小説
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薄氷
張りはじめの、乗れない薄い氷。
mé ráum glüníñoi!
読み:メー ラウン グリュニーニョイ!
| mé | ráum | glüníñ-oi! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 歩く<命令法><あなたが> | 薄氷-<与格> |
「「薄氷の上を歩くな!」」
親が子に言う、ありふれた禁止の言い方。禁止は mé + 命令法で言う。glüníño は道のりの対格で、「どこを歩くか」を表す。重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。
raumíre endríña glüníñoi, bruuméla du ílmo.
読み:ラウミーレ エンドリーニャ グリュニーニョイ、ブルーメーラ ドゥ イルモ。
| raum-ír-e | endríña | glüníñ-oi, | bruum-él-a | du | ílmo. |
| 歩く-<もし〜なら>-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 薄氷-<与格> | 落ちる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 下手 | 水<対格> |
「「子どもが薄氷の上を歩けば、水に落ちるだろう。」」
凍りの頃の事故を戒める文。条件の節は動詞を仮定法にするだけで作り、帰結の節は推量法で言う。水に落ちることは「下へ引かれる」恐ろしい出来事とされるので、du + 対格「下手へ」を使う。主語は人なので、動詞は軽性の形をとる。
危うい足場
いつ崩れるかわからない立場や約束の比喩。
ésa sáindar sé tráumo, na ésa glüníño.
読み:エーサ サインダル セー トラウモ、ナ エーサ グリュニーニョ。
| és-a | sáindar | sé | tráumo, | na | és-a | glüníño. |
| いる-<(軽いものが)> | 証文<主格> | この<軽性> | 確かな足場 | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 危うい足場 |
「この証文は渡り氷だ、薄氷ではない。」
縁の市で、約束が確かなことを請け合う決まり文句。tráumo と glüníño を対にして言う。証文 sáindar は紙に書かれたものなので軽性で、繋辞は -a、指示詞は軽性の sé をとる。
lúin éso nébro, ésa þondá glüníño.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、エーサ ソンダー グリュニーニョ。
| lúin | és-o | nébro, | és-a | þondá | glüníño. |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | いる-<(軽いものが)> | 誓い<主格> | 危うい足場 |
「霧の出ているときの誓いなど、薄氷のようなものだ。」
諺めいた言い方。霧期に立てた誓いは祖先に届かず、無効とされる。そのことを、いつ割れるかわからない薄氷にたとえている。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。主語 þondá は軽性なので、繋辞は -a をとる。述語の名詞 glüníño は主語の性に合わせない。
ráumes glüníñoi.
読み:ラウメス グリュニーニョイ。
| ráum-es | glüníñ-oi. |
| 歩く-<あなたが> | 薄氷-<与格> |
「「お前は薄氷の上を歩いているぞ。」」
危うい立場にいる相手をいさめる慣用句。glüníño は道のりの対格。2人称を使うので、目下の相手や親しい相手に言う。「渡り氷を歩く」と言えば、確かな立場にいることになる。
凍りの頃のはじめに湖に張る、張りはじめの薄い氷。乗ることのできない氷で、子どもにも近づかせない。比喩として、危うい立場や、いつ崩れるかわからない取り決めを言う。
重性・o語幹(④型)。属 glüníños。
glünó「氷」+指小辞 -íño(重性)。「小さな氷」の意。
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