小説
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岸
湖やゆるやかな川の、水と陸が接するところ。水際とそのすぐ上の土地を指す。
sénim lárno.
読み:セーニン ラルノ。
| sén-im | lárno. |
| 見る-<私が> | 岸<対格> |
「私は岸を見る。」
lárno は重性o語幹名詞で、単数対格は主格と同じく無標の lárno として現れる。ここでは見ることの対象を直接対格で取る。
glǘno lárno.
読み:グリューノ ラルノ。
| glǘn-o | lárno. |
| 凍る-<(重いものが)> | 岸<主格> |
「岸が凍る。」
lárno は主語として現れる。重性o語幹名詞の単数主格は引用形 lárno そのまま。主語が重性なので動詞は 3人称単数・重性の -o をとる。
湖畔
岸に沿って広がる低い土地や、そこにある家並み・村。都の言葉では、丘の上と対になる「低い所」の含みを帯びることがある。
ké éso mérvo só lárno?
読み:ケー エーソ メルヴォ ソー ラルノ?
| ké | és-o | mérvo | só | lárno? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 村<主格> | この<重性> | 湖畔<主格> |
「この村は湖畔の集落か。」
名詞述文による尋ね。lárno は水際そのものではなく、湖畔の低い土地・集落を指す用法。述語名詞は主語に一致せず、主格のまま置く。
湖や、流れのゆるやかな川の、水と地面が接するあたりの土地を言う。地面を指す語なので重性で、場所は前置詞なしの与格 lárnoi「岸で・水辺に」で言う(véinores lárnoi「湖の岸に」)。崖のきわを指す orén「縁」とは別の語で、orén が「落ちる所」、lárno が「水が止まる所」という感覚で使い分ける。峡谷の切り立った川べりは「岸」というより崖や谷の壁として言うことが多く、lárno と言えるのは、湖盆の湖や大湖の出口の渡しのように、歩いて水際まで下りられる平らな水辺である。湖都では身分の高い家ほど丘の上に、低い家ほど湖のほとりに建つので、都の言葉で「岸の者」「岸から上がってきた」と言うと、生まれの低さをほのめかす響きになることがある。いっぽう湖畔の村や漁村では、岸は網を干し、凍りの頃には氷の張りはじめを見張る暮らしの場で、悪い含みはない。湖の氷は岸から張りはじめ、霧期には岸から腐るので、氷の状態を言うときにもよく出てくる(lárnoi glüníño「岸に薄氷」)。
重性・o語幹。単 主対 lárno/属 lárnos/与 lárnoi、双 主対 lárnou/属与 lárnoun、複 主対 lárnul/属 lárnur/与 lárnuls。主格と対格は同じ形。場所は裸の与格 lárnoi か、方向の前置詞+与格(an lárnoi「岸の上手(北側)で」)で言う。綴りは〈larno〉。
古高原語にさかのぼる固有の語根で、言語内のほかの語からは説明できない。重性o語幹の語末の -o は、古い重性の接辞 *-o- が語幹の末尾として残ったもので、nébro「霧」と同じ型。
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