小説
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織る
布を織る。
ténda dubrél fréun faronáres.
読み:テンダ ドゥブレール フレウン ファロナーレス。
| ténd-a | dubrél | fréun | faronár-es. |
| 織る-<(軽いものが)> | 弟妹<主格> | 額帯<対格> | 運び人-<属格> |
「年下のきょうだいが、運び人の額帯を織る。」
額帯は、運び人が額にかけて背の荷を支える帯。体の部分の名がそのまま道具の名になったもので、性は重性のまま。重性なので、対格は主格と同じ形 fréun になる。持ち主は属格 faronáres で後ろに置く。
ésa tendá lisáres rús.
読み:エーサ テンダー リサーレス ルース。
| és-a | tend-á | lis-ár-es | rús. |
| いる-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | 書く-<〜する人>-<属格> | 茶色の |
「書記の布は茶色に染めてある。」
樹皮で染めた茶色のこと。染めた色の布は、生成りの布より上の段の人に許される(書記は四段下り)。tendá「織物・布」は ténd-「織る」に -á「〜するもの(軽)」がついた語で、軽性。繋辞 éis- を先頭に置き、述語の形容詞 rús は軽性の主格(語尾なし)で主語に一致する。
ésa tendá sé ámbel.
読み:エーサ テンダー セー アンベル。
| és-a | tend-á | sé | ámbel. |
| いる-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | この<軽性> | 黄色い |
「この布は黄色い。」
「éis-+主語+述語」の文。地衣類の「森の髭」で染めた黄の布を言う。指示詞 sé が主語の名詞句の終わりの目印になり、その後ろの ámbel が述語になる。
ésa tendá kelárar kéum, na ésa rús.
読み:エーサ テンダー ケラーラル ケウン、ナ エーサ ルース。
| és-a | tend-á | kel-ár-ar | kéum, | na | és-a | rús. |
| いる-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | 伐る-<〜する人>-<〜らの> | 生成りの | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 茶色の |
「樵たちの布は生成りで、茶色ではない。」
染めていない布や毛の色をいう kéum の用法。八段下りの森の民は染めない布を着る。後半は主語を言わず、動詞の語尾で前半と同じ布が主語だとわかる。na は動詞の直前に置く。
esésa tendá faronárar kéum.
読み:エセーサ テンダー ファロナーラル ケウン。
| es-és-a | tend-á | faron-ár-ar | kéum. |
| いる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | 荷-<〜する人>-<〜らの> | 生成りの |
「運び人の布は生成りたるべし。」
法典や決まりの書きぶりで、当為法を使う。強勢は -és- に移る。下の段の人は染めていない生成りか灰色の衣を着る、という衣の作法を述べた文。
lúin éso nébro, ténda ambrél.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、テンダ アンブレール。
| lúin | és-o | nébro, | ténd-a | ambrél |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 織る-<(軽いものが)> | 姉<主格> |
「霧が出ているあいだ、姉は機を織る。」
霧期には外仕事が減り、家の中で機を織る。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。霧 nébro は重性なので繋辞は -o をとり、姉 ambrél は人なので軽性で、織る動詞は -a をとる。ここでは目的語を言わず、「機を織る」という行い自体を表している。
ké ténda ambrél?
読み:ケー テンダ アンブレール?
| ké | ténd-a | ambrél |
| <〜か> | 織る-<(軽いものが)> | 姉<主格> |
「姉さんは機を織っているか。」
家族の中で交わすくだけた問い。はい・いいえの問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。答えは動詞を繰り返して言い、「はい」なら ténda、「いいえ」なら na ténda となる。時制がないので、「織ったか」とも訳せる。
klóimim treníman, duói téndim treníman.
読み:クロイミン トレニーマン、ドゥオイ テンディン トレニーマン。
| klóim-im | trením-an, | duói | ténd-im | trením-an. |
| 学ぶ-<私が> | 織り模様-<対格> | それから | 織る-<私が> | 織り模様-<対格> |
「私は織り型を覚え、それからその織り模様を織る。」
修練・制作の場面。後文の主語は同一話者で省略している。duói は出来事の継起を表す。目的語は名詞句を繰り返す。
句を編む
詩句を整えて作ることの比喩。
duténdim ín virán.
読み:ドゥテンディン イーン ヴィラーン。
| du-ténd-im | ín | vir-án |
| <〜させていただく>-句を編む-<私が> | 一 | 言葉-<対格> |
「一句、編ませていただきます。」
詩の挨拶や詩合わせで、目下の者が先に詠むときの前置き。ténd- を詩句に使うのは、「言葉を布のように整えて組む」という比喩による。謙譲の du- は、t- の前ではそのままの形でつく。ín「一」の後ろの名詞は単数になる。
lúin áura sílar, téndimor viráis.
読み:ルーイン アウラ シーラル、テンディモル ヴィライス。
| lúin | áur-a | sílar, | ténd-imor | vir-áis |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 月<主格> | 句を編む-<我々が> | 言葉-<〜たちを> |
「月が昇ると、私たちは詩句を編む。」
月の出を題にして詩を作る習わしを言う文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。月 sílar は軽性の子音語幹なので、動詞は -a をとる。詩句 virá の複数対格は viráis。
布を織る。毛山羊の毛や草の繊維を織って衣や敷物を作る。詩では言葉を整えて句を作ることの比喩にも使う。
aldána ausenár téndoi.
読み:アルダーナ アウセナール テンドイ。
| aldán-a | au-sen-ár | ténd-oi. |
| おわす-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | あそこ-<与格> |
「「目付殿は、あちらにおいでです。」」
前の問いに答える言い方。aldán- は「いる」の尊敬の補充形で、目上の人が「いる」ことを高めて言う。役職名にも au- をつけて ausenár とする。
ké éso senó téndoi?
読み:ケー エーソ セノー テンドイ?
| ké | és-o | senó | ténd-oi? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 見張り<主格> | あそこ-<与格> |
「「あそこに見張りはいるか。」」
はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。存在の文で、動詞は重性の senó に一致して éso になる。答えは動詞を繰り返して、「はい」なら éso、「いいえ」なら na éso と言う。崖道の上り口で番の有無を確かめるときの、くだけた問い。
ké ésa éndra téndoi? na ésa éndra, ésa hérvan.
読み:ケー エーサ エンドラ テンドイ?ナ エーサ エンドラ、エーサ ヘルヴァン。
| ké | és-a | éndra | ténd-oi? | na | és-a | éndra, | és-a | hérvan. |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | あそこ-<与格> | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | いる-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> |
「「「あそこに人がいるか?」「いや、人じゃない。大鹿だ。」」」
二人の発話。「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返し、na をつけて否定の答えにしている。éndra は、獣と区別した「人」を指す。人も大鹿も軽性なので、動詞はどちらも ésa になる。
sén, ésa hérvan téndoi!
読み:セーン、エーサ ヘルヴァン テンドイ!
| sén, | és-a | hérvan | ténd-oi! |
| 見る<命令法><あなたが> | いる-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> | あそこ-<与格> |
「「見ろ、あそこに大鹿がいる。」」
森で角の大きな鹿を見つけたときのくだけた叫び。hérvan は獣なので軽性の子音語幹で、存在の動詞は ésa になる。大鹿は王と貴族だけが狩ってよい獲物なので、森の民にとっては「見るだけの獣」である。
mé gélir du véinor, ésa gúrnal téndoi.
読み:メー ゲーリル ドゥ ヴェーノル、エーサ グルナル テンドイ。
| mé | gél-ir | du | véinor, | és-a | gúrnal | ténd-oi. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 行く-<皆で〜せよ> | 下手 | 湖<対格> | いる-<(軽いものが)> | 熊<主格> | あそこ-<与格> |
「「湖へ下りていくな。あそこには熊がいる。」」
森の村の年長者が若者たちに言う注意。禁止は「mé+命令法」で言い、相手が複数なので命令法の -ir を使う。後ろの節は存在文で、主語の gúrnal が軽性・単数なので ésa になる。
sén, ésa líndra téndoi!
読み:セーン、エーサ リンドラ テンドイ!
| sén, | és-a | líndra | ténd-oi! |
| 見る<命令法><あなたが> | いる-<(軽いものが)> | 金の落葉樹<主格> | あそこ-<与格> |
「「見ろ、あそこに金の落葉樹があるぞ。」」
命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén で言う。身近な相手に向けた下向きの言い方。後半は存在の文で、és- が文頭に来る。目上の人には、願望法の3人称を使って luuménde のように言う。
grúuna dráun téndoi.
読み:グルーナ ドラウン テンドイ。
| grúun-a | dráun | ténd-oi. |
| うなる-<(軽いものが)> | 狼<主格> | あそこ-<与格> |
「「あそこで狼がうなっている。」」
森で獣の声を耳にしたときの言い方。獣は軽性なので、動詞は -a をとる。「怒る」と同じ動詞を使い、獣が低い声を立てることを言う。
他動詞。直説3単 ténda/téndo。完了語根 téend-。命令2単 tén!(語末の nd が n に削られる)。
古高原語 *ténd- から
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