grúndo

品詞
名詞
意味
掛け
発音
[ˈgrundo]
読み
グルンド
分野
社会・信仰・儀礼

意味

  1. 掛け

    精算していない代価・借り。

    lúin na tóro nébro, méirim grúndo.

    読み:ルーイン ナ トーロ ネーブロ、メーリン グルンド。

    lúinnatór-onébro,méir-imgrúndo.
    とき<〜ない>来る-<(重いものが)>霧期<主格>与える-<私が>掛け<対格>

    「霧期が来ないうちに、掛けを払います。」

    縁の市での、精算の約束の言葉。霧の中で結んだ約束は重んじられないので、精算はかならず霧期の前に済ませる。同じことを市では、決まり文句の an nébroi「霧の前に(期限までに)」で言うことが多い。

    méirim grúndo tásei an duliþímei fáronos.

    読み:メーリン グルンド ターセイ アン ドゥリシーメイ ファーロノス。

    méir-imgrúndotás-eiandul-iþ-ím-eifáron-os.
    与える-<私が>掛け<対格><あなた>-<与格>〜の前に下る-<〜させる>-<〜の技・〜さ>-<与格>荷-<属格>

    「掛けは、荷を下ろす前にお前に払う。」

    縁の市での約束の言い方。時間は川の流れにたとえられ、早いほうが上手なので、an+与格が「〜の前に」の意味になる。duliþímei は dulíþ-「下ろす」に -ím「〜すること」がついた名詞の与格で、強勢は -ím に移る。同じ組み立ての決まり文句に an nébroi「霧の前に(=期限までに)」がある。

    mé véil grúndo! torélo nébro.

    読み:メー ヴェール グルンド!トレーロ ネーブロ。

    mévéilgrúndo!tor-él-onébro.
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>掛け<対格>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>

    「掛けを忘れるなよ。もうすぐ霧が来るぞ。」

    縁の市で商人どうしが交わす念押し。禁止は「mé+命令法」で、命令法2単はむき出しの語幹 véil。grúndo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形。後半は推量法で、主語の霧 nébro が重性なので語尾は -o。霧が来る前に精算する、という市の習わしを踏まえている。

    vandésa grúndo kéndoros orénos.

    読み:ヴァンデーサ グルンド ケンドロス オレーノス。

    vand-és-agrúndokéndor-osorén-os.
    量る-<〜すべし>-<(軽いものが)>掛け<対格>縁の市-<属格>縁-<属格>

    「縁の市の掛けは、量って(精算して)おくべし。」

    度量衡の碑に刻まれた市の決まりを思わせる、当為法の文。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。kéndor orénos で「縁の市」を表し、ここでは grúndo「掛け」にかかる属格になっている。

    þundésa senár grúndo kéndoros orénos.

    読み:スンデーサ セナール グルンド ケンドロス オレーノス。

    þund-és-asenárgrúndokéndor-osorén-os.
    裁く-<〜すべし>-<(軽いものが)>目付<主格>掛け<対格>縁の市-<属格>縁-<属格>

    「目付は縁の市の掛け(の揉め事)を裁くべし。」

    碑文の文体の当為法。碑文や法典では、役職を au- をつけずに一般の名として書く。senár は軽性なので、当為法の動詞も軽性の -a をとる。

    méir grúndo, ende.

    読み:メール グルンド、エンデ。

    méirgrúndo,ende.
    与える<命令法><あなたが>掛け<対格>どうぞ

    「掛けを払ってくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。掛けを「払う」は méir-「与える」で言い、動詞はむき出しの語幹の形になる。grúndo は重性o語幹なので、もともと主格と対格が同じ形。ende は願望法の語尾が固まってできた「どうぞ・頼む」。

    rímba lisár grúndo.

    読み:リンバ リサール グルンド。

    rímb-alis-árgrúndo.
    数える-<(軽いものが)>書く-<〜する人>掛け<対格>

    「書記が掛けを数え合わせる。」

    grúndo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。ここでは単数で、掛けの全体をひとまとまりとして言っている。帳面の見開きの片側に下ろし荷を、もう片側に上げ荷を書き、両方を突き合わせて掛けを精算する。

    þúnda senár grúndo faronárar.

    読み:スンダ セナール グルンド ファロナーラル。

    þúnd-asen-árgrúndofaron-ár-ar.
    裁く-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>掛け<対格>荷-<〜する人>-<〜らの>

    「目付は運び人たちの掛けをめぐる揉め事を裁く。」

    縁の市の慣行を述べる文。grúndo「掛け」は重性の o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。属格 faronárar は名詞の後ろに置く。

    auþundénde ausenár grúndo.

    読み:アウスンデンデ アウセナール グルンド。

    au-þund-énd-eau-sen-árgrúndo.
    <お〜になる・御〜>-決着をつける-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人・主格>掛け<対格>

    「目付殿に、掛けの決着をつけていただきたく存じます。」

    市で揉め事が起きたとき、都の手代が目付に頼む上向きの言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を役職名+au- の主語として扱う。

    þundéla senár grúndo, na gruunéimor.

    読み:スンデーラ セナール グルンド、ナ グルーネーモル。

    þund-él-asen-árgrúndo,nagruun-é-imor.
    決着をつける-<〜だろう>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>掛け<対格><〜ない>怒る-<〜だろう>-<我々が>

    「目付が掛けの決着をつけてくれよう。そうなれば我々も腹を立てずにすむ。」

    市で言い争う二人をなだめるときの、並びの話し方。senár は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。後半の推量法は na で否定し、1人称の語尾の前では -él- の l が落ちる。

    ruunléima lisár grúndo vándarei.

    読み:ルーンレーマ リサール グルンド ヴァンダレイ。

    ruunléim-alisárgrúndovándar-ei.
    返す-<(軽いものが)>書記<主格>掛け<対格>商人-<与格>

    「書記は商人に掛けを返す。」

    grúndo「掛け・負債」のような抽象的な借り・負い目を返す用法。物の返却と同じく、返されるものを対格、相手を与える格にとる。帳簿・商取引の場面を想定する。

    du nebroþaló, na rímba vándar grúndo.

    読み:ドゥ ネブロサロー、ナ リンバ ヴァンダル グルンド。

    dunebroþaló,narímb-avándargrúndo.
    下手霧明け<対格><〜ない>数える-<(軽いものが)>商人<主格>掛け<対格>

    「霧明けまでは、商人は掛け勘定を数えない。」

    帳簿・市の記述で、霧明けを期限として、それまで掛け勘定を数えないことを言う文。du+対格は時間上の「〜まで」を表す。nebroþalóは重性名詞で、単数主格・対格は同形。主語のvándarは軽性なので動詞は3人称単数軽性の-aをとり、grúndoは重性名詞の単数対格で無標識。

    na bréunim grúndul

    読み:ナ ブレウニン グルンドゥル

    nabréun-imgrúnd-ul
    <〜ない>積む-<私が>掛け-<〜たちを>

    「私は借りを積まない。」

    日常の会話で、自分の債務・負担を増やさない意思を述べる文。掛け(grúndo)の複数対格は grúndul。否定の na は動詞の直前に置く。比喩用法であり、物を物理的に重ねる意味ではない。

    bréuna vándar grúndul faronárei

    読み:ブレウナ ヴァンダル グルンドゥル ファロナーレイ

    bréun-avándargrúnd-ulfaron-ár-ei
    積む-<(軽いものが)>商人<主格>掛け-<〜たちを>荷-<〜する人>-<与格>

    「商人は運び人に借りを積む。」

    市や仕事の場面で、荷を扱う商人が運び人に債務負担を負わせる文。受け手 faronárei は faronár の与格。主語 vándar は人・軽性なので動詞も軽性の bréuna。比喩用法では、grúndo の「掛け・借り」を重さのある負担として積み重ねる。

  2. 負い目

    人に負っている恩義や借り。

    na véilim grúndo, séulin.

    読み:ナ ヴェーリン グルンド、セウリン。

    navéil-imgrúndo,séulin.
    <〜ない>忘れる-<私が>負い目<対格>友

    「その恩義は忘れないよ、友よ。」

    同じ段の親しい相手への言い方。呼格は日常では使わないので、呼びかけの名詞を文の終わりに読点で区切って添える。grúndo は金銭の掛けだけでなく、人に負っている恩義も指す。

    gróm grúndo, fláin selvá.

    読み:グローン グルンド、フライン セルヴァー。

    grómgrúndo,fláinselvá.
    重い負い目<主格>軽い息<主格>

    「重きは負い目、軽きは息。」

    諺。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置いているので、格言だとわかる。負い目は人を「重く」して下へ引くものとされる。形容詞は主語に一致するが、どちらも単数の主格なので語尾はつかない。

解説

まだ精算していない代価、つまり借りや掛け。縁の市では乾風期の後半に前半の掛けを精算し、霧が来る前にかならず済ませる。借りを重荷とみる発想から、恩義や負い目の意味にも広がる。

文法

重性・o語幹(④型)。属 grúndos、複 grúndul。

語源

gróm「重い」と同源とされる。借りを「重いもの」とみる見方による。

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