ré

品詞
小辞
意味
〜と
発音
[ˈre]
読み
レ
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 〜と

    言ったこと・知ったことの内容を表す補文を導く。元の文の法を保つ。

    nóurim ré éso fáron só gróm.

    読み:ノーリン レー エーソ ファーロン ソー グローン。

    nóur-imréés-ofáronsógróm.
    思う-<私が>といる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重いと思う。」

    運び人が荷を担ぐ前に言うような日常の文。思った内容の節も ré で導く。節の主語 fáron は重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。

    léunim ré lísa lisár sáindaran.

    読み:レウニン レー リーサ リサール サインダラン。

    léun-imrélís-alis-ársáindar-an.
    申す-<私が><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記が証文を書いたと申し上げます。」

    目上の人への報告。léun- は「言う」の謙譲の補充形。ré の節は主節の後ろに置き、主節と同じく動詞で始まる。時制がないので、lísa は文脈から「書いた」と訳している。

  2. 〜するように

    願望法の動詞と組んで、目的を表す節を導く。

    léimim fáron séndoi ré luuménde ausenár ó.

    読み:レーミン ファーロン センドイ レー ルーメンデ アウセナール オー。

    léim-imfáronsénd-oiréluum-énd-eau-sen-áró.
    置く-<私が>荷<対格>ここ-<与格>ようにご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><3人称単数・重性>

    「「目付殿がご覧になれるよう、荷をここに置きます。」」

    縁の市で荷を検めてもらうときの言い方。ré と願望法を組み合わせると目的を表す。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしい」という意味を表す。ó は荷を受ける重性の代名詞で、主格と対格が同じ形。

    lóima ráuvan loimán ré aurénde selvá.

    読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン レー アウレンデ セルヴァー。

    lóim-aráuvanloim-ánréaur-énd-eselvá.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>ように昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

    「森の巫は、息が昇るよう詞を唱える。」

    葬送の場面を述べた文。ré に願望法を続けると、「〜するように」という目的の節になる。aurénde は挨拶の aurénde と同じ形で、ここでは本来の「昇りますように」という意味で使われている。

解説

補文を導く小辞。節の頭に置き、その後ろは主節と同じく動詞で始める。「〜と(言う・知る)」の節では、後ろの節が元の文の法をそのまま保つので、碑文の当為法の句もそのまま引用できる(selvéna ausenár ré mé duliþésa fáron es orénos)。願望法と組むと、丁寧さではなく「そうなってほしいこと」を表して「〜するように」という目的の意味になる。補文は主節の後ろに置く。

そのほかの用例

selvéna ausenár ré mé duliþésa fáron es orénos.

読み:セルヴェーナ アウセナール レー メー ドゥリセーサ ファーロン エス オレーノス。

selvén-aau-sen-árrémédul-iþ-és-afáronesorén-os.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)><禁止・願いの打ち消し>下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

「目付殿は、「縁から荷を落とさぬこと」とおっしゃる。」

ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節は、元の文の法を保つ。ここでは度量衡の碑の一句 mé duliþésa fáron es orénos を、当為法のまま引用している。目付が碑の前で揉め事を裁くときの言い方。

lisésa lisár sáindarais, ré vandénde senár fáron.

読み:リセーサ リサール サインダライス、レー ヴァンデンデ セナール ファーロン。

lis-és-alis-ársáindar-ais,révand-énd-esen-árfáron.
書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<〜たちを><〜と(節)>量る-<〜しますように>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>荷<対格>

「目付が荷を量れるよう、書記は証文を書くべし。」

市の決まりの文。sáindar は軽性の子音語幹なので、複数対格は -ais になる。ré+願望法で目的「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。

léunim ré tóro nébro es orénos, ausenár.

読み:レウニン レー トーロ ネーブロ エス オレーノス、アウセナール。

léun-imrétór-onébroesorén-os,au-sen-ár.
申す-<私が><〜と(節)>来る-<(重いものが)>霧<主格>から縁-<属格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「目付殿、縁から霧が来ると申し上げます。」

目下の者が目上の人に知らせを伝える改まった言い方。léun- は「言う」の謙譲の補充形で、du- をつけた規則形は使わない。ré の後ろの節は、元の文の法(ここでは直説法)を保つ。呼びかけは呼格を使わず、役職名に au- をつけて、読点で区切って文末に添える。

vírim ré torélo nébro dórel.

読み:ヴィーリン レー トレーロ ネーブロ ドーレル。

vír-imrétor-él-onébrodórel.
言う-<私が><〜と(節)>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>明日

「明日は霧が来るだろう、と私は言っておく。」

ré は「〜と」の節を導き、主節の後ろに置く。ré の後ろの節は推量法のまま保たれる。主語の霧 nébro が重性なので、動詞の語尾は -o。

nóurim ré ésa lisár té fláin.

読み:ノーリン レー エーサ リサール テー フライン。

nóur-imréés-alis-ártéfláin.
思う-<私が><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>あの<軽性>上品な

「あの書記は上品だと思う。」

ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。指示詞 té は強勢をもち、名詞句の終わりの目印になる。

selvána ausenár ré lisésa orenvandár slúun, mé lisésa sélu.

読み:セルヴァーナ アウセナール レー リセーサ オレンヴァンダール スルーン、メー リセーサ セール。

selván-aau-sen-árrélis-és-aorenvandárslúun,mélis-és-asélu.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>千<禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>泥の千

「目付殿は、「縁商人は陸の千で書くべし、泥の千では書かぬこと」とおっしゃる。」

市の目付の裁きを人に伝える言い方。ré の後ろの節は、決まりごとを表す当為法のまま引いている。後半は主語を言っていないが、前半と同じ縁商人のことを言っている。証文の数は高原の数え方で書く、という市の決まりを表す。

dróuma ólmar ré éso nébro bróus sórel.

読み:ドローマ オルマル レー エーソ ネーブロ ブロース ソーレル。

dróum-aólmarréés-onébrobróussórel.
嘆く-<(軽いものが)>年長者<主格><〜と(節)>いる-<(重いものが)>霧<主格>多い今日

「今日は霧が多い、と年長者は嘆く。」

ré で始まる「〜と」の節を、主節の後ろに置いた文。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 bróus は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。ここでは量が多いことを表す。

méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.

読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。

méir-ahoumártambórfaronár-ei,rées-énd-ogromóél-eskrán.
与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>運び人-<与格><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(重いものが)>体<主格><3人称単数・軽性>-<属格>硬い

「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」

「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。

ombéra senár faronáran ré dulíþa fáron es orénos.

読み:オンベーラ セナール ファロナーラン レー ドゥリーサ ファーロン エス オレーノス。

ombér-asenárfaronár-anrédul-íþ-afáronesorén-os.
名指しする-<(軽いものが)>目付<主格>運び人-<対格><〜と(節)>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

「目付は、縁から荷を落としたと運び人を名指しで咎める。」

人を名指しして咎める意味。ré の後ろの節で、何を咎めたかを言う。縁の市の目付が揉め事を裁く場面の言い方。

víra éndra ré tóro nébro es dáloros.

読み:ヴィーラ エンドラ レー トーロ ネーブロ エス ダーロロス。

vír-aéndrarétór-onébroesdálor-os.
言う-<(軽いものが)>世間の人<主格><〜と(節)>来る-<(重いものが)>霧<主格>から下の国-<属格>

「世の人は、霧は下の国から来ると言う。」

言い伝えを紹介するときの決まった言い方。éndra を、特定の誰かではない主語として使うと、「世の人」「人は」という意味になる。ré の後ろの節では、主語の霧 nébro が重性なので、動詞は -o をとる。

selvána aurólmar ré torélo nébro.

読み:セルヴァーナ アウロルマル レー トレーロ ネーブロ。

selván-aaur-ólmarrétor-él-onébro.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-長老<〜と(節)>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>

「長老の方は、霧が来るだろうとおっしゃる。」

敬われる長老の言葉を人に伝える言い方。尊敬の接頭辞 au- は母音の前で aur- になる(au-+ólmar → aurólmar)。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節は元の法を保ち、ここでは推量法。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。

víran dalorárai ré brúuma naþrenár es élvares.

読み:ヴィーラン ダロラーライ レー ブルーマ ナスレナール エス エルヴァレス。

vír-andalorár-airébrúum-anaþrenáresélvar-es.
言う-<彼らが>下の国の者-<〜たちが><〜と(節)>落ちる-<(軽いものが)>異邦人<主格>から天-<属格>

「下の国の者たちは、異邦人が天から落ちてきたと言う。」

干潟の言い伝えを、高原の人が伝え聞いた形で言う文。ré の節は主節の後ろに置く。高原の世界観では、上から落ちてくる者は流れ星と同じく不吉なものとされるので、この種の話は泥の国の迷信として語られることが多い。es+属格で方向を問わない「〜から」。

léunim ré tóro duléumo es faronárar, ausenár.

読み:レウニン レー トーロ ドゥレウモ エス ファロナーラル、アウセナール。

léun-imrétór-oduléumoesfaron-ár-ar,au-sen-ár.
申す-<私が><〜と(節)>来る-<(重いものが)>不穏な気配<主格>から荷-<〜する人>-<〜らの><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「目付殿、運び人たちのあいだから不穏な気配が立ちのぼっていると申し上げます。」

役人に報告する改まった文。léun- は「言う」の謙譲の補充形。「〜と」の節は ré で導き、主節の後ろに置く。呼びかけは呼格を使わず、役職名を文の終わりに読点で区切って添える。ここでの duléumo は風そのものではなく、身分の低い者たちのあいだに広がる不満や噂を指す。下から上がってくる悪いものとして言い表す比喩である。

tóra hervíña té, tául élan ré brolénde ráuvan gleinó.

読み:トーラ ヘルヴィーニャ テー、タウル エーラン レー ブロレンデ ラウヴァン グレイノー。

tór-ahervíñaté,táulél-anrébrol-énd-eráuvangleinó.
来る-<(軽いものが)>麝香鹿<主格>あの<軽性>取る<命令法><あなたが><3人称単数・軽性>-<対格><〜と(節)>作る-<〜しますように>-<(軽いものが)>森の巫<主格>護符<対格>

「あの麝香鹿が来る。森の巫が護符を作れるよう、あれを獲れ。」

森の氏族の長が狩人に命じる、下向きの言い方。hervíña は軽性なので、指示詞は軽性の té になる。té には強勢を置き、読点で区切るので、関係節ではないとわかる。目的は「ré+願望法」で表す。この願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。護符 gleinó は重性の o 語幹なので、対格も主格と同じ形になる。

táulan faronárai drúmo ré noiréndan.

読み:タウラン ファロナーライ ドルーモ レー ノイレンダン。

tául-anfaronár-aidrúmorénoir-énd-an.
取る-<彼らが>運び人-<〜たちが>苔<対格><〜と(節)>眠る-<〜しますように>-<彼らが>

「運び人たちは、眠るために苔を集める。」

崖道の野宿を語る文。苔は寝具や家のすき間の詰め物に使われる。drúmo は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。目的の「〜するために」は ré+願望法で表す。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。

na ráinim ré éso sóumbo. mé mán ó!

読み:ナ ライニン レー エーソ ソーンボ。メー マーン オー!

naráin-imréés-osóumbo.mémánó!
<〜ない>知る-<私が><〜と(節)>いる-<(重いものが)>食べられるきのこ<主格><禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが><3人称単数・重性>

「食べられるきのこかどうか、わからない。食べるな!」

年長者が目下の者に注意するときの言い方。ré で「〜と」の節を導く。禁止は「mé+命令法」で言い、mán- の2人称単数命令形はむき出しの語幹 mán。重性の代名詞 ó は主格と対格が同じ形。

drenéim an kórvo dórel, ré duliséndim sáindaran.

読み:ドレネーン アン コルヴォ ドーレル、レー ドゥリセンディン サインダラン。

dren-é-imankórvodórel,rédu-lis-énd-imsáindar-an.
伺う-<〜だろう>-<私が>上手倉<対格>明日<〜と(節)><〜させていただく>-書く-<〜しますように>-<私が>証文-<対格>

「明日、証文を書かせていただくため、倉へ伺うつもりでございます。」

改まった手紙で、訪ねることを予告する言い方。推量法の -él- は1人称単数の語尾の前で l が落ちて -é- になり、drenéim「伺うつもりでございます」となる。目的は「ré+願望法」で表し、謙譲の du- も添える。

drénim es orénos, ré luuménde ausenár sáindaran sé.

読み:ドレーニン エス オレーノス、レー ルーメンデ アウセナール サインダラン セー。

drén-imesorén-os,réluum-énd-eau-sen-ársáindar-ansé.
伺う-<私が>から縁-<属格><〜と(節)>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

「目付殿にこの証文をご覧いただきたく、縁から伺いました。」

役所に用事で出向き、来た目的を述べるときの決まった言い方。時制の形がないので、drénim は「伺う」とも「伺った」とも訳せる。目的を表す ré の節では願望法を使う。その中でも、目上の人は職名に au- をつけた3人称で主語にし、「見る」の尊敬の補充形 lúum- を使う。

léimsa brándal ré lisésa senár sáindaran.

読み:レーンサ ブランダル レー リセーサ セナール サインダラン。

léims-abrándalrélis-és-asen-ársáindar-an.
据える<〜し終えた>-<(軽いものが)>司<主格><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>証文-<対格>

「司は、目付が証文を書くべしと定めた。」

léim- を決まりごとに使うと「定める」の意味になる。ré の後ろの節は、定められた中身を当為法のまま保つ。語根が二重母音をもつので、完了相は -s- を足して léims- にする。書かれたものを正しいとする王国らしい決まりの文。

léimsan aursárai sárvo ré mé duliþésa fáron du dálor.

読み:レーンサン アウルサーライ サルヴォ レー メー ドゥリセーサ ファーロン ドゥ ダーロル。

léims-anaursár-aisárvorémédul-iþ-és-afárondudálor.
据える<〜し終えた>-<彼らが>祖先-<〜たちが>禁忌<対格><〜と(節)><禁止・願いの打ち消し>下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>下手下の国<対格>

「祖先たちは、下の国へ荷を落としてはならぬという禁忌を定めた。」

ré の後ろの節は当為法を保ち、mé で否定している。主語を言わない当為法は「人は〜すべし」の意味で、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移る。崖から物を落としてはいけない、という禁忌のいわれを語る文。

ké ráines ré dúlan faronárai du orén dórel?

読み:ケー ライネス レー ドゥーラン ファロナーライ ドゥ オレーン ドーレル?

kéráin-esrédúl-anfaronár-aiduoréndórel?
<〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手縁<対格>明日

「運び人たちが明日縁へ下りることを、お前は知っているか。」

知っている内容を ré の節で示す、日常の問い。ké は文のいちばん前に置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。下向きか並びの相手に使う言い方。

nóurim ré torélo nébro dórel.

読み:ノーリン レー トレーロ ネーブロ ドーレル。

nóur-imrétor-él-onébrodórel.
思う-<私が><〜と(節)>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>明日

「明日は霧が来ると思う。」

ré の節で思う内容を示す。確かでない未来なので、節の中は推量法にしている。霧は重性なので -o。

dunóurim ré fleiréla ausenár du orén.

読み:ドゥノーリン レー フレイレーラ アウセナール ドゥ オレーン。

du-nóur-imréfleir-él-aau-sen-árduorén.
<〜させていただく>-思う-<私が><〜と(節)>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手縁<対格>

「目付殿は縁へお出ましになるかと存じます。」

謙譲の du- で自分の考えを低め、目上の人の動きを推量法でやわらげて言う。

ésa nourá némes ré lísa lisár sáindaran dórel, ausenár.

読み:エーサ ノウラー ネーメス レー リーサ リサール サインダラン ドーレル、アウセナール。

és-anouráném-esrélís-alis-ársáindar-andórel,au-sen-ár.
いる-<(軽いものが)>思い<私>-<属格><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>明日<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「目付殿、私の考えは、明日書記が証文を書く、というものです。」

目上の人に意見を述べるときの言い方。自分の思いには au- をつけない。ré の節で考えの中身を示し、呼びかけの役職名は文の終わりに読点で区切って添える。

þóndim aursárail ré na vírim lúdro.

読み:ソンディン アウルサーライル レー ナ ヴィーリン ルードロ。

þónd-imaursár-ailrénavír-imlúdro.
誓う-<私が>祖先-<〜らに><〜と(節)><〜ない>言う-<私が>嘘<対格>

「私は祖先に、嘘は言わないと誓う。」

星の見える晴れた夜に立てる誓いの基本の形。誓う相手は与格で示し(aursárail「祖先たちに」)、誓う中身は ré の節で後ろに置く。ré の節は元の文の法をそのまま保つので、ここでは直説法の否定 na vírim になる。時制はないので、「言わない」は文脈から未来のことと読む。

séirimor órelan sáunan ré liséndimor sáindaran.

読み:セーリモル オーレラン サウナン レー リセンディモル サインダラン。

séir-imorórel-ansáun-anrélis-énd-imorsáindar-an.
待つ-<我々が>日-<対格>吉い-<軽性・対格><〜と(節)>書く-<〜しますように>-<我々が>証文-<対格>

「証文を書くために、我々は吉い日を待つ。」

大事な取り決めを結ぶ日取りについて言う文。この意味の sáun は、日取りや兆しの縁起が良いことを表す。「〜するように」という目的は、ré+願望法で表す。願望法の -énd- は強勢をもつ。

víra kelár ré éso nébro tó gráis.

読み:ヴィーラ ケラール レー エーソ ネーブロ トー グライス。

vír-akel-árréés-onébrotógráis.
言う-<(軽いものが)>伐る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>霧<主格>あの<重性>不吉な

「樵は、あの霧は不吉だと言う。」

人から聞いた兆しを伝える言い方。ré の節の中も、動詞で始まる語順を保つ。tó は重性の指示詞「あの」。

povéra endríña ólmarei ré es pós tóro nébro.

読み:ポヴェーラ エンドリーニャ オルマレイ レー エス ポース トーロ ネーブロ。

povér-aendríñaólmar-eiréespóstór-onébro.
問う-<(軽いものが)>子ども<主格>年長者-<与格><〜と(節)>から何<属格>来る-<(重いものが)>霧<主格>

「子どもは年長者に、霧はなぜ来るのかと尋ねる。」

尋ねる相手は与格で示し、尋ねる内容は ré の節で言う。es pós は「どこから」と「なぜ」の両方の意味になる。ré の節の中でも、疑問詞は動詞の前に出る。

dupovérim aulisárei ré du pó fleiréla ausenár.

読み:ドゥポヴェーリン アウリサーレイ レー ドゥ ポー フレイレーラ アウセナール。

du-povér-imau-lis-ár-eirédupófleir-él-aau-sen-ár.
<〜させていただく>-問う-<私が><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格><〜と(節)>下手何<対格>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「書記の方にお尋ねいたします。目付殿は下手のどちらへお出ましになったのでしょうか。」

役所での改まった問い合わせ。謙譲の du- は子音 p の前ではそのままの形でつく。方向を決めない「どこへ」はないので、du pó「下手の何へ」と尋ねる。ré の節の中も推量法にして、遠回しな問いにしている。

povéra senár faronárei ré pá dulíþa fáron só.

読み:ポヴェーラ セナール ファロナーレイ レー パー ドゥリーサ ファーロン ソー。

povér-asen-árfaronár-eirépádul-íþ-afáronsó.
取り調べる-<(軽いものが)>見る-<〜する人>運び人-<与格><〜と(節)>誰<主格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>この<重性>

「「目付は運び人を取り調べ、誰がこの荷を下ろしたのかと問いただす。」」

「取り調べる」の意味では、調べられる人を対格の目的語にとる。ré の節の中では、疑問詞 pá「誰」が動詞の前に出ている。重性の指示詞 só は、名詞 fáron の後ろに置く。

dróuma ólmar ré víran faronárai viráis rúgalais.

読み:ドローマ オルマル レー ヴィーラン ファロナーライ ヴィライス ルーガライス。

dróum-aólmarrévír-anfaron-ár-aivir-áisrúgal-ais.
嘆く-<(軽いものが)>年長者<主格><〜と(節)>言う-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>言葉-<〜たちを>粗野な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>

「年長者は、運び人たちが粗野な言葉を使うと嘆く。」

都でよく聞く嘆き。ré の後ろの節も、主節と同じく動詞で始まる。形容詞は軽性・複数・対格の rúgalais の形で viráis に一致している。

dróuma houmár ré ésa dulóur éles krán.

読み:ドローマ ホウマール レー エーサ ドゥロール エーレス クラーン。

dróum-ahoumárréés-adulóurél-eskrán.
嘆く-<(軽いものが)>家の主<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>子<主格><3人称単数・軽性>-<属格>頑固な

「家の主は、息子が頑固だと嘆いている。」

ré は「〜と」の節を導く。節の中も動詞で始まる。人を重性で受けると侮辱になるので、頑固さを責める文であっても、主語の子は軽性の éisa で受ける。

kéla houmár árnelais, ré esénde lúsa élei.

読み:ケーラ ホウマール アルネライス、レー エセンデ ルーサ エーレイ。

kél-ahoumárárnel-ais,rées-énd-elúsaél-ei.
伐る-<(軽いものが)>家の主<主格>木-<〜たちを><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(軽いものが)>日々の糧<主格><3人称単数・軽性>-<与格>

「家の主は、粥に困らぬよう木を伐る。」

「ré+願望法」は目的を表す。所有は「ある+持ち主の与格」で言うので、「その人に粥がある」が「暮らしに困らない」という意味になる。élei は家の主を指す。ここでの lúsa は、日々の食い扶持を広く指している。

lóima ráuvan, ré aurénde selvá.

読み:ロイマ ラウヴァン、レー アウレンデ セルヴァー。

lóim-aráuvan,réaur-énd-eselvá.
唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格><〜と(節)>昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

「森の巫は、死者の息が昇るよう詞を唱える。」

葬送の場面を述べた文。ráuvan は人を指すので軽性で、動詞は -a で一致する。「ré+願望法」は目的の「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。selvá(息)は、ここでは死者の魂を指す。

drénimor an ánoran ré embeléndimor aursárais.

読み:ドレーニモル アン アーノラン レー エンベレンディモル アウルサーライス。

drén-imoranánor-anréembel-énd-imoraursár-ais.
参る-<我々が>上手上手・北-<対格><〜と(節)>祀る-<〜しますように>-<我々が>祖先-<〜たちを>

「我々は、祖先を祀るために北の高みへ参る。」

北の高みの納骨所へ向かうときの言い方。drén- は「行く」の謙譲の補充形で、聖地に向かう行いを低めて言う。ré+願望法で目的を表す。an ánoran は「上手の北の地へ」で、前置詞と名詞が同じ方向を重ねて表している。

ké ráines ré ésa orenvandár té sal þrénuls?

読み:ケー ライネス レー エーサ オレンヴァンダール テー サル スレーヌルス?

kéráin-esréés-aorenvandártésalþrén-uls?
<〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>〜の枠の外に段-<〜らに>

「あの縁商人が段の外の者だと、お前は知っているか。」

同じ段どうしの、くだけた問い。縁商人が仮の段の者として扱われるのは市の札が効く商いの場だけで、それ以外では段の外の者だ、ということを話題にしている。指示詞 té は強勢をもち、後ろに続くのが動詞ではなく前置詞なので、関係節の小辞 ti と取り違えることはない。

selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.

読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。

selván-aau-sen-árréés-alisásáindar-esgléin.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>清い

「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」

縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。

selvána rainiþár ré ésa traimlisá sé fóndel.

読み:セルヴァーナ ライニサール レー エーサ トラインリサー セー フォンデル。

selván-arainiþ-árréés-atraimlisáséfóndel.
おっしゃる-<(軽いものが)>教える-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>年ごとの記録<主格>この<軽性>古い

「この年ごとの記録は由緒あるものだと、師はおっしゃる。」

学び舎での言い方。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、trúum「古びた」とは含みが違う。師を高めて「言う」の尊敬の補充形 selván- を使っている。

selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.

読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。

selván-aaurélréés-amélnaségléin
おっしゃる-<(軽いものが)>あの方<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>詩<主格>この<軽性>清い

「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」

目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。

selvéna aurél ré tóro nébro.

読み:セルヴェーナ アウレール レー トーロ ネーブロ。

selvén-aaurélrétór-onébro.
おっしゃる-<(軽いものが)>あの方<〜と(節)>来る-<(重いものが)>霧<主格>

「あの方は、霧が来るとおっしゃる。」

selvén- は「言う」の尊敬の補充形。言った内容は ré の節で主節の後ろに置き、その節も動詞で始める。節の中の動詞は、霧 nébro に合わせて重性の -o になる。

selvéna ausenár ré vandésa fáron.

読み:セルヴェーナ アウセナール レー ヴァンデーサ ファーロン。

selvén-aau-sen-árrévand-és-afáron.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>量る-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>

「目付殿は、荷を量るべしとおっしゃる。」

縁の市で、目付の言葉を伝える文。ré の節の中は、もとの当為法のまま引用している。当為法で主語を言わないときは一般の人が主語になり、軽性の形をとる。

drelésa aurbúl un aurándoi, ré aurénde selvá an ilánais.

読み:ドレレーサ アウルブール ウン アウランドイ、レー アウレンデ セルヴァー アン イラーナイス。

drel-és-aaurbúlunauránd-oi,réaur-énd-eselváanilán-ais
焚く-<〜すべし>-<(軽いものが)>薪<対格>内に社-<与格><〜と(節)>昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

「社は薪を焚くべし。息が星々のもとへ昇りますように。」

社の碑文や祀りの手引書に刻まれる当為法の文。主語を言わないので「人は」の意味になり、軽性の形をとる(当為法・3SG.LT)。ré+願望法で目的(祈り)を示す。aurándo「社」は重性o語幹で与格 -oi。度量衡の碑の mé duliþésa… と同じく、法定的・規範的な文書に当為法が用いられる例。

funeléra lisár ré éso louríño rúndel ín an orénoi.

読み:フネレーラ リサール レー エーソ ロウリーニョ ルンデル イーン アン オレーノイ。

funelér-alis-árréés-olouríñorúndelínanorén-oi.
書き留める-<(軽いものが)>書く-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>小瀬<主格>速い一上手縁-<与格>

「書記は「縁の上手に速い小瀬がある」と書き留める。」

書物・記録の場面。ré の後の引用節は存在文。存在文で an orénoi を場所として置くため、名詞句を不定の閉じ ín で閉じてから前置詞句を置く。この閉じがないと、形容詞のすぐ後ろの an+与格は比較として読まれる。形容詞 rúndel は名詞の後ろに置く。

funeléra lisár ré elþaséna senár fáron.

読み:フネレーラ リサール レー エルサセーナ セナール ファーロン。

funelér-alisárréelþasén-asenárfáron.
書き留める-<(軽いものが)>書記<主格><〜と(節)>火に透かして見る-<(軽いものが)>目付<主格>荷<対格>

「書記が、目付が荷を火に透かして見た、と書き留めた。」

funelér- の補文を ré で受ける書物・記録文体。主節では funeléra が lisár に一致し、ré 節では elþaséna が senár に一致する。時制は語形に表れず、記録としての過去は文脈で読む。

lísim plíndo só ré éso gandér só krásen.

読み:リーシン プリンド ソー レー エーソ ガンデール ソー クラーセン。

lís-implíndosóréés-ogandérsókrás-en.
書く-<私が>札<対格>この<重性><〜と(節)>いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>割れあり-<〜した・〜された>

「私はこの荷札に、この硬木には割れがある、と書き込む。」

帳簿や荷札に、硬木に割れがあることを書き記す場面。主文は第一人称の lísim で、目的語 plíndo só のあとに ré で内容節を置く。内容節は éso gandér só krásen で、krásen が「割れあり」の検めの語として述語になる。

víra ólmar ré þrunésa dulsóilan.

読み:ヴィーラ オルマル レー スルネーサ ドゥルソイラン。

vír-aólmarréþrun-és-adulsóil-an.
言う-<(軽いものが)>年長者<主格><〜と(節)>削る-<〜すべし>-<(軽いものが)>下髪-<対格>

「年長者は「顎毛は剃るべきだ」と言う。」

作法・戒めを述べる文。当為法 þrunésa は主語を明示しないとき、一般の人を主語として軽性の形をとる。

lísa lisár ré éso puló tó múel

読み:リーサ リサール レー エーソ プロー トー ムーエル

lís-alis-árréés-opulótómúel
書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>拍<主格>あの<重性>遅い

「書記は、あの拍は遅いと書いている。」

書物・手習い・韻律論の場面。補文は ré で導し、元の文の法と語形をそのまま保つ。引用節の中でも形容詞述語は存在動詞+主語+形容詞の形になる。あの.HV は重性の指示詞 tó。

文法

補文の小辞。後ろに動詞で始まる節を続ける。

語源

古高原語 *ré から。補文を導く小辞として古くからある語。

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