tás

品詞
代名詞
意味
お前
発音
[ˈtas]
読み
タース
分野
代名詞・指示詞・疑問詞

意味

  1. お前

    同じ段か目下の聞き手を指す2人称単数の代名詞。目上には使わない。

    ké éso tambór tásei? na éso tambór némei.

    読み:ケー エーソ タンボール ターセイ?ナ エーソ タンボール ネーメイ。

    kéés-otambórtás-ei?naés-otambórném-ei.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><私>-<与格>

    「「お前、雑穀はあるか?」「私には雑穀はない。」」

    二人の発話。所有は「持つ」という動詞ではなく、「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 tambór(重性)に一致する。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前の ké で作る。答えは動詞を繰り返すが、動詞が物に一致しているので人称は変わらず、「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso となる。ké máines?「食べたか」→ máinim「食べた」のような、人称を変える答え方と比べてほしい。

    gélers tás si sélvan si silára du orén.

    読み:ゲーレルス タース シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。

    gél-erstássisélvansisiláraduorén.
    行く-<あなたがたが><あなた>とセルヴァン<主格>とシラーラ<主格>下手縁<対格>

    「お前とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」

    「お前」が入るので2人称複数。

    lís þelán táses séndoi!

    読み:リース セラーン ターセス センドイ!

    lísþel-ántás-essénd-oi!
    書く<命令法><あなたが>名前-<対格><あなた>-<属格>ここ-<与格>

    「「ここにお前の名を書け。」」

    下向きの命令。命令法の2人称単数はむき出しの語幹 lís。目上の人には使えず、目上には願望法3人称(aulisénde …)で頼む。名前を書くことは息を使わないので、名の禁忌には当たらない。

    ké ésa plána tásei? ésa.

    読み:ケー エーサ プラーナ ターセイ?エーサ。

    kéés-aplánatás-ei?és-a.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>帳簿<主格><あなた>-<与格>いる-<(軽いものが)>

    「「お前、帳簿はあるか?」「ある。」」

    二人の発話。同じ段どうしか、目下に向けたくだけた問い。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 plána(軽性)に一致する。「はい」にあたる語はないので、動詞を繰り返して答える。動詞が物に一致しているので、答えでも人称は変わらない。

    ésa virá táses rúgal.

    読み:エーサ ヴィラー ターセス ルーガル。

    és-avirátás-esrúgal.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格><あなた>-<属格>粗い

    「お前の言葉は粗い。」

    相手の言葉づかいをとがめる、くだけた言い方。2人称の代名詞 tás を使うので、目上の人には使えない。言葉は息であり上へ昇るべきものとされるので、「粗い」と言われるのは強い非難になる。

    ké éso fáron tásei? na éso.

    読み:ケー エーソ ファーロン ターセイ?ナ エーソ。

    kéés-ofárontás-ei?naés-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>荷<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>

    「「お前、荷はあるか?」「いや、ない。」」

    所有の問いと否定の答え。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく、持たれている物 fáron(重性)に一致する。そのため答えでも人称は変わらず、na éiso となる。

    ké tóra séulin táses?

    読み:ケー トーラ セウリン ターセス?

    kétór-aséulintás-es?
    <〜か>来る-<(軽いものが)>友<主格><あなた>-<属格>

    「お前の友は来たか?」

    はい・いいえの問いは、文のいちばん前の ké で作る。tás の属格 táses は、所有者として名詞の後ろに置く。2人称と ké を使っているので、目上の人には使えない話し方。

    ké éso tambór tásei? na éso.

    読み:ケー エーソ タンボール ターセイ?ナ エーソ。

    kéés-otambórtás-ei?naés-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>

    「「お前、雑穀はあるか?」「ない。」」

    二人の発話。高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返して答え、否定なら na をつける。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 tambór(重性)に一致する。そのため答えでも人称は変わらず、「ある」なら éso、「ない」なら na éso となる。

    séirim tásan, lúin áura sílar.

    読み:セーリン ターサン、ルーイン アウラ シーラル。

    séir-imtás-an,lúináur-asílar.
    待つ-<私が><あなた>-<対格>とき昇る-<(軽いものが)>月<主格>

    「月が昇るころ、お前を待っている。」

    同じ段の者どうしの、くだけた言い方。tás は②型の語尾で格変化し、対格は tásan になる。lúin は「〜とき」の節を導き、節の中も動詞で始まる。目上の人には tás を使わず、役職名などを3人称で言う。

    méirim grúndo tásei an duliþímei fáronos.

    読み:メーリン グルンド ターセイ アン ドゥリシーメイ ファーロノス。

    méir-imgrúndotás-eiandul-iþ-ím-eifáron-os.
    与える-<私が>掛け<対格><あなた>-<与格>〜の前に下る-<〜させる>-<〜の技・〜さ>-<与格>荷-<属格>

    「掛けは、荷を下ろす前にお前に払う。」

    縁の市での約束の言い方。時間は川の流れにたとえられ、早いほうが上手なので、an+与格が「〜の前に」の意味になる。duliþímei は dulíþ-「下ろす」に -ím「〜すること」がついた名詞の与格で、強勢は -ím に移る。同じ組み立ての決まり文句に an nébroi「霧の前に(=期限までに)」がある。

    té, séir! na sénim nóumo táses.

    読み:テー、セール!ナ セーニン ノーモ ターセス。

    té,séir!nasén-imnóumotás-es.
    そこの方待つ<命令法><あなたが><〜ない>見る-<私が>顔<対格><あなた>-<属格>

    「そこの方、待て!顔が見えない。」

    霧の濃い道で、正体のわからない相手を呼び止める言い方。呼びかけの té は文の頭に置くこともでき、そのときは読点で区切る。目上の人かもしれない相手には、命令法の séir ではなく、決まり文句の seirénde「しばしお待ちを」を使う。

    ké ésau tambór si sáko tásei?

    読み:ケー エーサウ タンボール シ サーコ ターセイ?

    kéés-autambórsisákotás-ei?
    <〜か>いる-<双数>雑穀<主格>と塩<主格><あなた>-<与格>

    「お前のところに雑穀と塩はあるか?」

    市での品の問い合わせ。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。si には強勢がなく、後ろの語に寄りかかって発音される。

    lís þelán táses sérin.

    読み:リース セラーン ターセス セーリン。

    lísþel-ántás-essérin.
    書く<命令法><あなたが>名前-<対格><あなた>-<属格>このように

    「自分の名前を、こうやって書いてごらん。」

    師が手本を書いて見せながら、子どもに言う言い方。下向きなので命令法の2人称単数(むき出しの語幹)を使う。sérin は様子を表す語として、文の後ろのほうに置く。目的語に格語尾がついているので、市の取引言葉ではなく命令法だとわかる。

    ké éso póin tásei?

    読み:ケー エーソ ポイン ターセイ?

    kéés-opóintás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>何か<主格><あなた>-<与格>

    「何か持っているか。」

    所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物 póin(重性)に一致するので éso になる。2人称 tás を使っているので、下向きか、ごく親しい相手への問い。

    ké éso már táses só?

    読み:ケー エーソ マール ターセス ソー?

    kéés-omártás-essó?
    <〜か>いる-<(重いものが)>手跡<主格><あなた>-<属格>この<重性>

    「「この手跡はお前のものか。」」

    はい・いいえの問いで、ké を文のいちばん前に置く。már は重性なので、指示詞は重性の só、繋辞は -o。手紙や証文の筆跡が誰のものか確かめるときの、下向きの問い。目上の人には ké を使わず、推量法で尋ねる。

    méirim téir kéulais tásei.

    読み:メーリン テール ケウライス ターセイ。

    méir-imtéirkéul-aistás-ei.
    与える-<私が>三頭-<〜たちを><あなた>-<与格>

    「お前に(家畜を)三頭やろう。」

    村や牧での、目下か同輩に向けたくだけた言い方(2人称の tás を使う)。何を数えているかが場面から明らかなので、数えるものの複数属格を省き、量の名詞 kéul だけで言っている。数詞 téir の後ろなので複数、目的語なので複数対格 kéulais になる。語順は動詞–目的語–与格(受け手)。

    flúun nóumo táses, endríña.

    読み:フルーン ノーモ ターセス、エンドリーニャ。

    flúunnóumotás-es,endríña.
    洗う<命令法><あなたが>顔<対格><あなた>-<属格>子ども

    「顔を洗いなさい、坊や。」

    親が子に言う下向きの命令。日常では呼格を使わないので、呼びかけの名詞は読点で区切って文の終わりに添える。nóumo は重性o語幹で、主格と対格が同じ形。

    mé léim virán gráisan un múndo táses!

    読み:メー レーン ヴィラーン グライサン ウン ムンド ターセス!

    méléimvir-ángráis-anunmúndotás-es!
    <禁止・願いの打ち消し>置く<命令法><あなたが>言葉-<対格>悪い-<対格>内に口<対格><あなた>-<属格>

    「悪い言葉を口に入れるな(=口にするな)。」

    親が子を叱るときの言い方。炉の前では粗野な言葉を口にしてはいけないとされる。禁止は「mé+命令法」で言う。un+対格で「〜の中へ」を表す。múndo は重性なので、対格は主格と同じ形になる。形容詞 gráis は軽性の virá に合わせて、対格の -an をとる。

    brúumo frúm es fréunos táses.

    読み:ブルーモ フルーン エス フレウノス ターセス。

    brúum-ofrúmesfréun-ostás-es.
    落ちる-<(重いものが)>血<主格>から額-<属格><あなた>-<属格>

    「お前の額から血が垂れているぞ。」

    けがを知らせるくだけた文。主語の frúm「血」が重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。es+属格で「〜から」を表す。時制の語形がないので、「垂れた」とも「垂れている」とも読める。

    flúun drál táses!

    読み:フルーン ドラール ターセス!

    flúundráltás-es!
    洗う<命令法><あなたが>首<対格><あなた>-<属格>

    「首を洗いなさい。」

    親が子に言う下向きの命令で、命令法2単はむき出しの語幹 flúun。drál は体の部分なので重性で、対格は主格と同じ形。

    maníres þérno, elþélo bélo táses.

    読み:マニーレス セルノ、エルセーロ ベーロ ターセス。

    man-ír-esþérno,elþ-él-obélotás-es.
    食べる-<もし〜なら>-<あなたが>毒きのこ<対格>燃える-<〜だろう>-<(重いものが)>腹<主格><あなた>-<属格>

    「毒きのこを食べたら、腹が焼けるぞ。」

    条件の節には接続詞を使わず、仮定法 maníres だけで「もし〜なら」を表す。帰結の節は推量法で、主語の bélo が重性なので -o をとる。雨期にきのこを採るときの戒めの言い方。

    pón nóuro brés táses?

    読み:ポーン ノーロ ブレース ターセス?

    pónnóur-obréstás-es?
    何<対格>思う-<(重いものが)>胸の内<主格><あなた>-<属格>

    「お前は胸の内で何を思っている?(直訳:お前の胸は何を思っている)」

    親しい者か目下の者への問い。2人称 tás を使うので、下向きかくだけた話し方になる。疑問詞を文頭に出す問いには ké をつけない。胸を主語にして思いのありかを言う言い方で、動詞は重性の brés に一致して -o をとる。息が宿る場所として、胸は思いのありかとされる。

    ké glǘno klóno táses? glǘno.

    読み:ケー グリューノ クローノ ターセス?グリューノ。

    kéglǘn-oklónotás-es?glǘn-o.
    <〜か>凍る-<(重いものが)>膝<主格><あなた>-<属格>凍る-<(重いものが)>

    「「膝が冷えるか?」「冷える。」」

    二人の発話。家の中で、年長の者を気づかう日常のやりとり。はい・いいえで答える問いは文頭の ké で作り、答えは動詞を繰り返す。動詞は重性の klóno に一致しているので、答えでも人称は変わらず glǘno のまま。

    pón kráilo lámo táses?

    読み:ポーン クライロ ラーモ ターセス?

    pónkráil-olámotás-es?
    何<対格>手に持つ-<(重いものが)>掌<主格><あなた>-<属格>

    「お前の掌は何を握っているんだ?」

    疑問詞 pó(重性)は、対格でも主格と同じ形で、動詞の前に出る。主語の lámo「掌」は重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。2人称の代名詞の属格 táses を使っているので、下向きか、くだけた場での問い。

    ké ésa brél tásei? ésau brélau némei.

    読み:ケー エーサ ブレール ターセイ?エーサウ ブレーラウ ネーメイ。

    kéés-abréltás-ei?és-aubrél-auném-ei.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>きょうだい<主格><あなた>-<与格>いる-<双数>きょうだい-<双数><私>-<与格>

    「「お前にはきょうだいがいるか?」「きょうだいが二人いる。」」

    二人の発話。所有の動詞は持たれているほうに一致するので、答えでは人称ではなく数が変わり、双数の ésau になる。brél は年の上下を問わない言い方で、上下を言うときは ambrél・dubrél を使う。

    pá ésa anlóur táses?

    読み:パー エーサ アンロール ターセス?

    páés-aanlóurtás-es?
    誰<主格>いる-<(軽いものが)>親<主格><あなた>-<属格>

    「お前の親は誰だ?」

    日常の問い。疑問詞 pá「誰」は文頭に出て、繋辞 és- がそのあとに続く。tás を使っているので、目下の者か子どもへの問いになる。

    mé vrín dubrélan táses!

    読み:メー ヴリーン ドゥブレーラン ターセス!

    mévríndubrél-antás-es!
    <禁止・願いの打ち消し>またぐ<命令法><あなたが>弟・妹-<対格><あなた>-<属格>

    「弟(妹)をまたぐな。」

    親が年上の子をしかるときの決まった言い方。人をまたぐのは、その人の上に立つことになるので強い無礼とされ、相手がきょうだいでも許されない。禁止は「mé+命令法」。語幹 vrín- には削る子音のつながりがないので、命令形は語幹のまま。

    toréndes an gráun dúnos, séirim tásan.

    読み:トレンデス アン グラウン ドゥーノス、セーリン ターサン。

    tor-énd-esangráundún-os,séir-imtás-an.
    来る-<〜しますように>-<あなたが>上手上端<対格>丘-<属格>待つ-<私が><あなた>-<対格>

    「丘のてっぺんまで来てくれないか。待っているから。」

    同じ段の者どうしの約束の言い方。同じ段の相手なので、命令法ではなく願望法の2人称を使う。gráun に丘 dún の属格を添えて、「丘のてっぺん」と言う。坂の多い都では、待ち合わせの場所によく使われる言い方である。

    ké ésa réina gléin tásei?

    読み:ケー エーサ レーナ グレーン ターセイ?

    kéés-aréinagléintás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>雨水<主格>清い<あなた>-<与格>

    「清い雨水はお前のところにあるか。」

    墨をするときや祀りの器を清めるときに、家の者に尋ねる言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている雨水 réina(軽性)に一致する。答えは éisa か na éisa。

    éso þúumo séndoi, na sénim tásan.

    読み:エーソ スーモ センドイ、ナ セーニン ターサン。

    és-oþúumosénd-oi,nasén-imtás-an.
    いる-<(重いものが)>濃霧<主格>ここ-<与格><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「「ここは濃霧だ。お前が見えない。」」

    霧期に、すぐそばの相手に話しかける日常の言い方。þúumo は重性なので、存在の動詞は éso になる。読点で区切って主節を二つ並べている。後半は直説法なので na で否定する。2人称の tás を使っているので、同輩か目下の相手への話し方になる。

    ké ésa þóvra tásei?

    読み:ケー エーサ ソーヴラ ターセイ?

    kéés-aþóvratás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>影の木<主格><あなた>-<与格>

    「お前のところに影の木はあるか。」

    はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物に一致する。生えている木を指すので軽性の ésa。2人称を使っているので、同じ段か下の者に向けたくだけた問い。

    gloumiþéla náuvra tásan; mé mán!

    読み:グロウミセーラ ナウヴラ ターサン、メー マーン!

    gloum-iþ-él-anáuvratás-an;mémán!
    惑う-<〜させる>-<〜だろう>-<(軽いものが)>酔いきのこ<主格><あなた>-<対格><禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>

    「酔いきのこはお前を惑わすぞ。食べるな!」

    目下の者や子どもへの注意。gloum-「惑う」に使役の -íþ- がついて「惑わせる」になる。結果の予告は推量法で言い、強勢は -él- に移る。náuvra は軽性なので、動詞は -a をとる。きのこのうちで náuvra だけが軽性なのは、食べた者を浮わつかせるものと見なされるからだと説明されることがある。

    pó ésa þelá táses?

    読み:ポー エーサ セラー ターセス?

    póés-aþelátás-es?
    何<主格>いる-<(軽いものが)>名前<主格><あなた>-<属格>

    「お前の名は何だ。」

    見張りの番人などが、素性の知れない者に使う、ぶっきらぼうな下向きの問い。疑問詞 pó を文頭に出した繋辞の文で、繋辞は主語の þelá(軽性)に一致している。改まった場では、相手に名乗らせる形(pán þéles?「何と名乗る」)や推量法を使う。霧の中では、名前を尋ねること自体が避けられる。

    lúin sénim álmaran, nóurim tásan.

    読み:ルーイン セーニン アルマラン、ノーリン ターサン。

    lúinsén-imálmar-an,nóur-imtás-an.
    とき見る-<私が>白月-<対格>思い慕う-<私が><あなた>-<対格>

    「白月を見るたびに、あなたを想う。」

    人を対格にとると「思い慕う」の意味になる。手紙や詩によく出る言い方。2人称の tás は、親しい間柄でだけ使う。

    ké na éso hémbro tásei?

    読み:ケー ナ エーソ ヘンブロ ターセイ?

    kénaés-ohémbrotás-ei?
    <〜か><〜ない>いる-<(重いものが)>恥<主格><あなた>-<与格>

    「お前には恥というものがないのか。」

    たしなめる下向きの問い。ké は文のいちばん前、na は動詞の直前に置く。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 hémbro(重性)に一致して éso になる。

    viríres lúdro, gruunélan aursárai tásei.

    読み:ヴィリーレス ルードロ、グルーネーラン アウルサーライ ターセイ。

    vir-ír-eslúdro,gruun-él-anaursár-aitás-ei.
    言う-<もし〜なら>-<あなたが>嘘<対格>怒る-<〜だろう>-<彼らが>祖先-<〜たちが><あなた>-<与格>

    「嘘をつけば、ご先祖様がお前にお怒りになるだろう。」

    年長者が子どもを戒めるときの言い方。条件は接続詞を使わず、仮定法で表す。帰結の部分は推量法になる。法の接尾辞 -ír-・-él- は強勢をもつので、語根の ´ は消える(grúun- → gruunélan)。

    povérim tásei, glén!

    読み:ポヴェーリン ターセイ、グレーン!

    povér-imtás-ei,glén!
    問う-<私が><あなた>-<与格>答える<命令法><あなたが>

    「お前に聞いているんだ、答えろ!」

    下向きの、苛立ちのこもった言い方。命令法2単は語幹 glén のままで言う。目上の人に対しては決して使わない。

    éso nébro. lúin hála páin þelán táses, mé glén!

    読み:エーソ ネーブロ。ルーイン ハーラ パイン セラーン ターセス、メー グレーン!

    és-onébro.lúinhál-apáinþel-ántás-es,méglén!
    いる-<(重いものが)>霧<主格>とき呼ぶ-<(軽いものが)>誰か<主格>名前-<対格><あなた>-<属格><禁止・願いの打ち消し>答える<命令法><あなたが>

    「霧が出ている。誰かがお前の名を呼んでも、答えてはいけない。」

    霧の禁忌について、親が子に言い聞かせる言葉。「霧がある」は繋辞 és- で言い、霧 nébro が重性なので語尾は -o。禁止は「mé+命令法」。

    ké éso tálmo tásei?

    読み:ケー エーソ タルモ ターセイ?

    kéés-otálmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>斧<主格><あなた>-<与格>

    「お前、斧は持っているか。」

    森の村などで使うくだけた問い。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 tálmo(重性)に一致して éso になる。答えは「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso で、動詞の人称は変わらない。

    ké éso reinándo tásei? éso.

    読み:ケー エーソ レイナンド ターセイ?エーソ。

    kéés-oreinándotás-ei?és-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雨水甕<主格><あなた>-<与格>いる-<(重いものが)>

    「「お前のところに雨水甕はあるか?」「ある。」」

    二人の発話。reinándo は「雨水を受ける所」を表す、場所の接尾辞 -ándo をもつ重性の o語幹名詞なので、繋辞は éso になる。所有は「és-+物+持ち主の与格」で言う。はい・いいえの語がないので、問いの動詞を繰り返して答える。

    ké ésa dreumá tásei? ésa dreumá némei.

    読み:ケー エーサ ドレウマー ターセイ?エーサ ドレウマー ネーメイ。

    kéés-adreumátás-ei?és-adreumáném-ei.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>墨<主格><あなた>-<与格>いる-<(軽いものが)>墨<主格><私>-<与格>

    「「お前、墨は持っているか?」「持っている。」」

    二人の発話。dreumá は dréum「黒い」に軽いものを表す -á がついた語で、強勢が語尾にある。言葉を載せて昇るものなので軽性になり、繋辞は ésa。所有は「és-+物+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく墨に一致する。

    sénim tásan anlúin.

    読み:セーニン ターサン アンルーイン。

    sén-imtás-ananlúin.
    見る-<私が><あなた>-<対格>以前に

    「お前には以前に会ったことがある。」

    くだけた日常の会話で、下向きか同じ段の相手に使う。高原語には時制がないので、動詞の形は「見る」と同じままでよい。過去のことだとわかるのは副詞 anlúin「以前に」があるからである。anlúin は格語尾をつけずに副詞として働き、文の後ろに置く。

    tór, lúin tóra nóra! séirim tásan.

    読み:トール、ルーイン トーラ ノーラ!セーリン ターサン。

    tór,lúintór-anóra!séir-imtás-an.
    来る<命令法><あなたが>とき来る-<(軽いものが)>夜分<主格>待つ-<私が><あなた>-<対格>

    「晩になったら来い。待っているぞ。」

    親しい目下の相手への、くだけた誘い。lúin tóra nóra「夜分が来るとき」で「晩になったら」を表す。命令法の2人称単数は語幹そのままの tór。

    tóro nebrálvo. ké éso gleinó tásei?

    読み:トーロ ネブラルヴォ。ケー エーソ グレイノー ターセイ?

    tór-onebrálvo.kéés-ogleinótás-ei?
    来る-<(重いものが)>霧期<主格><〜か>いる-<(重いものが)>護符<主格><あなた>-<与格>

    「霧期が来る。お前、護符は持っているか?」

    家族や親しい者どうしの日常会話。nebrálvo は重性なので、動詞は重性の -o(tóro)で一致する。季節名のうち、重性の一致をとるのはこの語だけである。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 gleinó(重性)に一致する。

    grómim. véilim þelán táses, séulin.

    読み:グローミン。ヴェーリン セラーン ターセス、セウリン。

    grómim.véil-imþel-ántás-es,séulin.
    すまない忘れる-<私が>名前-<対格><あなた>-<属格>友

    「すまない、友よ。お前の名前を忘れてしまった。」

    親しい相手への、くだけた謝罪。grómim は「私は重い」というのがもとの意味で、過ちを「自分が重くなった」ととらえる見方から来ている。呼びかけの séulin は、読点で区切って文の終わりに置く。

    grómim! na sénim tásan.

    読み:グローミン!ナ セーニン ターサン。

    grómim!nasén-imtás-an.
    すまない<〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「すまない!お前が見えなかった。」

    人混みの市で人にぶつかったときの、とっさの謝罪。直説法の文は、動詞の直前に na を置いて否定する。2人称の tás を使っているので、目上の人には使えない。

    ké éso sáko tásei? nés.

    読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?ネース。

    kéés-osákotás-ei?nés.
    <〜か>いる-<(重いものが)>塩<主格><あなた>-<与格>ない(品切れ)

    「「塩はあるか?」「ない。」」

    市で品物の有無を尋ねられて、品切れだと答える言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。改まった言葉なら na éiso と動詞を繰り返して答えるところを、取引言葉では nés の一語ですませる。sáko は干潟から借りた語で重性。

    hóu! ké éses? na sénim tásan.

    読み:ホー!ケー エーセス?ナ セーニン ターサン。

    hóu!kéés-es?nasén-imtás-an.
    おい<〜か>いる-<あなたが><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「おい!いるのか?お前が見えない。」

    霧期に、名前を呼ぶかわりに hóu で相手の注意を引く言い方。霧の中で名前を呼ぶと名前の主が下の国に引かれるとされるので、名前のかわりにこの声を使う。はい・いいえの問いは文のいちばん前の ké で作る。

    ésa fírna tásei, lís þelán táses.

    読み:エーサ フィルナ ターセイ、リース セラーン ターセス。

    és-afírnatás-ei,lísþel-ántás-es.
    いる-<(軽いものが)>筆<主格><あなた>-<与格>書く<命令法><あなたが>名前-<対格><あなた>-<属格>

    「筆はあるだろう、自分の名を書いてごらん。」

    師や親が子どもに字を習わせるときの、下向きの言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく、持たれている fírna(軽性)に一致する。命令法の2人称単数は語幹そのまま(lís)。二つの節を接続詞なしで並べるので、あいだを読点で区切る。

    ké éso sáko tásei?

    読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?

    kéés-osákotás-ei?
    <〜か>ある-<(重いものが)>塩<主格><あなた>-<与格>

    「お前、塩はあるか?」

    所有は持ち主の与格で表す。動詞は持ち主ではなく、持たれている塩 sáko(重性)に一致する。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éiso、「いいえ」なら na éiso と言う。

    ké foumtáules tás lúsan?

    読み:ケー フォウンタウレス タース ルーサン?

    kéfoumtául-estáslús-an
    <〜か>温取る-<あなたが><あなた・主格>粥-<対格>

    「お前は温かい粥をすするのか。」

    日常会話での直接問い。縁の市の取引言葉では foumtául- は使われない。2人称単数の直説法 foumtáules を使っている。

    ké múndaures tás?

    読み:ケー ムンダウレス タース?

    kémúndaur-estás?
    <〜か>笑う-<あなたが><あなた>

    「お前は笑っているのか。」

    文頭に ké を置くはい/いいえの問い。同輩から下の者に対する下向きの形なので、2人称単数の語尾 -es を直接使う。主語の代名詞 tás は対比的な強調で動詞の後ろに置いた。múndaur- は顔の動きを見る語として、くだけた場面で使いやすい。

    þúelim tásan.

    読み:スーエリン ターサン。

    þúel-imtás-an.
    追う-<私が><あなた>-<対格>

    「あなたについていく。」

    人称代名詞 tás に、対格接尾辞 -an を付けた形。

    ké éso krénmo tásei?

    読み:ケー エーソ クレンモ ターセイ?

    kéés-okrénmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>環<主格><あなた>-<与格>

    「あなたに環はあるか。」

    日常の尋ね。所有や存在は「ある」+持ち主の与格で表す。krénmo は重性o語幹で、主格と対格が同形。éso は主語 krénmo に一致して重性単数の語尾 -o。

    ké éso grél táses klér?

    読み:ケー エーソ グレール ターセス クレール?

    kéés-ogréltás-esklér?
    <〜か>いる-<(重いものが)>のど<主格><あなた>-<属格>冷たい

    「あなたののどは冷たいですか。」

    日常会話で身体の状態を尋ねる文。grél は身体部位としては重性の名詞とみなす。所有は名詞に属格 tás-es を後置する。述語形容詞 klér は重性単数の主格で無標識。

    virsnáles tás si na víres virán

    読み:ヴィルスナーレス タース シ ナ ヴィーレス ヴィラーン

    virsnál-estássinavír-esvir-án
    口をとがらせる-<あなたが><あなた・主格>CONN<〜ない>言う-<あなたが>言葉-<対格>

    「あなたは口をとがらせ、ひとことも言わない。」

    「言葉を閉じる」意を、物を言わない述語節で明示する文。主語を繰り返さず、同じ聞き手への否定節も人称語尾 -es を保つ。na は文ではなく動詞の直前に来る。

    súnim tásan

    読み:スーニン ターサン

    sún-imtás-an
    袖引く-<私が><あなた>-<対格>

    「私はあなたの袖をちょっと引く。」

    くだけた用法。sún- は相手の袖・衣端を指先で軽くつまんで一瞬引く身振りで、目的語に相手(人)をとり、「こっちへ」「見てくれ」の軽い合図として使う。力を入れて引く動詞とは別。人称代名詞を目的語にとる場合は対格が必要で、2人称単数の対格は tásan。

    ké éso þám tásei?

    読み:ケー エーソ サーン ターセイ?

    kéés-oþámtás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>釘<主格><あなた>-<与格>

    「釘はあるか。」

    日常の所有の問い。þám は重性名詞なので存在動詞は3単重性 éso になる。所有は「持つ」という動詞ではなく、被所有物の存在と持ち主の与格で表す。目上には ké を使わない。

    ké éso ruunó táses klér?

    読み:ケー エーソ ルーノー ターセス クレール?

    kéés-oruunótás-esklér
    <〜か>be-<(重いものが)>後ろ<主格><あなた>-<属格>冷たい

    「「あなたの背(後ろ側)は冷たいか。」」

    人体の背面、背中から尻にかけての背面を表す用法。所有は名詞の後ろに属格の代名詞を置く。

    ké éso filplén tásei?

    読み:ケー エーソ フィルプレーン ターセイ?

    kéés-ofilpléntás-ei?
    <〜か>存在-<(重いものが)>数え盤<主格><あなた>-<与格>

    「あなたには数え盤があるか。」

    帳場や市での日常会話。所有は存在動詞と与格で表し、持たれるもの filplén が主語になって動詞に一致する。filplén は重性子音語幹として扱う。

    na eelþérim tásan.

    読み:ナ エールセーリン ターサン。

    naeelþér-imtás-an
    <〜ない>からかう-<私が><あなた>-<対格>

    「私はあなたをからかっていません。」

    くだけた日常会話。否定小辞 na は動詞の直前に置く。二人称代名詞の直接目的語は対格 tásan をとる。

    ké kánþes tás tambór?

    読み:ケー カンセス タース タンボール?

    kékánþ-estástambór?
    <〜か>立っている穀物を刈る-<あなたが><あなた・主格>雑穀<対格>

    「お前は雑穀を刈るのか。」

    日常会話で、作業の最中に直接問いかける場面。ké は文頭に置く。明示的な tás は確認や念押しの響き。tambór は重性で、目的語も無変化。

    ké ésa virá táses slém?

    読み:ケー エーサ ヴィラー ターセス スレーン?

    kéés-avirátás-esslém?
    <〜か><である>-<(軽いものが)>言葉<主格><あなた>-<属格>甘ったるい

    「お前の言葉は甘ったるいか。」

    日常会話。同等か目下の者への、からかいを含んだ問い。軽性名詞 virá に、二人称単数属格 táses を後置する。存在・繋辞 és- は三人称単数軽性 ésa で、形態素は és-a と分析する。述語の slém は主格単数で無標。

    anórel, ruunléima séulin tálmo tásei.

    読み:アノーレル、ルーンレーマ セウリン タルモ ターセイ。

    anórel,ruunléim-aséulintálmotás-ei.
    昨日返す-<(軽いものが)>友<主格>斧<対格><あなた>-<与格>

    「昨日、友はあなたに斧を返した。」

    借り物・預かり物を元の相手に返す日常の用法。時制の語形はないので、anórel「昨日」で過去を示す。受取人は与格で表す。

    plúnim virán tásei.

    読み:プルーニン ヴィラーン ターセイ。

    plún-imvir-ántás-ei.
    使いに出す-<私が>言葉-<対格><あなた>-<与格>

    「あなたにひと言伝えてやる。」

    伝言・申し送りに使う日常文。言葉を直接相手に届ける意味。目下・同輩向けのややぶっきらぼうな語として機能する。

    ké dunþrémo klóno táses?

    読み:ケー ドゥンスレーモ クローノ ターセス?

    kédunþrém-oklónotás-es?
    <〜か>腫れる-<(重いものが)>膝<主格><あなた>-<属格>

    「あなたの膝は腫れていますか。」

    日常会話。はい/いいえの問いは ké を文頭に置く。対等・下向きの表現で、目上の人には ké と直接の質問は使わない。所有者は 2人称単数属格 táses。

    aurselvéra selvá táses!

    読み:アウルセルヴェーラ セルヴァー ターセス!

    aurselvér-aselvátás-es!
    息が白む-<(軽いものが)>息<主格><あなた>-<属格>

    「お前の息が白む。」

    日常会話で、親しい者や目下の者の息に気づいて言う。二人称属格 táses は名詞の後ろに置く。

    ké dukráilim fáron es táses?

    読み:ケー ドゥクライリン ファーロン エス ターセス?

    kédukráil-imfáronestás-es?
    <〜か>代って取る-<私が>荷<対格>から<あなた>-<属格>

    「荷をあなたから代って取ろうか。」

    荷を差し出している相手に対して、荷を自分の側へ取り寄せて手伝おうとする申し出。直説法1単に疑問の小辞 ké を添えた問いかけの形。語義2では、荷を受け取る動作そのものより、押しつけがましくなく世話を焼く含みが強い。荷主には es+属格を添える。

    lámim már táses.

    読み:ラーミン マール ターセス。

    lám-immártás-es.
    掌でさする-<私が>手<対格><あなた>-<属格>

    「私はあなたの手を掌でさする。」

    相対で冷えた手のひらに掌を添える場面。目的語は手。所有は第二人称代名詞の属格を名詞後に後置して示す。

    krúnim virán táses.

    読み:クルーニン ヴィラーン ターセス。

    krún-imvir-ántás-es
    支える-<私が>言葉-<対格><あなた>-<属格>

    「「あなたの言葉を支えます。」」

    日常会話で、親しい相手や目下・対等相手に、その発言・申し出・約束を追認して後押しする場面。krún- は本来、重い物に身体や道具の重みで持続的に耐える動詞だが、抽象物・行為を目的語にとると「支える(比喩)」の用法になる。krúnim は直説法・1人称単数で、主語の代名詞は省略されている。目的語 virán は軽性 a 語幹 virá の対格、táses は二人称単数属格「あなたの」。

    ké klénes senosnívo táses?

    読み:ケー クレーネス セノスニーヴォ ターセス?

    kéklén-essenosnívotás-es?
    <〜か>拭く-<あなたが>睫毛<対格><あなた>-<属格>

    「お前は自分の睫毛を拭くのか。」

    二人称単数への日常の問い。所有は「睫毛+二人称単数属格 táses」の名詞句で表す。睫毛をさす語は体部の語として重性o語幹で、単数では対格が主格と同形。

    ké elþasénes tás fáron só?

    読み:ケー エルサセーネス タース ファーロン ソー?

    kéelþasén-estásfáronsó?
    <〜か>火に透かして見る-<あなたが><あなた・主格>荷<対格>この<重性>

    「あなたはこの荷を火に透かして見るか。」

    日常会話の単純疑問。ké を動詞の前に置く。主語 tás は動詞の直後に置く。fáron は重性なので対格語尾がつかず、指示詞 só は重形で一致する。時制は語形に表れない。

    pá hoinkráila tásan?

    読み:パー ホインクライラ ターサン?

    páhoinkráil-atás-an?
    誰<主格>出迎え-<(軽いものが)><あなた>-<対格>

    「誰があなたを出迎えるの?」

    日常会話の質問文。主語が人を指す疑問代名詞 pá なので、動詞は軽性の3人称単数で一致する。目的語の2人称単数代名詞は対格 tásan をとる。

    klambíres ó dáu mónoun táses, táules ó.

    読み:クランビーレス オー ダウ モーノウン ターセス、タウレス オー。

    klamb-ír-esódáumón-ountás-es,tául-esó
    挟む-<もし〜なら>-<あなたが><3人称単数・重性・対格>二石-<双数・与格><あなた・所有>-<属格>取る-<あなたが><3人称単数・重性・対格>

    「自分の石二つでそれを挟めば、それを取れる。」

    星盤の用語。盤の石は重性で、目的語は ó と受ける。押さえる自分の石二つは与格双数 món-oun、所有は名詞句末尾の tás-es。盤上の石は星と呼ばず、重性の名詞として扱う。

    wéines tás brúndo!

    読み:ウェーネス タース ブルンド!

    wéin-estásbrúndo!
    なる-<あなたが><あなた・主格>でくの坊<対格>

    「お前はでくの坊になる!」

    罵倒・脅し。wéin- は行き着く先を対格にとる。重性 brúndo の単数対格は主格と同形。tás は対比のための明示主語。

    ké éso kálmo tásei?

    読み:ケー エーソ カルモ ターセイ?

    kéés-okálmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>粟の粒<主格><あなた>-<与格>

    「粟の粒があるか?」

    日常会話での所持・存在の問い。存在・所有は és-+与格で表す。kálmo は脱穀した粟の実を指す用法で、重性o語幹の単数として éso と一致する。

    ké éso gáir tásei

    読み:ケー エーソ ガイル ターセイ

    kéés-ogáirtás-ei
    <〜か>いる-<(重いものが)>錐<主格><あなた>-<与格>

    「お前、錐はあるか。」

    所有・存在の疑問文。持ち主は与格で示し、存在する物は主格として扱う。動詞は存在する物に一致する。名詞 gáir は主格と対格が同形の語として扱う。

    marméir már táses, ende.

    読み:マルメール マール ターセス、エンデ。

    marméirmártás-es,ende
    差し向ける<命令法><あなたが>手<対格><あなた>-<属格>どうぞ

    「あなたの手を差し向けてくれ、頼む。」

    物の受け渡しではなく、受け取る用意を示す身振り。命令法は語幹形になる。már は重性子音語幹で、直接格に語尾がつかない。tás の属格は táses。

    pórin ésa gláur táses?

    読み:ポーリン エーサ グラウル ターセス?

    pórinés-agláurtás-es
    どのようにいる-<(軽いものが)>笑い<主格><あなた>-<属格>

    「あなたの笑いようはどうですか。」

    笑いという型・様態を尋ねる句。pórin は「どのように」の疑問語で、動詞の前に立つ。gláur は声そのものというより、その人の笑い方という含みで使う。táses は二人称単数代名詞 tás の属格で、「あなたの笑い」。

    þréuna virá táses.

    読み:スレウナ ヴィラー ターセス。

    þréun-avirátás-es.
    根拠が揺れる-<(軽いものが)>言葉<主格><あなた>-<属格>

    「お前の言葉は、根拠が少し揺らぐ。」

    比喩用法。相手の言葉・判断の裏付けが不安定になることを言う。主語 virá は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の語尾 -a をとる。所有は名詞の後ろに tás の属格 táses を置く。くだけた日常会話で使う。

    ké kreinéres tás?

    読み:ケー クレイネーレス タース?

    kékreinér-estás?
    <〜か>震える(骨が鳴る)-<あなたが><あなた・主格>

    「骨までがたがた震えているのか。」

    日常の問い。動詞語幹 kreinér- に二人称単数の語尾 -es が付く。語尾は強勢をもたないので、強勢は語幹の é に残る。tás を置いて相手に向かっていることを明示する。語は骨や関節がこすれ合うほどの強い震えを指し、宮廷ではややくだけた響き。

    ké ésa líra tásei?

    読み:ケー エーサ リーラ ターセイ?

    kéés-alíratás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>糸<主格><あなた>-<与格>

    「あなたに糸はあるか。」

    日常会話で、手元に糸があるかどうかを尋ねる文。存在・所有の構文では、動詞は主語となる líra の軽性に合わせて 3 人称単数軽性の語尾 -a を受ける。持ち主は与格 tásei で表し、疑問文には文頭小辞 ké を添える。

    šelvimor virán tásei.

    読み:シェルヴィモル ヴィラーン ターセイ。

    šelv-imorvir-ántás-ei
    ささやく-<我々が>言葉-<対格><あなた>-<与格>

    「私たちがあなたにひとことささやく。」

    くだけた日常会話。主語の「我ら」は代名詞 némor を省き、語尾 -imor に示す。声量の低さを指し、声に出す内容の善し悪しは含意しない。

    šelva faronár prámbo tásei.

    読み:シェルヴァ ファロナール プランボ ターセイ。

    šelv-afaronárprámbotás-ei
    ささやく-<(軽いものが)>運び人<主格>値<対格><あなた>-<与格>

    「運び人があなたに値をささやく。」

    荷の受け渡しや市でのくだけた場面。faronár は人間なので軽性の主語、prámbo は重性なので対格形が主格と同一。šelv- は改まった場では使わず、声量の低さだけを指す。

    ké sán síndul un senóei táses?

    読み:ケー サーン シンドゥル ウン セノーエイ ターセス?

    késánsínd-ulunsenó-eitás-es?
    <〜か>存在<彼らが>涙-<〜たちが>内に目-<与格><あなた>-<属格>

    「あなたの目に涙が浮かんでいますか?」

    日常会話で、相手の目に浮かぶ涙ぐみを尋ねる文。複数名詞 síndul が「涙ぐみ」という状態を表す。存在の文で複数の主語を受け、存在動詞は sán になる。un senóei は「目に」で、un に与格形 senóei が従う。後置の táses が所有を表す。

    ké ésa anrása táses glóur?

    読み:ケー エーサ アンラーサ ターセス グロール?

    kéés-aanrásatás-esglóur?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>上層の衣<主格><あなた>-<属格>緑

    「あなたの上層の衣は緑ですか。」

    くだけた日常会話で、相手の衣の最上層の色をたずねる文。所有の táses は名詞の後ろに置く。anrása は内側の衣と区別した衣の最上層を指す用法。

    ké éso kloníño táses krém?

    読み:ケー エーソ クロニーニョ ターセス クレーン?

    kéés-okloníñotás-eskrém?
    <〜か>いる-<(重いものが)>肘<主格><あなた>-<属格>痛い

    「あなたの肘は痛いか。」

    日常の問いかけ。ké を文頭に置く下向きの問い。身体部位の所属は属格 táses で表す。

解説

2人称単数の人称代名詞。②型の語尾で格変化する(対 tásan、属 táses、与 tásei)。同じ段か下の相手にだけ使い、目上の人に使うのは無礼である。目上の人は、座や役職を au- をつけた3人称の名詞で言って指す(上向きの話し方では2人称そのものが消える)。

文法

人称代名詞(2人称単数)。対 tásan、属 táses、与 tásei。複数は társ。

語源

古高原語 *tás から。2人称単数の人称代名詞として古くからある語。

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