小説
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体
生きている人や獣の肉体。
dúlo gromó du dálor, áura selvá.
読み:ドゥーロ グロモー ドゥ ダーロル、アウラ セルヴァー。
| dúl-o | gromó | du | dálor, | áur-a | selvá. |
| 下る-<(重いものが)> | 体<主格> | 下手 | 地の底<対格> | 昇る-<(軽いものが)> | 息<主格> |
「体は地の底へ沈み、息は昇る。」
弔いのときに森の巫や系譜読みが唱える句。重性の gromó「体」と軽性の selvá「息」が、動詞の語尾 -o/-a でも対になっている。dálor はここでは干潟ではなく、上・中・下の三層の「下」、重いものが沈んでいく地の底を指す。
lúin brúuma éndra es orénos, dúlau gromó si selvá.
読み:ルーイン ブルーマ エンドラ エス オレーノス、ドゥーラウ グロモー シ セルヴァー。
| lúin | brúum-a | éndra | es | orén-os, | dúl-au | gromó | si | selvá. |
| とき | 落ちる-<(軽いものが)> | 人<主格> | から | 縁-<属格> | 下る-<双数> | 体<主格> | と | 魂<主格> |
「人が縁から落ちると、体も魂もともに下へ引かれていく。」
崖から落ちて死ぬことが恐れられる理由を述べる、教えの文。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の dúlau になり、性を区別しない。重い体と軽い魂がそろって下るのは、高原の考えではいちばん不吉なことである。
éso gromó némes gróm, nóirim.
読み:エーソ グロモー ネーメス グローン、ノイリン。
| és-o | gromó | ném-es | gróm, | nóir-im. |
| いる-<(重いものが)> | 体<主格> | <私>-<属格> | 重い | 眠る-<私が> |
「体が重い。もう寝るよ。」
疲れたときのくだけた言い方。体は重性の名詞で、繋辞も重性の -o をとる。「体が重い」は、肉体を重いものと見る世界観とも重なる。時制がないので、nóirim は文脈によって「これから寝る」の意味になる。
méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.
読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。
| méir-a | houmár | tambór | faronár-ei, | ré | es-énd-o | gromó | él-es | krán. |
| 与える-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | 雑穀<対格> | 運び人-<与格> | <〜と(節)> | いる-<〜しますように>-<(重いものが)> | 体<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 硬い |
「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」
「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。
éso gromó némes frél
読み:エーソ グロモー ネーメス フレール
| és-o | gromó | ném-es | frél |
| いる-<(重いものが)> | 体<主格> | <私>-<属格> | 寒い |
「私の体は寒い。」
gromóは重性の体。主語の名詞句はgromó némesで、属格は名詞の後ろに置く。述語のfrélは名詞句の後に置かれる。
púlim gromó só fenlapúloi.
読み:プーリン グロモー ソー フェンラプーロイ。
| púl-im | gromó | só | fenlapúl-oi. |
| 叩く-<私が> | 体<対格> | この<重性> | 蒸し枝-<与格> |
「私はこの体を蒸し枝で軽く叩く。」
汗蒸し小屋での日常の所作を示す文。fenlapúl は重性子音語幹名詞と扱い、与格 -oi を付けた fenlapúloi が手段を示す。体 gromó は重性の o 語幹で、対格は主格と形が同じである。
þrílo gromó só un aurándoi.
読み:スリーロ グロモー ソー ウン アウランドイ。
| þríl-o | gromó | só | un | auránd-oi. |
| 震える-<(重いものが)> | 体<主格> | この<重性> | 内に | 社-<与格> |
「この体は、社の中で震えている。」
儀礼・書面的な描写。主語は gromó só「この体」で、重性名詞句。un は「〜の中」で、与格と組むと場所を表す。aurándo の与格は aurándoi。全身の震えを内発的事象として述べている。
na þrílo gromó némes.
読み:ナ スリーロ グロモー ネーメス。
| na | þríl-o | gromó | ném-es. |
| <〜ない> | 震える-<(重いものが)> | 体<主格> | <私>-<属格> |
「私(の体)は震えていない。」
日常の否定応答。主語は体全体を表す重性の gromó で、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。身体部位の領有者は名詞の後ろに属格で置き、1人称単数属格は ném-es と分節される。na は否定・推量・仮定法の前。この語は内発的な震えで、外力で揺れる krúel- とは区別される。
aursáre, kreinéro gromó nébroi.
読み:アウルサーレ、クレイネーロ グロモー ネーブロイ。
| aursáre, | kreinér-o | gromó | nébr-oi. |
| おお | 震える(骨が鳴る)-<(重いものが)> | 体<主格> | 霧-<与格> |
「ああ、ご先祖よ、霧の中で体が骨まで震える。」
古い歌や詞の一節のような語調。aursáre はご先祖への嘆き。VSO の語順で動詞が先に立ち、主語 gromó と場所の与格 nébroi が後に続く。宮廷ではやや下向きの語だが、古い詞では骨の震えを直接言う。
亡骸
魂の去ったあとの遺体。
lúin na sénimor gromó éles, elþíþimor fáron éles.
読み:ルーイン ナ セーニモル グロモー エーレス、エルシーシモル ファーロン エーレス。
| lúin | na | sén-imor | gromó | él-es, | elþ-íþ-imor | fáron | él-es. |
| とき | <〜ない> | 見る-<我々が> | 亡骸<対格> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 燃える-<〜させる>-<我々が> | 荷<対格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「亡骸が見つからないときは、その人の荷を燃やして送る。」
崖から落ちた者や溺れた者を弔うときの習わしを説明する文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。élþ-「燃える」に使役の -íþ- をつけて「燃やす」にしている。
élþo gromó, áura selvá.
読み:エルソ グロモー、アウラ セルヴァー。
| élþ-o | gromó, | áur-a | selvá. |
| 燃える-<(重いものが)> | 亡骸<主格> | 昇る-<(軽いものが)> | 息<主格> |
「亡骸は燃え、息は昇る。」
火葬を語る弔いの言い回し。重性の亡骸と軽性の息を並べ、動詞の語尾 -o と -a で、下へ残るものと上へ行くものを対比している。火葬は村の北側の高い場所で行う。
人や獣の体、肉体。文字どおりには「重いもの」で、魂や息(軽いもの)と対になる。死後、魂が上へ昇ったあとに残る亡骸もこの語で言う。火葬の煙がまっすぐ昇るのは、gromó の重さから魂がうまく離れたしるしとされる。
名詞・重性・o語幹。属 gromós、与 gromói、複 gromúl。尊敬形 augromó。
gróm「重い」+重性のもの名詞化 -ó。
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