小説
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茶
影の木の葉を煮出した苦い茶。
ésau þovríl si kailó séndoi.
読み:エーサウ ソヴリール シ カイロー センドイ。
| és-au | þovríl | si | kailó | sénd-oi. |
| いる-<双数> | 茶<主格> | と | 乾酪<主格> | ここ-<与格> |
「「ここに茶と乾酪がある。」」
客を炉端に迎えて、茶と乾酪を出すときの言い方。存在の文で、繋辞 és- が先頭に来る。単数の名詞が si で二つ並んでいるので、動詞は双数 ésau になる。双数の動詞は性を区別しないので、この文からは þovríl の性はわからない。
klér nébro, fóum þovríl.
読み:クレール ネーブロ、フォーン ソヴリール。
| klér | nébro, | fóum | þovríl. |
| 冷たい | 霧<主格> | 暖かい | 茶<主格> |
「霧は冷たく、茶は温かい。」
霧期に茶をすすめたり飲んだりするときに言う決まり文句。諺や詩と同じ語順なので、és- を省き、形容詞の述語を先に置いている。ふつうの名詞句は「名詞+形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると格言だとわかる。
影の木(þóvra)の葉を煮出した苦い茶。高原の日常の飲み物で、客にもまず出される。水と同じく地の上の液体なので重性に属し、湯気の立つ粥(lúsa)が軽性であるのと対照をなす。ただし、祀りで祖先に供える茶は、湯気とともに祖先のもとへ昇るものとして、まわりの語を軽性で受ける(性の転用。名詞の形は重性のままで、「茶を」も þovríl)。祀りに慣れた人は指示詞や形容詞まで軽性にし、ふつうの人は動詞と代名詞だけを軽性にする。ふだんの茶を軽性で受けると、気取った、祀りがかった言い方に聞こえる。
重性・子音語幹。属 þovrílos、与 þovríloi、複 þovrílul。
þóvra「影の木」と ílmo「水」の古い複合 *þovr-ílmo が縮まった形と考えられる。重性は ílmo を受け継いだもの。
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