小説
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大鹿
森の帯にすむ角の大きな鹿。王と貴族の狩りの獲物。
kúulim kréinul hérvanes.
読み:クーリン クレーヌル ヘルヴァネス。
| kúul-im | kréin-ul | hérvan-es. |
| 煮る-<私が> | 骨-<〜たちを> | 大鹿-<属格> |
「大鹿の骨を煮る。」
台所の言葉。骨を煮出して汁をとる。kréin は重性の子音語幹で、複数対格は主格と同じ -ul。属格 hérvanes は名詞の後ろに置く。
ké ésa éndra téndoi? na ésa éndra, ésa hérvan.
読み:ケー エーサ エンドラ テンドイ?ナ エーサ エンドラ、エーサ ヘルヴァン。
| ké | és-a | éndra | ténd-oi? | na | és-a | éndra, | és-a | hérvan. |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | あそこ-<与格> | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | いる-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> |
「「「あそこに人がいるか?」「いや、人じゃない。大鹿だ。」」」
二人の発話。「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返し、na をつけて否定の答えにしている。éndra は、獣と区別した「人」を指す。人も大鹿も軽性なので、動詞はどちらも ésa になる。
sén, ésa hérvan téndoi!
読み:セーン、エーサ ヘルヴァン テンドイ!
| sén, | és-a | hérvan | ténd-oi! |
| 見る<命令法><あなたが> | いる-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> | あそこ-<与格> |
「「見ろ、あそこに大鹿がいる。」」
森で角の大きな鹿を見つけたときのくだけた叫び。hérvan は獣なので軽性の子音語幹で、存在の動詞は ésa になる。大鹿は王と貴族だけが狩ってよい獲物なので、森の民にとっては「見るだけの獣」である。
mé taulésa hérvanan.
読み:メー タウレーサ ヘルヴァナン。
| mé | taul-és-a | hérvan-an. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 取る-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 大鹿-<対格> |
「大鹿を獲らぬこと。」
法典や王の森の触れ書きに見られる当為法の文。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の -a をとる。当為法の -és- が強勢を奪うので、語根 tául- の ´ は消える。軽性の子音語幹の対格は -an になる。
þróuma hérvan.
読み:スローマ ヘルヴァン。
| þróum-a | hérvan. |
| 死ぬ<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> |
「大鹿が死んだ。」
狩猟の場面で動物の死を告げる、ごく普通の報告の文。動物は軽性なので、動詞は完了語根 þróum- に3人称単数・軽性の -a がつく。
森の帯にすむ、角の大きな鹿。王と貴族だけが狩ってよい獣とされ、森の民がこれを狩るのは禁じられている。年齢は角の枝分かれの数で言い表すが、これは大鹿を数えているのではなく角の形を言うものとされる。貴族の鷹狩りや宴の話題、宮廷詩の題材としてよく出てくる。
軽性・子音語幹(②型)。対 hérvanan、属 hérvanes、複 hérvanai。
古高原語 *hérvana の主格語尾が古い脱落で落ちた形(綴り〈hervana〉)。語根 herv-「枝分かれする」に由来し、角の枝を指したとされる。
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