小説
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冷たい
温度が低いこと。
éso ílmo klér un kórvoi.
読み:エーソ イルモ クレール ウン コルヴォイ。
| és-o | ílmo | klér | un | kórv-oi. |
| いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい | 内に | 倉-<与格> |
「倉の中に冷たい水がある。」
前置詞つきの与格も、動詞の後ろにあれば存在の文と読む。
un kórvoi, éso ílmo klér.
読み:ウン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール。
| un | kórv-oi, | és-o | ílmo | klér. |
| 内に | 倉-<与格> | いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい |
「倉の中では、水は冷たい。」
場所を動詞の前に出すと、述語の形容詞の文になる(場所を対比の前置きとして出した形)。
éso ílmo klér an kórvoi.
読み:エーソ イルモ クレール アン コルヴォイ。
| és-o | ílmo | klér | an | kórv-oi. |
| いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい | 上手 | 倉-<与格> |
「水は倉より冷たい。」
述語の形容詞のすぐ後ろの an+与格は、比較として読む。
an kórvoi, éso ílmo klér.
読み:アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール。
| an | kórv-oi, | és-o | ílmo | klér. |
| 上手 | 倉-<与格> | いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい |
「倉の北側では、水は冷たい。」
比較でない場所の an+与格は、動詞の前に出す。
ké an kórvoi, éso ílmo klér?
読み:ケー アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール?
| ké | an | kórv-oi, | és-o | ílmo | klér? |
| <〜か> | 上手 | 倉-<与格> | いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい |
「倉の北側では、水は冷たいか。」
ké は文のいちばん前、そのあとに場面の枠が来る。
éso ílmo klér ín an kórvoi.
読み:エーソ イルモ クレール イーン アン コルヴォイ。
| és-o | ílmo | klér | ín | an | kórv-oi. |
| いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい | 一 | 上手 | 倉-<与格> |
「倉の北側に、冷たい水がある。」
ín「一」を名詞句の終わりに置いて、不定の名詞句を閉じる。閉じたあとの an+与格は比較ではなく場所。
ké an kórvoi, éso ílmo klér? éso.
読み:ケー アン コルヴォイ、エーソ イルモ クレール?エーソ。
| ké | an | kórv-oi, | és-o | ílmo | klér? | és-o. |
| <〜か> | 上手 | 倉-<与格> | いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい | いる-<(重いものが)> |
「「倉の北側では、水は冷たいか」「冷たい」」
答えの形では、場面の枠も問いに出た語として省ける。
éso fíndo némes klér.
読み:エーソ フィンド ネーメス クレール。
| és-o | fíndo | ném-es | klér. |
| いる-<(重いものが)> | 耳<主格> | <私>-<属格> | 冷たい |
「耳が冷たい。」
凍りの頃によく聞く、くだけた言い方。「AはBだ」の文も繋辞 és- を先頭に置く。fíndo は体の部分なので重性で、繋辞は重性の -o をとる。述語の形容詞 klér は重性・単数・主格なので語尾がない。
ésa léuma klér sórel.
読み:エーサ レウマ クレール ソーレル。
| és-a | léuma | klér | sórel. |
| いる-<(軽いものが)> | 風<主格> | 冷たい | 今日 |
「今日は風が冷たい。」
日常の会話で天気を言う文。繋辞 és- を文頭に置き、「és-+主語+述語」の順に並べる。léuma は軽性なので、繋辞は3人称単数・軽性の -a をとる。述語の形容詞 klér も軽性・単数・主格の形で、語尾はつかない。léuma は吹いてくる高さを言わない一般の語なので、どちらから吹く風かを問わず使える。
hél órelei, éso nébro klér.
読み:ヘール オーレレイ、エーソ ネーブロ クレール。
| hél | órel-ei, | és-o | nébro | klér. |
| 座る<命令法><あなたが> | 日の光-<与格> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 冷たい |
「日なたに座れ。霧が冷たい。」
家族や目下の者への、くだけた気づかいの言葉。órel の与格 órelei は「日の当たる所で」、つまり日なたの意味になる。hél- の命令法2人称単数は語幹そのままの形。後半の主語 nébro は重性なので、繋辞は éso になり、述語の形容詞 klér は一致の語尾をとらない。
nílim ílmo klér es þéulos.
読み:ニーリン イルモ クレール エス セウロス。
| níl-im | ílmo | klér | es | þéul-os. |
| 飲む-<私が> | 水<対格> | 冷たい | から | 湧き水-<属格> |
「私は湧き水の冷たい水を飲む。」
日常の文。地上を流れる水 ílmo は重性なので、主格と対格が同じ形になり、形容詞も語尾がつかない。es+属格で「〜から」と出どころを表す。
éso gandér klér.
読み:エーソ ガンデール クレール。
| és-o | gandér | klér. |
| いる-<(重いものが)> | 硬木<主格> | 冷たい |
「硬木は冷たい。」
手で触れた冷たさを言う文。主語の gandér は重性なので、繋辞は -o をとる。述語の形容詞は重性・単数・主格で一致し、語尾はつかない。
klér nébro, fóum þovríl.
読み:クレール ネーブロ、フォーン ソヴリール。
| klér | nébro, | fóum | þovríl. |
| 冷たい | 霧<主格> | 暖かい | 茶<主格> |
「霧は冷たく、茶は温かい。」
霧期に茶をすすめたり飲んだりするときに言う決まり文句。諺や詩と同じ語順なので、és- を省き、形容詞の述語を先に置いている。ふつうの名詞句は「名詞+形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると格言だとわかる。
ésa nóra sé klér, élþa elþá.
読み:エーサ ノーラ セー クレール、エルサ エルサー。
| és-a | nóra | sé | klér, | élþ-a | elþá. |
| いる-<(軽いものが)> | 夜<主格> | この<軽性> | 冷たい | 燃える-<(軽いものが)> | 火<主格> |
「今夜は冷える。火が燃えている。」
凍りの頃の家の中の会話。nóra sé「この夜」で「今夜」を表す。指示詞は軽性の sé で、格では変化しない。述語の形容詞 klér は主語の nóra に一致する。
un kórvoi, éso dulilmó klér.
読み:ウン コルヴォイ、エーソ ドゥリルモー クレール。
| un | kórv-oi, | és-o | dulilmó | klér. |
| 内に | 倉-<与格>, | いる-<(重いものが)> | 水汲み桶<主格> | 冷たい |
「倉の中では、汲み桶が冷たい。」
述語の形容詞の文(és-+主語+述語)。場所を動詞の前に出すと場面の枠として機能し、存在の文にはならない(統語論4.1)。動詞は主語の汲み桶(重性)に一致して -o。凍りの頃に井戸や谷の湧き水を汲んで倉に置いた桶が冷たい。
tóro dulilmó klér an fóndaros.
読み:トーロ ドゥリルモー クレール アン フォンダロス。
| tór-o | dulilmó | klér | an | fóndar-os. |
| 来る-<(重いものが)> | 水汲み桶<主格> | 冷たい | 上手 | 源-GEN. |
「冷たい汲み桶が源から(戻って)来る。」
名詞句 dulilmó klér(冷たい汲み桶)が主語。an+属格(「上手から・上流から」)で出どころを表す。tór-「来る」は自動詞なので目的語の枠がない。凍りの頃に、源のそばに置いていた汲み桶が冷たいまま持ち帰ってくる様子。
éso þúlno mónos klér.
読み:エーソ スルノ モーノス クレール。
| és-o | þúlno | món-os | klér. |
| いる-<(重いものが)> | 床<主格> | 石-<属格> | 冷たい |
「石の床は冷たい。」
日常の会話。重性子音語幹 món の属格単数は mónos。名詞句では中心語 þúlno の後ろに属格を置いて「石の床」と言い表す。述語形容詞 klér は名詞句の後に置かれる。
kekéla ólmar eelþó klér.
読み:ケケーラ オルマル エールソー クレール。
| kekél-a | ólmar | eelþó | klér. |
| こねる-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 灰<対格> | 冷たい |
「年長者が冷えた灰をかき回す。」
炉場の日常。主語 ólmar は軽性単数なので動詞は kekéla。灰 eelþó は重性o語幹の単数で、対格は主格と同形。形容詞 klér は重性単数では無標で、名詞の後ろに置かれる。
ké éso grél táses klér?
読み:ケー エーソ グレール ターセス クレール?
| ké | és-o | grél | tás-es | klér? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | のど<主格> | <あなた>-<属格> | 冷たい |
「あなたののどは冷たいですか。」
日常会話で身体の状態を尋ねる文。grél は身体部位としては重性の名詞とみなす。所有は名詞に属格 tás-es を後置する。述語形容詞 klér は重性単数の主格で無標識。
ké éso ruunó táses klér?
読み:ケー エーソ ルーノー ターセス クレール?
| ké | és-o | ruunó | tás-es | klér |
| <〜か> | be-<(重いものが)> | 後ろ<主格> | <あなた>-<属格> | 冷たい |
「「あなたの背(後ろ側)は冷たいか。」」
人体の背面、背中から尻にかけての背面を表す用法。所有は名詞の後ろに属格の代名詞を置く。
éso snulvéumo klér.
読み:エーソ スヌルヴェウモ クレール。
| és-o | snulvéumo | klér. |
| 存在-<(重いものが)> | 穴風<主格> | 冷たい |
「穴風が冷たい。」
日常の室内で、壁や窓の穴から入る風が冷たいと述べる文。述語形容文は繋辞 éso を文頭に置き、主語 snulvéumo を重性単数で受ける。
lúin héla éndra, éso heló klér.
読み:ルーイン ヘーラ エンドラ、エーソ ヘロー クレール。
| lúin | hél-a | éndra, | és-o | heló | klér. |
| とき | 座る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 居る-<(重いものが)> | 尻<主格> | 冷たい |
「人が座ると、尻は冷たい。」
暮らしの心得や書物のような場面を想定した文。lúin で「〜とき」節を導き、節内も動詞を先頭に置いた VSO とする。heló は重性単数の主語で、klér はそれに一致して単数主格形のまま。
éso krailmón klér.
読み:エーソ クライルモーン クレール。
| és-o | krailmón | klér |
| いる-<(重いものが)> | 石垣<主格> | 冷たい |
「石垣は冷たい。」
重性子音語幹名詞の単数主格。存在・状態を表す繋辞 éso は主語 krailmón に一致して重性単数 -o をとる。
éso unó só klér.
読み:エーソ ウノー ソー クレール。
| és-o | unó | só | klér |
| いる-<(重いものが)> | 裏<主格> | この<重性> | 冷たい |
「この裏は冷たい。」
物や衣の背面を表す用法。表へ向けていない面を unó といい、重性名詞 unó に重性の指示詞 só を後置する。
glünlúin, gíro duléumo klér már.
読み:グリュンルーイン、ギーロ ドゥレウモ クレール マール。
| glünlúin, | gír-o | duléumo | klér | már |
| 凍りの頃 | 刺す-<(重いものが)> | 下風<主格> | 冷たい | 手<対格> |
「凍りの頃、冷たい下風が手を刺す。」
凍りの頃の冷気による刺すような感覚。凍りの頃を場面の枠として文頭に置く。 klér が主語 duléumo を修飾する。冷気が主語の言い方は、改まった場でも自然。
éso brespáumo klér.
読み:エーソ ブレスパウモ クレール。
| és-o | brespáumo | klér. |
| 存在-<(重いものが)> | 肺<主格> | 冷たい |
「肺は冷たい。」
brespáumo は重性o語幹の名詞で、主格単数では見出し形 brespáumo をそのまま一形態素として用いる。存在動詞 éso は主語の重性に一致する。
lúin éso nébro húmel, éso gromsámon klér.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ フーメル、エーソ グロンサーモン クレール。
| lúin | és-o | nébro | húmel, | és-o | gromsámon | klér |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 湿った, | いる-<(重いものが)> | 皮膚感<主格> | 冷たい |
「霧が湿ると、肌触りは冷たい。」
霧期の触れ感。この文では皮膚表面で受ける感じの意味であり、gloss 上は「皮膚感」と出す。gromsámon も nébro も重性なので、いずれも 3単・重性の éso で受ける。
éso ílmo klér un dulúnoi.
読み:エーソ イルモ クレール ウン ドゥルーノイ。
| és-o | ílmo | klér | un | dulún-oi. |
| いる-<(重いものが)> | 水<主格> | 冷たい | 内に | 底-<与格> |
「底のほうに冷たい水がある。」
器物や空間の底を日常の所在文で述べる例。un は与格と組んで「〜の中で/側に」を示し、dulún の与格は重性語幹に -oi が付いた形。
éso mardrál némes klér.
読み:エーソ マルドラール ネーメス クレール。
| és-o | mardrál | ném-es | klér. |
| いる-<(重いものが)> | 手首<主格> | <私>-<属格> | 冷たい |
「私の手首は冷たい。」
日常会話で身体の状態を述べる文。éso(és-o)は存在・述語の動詞 és-「いる」に 3 人称単数・重性の語尾 -o がついた形。主語名詞句「mardrál némes(私の手首)」が重性なので、動詞は 3 人称単数・重性になる。属格 ném-es は名詞の後ろに置かれ、述語の形容詞 klér は名詞句の外に置かれる。
flínim ílmo klér.
読み:フリーニン イルモ クレール。
| flín-im | ílmo | klér. |
| 嫌う-<私が> | 水<対格> | 冷たい |
「冷たい水は嫌いだ。」
炉ばたや食事の場で、冷たい水のように口当たりを拒む日常的な言い方。flín-は感情の語だが、構文は通常の他動詞で、経験者は動詞の人称語尾に示し、対象は対格にとる。重性単数のílmoは主格と対格が同形で、対格語尾は形態素として分けない。形容詞klérは名詞の後位に置かれ、重性単数の主格・対格では無標識となる。
tína endríña ílmoi kléroi.
読み:ティーナ エンドリーニャ イルモイ クレーロイ。
| tín-a | endríña | ílm-oi | klér-oi |
| 慣れる-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 水-<単数・与格> | 冷たい-<単数・与格> |
「子どもは冷たい水に慣れる。」
日常場面。tín- は主観的な順応を表し、対象には与格を用いる。重性o語幹 ílmo の単数与格は ílm-oi で、形容詞 klér も重性単数与格 klér-oi で一致する。物や道具が使い込まれて手になじむ意味には使わない。
よそよそしい
人の態度が冷ややかで、打ち解けないこと。
víra senár viráis klérais orenvandárei.
読み:ヴィーラ セナール ヴィライス クレーライス オレンヴァンダーレイ。
| vír-a | sen-ár | vir-áis | klér-ais | orenvandár-ei. |
| 言う-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人> | 言葉-<〜たちを> | よそよそしい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> | 縁商人-<与格> |
「目付は縁商人によそよそしい言葉をかける。」
人の態度が冷ややかなことも klér で表す。この文では言葉を修飾している。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)の基本どおり。段の外の相手に、改まってはいても打ち解けない話し方をする様子を言う。
grémim virár klérar senáres.
読み:グレーミン ヴィラール クレーラル セナーレス。
| grém-im | vir-ár | klér-ar | sen-ár-es. |
| 恐れる-<私が> | 言葉-<〜らの> | よそよそしい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・属格> | 見る-<〜する人>-<属格> |
「「私は目付のよそよそしい言葉が怖い。」」
人の態度の冷たさを言う転義。言葉 virá は軽性なので、形容詞も軽性・複数・対格の -ais で一致する。所有者を表す属格 senáres は、形容詞の後ろに置く。
温度が低いことを言う基本の語。水、風、石、氷に使い、凍りの頃の空気や湖の水を言うときによく出てくる。高原では冷たさは悪いものではなく、澄んだ上の空気の性質とされる。人の態度について言うと「よそよそしい」の意味になる。
形容詞。名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する。
古高原語 *klér- から。基本の形容詞で、派生・複合の構造は確認できない。
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