slúun

品詞
数詞
意味
千
発音
[ˈsluun]
読み
スルーン
分野
数詞・数量

意味

  1. 千

    数の1000。

    dulíþan kelárai slúun báronur gandérur.

    読み:ドゥリーサン ケラーライ スルーン バーロヌル ガンデールル。

    dul-íþ-ankel-ár-aislúunbáron-urgandér-ur
    下る-<〜させる>-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>千本-<〜らの>硬木-<〜らの>

    「樵たちが硬木千本を下ろす。」

    slúun「千」は名詞として働き、量の名詞 báron「本」を複数属格でとる。その báron がさらに硬木を複数属格でとるので、属格が二つ続く。直説法では、-íþ- が自分で強勢をとる。

    vírim slúun, na vírim sélu.

    読み:ヴィーリン スルーン、ナ ヴィーリン セール。

    vír-imslúun,navír-imsélu.
    言う-<私が>千<〜ない>言う-<私が>泥の千

    「陸の千と言っているのだ。泥の千とは言っていない。」

    縁の市でよく起こる言い争いの決まった言い方。slúun(1000)と、干潟から借りた sélu(1728)を言い分けている。na は動詞の直前に置くので、後半では動詞 vírim を繰り返す。語をそのまま引いて言うときは、slúun も sélu も格の語尾をつけない。

    ké rímbes slúun sáindarar?

    読み:ケー リンベス スルーン サインダラル?

    kérímb-esslúunsáindar-ar?
    <〜か>数える-<あなたが>千証文-<〜らの>

    「証文を千通、数えるのか。」

    役所や市で、仲間か目下の者に尋ねる問い。ké で始め、2人称を使っている。slúun は名詞として働き、数えるものを複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar になる。帳簿では量の名詞を入れることが多いが、会話ではこのように省く。

    selvána ausenár ré lisésa orenvandár slúun, mé lisésa sélu.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー リセーサ オレンヴァンダール スルーン、メー リセーサ セール。

    selván-aau-sen-árrélis-és-aorenvandárslúun,mélis-és-asélu.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>千<禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>泥の千

    「目付殿は、「縁商人は陸の千で書くべし、泥の千では書かぬこと」とおっしゃる。」

    市の目付の裁きを人に伝える言い方。ré の後ろの節は、決まりごとを表す当為法のまま引いている。後半は主語を言っていないが、前半と同じ縁商人のことを言っている。証文の数は高原の数え方で書く、という市の決まりを表す。

    vírim sélu lénar sáindarar, na vírim slúun.

    読み:ヴィーリン セール レーナル サインダラル、ナ ヴィーリン スルーン。

    vír-imsélulén-arsáindar-ar,navír-imslúun.
    言う-<私が>泥の千枚-<〜らの>証文-<〜らの><〜ない>言う-<私が>千

    「私が言っているのは泥の千枚の証文だ。陸の千ではない。」

    縁の市で、数の取り違えを防ぐための念押し。sélu も slúun と同じく、量の名詞を複数属格でとる。干潟の数え方の1728枚なのか、高原の1000枚なのかを、二つの語を言い分けてはっきりさせている。

    ésa rimbá sáindares slúun.

    読み:エーサ リンバー サインダレス スルーン。

    és-arimbásáindar-esslúun.
    いる-<(軽いものが)>数<主格>証文-<属格>千

    「証文の数は千である。」

    帳簿の突き合わせで数を確かめる言い方。「AはBだ」の文なので繋辞 és- を先頭に置く。rimbá は軽性なので、繋辞は -a をとる。属格 sáindares は rimbá の後ろに置く。

    slúun rólanar sóndelar, ombár ombár fréimai, ombár fréimai.

    読み:スルーン ローラナル ソンデラル、オンバール オンバール フレーマイ、オンバール フレーマイ。

    slúunrólan-arsóndel-ar,ombárombárfréim-ai,ombárfréim-ai.
    千巻-<〜らの>書物-<〜らの>十十倍-<〜たちが>十倍-<〜たちが>

    「書物千巻。十の十倍、そのまた十倍。」

    荷札や帳簿の、数の念押し(freimvirá)の定型。動詞のない名詞句を並べる。千 slúun は量の名詞 rólan を複数属格でとり、rólan がさらに書物を複数属格でとるので、属格が二つ続く。念押しは「掛けられる数+掛ける数+fréim」の順で言い、fréim の数は掛ける数に合わせる(ombár の後ろなので複数)。干潟の千(sélu)との取り違えを防ぐための言い換えで、度量衡の碑の「千とは、十を十度、それを十度」と同じ考えに立つ。

    hálimor slúun dalorárar sélu.

    読み:ハーリモル スルーン ダロラーラル セール。

    hál-imorslúundalor-ár-arsélu.
    呼ぶ-<我々が>千<対格>下の国-<〜する人>-<〜らの>泥の千<対格>

    「我々は下の国の者たちの千を「セル(泥の千)」と呼ぶ。」

    縁の市で、二つの「千」を言い分けることを説明する文。二つ目の対格 sélu は干潟語から借りた語なので重性で、対格も主格と同じ形になる。からかいの響きを帯びた呼び方である。

    póþul? slúun?

    読み:ポースル?スルーン?

    póþul?slúun?
    なんだって(意外)千

    「なんだって? 千だと?」

    相手の言った数に驚いて聞き返す言い方。驚いた点だけを、おうむ返しに短く繰り返す。千の取り違えが多い縁の市では、大きな数を聞き返すことがよくある。

    éso bérun slúun daumárur.

    読み:エーソ ベールン スルーン ダウマールル。

    és-obérunslúundaumár-ur
    いる-<(重いものが)>道(単位)<主格>千腕-<〜らの>

    「道(長さの単位)は千腕である。」

    長さ単位としての用法。slúun は名詞として働き、数える対象を複数属格で受ける。daumár は重性で、複数属格は daumárur。

  2. 数えきれないほど多くの

    詩の決まり文句。「千の星」「千の瀬の流れ」。数えた結果ではないので、星に使っても禁忌に当たらない。

    dulíþan slúun kelárar gandér du orén.

    読み:ドゥリーサン スルーン ケラーラル ガンデール ドゥ オレーン。

    dul-íþ-anslúunkel-ár-argandérduorén.
    下る-<〜させる>-<彼らが>数えきれぬ伐る-<〜する人>-<〜らの>硬木<対格>下手縁<対格>

    「数えきれぬほどの樵が、硬木を縁へ下ろす。」

    誇張をこめた語りの言い方。この slúun は実際の数ではなく、「数えきれないほど多い」の意味。「slúun+複数属格」が主語になると、動詞は3人称複数で受ける。gandér と orén は重性なので、対格は主格と同じ形になる。du+対格で「下手へ」。

    áuran slúun sílarar, na tóra lisár.

    読み:アウラン スルーン シーララル、ナ トーラ リサール。

    áur-anslúunsílar-ar,natór-alis-ár.
    昇る-<彼らが>数えきれぬ月-<〜らの><〜ない>来る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>

    「数えきれぬほど月が昇ったが、書記は来ない。」

    詩や改まった語りの言い方。slúun sílarar「千の月」は数えた結果ではなく、「数えきれないほど長い時が過ぎた」という意味の決まり文句。月は星ではないので、数の言い方をしても禁忌には当たらない。時制がないので、áuran は「昇った」とも訳せる。

解説

数の千(1000)。名詞として働き、数えるものを複数属格でとる。帳簿の言葉であると同時に、詩では「数えきれないほど多い」という決まり文句にもなる(slúun ilánar「千の星」)。干潟語の千(1728)と取り違えやすいので、市では「陸の千」と呼び分け、証文には「十を十度、それを十度」と念を押す。

文法

名詞として働く数詞。数えるものを複数属格でとる(slúun báronur gandérur「硬木千本」)。綴りは〈sluuna〉。

語源

古高原語 *slúuna。古い脱落で語末の母音が落ちた。脱落の後の形が統一期に干潟語へ借りられ、あいまい母音を挟んで sëlu になった。森の言葉では slúuna。

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