véil-

品詞
動詞(他動詞)
意味
忘れる
発音
[ˈveil]
読み
ベイル
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 忘れる

    知っていたことや約束を忘れる。

    ké véilses hémbro?

    読み:ケー ヴェールセス ヘンブロ?

    kévéils-eshémbro?
    <〜か>忘れる<〜し終えた>-<あなたが>恥じる心<対格>

    「恥を知る心を忘れてしまったのか。」

    厚かましいふるまいを責める言い方。véil- は二重母音の語根なので、完了相は -s- を足して véils- になる。hémbro は重性なので、対格も主格と同じ形。

    ké véilses fáron? na véilsim.

    読み:ケー ヴェールセス ファーロン?ナ ヴェールシン。

    kévéils-esfáron?navéils-im.
    <〜か>忘れる<〜し終えた>-<あなたが>荷<対格><〜ない>忘れる<〜し終えた>-<私が>

    「「荷を忘れてきたのか?」「忘れてない。」」

    二人の発話。語根 véil- は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して véils- にする。はい・いいえで答える問いには、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える。2人称を使っているので、くだけた話し方か下向きの話し方。

    mé véil grúndo! torélo nébro.

    読み:メー ヴェール グルンド!トレーロ ネーブロ。

    mévéilgrúndo!tor-él-onébro.
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>掛け<対格>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>

    「掛けを忘れるなよ。もうすぐ霧が来るぞ。」

    縁の市で商人どうしが交わす念押し。禁止は「mé+命令法」で、命令法2単はむき出しの語幹 véil。grúndo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形。後半は推量法で、主語の霧 nébro が重性なので語尾は -o。霧が来る前に精算する、という市の習わしを踏まえている。

    na véilim grúndo, séulin.

    読み:ナ ヴェーリン グルンド、セウリン。

    navéil-imgrúndo,séulin.
    <〜ない>忘れる-<私が>負い目<対格>友

    「その恩義は忘れないよ、友よ。」

    同じ段の親しい相手への言い方。呼格は日常では使わないので、呼びかけの名詞を文の終わりに読点で区切って添える。grúndo は金銭の掛けだけでなく、人に負っている恩義も指す。

    mé véil gleinó, endríña.

    読み:メー ヴェール グレイノー、エンドリーニャ。

    mévéilgleinó,endríña.
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>護符<対格>子ども

    「護符を忘れるんじゃないよ、坊や。」

    出かける子に親が言う、日常の禁止の言い方。禁止は「mé+命令法」で表す。日常では呼格を使わないので、呼びかけの語は読点で区切って文末に添える。

    grómim. véilim þelán táses, séulin.

    読み:グローミン。ヴェーリン セラーン ターセス、セウリン。

    grómim.véil-imþel-ántás-es,séulin.
    すまない忘れる-<私が>名前-<対格><あなた>-<属格>友

    「すまない、友よ。お前の名前を忘れてしまった。」

    親しい相手への、くだけた謝罪。grómim は「私は重い」というのがもとの意味で、過ちを「自分が重くなった」ととらえる見方から来ている。呼びかけの séulin は、読点で区切って文の終わりに置く。

    dáloro, véilsim fáron.

    読み:ダーロロ、ヴェールシン ファーロン。

    dáloro,véils-imfáron.
    ちくしょう忘れる<〜し終えた>-<私が>荷<対格>

    「ちくしょう、荷を忘れちまった。」

    自分へのいらだちを表す悪態。véil- の語根は二重母音なので、完了相は -s- を足して véils- になる。fáron は重性なので、対格も主格と同じ形。都の人は、この語を口にすると言葉が下へ落ちると考えて避ける。

    mé veilésa kloimár krévan fírnes.

    読み:メー ヴェイレーサ クロイマール クレーヴァン フィルネス。

    méveil-és-akloimárkréva-nfírn-es.
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる-<〜すべし>-<(軽いものが)>弟子<主格>練習-<対格>筆-<属格>

    「弟子は筆の練習を怠ってはならない。」

    学び舎の心得書きの文体。当為法の文なので、否定には mé を使う。当為法の -és- が強勢をとるため、語根 véil- の強勢は消えて veilésa になる。何の練習かは、属格 fírnes を後ろに置いて krévan fírnes「筆の練習を」と示す。véil-「忘れる」をこのように使うと「おろそかにする」の意味になる。

    lúin tóra saréna mélnes, mé véil virán!

    読み:ルーイン トーラ サレーナ メルネス、メー ヴェール ヴィラーン!

    lúintór-asarénaméln-es,mévéilvir-án!
    とき来る-<(軽いものが)>本番<主格>詩-<属格><禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>言葉-<対格>

    「詩合わせで正式の詠みの番が来たら、句を忘れるなよ。」

    詩合わせの前に、目上の者が目下の者に言う励ましの言葉。saréna mélnes「詩の本番」は、勝ち負けの判定にかかる正式の詠みを指し、その前の下詠みと区別する。lúin 節では saréna が主語になり、軽性なので動詞は -a で受ける。禁止は mé +命令法の言い方で、2人称単数なので下向きの話し方になる。

    na véilim lundán sé

    読み:ナ ヴェーリン ルンダーン セー

    navéil-imlundá-nsé
    <〜ない>忘れる-<私が>節-<対格>この<軽性>

    「私はこの節を忘れない。」

    節・旋律という語義で、言葉を替えても歌えるものを指す。見出し語 lundá に単数対格が付いた lundán を使う。否定小辞 na は動詞の直前に置く。

    mé véil puló só!

    読み:メー ヴェール プロー ソー!

    mévéilpulósó
    <禁止・願いの打ち消し>忘れる<命令法><あなたが>拍子<対格>この<重性>

    「この拍子を忘れるな。」

    作業歌や刻みの場で、拍が乱れそうになった仲間へかけるくだけた指示。禁止は mé +命令法 2人称で表す。命令法の 2人称は語幹 véil をそのまま使う。puló は目的語だが、重性単数では格語尾がつかず主格と同形になる。

    na véilimor seiraldáran.

    読み:ナ ヴェーリモル セイラルダーラン。

    navéil-imorseiraldár-an
    <〜ない>忘れる-<我々が>待席-<対格>

    「我らは、待席の作法を忘れない。」

    共同体で作法を守る言い方。na は直説法の否定。動詞語尾 -imor により 1 人称複数主語を明示し、主語代名詞は必要ない。seiraldár は「作法」として抽象用法で、対格 seiraldáran を取る。

  2. 流れ去る

    古い言い方で、水やものが下手へ流れて消える。

    véilo ílmo du dálor.

    読み:ヴェーロ イルモ ドゥ ダーロル。

    véil-oílmodudálor.
    流れ去る-<(重いものが)>水<主格>下手下の国<対格>

    「水は下の国へ流れ去る。」

    古い言い回しで、物事の移ろいを言う諺。「流れ去る」の意味では自動詞として使い、主語の ílmo(重性)に合わせて3単・重性の -o をとる。日常の会話では、この意味はほとんど使わない。

    lúin véilso múrno, tóro nébro es orénos.

    読み:ルーイン ヴェールソ ムルノ、トーロ ネーブロ エス オレーノス。

    lúinvéils-omúrno,tór-onébroesorén-os.
    とき流れ去る<〜し終えた>-<(重いものが)>腐り氷<主格>来る-<(重いものが)>霧<主格>から縁-<属格>

    「腐り氷が流れ去ってしまうと、縁から霧が上がってくる。」

    湖畔の村に伝わる季節の言い習わし。完了相の véils- で「すっかり流れ去った」ことを表す。múrno も nébro も重性なので、二つの動詞はどちらも -o をとる。lúin の節は主節の前に置く。

解説

忘れることを表す。もとは「流れ去る」という意味で、記憶が川の下手へ流れていくものと考えられている。系譜の一瀬を忘れることは家の恥になるので、系譜読みに対して「お忘れになった」と言うのは強い無礼とされる。

文法

完了語根 véils-。尊敬は au- と v- が融合して aubéil-、謙譲は dumbéil-。

語源

古高原語 *véil- から(もとは「流れ去る」の意味)

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