小説
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上手・北
高いほうの土地。とくに北の高みの方角。
drénimor an ánoran ré embeléndimor aursárais.
読み:ドレーニモル アン アーノラン レー エンベレンディモル アウルサーライス。
| drén-imor | an | ánor-an | ré | embel-énd-imor | aursár-ais. |
| 参る-<我々が> | 上手 | 上手・北-<対格> | <〜と(節)> | 祀る-<〜しますように>-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「我々は、祖先を祀るために北の高みへ参る。」
北の高みの納骨所へ向かうときの言い方。drén- は「行く」の謙譲の補充形で、聖地に向かう行いを低めて言う。ré+願望法で目的を表す。an ánoran は「上手の北の地へ」で、前置詞と名詞が同じ方向を重ねて表している。
na tóro nébro es ánores.
読み:ナ トーロ ネーブロ エス アーノレス。
| na | tór-o | nébro | es | ánor-es. |
| <〜ない> | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | から | 上手・北-<属格> |
「霧は北から来ることはない。」
ánor は軽性の子音語幹として変化する(属格 ánores)。霧は下の国の息で、崖の下(南)から這い上がってくるものとされるので、北(上手)から来ることはない。主語の nébro は重性なので、動詞は -o をとる。
klámbau ánor si dúror lisáran.
読み:クランバウ アーノル シ ドゥーロル リサーラン。
| klámb-au | ánor | si | dúror | lisár-an |
| 板挟みにする-<双数> | 上手 | と | 下手 | 書記-<対格> |
「上手と下手が書記を板挟みにする。」
比喩的な用い方。単数名詞 ánor と dúror を si で主語にすると、動詞は双数 -au。人を指す lisár は軽性なので、対格は -an。
上座
家や宮廷で、北側の高い座。目上の人の座る場所。
mé hél ánorei!
読み:メー ヘール アーノレイ!
| mé | hél | ánor-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 座る<命令法><あなたが> | 上座-<与格> |
「上座に座ってはいけない。」
家の中で年長者が子どもをたしなめる禁止。「mé+命令法」の形。炉の北側の一段高い座は、家の主と年長者の場所とされる。
aldanénde autorár ánorei.
読み:アルダネンデ アウトラール アーノレイ。
| aldan-énd-e | au-torár | ánor-ei. |
| おわす-<〜しますように>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-客<主格> | 上座-<与格> |
「お客様には、どうぞ上座においでいただきたく存じます。」
客を迎えるときの改まった勧め。目の前の相手を3人称の主語として扱い、願望法で言う。aldán- は「いる」の尊敬の補充形。強勢は願望法の -énd- に移る。場所は前置詞なしの与格で表す。
上手(かみて)、北の方、高いほうを指す名詞。高原では北へ行くほど土地が高いので、「上」と「北」は同じ語で言い表す。土地の帯の言い方でも、家の中の座の位置でも使う。炉の北側の一段高い座は ánor と呼ばれ、家の主と年長者が座る。dúror「下手」と対になる語で、ánor が軽性、dúror が重性であることも、高原の世界観をよく表している。暦の「上の十日」は ombrén ánores と言う。
軽性・子音語幹(②型)。属格 ánores、与格 ánorei。
前置詞 an に、古い方向名詞の語尾 *-or がついたもの。
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