小説
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名前
人やものを指して呼ぶ名。
ésa þelá selvá éndres.
読み:エーサ セラー セルヴァー エンドレス。
| és-a | þelá | selvá | éndr-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | 息<主格> | 人-<属格> |
「名前は、その人の息そのものである。」
書物や師の教えに出てくる格言ふうの文。名前は息の形だと考えられているので、目上の人の名、死後一年の名、霧の中の名を口にしない禁忌の理由として引かれる。書くことは息を使わないので、禁忌に当たらない。
toríro nébro, mé vír þelán! ésa þelá selvá, fíndo dálor.
読み:トリーロ ネーブロ、メー ヴィール セラーン!エーサ セラー セルヴァー、フィンド ダーロル。
| tor-ír-o | nébro, | mé | vír | þel-án! | és-a | þelá | selvá, | fínd-o | dálor. |
| 来る-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 言う<命令法><あなたが> | 名前-<対格> | いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | 息<主格> | 聞く-<(重いものが)> | 下の国<主格> |
「霧が来たら名を呼ぶな。名は息だ、下の国が聞きつける。」
霧期の禁忌を子どもに教える言い方。口に出した名前を selvá「息」としてとらえている。条件の節は動詞を仮定法にするだけで作る。dálor は重性なので、動詞 fínd- は重性の -o をとる。
pó ésa þelá táses?
読み:ポー エーサ セラー ターセス?
| pó | és-a | þelá | tás-es? |
| 何<主格> | いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | <あなた>-<属格> |
「お前の名は何だ。」
見張りの番人などが、素性の知れない者に使う、ぶっきらぼうな下向きの問い。疑問詞 pó を文頭に出した繋辞の文で、繋辞は主語の þelá(軽性)に一致している。改まった場では、相手に名乗らせる形(pán þéles?「何と名乗る」)や推量法を使う。霧の中では、名前を尋ねること自体が避けられる。
ésa þelá aursáres lísen rólanei.
読み:エーサ セラー アウルサーレス リーセン ローラネイ。
| és-a | þelá | aursár-es | lís-en | rólan-ei. |
| いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | 祖先-<属格> | 書く-<〜した・〜された> | 巻-<与格> |
「祖先の名は巻物に書かれている。」
家の習わしを述べる文。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、受け身にあたる意味になる。書くことは息を使わないので、口にしてはならない名前でも書き留めてよい。場所は前置詞なしの与格で表す。
funelér þelá, ende.
読み:フネレール セラー、エンデ。
| funelér | þelá, | ende. |
| 書き留める<命令法><あなたが> | 名前 | どうぞ |
「名前を書き留めてくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で、目的語は格語尾の落ちた形 þelá を使い、ende を添える。命令法と同じ形だが、市では無礼にならない。口にしてはいけない名前でも書くことは許されるので、名前は書き留めて伝えることが多い。
名声
家や人の評判。「名が昇る」は名声が高まること。
lúin pándan viráis éles, áura þelá éles.
読み:ルーイン パンダン ヴィライス エーレス、アウラ セラー エーレス。
| lúin | pánd-an | vir-áis | él-es, | áur-a | þelá | él-es. |
| とき | 刷る-<彼らが> | 言葉-<〜たちを> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 昇る-<(軽いものが)> | 名声<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「その人の言葉が版木で刷られると、その人の名声は高まる。」
詩合わせで勝った詩が刷られて広まることを言う文。「名が昇る」は、名声が高まるという意味の決まった言い方。前半の pándan は主語を言わない3人称複数で、「人々が刷る」という受け身に近い意味になる。
mé dulénde þelá némores!
読み:メー ドゥレンデ セラー ネーモレス!
| mé | dul-énd-e | þelá | némor-es! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 名声<主格> | <我々>-<属格> |
「我が家の名が落ちることのないように。」
家の年長者が若い者を戒めるときの言い方。「名が下る」は評判が落ちるという意味で、「名が昇る」の反対にあたる。願望法の文なので mé で否定する。強勢は願望法の -énd- に移る。
人・もの・土地の名前。高原では名前はその人の息の形そのものとされ、軽性で、上へ昇るものに数えられる。そのため、目上の人の名、王の名、死後一年の死者の名、霧の中の名を声に出すことは禁じられる。いっぽう書くことは息を使わないので禁じられない。人は一生のうちに幼名・成名・流名・座名・昇名と名を変えるが、それらをまとめて言う総称がこの語である。
軽性・a語幹(þelá/þelán/þelés/þeléi…)。「〜の名」は属格を後ろに置く(þelá sélvanes「セルヴァンの名」)。
þél-「名乗る」+ -á「〜するもの(軽)」。
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