小説
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上手の国(高原王国)
高原の人々の国としての自称。ふだんの会話や実務の文書で使う。
éso análor fóndel
読み:エーソ アナーロル フォンデル
| és-o | análor | fóndel |
| いる-<(重いものが)> | 上手の国<主格> | 古い |
「上手の国は由緒ある。」
王国そのものを主語にする言い方。重性の国名なので動詞は 3人称単数・重性の -o で受ける。fóndel は「古い(由緒ある)」の意。
dúlo louvrúndo lóurul análoros.
読み:ドゥーロ ロウヴルンド ロールル アナーロロス。
| dúl-o | louvrúndo | lóur-ul | análor-os. |
| 下る-<(重いものが)> | 長川<主格> | 瀬-<〜たちを> | 上手の国-<属格> |
「長川は、上手の国の瀬を流れ下る。」
宮廷詩で王国の流れを詠む表現。lóur は「川瀬」と「世代」を兼ね、lóurul は重性名詞の複数対格で、流れ下る道のり・世代を表す。louvrúndo を王国そのものの流れとして詠む。
na éso esfóndos vóor un análoroi.
読み:ナ エーソ エスフォンドス ヴォール ウン アナーロロイ。
| na | és-o | esfóndos | vóor | un | análor-oi. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | そもそも | 紫<主格> | 中に | 上手の国-<与格> |
「上手の国には、そもそも紫がない。」
書物・交易説明向きの存在否定文。vóorは干潟から来た語として重性扱いで、動詞はéso。un análor-oiは「上手の国の中に」。esfóndosは品切れではなく、この国では原理的に生じないという含みを与える。
高原(崖の上の土地)
政体を離れて、縁の肩から北の高みまでの崖の上の土地全体を指す。dálor「崖の下の土地」と対で使う。
éso análor þáil
読み:エーソ アナーロル サイル
| és-o | análor | þáil |
| いる-<(重いものが)> | 高原<主格> | 澄んだ |
「高原は澄んでいる。」
崖の上の土地そのものを主語にする言い方。乾風期の澄んだ空気や天候を指す。重性の名詞に重性の繋辞 éso が対応する。
高原の人々が自分たちの国と土地を指して言う、もっともふつうの自称。崖の下の干潟を指す dálor「下の国」とちょうど対になる語で、自分たちの言葉を amvirá「上手の言葉」と呼ぶのと同じ発想に立つ。王国という政体も、崖の上の高原という土地も、文脈によって両方を指す。会話、商人の帳簿、道の司の文書など、改まりすぎない場面で広く使う。年代記や碑文の冒頭のような改まった場では、この語だけで済ませず、正式名 anaurím を用いるか、análor aldáres áurenes「高き座の上手の国」のように座を添えて言う。縁の市では『崖の上の側』くらいの意味で軽く使われ、取引言葉では語末の母音を問題にしない形 análor のまま通じる。干潟の人に向かって es análoros「上手の国から(来た)」と名乗るのが、高原の商人の決まった言い方である。
重性・子音語幹(gandér 型)。主格・対格 análor、属格 análoros、与格 análoroi。固有名詞なので双数・複数はふつう使わない。重性にする理由:この名は土地そのもの(石と土の台地)を呼ぶ名であり、土地は重いものに属する。どれほど高くても地は地であり、対になる dálor も重性なので、二つの国名は同じ性でそろう。高さ(上手であること)は前半の an- が担い、性は後半の『地』が決める、という説明が文法家のあいだで一般的である。綴りは古い脱落の前の形を残して〈analora〉と書く。
an-「上手の」(ánor・前置詞 an と同源)+ *álora「地・国土」(古高原語。単独では残らない)。*an-álora → 古い語末母音の脱落で análor。dálor「下の国」(古高原語 *dálora)とは語源が別だが、響きが似ているので、二語は対の語として扱われ、俗には同じ語根だと説明されることもある。
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