小説
左の目次から話を選んでください。
と
二つ以上の名詞を「AとB」と並べてつなぐ。
ésau éndra si fáron káilau.
読み:エーサウ エンドラ シ ファーロン カイラウ。
| és-au | éndra | si | fáron | káil-au. |
| いる-<双数> | 人<主格> | と | 荷<主格> | 乾いた-<双数> |
「人と荷は乾いている。」
性の違う語を並べたとき、人が含まれれば形容詞は軽性にする。単数が二つなので双数。
lísa lisár sáindaran si lúuma ausenár.
読み:リーサ リサール サインダラン シ ルーマ アウセナール。
| lís-a | lis-ár | sáindar-an | si | lúum-a | au-sen-ár. |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 証文-<対格> | と | ご覧になる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> |
「書記が証文を書き、目付殿がご覧になる。」
si で文と文を並べる。二つめの文は、同じ目的語を受けるので目的語の枠を空けてよい(1.2節)。
fléira aulisár si tóra faronár.
読み:フレーラ アウリサール シ トーラ ファロナール。
| fléir-a | au-lis-ár | si | tór-a | faron-ár. |
| お出ましになる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人> | と | 来る-<(軽いものが)> | 荷-<〜する人> |
「書記の方がお出ましになり、運び人も来る。」
目上の人と目下の人は、一つの主語に並べずに二つの文に分けるのが改まった言い方。
gélimor ném si sélvan si silára du orén.
読み:ゲーリモル ネーン シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。
| gél-imor | ném | si | sélvan | si | silára | du | orén. |
| 行く-<我々が> | <私> | と | セルヴァン<主格> | と | シラーラ<主格> | 下手 | 縁<対格> |
「私とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」
三つ以上を並べた主語の人称は、1人称>2人称>3人称の順に優先する。「私」が入るので1人称複数。
gélers tás si sélvan si silára du orén.
読み:ゲーレルス タース シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。
| gél-ers | tás | si | sélvan | si | silára | du | orén. |
| 行く-<あなたがたが> | <あなた> | と | セルヴァン<主格> | と | シラーラ<主格> | 下手 | 縁<対格> |
「お前とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」
「お前」が入るので2人称複数。
lúin brúuma éndra es orénos, dúlau gromó si selvá.
読み:ルーイン ブルーマ エンドラ エス オレーノス、ドゥーラウ グロモー シ セルヴァー。
| lúin | brúum-a | éndra | es | orén-os, | dúl-au | gromó | si | selvá. |
| とき | 落ちる-<(軽いものが)> | 人<主格> | から | 縁-<属格> | 下る-<双数> | 体<主格> | と | 魂<主格> |
「人が縁から落ちると、体も魂もともに下へ引かれていく。」
崖から落ちて死ぬことが恐れられる理由を述べる、教えの文。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の dúlau になり、性を区別しない。重い体と軽い魂がそろって下るのは、高原の考えではいちばん不吉なことである。
sénim fáron si sáindaran.
読み:セーニン ファーロン シ サインダラン。
| sén-im | fáron | si | sáindar-an. |
| 見張る・検める-<私が> | 荷<対格> | と | 証文-<対格> |
「荷と証文を検めます。」
市や倉で、荷とその書きつけを突き合わせて確かめるときの言い方。「AとB」は si で並べ、二つとも目的語にする。重性の fáron は対格でも語尾がなく、軽性の sáindar は -an をとる。
ké ésau tambór si sáko tásei?
読み:ケー エーサウ タンボール シ サーコ ターセイ?
| ké | és-au | tambór | si | sáko | tás-ei? |
| <〜か> | いる-<双数> | 雑穀<主格> | と | 塩<主格> | <あなた>-<与格> |
「お前のところに雑穀と塩はあるか?」
市での品の問い合わせ。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。si には強勢がなく、後ろの語に寄りかかって発音される。
séna lisár sáindaran si fáron.
読み:セーナ リサール サインダラン シ ファーロン。
| sén-a | lis-ár | sáindar-an | si | fáron. |
| 見る-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 証文-<対格> | と | 荷<対格> |
「書記は証文と荷を見る。」
si で目的語を二つ並べた文。並べた語は、それぞれ文の中の役割に合う格をとる(どちらも対格。重性の fáron は主格と同じ形)。動詞は主語の書記に一致するので、双数にはならない。
ésau ambrél dórin si dubrél dórin némei.
読み:エーサウ アンブレール ドーリン シ ドゥブレール ドーリン ネーメイ。
| és-au | ambrél | dórin | si | dubrél | dórin | ném-ei. |
| いる-<双数> | 兄・姉<主格> | 男<主格> | と | 弟・妹<主格> | 男<主格> | <私>-<与格> |
「私には兄と弟が一人ずついる。」
親族名称は性別を区別しないので、dórin を後ろに添えて「男の」であることを示す。添えた dórin も、親族名称と同じ格になる。単数のものを si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。
áurau álmar si rúsil.
読み:アウラウ アルマル シ ルーシル。
| áur-au | álmar | si | rúsil. |
| 昇る-<双数> | 白月<主格> | と | 赤月<主格> |
「白月と赤月が昇る。」
単数の名詞を si で二つ並べると、動詞は双数になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。月は星ではないので、二つ並べて双数で受けても禁忌にはならない。二つの月が重なって見える夜は秩序の乱れる夜とされ、人々は出歩かない。
faronéra gúrnal té gandér si fáron.
読み:ファロネーラ グルナル テー ガンデール シ ファーロン。
| faronér-a | gúrnal | té | gandér | si | fáron. |
| 担ぐ-<(軽いものが)> | 力の強いもの<主格> | あの<軽性> | 硬木<対格> | と | 荷<対格> |
「あの力持ちは、硬木も荷もいっしょに担ぐ。」
運び人どうしで、大げさにほめたり冷やかしたりするときの言い方。gúrnal té の té は強勢のある指示詞で、後ろに動詞が来ないので、関係節の te ではない。si で目的語を二つ並べている。
mánimor frélo si tambór.
読み:マーニモル フレーロ シ タンボール。
| mán-imor | frélo | si | tambór |
| 食べる-<我々が> | 魚<対格> | と | 雑穀<対格> |
「我々は魚と雑穀を食べる。」
ふだんの食事についての文。frélo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。si は無強勢の等位の小辞で、目的語を二つ並べている。主語は動詞の語尾 -imor でわかるので、代名詞は言わない。
mánimor tambór si frélo sórel.
読み:マーニモル タンボール シ フレーロ ソーレル。
| mán-imor | tambór | si | frélo | sórel. |
| 食べる-<我々が> | 雑穀<対格> | と | 魚<対格> | 今日 |
「今日は雑穀と魚を食べる。」
家の中のふつうの会話。直説法には法の印がなく、語根に1人称複数の語尾 -imor が直接つく。二つの目的語を si で並べている。雑穀も魚も重性なので、主格と対格が同じ形になる。時を表す語 sórel は文末に置く。
ráumau lisár si senár du orén.
読み:ラウマウ リサール シ セナール ドゥ オレーン。
| ráum-au | lis-ár | si | sen-ár | du | orén. |
| 旅をする-<双数> | 書く-<〜する人・主格> | と | 見る-<〜する人・主格> | 下手 | 縁<対格> |
「書記と目付は、縁へ旅をする。」
単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。都から縁の市まで、何日もかけて下っていく旅を言う。
flúuna líura már si nóumo.
読み:フルーナ リーウラ マール シ ノーモ。
| flúun-a | líura | már | si | nóumo. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 女<主格> | 手<対格> | と | 顔<対格> |
「女が手と顔を洗う。」
基本の VSO の文。主語の líura は人なので、動詞は軽性の -a をとる。体の部分 már・nóumo は重性なので、対格も主格と同じ形になる。目的語を二つ並べるときは si でつなぐ。
flúun már si nóumo, endríña.
読み:フルーン マール シ ノーモ、エンドリーニャ。
| flúun | már | si | nóumo, | endríña. |
| 洗う<命令法><あなたが> | 手<対格> | と | 顔<対格> | 子ども |
「手と顔を洗いなさい、子よ。」
下向きの命令法2人称単数は、むき出しの語幹 flúun で言う。呼びかけは呼格を使わず、読点で区切って文の終わりに添える。
gremésa aursárar si aldáres áurenes.
読み:グレメーサ アウルサーラル シ アルダーレス アウレネス。
| grem-és-a | aursár-ar | si | aldár-es | áur-en-es. |
| 畏れる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 祖先-<〜らの> | と | 座-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格> |
「人は祖先と高き座を畏れるべし。」
教えの書や詞に見える当為法の文。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢が -és- に移るので、語根の ´ は消える。畏れる対象は属格でとり、分詞 áurenes も aldáres の属格に一致する。
ésau þovríl si kailó séndoi.
読み:エーサウ ソヴリール シ カイロー センドイ。
| és-au | þovríl | si | kailó | sénd-oi. |
| いる-<双数> | 茶<主格> | と | 乾酪<主格> | ここ-<与格> |
「「ここに茶と乾酪がある。」」
客を炉端に迎えて、茶と乾酪を出すときの言い方。存在の文で、繋辞 és- が先頭に来る。単数の名詞が si で二つ並んでいるので、動詞は双数 ésau になる。双数の動詞は性を区別しないので、この文からは þovríl の性はわからない。
méirim kailó si sáko torárei.
読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。
| méir-im | kailó | si | sáko | torár-ei. |
| 与える-<私が> | 乾酪<対格> | と | 塩<対格> | 客-<与格> |
「客に乾酪と塩をさしあげる。」
もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。
kúulim nímbo si tambór.
読み:クーリン ニンボ シ タンボール。
| kúul-im | nímbo | si | tambór. |
| 煮る-<私が> | 乳<対格> | と | 雑穀<対格> |
「乳と雑穀を煮る。」
家で煮炊きするときの言い方。乳と雑穀を合わせて煮た粥は、湖盆の村でふだんから食べられている。どちらも重性なので、対格は主格と同じ形になる。主語は動詞の語尾 -im でわかるので言わない。
ésau kéira si méldo némei.
読み:エーサウ ケーラ シ メルド ネーメイ。
| és-au | kéira | si | méldo | ném-ei. |
| いる-<双数> | 蜜蝋<主格> | と | 蜜<主格> | <私>-<与格> |
「私には蜜蝋と蜜がある。」
商人が手元の品を言う所有の文。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。単数のもの二つを si で並べたので、動詞は双数 ésau になる。蜜蝋と蜜は、下ろし荷として並んで扱われることが多い。
émbelau ráuvan si kelár aursárais.
読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。
| émbel-au | ráuvan | si | kel-ár | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 森の巫<主格> | と | 伐る-<〜する人・主格> | 祖先-<〜たちを> |
「森の巫と樵が祖先を祀る。」
祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。
ésau rimblisá si freimvirá sáindarei.
読み:エーサウ リンブリサー シ フレインヴィラー サインダレイ。
| és-au | rimblisá | si | freimvirá | sáindar-ei. |
| いる-<双数> | 数字<主格> | と | 数字の念押し<主格> | 証文-<与格> |
「証文には数字と念押しが書いてある。」
単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数になる。帳簿・証文では、数字と念押しの言い換えが二通りに並んで書かれる。
drénan kloimárai un krévan, duói léunan mélnan rainiþárei, si na rímba rainiþár virán gráisan.
読み:ドレーナン クロイマーライ ウン クレーヴァン、ドゥオイ レウナン メルナン ライニサーレイ、シ ナ リンバ ライニサール ヴィラーン グライサン。
| drén-an | kloimár-ai | un | kréva-n, | duói | léun-an | méln-an | rainiþár-ei, | si | na | rímb-a | rainiþár | vir-án | gráis-an. |
| 参る-<彼らが> | 弟子-<〜たちが> | 内に | 練習の場-<対格> | それから | 申す-<彼らが> | 詩-<対格> | 師-<与格> | と | <〜ない> | 数える-<(軽いものが)> | 師<主格> | 言葉-<対格> | 悪い-<対格> |
「弟子たちは稽古の場へ参り、それから師に詩を申し上げる。師は言い誤りを数えない。」
宮廷や学び舎での詩の稽古を言った文。弟子の行いは謙譲の補充形で表し、drén-「参る」と léun-「申す」を使っている。un krévan は「稽古の場へ」で、本番ではない場であることを示す。virán gráisan「悪い言葉」は、ここでは無礼な言葉ではなく、言い損なった語を指す。形容詞 gráis は名詞の後ろに置かれ、軽性・対格の -an で一致している。
drélim aurbúl si aurénde selvá an ilánais.
読み:ドレーリン アウルブール シ アウレンデ セルヴァー アン イラーナイス。
| drél-im | aurbúl | si | aur-énd-e | selvá | an | ilán-ais |
| 焚く-<私が> | 薪<対格> | と | 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 息<主格> | 上手 | 灯-<〜たちを> |
「薪を焚く。息が星々のもとへ昇りますように。」
祀りの場で、炉に薪を焚いて祖先に祈りを届ける場面。drél-「焚く」は他動詞で、1人称単数は drélim(drél-im)。aurbúl(重性・子音語幹)が目的語。si は読点を伴わず、二つの文を同じ高さに並べる(統語論9.2節)。二つめの文は願望法で祈りの形にする。an ilánais は「星々のもとへ」で、挨拶の定型 aurénde selvá! ― an ilánais. と同じ前置詞句。星は数を言わず総称の複数 ilánai を用いる。
lísa lisár kórvino si tambór plíndoi.
読み:リーサ リサール コルヴィノ シ タンボール プリンドイ。
| lís-a | lis-ár | kórvino | si | tambór | plínd-oi. |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 移動倉<対格> | と | 雑穀<対格> | 札-<与格> |
「書記が、移動倉と雑穀を、札に書く。」
帳簿や荷札の記録に使う文。plíndoi は与格(書かれる場所)。si は名詞の並列。
krélau vrélmo só si tambór só
読み:クレーラウ ヴレルモ ソー シ タンボール ソー
| krél-au | vrélmo | só | si | tambór | só |
| 足りる-<双数> | 毛皮<主格> | この<重性> | と | 雑穀<主格> | この<重性> |
「この毛皮とこの雑穀が足りている。」
森の民や湖畔の市で、物々交換の持ち寄りを確かめる場面。単数の名詞を si で二つ並べると、動詞は双数になる。双数動詞 krélau は性を区別しないので、重性の vrélmo と tambór を並べてもこの形を使う。
sórel, þréumau hílva si sírna.
読み:ソーレル、スレウマウ ヒルヴァ シ シルナ。
| sórel | þréum-au | hílva | si | sírna |
| 今日 | 積もる-<双数> | 雪<主格> | と | 霜<主格> |
「今日、雪と霜が積もる。」
日常の天候の話。動詞の前に場面の枠として時の名詞 sórel を置き、短い切れ目を入れる。二つの単数名詞句が si で並ぶので、動詞は双数の語尾 -au をもつ。
trélau líura si endríña þúumo.
読み:トレーラウ リーウラ シ エンドリーニャ スーモ。
| trél-au | líura | si | endríña | þúumo. |
| 混ぜる-<双数> | 女<主格> | と | 子ども<主格> | 汁<対格> |
「女と子どもが汁をかき混ぜている。」
単数の主語が二つ並ぶので動詞は双数になる。女と子どもという二人組が粥や汁を混ぜる日常的な場面。þúumo は重性o語幹で対格同形。
flélau selvá si tíula es múndos snálenos
読み:フレーラウ セルヴァー シ ティーウラ エス ムンドス スナーレノス
| flél-au | selvá | si | tíula | es | múnd-os | snál-en-os |
| 漏れる-<双数> | 息<主格> | と | 音<主格> | から | 口-<属格> | 閉じる-<〜した・〜された>-<属格> |
「閉じた口から息と音が漏れている。」
口を閉じたままで、意に反して息や音がわずかに漏れる場面。selvá「息」とtíula「音・声」の二単数主語をsiで並べ、動詞を双数-auにする。出所はes+属格の名詞句で、中心名詞múndos「口」の後に、重性・単数・属格に一致する分詞snálenos「閉じた」が続く。snál-en-osは動詞根snál-+PTCP+GENとして切る。
virsnáles tás si na víres virán
読み:ヴィルスナーレス タース シ ナ ヴィーレス ヴィラーン
| virsnál-es | tás | si | na | vír-es | vir-án |
| 口をとがらせる-<あなたが> | <あなた・主格> | CONN | <〜ない> | 言う-<あなたが> | 言葉-<対格> |
「あなたは口をとがらせ、ひとことも言わない。」
「言葉を閉じる」意を、物を言わない述語節で明示する文。主語を繰り返さず、同じ聞き手への否定節も人称語尾 -es を保つ。na は文ではなく動詞の直前に来る。
súndau andaulóura si séulin hóumoi.
読み:スンダウ アンダウローラ シ セウリン ホーモイ。
| súnd-au | andaulóura | si | séulin | hóum-oi. |
| 世間話する-<双数> | 祖母<主格> | と | 友<主格> | 炉-<与格> |
「祖母と友が炉で世間話をする。」
炉ばたでの日常。場所を示す裸の与格。単数の主語を二人並べると動詞は双数で一致する。
ké súndau orenvandár si faronár?
読み:ケー スンダウ オレンヴァンダール シ ファロナール?
| ké | súnd-au | orenvandár | si | faronár? |
| <〜か> | 世間話する-<双数> | 縁商人<主格> | と | 運び人<主格> |
「縁商人と運び人は世間話をしているか。」
縁の市でのくだけた問い。ké は文頭に置く。顔見知りの二人を並べると動詞は双数になる。
fǘrau ílmo si nímbo.
読み:フューラウ イルモ シ ニンボ。
| fǘr-au | ílmo | si | nímbo |
| 沸く-<双数> | 水<主格> | と | 乳<主格> |
「水と乳が沸く。」
日常。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数。双数の動詞は人称・性を区別しない。
kranérau dóulin kranó si sóila.
読み:クラネーラウ ドーリン クラノー シ ソイラ。
| kranér-au | dóulin | kranó | si | sóila. |
| 伸びる-<双数> | もう | 爪<主格> | と | 髪<主格> |
「爪も髪ももう伸びている。」
単数の二語を si で並べるので動詞は双数になる。相の副詞 dóulin は動詞の直後、主語の前に置く。
virfílau amvirá si þailvirá.
読み:ヴィルフィーラウ アンヴィラー シ サイルヴィラー。
| virfíl-au | amvirá | si | þailvirá. |
| 通じる-<双数> | 高原語<主格> | と | 都の言葉<主格> |
「高原語と都の言葉が通い合う。」
二つの言語を並べる場面。単数名詞二語を si で結んでいるため、動詞は双数 -au をとる。「通い合う」の意味では、言葉どうしが互いに渡り合ってやり取りが成り立つ、というニュアンスになる。
krínau fúnel si fáron.
読み:クリーナウ フーネル シ ファーロン。
| krín-au | fúnel | si | fáron. |
| 固めて動かない-<双数> | 綱<主格> | と | 荷<主格> |
「綱と荷は、揺れずに張ったままだ。」
状態を簡潔に記した記録向きの文。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。krín- の意味2で、綱や荷が風に振られず、同じ位置に保たれている状態を表す。
króirau faronár si orenvandár.
読み:クロイラウ ファロナール シ オレンヴァンダール。
| króir-au | faronár | si | orenvandár. |
| 近づく-<双数> | 運び人<主格> | と | 縁商人<主格> |
「運び人と縁商人が近づいた。」
意味2。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。運び人と縁商人はもともと立場や交際の距離が遠い二者なので、この言い方には関係・序列の間隔が縮まったという含みが出やすい。市での交際や、記録にあられた交流を言う文。
krúno kravó múndo si grél
読み:クルーノ クラヴォー ムンド シ グレール
| krún-o | kravó | múndo | si | grél |
| 支える-<(重いものが)> | 顎<主格> | 口<対格> | と | 喉<対格> |
「顎は口と喉を支える。」
書物の解剖的記述の場面。kravó は主語でも重性なので動詞は3人称単数・重性の -o に一致する。múndo と grél も重性で、単数の直接目的語は無標。目的語を si で並べても、動詞の数は主語のみに一致する。
monþálau krúndo si kailíña.
読み:モンサーラウ クルンド シ カイリーニャ。
| monþál-au | krúndo | si | kailíña. |
| 石固まる-<双数> | 泥<主格> | と | 藁<主格> |
「泥と藁が固まる。」
炉の継ぎ目や壁の下地のように、泥と藁を混ぜて乾かしたものがかたく締まる場面。単数の名詞二語を si で結ぶと動詞は双数になる。
krásau dulóra si fleuróra.
読み:クラーサウ ドゥローラ シ フレウローラ。
| krás-au | dulóra | si | fleuróra. |
| 割れる-<双数> | ドゥローラ<主格> | と | フレウローラ<主格> |
「ドゥローラとフレウローラが崩れた。」
年代記や旧道の記録に多い、出来事を簡潔に述べる文。単数の固有名詞二つを si で並べると動詞は双数になる。krás- は自然物が裂けて崩れる自動詞。固有名詞は主格の辞書形のまま。
ésau sáindar si plána sélenau.
読み:エーサウ サインダル シ プラーナ セーレナウ。
| és-au | sáindar | si | plána | sélen-au |
| いる-<双数> | 証文<主格> | と | 帳簿<主格> | 正しい-<双数> |
「証文と帳簿が合っている。」
書面の相互確認。si で二つの単数名詞を並べると、動詞と述語形容詞は双数になる。sáindar と plána は名詞の単数主格で、語形を切らない。両名詞が軽性なので、形容詞は軽性双数 sélenau。
vróelau fúnel si krélvo.
読み:ヴローエラウ フーネル シ クレルヴォ。
| vróel-au | fúnel | si | krélvo |
| 揺れる-<双数> | 綱<主格> | と | 鉤<主格> |
「綱と鉤が小刻みに揺れている。」
作業場や倉で、吊り具二つが同じ風にわずかに揺れている場面。単数名詞が si で二つ並ぶと動詞は双数 -au を受ける。双数の動詞は人称と性を区別しない。vróel- の意味3として、それぞれが定位置の周りを小刻みに揺れる動きを指す。
klámbau ánor si dúror lisáran.
読み:クランバウ アーノル シ ドゥーロル リサーラン。
| klámb-au | ánor | si | dúror | lisár-an |
| 板挟みにする-<双数> | 上手 | と | 下手 | 書記-<対格> |
「上手と下手が書記を板挟みにする。」
比喩的な用い方。単数名詞 ánor と dúror を si で主語にすると、動詞は双数 -au。人を指す lisár は軽性なので、対格は -an。
houméran endríñai si torárai ó
読み:ホウメーラン エンドリーニャイ シ トラーライ オー
| houmér-an | endríñ-ai | si | torár-ai | ó |
| 囲む-<彼らが> | 子ども-<〜たちが> | と | 客-<〜たちが> | <3人称単数・重性・対格> |
「子どもたちと客たちは、炉を囲んで炉ばたに集う。」
本来は目的語 hóum「炉」を伴う他動詞用法。目的語を省略しないため、3人称重性の対格 ó を残す。
glákau snélo si líra snúloi
読み:グラーカウ スネーロ シ リーラ スヌーロイ
| glák-au | snélo | si | líra | snúl-oi |
| 一瞬引っかかる-<双数> | 布<主格> | と | 糸<主格> | 結び目-<与格> |
「布と糸が結び目に一瞬引っかかる。」
VSOに従い動詞を文頭に置く。二つの単数名詞を並列した主語なので、動詞は双数を使う。
glákau sóila si líra soilkrélvoi
読み:グラーカウ ソイラ シ リーラ ソイルクレルヴォイ
| glák-au | sóila | si | líra | soilkrélv-oi |
| 一瞬引っかかる-<双数> | 髪<主格> | と | 糸<主格> | 髪留め-<与格> |
「髪と糸が髪留めで一瞬引っかかる。」
VSOに従い動詞を文頭に置く。soilkrélvo の与格は soilkrélvoi。並列主語が二つの単数なので動詞は双数。
prálan trúndul si kumbórul.
読み:プラーラン トルンドゥル シ クンボールル。
| prál-an | trúnd-ul | si | kumbór-ul. |
| ぶつかる-<彼らが> | 杭-<〜たちが> | と | 青銅-<〜たちが> |
「杭と青銅の塊とがぶつかり合った。」
ぶつかり合う意味では、物の複数や群れを si で並べて主語にする。複数主語には動詞の3人称複数語形 -an をつける。
prálan fáronul si fróumul.
読み:プラーラン ファーロヌル シ フロームル。
| prál-an | fáron-ul | si | fróum-ul. |
| ぶつかる-<彼らが> | 荷-<〜たちが> | と | 荷車-<〜たちが> |
「荷と荷車とがぶつかり合った。」
荷や運び道具のように動きやすい物を並べ、双方の接触として述べる。文脈によって、荷積みの場や通路での偶然の触れ合いを示す。
bóndim klónou némes si táulim fáron.
読み:ボンディン クローノウ ネーメス シ タウリン ファーロン。
| bónd-im | klón-ou | ném-es | si | tául-im | fáron |
| 曲げる-<私が> | 膝-<双数・対格> | <私>-<属格> | と | 取る-<私が> | 荷<対格> |
「私は膝を曲げて、荷物を取る。」
日常の荷上げの場面。膝 klóno は体部語として重性で、二つの膝を指す双数 klónou を直接目的語に取る。所有は名詞の後ろに人称代名詞の属格 némes を置く。si で二つの述語を並列し、主語は動詞の人称語尾だけで示す。
wólau lisár si faronár.
読み:ウォーラウ リサール シ ファロナール。
| wól-au | lis-ár | si | faron-ár. |
| 迷う-<双数> | 書く-<〜する人・主格> | と | 荷-<〜する人・主格> |
「書記も荷持ちも決めかねている。」
帳簿や荷の手続きの場などで、判断が定まらない様子。faronár は fáron「荷」+-ár「〜する人」で、荷を扱う人=運び人ほどの意味。単数の名詞が二つ並ぶので、動詞は双数で受ける。
houmkrúelau mérvo si houmbrúndo.
読み:ホウンクルーエラウ メルヴォ シ ホウンブルンド。
| houmkrúel-au | mérvo | si | houmbrúndo |
| ざわつく-<双数> | 村<主格> | と | 寄り合い<主格> |
「村も寄り合いもざわついている。」
単数名詞 mérvo と houmbrúndo を si で結ぶと、動詞は双数語尾 -au をとる。二つの単数集団に同時にざわめきが及んでいる状態を表す。双数の動詞は人称・性を区別しないので、重性語幹同士でもこの形が使える。
houmnílau andaulóura si brél elþán.
読み:ホウンニーラウ アンダウローラ シ ブレール エルサーン。
| houmníl-au | andaulóura | si | brél | elþ-án. |
| 炉を(火を)続ける-<双数> | 祖母<主格> | と | 兄弟<主格> | 火-<対格> |
「祖母と兄弟は炉を続ける。」
二つの単数名詞を si で並べると、動詞は双数になる。brél はきょうだいの総称。家庭の炉維持の日常語で、改まった場では使わない。
núnim si nóurim élan
読み:ヌーニン シ ノーリン エーラン
| nún-im | si | nóur-im | él-an |
| 目を閉じる-<私が> | と | 思う-<私が> | <3人称単数・軽性>-<対格> |
「目を閉じて、それを思う。」
日常の内省の場面。nún- は、反射的な瞬きでも眠りに入る動作でもなく、意図的にしばらくまぶたを下ろす行為。同一主語の二つの動作を si で並べている。nóur- は他動詞なので、目的語の代名詞 él に対格語尾 -an を付けた él-an を補う。
ké brínau síndra si fúnel?
読み:ケー ブリーナウ シンドラ シ フーネル?
| ké | brín-au | síndra | si | fúnel? |
| <〜か> | ゆるむ-<双数> | 帯<主格> | と | 綱<主格> |
「帯と綱はゆるんでいるか。」
日常で、手元の帯や綱のしまりを確かめる場面の単純疑問。動詞 brín- は二つの主格単数名詞を si で並べた主語を受けて双数 brínau になる。双数の動詞は性を区別しない。
brínau unlóur rása si síndra.
読み:ブリーナウ ウンロール ラーサ シ シンドラ。
| brín-au | unlóur | rása | si | síndra |
| ゆるむ-<双数> | まだ | 衣<主格> | と | 帯<主格> |
「衣と帯が、まだゆるんでいる。」
衣類の手入れや寸法書きのような、記述的な一文。unlóur は動詞の直後に置き、事態が変わる瀬がまだ来ていない「まだ」を示す。brín- の sense 2、つまり布地や帯が使い古されて全体がしまりを失う意味で使う。
un kumbóroi, snourwéinau dulsúm si þéum.
読み:ウン クンボーロイ、スノウルウェーナウ ドゥルスーン シ セウン。
| un | kumbór-oi, | snourwéin-au | dulsúm | si | þéum. |
| 内に | 青銅-<与格> | 現れる-<双数> | 錆<主格> | と | 色づき<主格> |
「青銅では、錆と色づきとが現れる。」
金属の表面に起る変化を語る文。前置詞句 un kumbóroi が文頭の場面の枠。二つの単数名詞を si で並べると動詞は双数。þéumo は見出し語 þéum に重性o語幹の語尾 -o が付いた単数主格で、形態素分離は þéum-o。
名詞を並べる等位接続の小辞で、A si B の形で使う。無強勢で、後ろの語に寄りかかって発音される。単数のものを二つ並べると動詞は双数(性を区別しない)に、三つ以上なら複数になる。目上の人を役職名や座名で並べるときは、高め名詞を数えないよう双数を避け、複数で受ける。名詞と名詞のほか、文と文も並列でつなぐ(「そして」)。二つの文が同じ高さに並ぶ出来事のときに使い、順序をはっきりさせたいときは duói「それから」、逆接は salóur「しかし」、選択は orvél「または」、理由は esós「だから」を使う。
等位接続の小辞(無強勢、後ろの語に寄りかかる)。
古高原語 *si から。等位接続の小辞として古くからある語。
左の一覧から語を選ぶか、上の検索欄に日本語またはローマ字を入れてください。
左の目次から課を選んでください。
左の一覧から選んでください。
高原語で書かれた読み物です。左の一覧から選んでください。
左の目次から話を選んでください。
小説・世界設定・翻訳から見つけた「辞書にない語」の候補です(uv run conlang dict-grow 名前 で作られます)。登録する語を選んでください。同義語として複数選べます。