小説
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上の風
北の高みから下りてくる乾いた良い風。
dúla anléuma es þráinos, ésa élvar þáil.
読み:ドゥーラ アンレウマ エス スライノス、エーサ エルヴァル サイル。
| dúl-a | anléuma | es | þráin-os, | és-a | élvar | þáil. |
| 下る-<(軽いものが)> | 上の風<主格> | から | 峰-<属格> | いる-<(軽いものが)> | 天<主格> | 澄んだ |
「上の風が峰から下りてきて、空が澄みわたっている。」
乾風期の初めのころの空模様を言う文。接続詞を使わずに主節を二つ並べ、あいだを区切りの印(読点)で区切っている。anléuma は北の高みから下りてくる風なので、動詞は「昇る」ではなく dúl-「下る」を使う。þráin「峰」は石の峰なので重性で、属格は -os になる。anléuma は清く良い風とされ、この風が吹くと星読みの季節が来る。
gléin anléuma, gróm duléumo.
読み:グレーン アンレウマ、グローン ドゥレウモ。
| gléin | anléuma, | gróm | duléumo. |
| 清い | 上の風<主格> | 重い | 下の風<主格> |
「清きは上の風、重きは下の風。」
諺の形の文。諺や詩では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞+形容詞」の順なので、形容詞で始まる文はそれだけで格言だとわかる。gléin は軽性の anléuma に、gróm は重性の duléumo に一致しているが、どちらも単数・主格なので語尾はつかない。上から来る風と下から来る風の良し悪しを対にして言う。
glünlúin, séima anléuma.
読み:グリュンルーイン、セーマ アンレウマ。
| glünlúin, | séim-a | anléuma. |
| 凍りの頃, | 静まる-<(軽いものが)> | 上の風<主格> |
「凍りの頃、上の風が収まる。」
年代記的な自然観の記述。時間の名詞 glünlúin が裸のまま場面の枠に立つ。主語 anléuma は軽性として -a に一致する。比喩用法。
乾風期に北の高みから高原を下り、縁を越えて干潟へ吹き下ろす冷たく乾いた風。清らかで良い風とされ、空を澄ませて星を見せ、刈った雑穀の穂を干し上げる。干潟の人々の言う乾いた風は、この風のことである。
軽性・a語幹(①型)。属 anléumes。
前置詞 an「上手」+ léuma「風」の複合語。
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