小説
左の目次から話を選んでください。
濁り酒
雑穀を発酵させた濁った酒。
níl muró, ende.
読み:ニール ムロー、エンデ。
| níl | muró, | ende. |
| 飲む<命令法><あなたが> | 濁り酒 | どうぞ・頼む |
「濁り酒をどうぞ、飲んでくれ。」
市の屋台や崖道の休み場で酒を勧めるときの言い方。ende は頼みだけでなく、勧めにも使う。改まった場では ende を使わず、願望法の文で勧める。
lúin hóines, niléimor muró.
読み:ルーイン ホイネス、ニレーモル ムロー。
| lúin | hóin-es, | nil-é-imor | muró. |
| とき | 帰る-<あなたが> | 飲む-<〜だろう>-<我々が> | 濁り酒<対格> |
「お前が帰ってきたら、濁り酒を飲もう。」
親しい者どうしの別れぎわの言い方。時制がないので、まだ起きていないことも lúin の節では直説法で言える。主節の未来のことは推量法で言う。1人称複数の前では、推量法の -él- の l が落ちる。
lúin méira muró torárei, mé krailésa drál.
読み:ルーイン メーラ ムロー トラーレイ、メー クライレーサ ドラール。
| lúin | méir-a | muró | torár-ei, | mé | krail-és-a | drál. |
| とき | 与える-<(軽いものが)> | 濁り酒<対格> | 客-<与格> | <禁止・願いの打ち消し> | 持つ-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 器の首<対格> |
「客に濁り酒を注ぐときは、器の首をつかまぬこと。」
もてなしの作法を述べた文。lúin の節は主節の前に置く。主節は当為法を mé で否定した禁止の形。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、lúin の節の動詞も主節の動詞も軽性の形をとる。
lúin nélisa ausenár muró, dumaréimor muró.
読み:ルーイン ネーリサ アウセナール ムロー、ドゥマレーモル ムロー。
| lúin | nélis-a | au-sen-ár | muró, | dumar-é-imor | muró. |
| とき | お飲みになる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | 濁り酒<対格> | 頂戴して飲む-<〜だろう>-<我々が> | 濁り酒<対格> |
「目付殿が濁り酒をお飲みになったら、私どもも頂戴いたしましょう。」
尊敬の nélis- と謙譲の dúmar- を一つの文に並べて、飲む順の上下を示している。段の高い者が先に口をつけるという食事の作法にかなった言い方。推量法の -él- は、1人称の語尾の前で l が落ちて -é- になる(dumaréimor)。
nélisa aldár áuren muró.
読み:ネーリサ アルダール アウレン ムロー。
| nélis-a | aldár | áur-en | muró. |
| お飲みになる-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 濁り酒<対格> |
「高き座は濁り酒をお飲みになる。」
nélis- は、目上の人が食べることにも飲むことにも使う。aldár áuren「高き座」は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。分詞 áuren は軽性・単数・主格なので一致の語尾がつかない。宮廷の宴を述べる、記録風の文。
ké néules muró? néulim.
読み:ケー ネウレス ムロー?ネウリン。
| ké | néul-es | muró? | néul-im. |
| <〜か> | 好む-<あなたが> | 濁り酒<対格> | 好む-<私が> |
「「濁り酒は好きか?」「好きだ。」」
二人の発話。くだけた場面での問いと答え。高原語には「はい」にあたる語がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える。muró は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形。
niléndes muró, séulin.
読み:ニレンデス ムロー、セウリン。
| nil-énd-es | muró, | séulin. |
| 飲む-<〜しますように>-<あなたが> | 濁り酒<対格> | 友 |
「まあ一杯やってくれ、友よ。」
同じ段の相手に酒を勧める「並び」の言い方で、願望法の2人称を使う。muró は強勢のある -ó で終わる重性o語幹で、主格と対格が同じ形。日常では呼格を使わず、呼びかけの名詞を読点で区切って文の終わりに添える。
kúula líura tambór, bróla muró.
読み:クーラ リーウラ タンボール、ブローラ ムロー。
| kúul-a | líura | tambór, | bról-a | muró. |
| 煮る-<(軽いものが)> | 女<主格> | 雑穀<対格> | 作る-<(軽いものが)> | 濁り酒<対格> |
「女は雑穀を煮て、濁り酒を作る。」
濁り酒の作り方を言う文。後半では主語を言わず、動詞の語尾から前半と同じ女が主語だとわかる。時制がないので、習慣としての営みを表す。
anórel, níla faronár té muró bróus, esós ésa él murár sórel.
読み:アノーレル、ニーラ ファロナール テー ムロー ブロース、エソース エーサ エール ムラール ソーレル。
| anórel, | níl-a | faron-ár | té | muró | bróus, | esós | és-a | él | mur-ár | sórel. |
| 昨日 | 飲む-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人> | あの<軽性> | 濁り酒<対格> | 多い | だから | いる-<(軽いものが)> | <3人称単数・軽性> | 濁った-<〜する人> | 今日 |
「昨日、あの運び人は濁り酒をしこたま飲んだ。だから今日のあいつは、まるで酔いどれだ。」
崖道の宿などで交わす、くだけた噂話。muró「濁り酒」と murár の音が近いことを使った当てこすりで、ここでは「酔ってぼんやりしている者」の意味になる。時の語 anórel は場面の枠に置いて読点で区切る。esós「だから」は二つめの文の頭に置く。主語の代名詞 él をわざわざ言っているので、「あいつときたら」という強調の響きがある。
mé níl dóulin muró, murár!
読み:メー ニール ドーリン ムロー、ムラール!
| mé | níl | dóulin | muró, | mur-ár! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 飲む<命令法><あなたが> | もう | 濁り酒<対格> | 濁った-<〜する人> |
「もう濁り酒は飲むな、この酔っぱらいめ!」
縁や崖道の炉ばたで、家の者が酔った身内をたしなめる言い方。相の副詞 dóulin「もう」は動詞のすぐ後ろに置き、否定と組んで「もう〜しない」の意味になる。muró と murár を並べた語呂合わせが面白がられ、決まり文句のようにも使われる。都の改まった言葉では、この当てこすりの使い方はしない。
súla ólmar muró.
読み:スーラ オルマル ムロー。
| súl-a | ólmar | muró. |
| すする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 濁り酒<対格> |
「年長の方が濁り酒をすすっている。」
炉ばたで濁り酒をすする場面。muró は重性o語幹なので主格と対格が同じ形になる。主語 ólmar が軽性(人)なので動詞は -a をとる。対格の印が主語にも目的語にも見えない重性名詞どうしの文では、動詞直後の名詞が主語、その次が目的語という語順が意味を決める。
雑穀を発酵させた白く濁った酒。祝いの席や炉ばたでよく飲まれる。濁ったもの・重いものとして重性に属し、飲みすぎて言葉が乱れることは『言葉が下へ落ちる』ことにつながるとして、宮廷では控えめに飲むのがたしなみとされる。
重性・o語幹(-ó に強勢)。属 murós、与 murói。
múr「濁った」+ -ó「〜するもの(重)」。「濁ったもの」の意。
左の一覧から語を選ぶか、上の検索欄に日本語またはローマ字を入れてください。
左の目次から課を選んでください。
左の一覧から選んでください。
高原語で書かれた読み物です。左の一覧から選んでください。
左の目次から話を選んでください。
小説・世界設定・翻訳から見つけた「辞書にない語」の候補です(uv run conlang dict-grow 名前 で作られます)。登録する語を選んでください。同義語として複数選べます。