senár

品詞
名詞
意味
目付
発音
[seˈnar]
読み
セナール
分野
社会・信仰・儀礼

意味

  1. 目付

    縁の市で秤と証文を管理し、揉め事を裁く道の司の役人。

    ombéra senár faronáran ré dulíþa fáron es orénos.

    読み:オンベーラ セナール ファロナーラン レー ドゥリーサ ファーロン エス オレーノス。

    ombér-asenárfaronár-anrédul-íþ-afáronesorén-os.
    名指しする-<(軽いものが)>目付<主格>運び人-<対格><〜と(節)>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

    「目付は、縁から荷を落としたと運び人を名指しで咎める。」

    人を名指しして咎める意味。ré の後ろの節で、何を咎めたかを言う。縁の市の目付が揉め事を裁く場面の言い方。

    mé omberénde ausenár néman.

    読み:メー オンベレンデ アウセナール ネーマン。

    méomber-énd-eau-senárném-an.
    <禁止・願いの打ち消し>名指しする-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-目付<私>-<対格>

    「目付殿、どうか私を名指しなさいませぬよう。」

    上向きの話し方。相手を2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を3人称の主語にする。命令法ではなく願望法を使い、mé で否定して「〜なさいませぬよう」と願う。願望法では3人称単数・軽性の語尾が -e になる。

    þelésa torár þelán senárei.

    読み:セレーサ トラール セラーン セナーレイ。

    þel-és-atorárþel-ánsenár-ei.
    名乗る-<〜すべし>-<(軽いものが)>来訪者<主格>名前-<対格>目付-<与格>

    「来訪者は目付に名を名乗るべし。」

    市や崖道の決まりを書いた札や碑の文体。当為法で、主語の torár を明示している。þél-「名乗る」は名乗る名を対格でとり、名乗る相手を与格で言う。

    luuménde ausenár símbo só.

    読み:ルーメンデ アウセナール シンボ ソー。

    luum-énd-eau-senársímbosó.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-目付印<対格>この<重性>

    「目付殿に、この印をご覧いただきたく存じます。」

    市で、手代などが目付にじかに頼むときの上向きの話し方。目の前の相手を2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を3人称の主語にして、願望法で言う。símbo「印」は重性なので、対格は主格と同じ形で、指示詞も só になる。

    þundésa senár grúndo kéndoros orénos.

    読み:スンデーサ セナール グルンド ケンドロス オレーノス。

    þund-és-asenárgrúndokéndor-osorén-os.
    裁く-<〜すべし>-<(軽いものが)>目付<主格>掛け<対格>縁の市-<属格>縁-<属格>

    「目付は縁の市の掛け(の揉め事)を裁くべし。」

    碑文の文体の当為法。碑文や法典では、役職を au- をつけずに一般の名として書く。senár は軽性なので、当為法の動詞も軽性の -a をとる。

    klonhéla unlóur senár aldárei.

    読み:クロンヘーラ ウンロール セナール アルダーレイ。

    klonhél-aunlóursenáraldár-ei.
    跪座する-<(軽いものが)>まだ目付<主格>座-<与格>

    「目付は御座の前で跪座したままいる。」

    単に膝を落とす動作ではなく、膝を床につけた低い姿勢を保っている様子。unlóur「まだ」が動詞の直後におかれ、その姿勢が続いていることを示す。

    findíþa senár virán faronárei.

    読み:フィンディーサ セナール ヴィラーン ファロナーレイ。

    find-íþ-asenárvir-ánfaronár-ei.
    聞く-<〜させる>-<(軽いものが)>目付<主格>言葉-<対格>運び人-<与格>

    「目付が運び人に言葉を伝える。」

    市や役所の場面。伝達内容は virán のように対格に、受け手は faronárei のように与格に置く。findíþ- は単に何かを言うのではなく、言葉が聞き手に届くことを焦点とする。

    unsléla senár rásan.

    読み:ウンスレーラ セナール ラーサン。

    unslél-asenárrás-an.
    裏地を確かめる-<(軽いものが)>目付<主格>衣-<対格>

    「目付は衣の裏地を確かめる。」

    公的な検め、帳簿や記録に立てられるような短文。主語の目付は人なので軽性、動詞は -a。目的語の衣は対格 rásan。

    funeléra lisár ré elþaséna senár fáron.

    読み:フネレーラ リサール レー エルサセーナ セナール ファーロン。

    funelér-alisárréelþasén-asenárfáron.
    書き留める-<(軽いものが)>書記<主格><〜と(節)>火に透かして見る-<(軽いものが)>目付<主格>荷<対格>

    「書記が、目付が荷を火に透かして見た、と書き留めた。」

    funelér- の補文を ré で受ける書物・記録文体。主節では funeléra が lisár に一致し、ré 節では elþaséna が senár に一致する。時制は語形に表れず、記録としての過去は文脈で読む。

    lúin lóima ilanár virán, elþaséna senár kumbór.

    読み:ルーイン ロイマ イラナール ヴィラーン、エルサセーナ セナール クンボール。

    lúinlóim-ailanárvir-án,elþasén-asenárkumbór.
    とき唱える-<(軽いものが)>星読み<主格>言葉-<対格>,疵を確かめる-<(軽いものが)>目付<主格>青銅<対格>

    「星読みが詞を唱えるとき、目付は青銅を火に透かして疵を確かめる。」

    lúin は時の節を導き、節内も VSO。lóima は他動詞なので目的語枠を空けず、virán「ことば/詞」で埋める。lóima は主語 ilanár に一致し、elþaséna は senár に一致する。kumbór は重性なので対格語尾がない。

    marméira lisár sáindaran senárei

    読み:マルメーラ リサール サインダラン セナーレイ

    marméir-alisársáindar-ansenár-ei
    手で差し出す-<(軽いものが)>書記<主格>証文-<対格>目付-<与格>

    「書記は目付に証文を差し出す。」

    まだ目付が受け取っていない証文を手渡す動作。lisár は軽性子音語幹で、動詞は軽性の 3 人称単数になる。sáindar は軽性で対格 -an をとる。

  2. 見張り・番人

    見張り台や崖道の口で見張る者一般。この意味では高め形にしない。

    hóu, senár! tórau dáu faronárau.

    読み:ホー、セナール!トーラウ ダウ ファロナーラウ。

    hóu,senár!tór-audáufaronár-au.
    おーい番人来る-<双数>二運び人-<双数>

    「おーい、番人!運び人が二人来るぞ。」

    崖道の口でのくだけた呼びかけ。呼格は使わず、名詞をそのまま呼びかけに使う。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、動詞も双数で受ける。双数の動詞は人称と性を区別しない。

    sénan senárai nébro orénos.

    読み:セーナン セナーライ ネーブロ オレーノス。

    sén-ansenár-ainébroorén-os.
    見る-<彼らが>番人-<〜たちが>霧<対格>縁-<属格>

    「番人たちは縁の霧を見張っている。」

    縁の肩の番人を言う文。この意味では九段下りの者を指すので、au- をつけた高め形にはしない。番人は人なので複数で言ってよく、複数主格は -ai になる。nébro は重性で、対格は主格と同じ形。

解説

見張る者・監督する者を表す語で、とくに道の司が縁の市に置く役人「市の目付」を指す。目付は秤と青銅の分銅を預かり、証文に印を押し、揉め事を度量衡の碑の前で裁く。目付は改まった都の言葉だけを話し、話しかける側も ausenár「目付殿」と高め形で呼ぶのが礼である。市で「秤に問え」と言えば、目付の裁きに任せようという意味になる。

そのほかの用例

aubandénde ausenár fáron.

読み:アウバンデンデ アウセナール ファーロン。

au-band-énd-eau-sen-árfáron
<お〜になる・御〜>-量る-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>荷<対格>

「目付殿に、荷をお量りいただきたく存じます。」

前の例文と同じ用件を、都の手代が改まって言った形。au- と v- がくっついて aub- になる。ausenár は sén-「見る」+-ár「〜する人」に au- がついた語。名詞には補充形を使わない。

lísa lisár sáindaran senárei.

読み:リーサ リサール サインダラン セナーレイ。

lís-alis-ársáindar-ansen-ár-ei.
書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

「書記が目付に証文を書く。」

基本の語順:動詞–主語–目的語–与格(受け手)。lisár は動詞 lís- に -ár「〜する人」がついた語、senár は sén- に -ár がついた語。

du pó fleiréla ausenár?

読み:ドゥ ポー フレイレーラ アウセナール?

dupófleir-él-aau-sen-ár?
下手何<対格>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「目付殿は、下手のどちらへお出ましになるのでしょうか。」

上向きの問い。ké を使わず推量法で尋ね、相手は役職名+au- の3人称で言う。高原語には方向を決めない「どこへ」がないので、du pó「下手の何へ」と前置詞句ごと文頭に出す。東西なら or pó・vel pó と言う。

luuménde ausenár plánan sé.

読み:ルーメンデ アウセナール プラーナン セー。

luum-énd-eau-sen-árplán-ansé.
ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>帳簿-<対格>この<軽性>

「目付殿に、この帳簿をご覧いただきたく存じます。」

上向きの依頼。命令法の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を主語の「目付殿」として扱う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。下向きなら sén plánan sé!、縁の市なら sén plána, ende. と言う。

tóra senár él te lísim sáindaran élei.

読み:トーラ セナール エール テ リーシン サインダラン エーレイ。

tór-asen-áréltelís-imsáindar-anél-ei.
来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人><3人称単数・軽性><関係節>書く-<私が>証文-<対格><3人称単数・軽性>-<与格>

「私が証文を書いてやる、あの目付が来る。」

与格にあたる部分は、関係節の中で代名詞 élei「その人に」で埋める(再述代名詞)。軽性の「あの」té は関係節の te の前に置けないので、代名詞 él を「あの・例の」の意味で置く。この él は名詞の格に一致する。tóra senár té, lísim sáindaran élei. と、強勢のある té の後ろで区切ると、「あの目付が来る。私はその人に証文を書く」という二つの文になる。書き言葉では te と té は同じ字だが、主節を二つ並べるときはかならず区切りの印を打つ。区切りがなければ関係節と読む。

selvéna ausenár ré mé duliþésa fáron es orénos.

読み:セルヴェーナ アウセナール レー メー ドゥリセーサ ファーロン エス オレーノス。

selvén-aau-sen-árrémédul-iþ-és-afáronesorén-os.
おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)><禁止・願いの打ち消し>下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

「目付殿は、「縁から荷を落とさぬこと」とおっしゃる。」

ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節は、元の文の法を保つ。ここでは度量衡の碑の一句 mé duliþésa fáron es orénos を、当為法のまま引用している。目付が碑の前で揉め事を裁くときの言い方。

na tóra unlóur senár.

読み:ナ トーラ ウンロール セナール。

natór-aunlóursen-ár.
<〜ない>来る-<(軽いものが)>まだ見る-<〜する人>

「目付はまだ来ない。」

「まだ」unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。否定の na は動詞の前。

lísa lisár sáindaran si lúuma ausenár.

読み:リーサ リサール サインダラン シ ルーマ アウセナール。

lís-alis-ársáindar-ansilúum-aau-sen-ár.
書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>とご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

「書記が証文を書き、目付殿がご覧になる。」

si で文と文を並べる。二つめの文は、同じ目的語を受けるので目的語の枠を空けてよい(1.2節)。

wéira ólmar senár.

読み:ウェーラ オルマル セナール。

wéir-aólmarsen-ár.
いる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>見る-<〜する人>

「年長の方は目付になった(今は目付である)。」

és- の完了 wéir- は「〜であるようになった」。なった結果の今の状態に重きがある。

léisin sáindaran, méirim élan senárei.

読み:レーシン サインダラン、メーリン エーラン セナーレイ。

léis-insáindar-an,méir-imél-ansen-ár-ei.
書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

「証文を書き終えて、それを目付に渡す。」

完了の語根+-in で「〜し終えて」。主語は後ろの動詞と同じ(私)。 副動詞の句と主節は別の文として数えるので、主節の目的語は代名詞 élan で置く。

anórel, an kórvoi, léisin sáindaran, méira lisár élan senárei.

読み:アノーレル、アン コルヴォイ、レーシン サインダラン、メーラ リサール エーラン セナーレイ。

anórel,ankórv-oi,léis-insáindar-an,méir-alis-árél-ansen-ár-ei.
昨日上手倉-<与格>書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<(軽いものが)>書く-<〜する人><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

「昨日、倉の北側で、証文を書き終えて、書記はそれを目付に渡した。」

場面の枠は「時 → 場所 → -in の句」の順。それぞれ読点で区切る。「それを」は軽性の証文を受けるので élan。

sénim plíndo lísen lisáres senáres só.

読み:セーニン プリンド リーセン リサーレス セナーレス ソー。

sén-implíndolís-enlis-ár-essen-ár-essó.
見る-<私が>荷札<対格>書く-<〜した・〜された>書く-<〜する人>-<属格>見る-<〜する人>-<属格>この<重性>

「私は、書記が書いた目付のこの荷札を見る。」

分詞のすぐ後ろの属格は動作主(書記が書いた)、その次の属格は持ち主(目付の)。

lisáran té, séna senár.

読み:リサーラン テー、セーナ セナール。

lis-ár-anté,sén-asen-ár.
書く-<〜する人>-<対格>あの<軽性>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

「あの書記をこそ、目付が見る。」

前に出した名詞句が té で終わるときは、té の後ろに区切りを入れる。区切りがないと関係節(te)と読まれる。

sénim lisáran te séna senár.

読み:セーニン リサーラン テ セーナ セナール。

sén-imlis-ár-antesén-asen-ár.
見る-<私が>書く-<〜する人>-<対格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

「私は、目付が見る書記を見る。」

残った名詞の格の形(senár は主格)で役割がわかるので、ó は要らない。

lísa sáindaran lisár te séna senár.

読み:リーサ サインダラン リサール テ セーナ セナール。

lís-asáindar-anlis-ártesén-asen-ár.
書く-<(軽いものが)>証文-<対格>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

「目付が見る書記が、証文を書く。」

都の言葉。関係節つきの主語は目的語の後ろへ回す。目的語は対格の形でわかる。

lísa lisár te séna senár, sáindaran.

読み:リーサ リサール テ セーナ セナール、サインダラン。

lís-alis-ártesén-asen-ár,sáindar-an.
書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>

「目付が見る書記が、証文を書く。」

崖道の言葉。読点で関係節を閉じ、読点の後ろは主節の残りの枠(ここでは目的語)に戻る。

dulíþo ó gandér ílmo te séna senár.

読み:ドゥリーソ オー ガンデール イルモ テ セーナ セナール。

dul-íþ-oógandérílmotesén-asen-ár.
下る-<〜させる>-<(重いものが)><3人称単数・重性・主格>硬木<対格>水<主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

「目付が見る水が、硬木を下ろす。」

都の言葉。関係節つきの主語を後ろへ回し、目的語が主格と対格が同じ形の語なので、空いた主語の枠に ó を残す。

sénim lisáran te séna senáran.

読み:セーニン リサーラン テ セーナ セナーラン。

sén-imlis-ár-antesén-asen-ár-an.
見る-<私が>書く-<〜する人>-<対格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>-<対格>

「私は、目付を見る書記を見る。」

要の lisáran が対格なのは主節の目的語だから。関係節の中では、残った senáran が対格なので、要が主語だとわかる。

sénim plánan te léisa lisár te séna senár.

読み:セーニン プラーナン テ レーサ リサール テ セーナ セナール。

sén-implán-anteléis-alis-ártesén-asen-ár.
見る-<私が>帳簿-<対格><関係節>書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

「私は、目付が見る書記が書き終えた帳簿を見る。」

関係節の中の最後の名詞に、さらに関係節がつく。右へ右へと伸ばすのは自然な形。

文法

軽性・子音語幹(②型)。対 senáran、属 senáres、与 senárei、複 senárai。高め形 ausenár。目上を指す高め形には数詞をつけない。

語源

sén-「見る」+行為者の接尾辞 -ár。古くは *senára で、主格の語末母音は古い脱落で落ちた(綴り〈senara〉)。

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