小説
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嘆く
悲しんで嘆く。対象は es+属格で示す。
es pós dróumes, endríña?
読み:エス ポース ドローメス、エンドリーニャ?
| es | pós | dróum-es, | endríña? |
| から | なぜ<属格> | 嘆く-<あなたが> | 子ども |
「どうして泣いているの、坊や。」
大人が子どもに話しかける、やさしい問い。呼びかけには呼格を使わず、主格の名詞を読点で区切って文末に添える。es pós は「どこから泣き声がするのか」とも取れるが、相手に2人称で尋ねているので、ふつうは理由の問いと受けとられる。
dróuma ólmar ré éso nébro bróus sórel.
読み:ドローマ オルマル レー エーソ ネーブロ ブロース ソーレル。
| dróum-a | ólmar | ré | és-o | nébro | bróus | sórel. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <〜と(節)> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 多い | 今日 |
「今日は霧が多い、と年長者は嘆く。」
ré で始まる「〜と」の節を、主節の後ろに置いた文。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 bróus は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。ここでは量が多いことを表す。
dróuma ólmar es ráunos dúlenos.
読み:ドローマ オルマル エス ラウノス ドゥーレノス。
| dróum-a | ólmar | es | ráun-os | dúl-en-os. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | から | 水の落ちた流れ-<属格> | 下る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「「年長者は、水の落ちた流れのことを嘆く。」」
村や家の会話での言い方。崖を下りた人々を正面から「下りた者たち」とは言わず、この婉曲表現を目的語にしている。重性の名詞と分詞は、対格でも語尾がつかない。
bruumíro fáron es orénos, droumélan faronárai.
読み:ブルーミーロ ファーロン エス オレーノス、ドロウメーラン ファロナーライ。
| bruum-ír-o | fáron | es | orén-os, | droum-él-an | faron-ár-ai. |
| 落ちる-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 荷<主格> | から | 縁-<属格> | 嘆く-<〜だろう>-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> |
「縁から荷が落ちれば、運び人たちは嘆くだろう。」
条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。仮定法の -ír- が強勢をとるので、語根の ´ は消えて bruumíro になる。崖から物が落ちることは忌まれるので、崖道の人々は口にするのを嫌う言い方でもある。
dróuma faronár es fáronos grómos.
読み:ドローマ ファロナール エス ファーロノス グローモス。
| dróum-a | faronár | es | fáron-os | gróm-os. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | から | 荷-<属格> | 重い-<重性・属格> |
「運び人は荷が重いと嘆く。」
嘆きの対象は es+属格で示す。形容詞 gróm は、fáron(重性)の属格に一致して -os をとる。崖道の運び人のぼやき。
dróuman kelárai es meirós.
読み:ドローマン ケラーライ エス メイロース。
| dróum-an | kel-ár-ai | es | meir-ós. |
| 嘆く-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | から | 税-<属格> |
「樵たちは税を嘆いている。」
日常の不満を言う文。meiró は語尾に強勢のある重性o語幹で、属格は -ós。
dróuma ólmar ré víran faronárai viráis rúgalais.
読み:ドローマ オルマル レー ヴィーラン ファロナーライ ヴィライス ルーガライス。
| dróum-a | ólmar | ré | vír-an | faron-ár-ai | vir-áis | rúgal-ais. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | <〜と(節)> | 言う-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 粗野な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「年長者は、運び人たちが粗野な言葉を使うと嘆く。」
都でよく聞く嘆き。ré の後ろの節も、主節と同じく動詞で始まる。形容詞は軽性・複数・対格の rúgalais の形で viráis に一致している。
dróuma houmár ré ésa dulóur éles krán.
読み:ドローマ ホウマール レー エーサ ドゥロール エーレス クラーン。
| dróum-a | houmár | ré | és-a | dulóur | él-es | krán. |
| 嘆く-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 子<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 頑固な |
「家の主は、息子が頑固だと嘆いている。」
ré は「〜と」の節を導く。節の中も動詞で始まる。人を重性で受けると侮辱になるので、頑固さを責める文であっても、主語の子は軽性の éisa で受ける。
悼む
死者や失われたものを悲しみしのぶ。
lúin élþa elþá, dróumimor es houmáres.
読み:ルーイン エルサ エルサー、ドローミモル エス ホウマーレス。
| lúin | élþ-a | elþá, | dróum-imor | es | houmár-es. |
| とき | 燃える-<(軽いものが)> | 火<主格> | 悼む-<我々が> | から | 家の主-<属格> |
「火が燃えるあいだ、我らは家の主を悼む。」
火葬の場での言い方。死後一年は死者の名前を口にしないので、家の主のように立場で言い表す。悼む対象も es+属格で示す。
dróuma ráuvan es gandéros kélenos.
読み:ドローマ ラウヴァン エス ガンデーロス ケーレノス。
| dróum-a | ráuvan | es | gandér-os | kél-en-os. |
| 悼む-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | から | 硬木-<属格> | 伐る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「森の巫は、伐られた硬木を悼む。」
硬木を伐るときに、上へ伸びてきた木をねぎらう詞の場面。分詞 kélen は gandér(重性)の属格に一致して -os をとる。
悲しむ、嘆くことを表す。悲しみは心が沈み、重く下へ引かれることとされる。嘆く対象は es+属格で示す。死者を悼むことにも使うが、死後一年は名を口にできないので、嘆きの言葉は名を伏せた遠回しな形になる。縁の民が崖を下りたことも、この語で語られることが多い。
完了語根 dróums-。対象は es+属格。尊敬 audróum-、謙譲 dudróum-。
古高原語 *dróum- から
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