小説
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塩
干潟から運ばれる塩。
éso sáko némei un kórvoi.
読み:エーソ サーコ ネーメイ ウン コルヴォイ。
| és-o | sáko | ném-ei | un | kórv-oi. |
| いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | <私>-<与格> | 内に | 倉-<与格> |
「私には倉の中に塩がある。」
持ち主は裸の与格、場所は前置詞+与格。語順は「主語→与格→前置詞句」。
wéiro sáko némei, duói méirim ó endríñei.
読み:ウェーロ サーコ ネーメイ、ドゥオイ メーリン オー エンドリーニェイ。
| wéir-o | sáko | ném-ei, | duói | méir-im | ó | endríñ-ei. |
| いる<〜し終えた>-<(重いものが)> | 塩<主格> | <私>-<与格> | それから | 与える-<私が> | <3人称単数・重性・対格> | 子ども-<与格> |
「私は塩を手に入れ、それから子どもにそれをやる。」
所有の文の文法上の主語は塩なので、-in ではつなげず duói を使う。
tóro sáko es dáloros.
読み:トーロ サーコ エス ダーロロス。
| tór-o | sáko | es | dálor-os. |
| 来る-<(重いものが)> | 塩<主格> | から | 下の国-<属格> |
「塩は下の国から来る。」
日常の言い切りの文。塩は干潟から借りた語で、重性に入るので、動詞は重性の -o をとる。塩は「下からの恵み」と呼ばれ、ありがたさと少しの後ろめたさをもって語られる。
méir sáko, ende.
読み:メール サーコ、エンデ。
| méir | sáko, | ende. |
| 与える<命令法><あなたが> | 塩 | どうぞ・頼む |
「塩をくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹(命令法2単と同じ形)で言い、ende を添えて頼みの言い方にする。市は段に乗らない場なので、この形は無礼にならない。ende は願望法の語尾 -énde が固まった小辞。運び人どうしでは énd とも言う。
táulim sáko es orenvandáres.
読み:タウリン サーコ エス オレンヴァンダーレス。
| tául-im | sáko | es | orenvandár-es. |
| 取る-<私が> | 塩<対格> | 〜から | 縁商人-<属格> |
「私は縁商人から塩を受け取る。」
es+属格は、方向を問わない「〜から」で、物の出どころや受け取る相手を表す。上手からは an、下手からも du ではなく、上下を問わないときは es を使う。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形。
ké ésau tambór si sáko tásei?
読み:ケー エーサウ タンボール シ サーコ ターセイ?
| ké | és-au | tambór | si | sáko | tás-ei? |
| <〜か> | いる-<双数> | 雑穀<主格> | と | 塩<主格> | <あなた>-<与格> |
「お前のところに雑穀と塩はあるか?」
市での品の問い合わせ。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。si には強勢がなく、後ろの語に寄りかかって発音される。
pómbar sákul méires némei?
読み:ポンバル サークル メーレス ネーメイ?
| pómbar | sák-ul | méir-es | ném-ei? |
| どれほど | 塩-<〜たちを> | 与える-<あなたが> | <私>-<与格> |
「「塩をどれほどくれるんだ?」」
取引で、対価の量を尋ねる言い方。塩のように数えない物の量を尋ねるときは、名詞を単数のまま置く。帳簿では、ここに青銅の分銅で量った重さの単位を入れる。人を数えることにはならないので、礼の上の差し支えはない。
duméirim sáko snír autorárei.
読み:ドゥメーリン サーコ スニール アウトラーレイ。
| du-méir-im | sáko | snír | au-torár-ei. |
| <〜させていただく>-与える-<私が> | 塩<対格> | わずかな | <お〜になる・御〜>-客-<与格> |
「お客様に、わずかばかりの塩を差し上げます。」
客をもてなすとき、小皿の塩を出しながら言う決まった言い方。謙譲の du- は m- の前でそのままの形になる。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形で、形容詞 snír にも語尾がつかない。最高の礼である塩をわざと「わずかな」と言うのは、差し出す物を控えめに言う謙遜である。
sén lámo, ende. éso sáko gléin.
読み:セーン ラーモ、エンデ。エーソ サーコ グレーン。
| sén | lámo, | ende. | és-o | sáko | gléin. |
| 見る<命令法><あなたが> | 掌<対格> | どうぞ | いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | 清い |
「掌を見てくれ、頼む。塩は清いぞ。」
縁の市の取引言葉。むき出しの語幹 sén に ende を添える。lámo は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞なので、繋辞は重性の éso になり、gléin も重性・主格の形(語尾なし)をとる。掌に塩をひとつまみ載せて見せるのは、品を確かめさせるときのしぐさ。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主は客に塩を出す。」
もてなしの作法を述べる文。小さな皿に塩をひとつまみ載せて出すのが、客への最高の礼とされる。語順は動詞–主語–目的語–与格。sáko「塩」は干潟から借りた語で重性なので、主格と対格が同じ形。
an élvares réina, es dáloros sáko.
読み:アン エルヴァレス レーナ、エス ダーロロス サーコ。
| an | élvar-es | réina, | es | dálor-os | sáko. |
| 上手 | 天-<属格> | 上からの恵み<主格> | から | 下の国-<属格> | 塩<主格> |
「上からは雨の恵み、下からは塩。」
動詞のない諺。天からの恵み(軽性の réina)と、下の国から来る塩(重性の sáko)を対にしている。塩をありがたがりながらも少し後ろめたく思う、という気持ちを表す。an+属格は「上手から」の意味になる。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主が客に塩を与える。」
基本の語順「動詞–主語–目的語–与格」。受け手は与格で言う。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞で、対格は主格と同じ形。客に小皿で塩をひとつまみ出すのは、もてなしの最高の礼とされる。
faronerélan faronárai sáko es orénos dórel.
読み:ファロネレーラン ファロナーライ サーコ エス オレーノス ドーレル。
| faroner-él-an | faron-ár-ai | sáko | es | orén-os | dórel. |
| 運ぶ-<〜だろう>-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 塩<対格> | から | 縁-<属格> | 明日 |
「明日、運び人たちが縁から塩を運んでくるだろう。」
これから先のことは推量法 -él- で言う。強勢は -él- に移り、-ér- の ´ は消える。3人称複数の語尾 -an は性を区別しない。塩 sáko は干潟から来る重性の名詞で、上げ荷の代表である。es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。
léimim sáko torárei.
読み:レーミン サーコ トラーレイ。
| léim-im | sáko | tor-ár-ei. |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | 来る-<〜する人>-<与格> |
「客人に塩をお出しする。」
受け手は与格 torárei で言う。小皿に塩をひとつまみ載せて客の前に置くのは最高のもてなしで、léim- がそのまま「(もてなしの品を)出す」の意味で使われる。重性の sáko は主格と対格が同じ形になる。
tóro sáko es dáloros.
読み:トーロ サーコ エス ダーロロス。
| tór-o | sáko | es | dálor-os. |
| 来る-<(重いものが)> | 塩<主格> | から | 下の国-<属格> |
「塩は下の国から来る。」
sáko は干潟から借りた語で、重性o語幹に属する。そのため動詞は3人称単数・重性の tóro になる。塩は「下からの恵み」と呼ばれ、ありがたさと少しの後ろめたさをもって語られる。
tául sáko, ende.
読み:タウル サーコ、エンデ。
| tául | sáko, | ende. |
| 取る<命令法><あなたが> | 塩 | どうぞ |
「塩を取ってくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹 tául で言い、目的語には格語尾をつけない。ただし sáko は干潟から借りた重性名詞なので、もともと主格と対格は同じ形である。
méirim kailó si sáko torárei.
読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。
| méir-im | kailó | si | sáko | torár-ei. |
| 与える-<私が> | 乾酪<対格> | と | 塩<対格> | 客-<与格> |
「客に乾酪と塩をさしあげる。」
もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。
méiran orenvandárai sáko, méirimor kumbórul.
読み:メーラン オレンヴァンダーライ サーコ、メーリモル クンボールル。
| méir-an | orenvandár-ai | sáko, | méir-imor | kumbór-ul. |
| 与える-<彼らが> | 縁商人-<〜たちが> | 塩<対格> | 与える-<我々が> | 青銅器-<〜たちを> |
「縁商人は塩を出し、我々は青銅器を出す。」
取引の取り決めを述べる文。二つの主節を接続詞なしで並べ、読点で区切っている。上げ荷の塩と下ろし荷の青銅器を対にして言うのは、帳簿の見開きの書き方にも通じる言い回しである。
glóiren! duméirim sáko autorárei.
読み:グロイレン!ドゥメーリン サーコ アウトラーレイ。
| glóiren! | du-méir-im | sáko | au-torár-ei. |
| ようこそ | <〜させていただく>-与える-<私が> | 塩<対格> | <お〜になる・御〜>-客-<与格> |
「ようこそ。お客人に塩を差し上げます。」
客に小皿の塩をひとつまみ出す、最高のもてなしのときの言い方。謙譲の du- をつけた動詞と、au- で高めた与格の「お客人に」を並べ、自分と相手の上下を文法の上でも示す。sáko「塩」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
auríþen. dúmarim sáko.
読み:アウリーセン。ドゥーマリン サーコ。
| auríþen. | dúmar-im | sáko. |
| かたじけない | いただく-<私が> | 塩<対格> |
「かたじけない。塩をいただきます。」
もてなしの席で、小皿に盛った塩をひとつまみ出されたときの客の返事。塩を出すのは最高のもてなしなので、くだけた fláinim ではなく改まった auríþen を使う。dúmar- は「食べる」の謙譲の補充形。sáko は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。
póso? sáko es dáloros.
読み:ポーソ?サーコ エス ダーロロス。
| póso? | sáko | es | dálor-os. |
| これは何だ | 塩<主格> | から | 下の国-<属格> |
「これは何だ? 下の国から来た塩だよ。」
二人の発話。市で品物を手に取って尋ね、相手が名詞句だけで答えている。póso は疑問詞 pó「何」と重性の指示詞 só「この」が縮まってできた定型の問いで、一語として扱う。品物はたいてい重性なので só の形で固まった。答えは動詞を省いた名詞句だけ。
ké éso sáko tásei? nés.
読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?ネース。
| ké | és-o | sáko | tás-ei? | nés. |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | <あなた>-<与格> | ない(品切れ) |
「「塩はあるか?」「ない。」」
市で品物の有無を尋ねられて、品切れだと答える言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。改まった言葉なら na éiso と動詞を繰り返して答えるところを、取引言葉では nés の一語ですませる。sáko は干潟から借りた語で重性。
ké éso sáko tásei?
読み:ケー エーソ サーコ ターセイ?
| ké | és-o | sáko | tás-ei? |
| <〜か> | ある-<(重いものが)> | 塩<主格> | <あなた>-<与格> |
「お前、塩はあるか?」
所有は持ち主の与格で表す。動詞は持ち主ではなく、持たれている塩 sáko(重性)に一致する。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éiso、「いいえ」なら na éiso と言う。
krélo sáko an nébroi.
読み:クレーロ サーコ アン ネーブロイ。
| krél-o | sáko | an | nébr-oi |
| 足りる-<(重いものが)> | 塩<主格> | 上手 | 霧-<与格> |
「塩は霧の前に足りている。」
縁の市や倉の司の帳場で、塩の在庫が霧期(季節の変わり目)まで十分かを確認する改まった言い方。an+与格の時読みで「〜の前に」。an nébroi「霧の前に」は市の決まり文句で、「期限までに」の意味も帯びる。主語の sáko「塩」は重性o語幹なので、動詞は -o。干潟から来る塩はすべて重性に入る。
hoummanénde aursár sáko hóumoi.
読み:ホウンマネンデ アウルサール サーコ ホーモイ。
| houmman-énd-e | aursár | sáko | hóum-oi |
| 与える-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 祖先<主格> | 塩<対格> | 炉-<与格> |
「祖霊が炉に塩を授けますように。」
儀礼的な祈願。願望法3人称単数・軽で、祖霊を主語に立てる。単なる物資の移動ではなく、共同体の存続を祈る含みを持つ。
sén houméro sákos, ende.
読み:セーン ホウメーロ サーコス、エンデ。
| sén | houméro | sák-os, | ende. |
| 見る<命令法><あなたが> | 袋<対格> | 塩-<属格> | どうぞ |
「塩の袋を見てくれ、頼む。」
道具や荷を扱う場での短い依頼。houméro は対格も主格と同形。後置の sák-os は内容を表す属格で、「塩を入れた袋・塩用の袋」のように中身の質を強調する言い方になる。ende は縁の市で使われる決まり文句。
léimim sáko un trélmo.
読み:レーミン サーコ ウン トレルモ。
| léim-im | sáko | un | trélmo. |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | 内に | 棚<対格> |
「私は棚の中に塩を置く。」
意味1。 léim-「置く」に、収納の棚としての trélmo を un trélmo の形で与える。 un は「〜の中へ・中に」の前置詞。重性o語幹 trélmo の単数対格は主格と同形で、用例では見出し語 trélmo がそのまま現れる。
mé marpúl sáko!
読み:メー マルプール サーコ!
| mé | marpúl | sáko! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 払いのける<命令法><あなたが> | 塩<対格> |
「塩を払い落とすな。」
命令法を打ち消す禁止表現。市では塩を粗末に払い捨てないよう戒める定型として使う。
léimim sáko só monkrúnoi
読み:レーミン サーコ ソー モンクルーノイ
| léim-im | sáko | só | monkrún-oi |
| 置く-<私が> | 塩<対格> | この<重性> | 土台-<与格> |
「私はこの塩を石台の上に置く。」
家仕事の場面。目的語 sáko só「この塩」に続いて、与格 monkrún-oi が着地点を表す。石で作った台として用いられる。
gíro sáko frumó.
読み:ギーロ サーコ フルモー。
| gír-o | sáko | frumó |
| 刺す-<(重いものが)> | 塩<主格> | 傷<対格> |
「塩が傷を刺す。」
塩を傷口に当てたときのような、突然の鋭い痛みを表す日常的な用例。 sáko と frumó は重性で、動詞は3人称単数・重性の -o を受ける。重性名詞では対格語尾が見えず、語順 VSO で目的語が示される。
kráil plúrno sákos só!
読み:クライル プルルノ サーコス ソー!
| kráil | plúrno | sák-os | só! |
| 手に持つ<命令法> | 小袋<対格> | 塩-<属格> | この<重性> |
「この塩袋を手に持て。」
kráil は命令法・二人称単数の語幹形。plúrno は重性 o 語幹で、単数主格と単数対格が同形。指示詞 só は格変化せず重性を示すのみ。名詞の後ろに置かれた属格 sák-os は内容を表す「塩の」。
éso sáko só téir fáronul.
読み:エーソ サーコ ソー テール ファーロヌル。
| és-o | sáko | só | téir | fáron-ul. |
| いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | この<重性> | 三 | 担ぎ-<〜たちが> |
「この塩は三担ぎある。」
重量単位としての用法。物の重さを担ぎ数で表す日常の言い方。一担ぎは約三十キログラム。数詞は単位名詞の前に置き、三以上の数詞には重性名詞 fáron の複数形 fáronul を取る。主語 sáko は単数のため、動詞は3人称単数・重性の -o を受ける。
éso sáko némei, salóur na éso vandó.
読み:エーソ サーコ ネーメイ、サロール ナ エーソ ヴァンドー。
| és-o | sáko | ném-ei, | salóur | na | és-o | vandó. |
| いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | <私>-<与格> | ところが | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 分銅<主格> |
「塩はある。ところが、分銅がない。」
市や倉での計測・取引の場面。塩があるのに、重さを確かめる基準としての青銅の分銅がない。sáko, vandó は重性なので存在動詞 éso。salóur は後文の頭、na より前に置く。
ké prambéra vándar sáko?
読み:ケー プランベーラ ヴァンダル サーコ?
| ké | prambér-a | vándar | sáko |
| <〜か> | 値踏みする-<(軽いものが)> | 商人<主格> | 塩<対格> |
「商人は塩を値踏みしているか。」
市の会話でのはい/いいえの問い。ké は文頭に立つ。答えは動詞の反復で、この問いには prambéra のように返す。
éso dóulin sáko némei
読み:エーソ ドーリン サーコ ネーメイ
| és-o | dóulin | sáko | ném-ei |
| いる-<(重いものが)> | もう | 塩<主格> | <私>-<与格> |
「私にはもう塩がある。」
所有を「いる+持ち主の与格」で表す未完了の存在文。dóulin は動詞の直後、主語の前に置かれ、持ち物がある状態がすでに続いていることを表す。日常の台所や帳場でよく用いられる語調。
gǘl sáko es kúrmos, ende.
読み:ギュール サーコ エス クルモス、エンデ。
| gǘl | sáko | es | kúrm-os, | ende |
| 取り出す<命令法><あなたが> | 塩<対格> | から | 壺-<属格> | どうぞ |
「壺から塩を取り出してくれ、頼む。」
家庭・倉での日常的な依頼。命令法2人称は語幹のむき出し gǘl。sáko は重性o語幹で、対格も無標。es kúrmos は壺からの出所。ende は願望語尾が固まった「どうぞ」。日常では目的語が容器から出して並べるまでを含み、塩を量るための下準備を言う。
lúin gloiréla torár, gánimor sáko torárei.
読み:ルーイン グロイレーラ トラール、ガーニモル サーコ トラーレイ。
| lúin | gloir-él-a | torár, | gán-imor | sáko | torár-ei. |
| とき | お越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 客<主格> | 贈る-<我々が> | 塩<対格> | 客-<与格> |
「客がおいでになると、我らは客に塩を贈る。」
作法や習わしを記すような文。時節の出来事を表す文では、lúin の後ろに動詞を続ける。客の来訪を glóir- で言い、主節では人情として塩を渡す。取引語ではなく、客への礼としての贈与を示す。
éso unlóur sáko un beilíñoi éles.
読み:エーソ ウンロール サーコ ウン ベイリーニョイ エーレス。
| és-o | unlóur | sáko | un | beilíñ-oi | él-es |
| いる-<(重いものが)> | まだ | 塩<主格> | 内に | 懐-<与格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「彼の懐には、まだ塩がある。」
くだけた日常会話。beilíño は「懐」の比喩用法で、物理的な腰袋そのものというより、身につけている少々の備えを表す。un +与格で「〜の中に」。所有者は名詞の後ろの属格 él-es で示す。unlóur は動詞の直後に置く。
もてなしの塩
客に小皿で出すひとつまみの塩。『塩を出す』で最高の礼をもって迎えることを言う。
méira houmár sáko torárei.
読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。
| méir-a | houmár | sáko | torár-ei. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | もてなしの塩<対格> | 客-<与格> |
「家の主は客に塩を出して、手厚くもてなす。」
「塩を出す(与える)」は、小皿にひとつまみの塩を載せて出す最高の礼を言う慣用句で、手厚い歓迎そのものを指す。受け手の客は与格 torárei で、目的語の後ろに置く。
dúmarim sáko, auríþen.
読み:ドゥーマリン サーコ、アウリーセン。
| dúmar-im | sáko, | auríþen. |
| いただく-<私が> | もてなしの塩<対格> | かたじけない |
「お塩を頂戴いたします。かたじけのうございます。」
もてなしの塩を出された客が返す、決まった礼の言葉。dúmar- は「食べる」の謙譲の補充形。auríþen は「上げられた」がもとの形で、礼の決まり文句として固まっている。
塩。高原ではまったく採れず、崖の下の干潟から上げ荷として運ばれてくる最大の贅沢品。客に小皿で塩をひとつまみ出すのが最高のもてなしとされる。下から来たものなので、ありがたさと少しの後ろめたさをもって扱われ、改まった場では『下からの恵み』と遠回しに言うことも多い。干潟から借りた語の例にもれず重性に属する。
重性・o語幹。主対 sáko、属 sákos、与 sákoi。量は青銅の分銅で量った重さで言う。
干潟語からの借用語。高原語の語根の中には同源の語がなく、借用語の通例どおり重性に入った。
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