小説
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誓う
祖先や星に向けて、決まった詞で誓いを立てる。
lúin éso nébro, mé þondésa þondán.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、メー ソンデーサ ソンダーン。
| lúin | és-o | nébro, | mé | þond-és-a | þond-án. |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧期<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 誓い-<対格> |
「霧期のあいだは、誓いを立てぬこと。」
法典や碑文に見られる、当為法を使った禁止。主語を言わないので一般の人が主語になり、動詞は軽性の形をとる。霧の夜の誓いは祖先に届かず無効とされる。その信仰を定めとして書いた文。
lúin tóro nébro, na þónda fíñel.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ ソンダ フィーニェル。
| lúin | tór-o | nébro, | na | þónd-a | fíñel. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | 誓う-<(軽いものが)> | 用心深い者<主格> |
「霧が来たら、用心深い者は誓わない。」
霧の中で結んだ約束は重んじられない、という考えを踏まえた諺。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。主語の fíñel は特定の人ではなく、「用心深い者は誰でも」という一般の人を指す。
þóndim aursárail ré na vírim lúdro.
読み:ソンディン アウルサーライル レー ナ ヴィーリン ルードロ。
| þónd-im | aursár-ail | ré | na | vír-im | lúdro. |
| 誓う-<私が> | 祖先-<〜らに> | <〜と(節)> | <〜ない> | 言う-<私が> | 嘘<対格> |
「私は祖先に、嘘は言わないと誓う。」
星の見える晴れた夜に立てる誓いの基本の形。誓う相手は与格で示し(aursárail「祖先たちに」)、誓う中身は ré の節で後ろに置く。ré の節は元の文の法をそのまま保つので、ここでは直説法の否定 na vírim になる。時制はないので、「言わない」は文脈から未来のことと読む。
lúin éso nébro, mé þondésa þondán.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、メー ソンデーサ ソンダーン。
| lúin | és-o | nébro, | mé | þond-és-a | þond-án. |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 誓い-<対格> |
「霧が出ているときには、誓いを立てぬこと。」
言い伝えや法典に出てくる禁止の言い方。霧の夜の誓いは祖先に届かず無効だ、という信仰を表している。前半は lúin「〜とき」の節で、主語の霧 nébro が重性なので、繋辞は és-o になる。後半は当為法の文で、mé で否定する。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移るので、語根の ´ は消える。目的語の þondá「誓い」は、þónd- に -á がついた派生名詞。
lúin ésa élvar þáil, þondésa.
読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、ソンデーサ。
| lúin | és-a | élvar | þáil, | þond-és-a. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 晴れた | 誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)> |
「誓いは、空の晴れたときに立てるべし。」
主語のない当為法は「人は〜すべし」という一般の主語を表し、軽性の形をとる。祖先が見ている、星の見える晴れた夜の誓いだけが重いとされ、霧の夜の誓いは無効とされる。
þúnda þundár þondán.
読み:スンダ スンダール ソンダーン。
| þúnd-a | þund-ár | þond-án. |
| 裁く-<(軽いものが)> | 裁く-<〜する人・主格> | 誓い-<対格> |
「法官が約束を裁く。」
kráilin maranlóur, þóndim.
読み:クライリン マランロール、ソンディン。
| kráil-in | maranlóur, | þónd-im. |
| 持つ-<〜して・〜く> | 親指<対格> | 誓う-<私が> |
「親指を握り、私は誓う。」
儀礼的な所作。副動詞-inのkráilinは主節þóndimと同一主語の「〜しながら」を表す。maranlóurは重性名詞で主格と対格が同形だが、kráil-が他動詞であるため、その直後の語を目的語として読む。
þóndim þílin
読み:ソンディン シーリン
| þónd-im | þílin |
| 誓う-<私が> | 承知して |
「承知して誓う。」
儀礼・契約での宣誓文。 þílin は「故意に」よりも、行為者が事実を心得ていることに焦点を当てる古い用法。主語は人称語尾に含めて省略できる。
誓う、誓いを立てることを表す。大事な誓いは、星の見える晴れた夜に、韻律のある決まった詞で立てる。雨期の夜の誓いは有効とされるが、霧の夜の誓いは祖先に届かず無効とされる。誓う相手(祖先・星)は与格、誓う内容は ré+願望法の節で示す。
完了語根 þóond-。命令2単は nd が削られて þón!。尊敬 auþónd-、謙譲 duþónd-。
þór-「立つ」と同源とされる(「言葉を立てる」の意)。
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