és-

品詞
動詞
意味
いる
辞書形
éisa
発音
[ˈeisa]
読み
エーサ
分野
基本動作

意味

  1. いる・ある

    ある場所に存在する。場所は与格か、前置詞+与格で言う。

    ésa lisím sélvanes gléin.

    読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。

    és-alis-ímsélvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>セルヴァン-<属格>清い

    「セルヴァンの書法は清い。」

    「AはBだ」の文も、繋辞 és- を先頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語の lisím「書法」が軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形(語尾なし)になる。

    ké éso tambór tásei? na éso tambór némei.

    読み:ケー エーソ タンボール ターセイ?ナ エーソ タンボール ネーメイ。

    kéés-otambórtás-ei?naés-otambórném-ei.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><私>-<与格>

    「「お前、雑穀はあるか?」「私には雑穀はない。」」

    二人の発話。所有は「持つ」という動詞ではなく、「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 tambór(重性)に一致する。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前の ké で作る。答えは動詞を繰り返すが、動詞が物に一致しているので人称は変わらず、「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso となる。ké máines?「食べたか」→ máinim「食べた」のような、人称を変える答え方と比べてほしい。

    pá éses? es pós tóres?

    読み:パー エーセス?エス ポース トーレス?

    páés-es?espóstór-es?
    誰<主格>いる-<あなたが>から何<属格>来る-<あなたが>

    「お前は誰だ。どこから来た?(なぜ来た?)」

    疑問詞は動詞の前に出る。es pós「何から」は「どこから」と「なぜ」の両方を表す。2人称を使っているので、下向きの話し方。崖道の番人が尋に最初に投げかけそうな問い。

    ésa lóna áuren an pélsei.

    読み:エーサ ローナ アウレン アン ペルセイ。

    és-alónaáur-enanpéls-ei.
    いる-<(軽いものが)>柱の木<主格>昇る-<〜した・〜された>上手脂の木-<与格>

    「柱の木は脂の木より高い。」

    性質の程度がまさるときは「an+与格」(〜の上手に)、劣るときは「du+与格」で比べる。「いちばん高い」は an lónail「柱の木々の上手に」と言う。立っている木なので軽性。下向きの性質(「より重い」)も規則どおり an で言うが、皮肉に響く(本文8節)。

    na éso nébro fléura.

    読み:ナ エーソ ネーブロ フレウラ。

    naés-onébrofléura.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>霧<主格>雲

    「霧は雲ではない。」

    述語の名詞は自分の性・主格のまま置く。動詞は主語の霧に合わせて重性の -o。

    ésau éndra si fáron káilau.

    読み:エーサウ エンドラ シ ファーロン カイラウ。

    és-auéndrasifáronkáil-au.
    いる-<双数>人<主格>と荷<主格>乾いた-<双数>

    「人と荷は乾いている。」

    性の違う語を並べたとき、人が含まれれば形容詞は軽性にする。単数が二つなので双数。

    éso nébro an orénoi, esós na sénimor ilánais.

    読み:エーソ ネーブロ アン オレーノイ、エソース ナ セーニモル イラーナイス。

    és-onébroanorén-oi,esósnasén-imorilán-ais.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>上手縁-<与格>だから<〜ない>見る-<我々が>灯-<〜たちを>

    「縁の上手に霧がある。だから、我々には星が見えない。」

    esós「それから(それゆえ)」は理由と結果。es pós「なぜ」と対になる。

    ésa endríña ormároi némes.

    読み:エーサ エンドリーニャ オルマーロイ ネーメス。

    és-aendríñaormár-oiném-es.
    いる-<(軽いものが)>子ども<主格>左-<与格><私>-<属格>

    「子どもは私の左にいる。」

    左右は体から見た向きで言い、「〜の左に」は与格の後ろに持ち主の属格を置く。地形の向きは絶対方位で言う。

    éso fáron gróm némei.

    読み:エーソ ファーロン グローン ネーメイ。

    és-ofárongrómném-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い<私>-<与格>

    「私には重い荷がある。」

    és- の文に裸の与格があるので、存在・所有の文として読み、gróm は荷を飾る。

    éso fáron gróm só némei.

    読み:エーソ ファーロン グローン ソー ネーメイ。

    és-ofárongrómsóném-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重いこの<重性><私>-<与格>

    「私には、この重い荷がある。」

    指示詞 só が名詞句を閉じるので、gróm が名詞句の中にあることがはっきりする。

    éso sáko némei un kórvoi.

    読み:エーソ サーコ ネーメイ ウン コルヴォイ。

    és-osákoném-eiunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>塩<主格><私>-<与格>内に倉-<与格>

    「私には倉の中に塩がある。」

    持ち主は裸の与格、場所は前置詞+与格。語順は「主語→与格→前置詞句」。

    éso fáron némes gróm.

    読み:エーソ ファーロン ネーメス グローン。

    és-ofáronném-esgróm.
    いる-<(重いものが)>荷<主格><私>-<属格>重い

    「私の荷は重い。」

    形容詞が属格より後ろにあるので、名詞句の外にある述語と読む。

    éso fáron gróm némes só.

    読み:エーソ ファーロン グローン ネーメス ソー。

    és-ofárongrómném-essó.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い<私>-<属格>この<重性>

    「この、私の重い荷がある。」

    名詞・形容詞・属格・指示詞の順の名詞句。指示詞で閉じているので、gróm は名詞を飾る。

    éso fáron gróm un méndalei.

    読み:エーソ ファーロン グローン ウン メンダレイ。

    és-ofárongrómunméndal-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い内に中-<与格>

    「重い荷がある(この世にある)。」

    場所を言わない存在文には un méndalei「中の世界に」を添える。くだけた言葉では séndoi「ここに」で代える。

    éso ílmo klér un kórvoi.

    読み:エーソ イルモ クレール ウン コルヴォイ。

    és-oílmoklérunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい内に倉-<与格>

    「倉の中に冷たい水がある。」

    前置詞つきの与格も、動詞の後ろにあれば存在の文と読む。

    un kórvoi, éso ílmo klér.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール。

    unkórv-oi,és-oílmoklér.
    内に倉-<与格>いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい

    「倉の中では、水は冷たい。」

    場所を動詞の前に出すと、述語の形容詞の文になる(場所を対比の前置きとして出した形)。

    éso ílmo klér an kórvoi.

    読み:エーソ イルモ クレール アン コルヴォイ。

    és-oílmoklérankórv-oi.
    いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい上手倉-<与格>

    「水は倉より冷たい。」

    述語の形容詞のすぐ後ろの an+与格は、比較として読む。

    an kórvoi, éso ílmo klér.

    読み:アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール。

    ankórv-oi,és-oílmoklér.
    上手倉-<与格>いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい

    「倉の北側では、水は冷たい。」

    比較でない場所の an+与格は、動詞の前に出す。

    an kórvoi, pó éso?

    読み:アン コルヴォイ、ポー エーソ?

    ankórv-oi,póés-o?
    上手倉-<与格>何<主格>いる-<(重いものが)>

    「倉の北側には、何があるか。」

    場面の枠(場所)は疑問詞より前に置き、後ろに読点(短い切れ目)を入れる。

    ké an kórvoi, éso ílmo klér?

    読み:ケー アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール?

    kéankórv-oi,és-oílmoklér?
    <〜か>上手倉-<与格>いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい

    「倉の北側では、水は冷たいか。」

    ké は文のいちばん前、そのあとに場面の枠が来る。

    éso ílmo klér ín an kórvoi.

    読み:エーソ イルモ クレール イーン アン コルヴォイ。

    és-oílmoklérínankórv-oi.
    いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい一上手倉-<与格>

    「倉の北側に、冷たい水がある。」

    ín「一」を名詞句の終わりに置いて、不定の名詞句を閉じる。閉じたあとの an+与格は比較ではなく場所。

    éso ín fáron gróm ín an kórvoi.

    読み:エーソ イーン ファーロン グローン イーン アン コルヴォイ。

    és-oínfárongrómínankórv-oi.
    いる-<(重いものが)>一荷<主格>重い一上手倉-<与格>

    「倉の北側に、重い荷が一つある。」

    名詞の前の ín は数の「一つの」、名詞句の終わりの ín は不定の「ある」。二つ並べてよい。

    ké an kórvoi, éso ílmo klér? éso.

    読み:ケー アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール?エーソ。

    kéankórv-oi,és-oílmoklér?és-o.
    <〜か>上手倉-<与格>いる-<(重いものが)>水<主格>冷たいいる-<(重いものが)>

    「「倉の北側では、水は冷たいか」「冷たい」」

    答えの形では、場面の枠も問いに出た語として省ける。

    ésim séndoi du nébro.

    読み:エーシン センドイ ドゥ ネーブロ。

    és-imsénd-oidunébro.
    いる-<私が>ここ-<与格>下手霧<対格>

    「私は霧の季節までここにいる。」

    du+対格「〜の下手へ」は、時の名詞では「〜まで」。

    éso nébro an sílarail.

    読み:エーソ ネーブロ アン シーラライル。

    és-onébroansílar-ail.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>上手月-<〜らに>

    「二つの月の上手(北側)に霧がある。」

    前置詞の後ろの双数は、都でも複数の形で代える(双数の属格と与格は同じ形で、前置詞の意味が決まらないため)。

    éso dún náuren.

    読み:エーソ ドゥーン ナウレン。

    és-odúnn-áur-en.
    いる-<(重いものが)>丘<主格><〜ない>-昇る-<〜した・〜された>

    「丘は高からぬ(低い)。」

    na- は母音の前で n- になる。

    na éso ílmo nagléin.

    読み:ナ エーソ イルモ ナグレーン。

    naés-oílmona-gléin.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>水<主格><〜ない>-清い

    「水は清からぬものではない(悪くない水だ)。」

    二重否定。目上の人の持ち物や行いを、直接ほめずに控えめに評価する言い方。

    ésa lisár éndra te sénim.

    読み:エーサ リサール エンドラ テ セーニン。

    és-alis-áréndratesén-im.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>人<主格><関係節>見る-<私が>

    「書記は、私が見た人だ。」

    名詞が述語の文では、関係節のついた名詞句を述語として読む。

    éndra te sénim, ésa lisár.

    読み:エンドラ テ セーニン、エーサ リサール。

    éndratesén-im,és-alis-ár.
    人<主格><関係節>見る-<私が>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>

    「私が見た人は、書記だ。」

    関係節のついた名詞句を主語にしたいときは、読点で閉じて前に出す。

    ké éses an fóndaros ráimaros? ésim.

    読み:ケー エーセス アン フォンダロス ライマロス?エーシン。

    kéés-esanfóndar-osráimar-os?és-im.
    <〜か>いる-<あなたが>上手源-<属格>ライマル-<属格>いる-<私が>

    「「お前はライマルの源の流れか?」「そうだ。」」

    二人の発話。同じ段か目下の相手に、どの家系の者かを尋ねている。ké と2人称を使っているので、目上の人には使えない。高原語には「はい」にあたる語がないので、動詞を1人称に言い換えて ésim と答える。氏族の名 ráimar は重性で、属格 ráimaros の形で fóndar の後ろに置く。

    ésa sélvan dúlen dáumbar lóurul an fóndaros ráimaros.

    読み:エーサ セルヴァン ドゥーレン ダウンバル ロールル アン フォンダロス ライマロス。

    és-asélvandúl-endáumbarlóur-ulanfóndar-osráimar-os.
    いる-<(軽いものが)>セルヴァン<主格>下る-<〜した・〜された>二十瀬-<〜たちを>上手源-<属格>ライマル-<属格>

    「セルヴァンは、ライマルの源から二十瀬下った者である。」

    ある人の世代を、第三者として述べる改まった文。序数を使わず、「分詞 dúlen+数詞+瀬の複数対格(道のりの対格)」で言う。分詞は主語 sélvan(軽性・単数・主格)に一致するので、語尾がつかない。瀬の数が多いのは誉れとされる。

    ésa lisár sé dúlen fáir þrénul.

    読み:エーサ リサール セー ドゥーレン ファイル スレーヌル。

    és-alis-ársédúl-enfáirþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>この<軽性>下る-<〜した・〜された>四段-<〜たちを>

    「この書記は四段下りの者だ。」

    ある人の身分を、第三者に説明する文。身分も「dúlen+数詞+段 þrén の複数対格」で言う。lóur(瀬)ではなく þrén(段)を使っているので、世代ではなく身分の話だとわかる。本人の前でこのように数詞を添えて言うのは、相手の段によっては無作法になる。

    ké éso fóndar só gléin? éso gléin.

    読み:ケー エーソ フォンダル ソー グレーン?エーソ グレーン。

    kéés-ofóndarsógléin?és-ogléin.
    <〜か>いる-<(重いものが)>源<主格>この<重性>清いいる-<(重いものが)>清い

    「「この泉は清いか?」「清い。」」

    二人の発話。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。fóndar は重性なので、繋辞は éso になる。述語の形容詞 gléin は重性・単数・主格に一致するが、この形には語尾がつかない。高原語には「はい」にあたる語がないので、答えでは問いの動詞をそのまま繰り返す。

    ésa lisár sé dúlen fáir þrénul.

    読み:エーサ リサール セー ドゥーレン ファイル スレーヌル。

    és-alis-ársédúl-enfáirþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>この<軽性>〜段・〜瀬下りた-<〜した・〜された>四段-<〜たちを>

    「この書記は四段下りの者だ。」

    身分の段を言う言い方。分詞 dúlen に数詞と þrén「段」の複数対格(道のりの対格)を続けて、頂からどれだけ下りているかを表す。高原語にはこれにあたる序数がない。分詞は主語 lisár(軽性・単数・主格)に一致するので、語尾がつかない。þrénul を lóurul「瀬を」に替えると、身分ではなく世代の言い方になる。

    ésa lóna sé áuren.

    読み:エーサ ローナ セー アウレン。

    és-alónaséáur-en.
    いる-<(軽いものが)>柱の木<主格>この<軽性>高い-<〜した・〜された>

    「この柱の木は高い。」

    分詞 áuren を述語の形容詞として使った文。生えている柱の木は軽性なので、指示詞は sé になり、分詞は軽性・単数・主格で語尾がつかない。伐られて材木になると、まわりの語は重性の一致に変わる。

    ésa selvá némes ál.

    読み:エーサ セルヴァー ネーメス アール。

    és-aselváném-esál.
    いる-<(軽いものが)>息<主格><私>-<属格>白い

    「息が白い。」

    凍りの頃によく聞く日常のひとこと(逐語訳は「私の息は白い」)。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。息は軽性なので、繋辞は -a、形容詞 ál は語尾なしになる。

    séir! na ésa selvá némei.

    読み:セール!ナ エーサ セルヴァー ネーメイ。

    séir!naés-aselváném-ei.
    待つ<命令法><あなたが><〜ない>いる-<(軽いものが)>息<主格><私>-<与格>

    「待ってくれ、息が切れた。」

    坂道や崖道を上るときの、くだけた言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず「ある+持ち主の与格」で言うので、「私には息がない」が「息が切れた」の意味になる。動詞は持たれている物 selvá(軽性)に一致する。

    ésa þelá selvá éndres.

    読み:エーサ セラー セルヴァー エンドレス。

    és-aþeláselváéndr-es.
    いる-<(軽いものが)>名前<主格>息<主格>人-<属格>

    「名前は、その人の息そのものである。」

    書物や師の教えに出てくる格言ふうの文。名前は息の形だと考えられているので、目上の人の名、死後一年の名、霧の中の名を口にしない禁忌の理由として引かれる。書くことは息を使わないので、禁忌に当たらない。

    toríro nébro, mé vír þelán! ésa þelá selvá, fíndo dálor.

    読み:トリーロ ネーブロ、メー ヴィール セラーン!エーサ セラー セルヴァー、フィンド ダーロル。

    tor-ír-onébro,mévírþel-án!és-aþeláselvá,fínd-odálor.
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>言う<命令法><あなたが>名前-<対格>いる-<(軽いものが)>名前<主格>息<主格>聞く-<(重いものが)>下の国<主格>

    「霧が来たら名を呼ぶな。名は息だ、下の国が聞きつける。」

    霧期の禁忌を子どもに教える言い方。口に出した名前を selvá「息」としてとらえている。条件の節は動詞を仮定法にするだけで作る。dálor は重性なので、動詞 fínd- は重性の -o をとる。

    éso lóur só gléin.

    読み:エーソ ロール ソー グレーン。

    és-olóursógléin.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>清い

    「この瀬は清い。」

    川辺や漁の場面のくだけた文。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。lóur「瀬」は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só を使う。述語の形容詞 gléin は、重性・単数・主格の形で語尾がつかない。

    éso þrén nadúlen aldárei áurenei.

    読み:エーソ スレーン ナドゥーレン アルダーレイ アウレネイ。

    és-oþrénna-dúl-enaldár-eiáur-en-ei.
    いる-<(重いものが)>段<主格><〜ない>-下る-<〜した・〜された>座-<与格>昇る-<〜した・〜された>-<与格>

    「下りぬ段は高き座のものである。」

    宮廷の語りや詩で、王の身分を言う改まった文。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 þrén(重性)に一致して -o をとる。分詞 nadúlen「下りぬ」は、重性・単数・主格の þrén に一致しているので語尾がつかない。áurenei は、軽性の与格 aldárei に一致した形。王の段は数を使わず、「下りぬ段」とだけ言う。

    ésa plána lísen orenvandáres.

    読み:エーサ プラーナ リーセン オレンヴァンダーレス。

    és-aplánalís-enorenvandár-es.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>書く-<〜した・〜された>縁商人-<属格>

    「帳簿は縁商人の手で書かれている。」

    受け身にあたる言い方。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、誰がしたかは属格で添える。紙の帳簿は軽性なので、繋辞は -a をとり、分詞 lísen も軽性・単数・主格(語尾なし)になる。

    ké ésa plána tásei? ésa.

    読み:ケー エーサ プラーナ ターセイ?エーサ。

    kéés-aplánatás-ei?és-a.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>帳簿<主格><あなた>-<与格>いる-<(軽いものが)>

    「「お前、帳簿はあるか?」「ある。」」

    二人の発話。同じ段どうしか、目下に向けたくだけた問い。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 plána(軽性)に一致する。「はい」にあたる語はないので、動詞を繰り返して答える。動詞が物に一致しているので、答えでも人称は変わらない。

    ésa plána kloimáres ível.

    読み:エーサ プラーナ クロイマーレス イーヴェル。

    és-aplánakloimár-esível.
    いる-<(軽いものが)>紙の帳面<主格>弟子-<属格>新しい

    「弟子の紙の帳面は新しい。」

    取引の帳簿にかぎらず、手習いや詩の書き写しに使う紙の帳面にも plána を使う。「AはBだ」の文も、繋辞 és- を先頭に置く。紙は伐った木から作られても軽性のままなので、繋辞は -a、形容詞 ível も軽性・主格の形になる。

    ésa plána méiren rainiþáres.

    読み:エーサ プラーナ メーレン ライニサーレス。

    és-aplánaméir-enrainiþár-es.
    いる-<(軽いものが)>紙の帳面<主格>与える-<〜した・〜された>師-<属格>

    「その紙の帳面は、師から与えられたものだ。」

    学び舎での一場面。他動詞の分詞は受け身の意味になり、分詞の後ろの属格 rainiþáres が「師によって」を表す。紙の帳面は軽性なので、分詞 méiren は語尾のつかない軽性・単数・主格の形になる。

    ésa virá táses rúgal.

    読み:エーサ ヴィラー ターセス ルーガル。

    és-avirátás-esrúgal.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格><あなた>-<属格>粗い

    「お前の言葉は粗い。」

    相手の言葉づかいをとがめる、くだけた言い方。2人称の代名詞 tás を使うので、目上の人には使えない。言葉は息であり上へ昇るべきものとされるので、「粗い」と言われるのは強い非難になる。

    ésa virá sílares sé gléin.

    読み:エーサ ヴィラー シーラレス セー グレーン。

    és-avirásílar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>詩句<主格>月-<属格>この<軽性>清い

    「この月の句は清い。」

    詩の挨拶で返された句をほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。指示詞 sé は格で形が変わらず、名詞句の終わりの目印になる。

    ésa virá sé lísen aulisáres.

    読み:エーサ ヴィラー セー リーセン アウリサーレス。

    és-avirásélís-enau-lis-ár-es.
    いる-<(軽いものが)>文字<主格>この<軽性>書く-<〜した・〜された><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

    「この字は書記の方がお書きになったものだ。」

    書かれた字も virá で言う。分詞 lísen の後ろの属格が「〜によって」を表し、書き手が目上なので、名詞 lisár に尊敬の接頭辞 au- をつけている。

    ésa pélsa sé áuren.

    読み:エーサ ペルサ セー アウレン。

    és-apélsaséáur-en.
    いる-<(軽いものが)>脂の木<主格>この<軽性>昇る-<〜した・〜された>

    「この脂の木は高い。」

    生えている脂の木を言う文。立ち木は軽性なので、繋辞は -a をとる。áuren「高い」は、もとは aur-「昇る」の分詞。伐られて材になると、同じ名詞でも繋辞は重性の éso で受ける。

    ésa pélsa sé gléin, táula kelár pelsó éles.

    読み:エーサ ペルサ セー グレーン、タウラ ケラール ペルソー エーレス。

    és-apélsaségléin,tául-akel-árpelsóél-es.
    いる-<(軽いものが)>脂の木<主格>この<軽性>清い取る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>樹脂<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「この脂の木は清い。樵はその樹脂を採る。」

    立ち木から樹脂を採る話。立ち木なので、pélsa を受ける繋辞も代名詞も軽性の形になる(ésa、éles)。樹脂 pelsó は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印を打つ。

    éso pélsa kélen némei.

    読み:エーソ ペルサ ケーレン ネーメイ。

    és-opélsakél-enném-ei.
    いる-<(重いものが)>脂の木の材・荷札<主格>伐る-<〜した・〜された><私>-<与格>

    「私には荷札(伐った脂の木の札)がある。」

    荷札にする脂の木の薄板を言う文。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。名詞は軽性の語形 pélsa のままだが、伐った材なので、繋辞は重性の -o をとり、分詞 kélen も重性で一致する。名詞の語尾とまわりの語の性が食い違うのが、この意味の特徴である。

    éso nébro, na sénimor álmaran.

    読み:エーソ ネーブロ、ナ セーニモル アルマラン。

    és-onébro,nasén-imorálmar-an.
    いる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<我々が>白月-<対格>

    「霧が出ていて、我々には白月が見えない。」

    霧期の暮らしを語るときの言い方。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。霧が出ると、空と人とのあいだに下のものが割りこみ、祖先が下界を見守れなくなる。この文には、そうした不安がこもっている。

    lúin éso nébro, mé þondésa þondán.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、メー ソンデーサ ソンダーン。

    lúinés-onébro,méþond-és-aþond-án.
    ときいる-<(重いものが)>霧期<主格><禁止・願いの打ち消し>誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)>誓い-<対格>

    「霧期のあいだは、誓いを立てぬこと。」

    法典や碑文に見られる、当為法を使った禁止。主語を言わないので一般の人が主語になり、動詞は軽性の形をとる。霧の夜の誓いは祖先に届かず無効とされる。その信仰を定めとして書いた文。

    ké éso fáron tásei? na éso.

    読み:ケー エーソ ファーロン ターセイ?ナ エーソ。

    kéés-ofárontás-ei?naés-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>荷<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>

    「「お前、荷はあるか?」「いや、ない。」」

    所有の問いと否定の答え。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく、持たれている物 fáron(重性)に一致する。そのため答えでも人称は変わらず、na éiso となる。

    ké éso tambór tásei? na éso.

    読み:ケー エーソ タンボール ターセイ?ナ エーソ。

    kéés-otambórtás-ei?naés-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><あなた>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>

    「「お前、雑穀はあるか?」「ない。」」

    二人の発話。高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返して答え、否定なら na をつける。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 tambór(重性)に一致する。そのため答えでも人称は変わらず、「ある」なら éso、「ない」なら na éso となる。

    lúin éso nébro, mé vírir þeláis.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、メー ヴィーリル セライス。

    lúinés-onébro,mévír-irþel-áis.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>言う-<皆で〜せよ>名前-<〜たちを>

    「霧が出ているときは、名を呼んではならぬ。」

    霧の中で名前を呼ぶと下の国に聞かれるという禁忌を、年長者が若者たちに言い聞かせる言い方。vír- が名前を目的語にとると「名を呼ぶ・口にする」の意味になる。禁止は mé+命令法で、相手が複数なので命令法の2複 -ir を使う。lúin の節は主節の前に置く。

    ésa lisím sé gléin.

    読み:エーサ リシーン セー グレーン。

    és-alis-ímségléin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>この<軽性>清い

    「この書法は清い。」

    書の出来をほめる言い方。lisím「書法」は軽性なので、指示詞は軽性の sé を名詞の後ろに置く。sé は格では形が変わらない。関係節がないときは、指示詞が名詞句の終わりの目印になる。繋辞 és- が文頭に来て、述語の形容詞 gléin は主語に一致する。

    éso gandér só gróm.

    読み:エーソ ガンデール ソー グローン。

    és-ogandérsógróm.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>重い

    「この硬木は重い。」

    主語の gandér が重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。ほかのものについて「重い」と言うとけなす響きになりがちだが、硬木の重さは「下へ行く」という成就のしるしなので、樵や森の司は誇りをこめてこう言う。

    éso gandér gróm an kelárei.

    読み:エーソ ガンデール グローン アン ケラーレイ。

    és-ogandérgrómankel-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>重い〜よりまさって伐る-<〜する人>-<与格>

    「硬木は樵よりも重い。」

    比較は an+与格「〜の上手に」で言い、性質の程度がまさることを表す。重さのような下向きの性質を an で比べると、ふつうは皮肉に響く。ただし硬木の重さは「下へ行く」成就のしるしなので、樵や森の司はこの言い方を誇らしげに使う。主語 gandér が重性なので、繋辞は -o をとる。

    ésa lisím sélvanes séuril an lisímail.

    読み:エーサ リシーン セルヴァネス セウリル アン リシーマイル。

    és-alis-ímsélvan-esséurilanlis-ím-ail.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>セルヴァン-<属格>美しい〜よりまさって書く-<〜の技・〜さ>-<〜らに>

    「セルヴァンの書法は、並ぶ書法の中でいちばん美しい。」

    書の競い合いで勝ちの書をほめる言い方。an+同じ仲間の複数与格で最上級になる。述語の形容詞 séuril は軽性の主語 lisím に一致し、単数主格なので語尾がない。

    éso gandér fláin du kelárei.

    読み:エーソ ガンデール フライン ドゥ ケラーレイ。

    és-ogandérfláindukel-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>軽い〜より劣って伐る-<〜する人>-<与格>

    「硬木は軽さでは樵に及ばない(樵より重い)。」

    du+与格で、性質の程度が劣ることを表す。下向きの性質を an で比べると皮肉に響くので、改まった話し方では反対の軽い性質を du で比べて言い換える。意味は gróm an kelárei と同じになる。

    ésa lisím némes séuril du lisímei aulisáres.

    読み:エーサ リシーン ネーメス セウリル ドゥ リシーメイ アウリサーレス。

    és-alis-ímném-esséurildulis-ím-eiau-lis-ár-es.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ><私>-<属格>美しい〜より劣って書く-<〜の技・〜さ>-<与格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

    「私の書法は、書記の方の書法の美しさに及びません。」

    自分の書をへりくだって言う文。du+与格で、美しさの程度が劣ることを表す。比べる相手の書法の持ち主は、au- をつけた属格 aulisáres で高める。

    éso þéul gléin.

    読み:エーソ セウル グレーン。

    és-oþéulgléin.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>清い

    「湧き水は清い。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を文頭に置く。地を流れる水は重性なので、繋辞は -o をとり、形容詞は重性・主格の形(語尾なし)になる。

    éso fáron só gróm.

    読み:エーソ ファーロン ソー グローン。

    és-ofáronsógróm.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重い。」

    運び人がよく口にする日常の文。荷は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。指示詞が名詞句の終わりの目印になり、その後ろの gróm が述語だとわかる。

    éso gandér só gróm an gandéruls.

    読み:エーソ ガンデール ソー グローン アン ガンデールルス。

    és-ogandérsógrómangandér-uls.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>重い上手硬木-<〜らに>

    「この硬木は、硬木のなかでもいちばん重い。」

    最上級は「an+同じ仲間の複数与格」で言う。下向きの性質を an で比べると皮肉に聞こえやすいが、硬木にとって重さは成就のしるしなので、樵や森の司はこの言い方を誇らしげに使う。

    ésa faronár té gróm.

    読み:エーサ ファロナール テー グローン。

    és-afaronártégróm.
    いる-<(軽いものが)>運び人<主格>あの<軽性>粗野な

    「あの運び人は粗野だ。」

    人をけなす用法で、陰口に使う。人を指すので繋辞は軽性の -a のまま、形容詞も軽性の形になる。ここで動詞まで重性の éso にすると、人を「重いもの」扱いすることになり、ずっと強い侮辱になる。

    éso fáron némes fláin.

    読み:エーソ ファーロン ネーメス フライン。

    és-ofáronném-esfláin.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>私-<属格>軽い

    「私の荷は軽い。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を文頭に置いている。荷 fáron は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 fláin は重性・主格の形で、語尾はつかない。

    nóurim ré ésa lisár té fláin.

    読み:ノーリン レー エーサ リサール テー フライン。

    nóur-imréés-alis-ártéfláin.
    思う-<私が><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>あの<軽性>上品な

    「あの書記は上品だと思う。」

    ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。指示詞 té は強勢をもち、名詞句の終わりの目印になる。

    ésa lóna nakélen.

    読み:エーサ ローナ ナケーレン。

    és-alónana-kél-en.
    いる-<(軽いものが)>柱の木<主格><〜ない>-伐る-<〜した・〜された>

    「その柱の木はまだ伐られていない。」

    まだ伐られていない立ち木なので軽性で受け、繋辞は -a をとる。伐り倒したあとは、同じ語でも、受ける語が重性の形になる。

    éso lóna só krán.

    読み:エーソ ローナ ソー クラーン。

    és-olónasókrán.
    いる-<(重いものが)>柱材<主格>この<重性>硬い

    「この柱材は硬い。」

    材木を検めるときの言い方。名詞は軽性の語形 lóna のままだが、繋辞は重性の -o、指示詞は重性の só になり、形容詞も重性の形をとる。立ち木について言う þóra lóna áuren(軽性)と比べるとよい。

    ésa aurá té séuril.

    読み:エーサ アウラー テー セウリル。

    és-aaurátéséuril.
    いる-<(軽いものが)>縁鷲あの<軽性>美しい

    「あの縁鷲は美しい。」

    繋辞 és- を文頭に置く「AはBだ」の文。縁鷲 aurá は軽性なので、指示詞は té、繋辞は -a の形になり、述語の形容詞は語尾のない主格形になる。重性の名詞なら「あの」は tó になる(gandér tó)。

    nóurim ré éso fáron só gróm.

    読み:ノーリン レー エーソ ファーロン ソー グローン。

    nóur-imréés-ofáronsógróm.
    思う-<私が>といる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重いと思う。」

    運び人が荷を担ぐ前に言うような日常の文。思った内容の節も ré で導く。節の主語 fáron は重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。

    ké ésau tambór si sáko tásei?

    読み:ケー エーサウ タンボール シ サーコ ターセイ?

    kéés-autambórsisákotás-ei?
    <〜か>いる-<双数>雑穀<主格>と塩<主格><あなた>-<与格>

    「お前のところに雑穀と塩はあるか?」

    市での品の問い合わせ。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。si には強勢がなく、後ろの語に寄りかかって発音される。

    té! pá éses?

    読み:テー!パー エーセス?

    té!páés-es?
    そこの方誰<主格>いる-<あなたが>

    「そこの方!誰だ?」

    霧の中で名前を呼ぶと、その人が下の国へ引かれるとされる。そのため、名前の代わりに強勢のある té だけを言って呼びかける。後ろの問いで2人称の動詞を使っているので、同じ段か下向きの話し方。

    na éso tambór némorei.

    読み:ナ エーソ タンボール ネーモレイ。

    naés-otambórnémor-ei.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>雑穀<主格>我々-<与格>

    「我々には雑穀がない。」

    所有の言い方。「持つ」という動詞はなく、持ち主を与格 némorei で表す。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 tambór(重性)に一致するので、3人称単数・重性の éso になる。凶作の年や倉が空になったときに、村でふつうに聞かれる言い方。

    éso dún tó lóuvan, éso dún só trúin.

    読み:エーソ ドゥーン トー ローヴァン、エーソ ドゥーン ソー トルーイン。

    és-odúntólóuvan,és-odúnsótrúin.
    いる-<(重いものが)>丘<主格>あの<重性>遠いいる-<(重いものが)>丘<主格>この<重性>近い

    「あの丘は遠く、この丘は近い。」

    重性の指示詞 tó「あの」と só「この」を並べた対比の文。繋辞 és- は主語 dún(重性)に一致して éso になる。述語の形容詞は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。道案内でよく使われる形の文。

    pél éso gandér?

    読み:ペール エーソ ガンデール?

    pélés-ogandér?
    どれいる-<(重いものが)>硬木<主格>

    「どれが硬木だ?」

    積まれた丸太の中から硬木を見分けさせる問い。繋辞の文で、主語は gandér、pél は述語にあたり、疑問詞なので文頭に出る。繋辞は主語の gandér に一致して重性の -o をとる。

    pórin éses, séulin?

    読み:ポーリン エーセス、セウリン?

    pórinés-es,séulin?
    どのようにいる-<あなたが>友

    「どうしている、友よ。」

    同じ段の親しい者どうしの、くだけた挨拶。呼びかけには呼格を使わず、名詞を文の終わりに読点で区切って添える。目上の人には2人称を使えないので、この言い方はしない。

    na ésa páin séndoi.

    読み:ナ エーサ パイン センドイ。

    naés-apáinsénd-oi.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>誰も<主格>ここ-<与格>

    「「ここには誰もいない。」」

    呼びかけに返事がないときなどの、日常の言い方。存在の és- が先頭に来て、主語 páin は軽性なので ésa になる。人が一人もいないことを言うのに数詞は使わず、na と páin だけで言う。

    ké éso póin tásei?

    読み:ケー エーソ ポイン ターセイ?

    kéés-opóintás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>何か<主格><あなた>-<与格>

    「何か持っているか。」

    所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物 póin(重性)に一致するので éso になる。2人称 tás を使っているので、下向きか、ごく親しい相手への問い。

    ésa ómbra sáindares lísen.

    読み:エーサ オンブラ サインダレス リーセン。

    és-aómbrasáindar-eslís-en.
    いる-<(軽いものが)>すべて<主格>証文-<属格>書く-<〜した・〜された>

    「証文はすべて書き上がっている。」

    単数の ómbra は「まるごと全体」を表し、何の全体かを後ろの属格で示す。ómbra は軽性なので、繋辞は -a をとり、分詞 lísen は軽性・単数・主格で語尾がつかない。掛けの精算の前に証文を確かめるときの言い方。

    ésa ómbra lúumen aursárar.

    読み:エーサ オンブラ ルーメン アウルサーラル。

    és-aómbralúum-enaursár-ar.
    いる-<(軽いものが)>すべて<主格>ご覧になる-<〜した・〜された>祖先-<〜らの>

    「すべては、ご先祖さまがご覧になっている。」

    祖先祀りや戒めの場で使う、改まった言い方。「見る」の尊敬の補充形 lúum- の分詞に、行為者を表す複数属格 aursárar を添えている。祖先は数えないので、複数はひとまとまりの「方々」を表す。

    ésa faronár dúlen réum þrénul.

    読み:エーサ ファロナール ドゥーレン レウン スレーヌル。

    és-afaron-árdúl-enréumþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>下る-<〜した・〜された>九段-<〜たちを>

    「運び人は九段下りの者だ。」

    身分の言い方「dúlen+数詞+þrén の複数対格(道のりの対格)」。réum þrénul「九段」は、いちばん下の段を指す。分詞 dúlen は、主語 faronár(軽性・単数・主格)に一致するので、一致の語尾がつかない。

    ésa plána sé ombár.

    読み:エーサ プラーナ セー オンバール。

    és-aplánaséombár.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>この<軽性>そろった

    「この帳簿は、一行も欠けずにそろっている。」

    掛けを精算する前に帳簿を突き合わせて、記載に欠けがないことを確かめたあとの言い方。ombár を述語にして、「欠けがない・満ちている」という意味で使っている。数詞は格変化しないので、述語になっても語尾がつかない。紙の帳簿 plána は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé になる。plána の主格はそのままの形(a語幹の -a は類推で復元された語幹の母音)なので、ここでは切り分けずに示した。

    ésa rimbá sé sélu!

    読み:エーサ リンバー セー セール!

    és-arimbásésélu!
    いる-<(軽いものが)>数<主格>この<軽性>当てにならない大きな数

    「こんな数、当てになるもんか!」

    運び人や崖道の商人が言う、からかいの言い方。「この数は泥の千だ」という形で、話を盛った数や、ごまかしの入っていそうな大きな数をけなす。改まった場では使わない。

    ésa rimbá sáindares slúun.

    読み:エーサ リンバー サインダレス スルーン。

    és-arimbásáindar-esslúun.
    いる-<(軽いものが)>数<主格>証文-<属格>千

    「証文の数は千である。」

    帳簿の突き合わせで数を確かめる言い方。「AはBだ」の文なので繋辞 és- を先頭に置く。rimbá は軽性なので、繋辞は -a をとる。属格 sáindares は rimbá の後ろに置く。

    ésa rimbá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リンバー サインダレス セー グレーン。

    és-arimbásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>数の欄<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の数の欄は、書き損じもなくきれいだ。」

    検めで証文の書きぶりをほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。rimbá は軽性なので、指示詞は sé、述語の gléin も軽性・主格の形になる。

    na ésa rimbá sáindares sé.

    読み:ナ エーサ リンバー サインダレス セー。

    naés-arimbásáindar-essé.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>数の欄<主格>証文-<属格>この<軽性>

    「この証文には数の欄がない。」

    荷の検めで、書式の不備を指摘する言い方。存在の動詞 és- を na で否定している。rimbá は軽性なので、動詞は -a をとる。

    éso már sélvanes séuril.

    読み:エーソ マール セルヴァネス セウリル。

    és-omársélvan-esséuril.
    いる-<(重いものが)>手跡<主格>セルヴァン-<属格>美しい

    「セルヴァンの手跡は美しい。」

    手跡の意味でも már は重性のままで、繋辞は -o をとる。書き手は属格で後ろに示す。書きぶりや字の美しさが身分と教養の証になるので、人の手跡をほめるのは改まった賛辞になる。

    ké éso senó téndoi?

    読み:ケー エーソ セノー テンドイ?

    kéés-osenóténd-oi?
    <〜か>いる-<(重いものが)>見張り<主格>あそこ-<与格>

    「「あそこに見張りはいるか。」」

    はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。存在の文で、動詞は重性の senó に一致して éso になる。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso と言う。崖道の上り口で番の有無を確かめるときの、くだけた問い。

    éso tambór némes snír.

    読み:エーソ タンボール ネーメス スニール。

    és-otambórném-essnír.
    いる-<(重いものが)>雑穀<主格><私>-<属格>少ない

    「私の雑穀は少ない。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を先頭に置いている。主語 tambór némes「私の雑穀」は重性なので、繋辞は -o をとる。述語の snír は重性・単数・主格で、一致の語尾がつかない。税の取り立ての前後に、蓄えが乏しいことを言う言い方。

    ké éso már táses só?

    読み:ケー エーソ マール ターセス ソー?

    kéés-omártás-essó?
    <〜か>いる-<(重いものが)>手跡<主格><あなた>-<属格>この<重性>

    「「この手跡はお前のものか。」」

    はい・いいえの問いで、ké を文のいちばん前に置く。már は重性なので、指示詞は重性の só、繋辞は -o。手紙や証文の筆跡が誰のものか確かめるときの、下向きの問い。目上の人には ké を使わず、推量法で尋ねる。

    na sénim sáindaran sé, éso senó némes múr.

    読み:ナ セーニン サインダラン セー、エーソ セノー ネーメス ムール。

    nasén-imsáindar-ansé,és-osenóném-esmúr.
    <〜ない>見る-<私が>証文-<対格>この<軽性>いる-<(重いものが)>目<主格><私>-<属格>濁った

    「この証文は見えぬ。私の目はかすんでいる。」

    年長の者が細かい字を読めないときの言い方。主節二つを接続詞なしで並べるので、あいだに区切りを入れる。senó は重性なので、繋辞は -o をとり、述語の múr「濁った」にも語尾がつかない。目がよく見えないことを、水と同じ「濁る」で言っている。

    ésau dáu kéulau aurár némei.

    読み:エーサウ ダウ ケウラウ アウラール ネーメイ。

    és-audáukéul-auaur-árném-ei.
    いる-<双数>二頭-<双数>縁鷲-<〜らの><私>-<与格>

    「私には縁鷲が二羽(二頭)いる。」

    所有の文。持ち主は与格 némei で表す。動詞は持たれているもの(kéulau、双数)に一致するので、双数の ésau になる。数詞 dáu の後ろなので、量の名詞は双数 kéulau。数えられる生き物 aurá は、複数属格 aurár で後ろに置く。鷹狩りに使う縁鷲のような生き物も、kéul で数える。

    mé vír virán rúgalan, éso hóum!

    読み:メー ヴィール ヴィラーン ルーガラン、エーソ ホーン!

    mévírvir-ánrúgal-an,és-ohóum!
    <禁止・願いの打ち消し>言う<命令法><あなたが>言葉-<対格>粗い-<軽性・対格>いる-<(重いものが)>炉<主格>

    「粗い言葉を言うな。炉の前だぞ。」

    家の中で、親が子をたしなめる言い方。炉の前で粗野な言葉を口にしてはいけない、という禁忌を表す。禁止は「mé+命令法」で言う。後半の éso hóum は「炉がある(のだ)」で、場所を示さない存在文。hóum は重性なので、繋辞は -o をとる。

    dróuma ólmar ré éso nébro bróus sórel.

    読み:ドローマ オルマル レー エーソ ネーブロ ブロース ソーレル。

    dróum-aólmarréés-onébrobróussórel.
    嘆く-<(軽いものが)>年長者<主格><〜と(節)>いる-<(重いものが)>霧<主格>多い今日

    「今日は霧が多い、と年長者は嘆く。」

    ré で始まる「〜と」の節を、主節の後ろに置いた文。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 bróus は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。ここでは量が多いことを表す。

    na ráumim sórel, éso tról némes gráis.

    読み:ナ ラウミン ソーレル、エーソ トロール ネーメス グライス。

    naráum-imsórel,és-otrólném-esgráis.
    <〜ない>歩く-<私が>今日いる-<(重いものが)>足<主格><私>-<属格>悪い

    「今日は歩けない。足が悪いんだ。」

    日常会話の文。高原語には「〜できる」を表す専用の形がないので、直説法の否定で「歩かない・歩けない」の両方を表す。tról は重性の子音語幹名詞で、主格と対格が同じ形。

    éso gromó némes gróm, nóirim.

    読み:エーソ グロモー ネーメス グローン、ノイリン。

    és-ogromóném-esgróm,nóir-im.
    いる-<(重いものが)>体<主格><私>-<属格>重い眠る-<私が>

    「体が重い。もう寝るよ。」

    疲れたときのくだけた言い方。体は重性の名詞で、繋辞も重性の -o をとる。「体が重い」は、肉体を重いものと見る世界観とも重なる。時制がないので、nóirim は文脈によって「これから寝る」の意味になる。

    méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。

    méir-ahoumártambórfaronár-ei,rées-énd-ogromóél-eskrán.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>運び人-<与格><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(重いものが)>体<主格><3人称単数・軽性>-<属格>硬い

    「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」

    「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。

    éso fíndo némes klér.

    読み:エーソ フィンド ネーメス クレール。

    és-ofíndoném-esklér.
    いる-<(重いものが)>耳<主格><私>-<属格>冷たい

    「耳が冷たい。」

    凍りの頃によく聞く、くだけた言い方。「AはBだ」の文も繋辞 és- を先頭に置く。fíndo は体の部分なので重性で、繋辞は重性の -o をとる。述語の形容詞 klér は重性・単数・主格なので語尾がない。

    ésa sóila némes flúunen sórel.

    読み:エーサ ソイラ ネーメス フルーネン ソーレル。

    és-asóilaném-esflúun-ensórel.
    いる-<(軽いものが)>髪<主格><私>-<属格>洗う-<〜した・〜された>今日

    「今日は髪を洗ってある。」

    日常の文。繋辞 és- が先頭に来て、主語の sóila(軽性・単数・主格)を受けている。持ち主は、属格の代名詞 némes を名詞の後ろに置いて表す。分詞 flúunen は「洗われた(状態にある)」の意味で、軽性・単数・主格なので一致の語尾はつかない。

    ésa sóila dubréles gléin.

    読み:エーサ ソイラ ドゥブレーレス グレーン。

    és-asóiladubrél-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>髪<主格>弟妹-<属格>清い

    「妹の髪は清らかだ。」

    「AはBだ」の文で、és-・主語・述語の順に並ぶ。dubrél は人を指すので軽性で、属格は -es。述語の形容詞 gléin は、軽性の主語 sóila に一致する(単数主格なので語尾はない)。

    na ésa sóila faronáres áuren.

    読み:ナ エーサ ソイラ ファロナーレス アウレン。

    naés-asóilafaronár-esáur-en.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>結い髪<主格>運び人-<属格>昇る-<〜した・〜された>

    「運び人の結い髪は高くない。」

    髪を高く結うほど身分が高いとされるので、九段下りの運び人の結い髪は低い。直説法の文なので na で否定する。述語の分詞 áuren(「高い」、もとは「昇った」)は、軽性の主語 sóila に一致している。

    éso bélo némes gróm.

    読み:エーソ ベーロ ネーメス グローン。

    és-obéloném-esgróm.
    いる-<(重いものが)>腹<主格><私>-<属格>重い

    「腹が重い(食べすぎた)。」

    日常の言い方。bélo は体の部分なので重性o語幹で、繋辞も重性の -o(éso)をとる。述語の形容詞 gróm も、重性の主語に一致する。

    lúin tóro nébro, éso brés némes gróm.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、エーソ ブレース ネーメス グローン。

    lúintór-onébro,és-obrésném-esgróm.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>いる-<(重いものが)>胸<主格><私>-<属格>重い

    「霧が来ると、胸が重くなる。」

    霧期の不調を語る文。lúin の節は主節の前に置く。霧 nébro も胸 brés も重性なので、どちらの動詞も -o をとる。述語の形容詞 gróm は重性・主格で語尾がつかない。霧は病を運ぶ「下の国の息」とされる。

    éso ómbo lisáres fláin.

    読み:エーソ オンボ リサーレス フライン。

    és-oómbolis-ár-esfláin.
    いる-<(重いものが)>指<主格>書く-<〜する人>-<属格>軽い

    「書記の指は軽やかだ。」

    書法の上手な人をほめる言い方。指は体の部分なので重性で、繋辞も述語の形容詞も重性の形になる。重いはずの体の部分が「軽い」と言われるところに、ほめる響きがある。

    sén lámo, ende. éso sáko gléin.

    読み:セーン ラーモ、エンデ。エーソ サーコ グレーン。

    sénlámo,ende.és-osákogléin.
    見る<命令法><あなたが>掌<対格>どうぞいる-<(重いものが)>塩<主格>清い

    「掌を見てくれ、頼む。塩は清いぞ。」

    縁の市の取引言葉。むき出しの語幹 sén に ende を添える。lámo は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞なので、繋辞は重性の éso になり、gléin も重性・主格の形(語尾なし)をとる。掌に塩をひとつまみ載せて見せるのは、品を確かめさせるときのしぐさ。

    ésa anlóur némes houmár.

    読み:エーサ アンロール ネーメス ホウマール。

    és-aanlóurném-eshoumár.
    いる-<(軽いものが)>親<主格><私>-<属格>家の主

    「私の親は家の主だ。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を先頭に置いている。anlóur は人を指すので軽性の子音語幹で、動詞は軽性の -a をとる。父か母かは区別しない。同じ流れの、親と同じ世代の親族(おじ・おばにあたる人)も指せる。

    ésau dulóurau némei.

    読み:エーサウ ドゥローラウ ネーメイ。

    és-audulóur-auném-ei.
    いる-<双数>子-<双数><私>-<与格>

    「私には子が二人いる。」

    所有の文。持ち主を与格で言い、動詞は持たれているほう(子どもたち)に一致する。双数の dulóurau だけで「二人」の意味になるので、数詞はいらない。自分の子は目下なので、数で言ってもかまわない。

    ké ésa brél tásei? ésau brélau némei.

    読み:ケー エーサ ブレール ターセイ?エーサウ ブレーラウ ネーメイ。

    kéés-abréltás-ei?és-aubrél-auném-ei.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>きょうだい<主格><あなた>-<与格>いる-<双数>きょうだい-<双数><私>-<与格>

    「「お前にはきょうだいがいるか?」「きょうだいが二人いる。」」

    二人の発話。所有の動詞は持たれているほうに一致するので、答えでは人称ではなく数が変わり、双数の ésau になる。brél は年の上下を問わない言い方で、上下を言うときは ambrél・dubrél を使う。

    ésa ambrél némes faronár.

    読み:エーサ アンブレール ネーメス ファロナール。

    és-aambrélném-esfaronár.
    いる-<(軽いものが)>兄・姉<主格><私>-<属格>運び人

    「私の兄(姉)は運び人だ。」

    繋辞の文。ambrél は男女を区別せず、同じ流れ・同じ瀬で年上の者を指す。崖道の家族などの日常の言い方。

    ké éses es ráunos ráimaros? ésim.

    読み:ケー エーセス エス ラウノス ライマロス?エーシン。

    kéés-esesráun-osráimar-os?és-im.
    <〜か>いる-<あなたが>から流れ-<属格>ライマル-<属格>いる-<私が>

    「「お前はライマルの流れの者か?」「そうだ。」」

    二人の発話。「〜の流れの者である」を、és-+es+流れの属格で「〜の流れから出ている」と言う。答えには「はい」にあたる語を使わない。動詞を自分の人称(1人称単数 ésim)に変えて繰り返す。2人称と ké を使っているので、同じ段か下の者への問いになる。

    pá ésa anlóur táses?

    読み:パー エーサ アンロール ターセス?

    páés-aanlóurtás-es?
    誰<主格>いる-<(軽いものが)>親<主格><あなた>-<属格>

    「お前の親は誰だ?」

    日常の問い。疑問詞 pá「誰」は文頭に出て、繋辞 és- がそのあとに続く。tás を使っているので、目下の者か子どもへの問いになる。

    ésau ambrél dórin si dubrél dórin némei.

    読み:エーサウ アンブレール ドーリン シ ドゥブレール ドーリン ネーメイ。

    és-auambréldórinsidubréldórinném-ei.
    いる-<双数>兄・姉<主格>男<主格>と弟・妹<主格>男<主格><私>-<与格>

    「私には兄と弟が一人ずついる。」

    親族名称は性別を区別しないので、dórin を後ろに添えて「男の」であることを示す。添えた dórin も、親族名称と同じ格になる。単数のものを si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。

    ké ésa éndra téndoi? na ésa éndra, ésa hérvan.

    読み:ケー エーサ エンドラ テンドイ?ナ エーサ エンドラ、エーサ ヘルヴァン。

    kéés-aéndraténd-oi?naés-aéndra,és-ahérvan.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>人<主格>あそこ-<与格><〜ない>いる-<(軽いものが)>人<主格>いる-<(軽いものが)>大鹿<主格>

    「「「あそこに人がいるか?」「いや、人じゃない。大鹿だ。」」」

    二人の発話。「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返し、na をつけて否定の答えにしている。éndra は、獣と区別した「人」を指す。人も大鹿も軽性なので、動詞はどちらも ésa になる。

    ésa dulóur líura némei.

    読み:エーサ ドゥロール リーウラ ネーメイ。

    és-adulóurlíuraném-ei.
    いる-<(軽いものが)>子<主格>女<主格><私>-<与格>

    「私には娘がいる。」

    「瀬下(子)」の dulóur に líura を添えて「娘」とする。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている者に一致する。

    ésa endríña némei.

    読み:エーサ エンドリーニャ ネーメイ。

    és-aendríñaném-ei.
    いる-<(軽いものが)>子ども<主格><私>-<与格>

    「私には子どもがいる。」

    所有の言い方。高原語には「持つ」という動詞がないので、「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は、持たれている endríña(軽性)に一致して ésa になる。

    ké éses houmár? ésim.

    読み:ケー エーセス ホウマール?エーシン。

    kéés-eshoumár?és-im.
    <〜か>いる-<あなたが>家の主いる-<私が>

    「「お前がこの家の主か?」「そうだ。」」

    二人の発話。戸口で訪ねてきた者が家の者に尋ねる、くだけた問い。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。高原語に「はい」にあたる語はないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える(éses → ésim)。2人称を使っているので下向きか並びの話し方で、目上の人には使わない。

    ésa séulin némes faronár.

    読み:エーサ セウリン ネーメス ファロナール。

    és-aséulinném-esfaronár.
    いる-<(軽いものが)>友<主格><私>-<属格>運び人

    「私の友は運び人だ。」

    日常の会話で人を紹介する文。繋辞 és- を先頭に置き、「és-+主語+述語」の順に並べる。「私の友」は名詞の後ろに属格を置いて séulin némes と言う。séulin はとくに同じ段の者どうしの親しい仲間を指す。

    pá ésa torár té?

    読み:パー エーサ トラール テー?

    páés-atorárté?
    誰<主格>いる-<(軽いものが)>来訪者<主格>あの<軽性>

    「あのよそ者は誰だ。」

    見慣れない人を見かけたときの、くだけた問い。疑問詞 pá は動詞の前に出る。指示詞 té は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。torár はもとは「来る者」で、招かれた客にも、土地の外から来た旅人にも使う。

    ésa orenvandár naþrenár.

    読み:エーサ オレンヴァンダール ナスレナール。

    és-aorenvandárnaþrenár.
    いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>段の外の者

    「縁商人は段の外の者だ。」

    身分について説明する文。縁商人は干潟の人なので段の外にいるが、市の札を帯びて商いをしているあいだだけは、六段下りに準ずる仮の段として扱われる。naþrenár は否定の na-、þrén「段」、-ár「〜する人」からできた語で、文法上は人として軽性で受ける。

    na éso þrén naþrenárei.

    読み:ナ エーソ スレーン ナスレナーレイ。

    naés-oþrénnaþrenár-ei.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>段<主格>段の外の者-<与格>

    「段の外の者には段がない。」

    宮廷の礼法家がよく口にする言い方。「持つ」の動詞がないので、所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 þrén(重性)に一致する。段の外の者をどう迎えるかが、いつも議論になることを踏まえた言い回し。

    ké éses dalorár?

    読み:ケー エーセス ダロラール?

    kéés-esdalorár?
    <〜か>いる-<あなたが>下の国の者<主格>

    「お前は下の国の者か。」

    縁の市や崖道で、見慣れない者の素性を尋ねるくだけた問い。ké を文頭に置き、繋辞 és- の2人称単数を使っているので、下向きか並びの話し方になる。dalorár は述語の名詞で、ふつうの軽性・単数・主格の形。人を指す語なので、この意味では軽性で受けるのが正しい。

    ésa dalorár naþrenár.

    読み:エーサ ダロラール ナスレナール。

    és-adalorárnaþrenár.
    いる-<(軽いものが)>下の国の者<主格>段の外の者<主格>

    「下の国の者は段の外の者である。」

    礼法の書や法典の注釈に見られる、総称を言う文。dalorár を人として扱っているので、繋辞は3人称単数・軽性の -a になる。干潟の人は身分が低いのではなく、「階段に乗っていない」という考え方を言い表している。

    éso dalorár só gróm.

    読み:エーソ ダロラール ソー グローン。

    és-odalorársógróm.
    いる-<(重いものが)>泥の者<主格>この<重性>重い

    「この泥の者は重い(粗野な奴だ)。」

    あからさまな侮辱。繋辞 éso と指示詞 só が重性の一致になっていて、述語の gróm「重い」も重性・単数・主格の形(語尾なし)で受けている。人について「重い」と言うと、粗野で上へ昇れない者という意味になる。改まった場では口にしない。

    pá éses? ésim orenvandár.

    読み:パー エーセス?エーシン オレンヴァンダール。

    páés-es?és-imorenvandár.
    誰<主格>いる-<あなたが>いる-<私が>縁商人<主格>

    「「お前は誰だ。」「縁商人だ。」」

    二人の発話。崖道の番人や市の者が素性を尋ね、相手が身分を答えるやりとり。疑問詞 pá は動詞の前に出る。答えは繋辞 és- の1人称単数 ésim に職名を続けた形で、主語の代名詞は言わない。縁商人は市の札を帯びていれば、六段下りに準ずる者として扱われる。

    ésa sáindar sé tráumo, na ésa glüníño.

    読み:エーサ サインダル セー トラウモ、ナ エーサ グリュニーニョ。

    és-asáindarsétráumo,naés-aglüníño.
    いる-<(軽いものが)>証文<主格>この<軽性>確かな足場<〜ない>いる-<(軽いものが)>危うい足場

    「この証文は渡り氷だ、薄氷ではない。」

    縁の市で、約束が確かなことを請け合う決まり文句。tráumo と glüníño を対にして言う。証文 sáindar は紙に書かれたものなので軽性で、繋辞は -a、指示詞は軽性の sé をとる。

    ésa séulin némes tráumo.

    読み:エーサ セウリン ネーメス トラウモ。

    és-aséulinném-estráumo.
    いる-<(軽いものが)>友<主格><私>-<属格>確かな足場

    「私の友は、渡り氷のように頼れる男だ。」

    人を「確かな足場」にたとえる、ほめ言葉。述語の名詞は重性だが、主語が人なので繋辞は軽性の -a になる。人を重性の一致で受けると侮辱になるので、ここで性を取り違えてはいけない。

    ésa virá éles múrno.

    読み:エーサ ヴィラー エーレス ムルノ。

    és-aviráél-esmúrno.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格><3人称単数・軽性>-<属格>当てにならぬもの

    「あいつの言葉は腐り氷だ。」

    見かけだけで当てにならない人を評する、くだけた陰口。霧期の腐った氷は張っているように見えて乗れないので、守られない約束のたとえになる。主語の virá は軽性。

    na méirim fáron, ésa sáindar sé múrno.

    読み:ナ メーリン ファーロン、エーサ サインダル セー ムルノ。

    naméir-imfáron,és-asáindarsémúrno.
    <〜ない>与える-<私が>荷<対格>いる-<(軽いものが)>証文<主格>この<軽性>当てにならぬもの

    「荷は渡さない、この証文は腐り氷だ。」

    縁の市で取引を断るときの言い方。na は直説法の動詞の直前に置く。証文を tráumo「渡り氷」と請け合われたのに対して、múrno と言い返すことが多い。

    éso glünó véinoros krán.

    読み:エーソ グリュノー ヴェーノロス クラーン。

    és-oglünóvéinor-oskrán.
    いる-<(重いものが)>氷<主格>湖-<属格>硬い

    「湖の氷は硬い。」

    「AはBだ」の文は、繋辞 és- を先頭に置き、「繋辞–主語–述語」の順に並べる。glünó は氷一般を指す重性o語幹の名詞で、強勢は語尾にある。主語が重性なので、繋辞は -o をとる。厚さで呼び分けるときは、glüníño・tráumo・múrno を使う。

    lúin éso nébro, ésa þondá glüníño.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、エーサ ソンダー グリュニーニョ。

    lúinés-onébro,és-aþondáglüníño.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格>いる-<(軽いものが)>誓い<主格>危うい足場

    「霧の出ているときの誓いなど、薄氷のようなものだ。」

    諺めいた言い方。霧期に立てた誓いは祖先に届かず、無効とされる。そのことを、いつ割れるかわからない薄氷にたとえている。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。主語 þondá は軽性なので、繋辞は -a をとる。述語の名詞 glüníño は主語の性に合わせない。

    ké éso glünó véinoros tráumo?

    読み:ケー エーソ グリュノー ヴェーノロス トラウモ?

    kéés-oglünóvéinor-ostráumo?
    <〜か>いる-<(重いものが)>氷<主格>湖-<属格>渡り氷

    「湖の氷は、もう荷車が渡れるほどか。」

    凍りの頃に、湖畔の村でよく交わされる問い。はい・いいえで答える問いは、文頭の ké で作る。tráumo は述語の名詞。答えは動詞を繰り返し、「はい」は éso、「いいえ」は na éso と言う。

    éso glünó véinoros múrno, mé ráumir!

    読み:エーソ グリュノー ヴェーノロス ムルノ、メー ラウミル!

    és-oglünóvéinor-osmúrno,méráum-ir!
    いる-<(重いものが)>氷<主格>湖-<属格>腐り氷<禁止・願いの打ち消し>歩く-<皆で〜せよ>

    「湖の氷は腐っている、皆、乗るな!」

    霧期に湖畔の村で交わされる警告。前半は繋辞の文で、múrno は述語の名詞。後半は複数の相手への禁止で、mé + 命令法・複数 -ir を使う。主節を接続詞なしで二つ並べるので、間に区切りを入れる。

    lúin tóro nébro, éso glünó véinoros múrno.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、エーソ グリュノー ヴェーノロス ムルノ。

    lúintór-onébro,és-oglünóvéinor-osmúrno.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>いる-<(重いものが)>氷<主格>湖-<属格>腐り氷

    「霧が来ると、湖の氷は腐り氷になる。」

    季節の移り変わりを言う、教えさとすような文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。霧 nébro は重性なので、動詞 tór- は -o をとる。名詞句は「名詞–属格」の順に並ぶ(glünó véinoros「湖の氷」)。

    éso þéul só gléin.

    読み:エーソ セウル ソー グレーン。

    és-oþéulsógléin.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>この<重性>清い

    「この湧き水は清い。」

    繋辞 éis- を先頭に置いた「AはBだ」の文。þéul は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 gléin は、重性・主格の形(語尾なし)で一致している。泉の水が清いことは、日常でもよく話題にされる。

    éso fóndar ráimaros þéul ráunos némes.

    読み:エーソ フォンダル ライマロス セウル ラウノス ネーメス。

    és-ofóndarráimar-osþéulráun-osném-es.
    いる-<(重いものが)>源<主格>ライマル-<属格>清い始まり<主格>流れ-<属格><私>-<属格>

    「ライマルの源こそ、我が流れの清き始まりである。」

    系譜読みが家系を唱えるときの言い方。系譜を川の流れにたとえ、始祖を「まだ濁っていない湧き水」と言い表している。主語の fóndar が重性なので、繋辞は -o をとる。þéul はここでは比喩の意味で、名詞の述語になっている。

    éso séimo véinoros þáil.

    読み:エーソ セーモ ヴェーノロス サイル。

    és-oséimovéinor-osþáil.
    いる-<(重いものが)>静み水<主格>湖-<属格>澄んだ

    「湖の静み水は澄んでいる。」

    湖や淵の静かな水を言う描写の文。séimo は、走り水 rúndo や湧き水 þéul と区別して使う。重性なので、繋辞は -o をとり、形容詞 þáil は語尾なしの形で一致している。

    lúin brúuma réina, éso rúndo múr.

    読み:ルーイン ブルーマ レーナ、エーソ ルンド ムール。

    lúinbrúum-aréina,és-orúndomúr.
    とき落ちる-<(軽いものが)>雨<主格>いる-<(重いものが)>走り水<主格>濁った

    「雨が降ると、走り水は濁る。」

    lúin で始まる「〜とき」の節を、主節の前に置いた文。雨 réina は軽性で、地を走る水 rúndo は重性なので、二つの節で動詞の語尾が -a と -o に分かれる。雨期に谷の流れが増水して濁るようすを言う。

    ésa élvar þáil sórel, aurélau dáu sílarau.

    読み:エーサ エルヴァル サイル ソーレル、アウレーラウ ダウ シーララウ。

    és-aélvarþáilsórel,aur-él-audáusílar-au.
    いる-<(軽いものが)>天<主格>澄んだ今日昇る-<〜だろう>-<双数>二月-<双数>

    「今日は天が澄んでいる。二つの月も昇るだろう。」

    乾風期の晴れた日によく交わす言葉。述語の形容詞 þáil は軽性・単数・主格なので語尾がつかない。未来のことは推量法で言い、強勢は -él- に移る。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、双数の動詞は人称も性も区別しない。月は星ではないので、数えて双数にしてもかまわない。

    ké ésa fléura ál sórel?

    読み:ケー エーサ フレウラ アール ソーレル?

    kéés-afléuraálsórel?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>雲<主格>白い今日

    「今日は白い雲が出ているか。」

    同じ段の者か目下の者に向けた、くだけた問い。存在を言う動詞は、主語の fléura(軽性)に一致して -a をとる。形容詞 ál も軽性・主格の形。答えるときは動詞を繰り返し、「はい」なら éisa、「いいえ」なら na éisa と言う。動詞は雲に一致しているので、人称は変わらない。

    lúin brúuma réina, ésa fléura du aursárail.

    読み:ルーイン ブルーマ レーナ、エーサ フレウラ ドゥ アウルサーライル。

    lúinbrúum-aréina,és-afléuraduaursár-ail.
    とき落ちる-<(軽いものが)>雨<主格>いる-<(軽いものが)>天の屋根<主格>下手祖先-<〜らに>

    「雨が降るときも、天の屋根は祖先の方々の下にある。」

    雨期に星が見えなくても不安に思わなくてよい、と説くときの決まった言い方。du+与格で「〜の下手に」。天の屋根が祖先の下にあるということは、祖先は屋根の上にいて、変わらず下界を聞いているということになる。

    ké ésa réina gléin tásei?

    読み:ケー エーサ レーナ グレーン ターセイ?

    kéés-aréinagléintás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>雨水<主格>清い<あなた>-<与格>

    「清い雨水はお前のところにあるか。」

    墨をするときや祀りの器を清めるときに、家の者に尋ねる言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている雨水 réina(軽性)に一致する。答えは éisa か na éisa。

    esésa réina gléin.

    読み:エセーサ レーナ グレーン。

    es-és-aréinagléin.
    いる-<〜すべし>-<(軽いものが)>雨水<主格>清い

    「雨水は清くあるべし。」

    祀りの作法を記した書の一句。当為法の動詞が主語の réina(軽性)に一致して、-a をとる。強勢は -és- に移る。軒で集めた雨水を祀りに使うときの決まりを述べたもの。

    ésa réina aursárar, dúmarimor.

    読み:エーサ レーナ アウルサーラル、ドゥーマリモル。

    és-aréinaaursár-ar,dúmar-imor.
    いる-<(軽いものが)>上からの恵み<主格>祖先-<〜らの>いただく-<我々が>

    「祖先の方々の恵みがここにある。いただきます。」

    雑穀の食事の前に、家の者がそろって唱える言葉。雨で実った穀物を「雨」と呼んで、上から返されてきた恵みとして言う。dúmar- は「食べる」の謙譲の補充形。

    mé mán, endríña! na ésa hílva tambór.

    読み:メー マーン、エンドリーニャ!ナ エーサ ヒルヴァ タンボール。

    mémán,endríña!naés-ahílvatambór.
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>子ども<〜ない>いる-<(軽いものが)>雪<主格>雑穀

    「食べちゃだめよ、坊や。雪はごはんじゃないの。」

    大人が子どもをたしなめる、ごく日常的な言い方。日常では呼格を使わず、呼びかけの語を読点で区切って添える。「AはBではない」は na+繋辞で言い、繋辞は主語の hílva(軽性)に一致する。

    ésa sírna ál sórel.

    読み:エーサ シルナ アール ソーレル。

    és-asírnaálsórel.
    いる-<(軽いものが)>霜<主格>白い今日

    「今日は白い霜が降りている。」

    乾風期の後半の朝の様子を言う文。霜は上から来るものなので軽性で、存在を言う動詞は -a をとる。形容詞 ál も軽性・主格の形なので語尾がない。

    ésa léuma klér sórel.

    読み:エーサ レウマ クレール ソーレル。

    és-aléumaklérsórel.
    いる-<(軽いものが)>風<主格>冷たい今日

    「今日は風が冷たい。」

    日常の会話で天気を言う文。繋辞 és- を文頭に置き、「és-+主語+述語」の順に並べる。léuma は軽性なので、繋辞は3人称単数・軽性の -a をとる。述語の形容詞 klér も軽性・単数・主格の形で、語尾はつかない。léuma は吹いてくる高さを言わない一般の語なので、どちらから吹く風かを問わず使える。

    pá éses? ké éses dulána?

    読み:パー エーセス?ケー エーセス ドゥラーナ?

    páés-es?kéés-esdulána?
    誰<主格>いる-<あなたが><〜か>いる-<あなたが>落ちてきた者<主格>

    「お前は何者だ。上から落ちてきた者か?」

    正体のわからない相手に、警戒しながら投げかける問い。2人称と問いの小辞 ké を使っているので、下向きの話し方になる。「AはBだ」の文は繋辞を先頭に置き、主語の tás を省いて述語の dulána を後ろに続ける。上から下へ落ちてくる人の形をしたものは、高原では不吉なもの、あるいは昇れなかった魂としか考えられない。そのため、この語を人に向けるのは強い警戒と畏れの表れになる。

    ésa él dulána, na áura selvá éles. elþíþimor fáron éles.

    読み:エーサ エール ドゥラーナ、ナ アウラ セルヴァー エーレス。エルシーシモル ファーロン エーレス。

    és-aéldulána,naáur-aselváél-es.elþ-íþ-imorfáronél-es.
    いる-<(軽いものが)><3人称単数・軽性>落ちてきた者<主格><〜ない>昇る-<(軽いものが)>息<主格><3人称単数・軽性>-<属格>燃える-<〜させる>-<我々が>荷<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「その人は落ちた者だ。その息は昇らない。だから我々は、その人の荷を燃やす。」

    弔いの場での言い方。崖から落ちて死んだ者は、魂が体と一緒に下へ引かれて昇れなくなるとされ、dulána と呼ばれる。遺体が見つからないときは、持ち物を燃やして魂を上へ送る。dulána は人を指すので、繋辞も代名詞も軽性の形(ésa、él)で受ける。elþ-íþ- は「燃える」の使役で「燃やす」の意味で、直説法では -íþ- に強勢が置かれる。

    éso kreinándo aursárar þráinuls.

    読み:エーソ クレイナンド アウルサーラル スライヌルス。

    és-okreinándoaursár-arþráin-uls.
    いる-<(重いものが)>納骨所<主格>祖先-<〜らの>峰-<〜らに>

    「祖先たちの納骨所は北の高みにある。」

    複数形 þráinul(ここでは与格 þráinuls)は、峰々の連なる北の山地全体を地名のように指す。納骨所 kreinándo は重性の o 語幹なので、動詞は -o で一致する。骨を谷底や崖下に埋めず、天に近い高みに納めるという葬送の慣習を述べた文。

    éso þúumo séndoi, na sénim tásan.

    読み:エーソ スーモ センドイ、ナ セーニン ターサン。

    és-oþúumosénd-oi,nasén-imtás-an.
    いる-<(重いものが)>濃霧<主格>ここ-<与格><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「「ここは濃霧だ。お前が見えない。」」

    霧期に、すぐそばの相手に話しかける日常の言い方。þúumo は重性なので、存在の動詞は éso になる。読点で区切って主節を二つ並べている。後半は直説法なので na で否定する。2人称の tás を使っているので、同輩か目下の相手への話し方になる。

    sén, ésa hérvan téndoi!

    読み:セーン、エーサ ヘルヴァン テンドイ!

    sén,és-ahérvanténd-oi!
    見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>大鹿<主格>あそこ-<与格>

    「「見ろ、あそこに大鹿がいる。」」

    森で角の大きな鹿を見つけたときのくだけた叫び。hérvan は獣なので軽性の子音語幹で、存在の動詞は ésa になる。大鹿は王と貴族だけが狩ってよい獲物なので、森の民にとっては「見るだけの獣」である。

    éso þráin tó áuren.

    読み:エーソ スライン トー アウレン。

    és-oþráintóáur-en.
    いる-<(重いものが)>峰<主格>あの<重性>昇る-<〜した・〜された>

    「あの峰は高い。」

    一年じゅう雪の消えない峰を見上げて言う日常の文。「AはBだ」の文も繋辞 és- を先頭に置く。þráin は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の tó になる。述語の分詞 áuren は重性・単数・主格なので一致の語尾がつかない。

    hél órelei, éso nébro klér.

    読み:ヘール オーレレイ、エーソ ネーブロ クレール。

    hélórel-ei,és-onébroklér.
    座る<命令法><あなたが>日の光-<与格>いる-<(重いものが)>霧<主格>冷たい

    「日なたに座れ。霧が冷たい。」

    家族や目下の者への、くだけた気づかいの言葉。órel の与格 órelei は「日の当たる所で」、つまり日なたの意味になる。hél- の命令法2人称単数は語幹そのままの形。後半の主語 nébro は重性なので、繋辞は éso になり、述語の形容詞 klér は一致の語尾をとらない。

    ésa hervíña séndoi.

    読み:エーサ ヘルヴィーニャ センドイ。

    és-ahervíñasénd-oi.
    いる-<(軽いものが)>小鹿<主格>ここ-<与格>

    「「ここに小鹿がいる。」」

    狩り場で、獲物の気配を仲間に知らせる言い方。存在は「és-+主語+場所」で表す。hervíña は軽性なので、és- は3人称単数・軽性の ésa になる。

    ésa dráun símbo némores.

    読み:エーサ ドラウン シンボ ネーモレス。

    és-adráunsímbonémor-es.
    いる-<(軽いものが)>狼<主格>印<主格><我々>-<属格>

    「狼は我々のしるしだ。」

    森の氏族の者が、自分の氏族のしるしを言う文。繋辞の文は「és-+主語+述語」の順に並べる。繋辞は主語 dráun(軽性)に一致して -a をとり、述語の名詞 símbo は主格のままにする。

    ésa kelár sé gúrnal.

    読み:エーサ ケラール セー グルナル。

    és-akel-árségúrnal.
    いる-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>この<軽性>力の強いもの

    「この樵は熊のような力持ちだ。」

    人を gúrnal にたとえて、力の強さをほめる言い方。森の言葉でも崖道の言葉でもよく使う。人を熊にたとえても軽性のままなので、侮辱にはならない。指示詞 sé は名詞の後ろに置く。

    ésa orenvandár té fíñel.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー フィーニェル。

    és-aorenvandártéfíñel.
    いる-<(軽いものが)>縁商人あの<軽性>用心深い者

    「あの縁商人は抜け目がない。」

    縁の市で、取引の相手を評する言い方。fíñel を人に使うと、用心深さや抜け目のなさを言い、半分はほめ言葉、半分は警戒の言葉になる。縁商人の段は測りかねるものだが、人なので繋辞は軽性の -a で受ける。

    ésa méula némei, éso nímbo némei.

    読み:エーサ メウラ ネーメイ、エーソ ニンボ ネーメイ。

    és-améulaném-ei,és-onímboném-ei.
    いる-<(軽いものが)>毛山羊<主格><私>-<与格>いる-<(重いものが)>乳<主格><私>-<与格>

    「私には毛山羊がいる。だから乳もある。」

    所有を「ある+持ち主の与格」で言う文を、接続詞なしで二つ並べている。動詞は持ち主ではなく、持たれている物に一致する。軽性の méula を受けると ésa、重性の nímbo を受けると éso になる。

    mé gélir du véinor, ésa gúrnal téndoi.

    読み:メー ゲーリル ドゥ ヴェーノル、エーサ グルナル テンドイ。

    mégél-irduvéinor,és-agúrnalténd-oi.
    <禁止・願いの打ち消し>行く-<皆で〜せよ>下手湖<対格>いる-<(軽いものが)>熊<主格>あそこ-<与格>

    「「湖へ下りていくな。あそこには熊がいる。」」

    森の村の年長者が若者たちに言う注意。禁止は「mé+命令法」で言い、相手が複数なので命令法の -ir を使う。後ろの節は存在文で、主語の gúrnal が軽性・単数なので ésa になる。

    ésa aurá símbo aldáres áurenes.

    読み:エーサ アウラー シンボ アルダーレス アウレネス。

    és-aaurásímboaldár-esáur-en-es
    いる-<(軽いものが)>縁鷲<主格>印<主格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>

    「縁鷲は高き座のしるしである。」

    「AはBだ」の文なので、繋辞 és- が文頭に来る。縁鷲が王家のしるしであることを述べる、書物風の言い方。述語の名詞 símbo は主格のまま置き、主語に一致させない。aldáres áurenes は、王を指す総称 aldár áuren「高き座」の属格。分詞も軽性・属格の -es で一致している。

    ái, ésa tókal an lónei sé.

    読み:アイ、エーサ トーカル アン ローネイ セー。

    ái,és-atókalanlón-eisé
    おやいる-<(軽いものが)>きつつき<主格>上手柱の木-<与格>この<軽性>

    「おや、この柱の木の上のほうにきつつきがいる。」

    森の中でふと口にするひとこと。「〜がいる」は「és-+主語+場所」の形で言う。an+与格は「〜の上手で」という意味で、ここでは木の上のほうの位置を表す。生えている柱の木は軽性なので、与格の語尾は -ei、指示詞は軽性の sé になる。指示詞は格によって形が変わらない。きつつきは、木の中が空洞か詰まっているかを知る鳥とされている。

    ésa árnel mór téndo.

    読み:エーサ アルネル モール テンド。

    és-aárnelmórténdo.
    いる-<(軽いものが)>木<主格>大きいあそこ

    「あそこに大きな木がある。」

    存在の文は「és-+主語+場所」の順に言う。立ち木は軽性なので、繋辞は ésa になる。形容詞 mór は軽性・単数・主格で、一致の語尾はつかない。道案内などで日常よく使う言い方。

    éso árnel kélen gróm.

    読み:エーソ アルネル ケーレン グローン。

    és-oárnelkél-engróm.
    いる-<(重いものが)>木<主格>伐る-<〜した・〜された>重い

    「伐った木は重い。」

    材木を主語にした繋辞文。根を断たれた木はもう昇らないものとされるので、繋辞は重性の éso をとる。分詞 kélen と形容詞 gróm も重性・単数・主格の形で、語尾はつかない。

    ésa þóvra dréum.

    読み:エーサ ソーヴラ ドレウン。

    és-aþóvradréum.
    いる-<(軽いものが)>影の木<主格>黒い

    「影の木は黒々としている。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- が文頭に来る。生えている木は軽性なので、繋辞は -a をとり、述語の形容詞 dréum も軽性・主格の形(語尾なし)になる。

    ké ésa þóvra tásei?

    読み:ケー エーサ ソーヴラ ターセイ?

    kéés-aþóvratás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>影の木<主格><あなた>-<与格>

    「お前のところに影の木はあるか。」

    はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物に一致する。生えている木を指すので軽性の ésa。2人称を使っているので、同じ段か下の者に向けたくだけた問い。

    ésa líndra ámbel.

    読み:エーサ リンドラ アンベル。

    és-alíndraámbel.
    いる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格>黄色い

    「金の落葉樹が黄色く色づいている。」

    乾風期の初めの景色を述べた文。生えている木なので軽性で、繋辞は -a をとる。述語の形容詞 ámbel も、主語の軽性・単数・主格に一致している(語尾なし)。

    sén, ésa líndra téndoi!

    読み:セーン、エーサ リンドラ テンドイ!

    sén,és-alíndraténd-oi!
    見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格>あそこ-<与格>

    「「見ろ、あそこに金の落葉樹があるぞ。」」

    命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén で言う。身近な相手に向けた下向きの言い方。後半は存在の文で、és- が文頭に来る。目上の人には、願望法の3人称を使って luuménde のように言う。

    lúin ésa líndra ível, sáila nourá némes.

    読み:ルーイン エーサ リンドラ イーヴェル、サイラ ノウラー ネーメス。

    lúinés-alíndraível,sáil-anouráném-es.
    ときいる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格>新しい喜ぶ-<(軽いものが)>心<主格><私>-<属格>

    「新しい年を迎えて、わが心は喜びにあふれます。」

    手紙の冒頭に添える季節の句の型。「金の落葉樹が新しくなるとき」で「新年を迎えるとき」の意味になる。年の始まりと、金の落葉樹が色づく乾風期の初めが重なることから生まれた詩語。

    élþo fóurel, éso aurándo gléin.

    読み:エルソ フォーレル、エーソ アウランド グレーン。

    élþ-ofóurel,és-oaurándogléin.
    燃える-<(重いものが)>香の木<主格>いる-<(重いものが)>社<主格>清い

    「香の木がくすぶり、社は清らかである。」

    香として焚かれる香の木は伐られた材なので、動詞は重性の -o で一致する。社 aurándo も重性なので、繋辞は éso になり、形容詞 gléin は重性・主格の形(語尾なし)になる。香の煙は上へ昇るものとして、祀りに欠かせない。

    ké ésa flaindél kélen sé káil?

    読み:ケー エーサ フラインデール ケーレン セー カイル?

    kéés-aflaindélkél-ensékáil?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>版の木<主格>伐る-<〜した・〜された>この<軽性>乾いた

    「この伐った版の木は乾いているか。」

    版木の工房で交わされる、くだけた問い。版木は、伐ってから数年寝かせて乾かす。伐った木はふつう一致が重性に移るが、版の木は例外で、伐ったあとも軽性のままである。そのため、繋辞は ésa、分詞 kélen は軽性・単数・主格(語尾なし)、指示詞は軽性の sé になる。伐った脂の木なら kélenoi(重性)のように重性の形で一致するので、比べるとわかりやすい。

    ésa plána sé es planéles.

    読み:エーサ プラーナ セー エス プラネーレス。

    és-aplánaséesplanél-es.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>この<軽性>から白樹皮の木-<属格>

    「この帳簿(の紙)は、白樹皮の木から出たものだ。」

    紙の出どころを説明する文。紙は白樹皮の木の内皮からすく。es+属格は方向を問わない「〜から」で、出どころを表す。帳簿 plána は木から作られた紙だが、言葉を載せて昇るものなので軽性のまま。そのため繋辞は ésa、指示詞は sé になる。

    mé kél árnelan sé, ésa bóula fóndel.

    読み:メー ケール アルネラン セー、エーサ ボーラ フォンデル。

    mékélárnel-ansé,és-abóulafóndel.
    <禁止・願いの打ち消し>伐る<命令法><あなたが>木-<対格>この<軽性>,いる-<(軽いものが)>どんぐりの木<主格>古い

    「この木を伐るな。このどんぐりの木は由緒ある古木だ。」

    森の村で、年長者が若い樵をたしなめるときの言い方。禁止は mé+命令法(むき出しの語幹 kél)で言うので、下向きの話し方になる。後半では、生えているどんぐりの木が軽性なので、繋辞は ésa になる。fóndel は「古くて由緒ある」というほめる響きの語。

    lúin na éso tambór némorei, éso bóula kúulen tambór némores.

    読み:ルーイン ナ エーソ タンボール ネーモレイ、エーソ ボーラ クーレン タンボール ネーモレス。

    lúinnaés-otambórnémor-ei,és-obóulakúul-entambórnémor-es.
    とき<〜ない>いる-<(重いものが)>雑穀<主格><我々>-<与格>,いる-<(重いものが)>どんぐり<主格>煮る-<〜した・〜された>雑穀<主格><我々>-<属格>

    「雑穀がないときには、煮たどんぐりが我々の雑穀になる。」

    凶作の年の暮らしを語る文。どんぐりは飢えの年の食べ物でもある。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物の tambór(重性)に一致する。lúin の節の中では、na が動詞の直前に来る。落ちた実を煮たどんぐりは重性で扱うので、繋辞は éso、分詞 kúulen は重性・単数・主格の形(語尾なし)になる。

    ésa lóiva té ámbel.

    読み:エーサ ロイヴァ テー アンベル。

    és-alóivatéámbel.
    いる-<(軽いものが)>森の髭<主格>あの<軽性>黄色い

    「あの森の髭は黄色い。」

    染め物の材料を見定めるときの言い方。地衣類を煮出すと黄や緑の染料がとれる。黄色は、段が上がると着ることを許される色である。木に垂れ下がっている森の髭は軽性なので、繋辞は ésa、指示詞は軽性の té になり、述語の形容詞 ámbel も軽性・単数・主格の形(語尾なし)で一致する。

    lúin tóro nébro, éso drúmo húmel.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、エーソ ドルーモ フーメル。

    lúintór-onébro,és-odrúmohúmel.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>,いる-<(重いものが)>苔<主格>湿った

    「霧が来ると、苔は湿る。」

    季節による苔の様子を述べる、説明の文。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。苔は地面や石を覆うもので重性に属するので、繋辞も重性の éso になる。述語の形容詞 húmel も、重性・単数・主格の形(語尾なし)で一致する。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。

    na éso þérno. éso sóumbo, kuuléimor ó sórel.

    読み:ナ エーソ セルノ。エーソ ソーンボ、クーレーモル オー ソーレル。

    naés-oþérno.és-osóumbo,kuul-é-imorósórel.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>毒きのこ<主格>いる-<(重いものが)>食べられるきのこ<主格>煮る-<〜だろう>-<我々が><3人称単数・重性>今日

    「毒きのこではない。食べられるきのこだ。今日煮よう。」

    採ってきたきのこを確かめたときの答え。þérno「毒きのこ」と対比されると、sóumbo は「食べられるきのこ」を指す。主語は言わず、繋辞 és- の重性の語尾 -o で「それは」を表す。推量法の -él- は1人称の語尾の前で l が落ちる(kuuléimor)。

    na ráinim ré éso sóumbo. mé mán ó!

    読み:ナ ライニン レー エーソ ソーンボ。メー マーン オー!

    naráin-imréés-osóumbo.mémánó!
    <〜ない>知る-<私が><〜と(節)>いる-<(重いものが)>食べられるきのこ<主格><禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが><3人称単数・重性>

    「食べられるきのこかどうか、わからない。食べるな!」

    年長者が目下の者に注意するときの言い方。ré で「〜と」の節を導く。禁止は「mé+命令法」で言い、mán- の2人称単数命令形はむき出しの語幹 mán。重性の代名詞 ó は主格と対格が同じ形。

    ké éso sóumbo só þérno?

    読み:ケー エーソ ソーンボ ソー セルノ?

    kéés-osóumbosóþérno?
    <〜か>いる-<(重いものが)>きのこ<主格>この<重性>毒きのこ<主格>

    「このきのこは毒きのこか?」

    はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。sóumbo も þérno も重性o語幹なので、指示詞は重性の só、繋辞は重性の éso になる。答えは動詞を繰り返して、éso(そうだ)、na éso(違う)と言う。

    ésa orenvandár té þérno. séuril virá éles, gráis nourá éles.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー セルノ。セウリル ヴィラー エーレス、グライス ノウラー エーレス。

    és-aorenvandártéþérno.séurilviráél-es,gráisnouráél-es.
    いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>陰で害する者<主格>美しい言葉<主格><3人称単数・軽性>-<属格>悪い心<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「あの縁商人は毒きのこだ。言葉はきれいだが、腹は黒い。」

    人を þérno と呼ぶのは強い悪口で、陰口に使う。主語が人なので繋辞は軽性の ésa になるが、重性の名詞を人に当てること自体が侮辱になる。後半は繋辞を落として述語の形容詞を先に置く、諺の語順。

    éso lúdro þérno nourés.

    読み:エーソ ルードロ セルノ ノウレース。

    és-olúdroþérnonour-és.
    いる-<(重いものが)>嘘<主格>陰で害する者<主格>心-<属格>

    「嘘は、心を蝕む毒きのこである。」

    教えの書や戒めの言葉に見られる比喩の言い方。見た目は無害でも内側から人を害する言葉を þérno にたとえる。lúdro「嘘」は重性なので、繋辞は éso。nourés は nourá「心」の属格。

    na ésa náuvra þérno, na ésa sóumbo.

    読み:ナ エーサ ナウヴラ セルノ、ナ エーサ ソーンボ。

    naés-anáuvraþérno,naés-asóumbo.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>酔いきのこ<主格>毒きのこ<〜ない>いる-<(軽いものが)>食べられるきのこ

    「酔いきのこは毒きのこではないが、食べられるきのこでもない。」

    きのこを、食べられるもの・毒・薬・酔うものに分ける考え方を示す説明の文。主語の náuvra が軽性なので、繋辞は軽性の ésa になる。重性の sóumbo・þérno と並べると、性の違いが動詞の形に表れる。

    ké ésa orenvandár séndoi? na ésa, válsa.

    読み:ケー エーサ オレンヴァンダール センドイ?ナ エーサ、ヴァルサ。

    kéés-aorenvandársénd-oi?naés-a,váls-a.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>ここ-<与格><〜ない>いる-<(軽いものが)>行く<〜し終えた>-<(軽いものが)>

    「「縁商人はここにいるか?」「いない。もう行ってしまった。」」

    gél- を、行き先を言わずに使うと「立ち去る・いなくなる」の意味になる。時制の形がないので、géla だけで「行ってしまった」と訳せる。答えは問いの動詞を繰り返して na ésa とする。

    pó ésa þelá táses?

    読み:ポー エーサ セラー ターセス?

    póés-aþelátás-es?
    何<主格>いる-<(軽いものが)>名前<主格><あなた>-<属格>

    「お前の名は何だ。」

    見張りの番人などが、素性の知れない者に使う、ぶっきらぼうな下向きの問い。疑問詞 pó を文頭に出した繋辞の文で、繋辞は主語の þelá(軽性)に一致している。改まった場では、相手に名乗らせる形(pán þéles?「何と名乗る」)や推量法を使う。霧の中では、名前を尋ねること自体が避けられる。

    ésa þelá aursáres lísen rólanei.

    読み:エーサ セラー アウルサーレス リーセン ローラネイ。

    és-aþeláaursár-eslís-enrólan-ei.
    いる-<(軽いものが)>名前<主格>祖先-<属格>書く-<〜した・〜された>巻-<与格>

    「祖先の名は巻物に書かれている。」

    家の習わしを述べる文。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、受け身にあたる意味になる。書くことは息を使わないので、口にしてはならない名前でも書き留めてよい。場所は前置詞なしの与格で表す。

    ésa þelíña némes ráinen ambrélar.

    読み:エーサ セリーニャ ネーメス ライネン アンブレーラル。

    és-aþelíñaném-esráin-enambrél-ar.
    いる-<(軽いものが)>幼名<主格><私>-<属格>知る-<〜した・〜された>兄・姉-<〜らの>

    「私の幼名は、兄や姉たちが知っている。」

    幼名は家族とごく親しい者しか知らない名なので、それを知っていることが近しさのしるしになる。分詞の後ろの属格 ambrélar は「〜によって」の意味。ambrél は同じ流れの年上のきょうだいを指し、男女を区別しない。

    ésa aurþelá élaures lísen lourvirárar.

    読み:エーサ アウルセラー エーラウレス リーセン ロウルヴィラーラル。

    és-aaurþeláélaur-eslís-enlourvirár-ar.
    いる-<(軽いものが)>昇名<主格>昇りゆく人-<属格>書く-<〜した・〜された>系譜読み-<〜らの>

    「昇りゆかれた方の昇名は、系譜読みたちの手で書き入れられている。」

    死後一年の禁忌が明けたあとの状態を述べる文。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、分詞の後ろの属格が書いた人を示す。昇名が系譜に書き入れられると、それ以後は昇名を口にしてよい。

    lúin áura álmar, ésa aurþelá aursáres lóimen.

    読み:ルーイン アウラ アルマル、エーサ アウルセラー アウルサーレス ロイメン。

    lúináur-aálmar,és-aaurþeláaursár-eslóim-en.
    とき昇る-<(軽いものが)>白月<主格>いる-<(軽いものが)>昇名<主格>祖先-<属格>唱える-<〜した・〜された>

    「白月が昇ると、祖先の昇名が唱えられる。」

    祖先祀りの場面。生前の名前は二度と声に出さないので、祖先を口にするときはかならず昇名を使う。時を表す lúin の節は、ふつう主節の前に置く。後半は「és-+主語+分詞」で、受け身にあたる意味を表している。

    ésa aunourá aulisáres gléin.

    読み:エーサ アウノウラー アウリサーレス グレーン。

    és-aau-nouráau-lis-ár-esgléin.
    いる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-思い<お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>清い

    「書記の方のお考えは筋が通っている。」

    目上の人の考えには、持ち物と同じく au- をつけて高める。nourá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形になる。「清い」は考えについて言うと「筋が通っている、濁りがない」の意味になる。

    ésa nourá némes ré lísa lisár sáindaran dórel, ausenár.

    読み:エーサ ノウラー ネーメス レー リーサ リサール サインダラン ドーレル、アウセナール。

    és-anouráném-esrélís-alis-ársáindar-andórel,au-sen-ár.
    いる-<(軽いものが)>思い<私>-<属格><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>明日<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、私の考えは、明日書記が証文を書く、というものです。」

    目上の人に意見を述べるときの言い方。自分の思いには au- をつけない。ré の節で考えの中身を示し、呼びかけの役職名は文の終わりに読点で区切って添える。

    ké na éso hémbro tásei?

    読み:ケー ナ エーソ ヘンブロ ターセイ?

    kénaés-ohémbrotás-ei?
    <〜か><〜ない>いる-<(重いものが)>恥<主格><あなた>-<与格>

    「お前には恥というものがないのか。」

    たしなめる下向きの問い。ké は文のいちばん前、na は動詞の直前に置く。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 hémbro(重性)に一致して éso になる。

    lúin éso nébro, mé þondésa þondán.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、メー ソンデーサ ソンダーン。

    lúinés-onébro,méþond-és-aþond-án.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)>誓い-<対格>

    「霧が出ているときには、誓いを立てぬこと。」

    言い伝えや法典に出てくる禁止の言い方。霧の夜の誓いは祖先に届かず無効だ、という信仰を表している。前半は lúin「〜とき」の節で、主語の霧 nébro が重性なので、繋辞は és-o になる。後半は当為法の文で、mé で否定する。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移るので、語根の ´ は消える。目的語の þondá「誓い」は、þónd- に -á がついた派生名詞。

    ké ésa tíula sé gléin?

    読み:ケー エーサ ティーウラ セー グレーン?

    kéés-atíulaségléin?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>音<主格>この<軽性>清い

    「この音は澄んでいるか?」

    日常の問い。繋辞 és- を先頭に置き、「és-–主語–述語」の順に並べる。tíula「音」は軽性なので、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。軽性の指示詞 sé は格によって形が変わらず、名詞句の最後に置く。

    ésa tíula ombrílur sélvanes gléin.

    読み:エーサ ティーウラ オンブリールル セルヴァネス グレーン。

    és-atíulaombríl-ursélvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>響き<主格>句-<〜らの>セルヴァン-<属格>清い

    「「セルヴァンの句の響きは清らかだ。」」

    人の詩をほめるときの言い方。詩は句と拍で数え、句の響き(強勢と音節の重さの並び)が整っていることが教養の証とされる。名詞句の中では、中心の名詞 tíula の後ろに属格が続く。繋辞と述語の形容詞は、軽性の主語 tíula に一致している。

    éso gandér só sáun.

    読み:エーソ ガンデール ソー サウン。

    és-ogandérsósáun.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>良い

    「この硬木は良質だ。」

    森の司の検め役が、丸太の等級を確かめて言う言い方。形容詞が述語になるときも主語に一致する。gandér は重性なので、繋辞は és-o、重性の指示詞は só になり、sáun は重性・単数・主格の形(語尾なし)をとる。

    éso tambór só gráis.

    読み:エーソ タンボール ソー グライス。

    és-otambórsógráis.
    いる-<(重いものが)>雑穀<主格>この<重性>悪い

    「この雑穀は質が悪い。」

    市で品質に文句をつけるときの言い方。「AはBだ」の文は繋辞 éis- で始める。主語の tambór が重性なので、繋辞は -o になる。述語の形容詞も重性・単数・主格の形をとり、語尾はつかない。

    éso gandér só mór an gandéruls.

    読み:エーソ ガンデール ソー モール アン ガンデールルス。

    és-ogandérsómórangandér-uls.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>大きい上手硬木-<〜らに>

    「この硬木は、硬木の中でいちばん大きい。」

    「いちばん〜」は、an に同じ仲間の複数与格を続けて言う。森の司の検め役や樵が、丸太を見比べるときの言い方。

    ésa houmár té ível.

    読み:エーサ ホウマール テー イーヴェル。

    és-ahoum-ártéível.
    いる-<(軽いものが)>炉-<〜する人>あの<軽性>成り上がりの

    「あの家の主は成り上がりだ。」

    陰口で使う言い方。家柄や流れについて ível と言うと、「新しくて浅い」と軽んじる含みが出る。本人の前では言わない。

    éso kéumo só fóndel.

    読み:エーソ ケウモ ソー フォンデル。

    és-okéumosófóndel.
    いる-<(重いものが)>碑<主格>この<重性>古い

    「この碑は古い、由緒のあるものだ。」

    碑は石なので重性で、繋辞も -o になる。fóndel は「長く続いて由緒がある」という、ほめる含みのある「古い」である。ただ古びて傷んでいることを言うときは trúum を使う。

    éso nébro só gráis, na lísimor sáindaran.

    読み:エーソ ネーブロ ソー グライス、ナ リーシモル サインダラン。

    és-onébrosógráis,nalís-imorsáindar-an.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>この<重性>不吉な<〜ない>書く-<我々が>証文-<対格>

    「この霧は縁起が悪い。我々は証文を書かない。」

    霧期には大事な契約を結ばないという習わしを、兆しの言い方で述べている。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só になる。重性・単数・主格の形容詞には語尾がつかない。主節が二つ並ぶので、あいだを読点で区切る。

    víra kelár ré éso nébro tó gráis.

    読み:ヴィーラ ケラール レー エーソ ネーブロ トー グライス。

    vír-akel-árréés-onébrotógráis.
    言う-<(軽いものが)>伐る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>霧<主格>あの<重性>不吉な

    「樵は、あの霧は不吉だと言う。」

    人から聞いた兆しを伝える言い方。ré の節の中も、動詞で始まる語順を保つ。tó は重性の指示詞「あの」。

    éso nébro. lúin hála páin þelán táses, mé glén!

    読み:エーソ ネーブロ。ルーイン ハーラ パイン セラーン ターセス、メー グレーン!

    és-onébro.lúinhál-apáinþel-ántás-es,méglén!
    いる-<(重いものが)>霧<主格>とき呼ぶ-<(軽いものが)>誰か<主格>名前-<対格><あなた>-<属格><禁止・願いの打ち消し>答える<命令法><あなたが>

    「霧が出ている。誰かがお前の名を呼んでも、答えてはいけない。」

    霧の禁忌について、親が子に言い聞かせる言葉。「霧がある」は繋辞 és- で言い、霧 nébro が重性なので語尾は -o。禁止は「mé+命令法」。

    éso gandér klér.

    読み:エーソ ガンデール クレール。

    és-ogandérklér.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>冷たい

    「硬木は冷たい。」

    手で触れた冷たさを言う文。主語の gandér は重性なので、繋辞は -o をとる。述語の形容詞は重性・単数・主格で一致し、語尾はつかない。

    éso hóum fóum némei.

    読み:エーソ ホーン フォーン ネーメイ。

    és-ohóumfóumném-ei.
    いる-<(重いものが)>炉<主格>暖かい<私>-<与格>

    「私のところには暖かい炉がある。」

    所有の言い方で、「ある+持ち主の与格」の形。動詞は、持たれている炉 hóum(重性)に一致して -o をとる。形容詞も重性・主格なので、語尾はつかない。

    lúin ésa sílar dréum, na sénim póin.

    読み:ルーイン エーサ シーラル ドレウン、ナ セーニン ポイン。

    lúinés-asílardréum,nasén-impóin.
    ときいる-<(軽いものが)>月<主格>暗い<〜ない>見る-<私が>何か

    「月が暗いときは、何も見えない。」

    光がなくて暗いことを言う文。月は軽性なので、繋辞は -a をとり、形容詞は語尾なしで一致する。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。

    ké éso tambór káil?

    読み:ケー エーソ タンボール カイル?

    kéés-otambórkáil?
    <〜か>いる-<(重いものが)>雑穀<主格>乾いた

    「雑穀は乾いているか。」

    乾風期の前半、干した雑穀の穂を脱穀する前に確かめるときの問い。「AはBだ」の文なので、繋辞 és- を文頭に置く。tambór は重性なので、繋辞は -o の形、述語の形容詞は語尾のない káil になる。

    éso gandér só rúgal.

    読み:エーソ ガンデール ソー ルーガル。

    és-ogandérsórúgal.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>粗い

    「この硬木は手ざわりが粗い。」

    材木の表面の様子を言う、日常の文。gandér「硬木」は重性なので、繋辞は -o の形(éso)、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 rúgal は重性・単数・主格の形で、語尾がつかない。

    ké éso glünó krán? éso.

    読み:ケー エーソ グリュノー クラーン?エーソ。

    kéés-oglünókrán?és-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>氷<主格>硬いいる-<(重いものが)>

    「「氷は硬いか?」「硬い。」」

    凍った湖に乗る前に交わす日常の問答。glünó「氷」は重性なので、繋辞は3人称単数・重性の éiso になる。述語の krán は重性・主格に一致するが、この形には語尾がつかない。答えは「はい」の代わりに動詞を繰り返す。

    ésa ambrél némes krán, na fínda viráis némes.

    読み:エーサ アンブレール ネーメス クラーン、ナ フィンダ ヴィライス ネーメス。

    és-aambrélném-eskrán,nafínd-avir-áisném-es.
    いる-<(軽いものが)>兄姉<主格><私>-<属格>頑固な<〜ない>聞く-<(軽いものが)>言葉-<〜たちを><私>-<属格>

    「兄は頑固で、私の言うことを聞かない。」

    家族についての愚痴。人について言うときは軽性の一致になり、繋辞は éisa をとる。ambrél は年上のきょうだいを指し、性別は区別しない。属格 némes は名詞の後ろに置く。

    dróuma houmár ré ésa dulóur éles krán.

    読み:ドローマ ホウマール レー エーサ ドゥロール エーレス クラーン。

    dróum-ahoumárréés-adulóurél-eskrán.
    嘆く-<(軽いものが)>家の主<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>子<主格><3人称単数・軽性>-<属格>頑固な

    「家の主は、息子が頑固だと嘆いている。」

    ré は「〜と」の節を導く。節の中も動詞で始まる。人を重性で受けると侮辱になるので、頑固さを責める文であっても、主語の子は軽性の éisa で受ける。

    éso kailó ível náum.

    読み:エーソ カイロー イーヴェル ナウン。

    és-okailóívelnáum.
    いる-<(重いものが)>乾酪<主格>新しい柔らかい

    「できたての乾酪は柔らかい。」

    食べ物の手ざわりを言う日常の文。kailó「乾酪」は重性なので、修飾語の ível も述語の náum も重性・主格の形(語尾なし)になる。名詞句は「名詞–形容詞」の順で、述語はその後ろに来る。

    ésa séulin némes náum, na grúuna.

    読み:エーサ セウリン ネーメス ナウン、ナ グルーナ。

    és-aséulinném-esnáum,nagrúun-a.
    いる-<(軽いものが)>友<主格><私>-<属格>穏やかな<〜ない>怒る-<(軽いものが)>

    「私の友は穏やかな人で、怒ることがない。」

    人柄を言う日常の文。後半の主語は言っていないが、動詞の語尾 -a から、前半と同じ友が主語だとわかる。時制がないので、習慣としての「怒らない」の意味になる。

    ésa lúsa tambóros némei.

    読み:エーサ ルーサ タンボーロス ネーメイ。

    és-alúsatambór-osném-ei.
    いる-<(軽いものが)>粥<主格>雑穀-<属格><私>-<与格>

    「私には雑穀の粥がある。」

    台所での日常の文。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物 lúsa(軽性)に一致して -a になる。材料は属格 tambóros で後ろに添える。tambór は重性なので、属格は -os になる。

    esénde lúsa sé aurélei.

    読み:エセンデ ルーサ セー アウレーレイ。

    es-énd-elúsaséaurél-ei.
    いる-<〜しますように>-<(軽いものが)>粥<主格>この<軽性>あの方-<与格>

    「この粥を、どうぞあの方に(お召し上がりくださいませ)。」

    目上の人に食事を勧める、遠回しで改まった言い方。「食べよ」とは言わず、所有の構文「ある+持ち主の与格」を願望法にして、「この粥があの方のものとなりますように」と言う。強勢は願望法の -énd- に移る。

    na esíro fáron, na eséla lúsa faronárei.

    読み:ナ エシーロ ファーロン、ナ エセーラ ルーサ ファロナーレイ。

    naes-ír-ofáron,naes-él-alúsafaronár-ei.
    <〜ない>いる-<もし〜なら>-<(重いものが)>荷<主格><〜ない>いる-<〜だろう>-<(軽いものが)>日々の糧<主格>運び人-<与格>

    「荷がなければ、運び人に日々の糧はなかろう。」

    崖道の暮らしを言う、決まった言い方。条件の部分は、接続詞を使わずに仮定法だけで作る。荷 fáron が重性なので、動詞は -o をとる。帰結の部分は推量法で、lúsa(軽性)に一致して -a になる。lúsa は「食い扶持」の意味。

    éso gandér krán an flaindélei, na tílim gandér.

    読み:エーソ ガンデール クラーン アン フラインデーレイ、ナ ティーリン ガンデール。

    és-ogandérkránanflaindél-ei,natíl-imgandér.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>硬い上手版の木-<与格><〜ない>彫る-<私が>硬木<対格>

    「硬木は版の木より硬い。硬木は彫らない。」

    彫り師の言葉。性質の程度がまさることは「an+与格」(〜の上手に)で言う。主語の gandér は重性なので、繋辞は és-o になり、形容詞 krán も重性・主格の形(語尾なし)になる。後半の gandér は目的語で、重性なので主格と同じ形。硬木を彫らないのは、硬すぎるからでもあり、禁忌だからでもある。

    kéla houmár árnelais, ré esénde lúsa élei.

    読み:ケーラ ホウマール アルネライス、レー エセンデ ルーサ エーレイ。

    kél-ahoumárárnel-ais,rées-énd-elúsaél-ei.
    伐る-<(軽いものが)>家の主<主格>木-<〜たちを><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(軽いものが)>日々の糧<主格><3人称単数・軽性>-<与格>

    「家の主は、粥に困らぬよう木を伐る。」

    「ré+願望法」は目的を表す。所有は「ある+持ち主の与格」で言うので、「その人に粥がある」が「暮らしに困らない」という意味になる。élei は家の主を指す。ここでの lúsa は、日々の食い扶持を広く指している。

    ésau þovríl si kailó séndoi.

    読み:エーサウ ソヴリール シ カイロー センドイ。

    és-auþovrílsikailósénd-oi.
    いる-<双数>茶<主格>と乾酪<主格>ここ-<与格>

    「「ここに茶と乾酪がある。」」

    客を炉端に迎えて、茶と乾酪を出すときの言い方。存在の文で、繋辞 és- が先頭に来る。単数の名詞が si で二つ並んでいるので、動詞は双数 ésau になる。双数の動詞は性を区別しないので、この文からは þovríl の性はわからない。

    ésau kéira si méldo némei.

    読み:エーサウ ケーラ シ メルド ネーメイ。

    és-aukéirasiméldoném-ei.
    いる-<双数>蜜蝋<主格>と蜜<主格><私>-<与格>

    「私には蜜蝋と蜜がある。」

    商人が手元の品を言う所有の文。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。単数のもの二つを si で並べたので、動詞は双数 ésau になる。蜜蝋と蜜は、下ろし荷として並んで扱われることが多い。

    éso ílmo véinoros véril.

    読み:エーソ イルモ ヴェーノロス ヴェーリル。

    és-oílmovéinor-osvéril.
    いる-<(重いものが)>水<主格>湖-<属格>青緑の

    「湖の水は青緑だ。」

    「AはBだ」の繋辞文。名詞句の中の形容詞は属格より前に来るので、属格 véinoros の後ろにある véril は修飾語ではなく述語と読む。湖の水は地上の水なので重性。

    éso þéul só þáil.

    読み:エーソ セウル ソー サイル。

    és-oþéulsóþáil.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>この<重性>澄んだ

    「この湧き水は澄んでいる。」

    地を流れる水は重性なので、繋辞は éiso、指示詞は só になる。水の濁りのなさを言う、いちばん基本の用法。

    ésa tendá lisáres rús.

    読み:エーサ テンダー リサーレス ルース。

    és-atend-ális-ár-esrús.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>書く-<〜する人>-<属格>茶色の

    「書記の布は茶色に染めてある。」

    樹皮で染めた茶色のこと。染めた色の布は、生成りの布より上の段の人に許される(書記は四段下り)。tendá「織物・布」は ténd-「織る」に -á「〜するもの(軽)」がついた語で、軽性。繋辞 éis- を先頭に置き、述語の形容詞 rús は軽性の主格(語尾なし)で主語に一致する。

    ésa tendá sé ámbel.

    読み:エーサ テンダー セー アンベル。

    és-atend-áséámbel.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>この<軽性>黄色い

    「この布は黄色い。」

    「éis-+主語+述語」の文。地衣類の「森の髭」で染めた黄の布を言う。指示詞 sé が主語の名詞句の終わりの目印になり、その後ろの ámbel が述語になる。

    éso drúmo véril árnelei.

    読み:エーソ ドルーモ ヴェーリル アルネレイ。

    és-odrúmovérilárnel-ei.
    いる-<(重いものが)>苔<主格>青緑の木-<与格>

    「木に青緑の苔が生えている。」

    存在の文で、「éis-+主語+場所の与格」の形。苔 drúmo は重性o語幹なので、動詞は重性の éiso、形容詞は重性の主格(語尾なし)になる。生えている木 árnel は軽性なので、与格は -ei。高原語では青と緑を一語で言うので、苔の色も湖の色も véril で表す。

    ésa tendá kelárar kéum, na ésa rús.

    読み:エーサ テンダー ケラーラル ケウン、ナ エーサ ルース。

    és-atend-ákel-ár-arkéum,naés-arús.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>伐る-<〜する人>-<〜らの>生成りの<〜ない>いる-<(軽いものが)>茶色の

    「樵たちの布は生成りで、茶色ではない。」

    染めていない布や毛の色をいう kéum の用法。八段下りの森の民は染めない布を着る。後半は主語を言わず、動詞の語尾で前半と同じ布が主語だとわかる。na は動詞の直前に置く。

    esésa tendá faronárar kéum.

    読み:エセーサ テンダー ファロナーラル ケウン。

    es-és-atend-áfaron-ár-arkéum.
    いる-<〜すべし>-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>荷-<〜する人>-<〜らの>生成りの

    「運び人の布は生成りたるべし。」

    法典や決まりの書きぶりで、当為法を使う。強勢は -és- に移る。下の段の人は染めていない生成りか灰色の衣を着る、という衣の作法を述べた文。

    éso lóur só þáil, an þráinos tóro.

    読み:エーソ ロール ソー サイル、アン スライノス トーロ。

    és-olóursóþáil,anþráin-ostór-o.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>澄んだ上手峰-<属格>来る-<(重いものが)>

    「この瀬は澄んでいる。峰の方から流れてくる水だ。」

    水の澄み方を言う用法。瀬 lóur は重性なので、繋辞は éiso、形容詞は重性の主格(語尾なし)。重性の指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示す。後半は an+属格で「上手から」を表し、主語は前半と同じ瀬。北の高みから来る水ほど清いとされる。

    lúin ésa élvar þáil, sénimor sílarau.

    読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、セーニモル シーララウ。

    lúinés-aélvarþáil,sén-imorsílar-au.
    ときいる-<(軽いものが)>天<主格>晴れた見る-<我々が>月-<双数>

    「空が晴れると、我々には二つの月が見える。」

    lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。雲も霧もない空を言う用法で、乾風期の夜によく使う。月は星ではないので、双数で言ってよい。

    lúin ésa élvar þáil, þondésa.

    読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、ソンデーサ。

    lúinés-aélvarþáil,þond-és-a.
    ときいる-<(軽いものが)>天<主格>晴れた誓う-<〜すべし>-<(軽いものが)>

    「誓いは、空の晴れたときに立てるべし。」

    主語のない当為法は「人は〜すべし」という一般の主語を表し、軽性の形をとる。祖先が見ている、星の見える晴れた夜の誓いだけが重いとされ、霧の夜の誓いは無効とされる。

    ké éso tálmo tásei?

    読み:ケー エーソ タルモ ターセイ?

    kéés-otálmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>斧<主格><あなた>-<与格>

    「お前、斧は持っているか。」

    森の村などで使うくだけた問い。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 tálmo(重性)に一致して éso になる。答えは「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso で、動詞の人称は変わらない。

    éso kumbór krán.

    読み:エーソ クンボール クラーン。

    és-okumbórkrán.
    いる-<(重いものが)>青銅<主格>硬い

    「青銅は硬い。」

    繋辞の文で、és- を文頭に置く。kumbór は金属なので重性で、繋辞は -o、述語の形容詞 krán は重性・単数・主格の形(語尾なし)になる。素材としての青銅を総称して言っている。

    ésa rása sé gléin.

    読み:エーサ ラーサ セー グレーン。

    és-arásaségléin.
    いる-<(軽いものが)>衣<主格>この<軽性>清い

    「この衣は清らかだ。」

    繋辞の文。rása は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé、形容詞 gléin は軽性・主格の形(語尾なし)になる。

    ésa ín rása némei.

    読み:エーサ イーン ラーサ ネーメイ。

    és-aínrásaném-ei.
    いる-<(軽いものが)>一重ね<主格><私>-<与格>

    「私は一重ねの身にすぎません。」

    重ねる衣の枚数が身分の段を表すことから、自分の身分の低さをへりくだって言う言い方。所有を「ある+持ち主の与格」で表している。動詞は持たれている物の rása(軽性)に一致する。ín「一」の後ろなので、名詞は単数になる。

    ésa aurása aulisáres séuril.

    読み:エーサ アウラーサ アウリサーレス セウリル。

    és-aau-rásaau-lis-ár-esséuril.
    いる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-重ね<主格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>美しい

    「書記の方のお重ねは見事でございます。」

    目上の人の衣の重ねを、au- をつけて高めている。r の前なので、au- は形を変えない。持ち主を表す属格 aulisáres にも au- がつく。

    na ésa síndra némei.

    読み:ナ エーサ シンドラ ネーメイ。

    naés-asíndraném-ei.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>帯<主格><私>-<与格>

    「私は帯を持っていない。」

    所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物の síndra(軽性)に一致する。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。

    ésa síndra sé séuril.

    読み:エーサ シンドラ セー セウリル。

    és-asíndraséséuril.
    いる-<(軽いものが)>帯<主格>この<軽性>美しい

    「この帯は美しい。」

    繋辞の文。síndra は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé、形容詞は軽性・主格の形になる。帯は染め色で身分を示し、高価な染めの帯は家一軒ほどの値になることもある。そのため、品物をほめる言葉として市でもよく聞かれる。

    ésa snélo élvares dréum, na sénimor sílaran.

    読み:エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ナ セーニモル シーララン。

    és-asnéloélvar-esdréum,nasén-imorsílar-an.
    いる-<(軽いものが)>天の屋根<主格>天-<属格>黒い<〜ない>見る-<我々が>月-<対格>

    「天の屋根が黒く、月が見えない。」

    snélo élvares「天の屋根」は高い雲を言う詩的な表現。名詞の形は重性の o語幹のままだが、雲は上に属するものなので一致は軽性になり、繋辞は ésa、述語の形容詞 dréum も軽性の形をとる。雨期の夜によく言う言い方。

    lúin ésa snélo élvares dréum, lúuman aursárai némoran.

    読み:ルーイン エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ルーマン アウルサーライ ネーモラン。

    lúinés-asnéloélvar-esdréum,lúum-anaurs-ár-ainémor-an.
    ときいる-<(軽いものが)>天の屋根<主格>天-<属格>黒いご覧になる-<彼らが>昇る<〜し終えた>-<〜する人>-<〜たちが><我々>-<対格>

    「天の屋根が黒いときも、祖先は我々をご覧になっている。」

    雨期に星が見えなくても不安がらない理由を説く、信仰の言い方。雲は上の層に属するので、祖先は屋根の上から変わらず下界を見ていると考えられている。snélo は重性の語形だが、この意味では一致が軽性になる(ésa)。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。

    ké éso reinándo tásei? éso.

    読み:ケー エーソ レイナンド ターセイ?エーソ。

    kéés-oreinándotás-ei?és-o.
    <〜か>いる-<(重いものが)>雨水甕<主格><あなた>-<与格>いる-<(重いものが)>

    「「お前のところに雨水甕はあるか?」「ある。」」

    二人の発話。reinándo は「雨水を受ける所」を表す、場所の接尾辞 -ándo をもつ重性の o語幹名詞なので、繋辞は éso になる。所有は「és-+物+持ち主の与格」で言う。はい・いいえの語がないので、問いの動詞を繰り返して答える。

    ké ésa dreumá tásei? ésa dreumá némei.

    読み:ケー エーサ ドレウマー ターセイ?エーサ ドレウマー ネーメイ。

    kéés-adreumátás-ei?és-adreumáném-ei.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>墨<主格><あなた>-<与格>いる-<(軽いものが)>墨<主格><私>-<与格>

    「「お前、墨は持っているか?」「持っている。」」

    二人の発話。dreumá は dréum「黒い」に軽いものを表す -á がついた語で、強勢が語尾にある。言葉を載せて昇るものなので軽性になり、繋辞は ésa。所有は「és-+物+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく墨に一致する。

    éso pelsó kúulen dréum.

    読み:エーソ ペルソー クーレン ドレウン。

    és-opelsókúul-endréum
    いる-<(重いものが)>ピッチ<主格>煮る-<〜した・〜された>黒い

    「煮つめた樹脂、つまりピッチは黒い。」

    pelsó は、樹脂を煮つめて作る目止め用のピッチも指す。区別したいときは、分詞 kúulen「煮られた」を後ろに添える。他動詞の分詞は受け身の意味になる。

    lúin éso nébro, ténda ambrél.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、テンダ アンブレール。

    lúinés-onébro,ténd-aambrél
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格>織る-<(軽いものが)>姉<主格>

    「霧が出ているあいだ、姉は機を織る。」

    霧期には外仕事が減り、家の中で機を織る。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。霧 nébro は重性なので繋辞は -o をとり、姉 ambrél は人なので軽性で、織る動詞は -a をとる。ここでは目的語を言わず、「機を織る」という行い自体を表している。

    éso kórvo némei, na éso tambór.

    読み:エーソ コルヴォ ネーメイ、ナ エーソ タンボール。

    és-okórvoném-ei,naés-otambór
    いる-<(重いものが)>倉<主格><私>-<与格><〜ない>いる-<(重いものが)>雑穀<主格>

    「倉はあるが、雑穀がない。」

    凶作の年の嘆き。高原語には「持つ」という動詞がないので、所有は「és- + 物 + 持ち主の与格」で言う。kórvo は重性o語幹で、主格と対格が同じ形になる。動詞は持たれている物(倉、雑穀)に一致して -o をとる。

    ké ésa meirtaulá sé lísen?

    読み:ケー エーサ メイルタウラー セー リーセン?

    kéés-ameirtaulásélís-en?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>取引<主格>この<軽性>書く-<〜した・〜された>

    「この取引は書き留めてあるか。」

    meirtaulá は méir-「与える」と tául-「取る」に -á がついた軽性a語幹の名詞で、語尾に強勢がある。述語の分詞 lísen「書かれた」は、主語に一致して軽性・単数・主格の形(語尾なし)になる。王国では口約束より書きつけが重く、取引は帳簿に一つ一行で書く。

    toríro nébro, na eséla meirtaulá gléin.

    読み:トリーロ ネーブロ、ナ エセーラ メイルタウラー グレーン。

    tor-ír-onébro,naes-él-ameirtaulágléin.
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>いる-<〜だろう>-<(軽いものが)>取引<主格>清い

    「霧が来てから結んだ取引は、清いものとはされまい。」

    条件の節は接続詞を使わず、仮定法だけで作る。霧 nébro は重性なので -o をとる。帰結の節は推量法で、na で否定する。主語の meirtaulá は軽性なので -a をとる。霧の中で結んだ約束は重んじられないので、精算は霧の前に済ませる。

    ésa férmal virá lísen.

    読み:エーサ フェルマル ヴィラー リーセン。

    és-aférmalvirálís-en.
    いる-<(軽いものが)>法<主格>言葉<主格>書く-<〜した・〜された>

    「法とは、書かれた言葉である。」

    口約束より書きつけを重んじる考え方を表す、格言めいた言い方。繋辞 és- を文頭に置く。férmal は言葉に属するものとして軽性で受ける。分詞 lísen は軽性・単数・主格なので、一致の語尾がつかない。

    lóiman ráuvanai loimán sérin, ésa tróval fóndel.

    読み:ロイマン ラウヴァナイ ロイマーン セーリン、エーサ トローヴァル フォンデル。

    lóim-anráuvan-ailoim-ánsérin,és-atróvalfóndel.
    唱える-<彼らが>森の巫-<〜たちが>詞-<対格>このようにいる-<(軽いものが)>しきたり<主格>古い

    「森の巫たちはこのように詞を唱える。それが由緒あるしきたりなのだ。」

    儀式の手順を説明する文。接続詞なしで節を二つ並べ、読点で区切っている。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、主語の tróval(軽性・主格)に一致し、語尾はつかない。

    lúin éso nébro, na áura þondá, na fíndan aursárai élan.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ アウラ ソンダー、ナ フィンダン アウルサーライ エーラン。

    lúinés-onébro,naáur-aþondá,nafínd-anaursár-aiél-an.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>昇る-<(軽いものが)>誓い<主格><〜ない>聞く-<彼らが>祖先-<〜たちが><3人称単数・軽性>-<対格>

    「霧が出ているときには、誓いは昇らない。祖先にはそれが聞こえない。」

    霧の夜に立てた誓いは無効だという教えを述べる文。霧 nébro は重性なので éso、þondá は軽性なので動詞は -a で一致する。後半では、その誓いを軽性の代名詞の対格 élan で受けている。

    ésa þondá sé lísen sáindarei.

    読み:エーサ ソンダー セー リーセン サインダレイ。

    és-aþondásélís-ensáindar-ei.
    いる-<(軽いものが)>約束<主格>この<軽性>書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「この約束は証文に書き留められている。」

    取引の約束が文字に残っていることを確かめる言い方。口約束より書きつけが重いとされるので、商いの約束は証文に書かせる。繋辞 és- を文頭に置き、主語 þondá sé の後ろに分詞 lísen「書かれた」を述語として続ける。指示詞 sé は軽性の形。

    lúin éso nébro, na ésa þondá gléin.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ エーサ ソンダー グレーン。

    lúinés-onébro,naés-aþondágléin.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>いる-<(軽いものが)>約束<主格>清い

    「霧の出ているときの約束は、清い約束ではない(当てにならない)。」

    霧期に結んだ約束は重んじられないことを言う、日常の言い方。lúin の節は主節の前に置く。後半は繋辞の文で、na で否定する。þondá は軽性なので、繋辞は -a で一致する。

    pórin eséla tróval séndos?

    読み:ポーリン エセーラ トローヴァル センドス?

    pórines-él-atróvalsénd-os?
    どのようにいる-<〜だろう>-<(軽いものが)>しきたり<主格>ここ-<属格>

    「「こちらのしきたりは、どのようなものでございましょうか。」」

    よその土地の年長者に、儀式のやり方を尋ねる言い方。目上の人には問いの小辞 ké を使わず、推量法で推し量る形にする。疑問詞 pórin は動詞の前に出る。推量法の -él- が強勢をとるので、és- は eséla になる。

    ésa loimá ráuvanes gléin.

    読み:エーサ ロイマー ラウヴァネス グレーン。

    és-aloimáráuvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>詞<主格>森の巫-<属格>清い

    「森の巫の詞は清い。」

    「AはBだ」の文も、繋辞 és- を文頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語 loimá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin は軽性・主格の語尾のない形になる。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。

    ké ésa loimá kéumos só ráuvanes?

    読み:ケー エーサ ロイマー ケウモス ソー ラウヴァネス?

    kéés-aloimákéum-ossóráuvan-es?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>碑の詞<主格>碑-<属格>この<重性>森の巫-<属格>

    「この碑の詞は、森の巫のものか?」

    古い碑の前で交わす問い。降ろし場の碑のように、森の巫の詞をそのまま刻んだ碑がある。名詞句の終わりの指示詞 só は重性の形なので、軽性の loimá ではなく、重性の kéumo(碑)にかかる。そのため「この碑の」と読む。答えは動詞を繰り返して ésa、または na ésa と言う。

    ésa loimá kéumos só trálen sóndelei.

    読み:エーサ ロイマー ケウモス ソー トラーレン ソンデレイ。

    és-aloimákéum-ossótrál-ensóndel-ei.
    いる-<(軽いものが)>碑の詞<主格>碑-<属格>この<重性>写す-<〜した・〜された>書物-<与格>

    「この碑の詞は、書物に書き写されている。」

    受け身の専用の形はないので、「és-+主語+分詞」で結果の状態を言う。石に刻んだ言葉はその場に据えておくものとされ、書き写して書物に残すのは書の司の役目である。指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示し、分詞 trálen はそのあとの述語になる。与格 sóndelei は写す先を表す。

    lúin rímba ilanár, ésa ilanrimbá lóimen.

    読み:ルーイン リンバ イラナール、エーサ イランリンバー ロイメン。

    lúinrímb-ailanár,és-ailanrimbálóim-en.
    とき数える-<(軽いものが)>星読み<主格>いる-<(軽いものが)>灯の数え<主格>唱える-<〜した・〜された>

    「星読みが数えるときには、灯の数えが唱えられる。」

    星の司の観測の作法を説明した文。星を数えることが許されるのは星読みだけで、そのときもふつうの数詞は使わず、灯の数えという古い数え方で唱える。後ろの節は「és-+主語+分詞」の形で、受け身にあたる。

    na ésa ilanrimbá ráinen éndrar, ráinan ilanárai.

    読み:ナ エーサ イランリンバー ライネン エンドラル、ライナン イラナーライ。

    naés-ailanrimbáráin-enéndr-ar,ráin-anilanár-ai.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>灯の数え<主格>知る-<〜した・〜された>人-<〜らの>知る-<彼らが>星読み-<〜たちが>

    「灯の数えは世の人に知られていない。知っているのは星読みたちだ。」

    灯の数えが秘儀であることを言う、一般向けの説明の文。分詞の後ろの属格 éndrar は「人々によって」の意味になる。接続詞を使わずに主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印(読点)を打つ。ilanrimbá は ilána(灯)と rimbá(数)を合わせた複合語で、軽性である。

    ésa rúsil vel álmarei.

    読み:エーサ ルーシル ヴェル アルマレイ。

    és-arúsilvelálmar-ei.
    いる-<(軽いものが)>赤月<主格>日の入り側白月-<与格>

    「赤月は白月の日の入り側にある。」

    夜空での月の位置関係を述べる文。月は星ではないので数えてもよいが、指ささずに方向語で言い表すのが礼儀とされる。rúsil は軽性なので、繋辞は és-a になる。

    na ésa aldár áuren anlúinei.

    読み:ナ エーサ アルダール アウレン アンルーイネイ。

    naés-aaldáráur-enanlúin-ei.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>座<主格>昇る-<〜した・〜された>昔-<与格>

    「昔は、高き座はなかった。」

    統一より前の時代を語る、書物や語りの文。「昔に」のように時を言うときは与格 anlúinei を使う。否定の na は動詞の直前に置く。aldár áuren は「高き座」で、分詞 áuren は軽性・単数・主格に一致しているので語尾がつかない。

    ésa endríña sé nél tráimelar.

    読み:エーサ エンドリーニャ セー ネール トライメラル。

    és-aendríñasénéltráimel-ar.
    いる-<(軽いものが)>子ども<主格>この<軽性>七年齢・年数-<〜らの>

    「この子は七つだ。」

    年齢は「数詞+tráimel の複数属格」で、「何年の(者)」として言う。目上の人は数で数えるのが失礼とされるので、この言い方はおもに子どもや目下の者、家畜などに使う。

    ésa dalorár sal þrénuls, na ésa du þrénuls.

    読み:エーサ ダロラール サル スレーヌルス、ナ エーサ ドゥ スレーヌルス。

    és-adalorársalþrén-uls,naés-aduþrén-uls.
    いる-<(軽いものが)>下の国の者<主格>〜の枠の外に段-<〜らに><〜ない>いる-<(軽いものが)>下手段-<〜らに>

    「下の国の者は段の外にいるのであって、段の下にいるのではない。」

    宮廷の礼法家がよく口にする言い方。干潟の人は身分が低いのではなく、「階段に乗っていない」と考えられていることを、sal「〜の外に」と du「〜の下手に」を並べて対比している。þrén「段」は重性なので、複数与格は -uls になる。人を指す dalorár は軽性で受ける。

    ké éso orén trúin? éso trúin.

    読み:ケー エーソ オレーン トルーイン?エーソ トルーイン。

    kéés-ooréntrúin?és-otrúin.
    <〜か>いる-<(重いものが)>縁<主格>近いいる-<(重いものが)>近い

    「「縁は近いか。」「近い。」」

    二人のやりとりで、道を尋ねる日常の問いと答え。orén は重性なので、繋辞は -o をとり、述語の trúin も重性・主格の形(語尾なし)になる。高原語には「はい」がなく、答えるときは動詞と述語をくり返す。

    lúin éso nébro trúin, mé hál þelán!

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ トルーイン、メー ハール セラーン!

    lúinés-onébrotrúin,méhálþel-án!
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格>近い<禁止・願いの打ち消し>呼ぶ<命令法><あなたが>名前-<対格>

    「霧が近いときは、名前を呼ぶな。」

    親が子に言い聞かせる、禁忌の言い方。霧の中で名を呼ぶと下の国に聞かれる、という信仰による。nébro「霧」は重性なので、繋辞は éiso になる。禁止は「mé+命令法」で言う。

    na sénimor dálor, éso lóuvan.

    読み:ナ セーニモル ダーロル、エーソ ローヴァン。

    nasén-imordálor,és-olóuvan.
    <〜ない>見る-<我々が>下の国<対格>いる-<(重いものが)>遠い

    「下の国は我々には見えない。遠いのだ。」

    縁の肩で崖下を見下ろしながら言う文。後半は主語を言っていないが、動詞の重性の語尾 -o から、主語は dálor だとわかる。重性の dálor は、主格も対格も同じ形になる。

    éso nebrálvo trúin, lísir sáindarais.

    読み:エーソ ネブラルヴォ トルーイン、リーシル サインダライス。

    és-onebrálvotrúin,lís-irsáindar-ais.
    いる-<(重いものが)>霧期<主格>近しい書く-<皆で〜せよ>証文-<〜たちを>

    「霧期が近い。証文を書いておけ。」

    縁の市で、乾風期の終わりに商人たちが言い合う文。trúin は時間の近さを表す。nebrálvo は重性o語幹なので、繋辞は -o になる。霧の約束は重んじられないので、霧期の前に証文を済ませておけ、という含みがある。

    na tóro nébro, éso nebrálvo lóuvan.

    読み:ナ トーロ ネーブロ、エーソ ネブラルヴォ ローヴァン。

    natór-onébro,és-onebrálvolóuvan.
    <〜ない>来る-<(重いものが)>霧<主格>いる-<(重いものが)>霧期<主格>隔たった

    「霧は来ない。霧期はまだ遠い。」

    乾風期の縁の肩での会話。lóuvan は時間の隔たりを表す。nébro と nebrálvo は下から湧く霧にかかわる語なので重性で、動詞も重性の -o をとる。

    ésa nóra sé klér, élþa elþá.

    読み:エーサ ノーラ セー クレール、エルサ エルサー。

    és-anóraséklér,élþ-aelþá.
    いる-<(軽いものが)>夜<主格>この<軽性>冷たい燃える-<(軽いものが)>火<主格>

    「今夜は冷える。火が燃えている。」

    凍りの頃の家の中の会話。nóra sé「この夜」で「今夜」を表す。指示詞は軽性の sé で、格では変化しない。述語の形容詞 klér は主語の nóra に一致する。

    ésa nóra, áura ilanár an dún.

    読み:エーサ ノーラ、アウラ イラナール アン ドゥーン。

    és-anóra,áur-ailanárandún.
    いる-<(軽いものが)>夜分<主格>昇る-<(軽いものが)>星読み<主格>上手丘<対格>

    「夜分となり、星読みが丘の上へ昇った。」

    年代記に見られる、直説法の短い文を並べた記事の書きぶり。時制がないので、文脈から過去と読む。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格は主格と同じ形になる。

    tóro nebrálvo. ké éso gleinó tásei?

    読み:トーロ ネブラルヴォ。ケー エーソ グレイノー ターセイ?

    tór-onebrálvo.kéés-ogleinótás-ei?
    来る-<(重いものが)>霧期<主格><〜か>いる-<(重いものが)>護符<主格><あなた>-<与格>

    「霧期が来る。お前、護符は持っているか?」

    家族や親しい者どうしの日常会話。nebrálvo は重性なので、動詞は重性の -o(tóro)で一致する。季節名のうち、重性の一致をとるのはこの語だけである。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 gleinó(重性)に一致する。

    na ésa álva sáindares selúin.

    読み:ナ エーサ アルヴァ サインダレス セルーイン。

    naés-aálvasáindar-esselúin
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>時節<主格>証文-<属格>今

    「今は証文を交わす時節ではない。」

    「〜の時節」は álva の後ろに属格を置いて言う。霧が近づいたころ、取引の約束を断るときに使う。霧の中で結んだ約束は重んじられないからである。存在の文なので és- が先頭に来て、否定の na はその直前に置く。

    lúin ésa reinálva, na dúlan faronárai du dálor.

    読み:ルーイン エーサ レイナルヴァ、ナ ドゥーラン ファロナーライ ドゥ ダーロル。

    lúinés-areinálva,nadúl-anfaron-ár-aidudálor
    ときいる-<(軽いものが)>雨期<主格><〜ない>下る-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>下手下の国<対格>

    「雨期のあいだは、運び人は下の国へ下りない。」

    雨期には崖道が滑りやすく、閉じられることを述べた文。「雨期である間」は lúin+és- で言う。否定の na は動詞の直前に置く。faronár は「荷」に行為者の -ár をつけた語で、軽性なので複数主格は -ai になる。

    lúin ésa kailálva, dulíþan kelárai gandér du dálor.

    読み:ルーイン エーサ カイラルヴァ、ドゥリーサン ケラーライ ガンデール ドゥ ダーロル。

    lúinés-akailálva,dul-íþ-ankel-ár-aigandérdudálor
    ときいる-<(軽いものが)>乾風期<主格>下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>下手下の国<対格>

    「乾風期のあいだ、樵たちは硬木を下の国へ下ろす。」

    乾風期が硬木の伐り出しと吊り下ろしの季節であることを述べた文。gandér と dálor は重性なので、主格と対格が同じ形になる。使役の -íþ- は、後ろに強勢をもつ接辞がないので、自分で強勢をとる。

    lúin éso nebrálvo, mé lisésa sáindaran.

    読み:ルーイン エーソ ネブラルヴォ、メー リセーサ サインダラン。

    lúinés-onebrálvo,mélis-és-asáindar-an
    ときいる-<(重いものが)>霧期<主格><禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>証文-<対格>

    「霧期のあいだは、証文を書かぬこと。」

    市の決まりや法典の文体。nebrálvo は霧と同じく重性o語幹なので、「霧期である間」の és- は重性の -o(éso)をとる。主節は当為法なので mé で否定する。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形 lisésa をとる。

    nagróm. éso fáron fláin.

    読み:ナグローン。エーソ ファーロン フライン。

    nagróm.és-ofáronfláin.
    どういたしましている-<(重いものが)>荷<主格>軽い

    「どういたしまして。荷は軽かったよ。」

    荷を担いでもらった礼への返事。「重くない」の nagróm に「荷は軽い」と重ねて、相手の気づかいを打ち消している。荷 fáron は重性なので、繋辞は -o、述語の形容詞 fláin は重性・主格の形(語尾なし)になる。

    faronér fáron só, ende. nés, éso ó gróm.

    読み:ファロネール ファーロン ソー、エンデ。ネース、エーソ オー グローン。

    faronérfáronsó,ende.nés,és-oógróm.
    担ぐ<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>どうぞいや・だめだいる-<(重いものが)><3人称単数・重性>重い

    「「この荷を担いでくれ、頼む。」「いや、そいつは重い。」」

    縁の市で、運び人が荷の担ぎを断るやりとり。nés は市の取引言葉の短い断りの返事で、都の改まった言葉では使わない。断ったあとに理由を添えることが多い。繋辞の文は「éis-+主語+述語」の順で、重性の代名詞 ó を受けて動詞は -o、形容詞 gróm も重性・主格の形になる。

    ké éso sáko tásei? nés.

    読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?ネース。

    kéés-osákotás-ei?nés.
    <〜か>いる-<(重いものが)>塩<主格><あなた>-<与格>ない(品切れ)

    「「塩はあるか?」「ない。」」

    市で品物の有無を尋ねられて、品切れだと答える言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。改まった言葉なら na éiso と動詞を繰り返して答えるところを、取引言葉では nés の一語ですませる。sáko は干潟から借りた語で重性。

    ésa lisím sélvanes gléin. vérin.

    読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。ヴェーリン。

    és-alis-ímsélvan-esgléin.vérin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>セルヴァン-<属格>清いそのとおり

    「「セルヴァンの書法は清い。」「そのとおりだ。」」

    相手の評言を正しいと認める返事。高原語には「はい」がなく、問いには動詞を繰り返して答えるが、言い切りの文に同意するときは vérin を使う。lisím「書法」は lísim「私が書く」と強勢の位置だけで区別される。

    hóu! ké éses? na sénim tásan.

    読み:ホー!ケー エーセス?ナ セーニン ターサン。

    hóu!kéés-es?nasén-imtás-an.
    おい<〜か>いる-<あなたが><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「おい!いるのか?お前が見えない。」

    霧期に、名前を呼ぶかわりに hóu で相手の注意を引く言い方。霧の中で名前を呼ぶと名前の主が下の国に引かれるとされるので、名前のかわりにこの声を使う。はい・いいえの問いは文のいちばん前の ké で作る。

    ké ésa lisár? dómim.

    読み:ケー エーサ リサール?ドーミン。

    kéés-alis-ár?dómim.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>はい、ここに

    「「書記はいるか?」「はい、ここに。」」

    二人の発話。目上の者が人を探して呼んだとき、呼ばれた本人がそばに控えていることを示す返事。「はい」にあたる語がない高原語で、呼びかけへの返事として固まった形。目上の者が書記を3人称で尋ねても、本人は1人称の dómim で答える。

    ésa lisá sé gléin.

    読み:エーサ リサー セー グレーン。

    és-alisáségléin.
    いる-<(軽いものが)>字<主格>この<軽性>清い

    「この字は清い(美しく整っている)。」

    字の美しさをほめる言い方。繋辞 és- を文頭に置き、「és-–主語–述語」の順にする。字 lisá は言葉を載せて昇るものなので軽性で、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。

    ésa lisá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リサー サインダレス セー グレーン。

    és-alisásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の文面は清い(書き換えの跡がない)。」

    lisá は「字」から転じて、書かれた文面全体を指すことがある。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」。gléin「清い」は、文面について言うと、改ざんがなく正しいという含みになる。

    selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。

    selván-aau-sen-árréés-alisásáindar-esgléin.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>清い

    「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」

    縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。

    ésa traimlisá lísen lisárar.

    読み:エーサ トラインリサー リーセン リサーラル。

    és-atraimlisálís-enlis-ár-ar.
    いる-<(軽いものが)>年代記<主格>書く-<〜した・〜された>書く-<〜する人>-<〜らの>

    「年代記は書記たちの手で書かれている。」

    受け身にあたる「és-+主語+分詞」の文で、分詞の後ろの属格が「〜によって」を表す。traimlisá は紙に書かれるので軽性で、分詞 lísen は軽性・単数・主格の形(語尾なし)になる。ふつうは、書の司が書き継ぐ王国の年代記を指す。

    ésa traimlisá áuren an sóndelail.

    読み:エーサ トラインリサー アウレン アン ソンデライル。

    és-atraimlisááur-enansóndel-ail.
    いる-<(軽いものが)>年代記<主格>昇る-<〜した・〜された>上手書物-<〜らに>

    「年代記はあらゆる書物の中でいちばん尊い。」

    「いちばん〜」は「an+同じ仲間の複数与格」で言う(直訳は「書物たちの上手に高い」)。書かれた言葉を重んじる王国で、年代記が書物の頂に置かれていることを表す。

    ésa traimlisá véinoros trúum.

    読み:エーサ トラインリサー ヴェーノロス トルーン。

    és-atraimlisávéinor-ostrúum.
    いる-<(軽いものが)>年ごとの記録<主格>湖-<属格>古びた

    「湖畔の年ごとの記録は古びている。」

    統一より前に湖畔の都市が残した年ごとの記録を指す用法。こうした記録の断片をつなぎ合わせたものが「前の書」になる。名詞句は「名詞–属格」の順に並び、述語の形容詞 trúum は軽性・主格の形をとる。

    selvána rainiþár ré ésa traimlisá sé fóndel.

    読み:セルヴァーナ ライニサール レー エーサ トラインリサー セー フォンデル。

    selván-arainiþ-árréés-atraimlisáséfóndel.
    おっしゃる-<(軽いものが)>教える-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>年ごとの記録<主格>この<軽性>古い

    「この年ごとの記録は由緒あるものだと、師はおっしゃる。」

    学び舎での言い方。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、trúum「古びた」とは含みが違う。師を高めて「言う」の尊敬の補充形 selván- を使っている。

    ésa endríña sé kloimár némes.

    読み:エーサ エンドリーニャ セー クロイマール ネーメス。

    és-aendríñasékloimárném-es
    いる-<(軽いものが)>子ども<主格>この<軽性>弟子<主格><私>-<属格>

    「この子は私の弟子だ。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 éis- を文頭に置き、主語・述語の順に並べる。指示詞 sé は主語の名詞句の終わりを示す。述語の kloimár は主語と同じく主格になる。

    pó ésa virnourá virés?

    読み:ポー エーサ ヴィルノウラー ヴィレース?

    póés-avirnourávir-és
    何<主格>いる-<(軽いものが)>意味<主格>言葉-<属格>

    「その言葉の意味は何か。」

    知らない語に出会ったときの、日常のくだけた問い。疑問詞 pó は文頭に出る。繋辞は主語 virnourá(軽性)に一致して ésa になる。目上の人にはこの形を使わず、推量法で尋ねる。

    na ésa virnourá viréi sé.

    読み:ナ エーサ ヴィルノウラー ヴィレー セー。

    naés-avirnourávir-éisé
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>意味<主格>言葉-<与格>この<軽性>

    「この言葉には意味がない。」

    所有は「持つ」という動詞ではなく、「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物 virnourá(軽性)に一致する。否定の na は動詞の直前に置く。

    selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.

    読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。

    selván-aaurélréés-amélnaségléin
    おっしゃる-<(軽いものが)>あの方<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>詩<主格>この<軽性>清い

    「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」

    目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。

    ké ésa virnourá viréi sé?

    読み:ケー エーサ ヴィルノウラー ヴィレー セー?

    kéés-avirnourávir-éisé
    <〜か>いる-<(軽いものが)>含み<主格>言葉-<与格>この<軽性>

    「この言葉に含みはあるか。」

    詩合わせなどで、目上の者が目下の者を試すときの問い。はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。所有の文で、動詞は持ち主の viréi(与格)ではなく、持たれている virnourá(軽性)に一致して ésa になる。答えるときは動詞を繰り返して ésa(ある)か na ésa(ない)と言い、人称は変えない。virá は語尾に強勢のある軽性a語幹の名詞で、与格は -éi になる。

    na ésa aurlisím sáindarei sé, kloimár.

    読み:ナ エーサ アウルリシーン サインダレイ セー、クロイマール。

    naés-aaurlisímsáindar-eisé,kloim-ár.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>上げ書き<主格>証文-<与格>この<軽性>学ぶ-<〜する人>

    「弟子よ、この証文には上げ書きがないぞ。」

    学び舎で師が弟子の書いたものを直すときの言い方。存在文は「いる+主語+場所の与格」の形をとり、動詞は主語の aurlisím(軽性)に一致する。sáindar は軽性の子音語幹なので、与格は -ei になる。呼びかけの kloimár は呼格にしない。文末に読点で区切って添える。

    ésa fírna tásei, lís þelán táses.

    読み:エーサ フィルナ ターセイ、リース セラーン ターセス。

    és-afírnatás-ei,lísþel-ántás-es.
    いる-<(軽いものが)>筆<主格><あなた>-<与格>書く<命令法><あなたが>名前-<対格><あなた>-<属格>

    「筆はあるだろう、自分の名を書いてごらん。」

    師や親が子どもに字を習わせるときの、下向きの言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく、持たれている fírna(軽性)に一致する。命令法の2人称単数は語幹そのまま(lís)。二つの節を接続詞なしで並べるので、あいだを読点で区切る。

    na ésa fírna némei.

    読み:ナ エーサ フィルナ ネーメイ。

    naés-afírnaném-ei.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>筆<主格><私>-<与格>

    「私には筆がない。」

    所有の否定。「持つ」という動詞はなく、「ない」は na+存在の動詞+持ち主の与格で言う。動詞は持たれている物 fírna に一致して、軽性の -a をとる。

    ésa fírna sélvanes séuril.

    読み:エーサ フィルナ セルヴァネス セウリル。

    és-afírnasélvan-esséuril.
    いる-<(軽いものが)>書きぶり<主格>セルヴァン-<属格>美しい

    「セルヴァンの書きぶりは美しい。」

    人の字や文をほめるときの言い方。「AはBだ」の文も動詞 éis- が先頭に来て、「éis-+主語+述語」の順になる。述語の形容詞 séuril は軽性・単数・主格なので、語尾がつかない。書きぶりは身分と教養を測るものとされるので、この一言は高いほめ言葉になる。

    na ésa fírna dunémes séuril, mé augruunénde aurél.

    読み:ナ エーサ フィルナ ドゥネーメス セウリル、メー アウグルーネンデ アウレール。

    naés-afírnaduném-esséuril,méau-gruun-énd-eaurél.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>書きぶり<主格>手前-<属格>美しい<禁止・願いの打ち消し><お〜になる・御〜>-怒る-<〜しますように>-<(軽いものが)>あの方

    「手前の書きぶりは拙うございますが、どうかお気を悪くなさいませぬよう。」

    目上の人へ送る手紙の結びの決まり文句。前半では自分の書きぶりをへりくだる。後半は上向きの話し方なので2人称を使わず、相手を aurél「あの方」と3人称で言い、動詞に尊敬の au- をつける。禁止の mé は願望法と組み、強勢は願望法の -énd- に移る。

    lúin éso nébro, na ésa lourlisá trálen.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ エーサ ロウルリサー トラーレン。

    lúinés-onébro,naés-alourlisátrál-en.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>いる-<(軽いものが)>系譜の巻<主格>写す-<〜した・〜された>

    「霧の出ているあいだは、系譜の巻を写さない。」

    霧期の書きものの慣わしを言う文。霧の中で書いた字は、墨がにじんで下へ流れるとされる。lúin の節では、動詞が重性の霧 nébro に一致して -o をとる。主節は「éis-+主語+分詞」で結果の状態を言う、受け身にあたる形で、na で否定している。

    na éso ó ombríl, ésa virá rúgal.

    読み:ナ エーソ オー オンブリール、エーサ ヴィラー ルーガル。

    naés-oóombríl,és-avirárúgal.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>それ<重性>十拍の句<主格>いる-<(軽いものが)>言葉<主格>粗い

    「それは十拍の句ではない。粗い言葉だ。」

    詩合わせで、拍の数や重さの並びが定型から外れた句を退けるときの言い方。読み上げられた句を重性の代名詞 ó で受け、繋辞も重性の éso にしている。後半の virá は軽性なので、繋辞は ésa になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りを入れる。

    ésa pandá tilárei.

    読み:エーサ パンダー ティラーレイ。

    és-apandátil-ár-ei.
    いる-<(軽いものが)>版木<主格>彫る-<〜する人>-<与格>

    「彫り師には版木がある。」

    所有を「ある+持ち主の与格」で言う文。tilár「彫り師」は tíl-「彫る」に -ár「〜する人」がついた語。pandá は版の木から作るので、伐ったあとも軽性のまま。そのため繋辞は軽性の ésa になる。

    na ésa pandá brólen es gandéros.

    読み:ナ エーサ パンダー ブローレン エス ガンデーロス。

    naés-apandábról-enesgandér-os.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>版木<主格>作る-<〜した・〜された>から硬木-<属格>

    「版木は硬木では作られない。」

    硬木は「下へ行きたがる木」なので、上へ昇る言葉を刻む版には使わない、という禁忌を述べた文。受け身は「és-+主語+分詞」で言う。es+属格は、材料の出どころを表す。na は動詞の直前に置く。

    éso kéumo dúnos fóndel.

    読み:エーソ ケウモ ドゥーノス フォンデル。

    és-okéumodún-osfóndel.
    いる-<(重いものが)>碑<主格>丘-<属格>古い

    「丘の碑は由緒あるものだ。」

    王の丘の統一の碑のような、古い碑について述べた文。「AはBだ」の文も、繋辞 és- で始める。主語の kéumo が重性なので、繋辞は éso、述語の形容詞 fóndel は重性・単数・主格の形(語尾なし)になる。dúnos は「丘の」という属格。

    ésa rimblisá lísen sáindarei.

    読み:エーサ リンブリサー リーセン サインダレイ。

    és-arimblisálís-ensáindar-ei.
    いる-<(軽いものが)>数字<主格>書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「数字が証文に書いてある。」

    証文の数の欄について言う文。rimblisá は軽性a語幹なので、繋辞 és- は3人称単数・軽性の -a をとる。分詞 lísen は軽性・単数・主格なので一致の語尾がつかない。場所は前置詞なしの与格で表す。

    na ésa rimblisá sáindarei.

    読み:ナ エーサ リンブリサー サインダレイ。

    naés-arimblisásáindar-ei.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>数字<主格>証文-<与格>

    「証文には数字がない。」

    存在の否定。言い切りの文なので na で否定する。動詞は存在するもの rimblisá(軽性)に一致する。

    ésau rimblisá si freimvirá sáindarei.

    読み:エーサウ リンブリサー シ フレインヴィラー サインダレイ。

    és-aurimblisásifreimvirásáindar-ei.
    いる-<双数>数字<主格>と数字の念押し<主格>証文-<与格>

    「証文には数字と念押しが書いてある。」

    単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数になる。帳簿・証文では、数字と念押しの言い換えが二通りに並んで書かれる。

    ésa freimvirá ausenáres gléin.

    読み:エーサ フレインヴィラー アウセナーレス グレーン。

    és-afreimviráau-sen-ár-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>言い直し<主格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格>清い

    「目付殿の言い直しは、はっきりと聞き取れる。」

    繋辞 és- を先頭に置く「AはBだ」の文。目上の人の言葉なので、持ち主の役職名に au- をつけて属格にする。述語の gléin は軽性の主語に一致し、語尾がつかない。

    éso fáron senárei.

    読み:エーソ ファーロン セナーレイ。

    és-ofáronsen-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>見る-<〜する人>-<与格>

    「目付には荷がある。」

    所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 fáron(重性)に一致して -o をとる。

    ké ésa lisár?

    読み:ケー エーサ リサール?

    kéés-alis-ár?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>

    「書記はいるか?」

    はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前の ké で作る。目上の人について尋ねるなら、ké を使わずに推量法と aulisár を使う。

    ké éso só fírna? na éso. na éso só póin sal árnelei.

    読み:ケー エーソ ソー フィルナ?ナ エーソ。ナ エーソ ソー ポイン サル アルネレイ。

    kéés-osófírna?naés-o.naés-osópóinsalárnel-ei.
    <〜か>いる-<(重いものが)>この<重性>筆<〜ない>いる-<(重いものが)><〜ない>いる-<(重いものが)>この<重性>何か外木-<与格>

    「「これはペン(書く道具)ですか?」 「いいえ。これはただの木の棒です」」

    直訳は「これは筆か?」「(筆では)ない。これは木の外の何ものでもない」。辞書の語だけで訳せたので、仮置きの語はありません。既存の用例と照らし合わせましたが、食い違いは見つからなかったので、元の訳のまま返します。 1. 「ペン」:辞書の fírna(筆)を使いました。「書く道具」の意味にちょうど合います。 2. 「これ」:指示詞 só を単独で「これ」として使いました(定型句 póso「これは何だ」と同じ使い方)。重性の só にしたのは、指している物が伐った木の切れ端だからです。伐った木は荷札と同じく重性で受けます(既存の sén gandér só と同じ)。繋辞も só に合わせて重性の éso にしました。述語の fírna は軽性の名詞ですが、述語の名詞は自分の性・主格のまま置くので、形は変えていません(既存の na éso nébro fléura と同じ組み立て)。 3. 問いの形:目上かどうか分からない相手へのふつうの問いとして、文頭に ké を置きました(既存の ké éso fóndar só gléin? と同じ形)。目上の人に聞くなら、ké を使わず推量法で尋ねます。 4. 「いいえ」:高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がありません。そこで問いの動詞を繰り返して na をつけ、na éso としました。動詞は物に一致しているので、人称は変わりません(既存の「na éso tambór némei」と同じ)。 5. 「ただの木の棒」は言い換えました。「棒」にあたる語はないので、árnel(木・材木)で「木切れ」の意味にしました。「ただの」にあたる語もないので、na … póin sal árnelei「木の外の何ものでもない」と否定で言い換えました。前置詞 sal(〜の外に)がとる格は決まっていません。ほかの前置詞が「その場にあること」を与格で言うのにならって、与格にしました。 6. 性の決め方:árnel は生えている木と同じ軽性の子音語幹とみて、与格を -ei にしました。名詞の形は伐っても軽性のままで、一致だけが重性になります。póin(何か)は疑問詞 pó にならって重性とし、主語 só と同じく、繋辞は重性の éso にしました。

    ésa þailfírna fírna lisáres.

    読み:エーサ サイルフィルナ フィルナ リサーレス。

    és-aþailfírnafírnalis-ár-es.
    いる-<(軽いものが)>都の書体<主格>筆<主格>書く-<〜する人>-<属格>

    「都の書体は、書記の書きぶりだ。」

    名詞が述語の文(és- +主語+述語)。都の書体は、書記や宮廷の人の手紙の字として知られる。

    ésa faronár té murár.

    読み:エーサ ファロナール テー ムラール。

    és-afaron-ártémur-ár.
    いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人>あの<軽性>濁った-<〜する人>

    「あの運び人は間抜けだ。」

    本人のいない所での陰口。「és-+主語+述語の名詞」の文で、述語の murár は軽性の主格のまま置く。繋辞は主語の運び人(人なので軽性)に合わせて -a をとる。これを重性の éso で受けると、人を「泥の者」扱いすることになり、ずっと強い侮辱になる。指示詞 té の後ろに動詞が来ていないので、関係節の te とは紛れない。

    anórel, níla faronár té muró bróus, esós ésa él murár sórel.

    読み:アノーレル、ニーラ ファロナール テー ムロー ブロース、エソース エーサ エール ムラール ソーレル。

    anórel,níl-afaron-ártémuróbróus,esósés-aélmur-ársórel.
    昨日飲む-<(軽いものが)>荷-<〜する人>あの<軽性>濁り酒<対格>多いだからいる-<(軽いものが)><3人称単数・軽性>濁った-<〜する人>今日

    「昨日、あの運び人は濁り酒をしこたま飲んだ。だから今日のあいつは、まるで酔いどれだ。」

    崖道の宿などで交わす、くだけた噂話。muró「濁り酒」と murár の音が近いことを使った当てこすりで、ここでは「酔ってぼんやりしている者」の意味になる。時の語 anórel は場面の枠に置いて読点で区切る。esós「だから」は二つめの文の頭に置く。主語の代名詞 él をわざわざ言っているので、「あいつときたら」という強調の響きがある。

    éso aurbúl un hóumoi.

    読み:エーソ アウルブール ウン ホーモイ。

    és-oaurbúlunhóum-oi
    いる-<(重いものが)>薪<主格>内に炉-<与格>

    「炉に薪がある。」

    家庭の日常で、祀りや火起こしの準備として炉(hóum)の中に薪を備えていることを確認する文。存在文の標準形(és-+主語+前置詞+与格)。aurbúl は重性なので動詞は -o をとる。un+与格で「〜の中に」。fálno(世俗的な「薪」)ではなく aurbúl を使うのは、この炉の火が単なる暖房ではなく、息を天へ送るための火として扱われる場面であるから。

    éso fáron só kórvino só.

    読み:エーソ ファーロン ソー コルヴィノ ソー。

    és-ofáronsókórvinosó.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>受け入れられるべきもの<主格>この<重性>

    「この荷は、受け入れられるべきものだ。」

    比喩的用法。「運搬桶」が「倉に納めるべき品・運ぶべき責任」を指す。コピュラ文で述語の名詞は自分の性・主格のまま。fáron は重性なので指示詞 só。

    ké éso dulilmó un kórvoi?

    読み:ケー エーソ ドゥリルモー ウン コルヴォイ?

    kéés-odulilmóunkórv-oi?
    <〜か>いる-<(重いものが)>水汲み桶<主格>内に倉-<与格>?

    「倉の中に汲み桶はあるか。」

    存在の問い。動詞は持たれている物(汲み桶、重性)に一致して -o。un+与格で「〜の中で」。答えは éso(ある)または na éso(ない)で、人称は変わらない(所有・存在の動詞は物に一致するため)。

    un kórvoi, éso dulilmó klér.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ ドゥリルモー クレール。

    unkórv-oi,és-odulilmóklér.
    内に倉-<与格>,いる-<(重いものが)>水汲み桶<主格>冷たい

    「倉の中では、汲み桶が冷たい。」

    述語の形容詞の文(és-+主語+述語)。場所を動詞の前に出すと場面の枠として機能し、存在の文にはならない(統語論4.1)。動詞は主語の汲み桶(重性)に一致して -o。凍りの頃に井戸や谷の湧き水を汲んで倉に置いた桶が冷たい。

    éso houmíño aldáres áurenes món ál.

    読み:エーソ ホウミーニョ アルダーレス アウレネス モーン アール。

    és-ohoumíñoaldár-esáur-en-esmónál.
    いる-<(重いものが)>椀<主格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>石<主格>白い

    「高き座の椀は白い石(の器)である。」

    宮廷の器の記述。aldár áuren(高き座)の属格が椀の持ち主をなす。述語の名詞句 món ál は自分の性・主格のまま置かれ、主語に一致しない。白い石英(聖なる石)を素材とする王の器の記述。

    éso séulo tambóros só hóumoi.

    読み:エーソ セウロ タンボーロス ソー ホーモイ。

    és-oséulotambór-ossóhóum-oi.
    いる-<(重いものが)>配分<主格>雑穀-<属格>この<重性>炉-<与格>

    「この雑穀の配分は、炉の前にある。」

    炉ばたでの日常の場面。倉から与えられた雑穀の与え分が炉の前にある状態を示す。重性o語幹の séulo は主格と対格が同形。裸の与格で場所「炉のところに」を表す。

    éso fálno káil

    読み:エーソ ファルノ カイル

    és-ofálnokáil
    いる-<(重いものが)>薪<主格>乾いた

    「薪は乾いている。」

    冬支度の実用的な句。述語形容文で、重性主語 fálno に繋辞 éso が対応する。形容詞 káil は単数主格で無標識。

    éso houmbrúndo un kórvoi.

    読み:エーソ ホウンブルンド ウン コルヴォイ。

    és-ohoumbrúndounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>寄り合い<主格>内に倉-<与格>

    「「倉の中に、寄り合いがある。」」

    存在文。重性o語幹の単数主格は houmbrúndo そのまま。un+与格は「〜の中で」。

    glünlúin, éso duléumo frél

    読み:グリュンルーイン、エーソ ドゥレウモ フレール

    glünlúin,és-oduléumofrél
    凍りの頃いる-<(重いものが)>下の風<主格>寒い

    「凍りの頃は、下の風が寒い。」

    glünlúinは動詞の前に置かれる場面の枠。duléumoは重性語として重性の語形エソで受ける。frélは固体化や凍結の含みを持たず、冷気に触れる感覚を指す。

    éso gromó némes frél

    読み:エーソ グロモー ネーメス フレール

    és-ogromóném-esfrél
    いる-<(重いものが)>体<主格><私>-<属格>寒い

    「私の体は寒い。」

    gromóは重性の体。主語の名詞句はgromó némesで、属格は名詞の後ろに置く。述語のfrélは名詞句の後に置かれる。

    éso vríndo só gléin.

    読み:エーソ ヴリンド ソー グレーン。

    és-ovríndosógléin.
    いる-<(重いものが)>敷居<主格>この<重性>清い

    「この敷居は清い。」

    書物や儀礼の場向けの説明文。存在・繋辞の és- を動詞として動詞文に組み立てる。vríndo は主格で、重性o語幹では主格と対格が同形。述語の形容詞 gléin は主語 vríndo に一致するが、重性単数主格では語尾が現れない。

    éso houméro só némei.

    読み:エーソ ホウメーロ ソー ネーメイ。

    és-ohoumérosóném-ei.
    いる-<(重いものが)>袋<主格>この<重性><私>-<与格>

    「私にはこの袋がある。」

    日常会話の所有文。houméro は重性o語幹の単数で、主格と対格が同形。存在動詞 éso は、形態素としては és-o と分け、主語 houméro に一致して重性の語尾 -o をとる。持ち主は裸の与格で示す。

    ké éso kúulo fóum?

    読み:ケー エーソ クーロ フォーン?

    kéés-okúulofóum?
    <〜か>いる-<(重いものが)>鍋<主格>暖かい

    「「鍋は暖かいのか。」」

    日常会話での尋ね。主語 kúulo は重性o語幹なので、存在・描写の動詞 éso は3人称単数・重。形容詞 fóum は単数主格で無標。

    glünlúin, éso súm múl un hóumoi.

    読み:グリュンルーイン、エーソ スーン ムール ウン ホーモイ。

    glünlúin,és-osúmmúlunhóum-oi.
    凍りの頃,いる-<(重いものが)>煤<主格>厚い内炉-<与格>

    「凍りの頃には、炉の中に厚い煤がある。」

    季節の記録文。glünlúin は時の語として動詞の前に置き、読点で区切る。存在文の動詞 és- は主語 súm が重性なので3人称単数重性語尾 -o をとる。形容詞 múl も重性単数主格で無標。un hóumoi は前置詞 un と炉の与格。

    éso trélmo só, téir trélmul.

    読み:エーソ トレルモ ソー、テール トレルムル。

    és-otrélmosó,téirtrélm-ul.
    いる-<(重いものが)>棚<主格>この<重性>三棚-<〜たちが>

    「この棚は三段ある。」

    意味2。多段棚の高さとしての trélmo を数える例。主語 trélmo は単数、述語名詞 téir trélmul は複数主格。用例では主語に原形 trélmo を立てる。

    na veunkrúnim, na éso fáron némei.

    読み:ナ ヴェウンクルーニン、ナ エーソ ファーロン ネーメイ。

    naveunkrún-im,naés-ofáronném-ei.
    <〜ない>負担を負う-<私が><〜ない>いる-<(重いものが)>荷<主格><私>-<与格>

    「私は背負わない。私には荷がない。」

    改まった場での婉曲な断り。直説法の否定は動詞の直前に na を置く。すくめりの動作を伴い、「私には荷がない=背負うものではない」と距離を置く。

    éso nórlo só náum.

    読み:エーソ ノルロ ソー ナウン。

    és-onórlosónáum.
    いる-<(重いものが)>寝床<主格>この<重性>柔らかい

    「この寝床は柔らかい。」

    日常の判断文。主語の nórlo が重性なので、存在・繋辞 éso は -o。述語形容詞 náum は主語に一致し、重性・単数・主格では語尾がない。指示詞 só は名詞句を閉じる。

    éso unlóur þróvo fóum

    読み:エーソ ウンロール スローヴォ フォーン

    és-ounlóurþróvofóum
    いる-<(重いものが)>まだ熾火<主格>暖かい

    「熾火はまだ暖かい。」

    日常の会話文。存在・状態の文は「és-+主語+述語形容詞」の順。副詞 unlóur は動詞の直後に置く。熾火を重性o語幹名詞として扱い、動詞は3人称単数重性の -o をとる。

    éso louríño mór némei.

    読み:エーソ ロウリーニョ モール ネーメイ。

    és-olouríñomórném-ei.
    いる-<(重いものが)>皺<主格>深い<私>-DAT.

    「私には深い皺がある。」

    日常会話。存在文で、持ち主を裸の与格 némei で示す。対象 louríño は重性単数なので存在動詞は és-o。形容詞 mór は、この比喩では皺の深さを含む。

    funeléra lisár ré éso louríño rúndel ín an orénoi.

    読み:フネレーラ リサール レー エーソ ロウリーニョ ルンデル イーン アン オレーノイ。

    funelér-alis-árréés-olouríñorúndelínanorén-oi.
    書き留める-<(軽いものが)>書く-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>小瀬<主格>速い一上手縁-<与格>

    「書記は「縁の上手に速い小瀬がある」と書き留める。」

    書物・記録の場面。ré の後の引用節は存在文。存在文で an orénoi を場所として置くため、名詞句を不定の閉じ ín で閉じてから前置詞句を置く。この閉じがないと、形容詞のすぐ後ろの an+与格は比較として読まれる。形容詞 rúndel は名詞の後ろに置く。

    éso waró gróm

    読み:エーソ ワロー グローン

    és-owarógróm
    いる-<(重いものが)>水がめ<主格>重い

    「水がめは重い。」

    家庭で器の重さを言う日常文。waróは重性o語幹の名詞で、主語は重性単数。述語の形容詞grómは主語に一致し、重性主格の語尾はつかない。

    un kórvoi, éso unlóur vrúndo só húmel.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ ウンロール ヴルンド ソー フーメル。

    unkórv-oi,és-ounlóurvrúndosóhúmel.
    内倉-<与格>,いる-<(重いものが)>まだ束<主格>この<重性>湿った

    「倉の中では、この束はまだ湿っている。」

    場面の枠に前置詞句を置いた状態文。見出し語 vrúndo は単数主格のまま使う。

    ésa endríña sé þrúl.

    読み:エーサ エンドリーニャ セー スルール。

    és-aendríñaséþrúl
    いる-<(軽いものが)>子供<主格>この<軽性>騒がしい

    「この子はうるさい。」

    人が騒いでいるという、家庭内の日常的な悪口・注意。endríñaは人を指すので軽性、述語形容詞þrúlは軽性単数主格のまま無標になる。改まった場では使わない。

    ésa fénla glóur.

    読み:エーサ フェンラ グロール。

    és-afénlaglóur.
    いる-<(軽いものが)>枝<主格>緑

    「枝は緑だ。」

    存在・繋辞の文。fénla は生えている枝の基本義(sense 1)で、軽性。動詞 ésa と形容詞 glóur は軽性単数に一致する。glóur は「草木の緑」を指す色語で、形容詞的に述語になる。

    ésa kraselvá un lundéi.

    読み:エーサ クラセルヴァー ウン ルンデー。

    és-akraselváunlund-éi
    いる-<(軽いものが)>割れ息<主格>中に歌-<与格>

    「歌の中にしわがれ声がある。」

    炉ばたでの日常の存在文。un+与格で「〜の中に」。kraselvá は軽性名詞なので、動詞は3人称単数・軽性の és-a をとる。

    éso þúlo húmel

    読み:エーソ スーロ フーメル

    és-oþúlohúmel
    いる-<(重いものが)>鼻<主格>湿った

    「鼻は湿っている。」

    医の言葉や書物の地の文のような、状態を述べる文。動詞の後ろに裸の与格がないため存在文ではなく状態述語として読む。þúlo は重性なので存在・繋辞 éso は重性3単 -o をとる。改まった文書では婉曲表現に言い換えることがあるが、医の言葉では直接 þúlo を使う。

    éso tendándo véun.

    読み:エーソ テンダンド ヴェウン。

    és-otendándovéun.
    いる-<(重いものが)>織り機<主格>空

    「「織り機は空だ。」」

    機に布も経糸も掛かっていない状態を述べる文。形容詞 véun は重性単数では語尾を取らない。空の機という言い方は、織り手がいない・手が止まっているという家の様子を暗示する表現としても好まれる。

    un kórvoi, éso tendándo.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ テンダンド。

    unkórv-oi,és-otendándo.
    内に倉-<与格>いる-<(重いものが)>織る所<主格>

    「「倉の中に織る所がある。」」

    un kórv-oi は「倉の中で」。ここでは tendándo を機具そのものとしてではなく、機を据えた場所・織場として指す意味で使う。動詞 éso は主語 tendándo に合わせて重性の形になる。

    ésa fléura sé múl

    読み:エーサ フレウラ セー ムール

    és-afléurasémúl
    いる-<(軽いものが)>雲<主格>この<軽性>厚い

    「この雲は厚い。」

    天候を話す場面の文。fléura「雲」は軽性で、主格単数の指示詞 sé を受ける。指示詞の後の múl は名詞句外の述語形容詞で、軽性単数主格では無語尾。

    éso þúlno mónos klér.

    読み:エーソ スルノ モーノス クレール。

    és-oþúlnomón-osklér.
    いる-<(重いものが)>床<主格>石-<属格>冷たい

    「石の床は冷たい。」

    日常の会話。重性子音語幹 món の属格単数は mónos。名詞句では中心語 þúlno の後ろに属格を置いて「石の床」と言い表す。述語形容詞 klér は名詞句の後に置かれる。

    éso kórviño un kórvoi.

    読み:エーソ コルヴィニョ ウン コルヴォイ。

    és-okórviñounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>箱(小倉)<主格>内倉-<与格>

    「箱が倉の中にある。」

    所在表現。存在文で所在を un+与格で示す。

    éso bélo krém

    読み:エーソ ベーロ クレーン

    és-obélokrém
    いる-<(重いものが)>腹<主格>痛い

    「腹は痛い。」

    書物や記録で身体状態を記すような、存在動詞を添えた陳述。くだけた場では動詞を立てない bélo krém になる。腹の痛みは空腹を含む。

    ké éso krénmo tásei?

    読み:ケー エーソ クレンモ ターセイ?

    kéés-okrénmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>環<主格><あなた>-<与格>

    「あなたに環はあるか。」

    日常の尋ね。所有や存在は「ある」+持ち主の与格で表す。krénmo は重性o語幹で、主格と対格が同形。éso は主語 krénmo に一致して重性単数の語尾 -o。

    éso món þrúnen.

    読み:エーソ モーン スルーネン。

    és-omónþrún-en.
    いる-<(重いものが)>石<主格>表面を整える-<〜した・〜された>

    「石は表面を整えられて平らになっている。」

    仕上げの結果状態。存在+分詞で受け身に相当する。主語 món は重性なので、分詞 þrúnen に主格接語はつかない。

    éso dulíño némes múl

    読み:エーソ ドゥリーニョ ネーメス ムール

    és-odulíñoném-esmúl
    いる-<(重いものが)>ひげ<主格><私>-<属格>厚い

    「私のひげは厚い」

    顔の毛の直接呼称 dulsóila に対して、下へ流れ落ちる水のイメージを持つ婉曲呼称。存在・繋辞 éso は重性の主語に一致する。持ち主は属格 némes で表す。述語形容詞 múl は主語の重性単数に一致し、主格では無語尾。日常会話や書簡で、自分のひげを述べる場面に使える。

    ésa senlíra gléin.

    読み:エーサ センリーラ グレーン。

    és-asenlíragléin.
    いる-<(軽いものが)>視線<主格>清い

    「視線は清い。」

    名詞を主語に置き、状態を表す例。軽性a語幹名詞として、主格の発音形そのまま使う。

    ésa senlíra tánen.

    読み:エーサ センリーラ ターネン。

    és-asenlíratán-en.
    いる-<(軽いものが)>視線<主格>張る-<〜した・〜された>

    「視線は張りつめている。」

    視線を糸のように張った状態として表す言い方。存在の文と状態分詞で受ける。

    éso préndo snóil.

    読み:エーソ プレンド スノイル。

    és-opréndosnóil.
    いる-<(重いものが)>路地<主格>狭い

    「路地は狭い。」

    描写の場面。繋辞 éso は主語の重性と一致する。形容詞 snóil は名詞の後に置かれ、重性単数主格では接辞を添えない。

    ké éso grél táses klér?

    読み:ケー エーソ グレール ターセス クレール?

    kéés-ogréltás-esklér?
    <〜か>いる-<(重いものが)>のど<主格><あなた>-<属格>冷たい

    「あなたののどは冷たいですか。」

    日常会話で身体の状態を尋ねる文。grél は身体部位としては重性の名詞とみなす。所有は名詞に属格 tás-es を後置する。述語形容詞 klér は重性単数の主格で無標識。

    ésa kréla hóumos mór.

    読み:エーサ クレーラ ホーモス モール。

    és-akrélahóum-osmór.
    いる-<(軽いものが)>向かい<主格>炉-<属格>広い

    「炉の向かいは広い。」

    kréla を主語に使う名詞用法。軽性名詞なので状態の動詞は -a。参照点の炉の属格 hóumos は中心名詞 kréla の後ろに置く。mór は空間について「広い」の意味に使う。

    éso vól sálen.

    読み:エーソ ヴォール サーレン。

    és-ovólsál-en
    いる-<(重いものが)>地面<主格>ならす-<〜した・〜された>

    「地面は平らだ。」

    述語形容文。繋辞 és- を文頭に置き、主語 vól の述語として sálen を後に置く。主語が重性なので、繋辞は3人称単数・重性の語尾 -o をとる。

    ésa sélnar sé fóum.

    読み:エーサ セルナル セー フォーン。

    és-asélnarséfóum.
    いる-<(軽いものが)>宿<主格>この<軽性>暖かい

    「この宿は暖かい。」

    日常会話。軽性名詞sélnarを主語にとる述語形容詞文。指示詞séは名詞句の終わりに置かれる。

    ésa kráun snálen.

    読み:エーサ クラウン スナーレン。

    és-akráunsnál-en
    いる-<(軽いものが)>首開き<主格>閉じる-<〜した・〜された>

    「「首開きは閉じている」」

    kráunを意味2「首開き・えりぐり」として使う。軽性子音語幹なので存在動詞は3人称単数軽é-sa。結果の状態分詞snálenも軽性単数無標。

    ké éso þám tásei?

    読み:ケー エーソ サーン ターセイ?

    kéés-oþámtás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>釘<主格><あなた>-<与格>

    「釘はあるか。」

    日常の所有の問い。þám は重性名詞なので存在動詞は3単重性 éso になる。所有は「持つ」という動詞ではなく、被所有物の存在と持ち主の与格で表す。目上には ké を使わない。

    ké ésa anrása té fóndel?

    読み:ケー エーサ アンラーサ テー フォンデル?

    kéés-aanrásatéfóndel?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>上着<主格>あの古い

    「その上着は由緒ある古いものか。」

    書物・家系・古着市のように、衣服の由来を確かめる場面。疑問の小辞 ké を文頭に置き、述語形容詞 fóndel には軽性単数主格の語尾がつかない。

    hoinénde, faronár! éso bóral fóum.

    読み:ホイネンデ、ファロナール!エーソ ボーラル フォーン。

    hoin-énd-e,faronár!és-obóralfóum.
    帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>,運び人<主格>!いる-<(重いものが)>家<主格>暖かい

    「「おかえり、運び人。家は暖かい。」」

    遠役や崖道から帰った運び人を出迎える場面。hoinénde のあとに、戻った者の居場所としての家が今も暖かいことを述べる。bóral は重性なので存在動詞は éso。形容詞は主格無標で名詞に後置する。

    éso kranó maranlóuros krán.

    読み:エーソ クラノー マランローロス クラーン。

    és-okranómaranlóur-oskrán.
    いる-<(重いものが)>爪<主格>親指-<属格>硬い

    「親指の爪は硬い。」

    身体描写・書物的な文。名詞句は「名詞+属格」の順で、kranó maranlóuros「親指の爪」とする。maranlóurは重性の単数属格maranlóurosとなる。

    éso kranó krán.

    読み:エーソ クラノー クラーン。

    és-okranókrán
    いる-<(重いものが)>爪<主格>硬い

    「爪が硬い。」

    身体の状態を述べる日常の叙述。存在・繋辞ésoが文頭。主語kranóが重性o語幹なので、動詞は3人称単数・重性-o。形容詞kránは重性単数主格で無標。

    ké éso ráuvo glóur?

    読み:ケー エーソ ラウヴォ グロール?

    kéés-oráuvoglóur?
    <〜か>いる-<(重いものが)>森<主格>緑

    「森は緑か。」

    日常の会話文。疑問は文頭の ké で作る。繋辞 éso は主語 ráuvo が重性・単数なので -o をとる。述語形容詞 glóur は主語の性・数・格に一致し、重性・単数・主格では無標で現れる。この文では、森の通常の緑色を尋ねる意味で使われている。

    sórel, éso ráuvo glóur.

    読み:ソーレル、エーソ ラウヴォ グロール。

    sórel,és-oráuvoglóur.
    今日,いる-<(重いものが)>森<主格>緑

    「今日は、森は緑だ。」

    書物や年代記のような簡潔な記述。時詞 sórel を動詞の前に置いた場面の枠。主文は繋辞 éso に主語 ráuvo、述語形容詞 glóur が続く。glóur はここでは、葉や樹冠がもつ色としての緑を述べる。

    ésa píma sé þáun.

    読み:エーサ ピーマ セー サウン。

    és-apímaséþáun.
    いる-<(軽いものが)>紙<主格>この<軽性>薄い

    「この紙は薄い。」

    日常の帳場・道具の場面。píma は軽性の名詞なので、存在・繋辞の動詞は軽性の語尾 -a を受ける。指示詞 sé は名詞 píma に性で対応して名詞句の終わりに置かれ、形容詞 þáun は主語に一致して述語となる。

    ké ésa ín píma un kórvoi?

    読み:ケー エーサ イーン ピーマ ウン コルヴォイ?

    kéés-aínpímaunkórv-oi?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>一紙<主格>内に倉-<与格>

    「倉に紙が一枚あるか。」

    倉・帳場での確認の文。意味2「数える対象としての紙一片」を、単位として数える。紙一枚は「ínn píma」と表し、主語は軽性なので存在動詞はéさ。un kórv-oi「倉の中で」。

    ésa virá éles snáum

    読み:エーサ ヴィラー エーレス スナウン

    és-aviráél-essnáum
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格><3人称単数・軽性>-<属格>取るに足らぬ

    「彼の言葉は取るに足らぬ。」

    日常会話での貶め。主語節は virá éles の語順で、属格 éles は él の属格。述語の snáum は virá(軽性単数主格)に一致し、無標で済む。

    éso fáron só navánden

    読み:エーソ ファーロン ソー ナヴァンデン

    és-ofáronsóna-vánd-en
    いる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性><〜ない>-量る-<〜した・〜された>

    「この荷は取るに足らぬ。」

    縁の市で品物を値踏みする日常の場面。形容詞は主語の重性単数主格と一致し、語尾を添えない。実際の品物に直接向けると切り捨てが強い。

    ésa virá némes navánden

    読み:エーサ ヴィラー ネーメス ナヴァンデン

    és-aviráném-esna-vánd-en
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格><私>-<属格><〜ない>-量る-<〜した・〜された>

    「私の言葉は取るに足らぬ。」

    礼の場や会釈の場で、自分の申し述べをへりくだる言い方。virá は軽性a語幹の単数主格。形容詞は主語に一致して無標識。

    éso króndel só gróm.

    読み:エーソ クロンデル ソー グローン。

    és-okróndelsógróm
    いる-<(重いものが)>石の定め<主格>この<重性>重い

    「この石の定めの効力はこの場で重い。」

    日常の縁や倉で、石を据えて立てた場規則の効力を口に出す言い方。króndel は石そのものを規則の本体とみなす語として重性子音語幹。指示詞 só は重性単数で名詞句を閉じ、gróm はその外で述語形容詞として主語に一致する。

    ké éso brinó símbos?

    読み:ケー エーソ ブリノー シンボス?

    kéés-obrinósímb-os?
    <〜か>いる-<(重いものが)>摩耗<主格>印-<属格>

    「印の摩耗があるか。」

    帳簿・荷札・目印などの刻み・印が摩耗して薄れるかどうかを問う、市や帳場での言い方。ké を文頭に置いてはい・いいえの問いを作る。

    éso brinó kráunes.

    読み:エーソ ブリノー クラウネス。

    és-obrinókráun-es.
    いる-<(重いものが)>風化<主格>露岩-<属格>

    「露岩の風化がある。」

    自然の露岩や切り石について、状態を述べる日常・記録の言い方。存在文で、重性o語幹名詞 brinó を主語にとる。kráun は軽性子音語幹で、単数属格は -es。

    éso dreumó só gróm

    読み:エーソ ドレウモー ソー グローン

    és-odreumósógróm
    いる-<(重いものが)>炭<主格>この<重性>重い

    「この炭は重い(上質の黒炭だ)。」

    日常で質を評するときの文。存在・繋辞の és- が3人称単数・重性の -o を取り、主語 dreumó に合わせる。dreumó só は「この炭」。形容詞 gróm は動詞句の述語として働き、重性の主格形をとる。ここでの重さは単なる物理的な重みではなく、火力が安定した良質な黒炭のしるしとして言うことがある。

    éso munándo húmel

    読み:エーソ ムナンド フーメル

    és-omunándohúmel
    いる-<(重いものが)>土間<主格>湿った

    「土間は湿っている。」

    書物・描写。存在文は és-+主語+述語。munándo は重性o語幹で、動詞は重性単数 -o。

    éso unlóur nímbo míil.

    読み:エーソ ウンロール ニンボ ミール。

    és-ounlóurnímbomíil.
    いる-<(重いものが)>まだ乳<主格>ほのかな

    「乳はまだ、ほのかな甘みがある。」

    味見の場面。unlóur「まだ」を伴い、甘みが完全に立ち上がらず、わずかに感じられる程度を表す。

    na éso vrunó þúumo

    読み:ナ エーソ ヴルノー スーモ

    naés-ovrunóþúumo
    <〜ない>いる-<(重いものが)>巻き胴<主格>車輪<主格>

    「巻き胴は車輪ではない。」

    作法書や技術書で、巻き胴と車輪の違いを区別する定義文。否定の繋辞文では否定の語 na を文頭に置き、動詞は語根 és と3人称単数重性の語尾 -o に分けて分析する。主語 vrunó と述語名詞 þúumo は主格で置く。

    ésa virá sé þálva

    読み:エーサ ヴィラー セー サルヴァ

    és-aviráséþálva
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格>この<軽性>冗談<主格>

    「この言葉は冗談だ。」

    言葉の意味を説明する言い方。þálva は述語名詞として主格のまま置かれる。名詞句は「名詞+指示詞」の語順。

    ké éso þéumo húmel?

    読み:ケー エーソ セウモ フーメル?

    kéés-oþéumohúmel?
    <〜か>いる-<(重いものが)>肩掛け<主格>湿った

    「肩掛けは湿っているか。」

    ké は文頭に置くはい/いいえの問いの小辞。éso は重性単数の主語 þéumo に一致する。述語形容詞 húmel は重性単数の無標識形。衣類や道具の状態を確認する場面。

    na ésa rundelvirá þailvirá.

    読み:ナ エーサ ルンデルヴィラー サイルヴィラー。

    naés-arundelviráþailvirá.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>早口<主格>改まり言葉<主格>

    「早口は、都の改まった言葉ではない。」

    宮廷語では早口は改まりに反するという評価。rundelviráとþailviráはいずれも軽性a語幹。繋辞és-は主語rundelviráに一致して3人称単数軽性のé-になる。名詞述語は主格のまま置く。

    ésa rundelvirá faronárar.

    読み:エーサ ルンデルヴィラー ファロナーラル。

    és-arundelviráfaron-ár-ar.
    いる-<(軽いものが)>早口<主格>荷-<〜する人>-<〜らの>

    「運び人たちの「早口」がある。」

    faronárar「運び人たちの」を属格で添える。rundelviráは見出し形のまま。

    éso auró némei.

    読み:エーソ アウロー ネーメイ。

    és-oauróném-ei.
    いる-<(重いものが)>薬<主格><私>-<与格>

    「私には薬がある。」

    日常の所有の言い方。持つを表す動詞は使わず、存在動詞 és- と持ち主の与格で表す。主語の auró は重性 o語幹なので、動詞は3人称単数・重性の -o で一致する。

    éso snuló némei.

    読み:エーソ スヌロー ネーメイ。

    és-osnulóném-ei
    いる-<(重いものが)>たこ<主格><私>-<与格>

    「私にはたこがある。」

    存在・所有を表す日常文。身体にできた痕も、持ち主を裸の与格で置いて表す。snuló は重性o語幹で、単数主格と対格は同型。

    na éso þrón némei

    読み:ナ エーソ スローン ネーメイ

    naés-oþrónném-ei
    <〜ない>いる-<(重いものが)>矢<主格>私-<与格>

    「私には矢がない。」

    日常会話。存在・所有は「存在動詞+主語+持ち主の与格」の形で言う。持たれている þrón が重性なので、存在動詞は3人称単数・重性の éso をとる。否定は直説法なので na を使う。

    éso frumó némes gráis.

    読み:エーソ フルモー ネーメス グライス。

    és-ofrumóném-esgráis.
    いる-<(重いものが)>傷<主格><私>-<属格>悪い

    「私の傷は悪い。」

    日常の自己申告。名詞句「frumó némes(私の傷)」が主語で、存在・繋辞の語根 és- に3人称単数・重性の語尾 -o が付いて éso になる。形容詞 gráis は重性単数主格では無標識のまま置かれる。

    ésa elþíña glünáur.

    読み:エーサ エルシーニャ グリュナウル。

    és-aelþ-íñaglünáur.
    いる-<(軽いものが)>燃える-<小さな・拙い・主格>眩しい

    「火のはねは眩しい。」

    火が跳ねて一瞬光るさまを elþíña で指す用例。述語形容詞 glünáur が軽性単数主格で、名詞 elþíña に一致する。瞬間的な明るさを説明する簡潔な文。

    éso berunglǘn só þáun.

    読み:エーソ ベルングリューン ソー サウン。

    és-oberunglǘnsóþáun.
    いる-<(重いものが)>道氷<主格>この<重性>薄い

    「この道氷は薄い。」

    日常の観察。指示詞 só が名詞句を閉じ、形容詞 þáun が名詞句の外に出ているので、存在文ではなく「この道氷は薄い」という述語文として読む。重性名詞 berunglǘn の単数では形容詞に特別な語尾がつかない。歩行面に張った脆い薄氷(意味2)として、割れやすい性質を述べる。

    éso ílmo só síval

    読み:エーソ イルモ ソー シーヴァル

    és-oílmosósíval
    いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>青い

    「この水は青い。」

    日常会話で、湖や沢の水の色を指して言う文。指示詞 só は重性名詞 ílmo に添う。与格・場所がないので存在文ではなく繋辞文として読む。述語形容詞 síval は重性単数主格で無語尾。緑がかった青緑や緑とは別の青を示す。

    éso þurán káil némei

    読み:エーソ スラーン カイル ネーメイ

    és-oþuránkáilném-ei
    いる-<(重いものが)>唇<主格>乾いた<私>-<与格>

    「私には唇が乾いている。」

    日常的な身体の状態を言う文。þurán は上唇・下唇を含む口まわりの肉縁をひと続きの部位として指すため、ここでの単数は唇全体を指す。重性名詞で、存在文の持ち主は与格 ném-ei に置く。述語の káil は主語に一致して重性単数の形をとる。

    éso þórum sáun.

    読み:エーソ ソールン サウン。

    és-oþórumsáun.
    いる-<(重いものが)>火加減<主格>良い

    「この火加減は、ちょうどよい。」

    暖房や煮炊きの最中に、熾火と炎のあいだの加減を肯定する日常の言い方。主語 þórum が重性なので、繋辞 éso を用いる。述語形容詞 sáun は重性単数主格で語尾をもたない。

    éso slóimo aldáres ormároi.

    読み:エーソ スロイモ アルダーレス オルマーロイ。

    és-oslóimoaldár-esormár-oi
    いる-<(重いものが)>隣<主格>座-<属格>左-<与格>

    「席の隣は左にある。」

    儀礼・座席に関する表現。名詞句 slóimo aldáres は「席の隣(の席)」を示し、属格 aldáres が slóimo を限定する。述語の与格 ormároi が位置を示し、動詞は主語 slóimo に一致する。

    ésa snǘra un kórvoi.

    読み:エーサ スニューラ ウン コルヴォイ。

    és-asnǘraunkórv-oi
    いる-<(軽いものが)>鼠<主格>内に倉-<与格>

    「倉の中に鼠がいる。」

    日常の所在を言う文。存在の文で、主語 snǘra は軽性単数なので動詞は -a。un+与格で「〜の中に」。

    éso fáron bulkráilen funelíños.

    読み:エーソ ファーロン ブルクライレン フネリーニョス。

    és-ofáronbulkráil-enfunelíñ-os
    いる-<(重いものが)>荷<主格>くくる-<〜した・〜された>留め紐-<属格>

    「荷は留め紐でくくられている。」

    荷札や帳簿の注記のような書文。繋辞と分詞が荷と重性で一致し、手段を表す名詞は分詞に属格で付く。

    éso trǘlmo snóil.

    読み:エーソ トリュルモ スノイル。

    és-otrǘlmosnóil
    いる-<(重いものが)>裂け目<主格>狭い

    「裂け目は狭い。」

    意味1。石壁・板壁・家屋のあいだに開いた細い割れ目を指す基本義。凍りの頃の住居点検などの日常語として、幅の狭さを述べる言い回し。述語の形容詞は重性名詞の単数主格では無語尾となる。

    éso glünó glünáur.

    読み:エーソ グリュノー グリュナウル。

    és-oglünóglünáur.
    いる-<(重いものが)>氷<主格>眩しい

    「氷が眩しい。」

    凍りの頃の記述的な一文。繋辞ésoは重性o語幹のglünóに一致する。述語形容詞glünáurは単数主格で基本形のまま置かれる。意味1の用法。

    na ésa hílva glünáur sórel.

    読み:ナ エーサ ヒルヴァ グリュナウル ソーレル。

    naés-ahílvaglünáursórel.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>雪<主格>眩しい今日

    「今日は雪が眩しくない。」

    日常会話の否定文。上から来る雪hílvaは軽性なので繋辞は-a。否定naは動詞の前に置き、時間名詞sórelは文末に置く。意味1の否定。

    éso krailmón klér.

    読み:エーソ クライルモーン クレール。

    és-okrailmónklér
    いる-<(重いものが)>石垣<主格>冷たい

    「石垣は冷たい。」

    重性子音語幹名詞の単数主格。存在・状態を表す繋辞 éso は主語 krailmón に一致して重性単数 -o をとる。

    éso krailmón fóndel.

    読み:エーソ クライルモーン フォンデル。

    és-okrailmónfóndel
    いる-<(重いものが)>手石積み<主格>古い

    「手石積みは由緒ある。」

    krailmón を組構え・組方そのものとして述べる用法。形容詞 fóndel は、単に物が古いというより、作法としての由緒を指してかかる。

    ké éso unlóur gólvo só?

    読み:ケー エーソ ウンロール ゴルヴォ ソー?

    kéés-ounlóurgólvosó
    <〜か>いる-<(重いものが)>まだ旧道<主格>この<重性>

    「この旧道は、まだありますか。」

    場面:日常会話。存在の動詞が重性主語に一致して3人称単数重性のésoになっている。疑問小辞kéは文頭に置き、副詞unlóurは動詞の直後、主語の前に置く。gólvo sóは重性o語幹の単数主格名詞句。

    éso gandér só nalóun.

    読み:エーソ ガンデール ソー ナローン。

    és-ogandérsóna-lóun.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性><〜ない>-長い

    「この硬木は短い。」

    木市や検めで、硬木の材木としての実長が長くないことを言う意味1。重性名詞 gandér に合わせ、繋辞 éso、指示詞 só。重性単数主格では形容詞に語尾がつかず nalóun のまま。

    ésa virá sé nalóun.

    読み:エーサ ヴィラー セー ナローン。

    és-aviráséna-lóun.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格>この<軽性><〜ない>-長い

    「この言葉は短い。」

    発話・言葉が長く続かず手短であることを言う意味2。軽性 virá に合わせる。直に「短い」と断定するより角が立たない、礼法的・事務的な響き。

    éso lóur só nalóun.

    読み:エーソ ロール ソー ナローン。

    és-olóursóna-lóun.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性><〜ない>-長い

    「この瀬は短い。」

    瀬は川が一段落ちてから次の落ちまでのひと続き。距離・行程が長くなく近接している意味3。重性名詞 lóur に合わせ éso・só。重性単数主格では nalóun のまま。

    éso unó só klér.

    読み:エーソ ウノー ソー クレール。

    és-ounósóklér
    いる-<(重いものが)>裏<主格>この<重性>冷たい

    「この裏は冷たい。」

    物や衣の背面を表す用法。表へ向けていない面を unó といい、重性名詞 unó に重性の指示詞 só を後置する。

    éso samonþóvo klónoi némes.

    読み:エーソ サモンソーヴォ クローノイ ネーメス。

    és-osamonþóvoklón-oiném-es.
    いる-<(重いものが)>あざ<主格>膝-<与格><私>-<属格>

    「私の膝にあざがある。」

    日常会話で用いられる存在文。体部位を与格に置き、持ち主を属格代名詞で後置する。samonþóvo は皮膚を破っていない痕を中性に指す語で、開いた傷には使わない。

    éso ombamór krém

    読み:エーソ オンバモール クレーン

    és-oombamórkrém
    いる-<(重いものが)>中指<主格>痛い

    「中指が痛い。」

    「Aは〜い」の文は動詞 és- を用い、順序は és-+主語+述語。重性主語 ombamór に応じて 3SG.HV 形 éso を使う。

    na éso ombamór lóun

    読み:ナ エーソ オンバモール ローン

    naés-oombamórlóun
    <〜ない>いる-<(重いものが)>中指<主格>長い

    「中指は長くはない。」

    na は動詞の直前に置き、重性主語 ombamór に応じて éso を使う。

    éso dulþárno málunos húmel.

    読み:エーソ ドゥルサルノ マールノス フーメル。

    és-odulþárnomálun-oshúmel
    いる-<(重いものが)>下縁<主格>敷物-<属格>湿った

    「敷物の下縁は湿っている。」

    書物・記録の文。覆い・帳・敷物など、下に垂れた終わり際の辺を指す「下縁」義。名詞句 dulþárno málunos は「下縁+敷物の属格」で、「敷物の下縁」。述語形容詞 húmel は、所有を示す málunos ではなく、主要部 dulþárno に一致している。

    ésa kléima fóndel

    読み:エーサ クレーマ フォンデル

    és-akléim-afóndel
    いる-<(軽いものが)>呼称-<主格>古い

    「呼称体系は由緒ある。」

    儀礼・系譜。kléima は軽性a語幹の単数主格で、語幹 kléim- に -a を付す。fóndel は単に古いだけでなく、古いだけに由緒があるという含みをもつ。述語形容詞は主語 kléima(軽性単数主格)に一致して無標。

    ké éso fenlapúl séndoi?

    読み:ケー エーソ フェンラプール センドイ?

    kéés-ofenlapúlsénd-oi?
    <〜か>いる-<(重いものが)>蒸し枝<主格>ここ-<与格>

    「ここに蒸し枝があるか。」

    汗蒸し小屋や道具場で、蒸し枝の有無を尋ねる口語的な文。存在の動詞 és- は、主語 fenlapúl が重性なので語尾が -o で受け取る。séndoi は séndo「ここ」の与格形。

    éso lúuko séndoi.

    読み:エーソ ルーコ センドイ。

    és-olúukosénd-oi.
    いる-<(重いものが)>熱石<主格>ここ-<与格>

    「ここに熱石がある。」

    肯定の存在文。lúuko は主格として引用形そのものを用いる。

    ké éso lúuko séndoi?

    読み:ケー エーソ ルーコ センドイ?

    kéés-olúukosénd-oi?
    <〜か>いる-<(重いものが)>熱石<主格>ここ-<与格>

    「ここに熱石があるのか。」

    存在文のはい/いいえの問い。ké は文頭に置く。

    éso kailsámon só káil.

    読み:エーソ カイルサーモン ソー カイル。

    és-okailsámonsókáil.
    いる-<(重いものが)>革<主格>この<重性>乾いた

    「この革は乾いている。」

    作業場での確認。存在・繋辞ésoは主語に一致し、重性には-oが付く。述語の形容詞は主語に一致し、重性単数主格では語尾がつかない。

    éso fleló só fláin

    読み:エーソ フレロー ソー フライン

    és-oflelósófláin
    いる-<(重いものが)>素焼き<主格>この<重性>軽い

    「この素焼きは軽い。」

    日常で釉をかけない土器を評す文。fleló は仕上げの性質を指す語だが、仕上げを施した器をまとめて指す名詞としても働く。重性o語幹名詞として扱われ、指示詞は重性の só を取る。

    ésa houmprósa sé sáun.

    読み:エーサ ホウンプローサ セー サウン。

    és-ahoumprósasésáun
    いる-<(軽いものが)>椀押し<主格>この<軽性>良い

    「この椀押しはよい。」

    作法書のような、一般の是非を述べる文。指示詞は名詞に応じて sé をとり、繋辞は軽性単数の形となる。

    éso unlóur houmkreló só un kórvoi.

    読み:エーソ ウンロール ホウンクレロー ソー ウン コルヴォイ。

    és-ounlóurhoumkrelósóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>まだ家分<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「倉にはまだこの家分がある。」

    備蓄を確かめる場面。存在文の動詞 és- は主語に一致し、houmkreló が重性o語幹の単数主格なので -o を受ける。相の副詞 unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。un kórvoi は前置詞 un と与格の組み合わせで「倉の中で」。

    éso flóndo só sárvo

    読み:エーソ フロンド ソー サルヴォ

    és-oflóndosósárvo
    いる-<(重いものが)>岩間道<主格>この<重性>禁忌<主格>

    「この岩間道は禁忌である」

    名詞述語文。動詞の直後の flóndo só が主語、末尾の sárvo が述語名詞。述語名詞は主語に一致せず、名詞としての主格の形のまま置く。儀礼や法文で、その通路が人の通行・使用の禁じられた所であることを告げる言い方。

    éso món só pármo.

    読み:エーソ モーン ソー パルモ。

    és-omónsópármo.
    いる-<(重いものが)>石<主格>この<重性>道印<主格>

    「この石は道印だ。」

    物を同定する文。繋辞 és- が主語 món「石」に一致して -o をとり、述語名詞 pármo は主格のまま後ろに置く。指示詞 só は名詞 món を受ける。

    ésa filíña sé gléin.

    読み:エーサ フィリーニャ セー グレーン。

    és-afilíñaségléin.
    いる-<(軽いものが)>字母<主格>この<軽性>清い

    「この字母は清い。」

    名詞句 filíña sé を主語とし、述語の形容詞 gléin がこれを受ける。繋辞 ésa は軽性 3 人称単数。

    ésa filíña un plánei.

    読み:エーサ フィリーニャ ウン プラーネイ。

    és-afilíñaunplán-ei.
    いる-<(軽いものが)>字母<主格>内帳簿-<与格>

    「帳簿の中に字母がある。」

    filíña は軽性名詞として単数主格の辞書形で用い、格語尾を添えない。存在文 ésa の主語になる。un+与格で「〜の中で」を表す。

    ésa flaindulíña sé nalóun.

    読み:エーサ フラインドゥリーニャ セー ナローン。

    és-aflaindulíñasénalóun
    いる-<(軽いものが)>小下りの儀<主格>この<軽性>短い

    「この小下りの儀は短い。」

    存在・繋辞 ésa が文頭に立つ。主格の名詞は語を切らない。flaindulíña は軽性a語幹で、指示詞 sé も軽性の形。形容詞 nalóun は主語に合わせて無表記。日常で作法の長さを説明する言い方。

    éso gúur fúnelos húmel.

    読み:エーソ グール フーネロス フーメル。

    és-ogúurfúnel-oshúmel.
    いる-<(重いものが)>末端<主格>綱-<属格>湿った

    「綱の先は湿っている。」

    動物の尾からの転義。細く突き出た本体の末端を指す用法で、日常語として定着している。所有は後ろ属格。fúnel「綱」の末端を「尾」と呼ぶ。

    éso món só gáil.

    読み:エーソ モーン ソー ガイル。

    és-omónsógáil
    いる-<(重いものが)>石<主格>これ<重性>広い

    「この石(板石)は広い。」

    建築・帳簿の記述で、床面や敷石に使う板石の面の広さを評す表現。物の体積ではなく、人が置く・通うための面の広さを言う。述語形容詞は主語に一致して重性単数の無標識形。

    na éso báwal só sáindar.

    読み:ナ エーソ バーワル ソー サインダル。

    naés-obáwalsósáindar.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>身振り<主格>この<重性>証文<主格>

    「この身振りは証文ではない。」

    商いや契約の場面で、声に出した言葉や書きものではなく、作法語としての身振りに効力がないことを言う表現。主語 báwal が重性なので動詞 éso は重性の -o を受ける。述語名詞 sáindar は自身の性を保ち、主格のまま置く。

    éso pálvo némes krém.

    読み:エーソ パルヴォ ネーメス クレーン。

    és-opálvoném-eskrém
    いる-<(重いものが)>踵<主格><私>-<属格>痛い

    「私の踵は痛い。」

    日常会話。踵は重性o語幹の単数で、主格と対格が同形。存在・繋辞 éso は主語の重性単数に一致して -o をとる。所有者は名詞の後ろに1人称単数属格を置く。述語形容詞 krém は重性単数の主語に対して語尾を変えない。

    ésa virá té þulklér.

    読み:エーサ ヴィラー テー スルクレール。

    és-avirátéþulklér.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格>あの<軽性>半端な

    「あの言葉は半端だ。」

    取引きや約束の場で、言葉に決意や熱が欠けていると遠回しに指摘する文。virá は軽性なので存在動詞 ésa を使う。指示詞 té が名詞句を閉じ、þulklér は主語に一致して単数主格の無語尾形となる。

    éso gromsámon só þáun.

    読み:エーソ グロンサーモン ソー サウン。

    és-ogromsámonsóþáun
    いる-<(重いものが)>肌<主格>この<重性>薄い

    「この肌は薄い。」

    日常語。人の体をおおう薄い皮を指す語で、獣の皮・革とは区別される。名詞句を指示詞 só で閉じ、その後ろの þáun が述語形容詞となる。

    lúin éso nébro húmel, éso gromsámon klér.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ フーメル、エーソ グロンサーモン クレール。

    lúinés-onébrohúmel,és-ogromsámonklér
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格>湿った,いる-<(重いものが)>皮膚感<主格>冷たい

    「霧が湿ると、肌触りは冷たい。」

    霧期の触れ感。この文では皮膚表面で受ける感じの意味であり、gloss 上は「皮膚感」と出す。gromsámon も nébro も重性なので、いずれも 3単・重性の éso で受ける。

    ésim viréla.

    読み:エーシン ヴィレーラ。

    és-imviréla.
    いる-<私が>ヴィレラ<主格>

    「私はヴィレラです。」

    自己紹介での名乗り。固有名詞 viréla は女子の成名として軽性で、人を指す。存在動詞 ésim に述語名詞をそのまま主格で添える。

    ésa aurselvá virá.

    読み:エーサ アウルセルヴァー ヴィラー。

    és-aaurselvávirá.
    いる-<(軽いものが)>祖先に届く言葉<主格>言葉<主格>

    「「昇る息」は、祖先に届く祭祀の言葉である。」

    祭祀・儀礼に関する書物の文。述語名詞 virá は主格のまま。主語 aurselvá が軽性なので ésa。aurselvá の祭祀語としての語義を virá で言い換える説明。

    éso análor fóndel

    読み:エーソ アナーロル フォンデル

    és-oanálorfóndel
    いる-<(重いものが)>上手の国<主格>古い

    「上手の国は由緒ある。」

    王国そのものを主語にする言い方。重性の国名なので動詞は 3人称単数・重性の -o で受ける。fóndel は「古い(由緒ある)」の意。

    éso análor þáil

    読み:エーソ アナーロル サイル

    és-oanálorþáil
    いる-<(重いものが)>高原<主格>澄んだ

    「高原は澄んでいる。」

    崖の上の土地そのものを主語にする言い方。乾風期の澄んだ空気や天候を指す。重性の名詞に重性の繋辞 éso が対応する。

    éso mérvo só ulvenkeréla.

    読み:エーソ メルヴォ ソー ウルヴェンケレーラ。

    és-omérvosóulvenkeréla
    いる-<(重いものが)>村<主格>この<重性>狼の谷の村<主格>

    「この村はウルヴェンケレーラです。」

    固有名詞を述語名詞に取った系辞文。動詞 és- は主語 mérvo に一致して重性の形になる。述語名詞 ulvenkeréla は主格のまま置く。

    éso glünóra, salóur na éso fleuróra.

    読み:エーソ グリュノーラ、サロール ナ エーソ フレウローラ。

    és-oglünóra,salóurnaés-ofleuróra.
    いる-<(重いものが)>グリュノーラ<主格>しかし<〜ない>いる-<(重いものが)>フレウローラ<主格>

    「グリュノーラはあるが、フレウローラはない。」

    旧道の岩棚のうち、上部の glünóra は棚として残る一方、下部の fleuróra は崩落したことを、年代記・昔語りで対比する言い方。存在動詞 és- は主語の古地名に合わせ、重性の 3人称単数 -o をとる。逆接の salóur は「同じ瀬の外へ移る」ニュアンスを持つ。

    na éso þíndel sárvo.

    読み:ナ エーソ シンデル サルヴォ。

    naés-oþíndelsárvo.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>星盤<主格>禁忌<主格>

    「星盤は禁忌ではない。」

    作法書や儀礼の説明で用いる名詞述語文。否定の直説法は na を動詞の前に置く。動詞 és- は主語 þíndel の重性単数に合わせて -o を取り、述語名詞 sárvo は主格のまま後に置く。

    ké ésa bréula

    読み:ケー エーサ ブレウラ

    kéés-abréula
    <〜か>いる-<(軽いものが)>卵<主格>

    「卵があるか。」

    存在文。主語 bréula は主格無標で、見出し語の形をそのまま使う。食卓で卵があるかを尋ねる日常表現。

    na éso esfóndos vóor un análoroi.

    読み:ナ エーソ エスフォンドス ヴォール ウン アナーロロイ。

    naés-oesfóndosvóorunanálor-oi.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>そもそも紫<主格>中に上手の国-<与格>

    「上手の国には、そもそも紫がない。」

    書物・交易説明向きの存在否定文。vóorは干潟から来た語として重性扱いで、動詞はéso。un análor-oiは「上手の国の中に」。esfóndosは品切れではなく、この国では原理的に生じないという含みを与える。

    éso esfóndos gandér gróm.

    読み:エーソ エスフォンドス ガンデール グローン。

    és-oesfóndosgandérgróm.
    いる-<(重いものが)>元来硬木<主格>重い

    「硬木は、元来、重い。」

    肯定文用法。硬木が重いのは一時的な性質ではなく、はじめからそうであるという言い方。語順は動詞・esfóndos・主語・述語形容詞。

    éso fúnel só lóun fáir daumárul.

    読み:エーソ フーネル ソー ローン ファイル ダウマールル。

    és-ofúnelsólóunfáirdaumár-ul
    いる-<(重いものが)>綱<主格>この<重性>長い四腕-<〜ら(古い母音交替)>

    「この綱は四腕長い。」

    長さの単位としての用法。存在動詞 éso で主語 fúnel を受け、形容詞 lóun に単位句 fáir daumárul を続ける。数詞 fáir に伴う単位名詞は複数形。

    éso daumár némes mór.

    読み:エーソ ダウマール ネーメス モール。

    és-odaumárném-esmór
    いる-<(重いものが)>両腕の幅<主格><私>-<属格>大きい

    「私の両腕幅は大きい。」

    単位としてではなく、両腕を広げた幅そのものを表す用法。所有者は名詞の後ろの属格 ném-es で示す。daumár は重性名詞として éso を受ける。

    éso þóvo sílares vóloi.

    読み:エーソ ソーヴォ シーラレス ヴォーロイ。

    és-oþóvosílar-esvól-oi.
    いる-<(重いものが)>影<主格>月-<属格>地面-DAT.

    「月の影が地面にある。」

    書物・詩的な場面。þóvo が主語で重性なので、存在動詞 és- は 3人称単数・重性の語尾 -o で受ける。þóvo sílares は「名詞+属格」の名詞句で「月の影」。vóloi は vól の与格で、「地面に」と裸の与格で場所を表す。

    ésa rimblóna un kórvoi.

    読み:エーサ リンブローナ ウン コルヴォイ。

    és-arimblónaunkórv-oi.
    いる-<(軽いものが)>測り竿<主格>中に倉-<与格>

    「倉に測り竿がある。」

    物の所在を述べる存在文。主語 rimblóna は軽性なので、繋辞は 3人称単数軽性の ésa をとる。場所を un と与格 kórvoi で表す。

    éso ílmo klér un dulúnoi.

    読み:エーソ イルモ クレール ウン ドゥルーノイ。

    és-oílmoklérundulún-oi.
    いる-<(重いものが)>水<主格>冷たい内に底-<与格>

    「底のほうに冷たい水がある。」

    器物や空間の底を日常の所在文で述べる例。un は与格と組んで「〜の中で/側に」を示し、dulún の与格は重性語幹に -oi が付いた形。

    éso plúrno némes snír.

    読み:エーソ プルルノ ネーメス スニール。

    és-oplúrnoném-essnír.
    いる-<(重いものが)>小袋<主格><私>-<属格>少ない

    「わが懐中は乏しい。」

    書物の格言調。plúrno は「懐中・随身の備え」を指す。存在の文で、名詞句 plúrno ném-es が主語、snír が述語になる。

    éso sélmo faronáres snír.

    読み:エーソ セルモ ファロナーレス スニール。

    és-osélmofaronár-essnír.
    いる-<(重いものが)>汗<主格>運び人-<属格>少ない

    「運び人の汗が少ない。」

    書物の描写のような文。主語 sélmo が重性なので繋辞は-3SG.HV。属格 faronáres は faronár+-es。形容詞 snír が属格より後ろにあるため名詞句の外に出た述語と読み、「運び人の汗は少ない」とする。汗の量を記述する文。

    ésa sáva sé gléin.

    読み:エーサ サーヴァ セー グレーン。

    és-asávaségléin.
    いる-<(軽いものが)>匙<主格>この<軽性>清い

    「この匙は清い。」

    sáva を主格で使う標準的な述語文。軽性の指示詞 sé は sáva を受け、gléin は述語の形容詞。

    ké éso ílmo só sakonén?

    読み:ケー エーソ イルモ ソー サコネーン?

    kéés-oílmosósakonén
    <〜か>いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>しょっぱい

    「この水はしょっぱいか。」

    井戸端や台所で、味を確かめる日常の問い。重性名詞述語文で、主語名詞句は ílmo só、述語形容詞 sakonén を後に置く。はい/いいえの疑問は文頭 ké で作る。

    ésa snéla káil.

    読み:エーサ スネーラ カイル。

    és-asnélakáil.
    いる-<(軽いものが)>布<主格>乾いた

    「布は乾いている。」

    物干しなどの日常の場面。存在・状態の文は és- を文頭に置き、形容詞 káil は主語 snéla に一致して単数軽性・無語尾になる。主格 snéla は無切分。布・衣・荷の材料としての織物を指し、着衣 rása とは区別する。

    ésa snéla fláin.

    読み:エーサ スネーラ フライン。

    és-asnélafláin.
    いる-<(軽いものが)>布<主格>軽い

    「布は軽い。」

    「布は軽い」の判断文。繋辞 és- は3人称単数・軽性の語尾 -a をとる。

    éso dún só ául

    読み:エーソ ドゥーン ソー アウル

    és-odúnsóául
    いる-<(重いものが)>丘<主格>この<重性>高い

    「この丘は高い。」

    ふだんの会話で使われる文。重性名詞 dún を指示詞 só までで主語とし、述語形容詞 ául をその後ろに置く。指示詞を先行させ、形容詞を名詞句内の修飾語ではなく述語として読む語順。

    éso prámbo só ául

    読み:エーソ プランボ ソー アウル

    és-oprámbosóául
    いる-<(重いものが)>値<主格>この<重性>高い

    「この値は高い。」

    縁の市で値について話す文。prámbo は「値」で、重性として扱う。指示詞 só を主語に立て、述語形容詞 ául を後ろに置く。

    ésa simboselvá lóimen.

    読み:エーサ シンボセルヴァー ロイメン。

    és-asimboselválóim-en.
    いる-<(軽いものが)>覚え歌<主格>唱える-<〜した・〜された>

    「「覚え歌は唱えられている。」」

    儀礼・書物での改まった記述。動詞 lóim- の分詞 lóimen が述語となり、歌い終えられて声の中に留まっている状態を言う。主語は軽性の単数で、分詞は主格では語尾を変えない。

    ésa plána sélen.

    読み:エーサ プラーナ セーレン。

    és-aplán-asélen
    いる-<(軽いものが)>帳簿-<主格>正しい

    「帳簿は正しい。」

    帳場での確認。軽性a語幹 plána の単数主格に対し、述語形容詞 sélen は単数主格では無語尾。帳簿そのものより、帳面の記録が本来の形と合っていることを述べる。

    ésau sáindar si plána sélenau.

    読み:エーサウ サインダル シ プラーナ セーレナウ。

    és-ausáindarsiplánasélen-au
    いる-<双数>証文<主格>と帳簿<主格>正しい-<双数>

    「証文と帳簿が合っている。」

    書面の相互確認。si で二つの単数名詞を並べると、動詞と述語形容詞は双数になる。sáindar と plána は名詞の単数主格で、語形を切らない。両名詞が軽性なので、形容詞は軽性双数 sélenau。

    éso sáko só téir fáronul.

    読み:エーソ サーコ ソー テール ファーロヌル。

    és-osákosótéirfáron-ul.
    いる-<(重いものが)>塩<主格>この<重性>三担ぎ-<〜たちが>

    「この塩は三担ぎある。」

    重量単位としての用法。物の重さを担ぎ数で表す日常の言い方。一担ぎは約三十キログラム。数詞は単位名詞の前に置き、三以上の数詞には重性名詞 fáron の複数形 fáronul を取る。主語 sáko は単数のため、動詞は3人称単数・重性の -o を受ける。

    ké éso fúnel só ín ómbo?

    読み:ケー エーソ フーネル ソー イーン オンボ?

    kéés-ofúnelsóínómbo?
    <〜か>いる-<(重いものが)>綱<主格>この<重性>一指<主格>

    「この綱は、一指(の太さ)あるか。」

    市での日常会話。長さ・幅を単位「指」で表す用法。存在・名詞述語文の主語 fúnel が重性単数なので、動詞 és- は重性 3 人称単数 -o をとる。単数の主格 ómbo は、語を切らずに一つの形態素として示す。

    éso sindrasímbo krúmoi némes.

    読み:エーソ シンドラシンボ クルーモイ ネーメス。

    és-osindrasímbokrúm-oiném-es.
    いる-<(重いものが)>役札<主格>腰-<与格><私>-<属格>

    「私には腰に役札がある。」

    日常文。存在の文は動詞és-が主語に一致し、重性o語幹のsindrasímboは単数名詞。身体部位に属するものを示すときは、与格の身体部位krúm-oiに、属格の人称代名詞ném-esを後置する。腰に役札を下げていて、現在役にあることを示す場面。

    éso sindrasímbo símbo aldáres.

    読み:エーソ シンドラシンボ シンボ アルダーレス。

    és-osindrasímbosímboaldár-es.
    いる-<(重いものが)>役札<主格>印<主格>座-<属格>

    「役札は座の印である。」

    書物や帳場での定義文。繋辞és-による述語名詞文で、述語名詞は自分の格と性を保つ。名詞+属格の順で「座の印」を作り、役札が座(役)を象徴するしるしであることを説明する。

    ésa dravéna gléin

    読み:エーサ ドラヴェーナ グレーン

    és-adravénagléin
    いる-<(軽いものが)>森<主格>清い

    「森は清い。」

    森の民が森を軽性として受けた文。dravéna は軽性 a 語幹の名詞として活用し、存在動詞は軽性の単数3人称 -a で受ける。形容詞 gléin は主格単数では語尾を取らない。同じ意味を都の人が言う場合、存在動詞を重性の一致で受けることもある。

    ésa dravéna sé kerél némores

    読み:エーサ ドラヴェーナ セー ケレール ネーモレス

    és-adravénasékerélnémor-es
    いる-<(軽いものが)>氏族の谷<主格>この<軽性>谷<主格><我々>-<属格>

    「この森は我らの谷だ。」

    氏族の谷を名指す用法の文。森の氏族の言葉では、dravéna は kerél「谷」と同義として「氏族の谷筋そのもの」を指す。存在動詞は主語 dravéna に合わせて軽性。述語名詞 kerél は主格のままで置かれ、指示語 sé は名詞の後ろに置く。系譜の語りや改まった自己紹介で、わが土地としての森を言う定型になる。

    éso mardrál némes klér.

    読み:エーソ マルドラール ネーメス クレール。

    és-omardrálném-esklér.
    いる-<(重いものが)>手首<主格><私>-<属格>冷たい

    「私の手首は冷たい。」

    日常会話で身体の状態を述べる文。éso(és-o)は存在・述語の動詞 és-「いる」に 3 人称単数・重性の語尾 -o がついた形。主語名詞句「mardrál némes(私の手首)」が重性なので、動詞は 3 人称単数・重性になる。属格 ném-es は名詞の後ろに置かれ、述語の形容詞 klér は名詞句の外に置かれる。

    éso unlóur þrén fandáres slóura.

    読み:エーソ ウンロール スレーン ファンダーレス スローラ。

    és-ounlóurþrénfandár-esslóura.
    いる-<(重いものが)>まだ段<主格>新入り-<属格>空欄<主格>

    「新入りの身分は、まだ空欄扱いである。」

    空欄の転義。身分・扱いが未確定である状態を指す。主語 þrén が重性なので存在動詞は -o、述語名詞 slóura は軽性の主格のまま。

    ésa aldár slóura torárei.

    読み:エーサ アルダール スローラ トラーレイ。

    és-aaldárslóuratorár-ei.
    いる-<(軽いものが)>座<主格>空欄<主格>客-<与格>

    「客用の座は、空欄になっている。」

    座席・役割の扱いが決まっていない状態。与格 torárei は受益者「客にとって」を表す。

    salóur, na és-a torár.

    読み:サロール、ナ エーサ トラール。

    salóur,naés-atorár.
    とはいえ<〜ない>いる-<(軽いものが)>客<主格>

    「とはいえ、お客様はいません。」

    相手の発言を受けて文頭に salóur を置き、留保・反論を切り出す用法。「とはいえ」を表す。torár は人を指す軽性なので存在動詞は és-a。na は直説法・推量法・仮定法を否定する小辞で、動詞の前に立つ。

    éso fáron némei, salóur na ésa faronár.

    読み:エーソ ファーロン ネーメイ、サロール ナ エーサ ファロナール。

    és-ofáronném-ei,salóurnaés-afaron-ár.
    いる-<(重いものが)>荷<主格><私>-<与格>ところが<〜ない>いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>

    「荷はある。ところが、運び人がいない。」

    市でのやりとり。荷があるのに、それを担ぎ上げる運び人がいない、商いとして当然の取り合いが成り立たない展開を示す。「ところが」の用法。fáron は重性なので存在動詞 éso、faronár は人を指す軽性なので存在動詞 és-a。faron-ár は fáron「荷」+-ár「〜する人」。salóur は後文の頭、否定の na より前に置く。

    éso sáko némei, salóur na éso vandó.

    読み:エーソ サーコ ネーメイ、サロール ナ エーソ ヴァンドー。

    és-osákoném-ei,salóurnaés-ovandó.
    いる-<(重いものが)>塩<主格><私>-<与格>ところが<〜ない>いる-<(重いものが)>分銅<主格>

    「塩はある。ところが、分銅がない。」

    市や倉での計測・取引の場面。塩があるのに、重さを確かめる基準としての青銅の分銅がない。sáko, vandó は重性なので存在動詞 éso。salóur は後文の頭、na より前に置く。

    éso fáron gróm, esós éso tromsnór nalóun.

    読み:エーソ ファーロン グローン、エソース エーソ トロンスノール ナローン。

    és-ofárongróm,esósés-otromsnórnalóun.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い,だからいる-<(重いものが)>歩幅<主格>短い

    「荷が重いので、歩幅は短い。」

    荷場での日常の言い方。荷の重さを見積もる場で、足から足の間隔が短くなることを言う。身分の「段」ではなく、歩幅を意味するtromsnórの直義。

    éso tromsnór só póilma faronáres.

    読み:エーソ トロンスノール ソー ポイルマ ファロナーレス。

    és-otromsnórsópóilmafaronár-es.
    いる-<(重いものが)>歩みの癖<主格>この<重性>仕草<主格>運び人-GEN.

    「この歩みの癖は、運び人の所作だ。」

    書物語や解説でtromsnórの比喩用法を言い換える文。述語名詞póilmaは自分の性・主格のまま置かれる。tromsnór第二の義「歩みの癖」を明示する。

    ésa endríña ormároi némes.

    読み:エーサ エンドリーニャ オルマーロイ ネーメス。

    és-aendríñaormár-oiném-es.
    いる-<(軽いものが)>子ども<主格>左-<与格><私>-<属格>

    「子どもは私の左側にいる。」

    日常会話の場面。存在・所在は存在動詞の与格句で表し、左側は与格 ormároi で「左に」と言う。持ち主は名詞句の後位の属格 némes で表す。

    ésa torár sé ormároi aldáres áurenes.

    読み:エーサ トラール セー オルマーロイ アルダーレス アウレネス。

    és-atorárséormár-oialdár-esáur-en-es.
    いる-<(軽いものが)>客<主格>この<軽性>左-<与格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<属格・軽性>

    「この客は高き座の左側にいる。」

    儀礼・書物での位置記述。人を指す名詞 torár には軽性の動詞形が対応する。左側を ormároi で示し、その持ち主を属格句 aldáres áurenes「高き座の」で後に受ける。左は尊い側とされる。

    éso velmár éles fóum

    読み:エーソ ヴェルマール エーレス フォーン

    és-ovelmárél-esfóum
    いる-<(重いものが)>右<主格><3人称単数・軽性>-<属格>暖かい

    「彼の右手は暖かい。」

    主語の velmár は重性単数主格。体部分の所属を示す属格 éles は後に置き、被修飾名詞は主格のまま。

    éso velmár núl an ormároi

    読み:エーソ ヴェルマール ヌール アン オルマーロイ

    és-ovelmárnúlanormár-oi
    いる-<(重いものが)>右<主格>低い上手左-<与格>

    「右側は左より低い。」

    宮廷の左右の作法を説明する文。比較は述語形容詞の後に an+与格。núl は位階的に一段低い低さを含む。

    ésa endríña velmároi némes

    読み:エーサ エンドリーニャ ヴェルマーロイ ネーメス

    és-aendríñavelmár-oiném-es
    いる-<(軽いものが)>子<主格>右-<与格><私>-<属格>

    「子どもは私の右にいる。」

    日常の位置。存在の ésa は主語 endríña が軽性なので軽性の語尾。

    éso frumó gáuloi némes.

    読み:エーソ フルモー ガウロイ ネーメス。

    és-ofrumógául-oiném-es.
    いる-<(重いものが)>傷<主格>脛-<与格><私>-<属格>

    「私の脛に傷がある。」

    日常の身体に関する文。gáulは重性の身体名詞で、体部に傷・不調があることを言う際、体部に与格単数、所有者をその直後に属格で添える。存在の動詞és-は主語であるfrumó(傷)の重性単数に一致し、gáuloiは主語ではない。

    ké éso kumborhóum pír?

    読み:ケー エーソ クンボルホーン ピール?

    kéés-okumborhóumpír?
    <〜か>いる-<(重いものが)>クンボルホウム<主格>小さい

    「クンボルホウムは小さいですか。」

    日常で、町の大きさについて尋ねる文。繋辞 éso は主語 kumborhóum の重性に一致して -o を受ける。固有名詞は主格無標で、述語形容詞 pír も重性単数主格の無標形。

    éso filduló tén.

    読み:エーソ フィルドゥロー テーン。

    és-ofildulótén.
    いる-<(重いものが)>刻み通路<主格>浅い

    「刻み通路は浅い。」

    作業記録のような場面。主語 filduló は重性・単数・主格で、述語形容詞 tén は重性単数主格で無語尾。

    éso trǘlmo tén.

    読み:エーソ トリュルモ テーン。

    és-otrǘlmotén.
    いる-<(重いものが)>裂け目<主格>浅い

    「裂け目は浅い。」

    書物の記述のような場面。主語 trǘlmo は重性・単数・主格、述語形容詞 tén は無語尾。定着がないため、一般的事柄としても読める。

    ké éso snúlvo tén?

    読み:ケー エーソ スヌルヴォ テーン?

    kéés-osnúlvotén?
    <〜か>いる-<(重いものが)>穴<主格>浅い

    「穴は浅いのか。」

    日常会話での問い。ké が文頭に立つ。主語 snúlvo は重性・単数・主格、述語形容詞 tén は無語尾。穴について底がすぐ近くにあることを尋ねる。

    éso ilmándo bún.

    読み:エーソ イルマンド ブーン。

    és-oilmándobún.
    いる-<(重いものが)>井戸<主格>深い

    「井戸は深い。」

    日常で井戸の深さを述べる言い切り。主語 ilmándo は場所名詞接尾辞 -ándo をもつ重性o語幹で、存在・繋辞の és- はこれに一致して重性単数の -o をとる。述語形容詞 bún は重性単数主格では無標。

    ké éso ílmo bún?

    読み:ケー エーソ イルモ ブーン?

    kéés-oílmobún?
    <〜か>いる-<(重いものが)>水<主格>深い

    「水は深いか。」

    水場の深さを確かめる日常的な問い。はい/いいえの問いは文頭の小辞 ké で作る。地面を流れる水 ílmo は重性o語幹で、存在・繋辞は -o に一致する。形容詞 bún は無標の重性単数主格形。

    ésa nóra bún.

    読み:エーサ ノーラ ブーン。

    és-anórabún.
    いる-<(軽いものが)>夜<主格>深い

    「夜が深い。」

    夜が更け、暗がりが奥まで続いていることを述べる日常表現。nóra は軽性a語幹とみなし、存在・繋辞 ésa が軽性単数で一致する。bún は単に夜が遅いことではなく、入口から奥行きまで続いているさを表す。

    éso nébro bún.

    読み:エーソ ネーブロ ブーン。

    és-onébrobún.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>深い

    「霧が深い。」

    暦文・儀礼文のような簡潔な事実記述。nébro は重性o語幹で、存在・繋辞は -o に一致する。霧の奥行きは、天を経ず下から湧くものとして警戒されるため、人ではなく状況だけを述べる言い切りが使われる。

    ésa tíula bún.

    読み:エーサ ティーウラ ブーン。

    és-atíulabún.
    いる-<(軽いものが)>音<主格>深い

    「声が深い。」

    声が低く奥へ沈むような響きをもつことを表す日常表現。tíula は「音・声」を表し、音は上へ昇る軽いものとして軽性a語幹に属する。存在・繋辞 ésa が軽性単数に一致し、bún は無標形をとる。

    ké éso helándo un méndalei?

    読み:ケー エーソ ヘランド ウン メンダレイ?

    kéés-ohelándounméndal-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>休み場<主格>内に中-<与格>

    「休み場はありますか。」

    日常会話での問い。存在・繋辞の és- が重性名詞 helándo を主語として受けるため、動詞は 3 人称単数・重性の éso。helándo は主格単数。存在文で場所も持ち主も言わない場合は un méndalei「この世に」を添える。

    éso reinplén ín un kórv-oi.

    読み:エーソ レインプレーン イーン ウン コルヴォイ。

    és-oreinplénínunkórv-oi
    いる-<(重いものが)>雨よけ<主格>一内に倉-<与格>

    「倉の中に雨よけがある。」

    存在文。不定の閉じínを名詞句の終わりに置いている。存在する対象の雨よけが重性なので、繋辞は3人称単数・重性。倉の中に仕舞っているものを数える場面の書きつけにも使える。

    ésa andaulóura sé lourvirár.

    読み:エーサ アンダウローラ セー ロウルヴィラール。

    és-aandaulóurasélourvirár.
    いる-<(軽いものが)>祖母<主格>この<軽性>系譜読み<主格>

    「祖母(家のおばあ)は、系譜読みだ。」

    この用例では「祖母」が、家系図を読み預かる家屋の老女を指す呼称として使われている。主語 andaulóura sé は軽性a語幹の名詞句で、指示詞 sé を名詞の後ろに置く。繋辞 és- は軽性単数の主語に合わせて 3SG.LT の -a をとる。述語 lourvirár は名詞のまま、主格の裸形を置く。家では個人名で呼ばず、この呼称そのものが呼び名になる。

    éso gandér euléren es lónes.

    読み:エーソ ガンデール エウレーレン エス ローネス。

    és-ogandéreuléreneslón-es.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>違うから柱の木-<属格・単数>

    「硬木は柱の木とは違う。」

    物の種類や材質の違いを比べる中立的な用法。比べる相手は es+属格で示す。gandérは重性で、euléren は重性単数の形。lónaは軽性で属格単数は lónes。

    ésa virá wáim.

    読み:エーサ ヴィラー ワイン。

    és-aviráwáim
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格>大した

    「言葉はたいしたものだ。」

    抽象語 virá を主語にした判断文。軽性単数の主語に対して存在動詞 ésa を使い、述語形容詞 wáim は主格単数で無語尾となる。

    éso nébro só wáim.

    読み:エーソ ネーブロ ソー ワイン。

    és-onébrosówáim
    いる-<(重いものが)>霧<主格>この<重性>侮れない

    「この霧は侮れない。」

    警告的な判断文。指示詞 só を後置した重性単数の主語 nébro に対して、述語形容詞 wáim は主格単数無語尾となる。

    ésa þondá wáim.

    読み:エーサ ソンダー ワイン。

    és-aþondáwáim
    いる-<(軽いものが)>誓い<主格>侮れない

    「誓いは侮れない。」

    誓約や儀礼に関する判断文。þondá は軽性 a語幹の抽象名詞として扱う。軽性単数の主語に対して存在動詞 ésa を使い、述語形容詞 wáim が後続する。

    éso tambór wáim un kórvoi.

    読み:エーソ タンボール ワイン ウン コルヴォイ。

    és-otambórwáimunkórv-oi
    いる-<(重いものが)>雑穀<主格>相当の内に倉-<与格>

    「倉に相当の雑穀がある。」

    存在文。重性単数の tambór に形容詞 wáim が主格単数で後続し、場所 un kórvoi がそれに続く。

    ké éso puló só sélen?

    読み:ケー エーソ プロー ソー セーレン?

    kéés-opulósósélen
    <〜か>いる-<(重いものが)>拍<主格>この<重性>正しい

    「この拍は正しいですか。」

    帳簿や数えの記録で、刻んだ拍に狂いがないか確かめるやり取り。はい・いいえで答える問いは文頭に ké を置く。主語 puló が重性なので、繋辞 és- は 3人称単数・重性の éso になる。指示詞 só が重性の名詞句を閉じ、その後の sélen が述語形容詞として立つ。

    ké éso mérvo só lárno?

    読み:ケー エーソ メルヴォ ソー ラルノ?

    kéés-omérvosólárno?
    <〜か>いる-<(重いものが)>村<主格>この<重性>湖畔<主格>

    「この村は湖畔の集落か。」

    名詞述文による尋ね。lárno は水際そのものではなく、湖畔の低い土地・集落を指す用法。述語名詞は主語に一致せず、主格のまま置く。

    ésa lislíra sé sélen.

    読み:エーサ リスリーラ セー セーレン。

    és-alislírasésélen
    いる-<(軽いものが)>書行<主格>この<軽性>正しい

    「この書行は正しい。」

    帳簿や書物の一行を読み合わせ、その行の位置や区切りが正しいことを確かめる日常の言い回し。lislíra は軽性名詞なので、存在・繋辞の動詞は軽性 3 人称単数の -a、指示詞は軽性の sé を取る。名詞句は「名詞+指示詞」の順で、指示詞 sé が名詞句の終わりの目印になる。

    ésa berunvríma sáun.

    読み:エーサ ベルンヴリーマ サウン。

    és-aberunvrímasáun.
    いる-<(軽いものが)>旅の伴<主格>良い

    「旅の伴は良い。」

    普通文の形容詞述語文。繋辞+主語+述語形容詞の順。

    na ésa hueníña loimá

    読み:ナ エーサ フエニーニャ ロイマー

    naés-ahueníñaloimá
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>つぶやき<主格>詞<主格>

    「つぶやきは詞ではない。」

    書物的・儀礼的な定義文。言葉として完全に成形された loimá と、hueníña を区別する。「〜ではない」は na + és- + 主語 + 述語名詞で言う。

    éso vandó krán.

    読み:エーソ ヴァンドー クラーン。

    és-ovandókrán.
    いる-<(重いものが)>青銅の重り<主格>硬い

    「青銅の重りは硬い。」

    事物の性質を述べる記述文。主語 vandó が重性o語幹の単数なので、繋辞 éso は -o にとり、述語形容詞 krán は主語に一致して単数の形(語尾なし)で置く。物体としての青銅の重りについて述べる文である。

    ésa vandíña fláin

    読み:エーサ ヴァンディーニャ フライン

    és-avandíñafláin
    いる-<(軽いものが)>小分銅<主格>軽い

    「小分銅は軽い。」

    主語 vandíña は軽性a語幹の単数主格。存在動詞は軽性の ésa。述語形容詞 fláin は主語に一致し、軽性単数主格は無表記。

    éso eelþó só nagléin.

    読み:エーソ エールソー ソー ナグレーン。

    és-oeelþósóna-gléin.
    いる-<(重いものが)>灰汁<単数><主格>この<重性><〜ない>-清い

    「この灰汁は濁っている。」

    日常会話で、洗い水としての灰汁の状態を述べる文。主語が重性なので、存在・繋辞の動詞は3単重性の-oで受ける。名詞の直後に重性指示詞sóを置く。nagléinはgléin「清い」に否定接頭辞na-を付けた形容詞で、ここでは灰汁が澄んでいないことを「清からぬ」と述べている。

    sórel, éso dulilmó gróm némei.

    読み:ソーレル、エーソ ドゥリルモー グローン ネーメイ。

    sórel,és-odulilmógrómném-ei.
    今日いる-<(重いものが)>下からの恵み<主格>重い<私>-<与格>

    「今日は、私には重い下からの恵みがある。」

    日常のつぶやき。動詞の後ろに裸の与格があるので存在・所有の文。「gróm」は与格より前にあるので主語名詞を修飾する。「dulilmó」は蓋無しの器そのものではなく、下から届く重く有難いものを指す詩語的用法。

    éso krailó ível kumbóros só.

    読み:エーソ クライロー イーヴェル クンボーロス ソー。

    és-okrailóívelkumbór-ossó.
    いる-<(重いものが)>持ち部<主格>新しい青銅-<属格>この<重性>

    「ここに、この新しい青銅の持ち部がある。」

    日常の道具の場面。存在の文 éso は、重性の主語 krailó に一致する。krailó は重性o語幹の単数主格で、対格も同じ形。形容詞 ível(新しい)と材料を示す属格 kumbór-os を伴い、重性の指示詞 só が名詞句を閉じる。意味2では、単なる取っ手ではなく、正式な持ち部を示す語として用いられる。

    éso snívo selvapúl.

    読み:エーソ スニーヴォ セルヴァプール。

    és-osnívoselvapúl.
    いる-<(重いものが)>羽<主格>くすぐったい

    「羽はくすぐったい。」

    羽根など、細く軽いものが皮膚にかすかに触れる場面で使う。単数主語の述語形容詞は、軽重ともに無語尾になる。

    un fíndoi ésa selvá selvapúl.

    読み:ウン フィンドイ エーサ セルヴァー セルヴァプール。

    unfínd-oiés-aselváselvapúl.
    内に耳-<与格>いる-<(軽いものが)>息<主格>(息による)くすぐったい

    「耳のあたりでは息がくすぐったい。」

    耳元や首筋にかすかに触れる息に向く用法。述語形容詞の句に場所を添える場合は、前置詞+与格を動詞の前に出すと、存在文ではなく述語形容詞の句として読みやすい。

    na ésa sóila vrúnen.

    読み:ナ エーサ ソイラ ヴルーネン。

    naés-asóilavrún-en.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>髪<主格>巻く-<〜した・〜された>

    「髪は結い上げられていない。」

    書き言葉・儀礼文。na + ésa + 名詞 + 分詞 vrún-en で「〜している状態にない」。髪 sóila は語彙上軽性なので存在動詞は軽性。

    éso soilkrélvo só krélvo.

    読み:エーソ ソイルクレルヴォ ソー クレルヴォ。

    és-osoilkrélvosókrélvo.
    いる-<(重いものが)>髪鉤<主格>この<重性>鉤<主格>

    「この髪鉤は鉤の形である。」

    書の記述のような定義的な文。soilkrélvoを髪鉤として受け、述語名詞krélvoで鉤としての形を説明する。指示詞sóは重性。

    éso lirkrunó un kórvoi.

    読み:エーソ リルクルノー ウン コルヴォイ。

    és-olirkrunóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>糸巻き<主格>内に倉-<与格>

    「倉の中に、糸巻きの小棒がある。」

    倉の帳簿や在庫の記録向きの文。un kórv-oi で「倉の中で」。この文脈では lirkrunó を sense 2 の「糸巻き用の小棒」として取る。

    éso nébro ráuvoi.

    読み:エーソ ネーブロ ラウヴォイ。

    és-onébroráuv-oi.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>森の帯-<与格>

    「森の帯に霧がある。」

    日常の天候についての話。存在文の場所を裸の与格 ráuvoi で表す。「森の帯」という地域を指す用法。

    éso dóulin sáko némei

    読み:エーソ ドーリン サーコ ネーメイ

    és-odóulinsákoném-ei
    いる-<(重いものが)>もう塩<主格><私>-<与格>

    「私にはもう塩がある。」

    所有を「いる+持ち主の与格」で表す未完了の存在文。dóulin は動詞の直後、主語の前に置かれ、持ち物がある状態がすでに続いていることを表す。日常の台所や帳場でよく用いられる語調。

    na éso dóulin fáron un kórvoi

    読み:ナ エーソ ドーリン ファーロン ウン コルヴォイ

    naés-odóulinfáronunkórv-oi
    <〜ない>いる-<(重いものが)>もはや荷<主格>内に倉-<与格>

    「倉の中にはもはや荷がない。」

    na と dóulin が組む否定の存在文。na は動詞の前に置かれ、dóulin は「その事柄のところを時の流れが通り過ぎた」という取り返しのかからない含みを添える。un+与格 kórvoi で倉の中の場所を示す。帳場・倉の記録などで用いられる語調。

    na éso dóulin múrno un méndalei

    読み:ナ エーソ ドーリン ムルノ ウン メンダレイ

    naés-odóulinmúrnounméndal-ei
    <〜ない>いる-<(重いものが)>もはや腐り氷<主格>内に中-<与格>

    「腐り氷はもはやこの世にない。」

    場所を特定しない不在文には un méndalei を添える。重性の自然名詞 múrno を主語に取り、na+未完了の存在文+dóulin で「かつてあったが今はもうない」を表す。季節の終わりや消失を告げる、やや書面語的な語調。

    éso unlóur ílmo un kórvoi.

    読み:エーソ ウンロール イルモ ウン コルヴォイ。

    és-ounlóurílmounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>まだ水<主格>内に倉-DAT.

    「倉の中には、まだ水がある。」

    肯定の存在文で、ある状態がまだ続いていることを表す。否定の小辞 na は伴わない。存在・所有の文では、動詞は持ち主ではなく持たれている物 ílmo に一致する。

    éso prámbo viréi sé.

    読み:エーソ プランボ ヴィレー セー。

    és-oprámbovir-éisé
    いる-<(重いものが)>値打ち<主格>言葉-<与格>この<軽性>

    「この言葉には値打ちがある。」

    prámbo の語義 2「値打ち」。存在文に与格を組み合わせた「〜には値打ちがある」の言い方。prámbo は重性なので動詞は éso となる。virá の与格 viréi の後に指示詞を添えて「この言葉」とする。

    na éso prámbo torárei sé.

    読み:ナ エーソ プランボ トラーレイ セー。

    naés-oprámbotorár-eisé
    <〜ない>いる-<(重いものが)>値打ち<主格>客-<与格>この<軽性>

    「この客には値打ちがない。」

    torár の与格 torárei に指示詞 sé を添える。torár は軽性。人をこの形にすると「この人は値打ちがない」という当てこすりになる。

    éso fáron gróm salván.

    読み:エーソ ファーロン グローン サルヴァーン。

    és-ofárongrómsalván.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>重い〜すぎる

    「荷は重すぎる。」

    日常の言い回し。不変化の小辞 salván を形容詞 gróm の後ろに置く。重性単数主格では形容詞に格語尾がつかず、salván も変わらない。

    ésa plána lóun salván.

    読み:エーサ プラーナ ローン サルヴァーン。

    és-aplánalóunsalván.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>長い〜すぎる

    「帳簿が長すぎる。」

    書記・帳場・学び舎で聞く言い回し。形容詞 lóun の後ろに salván を置く。軽性主格の述語形容詞も格語尾がない。

    éso fáron vánden salván.

    読み:エーソ ファーロン ヴァンデン サルヴァーン。

    és-ofáronvánd-ensalván.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>量る-<〜した・〜された>秤を越えて

    「荷は規定の分銅を越えて量られている。」

    市の目付や倉の司の記録的な言い方。vánden salván で「量り越されている」。原句 sal vándoi を縮めた度量衡の感覚が残る。

    éso bérun só snóil.

    読み:エーソ ベールン ソー スノイル。

    és-obérunsósnóil
    いる-<(重いものが)>道<主格>この<重性>狭い

    「この道は狭い。」

    存在・述語形容の文。指示詞 só が名詞句 bérun só を閉じ、述語形容詞 snóil がその後ろに続く。主語 bérun は重性単数で、述語形容詞も重性単数形(無接語)になる。

    éso bérun só fóndel.

    読み:エーソ ベールン ソー フォンデル。

    és-obérunsófóndel
    いる-<(重いものが)>谷の道<主格>この<重性>古い

    「この谷の道は古い。」

    氏族の谷の道を指す用法。述語形容詞 fóndel は「由緒ある古い」の意。指示詞 só が名詞句を閉じた後ろに述語形容詞が来る。

    éso bérun slúun daumárur.

    読み:エーソ ベールン スルーン ダウマールル。

    és-obérunslúundaumár-ur
    いる-<(重いものが)>道(単位)<主格>千腕-<〜らの>

    「道(長さの単位)は千腕である。」

    長さ単位としての用法。slúun は名詞として働き、数える対象を複数属格で受ける。daumár は重性で、複数属格は daumárur。

    éso gandér só krásen.

    読み:エーソ ガンデール ソー クラーセン。

    és-ogandérsókrás-en.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>割れあり-<〜した・〜された>

    「この硬木には割れがある。」

    検めや会話で、材木に割れがあることを述べる文。主語 gandér と指示詞 só が重性、分詞 krásen が重性単数の述語として機能する。帳簿や荷札では品名に krásen を添えて「割れあり」と記す。

    lísim plíndo só ré éso gandér só krásen.

    読み:リーシン プリンド ソー レー エーソ ガンデール ソー クラーセン。

    lís-implíndosóréés-ogandérsókrás-en.
    書く-<私が>札<対格>この<重性><〜と(節)>いる-<(重いものが)>硬木<主格>この<重性>割れあり-<〜した・〜された>

    「私はこの荷札に、この硬木には割れがある、と書き込む。」

    帳簿や荷札に、硬木に割れがあることを書き記す場面。主文は第一人称の lísim で、目的語 plíndo só のあとに ré で内容節を置く。内容節は éso gandér só krásen で、krásen が「割れあり」の検めの語として述語になる。

    ésa sé freunþál te kúnda andaulóura.

    読み:エーサ セー フレウンサール テ クンダ アンダウローラ。

    és-aséfreunþáltekúnd-aandaulóura
    いる-<(軽いものが)>この<軽性>額寄せ<主格><関係節>する-<(軽いものが)>祖母<主格>

    「これは、祖母がする額寄せです。」

    日常の家庭文脈で、どのような所作かを説明する文。freunþál は述語名詞だが、関係節 te kúnda andaulóura の中で目的語として受け取られている。関係節は名詞句の終わりに置かれ、関係節内部は VSO 語順になる。freunþál 自体には格標識がつかない。

    ésa sé freunþál te findíþa líura.

    読み:エーサ セー フレウンサール テ フィンディーサ リーウラ。

    és-aséfreunþáltefindíþ-alíura
    いる-<(軽いものが)>この<軽性>無言の労い<主格><関係節>伝える-<(軽いものが)>女<主格>

    「これは、女が伝える額寄せの慰めです。」

    声に出さない慰めを説明する、やや書物的な定義文。freunþál は述語名詞だが、関係節 te findíþa líura の中で目的語として理解される。関係節内部は VSO 語順。freunþál は主格の形をそのまま保つ。

    éso raumvirá tó gróm.

    読み:エーソ ラウンヴィラー トー グローン。

    és-oraumvirátógróm.
    いる-<(重いものが)>噂<主格>あの<重性>重い

    「あの陰口は、品がなくて重い。」

    日常の炉ばたで、特定の中傷を断じる言い方。語そのものは本来軽性だが、指示詞 tó・動詞 éso・形容詞 gróm をわざと重性で受け、「下へ落ちる言葉」「泥の言葉」として蔑む。語形 raumvirá は元の軽性の形のまま。

    un nébroi, éso raumvirá tó múr.

    読み:ウン ネーブロイ、エーソ ラウンヴィラー トー ムール。

    unnébr-oi,és-oraumvirátómúr.
    内に霧-<与格>いる-<(重いものが)>噂<主格>あの<重性>濁った

    「霧の中では、あの陰口は濁っている。」

    霧期を背景にした日常的な評。un nébroi は「霧の中」と場を限定する。重性一致により、霧が下の国から湧くものとされる含みが重なり、múr は内容の根も葉なさにも転じている。

    ké ésa torár sé þelvéun?

    読み:ケー エーサ トラール セー セルヴェウン?

    kéés-atorárséþelvéun?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>客<主格>この<軽性>名知らぬ

    「この客は、名知らぬ方でしょうか。」

    日常で、客がまだ名を告げていないことを、名なしと断じずに確認する言い方。torár は軽性単数なので動詞は és-a。指示詞 sé が名詞の直後に置かれ、その後の þelvéun は修飾語ではなく述語として読む。ké を使うのは同等・目下への問いで、客そのものではなく、同伴者や主人へ向けた確認とする。

    na ésa faronár sé próun.

    読み:ナ エーサ ファロナール セー プローン。

    naés-afaron-ársépróun.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>この<軽性>正当な所有者<主格>

    「この運び人は正当な所有者ではない。」

    荷をめぐる日常的な紛争の場面。運び人は荷を担いでいるだけで、法的には正当な所有者ではないことを言い表す。否定は直説法の動詞の前に na を置く。

    ésa filá te fílim plánei

    読み:エーサ フィラー テ フィーリン プラーネイ

    és-afilátefíl-implán-ei
    いる-<(軽いものが)>筋<主格><関係節>引く-<私が>帳簿-<与格>

    「私が帳簿に引く筋がある。」

    見出し語 filá を主格の主語に使う。関係節の要は目的語で、空けておく。plána は軽性a語幹で、与格単数は plánei。

    ésa filá fílen plánei

    読み:エーサ フィラー フィーレン プラーネイ

    és-afiláfíl-enplán-ei
    いる-<(軽いものが)>筋<主格>引く-<〜した・〜された>帳簿-<与格>

    「帳簿には筋が引かれている。」

    見出し語 filá を軽性・単数主格の主語に使う。分詞 fíl-en は主語 filá に一致する。存在文の場所を裸の与格 plánei で表す。plána の与格単数は plánei。

    ésa seiraldár toráres véun.

    読み:エーサ セイラルダール トラーレス ヴェウン。

    és-aseiraldártorár-esvéun
    いる-<(軽いものが)>待席<主格>客-<属格>空の

    「客の待席が空いている。」

    家中の場の状況報告。存在・述語の文で、主語 seiraldár が軽性単数なので動詞は ésa。torár の属格 toráres が「誰の分の席か」を示す。形容詞 véun は属格より後ろにあるため、名詞句の外に出て述語と読む。

    ésa brál houmár

    読み:エーサ ブラール ホウマール

    és-abrálhoumár
    いる-<(軽いものが)>父<主格>家の主<主格>

    「父は家の主である。」

    家や炉の秩序を言う場面。存在・繋辞の文は és-+主語+述語の順になり、述語の名詞は自分の主格のままである。brál 自体は母方の父・父方の父を語形では区別しない。家系の流れや段を明確にする場面では、流れの属格や関係節を添えて区別する。

    ké éso kálmo tásei?

    読み:ケー エーソ カルモ ターセイ?

    kéés-okálmotás-ei?
    <〜か>いる-<(重いものが)>粟の粒<主格><あなた>-<与格>

    「粟の粒があるか?」

    日常会話での所持・存在の問い。存在・所有は és-+与格で表す。kálmo は脱穀した粟の実を指す用法で、重性o語幹の単数として éso と一致する。

    ké éso gáir tásei

    読み:ケー エーソ ガイル ターセイ

    kéés-ogáirtás-ei
    <〜か>いる-<(重いものが)>錐<主格><あなた>-<与格>

    「お前、錐はあるか。」

    所有・存在の疑問文。持ち主は与格で示し、存在する物は主格として扱う。動詞は存在する物に一致する。名詞 gáir は主格と対格が同形の語として扱う。

    ésa brím endríñei.

    読み:エーサ ブリーン エンドリーニェイ。

    és-abrímendríñ-ei
    いる-<(軽いものが)>寡黙<主格>子-<与格>

    「その子は寡黙だ。」

    brímを本義の「口数」から、礼法上の評価として「寡黙」を指す名詞に使う用法。存在文+与格で、その人にその性質があることを表す。brímは軽性の名詞として扱う。

    ésa brím torárei.

    読み:エーサ ブリーン トラーレイ。

    és-abrímtorár-ei
    いる-<(軽いものが)>多弁<主格>客-<与格>

    「客は多弁だ。」

    brímを礼法上の評価として「多弁」を指す名詞に使う用法。toráreiは人の属性を表す与格で、存在文と組んで「客に多弁がある」ことを示す。brímは軽性の名詞として扱う。

    éso filduló gandéroun snóil

    読み:エーソ フィルドゥロー ガンデーロウン スノイル

    és-ofildulógandér-ounsnóil
    いる-<(重いものが)>刻み通路<主格>硬木-<双数・属格>狭い

    「二つの硬木のはめ込みは狭い。」

    書物・技術記録風。重性子音語幹 gandér の双数属格は gandéroun。主語は filduló で、述語の形容詞 snóil は主語に一致し、重性単数主格では語尾を付けない。

    éso pláuvo un kórvoi.

    読み:エーソ プラウヴォ ウン コルヴォイ。

    és-opláuvounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>静けさ<主格>内に倉-<与格>

    「倉の中には静けさがある。」

    存在文。主語 pláuvo は重性単数なので存在動詞は éso を受ける。場所を示す un は与格を組み、「〜の中に」という所在を表す。

    ésa gláur sé rúgal.

    読み:エーサ グラウル セー ルーガル。

    és-agláursérúgal
    いる-<(軽いものが)>笑い声<主格>この<軽性>粗い

    「この笑い声は粗い。」

    笑い声の声質を評す文。gláur は軽性なので、存在・繋辞 ésa は軽性単数。指示詞 sé は軽性単数。述語形容詞 rúgal は主語に一致して軽性単数主格の無語尾形。

    pórin ésa gláur táses?

    読み:ポーリン エーサ グラウル ターセス?

    pórinés-agláurtás-es
    どのようにいる-<(軽いものが)>笑い<主格><あなた>-<属格>

    「あなたの笑いようはどうですか。」

    笑いという型・様態を尋ねる句。pórin は「どのように」の疑問語で、動詞の前に立つ。gláur は声そのものというより、その人の笑い方という含みで使う。táses は二人称単数代名詞 tás の属格で、「あなたの笑い」。

    éso unlóur sáko un beilíñoi éles.

    読み:エーソ ウンロール サーコ ウン ベイリーニョイ エーレス。

    és-ounlóursákounbeilíñ-oiél-es
    いる-<(重いものが)>まだ塩<主格>内に懐-<与格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「彼の懐には、まだ塩がある。」

    くだけた日常会話。beilíño は「懐」の比喩用法で、物理的な腰袋そのものというより、身につけている少々の備えを表す。un +与格で「〜の中に」。所有者は名詞の後ろの属格 él-es で示す。unlóur は動詞の直後に置く。

    ésa plána véun.

    読み:エーサ プラーナ ヴェウン。

    és-aplánavéun.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>素の

    「帳簿は何も書き込まれていない。」

    書物・帳簿に関する平叙文。plána は軽性 a語幹の名詞で、主格単数では語形が基本形のまま。繋辞 ésa は軽性の主語に一致する。帳簿がまだ何ものも受け入れていない、という「素の」の用法。

    ké ésa píma véun?

    読み:ケー エーサ ピーマ ヴェウン?

    kéés-apímavéun?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>紙<主格>素の

    「紙は何も書き込まれていないのか。」

    日常会話で、書き付けをする前に紙の状態を確かめる問い。軽性の名詞 píma を主語にするため、存在・繋辞 ésa を使う。存在・繋辞 ésa は és-a に分割し、text・segmented・gloss の語数が4語ずつで一致するようにする。形容詞 véun は主格単数では語尾が変わらない。問いの ké は文頭に置く。

    ésa tíula sé núl

    読み:エーサ ティーウラ セー ヌール

    és-atíulasénúl
    いる-<(軽いものが)>音<主格>この<軽性>低い

    「この声は低い。」

    tíula が軽性名詞句の中心で、指示詞 sé が名詞句を閉じる。その後の núl は名詞句内部の修飾語ではなく述語形容詞になる。軽性単数の述語形容詞は無語尾。声・音のピッチが低いことを言う。

    éso prámbo só núl

    読み:エーソ プランボ ソー ヌール

    és-oprámbosónúl
    いる-<(重いものが)>値<主格>この<重性>低い

    「この値は低い。」

    prámbo「値・価値」は重性名詞で、指示詞も重性の só を取る。só が主語名詞句を閉じ、その後の núl は述語形容詞になる。重性単数の述語形容詞は無語尾。値という程度・量基準より下にあることを示し、道徳的な貶意はない。

    éso prámbo fáronos só núl

    読み:エーソ プランボ ファーロノス ソー ヌール

    és-oprámbofáron-ossónúl
    いる-<(重いものが)>値<主格>荷-<属格>この<重性>低い

    「この荷の値は低い。」

    prámbo fáronos で「荷の値」。fáronos は fáron の重性単数属格。指示詞 só が名詞句を閉じ、その後の núl は述語形容詞として主語に一致する。ここでは値という程度の低さを表す。

    éso dún dúlen.

    読み:エーソ ドゥーン ドゥーレン。

    és-odúndúlen
    いる-<(重いものが)>丘<主格>低い

    「丘は低い。」

    存在文を兼ねた述語文。主語 dún は重性なので、繋辞は 3単数・重性の -o。述語形容詞 dúlen は主格単数で無語尾。

    ésa aldár sé dúlen.

    読み:エーサ アルダール セー ドゥーレン。

    és-aaldársédúlen
    いる-<(軽いものが)>座<主格>この<軽性>低い

    「この席は低い。」

    主語は軽性名詞 aldár。指示詞 sé は名詞の後ろに置く。述語形容詞 dúlen は軽性主格単数で無語尾。

    un kórvoi éso glimó.

    読み:ウン コルヴォイ エーソ グリモー。

    unkórv-oiés-oglimó.
    内に倉-<与格>いる-<(重いものが)>滲み・染み<主格>

    「倉に、滲み・染みがある。」

    日常の告げ。倉の中で、布や紙に生じた湿り・色移りの痕に気づいて言う言い方。glímó は重性語として、存在動詞 éis- の3人称単数・重性形 éso に主語として一致する。

    éso fándo húmel.

    読み:エーソ ファンド フーメル。

    és-ofándohúmel
    いる-<(重いものが)>戸口<主格>湿った

    「戸口が湿っている。」

    雨期や霧期などの生活の観察。存在の文で、主語 fándo が重性なので動詞は 3人称単数・重性の -o。述語の形容詞 húmel は名詞に一致して主格のまま。

    éso snúlvo un kórvoi.

    読み:エーソ スヌルヴォ ウン コルヴォイ。

    és-osnúlvounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>穴<主格>内に倉-<与格>

    「倉の中に穴がある。」

    日常の存在文。snúlvo は重性名詞で、存在動詞 és- は主語に一致して 3人称単数重性語尾 -o をとる。場所表現は un「〜の中」+与格。snúlvo は材質が欠けた「穴」の形状を指し、出入りの機能は含まない。

    éso snúlvo tó pír.

    読み:エーソ スヌルヴォ トー ピール。

    és-osnúlvotópír.
    いる-<(重いものが)>穴<主格>あの<重性>小さい

    「あの穴は小さい。」

    記録や注記のように、既知の穴を指示して寸法を述べる文。指示詞 tó は重性名詞 snúlvo を指示する。述語形容詞 pír は主語に一致し、重性単数では基辞のまま。

    éso snúlvo bún orénoi.

    読み:エーソ スヌルヴォ ブーン オレーノイ。

    és-osnúlvobúnorén-oi.
    いる-<(重いものが)>窪み<主格>深い縁-<与格>

    「縁には深い窪みがある。」

    地形や書物の記述のような存在文。名詞句内では名詞に形容詞が後続する。縁 orén は重性子音語幹で、与格は orén-oi。存在動詞 éso は主語 snúlvo に一致する。

    éso krunþrén só húmel.

    読み:エーソ クルンスレーン ソー フーメル。

    és-okrunþrénsóhúmel
    いる-<(重いものが)>物の置かれる段<主格>この<重性>湿った

    「この棚は湿っている。」

    家の中で物や食品の状態を見るときの文。存在・繋辞の és- を動詞として立て、主語の後に述語の形容詞を置く。重性名詞・単数主格では述語形容詞 húmel に語尾がつかない。指示詞 só は重性名詞に添えられる。

    éso snelíño kumbóros só kórvoi.

    読み:エーソ スネリーニョ クンボーロス ソー コルヴォイ。

    és-osnelíñokumbór-ossókórv-oi.
    いる-<(重いものが)>蓋<主格>青銅-<属格>この<重性>倉-<与格>

    「この青銅の蓋が倉にある。」

    存在・在庫を記す場面のような文。青銅製の蓋を指すため、指示詞は重性の só、存在動詞も重性の éso になる。名詞句は「蓋+材料の属格+指示詞」の語順。

    ké ésa líra tásei?

    読み:ケー エーサ リーラ ターセイ?

    kéés-alíratás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>糸<主格><あなた>-<与格>

    「あなたに糸はあるか。」

    日常会話で、手元に糸があるかどうかを尋ねる文。存在・所有の構文では、動詞は主語となる líra の軽性に合わせて 3 人称単数軽性の語尾 -a を受ける。持ち主は与格 tásei で表し、疑問文には文頭小辞 ké を添える。

    sórel, ésa tíula þrúl.

    読み:ソーレル、エーサ ティーウラ スルール。

    sórel,és-atíulaþrúl.
    今日いる-<(軽いものが)>音<主格>騒がしい

    「今日は音が騒がしい。」

    くだけた家庭内の呟きとして自然な文。存在の文 és- の主語が軽性単数 tíula で、述語形容詞 þrúl も軽性単数主格の形になる。þrúl- は、音そのものの物理的な大きさではなく、聞き手がその音を受けて不快であることを表す。

    na ésa fénla sléimen fálno.

    読み:ナ エーサ フェンラ スレーメン ファルノ。

    naés-afénlasléim-enfálno
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>切り枝<主格>切る-<〜した・〜された>薪<主格>

    「切り枝は薪ではない。」

    教訓的な定義文。na ésa A B で「A は B ではない」。存在・繋辞の動詞は述語名詞 fálno ではなく、主語 fénla(軽性・単数)に一致して 3 人称単数・軽性の -a をとる。名詞 fénla と分詞 sléimen は軽性・単数・主格の形、述語名詞 fálno は重性・単数・主格のまま。

    ésa endríña némes bresáur.

    読み:エーサ エンドリーニャ ネーメス ブレサウル。

    és-aendríñaném-esbresáur
    いる-<(軽いものが)>子<主格><私>-<属格>胸が張る

    「私の子は得意だ。」

    日常の家庭や知人どうしの会話。主語 endríña「子ども」は軽性なので、述語の bresáur は軽性単数の無標形になる。

    éun ésim bresáur.

    読み:エウン エーシン ブレサウル。

    éunés-imbresáur
    うんいる-<私が>胸が張る

    「うん、私は得意だよ。」

    くだけた会話で、自分の気持ちにうなずくように応じる言い方。éun は日常の同意語、ésim は一人称単数の存在・判断用法。主語は語尾から読み、形容詞は軽性単数の無標形。

    sórel, ésim bresáur.

    読み:ソーレル、エーシン ブレサウル。

    sórel,és-imbresáur
    今日いる-<私が>調子が良い

    「今日は調子がいい。」

    その日の体調や気分を言う日常の言い方。達成に対する誇りではなく、胸の軽い張りを派生的に「調子が良い」と表す。時は動詞前の場面の枠に置く。

    éso dulsúm kumbóroi

    読み:エーソ ドゥルスーン クンボーロイ

    és-odulsúmkumbór-oi
    いる-<(重いものが)>錆<主格>青銅-<与格>

    「青銅に錆がある。」

    存在文。所在は裸与格 kumbóroi で示す。dulsúm は金属に沈殿する重いものとして重性名詞扱いになり、存在動詞は -o で受ける。語域は中性で、日常の検査にも記録にも使える。

    glünlúin, ésa dralsnéla némes fóum

    読み:グリュンルーイン、エーサ ドラルスネーラ ネーメス フォーン

    glünlúin,és-adralsnélaném-esfóum
    凍りの頃いる-<(軽いものが)>首布<主格>私-<属格>暖かい

    「凍りの頃、私の首布は暖かい。」

    凍りの頃の実用的な外出装具について述べる日常の文。時間名詞 glünlúin を場面の枠として動詞前に置いた。dralsnéla は軽性 a 語幹扱いで、単数主格の語尾は -a。所有は名詞の直後の属格で表す。

    ésa dralsnéla aursáres trúum

    読み:エーサ ドラルスネーラ アウルサーレス トルーン

    és-adralsnélaaursár-estrúum
    いる-<(軽いものが)>首布<主格>祖先-<属格>古びた

    「祖先の首布は古びている。」

    書物や家系の記録のような文脈に合う、古い装具を指す文。dralsnéla に属格 aursáres を直後に置いて所有を表す。述語の trúum は物の古びた状態を表す。

    na ésa dralsnéla némes grémo

    読み:ナ エーサ ドラルスネーラ ネーメス グレーモ

    naés-adralsnélaném-esgrémo
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>首巻き<主格>私-<属格>帽子<主格>

    「私の首巻きは帽子ではない。」

    頭を覆う帽子 grémo と区別し、頭巾ではなく首巻きであることを明確にする否定の文。否定のコピュラ文では na を動詞前に置く。述語名詞 grémo は主格のまま置く。

    éso snúlvo krénos pír.

    読み:エーソ スヌルヴォ クレーノス ピール。

    és-osnúlvokrén-ospír.
    いる-<(重いものが)>穴<主格>天井-<属格>小さい

    「天井の穴は小さい。」

    存在文。中心語 snúlvo「穴」に属格 krén-os「天井の」を後置する。snúlvo は天井の一部としての穴、とくに煙口を指す。家屋の観察や修理の話題に使う日常語。

    éso krén núl.

    読み:エーソ クレーン ヌール。

    és-okrénnúl.
    いる-<(重いものが)>天井<主格>低い

    「天井は低い。」

    形容詞述語文。重性単数主格では形容詞は無語尾。krén が室内から見上げる頭上の面を指す基本用法。

    na éso krén snélo.

    読み:ナ エーソ クレーン スネーロ。

    naés-okrénsnélo.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>天井<主格>屋根<主格>

    「天井は屋根ではない。」

    名詞述語文。述語名詞 snélo は主格のまま。家屋の構造を説明する場面で、外を覆う屋根と室内の天井を区別する言い方。

    un bóraloi, éso krén ául an þúlnoi.

    読み:ウン ボーラロイ、エーソ クレーン アウル アン スルノイ。

    unbóral-oi,és-okrénáulanþúln-oi.
    中に家-<与格>いる-<(重いものが)>天井<主格>高い上手床-<与格>

    「家の中で、天井は床より上にある。」

    un+与格が場面の枠を作る。形容詞 ául に続く an+与格は比較で、家屋の構造上、天井が床より上にあることを示す。構造を説明する文脈向きの文。

    na éso aurselvándo krúl

    読み:ナ エーソ アウルセルヴァンド クルール

    naés-oaurselvándokrúl
    <〜ない>いる-<(重いものが)>息の通路<主格>壁

    「息の通路は壁ではない。」

    信仰・詩文の比喩用法。壁 krúl や床 þúlno を「息を止めるもの」とする対比の中で、aurselvándo を「息を通すもの」として述べる。否定 copula は na + és-。主語が重性なので動詞は -o。述語名詞 krúl は名詞としての性を保ち、無標示で置く。

    un aurselvándoi ésa selvá gléin.

    読み:ウン アウルセルヴァンドイ エーサ セルヴァー グレーン。

    unaurselvánd-oiés-aselvágléin
    内に息の通路-<与格>いる-<(軽いものが)>息<主格>清い

    「息の通路の中で、息は清い。」

    儀礼・詩の場面。aurselvándo を「息の通路」として、息が清まる場所を示す比喩用法。述語の形容詞の文に場所を添えるとき、un+与格は動詞の前に出す(統語論3.2、例文48)。動詞の後ろに置くと存在文として読まれる。主語 selvá は軽性なので copula は -a をとる。

    éso duléumo múel

    読み:エーソ ドゥレウモ ムーエル

    és-oduléumomúel
    いる-<(重いものが)>下の風<主格>遅い

    「下の風は遅い。」

    風の高さで区別する場面。上の風が速いという対比を前提に、下の風の遅さを述べる。下の風を表す語は重性として扱う。形容詞述語は存在動詞+主語+形容詞の形になり、重性単数の形容詞は無語尾。

    éso puló só múel

    読み:エーソ プロー ソー ムーエル

    és-opulósómúel
    いる-<(重いものが)>拍<主格>この<重性>遅い

    「この拍は遅い。」

    歌・詩・誦唱の韻律を論じる場での言い方。puló は一拍を指す。この sense では、拍が単に「のろい」だけでなく、一拍が重く沈むことを述べる。指示詞 só は重性の形。形容詞は主格単数では無語尾。

    lísa lisár ré éso puló tó múel

    読み:リーサ リサール レー エーソ プロー トー ムーエル

    lís-alis-árréés-opulótómúel
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人><〜と(節)>いる-<(重いものが)>拍<主格>あの<重性>遅い

    「書記は、あの拍は遅いと書いている。」

    書物・手習い・韻律論の場面。補文は ré で導し、元の文の法と語形をそのまま保つ。引用節の中でも形容詞述語は存在動詞+主語+形容詞の形になる。あの.HV は重性の指示詞 tó。

    ésa plána hóumes krélei.

    読み:エーサ プラーナ ホーメス クレーレイ。

    és-aplánahóum-eskrél-ei.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>炉-<属格>向かい-<与格>

    「帳簿は炉の向かいにある。」

    帳簿の所在を述べる文。存在の動詞 és- は主語 plána「帳簿」に一致して軽性 ésa になる。hóumes krél-ei が「炉の向かいに」という屋内の相対方位を表す。kréla の語幹 krél- に与格語尾 -ei が付く。

    éso nóumo kéumos trém

    読み:エーソ ノーモ ケウモス トレーン

    és-onóumokéum-ostrém
    いる-<(重いものが)>顔<主格>碑-<属格>平ら

    「碑の面は平らだ。」

    書物・碑文の説明として、物事の表面を「面」で表す言い方。nóumo を碑・板・壁などの「面」に使う。名詞句は「名詞+属格」の順。動詞は主語 nóumo に一致し、重性単数主格の trém は語尾をもたない。

    éso vól trém

    読み:エーソ ヴォール トレーン

    és-ovóltrém
    いる-<(重いものが)>地面<主格>平ら

    「地面は平らだ。」

    日常で、地面がなだらかに開けていることを述べる文。特定の面の平らさではなく、広い範囲の平坦さを表す用法。vól は重性として扱われ、形容詞は重性単数主格で無標になる。

    éso ílmo só trém

    読み:エーソ イルモ ソー トレーン

    és-oílmosótrém
    いる-<(重いものが)>水<主格>この<重性>平ら

    「この水は平らだ。」

    湖や池の水面が静まって起伏がないことを言う、日常向けの文。ílmo は重性の水を表し、指示詞 só を伴う。この文では不可名詞的な水そのものを主語にしているため、動詞は重性単数、trém も無標。

    ésa selmá sáun.

    読み:エーサ セルマー サウン。

    és-aselmásáun.
    いる-<(軽いものが)>太陽<主格>良い

    「太陽は良い。」

    天候の良さを告げる日常の文。存在・繋辞の動詞を文頭に置き、主語 selmá(軽性)に語尾 -a を合わせる。述語形容詞 sáun「良い」は、軽性単数主格では語尾を取らない。

    ké ésa anrása táses glóur?

    読み:ケー エーサ アンラーサ ターセス グロール?

    kéés-aanrásatás-esglóur?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>上層の衣<主格><あなた>-<属格>緑

    「あなたの上層の衣は緑ですか。」

    くだけた日常会話で、相手の衣の最上層の色をたずねる文。所有の táses は名詞の後ろに置く。anrása は内側の衣と区別した衣の最上層を指す用法。

    ké ésa snóur sé sáun?

    読み:ケー エーサ スノール セー サウン?

    kéés-asnóursésáun?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>整い<主格>この<軽性>良い

    「この整いはよいですか。」

    日常会話での確認・批評。整い(意味2)は物の輪そのものではなく、外見としてととのっている度合いを表す。主語 snóur は軽性子音語幹なので、存在・繋辞 és- は軽性単数形 ésa になる。指示詞は名詞に一致して軽性の sé を使う。

    ésa snóur té séuril.

    読み:エーサ スノール テー セウリル。

    és-asnóurtéséuril.
    いる-<(軽いものが)>整い<主格>あの<軽性>美しい

    「あの整いは美しい。」

    書物・美の批評での用法。この snóur は「整い」と訳し、鋳物・書・衣などで輪郭の取り方として乱れなくととのっていることを評価する。主語 snóur が軽性子音語幹なので、繋辞は軽性の ésa、指示詞も軽性の té をとる。

    éso mélvo nébroi.

    読み:エーソ メルヴォ ネーブロイ。

    és-omélvonébr-oi
    いる-<(重いものが)>戸<主格>霧-<与格>

    「霧の中に戸がある。」

    所在を示す存在文。存在の és- が重性主語 mélvo に一致し、裸与格 nébr-oi が「霧の中に」という場所を表す。

    un kórvoi éso mélvo léimen.

    読み:ウン コルヴォイ エーソ メルヴォ レーメン。

    unkórv-oiés-omélvoléim-en
    中に倉-<与格>いる-<(重いものが)>板戸<主格>置く-<〜した・〜された>

    「板戸は倉に置かれている。」

    物の所在や在庫を記す陳述文。述語受動の結果状態に場所を添えるため、前置詞句を動詞の前に出す。存在・状態を表す文では éso が主語の mélvo に一致し、他動詞 léim- の分詞 léimen が「置かれた」という結果の状態を作る。前置詞 un は与格と組んで「〜の中に」を表す。

    éso kloníño némes krém.

    読み:エーソ クロニーニョ ネーメス クレーン。

    és-okloníñoném-eskrém.
    いる-<(重いものが)>肘<主格><私>-<属格>痛い

    「私の肘は痛い。」

    日常の体の状態。身体部位の所属は名詞の後ろの属格で表す。形容詞 krém は主語句の後に述語として置かれる。重性名詞の単数主格は無語尾。

    ké éso kloníño táses krém?

    読み:ケー エーソ クロニーニョ ターセス クレーン?

    kéés-okloníñotás-eskrém?
    <〜か>いる-<(重いものが)>肘<主格><あなた>-<属格>痛い

    「あなたの肘は痛いか。」

    日常の問いかけ。ké を文頭に置く下向きの問い。身体部位の所属は属格 táses で表す。

    éso krúmo némes gróm.

    読み:エーソ クルーモ ネーメス グローン。

    és-okrúmoném-esgróm.
    いる-<(重いものが)>腰<主格><私>-<属格>重い

    「私の腰は重い。」

    日常の体訴。krúmo は肉体の部位として重性語であり、存在文の動詞 éso- は重性の語尾 -o を受ける。所有者は名詞句内の属格 ném-es で表し、述語 gróm はその後に置かれる。

    éso fáron snóimoi fúnelos.

    読み:エーソ ファーロン スノイモイ フーネロス。

    és-ofáronsnóim-oifúnel-os
    いる-<(重いものが)>荷<主格>荷受け-<与格>綱-<属格>

    「綱の荷受けに荷が乗っている。」

    存在文。《荷》が主語で、与格《荷受け》が所在を示す。o語幹の与格は語尾 -oi で表す。《荷受け》に《綱》の属格が後置し、綱が乗る受け部であることを明示する。

    éso nébro snóimoi orénos.

    読み:エーソ ネーブロ スノイモイ オレーノス。

    és-onébrosnóim-oiorén-os
    いる-<(重いものが)>霧<主格>物肩-<与格>縁-<属格>

    「縁の物肩に霧がかかっている。」

    《物肩》は崖や丘・屋根など、上の面と下の面の境にある張り出した部分を表す。縁の属格を後置して、霧が所在する物肩を示す。o語幹の与格は語尾 -oi で表す。

    éso fáron snóimoi kórvos.

    読み:エーソ ファーロン スノイモイ コルヴォス。

    és-ofáronsnóim-oikórv-os
    いる-<(重いものが)>荷<主格>物肩-<与格>倉-<属格>

    「倉の物肩に荷がある。」

    《倉》の単数属格を後置し、倉の張り出した肩部に荷があるという実務的な所在を示す。存在の主語《荷》は重性。o語幹の与格は語尾 -oi で表す。

    éso sámon só un kórvoi.

    読み:エーソ サーモン ソー ウン コルヴォイ。

    és-osámonsóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>生皮<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「倉の中に、この生皮がある。」

    未加工の生皮を倉に仕込んでおく場の所在を言う日常文。身体や未加工の材料としての sámon は重性で扱う。

    éso þéum lísen.

    読み:エーソ セウン リーセン。

    és-oþéumlís-en.
    いる-<(重いものが)>色づき<主格>書く-<〜した・〜された>

    「色づきは書き留められている。」

    記録・帳簿の文。存在・状態を表す éso は主語 þéumo が重性なので3人称単数・重性語尾 -o。分詞 lísen は重性単数主格で無標。þéumo は þéum-o と分離する。

    ésa fénla glóur

    読み:エーサ フェンラ グロール

    és-afénlaglóur
    いる-<(軽いものが)>枝<主格>緑に茂る

    「枝が緑に茂っている。」

    日常の観察で使う述語形容詞の文。主語 fénla が軽性単数主格なので、存在詞 és- は 3 人称単数軽性の -a を取り、形容詞 glóur は主格単数では語尾をもたない。

    éso ráuvo glóur.

    読み:エーソ ラウヴォ グロール。

    és-oráuvoglóur.
    いる-<(重いものが)>森<主格>緑に茂る

    「森は緑に茂っている。」

    形容詞述語文は存在動詞és-で始め、「és-+主語+述語形容詞」の語順をとる。森は重性なので、動詞は3人称単数・重性の-oを受ける。

    éso þárno pímes rúgal.

    読み:エーソ サルノ ピーメス ルーガル。

    és-oþárnopím-esrúgal.
    いる-<(重いものが)>端<主格>紙-<属格>粗い

    「紙の端は粗い。」

    存在動詞 éso は主語 þárno に合わせて重性単数の形をとる。pímes は語幹 pím- に属格 -es が接した形。述語形容詞 rúgal は主語 þárno に一致し、重性単数主格では語尾がつかない。

  2. 〜である

    繋辞として「és- +主語+述語」の順で使う。述語の形容詞は主語に一致する。

    éso glünó só krán.

    読み:エーソ グリュノー ソー クラーン。

    és-oglünósókrán.
    である-<(重いものが)>氷<主格>この<重性>硬い

    「この氷は硬い。」

    繋辞の文で、「éis-+主語+述語」の順に並ぶ。主語の glünó が重性なので、繋辞は -o、指示詞は só になる。凍りの頃に、氷に乗れるかどうかを確かめるときの言い方。

    ésim dalorár.

    読み:エーシン ダロラール。

    és-imdalor-ár.
    である-<私が>下の国-<〜する人>

    「私は下の国の者だ。」

    名詞を述語にする繋辞の文。主語は動詞の語尾 -im でわかるので、代名詞は言わない。dalorár は dálor に -ár がついた語で、干潟の人を指す。

  3. (〜に)ある=持っている

    持ち主を与格にして所有を表す。動詞は持たれている物に一致する。

    ké éso sáko tásei?

    読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?

    kéés-osákotás-ei?
    <〜か>ある-<(重いものが)>塩<主格><あなた>-<与格>

    「お前、塩はあるか?」

    所有は持ち主の与格で表す。動詞は持ち主ではなく、持たれている塩 sáko(重性)に一致する。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éiso、「いいえ」なら na éiso と言う。

  4. 〜されている(状態)

    分詞と組んで結果の状態を表し、受け身の代わりになる。

    ésa sáindar lísen aulisáres.

    読み:エーサ サインダル リーセン アウリサーレス。

    és-asáindarlís-enau-lis-ár-es.
    されている-<(軽いものが)>証文<主格>書く-<〜した・〜された><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

    「証文は書記の方によって書かれている。」

    受け身の専用の形がないので、éis-+分詞で結果の状態を表す。分詞の後ろの属格は、その動作をした人を表す。証文 sáindar は軽性なので、分詞 lísen は単数主格の語尾なしの形になる。

解説

「いる・ある」を表す存在の動詞で、「AはBだ」の繋辞としても使う。存在の文は「és- +主語+場所」で言う(éso nébro an orénoi「縁の上手に霧がある」)。所有には「持つ」にあたる動詞を使わない。「és- +持たれる物+持ち主の与格」で言い、動詞は持ち主ではなく持たれる物に一致する(éso fáron némei「私には荷がある」)。分詞と組むと結果の状態を表し、受け身の代わりになる(éso gandér kélen「硬木は伐られている」)。目上の人には尊敬の補充形 aldán-「おわす」を、自分には謙譲の補充形 dóm-「控える」を使う。諺や詩では és- を落とし、述語を先に置く。

そのほかの用例

sán fáronul grómul ín an kórvoi.

読み:サーン ファーロヌル グロームル イーン アン コルヴォイ。

sánfáron-ulgróm-ulínankórv-oi.
いる<彼らが>荷-<〜たちが>重い-<〜たちが>一上手倉-<与格>

「倉の北側に、重い荷がいくつかある。」

名詞句の終わりの ín は、複数の名詞句にも使える不定の目印。

wéira ólmar senár.

読み:ウェーラ オルマル セナール。

wéir-aólmarsen-ár.
いる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>見る-<〜する人>

「年長の方は目付になった(今は目付である)。」

és- の完了 wéir- は「〜であるようになった」。なった結果の今の状態に重きがある。

wéiro sáko némei, duói méirim ó endríñei.

読み:ウェーロ サーコ ネーメイ、ドゥオイ メーリン オー エンドリーニェイ。

wéir-osákoném-ei,duóiméir-imóendríñ-ei.
いる<〜し終えた>-<(重いものが)>塩<主格><私>-<与格>それから与える-<私が><3人称単数・重性・対格>子ども-<与格>

「私は塩を手に入れ、それから子どもにそれをやる。」

所有の文の文法上の主語は塩なので、-in ではつなげず duói を使う。

ké sénes gandér tó? éso ó fóndel.

読み:ケー セーネス ガンデール トー?エーソ オー フォンデル。

késén-esgandértó?és-oófóndel.
<〜か>見る-<あなたが>硬木<対格>あの<重性>いる-<(重いものが)><3人称単数・重性>古い

「あの硬木が見えるか?あれは由緒ある古木だ。」

樵が森で若い者に話しかける言い方。生えている木はふつう軽性だが、硬木だけは生えていても重性で受けるので、指示詞は重性の tó、代名詞も重性の ó、繋辞も重性の éso になる。fóndel は、由緒があって尊い「古い」。

tóro duléumo es orénos, esélo nébro dórel.

読み:トーロ ドゥレウモ エス オレーノス、エセーロ ネーブロ ドーレル。

tór-oduléumoesorén-os,es-él-onébrodórel.
来る-<(重いものが)>下の風<主格>から縁-<属格>いる-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>明日

「縁から下の風が来ている。明日は霧が出るだろう。」

空模様を読む日常の文。duléumo は重性o語幹なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。後半は存在の文を推量法にしたもので、確かでない明日のことは推量法で言う。霧 nébro も重性なので、esélo の語尾は -o になる。下の風は崖下から這い上がる湿った風で、霧と病を運ぶものとされる。

dúla anléuma es þráinos, ésa élvar þáil.

読み:ドゥーラ アンレウマ エス スライノス、エーサ エルヴァル サイル。

dúl-aanléumaesþráin-os,és-aélvarþáil.
下る-<(軽いものが)>上の風<主格>から峰-<属格>いる-<(軽いものが)>天<主格>澄んだ

「上の風が峰から下りてきて、空が澄みわたっている。」

乾風期の初めのころの空模様を言う文。接続詞を使わずに主節を二つ並べ、あいだを区切りの印(読点)で区切っている。anléuma は北の高みから下りてくる風なので、動詞は「昇る」ではなく dúl-「下る」を使う。þráin「峰」は石の峰なので重性で、属格は -os になる。anléuma は清く良い風とされ、この風が吹くと星読みの季節が来る。

na ráinimor fóndar éles, ésa él ível.

読み:ナ ライニモル フォンダル エーレス、エーサ エール イーヴェル。

naráin-imorfóndarél-es,és-aélível.
<〜ない>知る-<我々が>源<対格><3人称単数・軽性>-<属格>いる-<(軽いものが)><3人称単数・軽性>成り上がりの

「あの者の源を我々は知らない。あの者は成り上がりだ。」

婚姻の取り決めで、系譜読みが相手の家を値踏みするときの言い方。重性の fóndar は、対格でも形が変わらない。所有者を表す属格 éles は名詞の後ろに置く。後半は「és-–主語–述語」の順。

lúin tóro nébro, mé virésa éndran. éso sárvo.

読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー ヴィレーサ エンドラン。エーソ サルヴォ。

lúintór-onébro,mévir-és-aéndr-an.és-osárvo.
とき来る-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>言う-<〜すべし>-<(軽いものが)>人-<対格>いる-<(重いものが)>禁忌<主格>

「霧が来たら、人の名を呼ばぬこと。これは禁忌である。」

季節の言い習わし。霧の中で名前を呼ぶと、下の国にその名前を聞かれるとされる。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。当為法は mé で否定し、主語を言わないときは一般の人が主語になるので、軽性の形をとる。vír-「言う」は人の対格をとると「名を呼ぶ」の意味になる。最後の文は、存在の és- と重性の sárvo で「禁忌である」と言う。

ké ráines ré ésa orenvandár té sal þrénuls?

読み:ケー ライネス レー エーサ オレンヴァンダール テー サル スレーヌルス?

kéráin-esréés-aorenvandártésalþrén-uls?
<〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>〜の枠の外に段-<〜らに>

「あの縁商人が段の外の者だと、お前は知っているか。」

同じ段どうしの、くだけた問い。縁商人が仮の段の者として扱われるのは市の札が効く商いの場だけで、それ以外では段の外の者だ、ということを話題にしている。指示詞 té は強勢をもち、後ろに続くのが動詞ではなく前置詞なので、関係節の小辞 ti と取り違えることはない。

sán dáumbar báronul tanfílar un plánei.

読み:サーン ダウンバル バーロヌル タンフィーラル ウン プラーネイ。

sándáumbarbáron-ultanfíl-arunplán-ei
いる<彼らが>二十本-<〜たちが>経糸-<〜らの>内に帳簿-<単数・与格>

「帳簿には経糸が二十本ある。」

帳簿の記述。数を単位 báron と併記する形で、数詞 dáumbar が量の名詞 báron を複数主格で受け、数える tanfíl は軽性子音語幹なので複数属格は -ar を取る。un は与格を要求するため、帳簿は複数主格ではなく単数与格 plánei を用いる。帳簿語としては数え単位との併記が定型。

wéiro monáur un plánei.

読み:ウェーロ モナウル ウン プラーネイ。

wéir-omonáurunplán-ei.
いる<〜し終えた>-<(重いものが)>繰り上がり<主格>内に帳簿-<与格>

「帳簿に繰り上がりが生じた。」

帳簿の書きつけや教示文のような、記述的でやや改まった言い方。wéir- は és- の完了相で、「〜があるようになった」「〜が生じた」という成立の含みをもつ。un は与格と組んで「〜の中に」。plána は軽性 a 語幹・語根強勢型なので、与格単数は plán-ei となり、綴りは plánei となる。

sán ombaklónul kránul némei.

読み:サーン オンバクローヌル クラーヌル ネーメイ。

sánombaklón-ulkrán-ulném-ei
いる<彼らが>指の節-<〜たちが>硬い-<〜たちが><私>-<与格>

「私には硬い指の節がある。」

身体部分の所有を表す日常文。存在動詞 sán は持たれている複数名詞に一致し、持ち主は与格 némei で示す。形容詞 krán も重性複数名詞と一致して -ul をとる。

sán rásai eulérenai sé.

読み:サーン ラーサイ エウレーレナイ セー。

sánrás-aieuléren-aisé.
いる<彼らが>衣-<〜たちが>別々の-<〜たちが>この<軽性>

「これらの衣は互いに違っている。」

比べる相手を言わない複数主語なので、「それぞれ別だ」の意味になる。日常の仕立てや市でのやり取りの形。指示詞 sé が名詞句の終わりを示す。

sán éndrai eulérenai es némores.

読み:サーン エンドライ エウレーレナイ エス ネーモレス。

sánéndr-aieuléren-aiesnémor-es.
いる<彼らが>人-<〜たちが>流れの違う-<〜たちが>から<我々>-<属格>

「人々は我々とは違う(身内ではない)。」

人を指して euléren を使うと、単に性質が違うのではなく、「別の流れ」に属する、つまり身内でないという冷ややかな意味になる。es némoresは「我々から/我々の身内から」。

wéiro dóulin nórlo éles véun, na hóina

読み:ウェーロ ドーリン ノルロ エーレス ヴェウン、ナ ホイナ

wéir-odóulinnórloél-esvéun,nahóin-a
いる<〜し終えた>-<(重いものが)>もう寝所<主格><3人称単数・軽性>-<属格>空,<〜ない>帰る-<(軽いものが)>

「彼の寝所はもう空だ。彼は帰らない。」

日常の会話で、人の帰る場所・安らぎの場として nórlo を比喩的に用いる。後節の主語は動詞の軽性語尾から推定される。

sán trǘl némes múelul sórel

読み:サーン トリュール ネーメス ムーエルル ソーレル

sántrǘlném-esmúel-ulsórel
いる<彼らが>足<〜ら(古い母音交替)><私>-<属格>遅い-<〜ら(古い母音交替)>今日

「私の足は今日は遅い。」

歩行・作業の速度についていう日常の言い方。身体部位は重性。tról は母音交替による複数 trǘl をもつが、グロスでは非連結変化のため足.PLと一形態素として扱う。複数主語の属性述語には存在動詞の3人称複数 sán を用い、形容詞は主格複数 -ul にする。所有は名詞句の属格で表し、持主の与格にはしない。

sán mǘn trémul

読み:サーン ミューン トレームル

sánmǘntrém-ul
いる<彼らが>石<〜ら(古い母音交替)>平ら-<〜ら(古い母音交替)>

「石は平らだ。」

日常で、道の石や材木としての石を見立てる場での文。sán は és-「いる」の不規則な3人称複数形で、語根と人称・数の語尾が融合した一形態素として いる.3PL とグロスする。món の母音交替形 mǘn が重性の複数主格になる。述語形容詞 trém は重性複数主格の語尾 -ul を受ける。

文法

不規則動詞。直説法は、1単 ésim、2単 éses、3単 ésa(軽)/éso(重)、双 ésau、1複 ésimor、2複 ésers。3複だけは不規則に sán となる(*ésan にならない)。完了語根は補充形の wéir-。命令2単は és。尊敬の補充形は aldán-、謙譲の補充形は dóm-。所有文では持たれる物に一致するので、問い ké éso…? には人称を変えずに éso/na éso と答える。

語源

古高原語から受け継いだ、いちばん古い動詞の一つ。古い形 *és- の母音が、強勢の下で二重母音 ei になった。3人称複数の sán と完了語根の wéir- は、別の古い語根から来た補充形である。

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