀の場で唱える。aurvirá は言葉に属するので軽性になり、動詞は軽性の -a をとる。an+対格で「上手へ」。
élþa aurvirá, áura virá an aursárais.
読み:エルサ アウルヴィラー、アウラ ヴィラー アン アウルサーライス。
| élþ-a | aurvirá, | áur-a | virá | an | aursár-ais. |
| 燃える-<(軽いものが)> | 祈りの紙<主格> | 昇る-<(軽いものが)> | 言葉<主格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「祈りの紙が燃え、その言葉は祖先のもとへ昇っていく。」
願いを書いた紙を燃やす習わしを述べる文。紙は言葉を載せて昇るものなので軽性で、動詞は軽性の -a をとる。動詞で始まる節を二つ、読点で区切って並べている。
lúin éso nébro, na áura þondá, na fíndan aursárai élan.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ アウラ ソンダー、ナ フィンダン アウルサーライ エーラン。
| lúin | és-o | nébro, | na | áur-a | þondá, | na | fínd-an | aursár-ai | él-an. |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | 昇る-<(軽いものが)> | 誓い<主格> | <〜ない> | 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | <3人称単数・軽性>-<対格> |
「霧が出ているときには、誓いは昇らない。祖先にはそれが聞こえない。」
霧の夜に立てた誓いは無効だという教えを述べる文。霧 nébro は重性なので éso、þondá は軽性なので動詞は -a で一致する。後半では、その誓いを軽性の代名詞の対格 élan で受けている。
lúin gélim an kreinándo, áura mélna némes an aursárais.
読み:ルーイン ゲーリン アン クレイナンド、アウラ メルナ ネーメス アン アウルサーライス。
| lúin | gél-im | an | kreinándo, | áur-a | mélna | ném-es | an | aursár-ais. |
| とき | 行く-<私が> | 上手 | 納骨所<対格> | 昇る-<(軽いものが)> | 詩<主格> | <私>-<属格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「納骨所へ上るときには、私の詩が祖先の方々のもとへ昇っていく。」
成人の儀や祖先祀りで聖地に登る人の言葉。移動の動詞 gél- には方向の前置詞をかならず添えるので、an「上手へ」で上りの道だとわかる。詩は息なので軽く、祖先への捧げものとして上へ昇る。祖先は複数対格 -ais で表す。
tóran ólmarai an aurándo, émbelan aursárais.
読み:トーラン オルマライ アン アウランド、エンベラン アウルサーライス。
| tór-an | ólmar-ai | an | aurándo, | émbel-an | aursár-ais. |
| 来る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 上手 | 社<対格> | 祀る-<彼らが> | 祖先-<〜たちを> |
「年長者たちは上手の社へやって来て、祖先を祀る。」
儀礼について述べる文。白月の満月の夜の祖先祀りなどで使う言い方。aurándo は áur-「昇る」+-ándo「〜する所」から来た語で、「昇る所」を表す。重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。an+対格で「上手へ」を表す。後半の節は主語を言わず、動詞の語尾から前半と同じ年長者たちが主語だとわかる。
lúin áura álmar or dún, émbelan ólmarai aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル オル ドゥーン、エンベラン オルマライ アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar | or | dún, | émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 日の出側 | 丘<対格> | 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が丘の日の出側に昇ると、年長者たちは祖先を祀る。」
天体の位置を言う決まった言い方。星や月は指さしてはいけないので、よく知られた目印と方向の前置詞で位置を示す。or+対格で「〜の日の出側へ」を表す。lúin で始まる時の節は主節の前に置く。
émbelan ólmarai aursárais órunei.
読み:エンベラン オルマライ アウルサーライス オールネイ。
| émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais | órun-ei. |
| 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> | 日の出-<与格> |
「年長者たちは日の出の時刻に祖先を祀る。」
時刻を言う文。前置詞のない与格 órunei で、「日の出の時刻に」「明け方に」を表す。年代記で、出来事が明け方に起きたことを書くときにも、この与格を使う。
drénimor an ánoran ré embeléndimor aursárais.
読み:ドレーニモル アン アーノラン レー エンベレンディモル アウルサーライス。
| drén-imor | an | ánor-an | ré | embel-énd-imor | aursár-ais. |
| 参る-<我々が> | 上手 | 上手・北-<対格> | <〜と(節)> | 祀る-<〜しますように>-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「我々は、祖先を祀るために北の高みへ参る。」
北の高みの納骨所へ向かうときの言い方。drén- は「行く」の謙譲の補充形で、聖地に向かう行いを低めて言う。ré+願望法で目的を表す。an ánoran は「上手の北の地へ」で、前置詞と名詞が同じ方向を重ねて表している。
lóima lourvirár þeláis aursárar trúinar.
読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル トルーイナル。
| lóim-a | lourvirár | þel-áis | aursár-ar | trúin-ar. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 名前-<〜たちを> | 祖先-<〜らの> | 近しい-<〜らの> |
「系譜読みは、近しい祖先たちの名を唱える。」
祖先を祀る場の文。trúin は、瀬の数が少ない(世代の近い)祖先を言っている。形容詞は修飾する aursárar(軽性・複数・属格)に一致して trúinar になる。名詞句の語順は「名詞–属格–形容詞」ではなく、「祖先-の・近しい-の」と属格の名詞の後ろに形容詞が続く。
aurénde mélna an aursárais.
読み:アウレンデ メルナ アン アウルサーライス。
| aur-énd-e | mélna | an | aursár-ais |
| 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 詩<主格> | 上手 | 祖先-<〜たちを> |
「この詩が、ご先祖様がたのもとへ昇りますように。」
崖道から都へ帰った人などが、祖先に詩を捧げるときの言葉。主語 mélna は軽性なので、願望法の3人称単数は -e になる。an+対格で「上手へ」。
émbela ólmar houmíño aursárail.
読み:エンベラ オルマル ホウミーニョ アウルサーライル。
| émbel-a | ólmar | houmíño | aursár-ail. |
| 祀る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 椀<対格> | 祖先-<〜らに> |
「年長の方は、(恵みの)椀を祖先に供する。」
祖先祀りの場面。houmíño は供えられる食物そのものを指す詩的用法。aursár(「昇った者=祖先」)は複合名詞として1語の語根で、複数与格語尾 -ail が付く。動詞は主語の年長者(人・軽性)に一致。炉の北側の座から火のうえへ置く行為の婉曲な言い方。
hoummanénde aursár sáko hóumoi.
読み:ホウンマネンデ アウルサール サーコ ホーモイ。
| houmman-énd-e | aursár | sáko | hóum-oi |
| 与える-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 祖先<主格> | 塩<対格> | 炉-<与格> |
「祖霊が炉に塩を授けますように。」
儀礼的な祈願。願望法3人称単数・軽で、祖霊を主語に立てる。単なる物資の移動ではなく、共同体の存続を祈る含みを持つ。
aurselvéra selvá aursárar.
読み:アウルセルヴェーラ セルヴァー アウルサーラル。
| aurselvér-a | selvá | aursár-ar. |
| 息が白む-<(軽いものが)> | 息<主格> | 祖先-<〜らの> |
「祖先の息は、天の息になる。」
詩・祀りの詞の一節。祖先の息は昇るものとして軽性の主語になる。所属複数は名詞の複数属格 aursár-ar を名詞の後ろに置く。
mé gromvirésa aursárais.
読み:メー グロンヴィレーサ アウルサーライス。
| mé | gromvir-és-a | aursár-ais. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 人を重として呼ぶ-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 祖先-<〜たちを> |
「「祖先たちを重として呼んではならない。」」
法典・儀礼の禁止定。mé + 当為法は、主語を言わないかぎり一般の人が主語として表され、法文では「〜してはならない」と解される。語根に -és- が付くと強勢が移るので、gromvír- の語根の ´ は消える。祖先は人籍であり、これを重扱いに呼ぶことは禁じられる。
buldúlan aursárai éndrais
読み:ブルドゥーラン アウルサーライ エンドライス
| buldúl-an | aursár-ai | éndr-ais |
| 根を下ろす-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 人-<〜たちを> |
「祖先たちが、人々の根となる。」
儀礼や系譜の唱えに用いる句。主語 aursárai は軽性複数で、動詞は 3人称複数 -an をとる。目的語 éndrais は軽性複数の対格。人数を表すには数詞や双数を避け、複数形だけで表す。比喩的な主語が人を支える基盤になるという意味。
méira andaulóura soilkrélvo aursárei.
読み:メーラ アンダウローラ ソイルクレルヴォ アウルサーレイ。
| méir-a | andaulóura | soilkrélvo | aursár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 祖母<主格> | 髪留め<対格> | 祖先-<与格> |
「祖母が祖先に髪留めを渡す。」
祀りの場面。主語のandaulóuraは人なので軽性・3人称単数-a。受け手は与格aursárei。soilkrélvoは対格だが重性のため無標識。
noumovíran aursárai, na víran aursárai
読み:ノウモヴィーラン アウルサーライ、ナ ヴィーラン アウルサーライ
| noumo-vír-an | aursár-ai, | na | vír-an | aursár-ai |
| 顔-言う-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | <〜ない> | 言う-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> |
「祖先たちは顔で通じ合い、口には語らない。」
儀礼・系譜の読み上げなどで祖先どうしの通じを述べる、改まった定型句。主語 aursárai「祖先たち」が複数なので動詞は3複の -an をとる。第二節で vír-「言う」の否定を並べ、無言の合図が発語と同格に扱われることを示す。
ésa dralsnéla aursáres trúum
読み:エーサ ドラルスネーラ アウルサーレス トルーン
| és-a | dralsnéla | aursár-es | trúum |
| いる-<(軽いものが)> | 首布<主格> | 祖先-<属格> | 古びた |
「祖先の首布は古びている。」
書物や家系の記録のような文脈に合う、古い装具を指す文。dralsnéla に属格 aursáres を直後に置いて所有を表す。述語の trúum は物の古びた状態を表す。
亡くなって上へ昇り、天にいる祖先。星は祖先の炉の火と考えられている。生きている年上の親族(anlóur)とは区別される。祖先を指すときは高める語形を添えるのが礼儀で、数詞では数えない(複数 aursárai は「祖先の方々」というひとまとまりの意味)。
名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。複 aursárai。数詞・双数はつけない
áurs-(áur-「昇る」の完了語根)+ -ár「〜する人」。「昇りきった者」の意。
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