sáindar

品詞
名詞
意味
証文
発音
[ˈsaindar]
読み
サインダル
分野
文字・書物・学び

意味

  1. 証文

    取引・約束を書いて印を押した書きつけ。

    aulisénde aulisár sáindaran.

    読み:アウリセンデ アウリサール サインダラン。

    au-lis-énd-eau-lis-ársáindar-an
    <お〜になる・御〜>-書く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記の方に、証文をお書きいただきたく存じます。」

    目上の人に頼むときは、命令法ではなく願望法を使う。願望法の後ろでは、3人称単数・軽性の語尾が -e になる。動詞にも名詞にも au- がつく。

    lísa lisár sáindaran senárei.

    読み:リーサ リサール サインダラン セナーレイ。

    lís-alis-ársáindar-ansen-ár-ei.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「書記が目付に証文を書く。」

    基本の語順:動詞–主語–目的語–与格(受け手)。lisár は動詞 lís- に -ár「〜する人」がついた語、senár は sén- に -ár がついた語。

    dulísim sáindaran aulisárei.

    読み:ドゥリーシン サインダラン アウリサーレイ。

    du-lís-imsáindar-anau-lis-ár-ei.
    <〜させていただく>-書く-<私が>証文-<対格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格>

    「書記の方に、証文を書いて差し上げます。」

    謙譲の動詞(自分を下げる)と、高めた与格(相手を上げる)を一つの文に並べている。「私が・目上の人に」という上下の関係が、文法にすべて表れる。

    tóra senár él te lísim sáindaran élei.

    読み:トーラ セナール エール テ リーシン サインダラン エーレイ。

    tór-asen-áréltelís-imsáindar-anél-ei.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人><3人称単数・軽性><関係節>書く-<私が>証文-<対格><3人称単数・軽性>-<与格>

    「私が証文を書いてやる、あの目付が来る。」

    与格にあたる部分は、関係節の中で代名詞 élei「その人に」で埋める(再述代名詞)。軽性の「あの」té は関係節の te の前に置けないので、代名詞 él を「あの・例の」の意味で置く。この él は名詞の格に一致する。tóra senár té, lísim sáindaran élei. と、強勢のある té の後ろで区切ると、「あの目付が来る。私はその人に証文を書く」という二つの文になる。書き言葉では te と té は同じ字だが、主節を二つ並べるときはかならず区切りの印を打つ。区切りがなければ関係節と読む。

    ké líses sáindaran? lísim.

    読み:ケー リーセス サインダラン?リーシン。

    kélís-essáindar-an?lís-im.
    <〜か>書く-<あなたが>証文-<対格>書く-<私が>

    「「証文を書くか」「書く」」

    答えの形では、問いに出た目的語の枠を空けてよい。

    lísa lisár sáindaran si lúuma ausenár.

    読み:リーサ リサール サインダラン シ ルーマ アウセナール。

    lís-alis-ársáindar-ansilúum-aau-sen-ár.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>とご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「書記が証文を書き、目付殿がご覧になる。」

    si で文と文を並べる。二つめの文は、同じ目的語を受けるので目的語の枠を空けてよい(1.2節)。

    ké lísa lisár sáindaran, orvél lísa fléilan?

    読み:ケー リーサ リサール サインダラン、オルヴェール リーサ フレーラン?

    kélís-alis-ársáindar-an,orvéllís-afléil-an?
    <〜か>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>または書く-<(軽いものが)>手紙-<対格>

    「書記は証文を書くのか、それとも手紙を書くのか。」

    orvél「日の出側か日の入り側か」は選択。問いでは ké を一つめの文にだけ置く。

    na léisim unlóur sáindaran.

    読み:ナ レーシン ウンロール サインダラン。

    naléis-imunlóursáindar-an.
    <〜ない>書く<〜し終えた>-<私が>まだ証文-<対格>

    「私はまだ証文を書き終えていない。」

    否定+完了だけなら「書き終えなかった」。「まだ」をはっきり言うときは unlóur を添える。

    na léisa unlóur lisár sáindaran.

    読み:ナ レーサ ウンロール リサール サインダラン。

    naléis-aunlóurlis-ársáindar-an.
    <〜ない>書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>まだ書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記はまだ証文を書き終えていない。」

    相の副詞 unlóur は動詞のすぐ後ろに置き、主語の枠・目的語の枠には数えない。

    léisin sáindaran, méirim élan senárei.

    読み:レーシン サインダラン、メーリン エーラン セナーレイ。

    léis-insáindar-an,méir-imél-ansen-ár-ei.
    書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「証文を書き終えて、それを目付に渡す。」

    完了の語根+-in で「〜し終えて」。主語は後ろの動詞と同じ(私)。 副動詞の句と主節は別の文として数えるので、主節の目的語は代名詞 élan で置く。

    na lísim dóulin sáindarais.

    読み:ナ リーシン ドーリン サインダライス。

    nalís-imdóulinsáindar-ais.
    <〜ない>書く-<私が>もう証文-<〜たちを>

    「もう証文は書かない。」

    否定+ふつうの形+dóulin で「もう〜しない」。

    anórel, an kórvoi, léisin sáindaran, méira lisár élan senárei.

    読み:アノーレル、アン コルヴォイ、レーシン サインダラン、メーラ リサール エーラン セナーレイ。

    anórel,ankórv-oi,léis-insáindar-an,méir-alis-árél-ansen-ár-ei.
    昨日上手倉-<与格>書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<(軽いものが)>書く-<〜する人><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「昨日、倉の北側で、証文を書き終えて、書記はそれを目付に渡した。」

    場面の枠は「時 → 場所 → -in の句」の順。それぞれ読点で区切る。「それを」は軽性の証文を受けるので élan。

    lísa sáindaran lisár te séna senár.

    読み:リーサ サインダラン リサール テ セーナ セナール。

    lís-asáindar-anlis-ártesén-asen-ár.
    書く-<(軽いものが)>証文-<対格>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「目付が見る書記が、証文を書く。」

    都の言葉。関係節つきの主語は目的語の後ろへ回す。目的語は対格の形でわかる。

    lísa lisár te séna senár, sáindaran.

    読み:リーサ リサール テ セーナ セナール、サインダラン。

    lís-alis-ártesén-asen-ár,sáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>

    「目付が見る書記が、証文を書く。」

    崖道の言葉。読点で関係節を閉じ、読点の後ろは主節の残りの枠(ここでは目的語)に戻る。

    auleiménde ausenár símbo sáindarei.

    読み:アウレイメンデ アウセナール シンボ サインダレイ。

    au-leim-énd-eau-sen-ársímbosáindar-ei.
    <お〜になる・御〜>-置く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>印<対格>証文-<与格>

    「目付殿に、証文に印をお押しいただきたく存じます。」

    縁の市で市の目付に頼む改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、相手を役職名+au- で呼ぶ。「印を押す」は léim-「置く」で言う。sáindar は軽性の子音語幹で、与格は -ei。

    lisésa lisár sáindarais, ré vandénde senár fáron.

    読み:リセーサ リサール サインダライス、レー ヴァンデンデ セナール ファーロン。

    lis-és-alis-ársáindar-ais,révand-énd-esen-árfáron.
    書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<〜たちを><〜と(節)>量る-<〜しますように>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付が荷を量れるよう、書記は証文を書くべし。」

    市の決まりの文。sáindar は軽性の子音語幹なので、複数対格は -ais になる。ré+願望法で目的「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。

    méirim sáindaran sélvanei.

    読み:メーリン サインダラン セルヴァネイ。

    méir-imsáindar-ansélvan-ei.
    与える-<私が>証文-<対格>セルヴァン-<与格>

    「セルヴァンに証文を渡す。」

    受け手は与格で示し、語順は動詞–目的語–与格になる。sélvan は軽性の子音語幹として変化し、対格は sélvanan、属格は sélvanes、与格は sélvanei になる。

    méir téir sáindarais némei!

    読み:メール テール サインダライス ネーメイ!

    méirtéirsáindar-aisném-ei!
    与える<命令法><あなたが>三証文-<〜たちを><私>-<与格>

    「証文を三通くれ。」

    目下の相手や親しい者に向けた、下向きのくだけた命令。会話では量の名詞を省き、数詞の後ろの名詞を直接複数にする。sáindar は軽性なので、複数対格は -ais。語順は「動詞–目的語–与格」。目上の人には命令法を使わず、願望法で言う。

    lúuma aldár sé sáindaran.

    読み:ルーマ アルダール セー サインダラン。

    lúum-aaldársésáindar-an.
    ご覧になる-<(軽いものが)>王この<軽性>証文-<対格>

    「この座(朕)は、証文を見た。」

    王は自分を「我」と言わず、aldár sé「この座」と3人称で言う。そのため、動詞は3人称単数・軽性になり、自分の行いにも尊敬の補充形 lúum- を使う。時制がないので「見る」とも「見た」とも訳せる。

    luuménde aldár áuren sáindaran sé.

    読み:ルーメンデ アルダール アウレン サインダラン セー。

    luum-énd-ealdáráur-ensáindar-ansé.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)>座<主格>高い-<〜した・〜された>証文-<対格>この<軽性>

    「高き座に、この証文をご覧いただきたく存じます。」

    宮廷で王に書きものを差し出すときの、上向きの依頼。命令の代わりに願望法の3人称を使い、「見る」は尊敬の補充形 lúum- にする。aldár áuren「高き座」は王の位の総称で、今の王はふつうこれだけで指す。

    lísa lisár dáu sáindarau.

    読み:リーサ リサール ダウ サインダラウ。

    lís-alis-árdáusáindar-au.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>二証文-<双数>

    「書記は証文を二通書く。」

    役所や市の記録の場面。dáu「二」の後ろの名詞は双数になる。双数では主格と対格が同じ形なので、目的語の sáindarau も主格と同じ形をとる。帳簿の中では量の名詞を入れることが多いが、話し言葉ではこのように省く。

    ké rímbes slúun sáindarar?

    読み:ケー リンベス スルーン サインダラル?

    kérímb-esslúunsáindar-ar?
    <〜か>数える-<あなたが>千証文-<〜らの>

    「証文を千通、数えるのか。」

    役所や市で、仲間か目下の者に尋ねる問い。ké で始め、2人称を使っている。slúun は名詞として働き、数えるものを複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar になる。帳簿では量の名詞を入れることが多いが、会話ではこのように省く。

    lúin glóira ausenár, luuménde sáindaran sé.

    読み:ルーイン グロイラ アウセナール、ルーメンデ サインダラン セー。

    lúinglóir-aau-sen-ár,luum-énd-esáindar-ansé.
    ときお越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)>証文-<対格>この<軽性>

    「目付殿がお越しになりましたら、この証文をご覧いただきたく存じます。」

    縁の市で、都の手代のような者が改まって言う依頼。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。後半の主語は前半と同じ目付なので、言わずに省いている。命令の代わりに願望法の3人称を使い、lúum-「見る」の尊敬の補充形を使う。

    sénim fáron si sáindaran.

    読み:セーニン ファーロン シ サインダラン。

    sén-imfáronsisáindar-an.
    見張る・検める-<私が>荷<対格>と証文-<対格>

    「荷と証文を検めます。」

    市や倉で、荷とその書きつけを突き合わせて確かめるときの言い方。「AとB」は si で並べ、二つとも目的語にする。重性の fáron は対格でも語尾がなく、軽性の sáindar は -an をとる。

    lísim ném sáindaran.

    読み:リーシン ネーン サインダラン。

    lís-imnémsáindar-an.
    書く-<私が><私>証文-<対格>

    「証文は、この私が書く。」

    主語は動詞の語尾 -im でわかるので、代名詞 ném はふつう言わない。それをわざわざ動詞の後ろに置くと、「ほかでもない私が」という強調になる。

    méir sáindaran sé némei.

    読み:メール サインダラン セー ネーメイ。

    méirsáindar-anséném-ei.
    与える<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性><私>-<与格>

    「その証文をこっちへよこせ。」

    下向きの命令。語順は動詞–目的語–与格(受け手)で、受け手の「私に」は与格 némei で表す。ném は②型の語尾で格変化する。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、対格は -an、指示詞は軽性の sé になる。

    lúuma ausenár sáindaran némes.

    読み:ルーマ アウセナール サインダラン ネーメス。

    lúum-aau-sen-ársáindar-anném-es.
    ご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格><私>-<属格>

    「目付殿が私の証文をご覧になる。」

    縁の市で、目付が証文を検めることを高めて言う直説法の文。lúum- は「見る」sén- の尊敬の補充形。名詞の ausenár は補充形を使わず、sén- に -ár と au- をつけて作る。所有者の属格 némes は名詞の後ろに置く。

    lísa aldár sé sáindaran.

    読み:リーサ アルダール セー サインダラン。

    lís-aaldársésáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>座<主格>この<軽性>証文-<対格>

    「この座が証文を書く。」

    王は自分を「我」と言わず、aldár sé「この座」と3人称で言う。そのため動詞は3人称単数・軽性の -a になる。実際の座は石や木でできていても、aldár は人を指すので軽性で、指示詞も軽性の sé を使う。

    funeléra lisár sóur báronul sáindarei.

    読み:フネレーラ リサール ソール バーロヌル サインダレイ。

    funelér-alis-ársóurbáron-ulsáindar-ei.
    書き留める-<(軽いものが)>書く-<〜する人>六本-<〜たちを>証文-<与格>

    「書記は証文に「六本」と書き留める。」

    証文付けの文。証文や帳簿では品名の欄が数の欄とは別にあるので、数の欄には「数詞+量の名詞」だけを書く。会話では量の名詞を省くことが多いが、帳簿・証文・荷札ではほぼ必ず入れる。sáindar「証文」は軽性の子音語幹なので、与格は -ei になる。

    mé vandésa fáron du lisímei sáindares.

    読み:メー ヴァンデーサ ファーロン ドゥ リシーメイ サインダレス。

    mévand-és-afárondulis-ím-eisáindar-es.
    <禁止・願いの打ち消し>量る-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>〜の後に書く-<〜の技・〜さ>-<与格>証文-<属格>

    「証文を書いたあとに荷を量らぬこと。」

    市の決まりを述べる当為法の文。荷は先に秤で量り、そのあとで証文に書く、という順序を定めている。主語を言わないので「人は〜すべし」という一般の主語になり、軽性の形をとる。du+与格は、an+与格「〜の前に」と対になって使われる。

    méirim sáindaran lisárei élei te tóra.

    読み:メーリン サインダラン リサーレイ エーレイ テ トーラ。

    méir-imsáindar-anlis-ár-eiél-eitetór-a.
    与える-<私が>証文-<対格>書く-<〜する人>-<与格>あの-<与格><関係節>来る-<(軽いものが)>

    「やって来た例の書記に、証文を渡す。」

    軽性の指示詞 té は関係節の te の前に置けない。そのため、代わりに él を「あの・例の」の意味で名詞の後ろに置く。この él は指示詞と違って格変化し、ここでは lisárei に合わせて与格の élei になる。関係節の主語は抜けたまま空けておく。

    vóilim sáindaran gléinan.

    読み:ヴォイリン サインダラン グレーナン。

    vóil-imsáindar-angléin-an.
    読む-<私が>証文-<対格>清らかな-<軽性・対格>

    「清らかな書きぶりの証文を読む。」

    言葉や書きぶりが整っていることをほめる用法。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、形容詞は軽性・対格の -an で一致する。書きぶりで書き手の教養を測る習わしをふまえた言い方。

    léunim ré lísa lisár sáindaran.

    読み:レウニン レー リーサ リサール サインダラン。

    léun-imrélís-alis-ársáindar-an.
    申す-<私が><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記が証文を書いたと申し上げます。」

    目上の人への報告。léun- は「言う」の謙譲の補充形。ré の節は主節の後ろに置き、主節と同じく動詞で始まる。時制がないので、lísa は文脈から「書いた」と訳している。

    séna lisár sáindaran si fáron.

    読み:セーナ リサール サインダラン シ ファーロン。

    sén-alis-ársáindar-ansifáron.
    見る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>と荷<対格>

    「書記は証文と荷を見る。」

    si で目的語を二つ並べた文。並べた語は、それぞれ文の中の役割に合う格をとる(どちらも対格。重性の fáron は主格と同じ形)。動詞は主語の書記に一致するので、双数にはならない。

    pá liséla sáindaran?

    読み:パー リセーラ サインダラン?

    pális-él-asáindar-an?
    誰<主格>書く-<〜だろう>-<(軽いものが)>証文-<対格>

    「誰が証文を書くのだろう?」

    独り言のように尋ねる文。疑問詞 pá を文頭に出し、動詞を推量法にして、ためらいや思案を表している。強勢は推量法の -él- に移る。

    aumeirénde ausenár sáindaran dunémei.

    読み:アウメイレンデ アウセナール サインダラン ドゥネーメイ。

    au-meir-énd-eau-sen-ársáindar-anduném-ei.
    <お〜になる・御〜>-与える-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>手前-<与格>

    「目付殿に、手前へ証文をお下げ渡しいただきたく存じます。」

    上向きの依頼。相手は2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を主語にした願望法の3人称で言う。受け手の自分は、ném ではなく、へりくだった duném の与格で言う。au- は m の前ではそのままの形でつく(aumeir-)。尊敬の動詞と謙譲の代名詞が一つの文に並ぶので、「目上の人から私へ」という上下の関係が文法の上に表れる。

    dulísim duném sáindaran aulisárei.

    読み:ドゥリーシン ドゥネーン サインダラン アウリサーレイ。

    du-lís-imdunémsáindar-anau-lis-ár-ei.
    <〜させていただく>-書く-<私が>手前証文-<対格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格>

    「書記の方への証文は、手前が書かせていただきます。」

    主語の代名詞は動詞の語尾でわかるのでふつうは言わない。それをわざわざ duném と言うことで、「ほかでもない手前が」という強調になる。謙譲の動詞 dulísim とともに使い、目上の人の前で役目を引き受けるときの改まった言い方。

    lísan lisárai dáu sáindarau, dulíþan dáun du orén.

    読み:リーサン リサーライ ダウ サインダラウ、ドゥリーサン ダウン ドゥ オレーン。

    lís-anlis-ár-aidáusáindar-au,dul-íþ-andáunduorén.
    書く-<彼らが>書く-<〜する人>-<〜たちが>二証文-<双数>下る-<〜させる>-<彼らが>ふたつ下手縁<対格>

    「書記たちは証文を二通書き、そのふたつを縁へ下ろす。」

    後半の dáun は、前半の双数 sáindarau を受けている。dáun には性の区別がないので、軽性のものでも重性のものでも同じ形で受ける。後半では主語を省いているが、動詞の語尾から、前半と同じ書記たちが主語だとわかる。

    pón lísa lisár sáindarei?

    読み:ポーン リーサ リサール サインダレイ?

    pónlís-alis-ársáindar-ei?
    何<対格>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<与格>

    「書記は証文に何を書いているのか。」

    市や倉で、書記の手もとをのぞきながら仲間に尋ねる文。疑問詞の目的語 pó が動詞の前に出て、その後ろは「動詞–主語–与格」の語順に戻る。pó は重性なので、対格も主格と同じ形になる。書記本人に向かって言うと、ぶしつけに聞こえる。

    meirésa orenvandár gandér térin lísen sáindarei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール ガンデール テーリン リーセン サインダレイ。

    meir-és-aorenvandárgandértérinlís-ensáindar-ei.
    与える-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>硬木<対格>そのとおりに書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「縁商人は、証文に書かれたとおりに硬木を渡すべし。」

    証文の取り決めの一文。当為法で書かれている。「térin lísen」に与格の sáindarei を添えると、「証文に書かれたとおりに」の意味になる。縁商人は段の外の者だが、文法上は人として軽性で受ける。

    sáindaran pél luuméla ausenár?

    読み:サインダラン ペール ルーメーラ アウセナール?

    sáindar-anpélluum-él-aau-sen-ár?
    証文-<対格>どのご覧になる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿は、どの証文をご覧になるのでしょうか。」

    上向きの問い。ké は使わず、推量法で推し量る形にする。尊敬の補充形 lúum- に推量法の -él- がつくので、強勢が接尾辞に移る。疑問の名詞句 sáindaran pél は文頭に出す。

    dulísim sáindaran aurélei.

    読み:ドゥリーシン サインダラン アウレーレイ。

    du-lís-imsáindar-anaurél-ei.
    <〜させていただく>-書く-<私が>証文-<対格>あの方-<与格>

    「あの方に証文を書いて差し上げます。」

    自分の動作には謙譲の du- をつけ、受け手の aurél は与格 -ei にする。こうして、上下の関係が一つの文の中にそろって表れる。aurél は él と同じく②型の語尾で変化する(aurélan・auréles・aurélei)。高め名詞なので、数詞や双数はつけない。

    lísa páin þelán míres sáindarei.

    読み:リーサ パイン セラーン ミーレス サインダレイ。

    lís-apáinþel-ánmír-essáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>誰か<主格>名前-<対格>自分-<属格>証文-<与格>

    「誰かが証文に自分の名を書いていった。」

    市の帳場で、書いた人のわからない書き込みを見つけたときの言い方。時制がないので、文脈によって「書いた」とも「書いている」とも訳せる。再帰代名詞 mír の属格 míres は主語の páin を指す。紙の証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、与格は -ei になる。

    na lísa lisár póin sáindarei sórel.

    読み:ナ リーサ リサール ポイン サインダレイ ソーレル。

    nalís-alis-árpóinsáindar-eisórel.
    <〜ない>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>何も<対格>証文-<与格>今日

    「書記は今日、証文に何も書かなかった。」

    取引のなかった日の帳場の様子を言う文。語順は動詞–主語–目的語–与格–時で、na は動詞の直前に置く。sórel「今日」のような時の語は文の後ろに回す。

    ésa ómbra sáindares lísen.

    読み:エーサ オンブラ サインダレス リーセン。

    és-aómbrasáindar-eslís-en.
    いる-<(軽いものが)>すべて<主格>証文-<属格>書く-<〜した・〜された>

    「証文はすべて書き上がっている。」

    単数の ómbra は「まるごと全体」を表し、何の全体かを後ろの属格で示す。ómbra は軽性なので、繋辞は -a をとり、分詞 lísen は軽性・単数・主格で語尾がつかない。掛けの精算の前に証文を確かめるときの言い方。

    lísa lisár ín sáindaran.

    読み:リーサ リサール イーン サインダラン。

    lís-alis-árínsáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>一証文-<対格>

    「書記が証文を一通書く。」

    役所での報告。ín「一」の後ろの名詞は単数になり、ここでは目的語なので単数対格 sáindaran になる。帳簿に記すときは量の名詞を入れるが、話し言葉では省いてよい。

    lísim sóur sáindarais.

    読み:リーシン ソール サインダライス。

    lís-imsóursáindar-ais.
    書く-<私が>六証文-<〜たちを>

    「証文を六通書く。」

    市での商人の会話。sóur「六」の後ろの名詞は複数になる。sáindar は軽性の子音語幹で、複数対格は -ais になる。帳簿では量の名詞を添えるが、会話では省くのがふつう。

    rimbéla senár sénþar sáindarar dórel.

    読み:リンベーラ セナール センサル サインダラル ドーレル。

    rimb-él-asen-ársénþarsáindar-ardórel.
    数える-<〜だろう>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>百証文-<〜らの>明日

    「目付は明日、百通の証文を数えるだろう。」

    sénþar は名詞として働くので、数えるもの(証文)を複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar。未来のことは推量法で言う。強勢が -él- に移るので、語根の強勢は消える。

    lísim dáu lénau sáindarar.

    読み:リーシン ダウ レーナウ サインダラル。

    lís-imdáulén-ausáindar-ar.
    書く-<私が>二枚-<双数>証文-<〜らの>

    「証文を二枚書く。」

    量の名詞の使い方。dáu「二」の後ろでは、量の名詞 lén が双数 lénau になる。数えるもの sáindar は複数属格になる。取引では、同じ証文を二枚書いて両方が一枚ずつ持つことが多い。

    lísan lisárai slúumbar lénar sáindarar.

    読み:リーサン リサーライ スルーンバル レーナル サインダラル。

    lís-anlis-ár-aislúumbarlén-arsáindar-ar.
    書く-<彼らが>書く-<〜する人>-<〜たちが>一万枚-<〜らの>証文-<〜らの>

    「書記たちは証文を一万枚書く。」

    書の司の仕事の多さを言う、帳簿や報告で使う言い方。slúumbar は slúun・sénþar と同じく名詞として働き、量の名詞 lén「枚」を複数属格でとる。その lén がさらに証文 sáindar を複数属格でとるので、属格が二つ続く。

    vírim sélu lénar sáindarar, na vírim slúun.

    読み:ヴィーリン セール レーナル サインダラル、ナ ヴィーリン スルーン。

    vír-imsélulén-arsáindar-ar,navír-imslúun.
    言う-<私が>泥の千枚-<〜らの>証文-<〜らの><〜ない>言う-<私が>千

    「私が言っているのは泥の千枚の証文だ。陸の千ではない。」

    縁の市で、数の取り違えを防ぐための念押し。sélu も slúun と同じく、量の名詞を複数属格でとる。干潟の数え方の1728枚なのか、高原の1000枚なのかを、二つの語を言い分けてはっきりさせている。

    lísa orenvandár sélu sáindarei.

    読み:リーサ オレンヴァンダール セール サインダレイ。

    lís-aorenvandársélusáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>縁商人<主格>当てにならない大きな数証文-<与格>

    「縁商人のやつ、証文にいい加減な大きな数を書いている。」

    陰口の文。sélu をここで1728の意味にとる必要はなく、「食い違いのありそうな、怪しい大きな数」という意味になる。sélu は干潟からの借用語で重性なので、目的語でも主格と同じ形のまま。

    ésa rimbá sáindares slúun.

    読み:エーサ リンバー サインダレス スルーン。

    és-arimbásáindar-esslúun.
    いる-<(軽いものが)>数<主格>証文-<属格>千

    「証文の数は千である。」

    帳簿の突き合わせで数を確かめる言い方。「AはBだ」の文なので繋辞 és- を先頭に置く。rimbá は軽性なので、繋辞は -a をとる。属格 sáindares は rimbá の後ろに置く。

    ésa rimbá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リンバー サインダレス セー グレーン。

    és-arimbásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>数の欄<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の数の欄は、書き損じもなくきれいだ。」

    検めで証文の書きぶりをほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。rimbá は軽性なので、指示詞は sé、述語の gléin も軽性・主格の形になる。

    na ésa rimbá sáindares sé.

    読み:ナ エーサ リンバー サインダレス セー。

    naés-arimbásáindar-essé.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>数の欄<主格>証文-<属格>この<軽性>

    「この証文には数の欄がない。」

    荷の検めで、書式の不備を指摘する言い方。存在の動詞 és- を na で否定している。rimbá は軽性なので、動詞は -a をとる。

    ké lísa lisár fáir lénais sáindarar?

    読み:ケー リーサ リサール ファイル レーナイス サインダラル?

    kélís-alis-árfáirlén-aissáindar-ar?
    <〜か>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>四枚-<〜たちを>証文-<〜らの>

    「書記は証文を四枚書くのか。」

    同じ段か下の段の相手への問い。lén は軽性の子音語幹で、三以上の数の後ろでは複数になる。ここでは目的語なので、複数対格の lénais になる。数えるもの sáindar は複数属格。目上の人に尋ねるときは、ké を使わず推量法で尋ねる。

    na sénim sáindaran sé, éso senó némes múr.

    読み:ナ セーニン サインダラン セー、エーソ セノー ネーメス ムール。

    nasén-imsáindar-ansé,és-osenóném-esmúr.
    <〜ない>見る-<私が>証文-<対格>この<軽性>いる-<(重いものが)>目<主格><私>-<属格>濁った

    「この証文は見えぬ。私の目はかすんでいる。」

    年長の者が細かい字を読めないときの言い方。主節二つを接続詞なしで並べるので、あいだに区切りを入れる。senó は重性なので、繋辞は -o をとり、述語の múr「濁った」にも語尾がつかない。目がよく見えないことを、水と同じ「濁る」で言っている。

    dulísim sáindaran anlóurei éulei.

    読み:ドゥリーシン サインダラン アンローレイ エウレイ。

    du-lís-imsáindar-ananlóur-eiéul-ei.
    <〜させていただく>-書く-<私が>証文-<対格>親-<与格>別の流れの-<軽性・与格>

    「義理の親に、証文を書いて差し上げます。」

    婚姻の取り決めなどで使う改まった言い方。anlóur éul「別の流れの瀬上」は配偶者の親を指す。謙譲の du- で自分の行いを低めている。形容詞 éul は、修飾する anlóurei に合わせて軽性・与格の -ei をとる。

    lísa véiran némes sáindaran.

    読み:リーサ ヴェーラン ネーメス サインダラン。

    lís-avéiranném-essáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>配偶者<私>-<属格>証文-<対格>

    「私の連れ合いが証文を書く。」

    véiran は人を指すので軽性で、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。夫と妻を区別しない。持ち主は属格にして名詞の後ろに置く。目上の人の配偶者を言うときは、持ち物と同じように尊敬の au- をつける。au- は v- の前で aub- に融合するので、その場合は aubéiran になる。

    lísa lisár sáindaran véiranaun.

    読み:リーサ リサール サインダラン ヴェーラナウン。

    lís-alis-ársáindar-anvéiran-aun.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>夫婦-<双数の〜の・〜に>

    「書記が、その夫婦に証文を書く。」

    婚姻の証文を、新しい夫婦に宛てて書く場面。双数では属格と与格が同じ形(-aun)になる。ここでは受け手を表す与格として、目的語の後ろに置いている。

    aulisénde aulourvirár þelán dulóures némes sáindarei.

    読み:アウリセンデ アウロウルヴィラール セラーン ドゥローレス ネーメス サインダレイ。

    au-lis-énd-eau-lourvirárþel-ándulóur-esném-essáindar-ei.
    <お〜になる・御〜>-書く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-系譜読み名前-<対格>瀬下-<属格><私>-<属格>証文-<与格>

    「系譜読みの方に、私の子の名を証文へお書きいただきたく存じます。」

    系譜読みは家の年長の女性で、発言力も強い。そのため頼みごとは上向きの話し方でする。命令法の代わりに願望法の3人称を使い、相手は尊敬の au- をつけた役名で呼ぶ。au- は l の前では形を変えない。sáindar は軽性の子音語幹で、与格は -ei になる。

    mé lisésa endríña sáindaran.

    読み:メー リセーサ エンドリーニャ サインダラン。

    mélis-és-aendríñasáindar-an.
    <禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>未成年の者<主格>証文-<対格>

    「未成年の者は、証文を書いてはならない。」

    法典の文体。当為法の否定には mé を使う。ここの endríña は年齢のことではない。成人の儀を終えておらず、成名をもたない者という、法の上での身分を指す。

    lísa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:リーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    lís-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    書く-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人が目付に証文を書く。」

    縁の市でよくある場面の文。基本の語順(動詞–主語–目的語–与格)のとおりに並んでいる。縁商人は高原の文字で読み書きができるので、市の目付に出す証文を自分で書く。時制の語形がないので、「書いた」とも訳せる。

    ésa sáindar sé tráumo, na ésa glüníño.

    読み:エーサ サインダル セー トラウモ、ナ エーサ グリュニーニョ。

    és-asáindarsétráumo,naés-aglüníño.
    いる-<(軽いものが)>証文<主格>この<軽性>確かな足場<〜ない>いる-<(軽いものが)>危うい足場

    「この証文は渡り氷だ、薄氷ではない。」

    縁の市で、約束が確かなことを請け合う決まり文句。tráumo と glüníño を対にして言う。証文 sáindar は紙に書かれたものなので軽性で、繋辞は -a、指示詞は軽性の sé をとる。

    na méirim fáron, ésa sáindar sé múrno.

    読み:ナ メーリン ファーロン、エーサ サインダル セー ムルノ。

    naméir-imfáron,és-asáindarsémúrno.
    <〜ない>与える-<私が>荷<対格>いる-<(軽いものが)>証文<主格>この<軽性>当てにならぬもの

    「荷は渡さない、この証文は腐り氷だ。」

    縁の市で取引を断るときの言い方。na は直説法の動詞の直前に置く。証文を tráumo「渡り氷」と請け合われたのに対して、múrno と言い返すことが多い。

    méir sáindar, ende.

    読み:メール サインダル、エンデ。

    méirsáindar,ende.
    渡す<命令法><あなたが>証文どうぞ

    「証文を渡してくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞は語尾のない語幹で言い、目的語にも格語尾をつけない(改まった言い方なら対格 sáindaran)。ende は願望法の語尾が固まってできた小辞。市は段に乗らない場なので、むき出しの語幹で言っても無礼にはならない。ここでの「渡す」は手渡すことで、所有が移るとはかぎらない。

    meirésa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    meir-és-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    渡す-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人は、証文を目付に渡すこと。」

    市の決まりを記した文書の文体で、当為法を使う。強勢は -és- に移り、語根の強勢は消える(meirésa)。証文を目付に預けて検めてもらうことなので、所有が移るわけではない。

    dutáulim sáindaran es aulisáres.

    読み:ドゥタウリン サインダラン エス アウリサーレス。

    du-tául-imsáindar-anesau-lis-ár-es.
    <〜させていただく>-受け取る-<私が>証文-<対格>から<お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

    「書記の方から証文を頂戴いたします。」

    目上の人から物を受け取るときの改まった言い方。自分の行いには謙譲の du- をつけ、出どころの書記には尊敬の au- をつけて、上下の関係を両方とも示している。受け取る相手は es+属格で表す。

    drenéim an kórvo dórel, ré duliséndim sáindaran.

    読み:ドレネーン アン コルヴォ ドーレル、レー ドゥリセンディン サインダラン。

    dren-é-imankórvodórel,rédu-lis-énd-imsáindar-an.
    伺う-<〜だろう>-<私が>上手倉<対格>明日<〜と(節)><〜させていただく>-書く-<〜しますように>-<私が>証文-<対格>

    「明日、証文を書かせていただくため、倉へ伺うつもりでございます。」

    改まった手紙で、訪ねることを予告する言い方。推量法の -él- は1人称単数の語尾の前で l が落ちて -é- になり、drenéim「伺うつもりでございます」となる。目的は「ré+願望法」で表し、謙譲の du- も添える。

    drénim es orénos, ré luuménde ausenár sáindaran sé.

    読み:ドレーニン エス オレーノス、レー ルーメンデ アウセナール サインダラン セー。

    drén-imesorén-os,réluum-énd-eau-sen-ársáindar-ansé.
    伺う-<私が>から縁-<属格><〜と(節)>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「目付殿にこの証文をご覧いただきたく、縁から伺いました。」

    役所に用事で出向き、来た目的を述べるときの決まった言い方。時制の形がないので、drénim は「伺う」とも「伺った」とも訳せる。目的を表す ré の節では願望法を使う。その中でも、目上の人は職名に au- をつけた3人称で主語にし、「見る」の尊敬の補充形 lúum- を使う。

    léimsa brándal ré lisésa senár sáindaran.

    読み:レーンサ ブランダル レー リセーサ セナール サインダラン。

    léims-abrándalrélis-és-asen-ársáindar-an.
    据える<〜し終えた>-<(軽いものが)>司<主格><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>証文-<対格>

    「司は、目付が証文を書くべしと定めた。」

    léim- を決まりごとに使うと「定める」の意味になる。ré の後ろの節は、定められた中身を当為法のまま保つ。語根が二重母音をもつので、完了相は -s- を足して léims- にする。書かれたものを正しいとする王国らしい決まりの文。

    auráina aurainiþár sáindarais fóndelais.

    読み:アウライナ アウライニサール サインダライス フォンデライス。

    au-ráin-aau-rainiþársáindar-aisfóndel-ais.
    <お〜になる・御〜>-心得ている-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-師証文-<〜たちを>由緒ある-<〜たちを>

    「師は由緒ある証文をよくご存じでいらっしゃる。」

    改まった場で使う、ほめ言葉としての用法。動詞にも名詞にも尊敬の au- がつく。形容詞 fóndel は名詞の性・数・格(軽性・複数・対格)に一致する。

    na þílim sáindaran sé.

    読み:ナ シーリン サインダラン セー。

    naþíl-imsáindar-ansé.
    <〜ない>分かる-<私が>証文-<対格>この<軽性>

    「この証文が分からない。」

    書きものを読むときの言い方。くだけた話し方では、na þílim が縮んだ間投詞 naþíl「わからん」もよく使う。

    ésa nourá némes ré lísa lisár sáindaran dórel, ausenár.

    読み:エーサ ノウラー ネーメス レー リーサ リサール サインダラン ドーレル、アウセナール。

    és-anouráném-esrélís-alis-ársáindar-andórel,au-sen-ár.
    いる-<(軽いものが)>思い<私>-<属格><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>明日<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、私の考えは、明日書記が証文を書く、というものです。」

    目上の人に意見を述べるときの言い方。自分の思いには au- をつけない。ré の節で考えの中身を示し、呼びかけの役職名は文の終わりに読点で区切って添える。

    sáila houmár sáindarei sé.

    読み:サイラ ホウマール サインダレイ セー。

    sáil-ahoumársáindar-eisé.
    喜ぶ-<(軽いものが)>家の主<主格>証文-<与格>この<軽性>

    「家の主はこの証文を喜んでいる。」

    喜ぶ理由は与格で示す。書かれた言葉が重い国なので、取り決めが証文に残ったことは喜ばれる。指示詞 sé は名詞句の終わりに置く。

    séirimor órelan sáunan ré liséndimor sáindaran.

    読み:セーリモル オーレラン サウナン レー リセンディモル サインダラン。

    séir-imorórel-ansáun-anrélis-énd-imorsáindar-an.
    待つ-<我々が>日-<対格>吉い-<軽性・対格><〜と(節)>書く-<〜しますように>-<我々が>証文-<対格>

    「証文を書くために、我々は吉い日を待つ。」

    大事な取り決めを結ぶ日取りについて言う文。この意味の sáun は、日取りや兆しの縁起が良いことを表す。「〜するように」という目的は、ré+願望法で表す。願望法の -énd- は強勢をもつ。

    mé lisésa lúdro sáindarei.

    読み:メー リセーサ ルードロ サインダレイ。

    mélis-és-alúdrosáindar-ei.
    <禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>偽り<対格>証文-<与格>

    「証文に偽りを書かぬこと。」

    書の司が定めた、証文の書き方の決まりにある一句。書かれた言葉が重んじられる王国では、証文のごまかしは重い罪になる。場所「〜に」は前置詞なしの与格で言う。sáindar「証文」は軽性の子音語幹なので、与格は -ei になる。

    dulísim sáindaran ívelan aulisárei.

    読み:ドゥリーシン サインダラン イーヴェラン アウリサーレイ。

    du-lís-imsáindar-anível-anau-lis-ár-ei.
    <〜させていただく>-書く-<私が>証文-<対格>新しい-<軽性・対格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格>

    「書記の方に、新しい証文を書いて差し上げます。」

    謙譲の du- と、高めた与格の aulisárei を一つの文に並べている。証文を書き直して新しくするときの、改まった言い方。

    éso nébro só gráis, na lísimor sáindaran.

    読み:エーソ ネーブロ ソー グライス、ナ リーシモル サインダラン。

    és-onébrosógráis,nalís-imorsáindar-an.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>この<重性>不吉な<〜ない>書く-<我々が>証文-<対格>

    「この霧は縁起が悪い。我々は証文を書かない。」

    霧期には大事な契約を結ばないという習わしを、兆しの言い方で述べている。霧 nébro は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só になる。重性・単数・主格の形容詞には語尾がつかない。主節が二つ並ぶので、あいだを読点で区切る。

    lísa lisár sáindaran móran.

    読み:リーサ リサール サインダラン モーラン。

    lís-alis-ársáindar-anmór-an.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>大がかりな-<軽性・対格>

    「書記は、大がかりな取引の証文を書く。」

    事業や取引の規模が大きいことを言う用法。形容詞は、軽性の sáindar の対格に一致して -an をとる。

    kráila lisár sáindaran ívelan.

    読み:クライラ リサール サインダラン イーヴェラン。

    kráil-alis-ársáindar-anível-an.
    手に持つ-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>新しい-<軽性・対格>

    「書記は新しい証文を手に取る。」

    できたばかりのものについて言う用法。形容詞は、軽性の sáindar の対格に一致して -an をとる。

    auransoinéla ausenár sáindaran sé?

    読み:アウランソイネーラ アウセナール サインダラン セー?

    aur-ansoin-él-aau-sen-ársáindar-ansé?
    <お〜になる・御〜>-思い出す<〜し終えた>-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「「目付殿は、この証文を覚えておいででしょうか。」」

    上向きの問い。目上の人には ké を使わず、推量法で推し量る形で尋ねる。「覚えている」は「思い出す」ansén- の完了語幹(補充形)ansóin- で言い、尊敬の au- は母音の前で aur- になる。推量法の -él- が強勢をとるので、語根の強勢は消える(auransoinéla)。相手は役職名に au- をつけた3人称で言う。

    tául sáindaran trúuman sé!

    読み:タウル サインダラン トルーマン セー!

    táulsáindar-antrúum-ansé!
    取る<命令法><あなたが>証文-<対格>古びた-<軽性・対格>この<軽性>

    「この古びた証文を取ってくれ!」

    目下の者に言う命令法で、日常的な言い方。紙の証文 sáindar は軽性なので、形容詞も軽性・対格の -an で一致する。指示詞 sé は名詞句の最後に置き、格変化しない。

    mé lisésa lisáis sáindarei húmelei.

    読み:メー リセーサ リサイス サインダレイ フーメレイ。

    mélis-és-alis-áissáindar-eihúmel-ei.
    <禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>字-<〜たちを>証文-<与格>湿った-<軽性・与格>

    「湿った証文に字を書かぬこと。」

    書記の心得として書かれる決まり。当為法の文を mé で否定している。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。sáindar「証文」は軽性なので、形容詞も軽性・与格の húmelei で一致する。霧で湿った紙に書くと墨がにじんで下へ流れるとされ、霧期には大事な書きものを避ける。

    lísa lisár þelán aldáres áurenes þáiles sáindarei.

    読み:リーサ リサール セラーン アルダーレス アウレネス サイレス サインダレイ。

    lís-alis-árþel-ánaldár-esáur-en-esþáil-essáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>名前-<対格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>澄み-<属格>証文-<与格>

    「書記は証文に「澄みの高き座」の名を書く。」

    座名「aldár áuren+称えの語の属格」で、名詞として使った þáil「澄み」が称えの語になっている。座名ごと属格で þelán にかかる。書き言葉では座名を記してよく、上げ書きにする。

    lís sáindar, lisár, ende.

    読み:リース サインダル、リサール、エンデ。

    líssáindar,lisár,ende.
    書く<命令法><あなたが>証文帳付けどうぞ

    「帳付けさん、証文を書いてくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で言い、格語尾も落とす(改まった言葉なら対格 sáindaran)。ende を添えるので、命令の形でも無礼には聞こえない。

    léimim símbo némes sáindarei.

    読み:レーミン シンボ ネーメス サインダレイ。

    léim-imsímboném-essáindar-ei.
    置く-<私が>印<対格><私>-<属格>証文-<与格>

    「証文に私の印を押します。」

    「印を押す」は léim-「置く」に símbo を目的語にとって言う。押す先は与格で表す。帳簿と証文が重んじられる市の取引で、日常的によく聞く言い方。

    lúin tóro nébro, mé leimésa símbo sáindarei.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー レイメーサ シンボ サインダレイ。

    lúintór-onébro,méleim-és-asímbosáindar-ei.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>置く-<〜すべし>-<(軽いものが)>印<対格>証文-<与格>

    「霧が来たら、証文に印を押さぬこと。」

    法典や碑文に見られる当為法の禁止。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の -a をとる。強勢は -és- に移り、語根の ´ は消える。前半は lúin「〜とき」の節で、霧 nébro は重性なので動詞は -o をとる。霧の中で結んだ約束は「霧の約束」として重んじられない、という禁忌を表している。

    auþundénde ausenár es sáindares sé.

    読み:アウスンデンデ アウセナール エス サインダレス セー。

    au-þund-énd-eau-sen-áressáindar-essé.
    <お〜になる・御〜>-裁く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>から証文-<属格>この<軽性>

    「目付殿に、この証文に照らしてお裁きいただきたく存じます。」

    目上の役人に裁きを願い出るときの上向きの話し方。命令法を使わず、願望法の3人称で言い、目の前の相手を役職名に au- をつけて呼ぶ。es+属格は出どころを表し、ここでは裁きのよりどころを示す。

    lísa lisár aurfáronul sáindarei.

    読み:リーサ リサール アウルファーロヌル サインダレイ。

    lís-alisáraurfáron-ulsáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>書記<主格>上げ荷-<〜たちを>証文-<与格>

    「書記は上げ荷を証文に書きつける。」

    縁の市で取引を記録する場面。上げ荷(崖の下から上がってくる荷)は、帳簿や証文に一つずつ書き留める。重性の複数の対格は -ul。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、与格は -ei。

    ésa þondá sé lísen sáindarei.

    読み:エーサ ソンダー セー リーセン サインダレイ。

    és-aþondásélís-ensáindar-ei.
    いる-<(軽いものが)>約束<主格>この<軽性>書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「この約束は証文に書き留められている。」

    取引の約束が文字に残っていることを確かめる言い方。口約束より書きつけが重いとされるので、商いの約束は証文に書かせる。繋辞 és- を文頭に置き、主語 þondá sé の後ろに分詞 lísen「書かれた」を述語として続ける。指示詞 sé は軽性の形。

    na lísim sáindaran selúin, lísim dulúin.

    読み:ナ リーシン サインダラン セルーイン、リーシン ドゥルーイン。

    nalís-imsáindar-anselúin,lís-imdulúin.
    <〜ない>書く-<私が>証文-<対格>今書く-<私が>のち

    「証文は今は書かない、のちに書く。」

    市や帳場での、くだけたやりとり。selúin「今」と dulúin「のちに」を対にしている。どちらも格語尾をつけない副詞として、文の後ろに置く。du-「下手」を含む語で、時の流れの下手、つまり後の時を表す。

    lísa lisár sáindaran dulúinei.

    読み:リーサ リサール サインダラン ドゥルーイネイ。

    lís-alis-ársáindar-andulúin-ei.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>行く末-<与格>

    「書記は、行く末のために証文を書く。」

    改まった文。与格 dulúinei は受け手を表し、「行く末の世に向けて」という意味になる。書かれた言葉は消えずに後の世へ残る、という考えが背景にある。sáindar「証文」は軽性の子音語幹で、対格は -an。

    lísa lisár þelán némes un sáindarei.

    読み:リーサ リサール セラーン ネーメス ウン サインダレイ。

    lís-alis-árþel-ánném-esunsáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>名前-<対格><私>-<属格>内に証文-<与格>

    「書記は証文の中に私の名を書く。」

    un+与格で「〜の内に」を表す。前置詞なしの与格でも場所は言えるが、un を添えると「その内側に」という意味がはっきりする。un には強勢がない。名前を書くことは息を使わないので、禁忌にならない。

    éso nebrálvo trúin, lísir sáindarais.

    読み:エーソ ネブラルヴォ トルーイン、リーシル サインダライス。

    és-onebrálvotrúin,lís-irsáindar-ais.
    いる-<(重いものが)>霧期<主格>近しい書く-<皆で〜せよ>証文-<〜たちを>

    「霧期が近い。証文を書いておけ。」

    縁の市で、乾風期の終わりに商人たちが言い合う文。trúin は時間の近さを表す。nebrálvo は重性o語幹なので、繋辞は -o になる。霧の約束は重んじられないので、霧期の前に証文を済ませておけ、という含みがある。

    ké vóiles sáindaran anóreles?

    読み:ケー ヴォイレス サインダラン アノーレレス?

    kévóil-essáindar-ananórel-es?
    <〜か>読む-<あなたが>証文-<対格>昨日-<属格>

    「昨日の証文は読んだか。」

    同じ段か目下の相手への、くだけた問い。属格の anóreles を名詞の後ろに置いて、「昨日の〜」を表す。目上の人には ké を使わず、推量法で尋ねる。

    lisésa lisár sáindaran un téir ombrénail.

    読み:リセーサ リサール サインダラン ウン テール オンブレーナイル。

    lis-és-alis-ársáindar-anuntéirombrén-ail
    書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>内三十日-<〜らに>

    「書記は三旬のうちに証文を書くべし。」

    法典や役所の定めの文体で、当為法を使っている。勤めや期限は十日を単位に数えるので、「三つの十日」でおよそ一か月を表す。三以上の数詞の後ろでは名詞が複数になり、un「〜の内に」と組むので与格をとる。

    na ésa álva sáindares selúin.

    読み:ナ エーサ アルヴァ サインダレス セルーイン。

    naés-aálvasáindar-esselúin
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>時節<主格>証文-<属格>今

    「今は証文を交わす時節ではない。」

    「〜の時節」は álva の後ろに属格を置いて言う。霧が近づいたころ、取引の約束を断るときに使う。霧の中で結んだ約束は重んじられないからである。存在の文なので és- が先頭に来て、否定の na はその直前に置く。

    lúin éso nebrálvo, mé lisésa sáindaran.

    読み:ルーイン エーソ ネブラルヴォ、メー リセーサ サインダラン。

    lúinés-onebrálvo,mélis-és-asáindar-an
    ときいる-<(重いものが)>霧期<主格><禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>証文-<対格>

    「霧期のあいだは、証文を書かぬこと。」

    市の決まりや法典の文体。nebrálvo は霧と同じく重性o語幹なので、「霧期である間」の és- は重性の -o(éso)をとる。主節は当為法なので mé で否定する。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形 lisésa をとる。

    snéimim, ausenár. luuménde ausenár sáindaran sé.

    読み:スネーミン、アウセナール。ルーメンデ アウセナール サインダラン セー。

    snéimim,au-sen-ár.luum-énd-eau-sen-ársáindar-ansé.
    失礼します<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「失礼いたします、目付殿。この証文をご覧いただきたく存じます。」

    目上の人の前に進み出て、用件を切り出すときの言い方。snéimim はもとは snéim-「身をかがめる」の直説法1人称単数(私は身をかがめる)だが、定型句として固まっているので、一語のまま扱う。頭を下げながら言う。呼びかけ ausenár は読点で区切って文の終わりに添える。続く依頼は、命令法ではなく願望法3人称(上向きの話し方)になっている。

    lís sáindaran sé! dómim.

    読み:リース サインダラン セー!ドーミン。

    líssáindar-ansé!dómim.
    書く<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性>承りました

    「「この証文を書け。」「承りました。」」

    二人の発話。目上の者が下向きの命令法で言いつけ、目下の者が dómim で受ける。dómim はもとは「控える」の謙譲の補充形 dóm- の1人称単数で、「(お言いつけのもとに)控えております」という意味が固まった定型の返事。役所や大家で、命令を受けた者がまず口にする。

    dómim. dulísim sáindaran aulisárei.

    読み:ドーミン。ドゥリーシン サインダラン アウリサーレイ。

    dómim.du-lís-imsáindar-anau-lis-ár-ei.
    承りました<〜させていただく>-書く-<私が>証文-<対格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格>

    「承りました。書記の方に証文を書いて差し上げます。」

    言いつけを受けたあと、するべきことを謙譲の形で言い直して請け合う、改まった返事。謙譲の動詞と高めた与格を並べて、自分と相手の上下を表している。dómim のあとは、謙譲の接頭辞 du- を使った動詞で続けるのがふつう。

    kloimár! dómim. sén sáindaran sé.

    読み:クロイマール!ドーミン。セーン サインダラン セー。

    kloim-ár!dómim.sénsáindar-ansé.
    学ぶ-<〜する人>はい、ここに見る<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性>

    「「弟子よ!」「はい、ここに。」「この証文を見よ。」」

    学び舎や工房で、師が弟子を役割の名で呼び、弟子が dómim で応じ、師が用件を命令法で続ける流れ。日常では呼格を使わないので、呼びかけは主格の形の役割名だけで言う。dómim は呼ばれたらすぐ口にする返事で、続く言いつけを受ける構えも示す。

    lísa lisár sáindaran senárei. vérin.

    読み:リーサ リサール サインダラン セナーレイ。ヴェーリン。

    lís-alis-ársáindar-ansen-ár-ei.vérin.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>そのとおり

    「「書記が目付に証文を書くのだな。」「そのとおり。」」

    市の手順を確かめ合うやりとり。取引の約束は書きつけが重いので、書記が証文を書いて目付に渡す。vérin は、相手が述べた決まりや事実をそのまま認める応答で、身分を問わず使える。

    ké vóiles sáindaran sé?

    読み:ケー ヴォイレス サインダラン セー?

    kévóil-essáindar-ansé?
    <〜か>読む-<あなたが>証文-<対格>この<軽性>

    「お前、この証文が読めるか?」

    下向きの問い。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。答えるときは動詞を繰り返して vóilim(読める)、na vóilim(読めない)と言う。目上の人には ké も2人称も使わない。

    ésa lisá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リサー サインダレス セー グレーン。

    és-alisásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の文面は清い(書き換えの跡がない)。」

    lisá は「字」から転じて、書かれた文面全体を指すことがある。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」。gléin「清い」は、文面について言うと、改ざんがなく正しいという含みになる。

    selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。

    selván-aau-sen-árréés-alisásáindar-esgléin.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>清い

    「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」

    縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。

    na ésa aurlisím sáindarei sé, kloimár.

    読み:ナ エーサ アウルリシーン サインダレイ セー、クロイマール。

    naés-aaurlisímsáindar-eisé,kloim-ár.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>上げ書き<主格>証文-<与格>この<軽性>学ぶ-<〜する人>

    「弟子よ、この証文には上げ書きがないぞ。」

    学び舎で師が弟子の書いたものを直すときの言い方。存在文は「いる+主語+場所の与格」の形をとり、動詞は主語の aurlisím(軽性)に一致する。sáindar は軽性の子音語幹なので、与格は -ei になる。呼びかけの kloimár は呼格にしない。文末に読点で区切って添える。

    sén sáindaran sé te lísa lisár!

    読み:セーン サインダラン セー テ リーサ リサール!

    sénsáindar-ansételís-alis-ár!
    見る<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性><関係節>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>

    「書記が書いたこの証文を見ろ。」

    役所や商家で、目上の者が目下の者に言う命令で、下向きの話し方にあたる。関係節は名詞句のいちばん最後に置く。ti のすぐ後ろには動詞が来る。関係節の目的語にあたる部分(証文)は、何も置かずに空けておく。指示詞 sé「この」は ti の前に置いてよい。sáindar「証文」は軽性の子音語幹の名詞なので、対格は -an になり、指示詞も軽性の sé になる。動詞には時制がないので、lísa は文脈によって「書いた」とも訳せる。

    ésa sáindar lísen aulisáres.

    読み:エーサ サインダル リーセン アウリサーレス。

    és-asáindarlís-enau-lis-ár-es.
    されている-<(軽いものが)>証文<主格>書く-<〜した・〜された><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

    「証文は書記の方によって書かれている。」

    受け身の専用の形がないので、éis-+分詞で結果の状態を表す。分詞の後ろの属格は、その動作をした人を表す。証文 sáindar は軽性なので、分詞 lísen は単数主格の語尾なしの形になる。

    ésa rimblisá lísen sáindarei.

    読み:エーサ リンブリサー リーセン サインダレイ。

    és-arimblisálís-ensáindar-ei.
    いる-<(軽いものが)>数字<主格>書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「数字が証文に書いてある。」

    証文の数の欄について言う文。rimblisá は軽性a語幹なので、繋辞 és- は3人称単数・軽性の -a をとる。分詞 lísen は軽性・単数・主格なので一致の語尾がつかない。場所は前置詞なしの与格で表す。

    na ésa rimblisá sáindarei.

    読み:ナ エーサ リンブリサー サインダレイ。

    naés-arimblisásáindar-ei.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>数字<主格>証文-<与格>

    「証文には数字がない。」

    存在の否定。言い切りの文なので na で否定する。動詞は存在するもの rimblisá(軽性)に一致する。

    ésau rimblisá si freimvirá sáindarei.

    読み:エーサウ リンブリサー シ フレインヴィラー サインダレイ。

    és-aurimblisásifreimvirásáindar-ei.
    いる-<双数>数字<主格>と数字の念押し<主格>証文-<与格>

    「証文には数字と念押しが書いてある。」

    単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数になる。帳簿・証文では、数字と念押しの言い換えが二通りに並んで書かれる。

    dórel, sarénei, méirim sáindaran senárei.

    読み:ドーレル、サレーネイ、メーリン サインダラン セナーレイ。

    dórel,sarén-ei,méir-imsáindar-ansen-ár-ei.
    明日本番-<与格>与える-<私が>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「明日、本番で、私は目付に証文を渡す。」

    縁の市で、目付の前に正式に証文を差し出す場面を言う。場面の枠は「時→場所」の順に並べ、時の dórel を先に置く。sarénei は場面の枠に入れ、動詞の後ろの与格は受け手の senárei 一つだけにする(裸の与格は一つまで)。

    brúna lisár sáindaran.

    読み:ブルーナ リサール サインダラン。

    brún-alis-ársáindar-an
    背負う-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>証文-<対格>

    「書記は証文の務めを背負う。」

    比喩用法。書かれた約束の責任を負う意。主語lisárは人なので軽性3単。sáindar-anは軽性の子音語幹名詞の対格。

    þalíþim símbo es sáindares.

    読み:サリーシン シンボ エス サインダレス。

    þal-íþ-imsímboessáindar-es.
    止まる-<〜させる>-<私が>印<対格>から証文-<属格>

    「私は証文から印を消す。」

    帳場・書の日常。痕を消す意。símbo は重性o語幹で、単数の主格と対格は同形。es+属格 sáindares は「証文から」。

    kríla lisár sáindaran.

    読み:クリーラ リサール サインダラン。

    kríl-alis-ársáindar-an
    離す-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記は証文を離した(請求・義務から離れた)。」

    年代記・書面の用法。kríl- は原語形。sáindar は「証文」だが、ここでは証文に結ばれた請求・義務・係わりを表し、関係を断つ比喩用法になる。時制標識はないが、出来事が済みとして語られる場面に向く。

    na éso báwal só sáindar.

    読み:ナ エーソ バーワル ソー サインダル。

    naés-obáwalsósáindar.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>身振り<主格>この<重性>証文<主格>

    「この身振りは証文ではない。」

    商いや契約の場面で、声に出した言葉や書きものではなく、作法語としての身振りに効力がないことを言う表現。主語 báwal が重性なので動詞 éso は重性の -o を受ける。述語名詞 sáindar は自身の性を保ち、主格のまま置く。

    lísa viréla sáindaran.

    読み:リーサ ヴィレーラ サインダラン。

    lís-avirélasáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>ヴィレラ<主格>証文-<対格>

    「ヴィレラは証文を書く。」

    書記・帳簿のような場面の平叙。動詞 lís-「書く」の直説法3人称単数・軽性は語尾に法の接尾辞がなく、語根に強勢が残って lísa になる。固有名詞 viréla が主語でも動詞は軽性の語尾 -a で受ける。sáindaran は軽性子音語幹 sáindar の単数対格。

    ésau sáindar si plána sélenau.

    読み:エーサウ サインダル シ プラーナ セーレナウ。

    és-ausáindarsiplánasélen-au
    いる-<双数>証文<主格>と帳簿<主格>正しい-<双数>

    「証文と帳簿が合っている。」

    書面の相互確認。si で二つの単数名詞を並べると、動詞と述語形容詞は双数になる。sáindar と plána は名詞の単数主格で、語形を切らない。両名詞が軽性なので、形容詞は軽性双数 sélenau。

    na ésa þelafilá sáindarei.

    読み:ナ エーサ セラフィラー サインダレイ。

    naés-aþelafilásáindar-ei.
    <〜ない>存在-<(軽いものが)>名の下線<主格>証文-<与格>

    「証文には、名の下線がない。」

    契約書・法文・帳簿で、確認線の有無を記す定型文に近い否定存在文。存在・繋辞 é- は主語 þelafilá が軽性なので ésa で受ける。sáindarei は sáindar-「証文」+与格 -ei で、存在文の場面・対象「証文には」を示す。名の下線がないことは、その記入によって名が確認されていないことを意味する。

    ké vándes fáron, orvél líses sáindaran?

    読み:ケー ヴァンデス ファーロン、オルヴェール リーセス サインダラン?

    kévánd-esfáron,orvéllís-essáindar-an?
    <〜か>量る-<あなたが>荷<対格>,OR書く-<あなたが>証文-<対格>?

    「荷を量っているのか、それとも証文を書いているのか。」

    縁の市で働き手に仕事の種別を選ぶ問い。orvélが節を並べ、同じ2人称主語は第二節の動詞語尾だけで示す。目的語の枠は空けず、二つ目の節でも名詞を置く。

    esós lísim sáindaran sórel.

    読み:エソース リーシン サインダラン ソーレル。

    esóslís-imsáindar-ansórel
    そういうわけで書く-<私が>証文-<対格>今日

    「そういうわけで、今日証文を書く。」

    『なぜ証文を書くのか』(es pós líses sáindaran?)と問われたとき、答えの文頭に置いて、書くという帰結を述べる例。帳簿・書記の場面。答語では目的語を繰り返してもよい。

    gǘla senár sáindaran es kórvos.

    読み:ギューラ セナール サインダラン エス コルヴォス。

    gǘl-asen-ársáindar-aneskórv-os
    取り出す-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>から倉-<属格>

    「目付は証文を倉から取り出す。」

    市の帳場での検め。主語 senár は人で軽性なので、動詞は3人称単数軽性 -a。sáindaran は軽性子音語幹の対格。es は属格を支配し「〜から」。kórvos は kórvo の属格で、倉から出す出所を示す。gǘl- は単に外へ出すだけでなく、中身を出して並べ広げるまでを指す。

    méira senár sáindaran próunei sé.

    読み:メーラ セナール サインダラン プローネイ セー。

    méir-asen-ársáindar-anpróun-eisé.
    与える-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>正当な所有者-<与格>この<軽性>

    「目付が証文をこの正当な所有者に渡す。」

    証文交付・帳簿上の精算の場面。返還・請求の相手として、正当な所有者に交付する。próun の与格は próunei。VSO の基本語順では、与格は目的語の後に置く。

    marméira lisár sáindaran senárei

    読み:マルメーラ リサール サインダラン セナーレイ

    marméir-alisársáindar-ansenár-ei
    手で差し出す-<(軽いものが)>書記<主格>証文-<対格>目付-<与格>

    「書記は目付に証文を差し出す。」

    まだ目付が受け取っていない証文を手渡す動作。lisár は軽性子音語幹で、動詞は軽性の 3 人称単数になる。sáindar は軽性で対格 -an をとる。

    bónda lisár sáindaran.

    読み:ボンダ リサール サインダラン。

    bónd-alisársáindar-an
    曲げる-<(軽いものが)>書記<主格>証文-<対格>

    「書記が証文を折り曲げる。」

    書記の事務的な場面。主語 lisár は人なので動詞は軽性3単 bónda。証文 sáindar は軽性子音語幹の文書類で、対格 -an をとる。硬い材を折る意味ではなく、紙や薄い板を角度を残して曲げる。

    na dulilána lisár símbo sáindares

    読み:ナ ドゥリラーナ リサール シンボ サインダレス

    nadulilán-alis-ársímbosáindar-es
    <〜ない>痕を消す-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>印<対格>証文-<属格>

    「書記は証文の印を消さない」

    記録・書物の文。否定の na を動詞の前に置く。主語は書記で、主語が軽性なので動詞は3人称単数軽性の -a で一致する。目的語の印が証文に属することを後置の属格で示す。

解説

取引や約束を書き記し、印を押した書きつけ。王国では口約束より書きつけが重いので、商いの約束はかならず証文に残す。市の札を帯びた者は証文に印を押すことができる。霧期に交わした証文は「霧の約束」として軽く見られる。

文法

軽性・子音語幹(紙に書いたものなので軽性)。対 sáindaran、属 sáindares、与 sáindarei、複 sáindarai。

語源

語源ははっきりしない。

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