nóur-

品詞
動詞(他動詞)
意味
思う
発音
[ˈnour]
読み
ノール
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 思う

    ré の節をとって、〜と思う、〜と考える。

    nóurim ré ésa lisár té fláin.

    読み:ノーリン レー エーサ リサール テー フライン。

    nóur-imréés-alis-ártéfláin.
    思う-<私が><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>あの<軽性>上品な

    「あの書記は上品だと思う。」

    ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。指示詞 té は強勢をもち、名詞句の終わりの目印になる。

    nóurim ré éso fáron só gróm.

    読み:ノーリン レー エーソ ファーロン ソー グローン。

    nóur-imréés-ofáronsógróm.
    思う-<私が>といる-<(重いものが)>荷<主格>この<重性>重い

    「この荷は重いと思う。」

    運び人が荷を担ぐ前に言うような日常の文。思った内容の節も ré で導く。節の主語 fáron は重性なので、繋辞は éso、指示詞は só になる。

    pón nóuro brés táses?

    読み:ポーン ノーロ ブレース ターセス?

    pónnóur-obréstás-es?
    何<対格>思う-<(重いものが)>胸の内<主格><あなた>-<属格>

    「お前は胸の内で何を思っている?(直訳:お前の胸は何を思っている)」

    親しい者か目下の者への問い。2人称 tás を使うので、下向きかくだけた話し方になる。疑問詞を文頭に出す問いには ké をつけない。胸を主語にして思いのありかを言う言い方で、動詞は重性の brés に一致して -o をとる。息が宿る場所として、胸は思いのありかとされる。

    nóurim ré torélo nébro dórel.

    読み:ノーリン レー トレーロ ネーブロ ドーレル。

    nóur-imrétor-él-onébrodórel.
    思う-<私が><〜と(節)>来る-<〜だろう>-<(重いものが)>霧<主格>明日

    「明日は霧が来ると思う。」

    ré の節で思う内容を示す。確かでない未来なので、節の中は推量法にしている。霧は重性なので -o。

    dunóurim ré fleiréla ausenár du orén.

    読み:ドゥノーリン レー フレイレーラ アウセナール ドゥ オレーン。

    du-nóur-imréfleir-él-aau-sen-árduorén.
    <〜させていただく>-思う-<私が><〜と(節)>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手縁<対格>

    「目付殿は縁へお出ましになるかと存じます。」

    謙譲の du- で自分の考えを低め、目上の人の動きを推量法でやわらげて言う。

    núnim si nóurim élan

    読み:ヌーニン シ ノーリン エーラン

    nún-imsinóur-imél-an
    目を閉じる-<私が>と思う-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>

    「目を閉じて、それを思う。」

    日常の内省の場面。nún- は、反射的な瞬きでも眠りに入る動作でもなく、意図的にしばらくまぶたを下ろす行為。同一主語の二つの動作を si で並べている。nóur- は他動詞なので、目的語の代名詞 él に対格語尾 -an を付けた él-an を補う。

  2. 思案する

    目的語なしで、あれこれ考えをめぐらす。

    séir! nóurim selúin.

    読み:セール!ノーリン セルーイン。

    séir!nóur-imselúin.
    待つ<命令法><あなたが>思案する-<私が>今

    「待て、今考えているところだ。」

    目的語をとらないと「あれこれ考える」の意味になる。命令法を使っているので、下向きか、くだけた場での言い方。

    lúin nóiran kelárai, nóura ólmar.

    読み:ルーイン ノイラン ケラーライ、ノーラ オルマル。

    lúinnóir-ankel-ár-ai,nóur-aólmar.
    とき眠る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>思案する-<(軽いものが)>年長者<主格>

    「樵たちが眠ると、年長者は思いにふける。」

    「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。nóur- はここでは、ひとりで静かに考えこむことを表す。

  3. 思い慕う

    人を対格の目的語にとって、その人のことを思う。

    lúin sénim álmaran, nóurim tásan.

    読み:ルーイン セーニン アルマラン、ノーリン ターサン。

    lúinsén-imálmar-an,nóur-imtás-an.
    とき見る-<私が>白月-<対格>思い慕う-<私が><あなた>-<対格>

    「白月を見るたびに、あなたを想う。」

    人を対格にとると「思い慕う」の意味になる。手紙や詩によく出る言い方。2人称の tás は、親しい間柄でだけ使う。

    lúin áura sílar, nóurimor aursárais.

    読み:ルーイン アウラ シーラル、ノーリモル アウルサーライス。

    lúináur-asílar,nóur-imoraursár-ais.
    とき昇る-<(軽いものが)>月<主格>思い慕う-<我々が>祖先-<〜たちを>

    「月が昇るとき、我々は祖先を偲ぶ。」

    祖先祀りの場の言い方。白月は見守る祖先のまなざしの象徴とされ、満月の夜には祖先を祀る。

解説

思う・考える・思案することを広く表す。内容は ré の節で示す(nóurim ré…「〜と思う」)。高原では、思いは胸の内を流れていくものと考えられ、川の比喩で語られることが多い。目上の人の考えを言うときは尊敬形 aurnóur-(不規則)を使う。推量法と組み合わせて「〜ではないかと思う」と控えめに言うのが改まった話し方の定石。

そのほかの用例

éso lúdro þérno nourés.

読み:エーソ ルードロ セルノ ノウレース。

és-olúdroþérnonour-és.
いる-<(重いものが)>嘘<主格>陰で害する者<主格>心-<属格>

「嘘は、心を蝕む毒きのこである。」

教えの書や戒めの言葉に見られる比喩の言い方。見た目は無害でも内側から人を害する言葉を þérno にたとえる。lúdro「嘘」は重性なので、繋辞は éso。nourés は nourá「心」の属格。

ráinim nourán fóuman séulines.

読み:ライニン ノウラーン フォーマン セウリネス。

ráin-imnour-ánfóum-anséulin-es.
知る-<私が>心-<対格>親身な-<軽性・対格>友-<属格>

「私は友の親身な心を知っている。」

心やもてなしの温かさも fóum で表す。nourá「心」は語尾に強勢のある軽性a語幹なので、対格は -án になる。形容詞は語根に強勢があるので、無強勢の -an で一致する。

súna mélna sé nourán

読み:スーナ メルナ セー ノウラーン

sún-amélnasénour-án
袖引く-<(軽いものが)>詩<主格>この<軽性>心-<対格>

「この詩は心を引く。」

書物・詩の用法。sún- は比喩的に「聞き手の注意や関心を軽く引く」意になる。主語 mélna「詩」は軽性a語幹なので、動詞は軽性の直説法3人称単数 sún-a。nourán は軽性a語幹 nourá「心」の対格。

pláinan faronárai es nourés senáres.

読み:プライナン ファロナーライ エス ノウレース セナーレス。

pláin-anfaron-ár-aiesnour-éssen-ár-es
気づく-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>から心-<属格>見る-<〜する人>-<属格>

「運び人たちは目付の心中を察する。」

nourán は対格なので pláin- に合わない。es nourés とし、属格の従属語を後置して es nourés senáres とする。faronárai は既知の語と接辞 -ár, -ai で作られる。

vúla ólmar nourán endríñei.

読み:ヴーラ オルマル ノウラーン エンドリーニェイ。

vúl-aólmarnour-ánendríñ-ei.
注ぐ-<(軽いものが)>年長者<主格>心-<対格>子-<与格>

「年長者は子どもへ心を注ぐ。」

液体を器へ注ぐ動作を転じて、注意や関心を相手へ向ける意。抽象名詞 nourá を直接目的語に取る。

krémban virái sé nouráis

読み:クレンバン ヴィライ セー ノウライス

krémb-anvir-áisénour-áis
引きつける-<彼らが>言葉-<〜たちが>この<軽性>心-<〜たちを>

「これらの言葉は、心を引きつける。」

くだけた日常語でも使える喩的用法。主語が複数なので動詞は3人称複数形をとり、性を区別しない。目的語は「心」の複数対格 nouráis。krémb- の本来の「引く・曳く」から、心や関心を引きつける意味へ転じた文。

krémba virá séuril sé nourán

読み:クレンバ ヴィラー セウリル セー ノウラーン

krémb-aviráséurilsénour-án
引きつける-<(軽いものが)>言葉<主格>美しいこの<軽性>心-<対格>

「この美しい言葉は、心を引きつける。」

詩的・改まった文体での用法。形容詞 séuril は名詞の直後、指示詞の前に置く。主格の軽性a語幹 virá は語全体を一つの形態素として書き、主語が軽性単数なので動詞は 3人称単数・軽性形 krémba になる。心を引きつけるという抽象的な目的語も、本来の他動詞 krémb- の枠に収まる。

文法

完了語根 nóurs-。尊敬 aurnóur-(au- のあとに古い r が残る不規則形)、謙譲 dunóur-「存じる」。

語源

古高原語 *nóur- から

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