ténd-

品詞
動詞
意味
織る
発音
[ˈtend]
読み
テンド
分野
生活・道具・衣食住

意味

  1. 織る

    布を織る。

    ténda dubrél fréun faronáres.

    読み:テンダ ドゥブレール フレウン ファロナーレス。

    ténd-adubrélfréunfaronár-es.
    織る-<(軽いものが)>弟妹<主格>額帯<対格>運び人-<属格>

    「年下のきょうだいが、運び人の額帯を織る。」

    額帯は、運び人が額にかけて背の荷を支える帯。体の部分の名がそのまま道具の名になったもので、性は重性のまま。重性なので、対格は主格と同じ形 fréun になる。持ち主は属格 faronáres で後ろに置く。

    ésa tendá lisáres rús.

    読み:エーサ テンダー リサーレス ルース。

    és-atend-ális-ár-esrús.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>書く-<〜する人>-<属格>茶色の

    「書記の布は茶色に染めてある。」

    樹皮で染めた茶色のこと。染めた色の布は、生成りの布より上の段の人に許される(書記は四段下り)。tendá「織物・布」は ténd-「織る」に -á「〜するもの(軽)」がついた語で、軽性。繋辞 éis- を先頭に置き、述語の形容詞 rús は軽性の主格(語尾なし)で主語に一致する。

    ésa tendá sé ámbel.

    読み:エーサ テンダー セー アンベル。

    és-atend-áséámbel.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>この<軽性>黄色い

    「この布は黄色い。」

    「éis-+主語+述語」の文。地衣類の「森の髭」で染めた黄の布を言う。指示詞 sé が主語の名詞句の終わりの目印になり、その後ろの ámbel が述語になる。

    ésa tendá kelárar kéum, na ésa rús.

    読み:エーサ テンダー ケラーラル ケウン、ナ エーサ ルース。

    és-atend-ákel-ár-arkéum,naés-arús.
    いる-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>伐る-<〜する人>-<〜らの>生成りの<〜ない>いる-<(軽いものが)>茶色の

    「樵たちの布は生成りで、茶色ではない。」

    染めていない布や毛の色をいう kéum の用法。八段下りの森の民は染めない布を着る。後半は主語を言わず、動詞の語尾で前半と同じ布が主語だとわかる。na は動詞の直前に置く。

    esésa tendá faronárar kéum.

    読み:エセーサ テンダー ファロナーラル ケウン。

    es-és-atend-áfaron-ár-arkéum.
    いる-<〜すべし>-<(軽いものが)>織る-<〜するもの(重)>荷-<〜する人>-<〜らの>生成りの

    「運び人の布は生成りたるべし。」

    法典や決まりの書きぶりで、当為法を使う。強勢は -és- に移る。下の段の人は染めていない生成りか灰色の衣を着る、という衣の作法を述べた文。

    lúin éso nébro, ténda ambrél.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、テンダ アンブレール。

    lúinés-onébro,ténd-aambrél
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格>織る-<(軽いものが)>姉<主格>

    「霧が出ているあいだ、姉は機を織る。」

    霧期には外仕事が減り、家の中で機を織る。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。霧 nébro は重性なので繋辞は -o をとり、姉 ambrél は人なので軽性で、織る動詞は -a をとる。ここでは目的語を言わず、「機を織る」という行い自体を表している。

    ké ténda ambrél?

    読み:ケー テンダ アンブレール?

    kéténd-aambrél
    <〜か>織る-<(軽いものが)>姉<主格>

    「姉さんは機を織っているか。」

    家族の中で交わすくだけた問い。はい・いいえの問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。答えは動詞を繰り返して言い、「はい」なら ténda、「いいえ」なら na ténda となる。時制がないので、「織ったか」とも訳せる。

    klóimim treníman, duói téndim treníman.

    読み:クロイミン トレニーマン、ドゥオイ テンディン トレニーマン。

    klóim-imtrením-an,duóiténd-imtrením-an.
    学ぶ-<私が>織り模様-<対格>それから織る-<私が>織り模様-<対格>

    「私は織り型を覚え、それからその織り模様を織る。」

    修練・制作の場面。後文の主語は同一話者で省略している。duói は出来事の継起を表す。目的語は名詞句を繰り返す。

  2. 句を編む

    詩句を整えて作ることの比喩。

    duténdim ín virán.

    読み:ドゥテンディン イーン ヴィラーン。

    du-ténd-imínvir-án
    <〜させていただく>-句を編む-<私が>一言葉-<対格>

    「一句、編ませていただきます。」

    詩の挨拶や詩合わせで、目下の者が先に詠むときの前置き。ténd- を詩句に使うのは、「言葉を布のように整えて組む」という比喩による。謙譲の du- は、t- の前ではそのままの形でつく。ín「一」の後ろの名詞は単数になる。

    lúin áura sílar, téndimor viráis.

    読み:ルーイン アウラ シーラル、テンディモル ヴィライス。

    lúináur-asílar,ténd-imorvir-áis
    とき昇る-<(軽いものが)>月<主格>句を編む-<我々が>言葉-<〜たちを>

    「月が昇ると、私たちは詩句を編む。」

    月の出を題にして詩を作る習わしを言う文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。月 sílar は軽性の子音語幹なので、動詞は -a をとる。詩句 virá の複数対格は viráis。

解説

布を織る。毛山羊の毛や草の繊維を織って衣や敷物を作る。詩では言葉を整えて句を作ることの比喩にも使う。

そのほかの用例

aldána ausenár téndoi.

読み:アルダーナ アウセナール テンドイ。

aldán-aau-sen-árténd-oi.
おわす-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>あそこ-<与格>

「「目付殿は、あちらにおいでです。」」

前の問いに答える言い方。aldán- は「いる」の尊敬の補充形で、目上の人が「いる」ことを高めて言う。役職名にも au- をつけて ausenár とする。

ké éso senó téndoi?

読み:ケー エーソ セノー テンドイ?

kéés-osenóténd-oi?
<〜か>いる-<(重いものが)>見張り<主格>あそこ-<与格>

「「あそこに見張りはいるか。」」

はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。存在の文で、動詞は重性の senó に一致して éso になる。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso と言う。崖道の上り口で番の有無を確かめるときの、くだけた問い。

ké ésa éndra téndoi? na ésa éndra, ésa hérvan.

読み:ケー エーサ エンドラ テンドイ?ナ エーサ エンドラ、エーサ ヘルヴァン。

kéés-aéndraténd-oi?naés-aéndra,és-ahérvan.
<〜か>いる-<(軽いものが)>人<主格>あそこ-<与格><〜ない>いる-<(軽いものが)>人<主格>いる-<(軽いものが)>大鹿<主格>

「「「あそこに人がいるか?」「いや、人じゃない。大鹿だ。」」」

二人の発話。「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返し、na をつけて否定の答えにしている。éndra は、獣と区別した「人」を指す。人も大鹿も軽性なので、動詞はどちらも ésa になる。

sén, ésa hérvan téndoi!

読み:セーン、エーサ ヘルヴァン テンドイ!

sén,és-ahérvanténd-oi!
見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>大鹿<主格>あそこ-<与格>

「「見ろ、あそこに大鹿がいる。」」

森で角の大きな鹿を見つけたときのくだけた叫び。hérvan は獣なので軽性の子音語幹で、存在の動詞は ésa になる。大鹿は王と貴族だけが狩ってよい獲物なので、森の民にとっては「見るだけの獣」である。

mé gélir du véinor, ésa gúrnal téndoi.

読み:メー ゲーリル ドゥ ヴェーノル、エーサ グルナル テンドイ。

mégél-irduvéinor,és-agúrnalténd-oi.
<禁止・願いの打ち消し>行く-<皆で〜せよ>下手湖<対格>いる-<(軽いものが)>熊<主格>あそこ-<与格>

「「湖へ下りていくな。あそこには熊がいる。」」

森の村の年長者が若者たちに言う注意。禁止は「mé+命令法」で言い、相手が複数なので命令法の -ir を使う。後ろの節は存在文で、主語の gúrnal が軽性・単数なので ésa になる。

sén, ésa líndra téndoi!

読み:セーン、エーサ リンドラ テンドイ!

sén,és-alíndraténd-oi!
見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格>あそこ-<与格>

「「見ろ、あそこに金の落葉樹があるぞ。」」

命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén で言う。身近な相手に向けた下向きの言い方。後半は存在の文で、és- が文頭に来る。目上の人には、願望法の3人称を使って luuménde のように言う。

grúuna dráun téndoi.

読み:グルーナ ドラウン テンドイ。

grúun-adráunténd-oi.
うなる-<(軽いものが)>狼<主格>あそこ-<与格>

「「あそこで狼がうなっている。」」

森で獣の声を耳にしたときの言い方。獣は軽性なので、動詞は -a をとる。「怒る」と同じ動詞を使い、獣が低い声を立てることを言う。

文法

他動詞。直説3単 ténda/téndo。完了語根 téend-。命令2単 tén!(語末の nd が n に削られる)。

語源

古高原語 *ténd- から

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