小説
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書物
書かれた、または刷られた本。巻物も綴じ本も含む。
lísa ilanár sílaran ívelan sóndelei.
読み:リーサ イラナール シーララン イーヴェラン ソンデレイ。
| lís-a | ilanár | sílar-an | ível-an | sóndel-ei. |
| 書く-<(軽いものが)> | 星読み<主格> | 暦の月-<対格> | 新しい-<軽性・対格> | 書物-<与格> |
「星読みは新しい月を書物に書き記す。」
暦を司る星の司の記録の言い方。十の灯の昇る日がずれると、星読みが月を一つ足し、それを書き留める。形容詞 ível は sílaran に合わせて、軽性・単数・対格の -an で一致する。
lísa lisár ánþa rólanais sóndelar.
読み:リーサ リサール アンサ ローラナイス ソンデラル。
| lís-a | lis-ár | ánþa | rólan-ais | sóndel-ar. |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 八 | 巻-<〜たちを> | 書物-<〜らの> |
「書記は書物を八巻書き写す。」
書物は量の名詞 rólan「巻」で数える。数詞は量の名詞にかかり、数えるもの(書物)は複数属格にして後ろに置く。rólan は軽性なので、複数対格は -ais。時制がないので、「書き写している」とも「書き写した」とも訳せる。雨期に書を写す習わしを背景にした文。
lísa lisár téir rólanais sóndelar sórel.
読み:リーサ リサール テール ローラナイス ソンデラル ソーレル。
| lís-a | lis-ár | téir | rólan-ais | sóndel-ar | sórel. |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 三 | 巻-<〜たちを> | 書物-<〜らの> | 今日 |
「書記は今日、書物を三巻書く。」
書の司の勤めを述べる直説法の文。時制がないので、「書く」とも「書いた」とも訳せる。量の名詞は「数詞+量の名詞+数えるものの複数属格」の形をとる。数詞 téir の後ろなので rólan は複数になり、目的語なので複数対格 -ais をとる。書物 sóndel は複数属格 sóndelar で後ろに置く。
pómbar rólanais sóndelar lísers?
読み:ポンバル ローラナイス ソンデラル リーセルス?
| pómbar | rólan-ais | sóndel-ar | lís-ers? |
| いくつ | 巻-<〜たちを> | 書物-<〜らの> | 書く-<あなたがたが> |
「お前たちは書物を何巻書くのか。」
学び舎で、書き手たちに書写の量を尋ねる下向きの問い。疑問詞 pómbar を含む名詞句全体が動詞の前に出る。目的語なので量の名詞は複数対格 rólanais になる。書物は人ではないので、数を尋ねても無礼にならない。
slúun rólanar sóndelar, ombár ombár fréimai, ombár fréimai.
読み:スルーン ローラナル ソンデラル、オンバール オンバール フレーマイ、オンバール フレーマイ。
| slúun | rólan-ar | sóndel-ar, | ombár | ombár | fréim-ai, | ombár | fréim-ai. |
| 千 | 巻-<〜らの> | 書物-<〜らの> | 十 | 十 | 倍-<〜たちが> | 十 | 倍-<〜たちが> |
「書物千巻。十の十倍、そのまた十倍。」
荷札や帳簿の、数の念押し(freimvirá)の定型。動詞のない名詞句を並べる。千 slúun は量の名詞 rólan を複数属格でとり、rólan がさらに書物を複数属格でとるので、属格が二つ続く。念押しは「掛けられる数+掛ける数+fréim」の順で言い、fréim の数は掛ける数に合わせる(ombár の後ろなので複数)。干潟の千(sélu)との取り違えを防ぐための言い換えで、度量衡の碑の「千とは、十を十度、それを十度」と同じ考えに立つ。
ésa loimá kéumos só trálen sóndelei.
読み:エーサ ロイマー ケウモス ソー トラーレン ソンデレイ。
| és-a | loimá | kéum-os | só | trál-en | sóndel-ei. |
| いる-<(軽いものが)> | 碑の詞<主格> | 碑-<属格> | この<重性> | 写す-<〜した・〜された> | 書物-<与格> |
「この碑の詞は、書物に書き写されている。」
受け身の専用の形はないので、「és-+主語+分詞」で結果の状態を言う。石に刻んだ言葉はその場に据えておくものとされ、書き写して書物に残すのは書の司の役目である。指示詞 só が主語の名詞句の終わりを示し、分詞 trálen はそのあとの述語になる。与格 sóndelei は写す先を表す。
funeléra lourvirár sárvo sóndelei.
読み:フネレーラ ロウルヴィラール サルヴォ ソンデレイ。
| funelér-a | lourvirár | sárvo | sóndel-ei. |
| 書き留める-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 禁じられた名<対格> | 書物-<与格> |
「系譜読みは、禁じられた名を書物に書き留める。」
家の記録の作法を述べた文。死後一年は口にできない名前も、書くことは息を使わないので禁じられず、系譜読みは書き入れておく。重性の sárvo は、主格と対格が同じ形になる。語順は「動詞–主語–目的語–与格」の基本の形。
voilélan éndrai dulúines sóndelan sé.
読み:ヴォイレーラン エンドライ ドゥルーイネス ソンデラン セー。
| voil-él-an | éndr-ai | dulúin-es | sóndel-an | sé. |
| 読む-<〜だろう>-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 行く末-<属格> | 書物-<対格> | この<軽性> |
「行く末の人々が、この書物を読むだろう。」
書物の序や詩に見られる言い回し。属格 dulúines を「人々」の後ろに置いて「後の世の人々」と言う。名詞句の中では、名詞のすぐ後ろに属格、そのあとに指示詞 sé が来る。
meiréndes sóndelan sé némei.
読み:メイレンデス ソンデラン セー ネーメイ。
| meir-énd-es | sóndel-an | sé | ném-ei. |
| 与える-<〜しますように>-<あなたが> | 書物-<対格> | この<軽性> | <私>-<与格> |
「この書物を私に譲ってくれぬか。」
同じ段の相手への依頼で、願望法の2人称を使う。目下の相手なら命令法 méir、目上の相手なら願望法の3人称にする。sóndel は軽性・子音語幹で、指示詞 sé も軽性の形をとる。
lúin tóro nébro, na trálan lisárai sóndelais.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ トラーラン リサーライ ソンデライス。
| lúin | tór-o | nébro, | na | trál-an | lis-ár-ai | sóndel-ais. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | 写す-<彼らが> | 書く-<〜する人>-<〜たちが> | 書物-<〜たちを> |
「霧が来ると、書記たちは書物を写さない。」
霧の中で書いた字は下へ流れるとされるので、霧期には書物の書き写しを避ける(書物を写すのは雨期の仕事)。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。sóndel は巻物も綴じ本も含めた書物全般を指す。
ésa traimlisá áuren an sóndelail.
読み:エーサ トラインリサー アウレン アン ソンデライル。
| és-a | traimlisá | áur-en | an | sóndel-ail. |
| いる-<(軽いものが)> | 年代記<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 上手 | 書物-<〜らに> |
「年代記はあらゆる書物の中でいちばん尊い。」
「いちばん〜」は「an+同じ仲間の複数与格」で言う(直訳は「書物たちの上手に高い」)。書かれた言葉を重んじる王国で、年代記が書物の頂に置かれていることを表す。
trálim sóndelan sé.
読み:トラーリン ソンデラン セー。
| trál-im | sóndel-an | sé. |
| 写す-<私が> | 書物-<対格> | この<軽性> |
「この書物を写す。」
時制がないので、習慣としても予定としても読める。指示詞は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。
trála lisár sóndelan.
読み:トラーラ リサール ソンデラン。
| trál-a | lis-ár | sóndel-an. |
| 写す-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 書物-<対格> |
「書記は書物を写す。」
書の司の仕事を述べる、記録の文体の文。動詞–主語–目的語の基本の語順。
huenéra húena un sóndelei.
読み:フエネーラ フーエナ ウン ソンデレイ。
| huenér-a | húena | un | sóndel-ei. |
| 抜ける-<(軽いものが)> | ため息<主格> | 内に | 書物-<与格> |
「書物のなかで、ため息が漏れる。」
書物・文学的な表現。文章の行間から語り手の心持ちが漏れ出る意。húena は軽性。抽象的な場にも un + 与格を用いる。感情を直接述べるのではなく、静かににじませる書き方。
ké vóilin þíles sóndelan un þailviréi?
読み:ケー ヴォイリン シーレス ソンデラン ウン サイルヴィレー?
| ké | vóil-in | þíl-es | sóndel-an | un | þailvir-éi? |
| <〜か> | 読む-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> | 書物-<対格> | 内に | 高原語(雅称)-<与格> |
「書物を高原語(雅称)で読めるか。」
学び舎で能力を尋ねる文。副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を身につけていてできることを問う。ここでのþailviráは、都の改まった言葉としてだけでなく、高原語全体を雅に呼ぶ名として使う。
書かれた、または刷られた書物一般を指し、詩集・法典・暦・星の書などを含む。巻いたものも綴じたものも指し、数えるときは量の名詞 rólan「巻」を使う。紙でできているので軽性。帳簿 plána や証文 sáindar のような実務の書きつけは、ふつう sóndel とは呼ばない。
②型:sóndel/sóndelan/sóndeles/sóndelei、複 sóndelai
古い語。語源ははっきりしない。
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