selúin

品詞
指示詞
意味
今
発音
[seˈluin]
読み
セルイン
分野
代名詞・指示詞・疑問詞

意味

  1. 今

    話している現在の時。

    tóra senár selúin.

    読み:トーラ セナール セルーイン。

    tór-asen-árselúin.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>今

    「目付が今来る。」

    市で、同じ段の者どうしが交わす日常の言葉。時を表す selúin は、ふつう文の終わり近くの「その他」の位置に置く。時制の語形がないので、「今」を添えると、目の前で起きていることだとはっきりする。仲間うちの話なので、senár に au- をつけていない。

    sén fáron selúin, ende.

    読み:セーン ファーロン セルーイン、エンデ。

    sénfáronselúin,ende.
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>今どうぞ

    「今すぐ荷を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。sén- は命令法2人称単数で、語幹がそのまま出る形。selúin を添えると「今すぐ」と急がせる響きになる。ende をつけるので、命令の形でも無礼にはならない。fáron は重性なので、もともと対格の語尾がない。

    hóu, faronár! dómim, drénim selúin.

    読み:ホー、ファロナール!ドーミン、ドレーニン セルーイン。

    hóu,faronár!dómim,drén-imselúin.
    おーい運び人はっ参る-<私が>今

    「「おい、運び人!」「はっ、ただいま参ります。」」

    二人の発話。呼ばれた目下の者が、目上の人のところへ行くことをへりくだって言う。drén- は gél-「行く」の謙譲の補充形で、規則どおりに du- をつけた形はない。呼びかけは呼格を使わず、職名をそのまま言う。

    séir! nóurim selúin.

    読み:セール!ノーリン セルーイン。

    séir!nóur-imselúin.
    待つ<命令法><あなたが>思案する-<私が>今

    「待て、今考えているところだ。」

    目的語をとらないと「あれこれ考える」の意味になる。命令法を使っているので、下向きか、くだけた場での言い方。

    na lísim sáindaran selúin, lísim dulúin.

    読み:ナ リーシン サインダラン セルーイン、リーシン ドゥルーイン。

    nalís-imsáindar-anselúin,lís-imdulúin.
    <〜ない>書く-<私が>証文-<対格>今書く-<私が>のち

    「証文は今は書かない、のちに書く。」

    市や帳場での、くだけたやりとり。selúin「今」と dulúin「のちに」を対にしている。どちらも格語尾をつけない副詞として、文の後ろに置く。du-「下手」を含む語で、時の流れの下手、つまり後の時を表す。

    na ésa álva sáindares selúin.

    読み:ナ エーサ アルヴァ サインダレス セルーイン。

    naés-aálvasáindar-esselúin
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>時節<主格>証文-<属格>今

    「今は証文を交わす時節ではない。」

    「〜の時節」は álva の後ろに属格を置いて言う。霧が近づいたころ、取引の約束を断るときに使う。霧の中で結んだ約束は重んじられないからである。存在の文なので és- が先頭に来て、否定の na はその直前に置く。

    selúin þáima endríña ílmo.

    読み:セルーイン サイマ エンドリーニャ イルモ。

    selúinþáim-aendríñaílmo.
    今汲む-<(軽いものが)>子供<主格>水<対格>

    「今、子供が水を汲む。」

    日常会話や家事の場面を表す。þáim-は地下水源から桶を用いて往復して引き上げる動作を指し、直接掬う動作とは区別される。VSO語順に従い動詞が文頭に置かれ、selúinは時の枠として前に出る。

    þeultáulim ílmo es þéulos selúin.

    読み:セウルタウリン イルモ エス セウロス セルーイン。

    þeultául-imílmoesþéul-osselúin.
    汲む-<私が>水<対格>から湧水-<属格>今

    「私は今、湧水から水を汲んでいる。」

    1人称単数の直説法。話し手が自ら動作を行う日常の場面。selúin(今)は時の副詞として節の末尾に置かれる。複合動詞だが文法上は単一語として -im を直接とるため、縁の町の取引言葉や初学者の会話でも活用形が明確で伝達しやすい。

    selúin, salmúnim.

    読み:セルーイン、サルムーニン。

    selúin,salmún-im.
    今出る-<私が>

    「今、私は出る。」

    日常の会話文。時間を場面の枠として前置し、述語の語尾 -im で主語が示されている。身体ごと外へ移る動きを言う一般的な動詞として使う。改まった場では、行先や場を添えないとやや素っ気なく響くことがある。

    nóumaura torár selúin.

    読み:ノーマウラ トラール セルーイン。

    nóumaur-atorárselúin
    ほてる-<(軽いものが)>客<主格>今

    「客は、いま顔がほてっている。」

    torár「客」は人の軽性名詞なので、動詞は3人称単数・軽性語尾 -a をとる。selúin「今」は時間表現として述語節の後に来る。ここでは内面の照れよりも、顔の上気という外見描写として使う。

    selúin, þréela endríña.

    読み:セルーイン、スレーラ エンドリーニャ。

    selúin,þréel-aendríña.
    今腹が空いた<〜し終えた>-<(軽いものが)>子ども<主格>

    「今、子どもは腹が空いた。」

    完了相 þréel- は、食前に空腹感が訪れたことを告げる言い方として日常で使う。主語 endríña は人の子どもを示す軽性名詞で、動詞は軽性 3 単数の -a で一致する。時間詞 selúin は場面の枠に置かれる。

  2. 今の世

    改まった文章で、今の王が座にある時代を指す。

    dulíþan kelárai gandér du dálor selúin.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ ガンデール ドゥ ダーロル セルーイン。

    dul-íþ-ankel-ár-aigandérdudálorselúin.
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>下手下の国<対格>今の世

    「今の世、樵たちは硬木を下の国へ下ろしている。」

    年代記の記事の書きぶり。昔(統一の前)と比べて、今の王の世のならわしを述べている。直説法には時制がないので、selúin が時代を区切る働きをする。gandér は重性なので、主格と対格が同じ形になる。

    aldána aldár áuren þáiles selúin.

    読み:アルダーナ アルダール アウレン サイレス セルーイン。

    aldán-aaldáráur-enþáil-esselúin.
    おわす-<(軽いものが)>座<主格>昇る-<〜した・〜された>澄んだ-<属格>今の世

    「今の世には、澄みの高き座がおわします。」

    年代記や碑文の改まった文体。ここでの selúin は「この瞬間」ではなく、今の王が座にある時代全体を指す。書き言葉なので座名をそのまま書いてよく、文字では上げ書きにする。aldán- は「いる」の尊敬の補充形。

解説

話している時を指す時の指示詞。高原では時を川の流れと見るので、an selúin「今より上手に」は「これまで」、du selúin「今より下手に」は「これから先」を表す。改まった文章では「今の王の世」の意味でも使う。

文法

格変化しない。前置詞 an・du と組んで使える。

語源

近称の指示詞 sé +接続の小辞 lúin「〜とき」。「この時」の意。

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