duói

品詞
小辞(接続の小辞)
意味
それから
発音
[duˈoi]
読み
ズオイ
分野
時間・空間・方向

意味

  1. それから

    前の文の出来事に続いて、次の出来事が起こることを示す。動詞で始まる二つめの文の頭に置く。

    léisa lisár plánan, duói dúlo fáron du orén.

    読み:レーサ リサール プラーナン、ドゥオイ ドゥーロ ファーロン ドゥ オレーン。

    léis-alis-árplán-an,duóidúl-ofáronduorén.
    書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>書く-<〜する人>帳簿-<対格>それから下る-<(重いものが)>荷<主格>下手縁<対格>

    「書記が帳簿を書き終え、それから荷が縁へ下りていく。」

    duói「それの下手で」は、出来事の順序をはっきりさせる。

    wéiro sáko némei, duói méirim ó endríñei.

    読み:ウェーロ サーコ ネーメイ、ドゥオイ メーリン オー エンドリーニェイ。

    wéir-osákoném-ei,duóiméir-imóendríñ-ei.
    いる<〜し終えた>-<(重いものが)>塩<主格><私>-<与格>それから与える-<私が><3人称単数・重性・対格>子ども-<与格>

    「私は塩を手に入れ、それから子どもにそれをやる。」

    所有の文の文法上の主語は塩なので、-in ではつなげず duói を使う。

    drénan kloimárai un krévan, duói léunan mélnan rainiþárei, si na rímba rainiþár virán gráisan.

    読み:ドレーナン クロイマーライ ウン クレーヴァン、ドゥオイ レウナン メルナン ライニサーレイ、シ ナ リンバ ライニサール ヴィラーン グライサン。

    drén-ankloimár-aiunkréva-n,duóiléun-anméln-anrainiþár-ei,sinarímb-arainiþárvir-ángráis-an.
    参る-<彼らが>弟子-<〜たちが>内に練習の場-<対格>それから申す-<彼らが>詩-<対格>師-<与格>と<〜ない>数える-<(軽いものが)>師<主格>言葉-<対格>悪い-<対格>

    「弟子たちは稽古の場へ参り、それから師に詩を申し上げる。師は言い誤りを数えない。」

    宮廷や学び舎での詩の稽古を言った文。弟子の行いは謙譲の補充形で表し、drén-「参る」と léun-「申す」を使っている。un krévan は「稽古の場へ」で、本番ではない場であることを示す。virán gráisan「悪い言葉」は、ここでは無礼な言葉ではなく、言い損なった語を指す。形容詞 gráis は名詞の後ろに置かれ、軽性・対格の -an で一致している。

    ombrélo fáron, duói dúlimor du dulándo.

    読み:オンブレーロ ファーロン、ドゥオイ ドゥーリモル ドゥ ドゥランド。

    ombrél-ofáron,duóidúl-imordudulándo.
    足りる-<(重いものが)>荷<主格>それから下る-<我々が>下手ドゥランド<対格>

    「荷はそろってる。じゃあ、ドゥランドまで下ろう。」

    運び人のくだけた言葉。duói「それから」は出来事の順序。dúl-imor「下る-1PL」は崖道の言葉で双数の代わりに複数で受ける形。くだけた話し方では語末の母音が落ち ombrélo → ombrél となる(語末が子音の dúl-imor は脱落しない)。

    duói brésdula lisár.

    読み:ドゥオイ ブレスドゥラ リサール。

    duóibrésdul-alisár.
    それから胸を下げる-<(軽いものが)>書記<主格>

    「それから、書記が前へ身を乗り出した。」

    記録・年代記風の直説法。副動詞的小辞 duói が後続文の頭に立ち、出来事を順に並べる。主語は書記。brésdul- はくだけた場では避けられ、記録では改まった動作描写として使う。

    klóimim treníman, duói téndim treníman.

    読み:クロイミン トレニーマン、ドゥオイ テンディン トレニーマン。

    klóim-imtrením-an,duóiténd-imtrením-an.
    学ぶ-<私が>織り模様-<対格>それから織る-<私が>織り模様-<対格>

    「私は織り型を覚え、それからその織り模様を織る。」

    修練・制作の場面。後文の主語は同一話者で省略している。duói は出来事の継起を表す。目的語は名詞句を繰り返す。

    gúna vríma, duói hóina.

    読み:グーナ ヴリーマ、ドゥオイ ホイナ。

    gún-avríma,duóihóin-a.
    集まる-<(軽いものが)>仲間<主格>それから帰る-<(軽いものが)>

    「仲間(一同)が集まり、それから帰った。」

    記録文のような継起的な文。vríma は単数扱いの総称名詞。duói が第二文を導き、主語は省略。動詞 hóina は前の主語 vríma を受ける。

    snǘlim, duói huenéra hueníña

    読み:スニューリン、ドゥオイ フエネーラ フエニーニャ

    snǘl-im,duóihuenér-ahueníña
    働く-<私が>,それから抜ける-<(軽いものが)>作業中の漏れ声<主格>

    「働いていると、うっかり声が漏れる。」

    作業の合間の場面。duói で、作業と声の漏れを継起につなげる。

    houmkrúelo mérvo, duói houmkrúelo houmbrúndo.

    読み:ホウンクルーエロ メルヴォ、ドゥオイ ホウンクルーエロ ホウンブルンド。

    houmkrúel-omérvo,duóihoumkrúel-ohoumbrúndo
    ざわつく-<(重いものが)>村<主格>それからざわつく-<(重いものが)>寄り合い<主格>

    「村がざわつき、それから寄り合いがざわつく。」

    duói「それから」で出来事の順序を示し、ざわつきが村から寄り合いへと及んでいく感覚を出す。書き言葉や年代記風に、同じ動詞を繰り返して広がりや厚みを表すことができる。節は主節として duói の前に区切りの読点を打つ。

    tánim térno, duói snámim.

    読み:ターニン テルノ、ドゥオイ スナーミン。

    tán-imtérno,duóisnám-im
    張る-<私が>弦<対格>それから射る-<私が>

    「弦を張り、それから射る。」

    弓に弦を張って射る作業を指す日常文。射る動詞 snám- が加わることで、térno が弓の弦として読まれる。duói は手続の継起を表す。重性o語幹 térno の単数対格は主格と同形で、目的語に格語尾が立たない。

    rímbim térnul, duói sálim térno.

    読み:リンビン テルヌル、ドゥオイ サーリン テルノ。

    rímb-imtérn-ul,duóisál-imtérno
    数える-<私が>弦-<〜たちを>それから鳴らす-<私が>弦<対格>

    「弦(複数)を数え、それから弦を鳴らす。」

    楽器の張弦を数えてから一本を試すような、張替・調弦の場面。térno の複数主格・対格は térnul で、segmented では térn-ul と分ける。duói で二つの手順を並べる。sál- は「ならす」の他動詞で、弦楽器の弦を弾いて鳴らす文脈に合う。

    bríno térno, duói na snámim.

    読み:ブリーノ テルノ、ドゥオイ ナ スナーミン。

    brín-otérno,duóinasnám-im
    ほつれる-<(重いものが)>弦<主格>それから<〜ない>射る-<私が>

    「弦がほつれ、それからは射らない。」

    普通文はVSOなので、動詞 brín- に -o がついた bríno を前に出し、主語 térno を後ろに置く。duói は継起の接続小辞で、二文目の頭に来る。na が否定小辞として動詞に前接し、主語の「私」は語尾 -im で示される。

  2. (唱えや記事で)その次に

    年代記の項目を読み上げるときや、系譜の名を一瀬ずつ唱えるときに、決まった順の項目や名と名をつなぐ改まった用法。

    áuran ombára ilánai, duói dulíþan kelárai dulfáron.

    読み:アウラン オンバーラ イラーナイ、ドゥオイ ドゥリーサン ケラーライ ドゥルファーロン。

    áur-anombárailán-ai,duóidul-íþ-ankel-ár-aidulfáron.
    昇る-<彼らが>十灯-<〜たちが>その次に下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>下ろし荷<対格>

    「十の灯が昇る。その次に、樵たちが下ろし荷を下ろす。」

    年代記の記事を読み上げる場面。決まった順の項目を、文1, duói 文2の形でつなぐ改まった用法。duóiは原因ではなく単に項目順を示す。第二節は動詞で始まる。

    lóima ólmar þelán ráimaros, duói lóima ólmar þelán gléinaros.

    読み:ロイマ オルマル セラーン ライマロス、ドゥオイ ロイマ オルマル セラーン グレーナロス。

    lóim-aólmarþel-ánráimar-os,duóilóim-aólmarþel-ángléinar-os.
    唱える-<(軽いものが)>年長者<主格>名前-<対格>ライマル-<属格>その次に唱える-<(軽いものが)>年長者<主格>名前-<対格>グレイナル-<属格>

    「年長者がライマルの名を唱え、その次に、グレイナルの名を唱える。」

    系譜の名を一瀬ずつ唱える儀礼の場面。duóiは名と名を結び、前の名を上手、次の名を下手に置く。名は属格で「〜の名」とする。主語は年長者。

解説

前の文で述べた出来事の「あとに」次の出来事が起こることを示す、継起の接続の小辞。「文1, duói 文2」の形で、動詞で始まる二つめの文の頭に置く。高原語では時間を源から流れ下る川と見るので、前の出来事を川のひと続きの瀬に見立てて、「その下手で」次のことが起こると言う。字義は「それの下手に」で、du+与格で「〜のあとに」と言う言い方(du nébroi「霧のあとに」)を、前の文全体を受ける重性の代名詞 ó に当てはめたもの。時の流れは地を流れる水と同じく重いものとされるので、前の文の主語が人や星のような軽いものでも、ói は重性のまま変わらない。 並列の si「と」が二つの事柄を同じ高さに並べるのに対し、duói は前の事柄を上手、後の事柄を下手に置いて、順序をはっきりさせる。漠然と「のちに・後日」を言う副詞 dulúin とは違い、duói は前の出来事のすぐ次に続くことを言う。理由や結果を言うときは es(から)の言い方を使い、duói は使わない。そのため duói でつないでも「だから」の含みはない。 年代記の記事は、十の灯が昇った日、最初の下ろし、湖が凍った日と決まった順に並ぶ。こうした記事の項目を話し言葉で読み上げるときに、項目どうしをつなぐ語としてよく使われる。系譜読みが源から一瀬ずつ名を唱えるときにも、名と名のあいだに duói を挟む唱え方があり、改まった響きをもつ。反対の「それより前に」を an ói と言うこともできるが、決まった語にはなっておらず、まれにしか使われない。

文法

接続の小辞。強勢あり(ói に強勢。du は無強勢で寄りかかる)。二つめの節の最初に置き、そのあとに na・mé か動詞が来る(例:léisa lisár plánan, duói dúlo fáron du orén.「書記が帳簿を書き終え、それから荷が縁へ下りていく」)。形は変化せず、前の文の性にも一致しない。書き言葉では一語で〈duoi〉と書き、前の文との間に区切りの印を打つ。詩の韻律では du が軽い音節、ói が重い音節になる。くだけた話し方や崖道の言葉では縮まって dói ともいう。 音節は du-ói の二つ(oi は二重母音)。

語源

前置詞 du「下手」と、重性の3人称代名詞 ó の与格 ói の組み合わせ「それの下手で」が固まったもの。du+与格で時の「あと」を表す言い方(du nébroi)から来ている。

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