小説
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人
人間一般。獣や木と区別して、息をもつ人を指す。
ésau éndra si fáron káilau.
読み:エーサウ エンドラ シ ファーロン カイラウ。
| és-au | éndra | si | fáron | káil-au. |
| いる-<双数> | 人<主格> | と | 荷<主格> | 乾いた-<双数> |
「人と荷は乾いている。」
性の違う語を並べたとき、人が含まれれば形容詞は軽性にする。単数が二つなので双数。
tóra éndra un kórvos.
読み:トーラ エンドラ ウン コルヴォス。
| tór-a | éndra | un | kórv-os. |
| 来る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 内に | 倉-<属格> |
「人が倉の中から来る。」
un+属格で「〜の中から」。
tóra éndra es sílaraun.
読み:トーラ エンドラ エス シーララウン。
| tór-a | éndra | es | sílar-aun. |
| 来る-<(軽いものが)> | 人<主格> | から | 月-<双数の〜の・〜に> |
「人が二つの月のほうから来る。」
es は属格としか組まないので、双数の属格のままでよい。
sénim gandér te dulíþa éndra.
読み:セーニン ガンデール テ ドゥリーサ エンドラ。
| sén-im | gandér | te | dul-íþ-a | éndra. |
| 見る-<私が> | 硬木<対格> | <関係節> | 下る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 人<主格> |
「私は、人が下ろす硬木を見る。」
関係節の動詞の -a(軽性)が主語は人だと示すので、重性の要は目的語とわかる。
ésa lisár éndra te sénim.
読み:エーサ リサール エンドラ テ セーニン。
| és-a | lis-ár | éndra | te | sén-im. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人・主格> | 人<主格> | <関係節> | 見る-<私が> |
「書記は、私が見た人だ。」
名詞が述語の文では、関係節のついた名詞句を述語として読む。
éndra te sénim, ésa lisár.
読み:エンドラ テ セーニン、エーサ リサール。
| éndra | te | sén-im, | és-a | lis-ár. |
| 人<主格> | <関係節> | 見る-<私が> | いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人・主格> |
「私が見た人は、書記だ。」
関係節のついた名詞句を主語にしたいときは、読点で閉じて前に出す。
lúin fléira aldár áuren es dúnos, snéiman éndrai.
読み:ルーイン フレーラ アルダール アウレン エス ドゥーノス、スネーマン エンドライ。
| lúin | fléir-a | aldár | áur-en | es | dún-os, | snéim-an | éndr-ai. |
| とき | お出ましになる-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | から | 王の丘-<属格> | 身をかがめる-<彼らが> | 人-<〜たちが> |
「高き座が王の丘からお出ましになると、人々は身をかがめる。」
都での王の行幸を言う文。単に dún と言っても、文脈から湖都の北の、王の居所がある丘を指す。fléir- は「行く」の尊敬の補充形。lúin の時の節は主節の前に置く。
ésa þelá selvá éndres.
読み:エーサ セラー セルヴァー エンドレス。
| és-a | þelá | selvá | éndr-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 名前<主格> | 息<主格> | 人-<属格> |
「名前は、その人の息そのものである。」
書物や師の教えに出てくる格言ふうの文。名前は息の形だと考えられているので、目上の人の名、死後一年の名、霧の中の名を口にしない禁忌の理由として引かれる。書くことは息を使わないので、禁忌に当たらない。
lúin brúuma éndra es orénos, dúlau gromó si selvá.
読み:ルーイン ブルーマ エンドラ エス オレーノス、ドゥーラウ グロモー シ セルヴァー。
| lúin | brúum-a | éndra | es | orén-os, | dúl-au | gromó | si | selvá. |
| とき | 落ちる-<(軽いものが)> | 人<主格> | から | 縁-<属格> | 下る-<双数> | 体<主格> | と | 魂<主格> |
「人が縁から落ちると、体も魂もともに下へ引かれていく。」
崖から落ちて死ぬことが恐れられる理由を述べる、教えの文。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の dúlau になり、性を区別しない。重い体と軽い魂がそろって下るのは、高原の考えではいちばん不吉なことである。
hóina éndra te méirim fáron élei.
読み:ホイナ エンドラ テ メーリン ファーロン エーレイ。
| hóin-a | éndra | te | méir-im | fáron | él-ei. |
| 帰る-<(軽いものが)> | 人<主格> | <関係節> | 与える-<私が> | 荷<対格> | 彼-<与格> |
「私が荷を渡した人が帰っていく。」
関係節の中で受け手(与格)にあたる部分は穴のままにできないので、代名詞の与格 élei で埋める(再述代名詞)。人を受けるので軽性の él を使う。関係節は文の終わりまで続く。
lúin tóro nébro, mé hál þelán éndrar.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー ハール セラーン エンドラル。
| lúin | tór-o | nébro, | mé | hál | þel-án | éndr-ar. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 呼ぶ<命令法><あなたが> | 名前-<対格> | 人-<〜らの> |
「霧が来たら、人の名を呼ぶな。」
子どもに霧期の禁忌を教えるときの言い方。lúin の節は主節の前に置き、読点で区切る。霧 nébro は重性なので、動詞は -o の形になる。禁止は mé と命令法で言う。
mé vrín éndran!
読み:メー ヴリーン エンドラン!
| mé | vrín | éndr-an! |
| <禁止・願いの打ち消し> | またぐ<命令法><あなたが> | 人-<対格> |
「人をまたぐな!」
人をまたぐのは「その人の上に立つ」ことになるので、強い無礼とされる。禁止は mé+命令法で言う。親が子をたしなめるときによく使う。
vrína endríña gandér, na vrína éndran.
読み:ヴリーナ エンドリーニャ ガンデール、ナ ヴリーナ エンドラン。
| vrín-a | endríña | gandér, | na | vrín-a | éndr-an. |
| またぐ-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 硬木<対格> | <〜ない> | またぐ-<(軽いものが)> | 人-<対格> |
「子どもは硬木はまたいでも、人はまたがない。」
物をまたぐのはかまわないが、人をまたぐのは禁忌だという対比。動詞は主語の endríña(軽性)に一致して -a をとる。gandér は重性なので、対格に語尾がつかない。
ké ésa éndra téndoi? na ésa éndra, ésa hérvan.
読み:ケー エーサ エンドラ テンドイ?ナ エーサ エンドラ、エーサ ヘルヴァン。
| ké | és-a | éndra | ténd-oi? | na | és-a | éndra, | és-a | hérvan. |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | あそこ-<与格> | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 人<主格> | いる-<(軽いものが)> | 大鹿<主格> |
「「「あそこに人がいるか?」「いや、人じゃない。大鹿だ。」」」
二人の発話。「はい」「いいえ」にあたる語がないので、問いの動詞を繰り返し、na をつけて否定の答えにしている。éndra は、獣と区別した「人」を指す。人も大鹿も軽性なので、動詞はどちらも ésa になる。
áura éndra, dúlo gandér.
読み:アウラ エンドラ、ドゥーロ ガンデール。
| áur-a | éndra, | dúl-o | gandér. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 下る-<(重いものが)> | 硬木<主格> |
「人は昇り、硬木は下る。」
教えの書にある、人と物の違いを説く一句。人は軽性なので、動詞は -a をとる。硬木は重性なので、動詞は -o をとる。二つの文の動詞の語尾の違いに、「軽いものは上へ、重いものは下へ」という世界観が表れている。
an éndrail snélo, du aursárail fléura.
読み:アン エンドライル スネーロ、ドゥ アウルサーライル フレウラ。
| an | éndr-ail | snélo, | du | aursár-ail | fléura. |
| 上手 | 人-<〜らに> | 屋根<主格> | 下手 | 祖先-<〜らに> | 天の屋根<主格> |
「人の上には家の屋根、祖先の下には天の屋根。」
雨期の詩合わせでよく引かれる、動詞のない詩句。an と du、家の屋根(重性の snélo)と天の屋根(軽性の fléura)を対にしている。人は家の屋根の下に、祖先は天の屋根の上にいる、という縦の並びを詠んでいる。
na ráinim éndran té. ké ráines élan?
読み:ナ ライニン エンドラン テー。ケー ライネス エーラン?
| na | ráin-im | éndr-an | té. | ké | ráin-es | él-an? |
| <〜ない> | 面識がある-<私が> | 人-<対格> | あの<軽性> | <〜か> | 面識がある-<あなたが> | <3人称単数・軽性>-<対格> |
「あの人は知らない。お前は知っているか。」
日常の会話。二度目は代名詞の対格 élan で、前に出た人を受けている。目上の人を指すときは、代名詞を使わず役職名で言う。
lúin sénan éndrai sílarau, gréman aursárar.
読み:ルーイン セーナン エンドライ シーララウ、グレーマン アウルサーラル。
| lúin | sén-an | éndr-ai | sílar-au, | grém-an | aursár-ar. |
| とき | 見る-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 月-<双数> | 畏れる-<彼らが> | 祖先-<〜らの> |
「人は二つの月を仰ぐとき、祖先を畏れかしこむ。」
lúin の節は主節の前に置く。月は星ではないので双数で言える。後半の主節では主語を言っていないが、動詞の語尾から前半と同じ人々だとわかる。畏れる対象は属格でとる。
rainiþésan rainiþárai hémbro éndrail.
読み:ライニセーサン ライニサーライ ヘンブロ エンドライル。
| rain-iþ-és-an | rainiþár-ai | hémbro | éndr-ail. |
| 知る-<〜させる>-<〜すべし>-<彼らが> | 師-<〜たちが> | 恥じる心<対格> | 人-<〜らに> |
「師たちは、人々に恥を知る心を教えるべし。」
学び舎の心得を記した書の文。当為法の3人称複数。強勢は -és- に移る。教わる相手は与格の複数 -ail で示す。重性の hémbro は対格でも主格と同じ形。
na ésa ilanrimbá ráinen éndrar, ráinan ilanárai.
読み:ナ エーサ イランリンバー ライネン エンドラル、ライナン イラナーライ。
| na | és-a | ilanrimbá | ráin-en | éndr-ar, | ráin-an | ilanár-ai. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 灯の数え<主格> | 知る-<〜した・〜された> | 人-<〜らの> | 知る-<彼らが> | 星読み-<〜たちが> |
「灯の数えは世の人に知られていない。知っているのは星読みたちだ。」
灯の数えが秘儀であることを言う、一般向けの説明の文。分詞の後ろの属格 éndrar は「人々によって」の意味になる。接続詞を使わずに主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印(読点)を打つ。ilanrimbá は ilána(灯)と rimbá(数)を合わせた複合語で、軽性である。
lúin tóro nébro, mé virésa éndran. éso sárvo.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、メー ヴィレーサ エンドラン。エーソ サルヴォ。
| lúin | tór-o | nébro, | mé | vir-és-a | éndr-an. | és-o | sárvo. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 言う-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 人-<対格> | いる-<(重いものが)> | 禁忌<主格> |
「霧が来たら、人の名を呼ばぬこと。これは禁忌である。」
季節の言い習わし。霧の中で名前を呼ぶと、下の国にその名前を聞かれるとされる。霧 nébro は重性なので、動詞は -o をとる。当為法は mé で否定し、主語を言わないときは一般の人が主語になるので、軽性の形をとる。vír-「言う」は人の対格をとると「名を呼ぶ」の意味になる。最後の文は、存在の és- と重性の sárvo で「禁忌である」と言う。
voilélan éndrai dulúines sóndelan sé.
読み:ヴォイレーラン エンドライ ドゥルーイネス ソンデラン セー。
| voil-él-an | éndr-ai | dulúin-es | sóndel-an | sé. |
| 読む-<〜だろう>-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 行く末-<属格> | 書物-<対格> | この<軽性> |
「行く末の人々が、この書物を読むだろう。」
書物の序や詩に見られる言い回し。属格 dulúines を「人々」の後ろに置いて「後の世の人々」と言う。名詞句の中では、名詞のすぐ後ろに属格、そのあとに指示詞 sé が来る。
lúin tóra reinálva, lísan éndrai.
読み:ルーイン トーラ レイナルヴァ、リーサン エンドライ。
| lúin | tór-a | reinálva, | lís-an | éndr-ai |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 雨期<主格> | 書く-<彼らが> | 人-<〜たちが> |
「雨期が来ると、人々は書きものをする。」
雨期は家にこもって書を写し、詩を作る季節とされる。そのことを述べた一般的な文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。reinálva は雨(上から来るもの)に属する季節なので軽性で、動詞は -a で一致する。
na rainiþíre kréva ó, na ráina éndra ó sarénei.
読み:ナ ライニシーレ クレーヴァ オー、ナ ライナ エンドラ オー サレーネイ。
| na | rainiþ-ír-e | kréva | ó, | na | ráin-a | éndra | ó | sarén-ei. |
| <〜ない> | 教える-<もし〜なら>-<(軽いものが)> | 練習<主格> | <3人称単数・重性・対格> | <〜ない> | 知る-<(軽いものが)> | 人<主格> | <3人称単数・重性・対格> | 本番-<与格> |
「練習でできないことは、本番でもできない。」
【既存の用例との照合】既存の用例と比べて、次の点が一致していることを確かめました。 - kréva「練習」は語根に強勢のあるa語幹です(対格は kréva-n)。ここでは主格のまま主語に使っています。 - 「教える」は使役形 rainíþ- です(rainiþ-énd-e、rain-íþ-a と同じ語)。 - 否定の na は動詞の直前に置きます。 - 仮定法の節は主節の前に置き、接続詞は使いません(toríro nébro…, na senéimor… と同じ型)。 - 目的語の ó は 3SG.HV.ACC とグロスします。 直すべき食い違いはなかったので、訳は変えていません。 【言い換え】辞書には「できる」にあたる語がありません。そこで ráin-「知る・心得ている」で言い換えました。後半は「人は本番でそれを心得ていない」になります。前半は同じ動詞の使役形 rainíþ-「教える(=知らせる)」を使い、「練習が身につけさせないなら」としました。こうすると、「練習で身につかないものは、本番でも身につかない」という元の意味が保てます。 【構文】仮定法の3人称単数・軽性は -íre です。強勢が -ír- に移るので、-íþ- の強勢は消えます(rainiþíre)。 【一致】 - 前半の主語 kréva は軽性a語幹なので、語尾は -e(仮定法・軽性)になります。 - 後半の主語 éndra「人」は、一般の人を指します。前半とは主語が違うので、省かずに言いました。人なので軽性で、語尾は -a です。 【目的語】目的語の枠は空けられません。どちらの節にも、重性の代名詞 ó(対格)「それ(しなければならない事柄)」を置きました。受け手の「人に」は、言わなくても文が成り立つので省いています。 【法】帰結の節は格言で、一般に成り立つことを言っています。そのため推量法ではなく、直説法で言い切りました。 【「でも」】「も」にあたる小辞は辞書にありません。同じ動詞(ráin-/rainíþ-)と同じ代名詞 ó を前後に並べた対句にして、「同じく〜ない」の響きを出しました。
na klonéra unlóur éndra.
読み:ナ クロネーラ ウンロール エンドラ。
| na | klonér-a | unlóur | éndra. |
| <〜ない> | 膝が抜けてよろける-<(軽いものが)> | まだ | 人<主格> |
「その人はまだよろけない。」
日常の否定文。否定の小辞 na は動詞の直前に置き、副詞 unlóur は動詞の直後に置く。未完了の動詞と組んで「まだ〜しない」を表す。
bróla éndra monþór.
読み:ブローラ エンドラ モンソール。
| bról-a | éndra | monþór |
| 作る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 壁<対格> |
「人は壁を作る。」
動作文。重性名詞 monþór は単数対格で主格と同形になるため、語順 VSO が目的語を示す手がかりになる。動詞 bról-a は主語 éndra(軽性)に一致する。
lúin áuran ombára ilánai, þrínan éndrai.
読み:ルーイン アウラン オンバーラ イラーナイ、スリーナン エンドライ。
| lúin | áur-an | ombára | ilán-ai, | þrín-an | éndr-ai. |
| とき | 昇る-<彼らが> | 十 | 灯-<〜たちが> | 目を覚ます-<彼らが> | 人-<〜たちが> |
「十の灯が昇ると、人々は目を覚ます。」
暦や儀礼の詞に似た書面の文。lúin 節は主節の前に置く。ombára ilánai は「十の灯」という星座名で、古い形 ombára が名前にだけ残っている。「十の灯」は通常の星の数えではなく、星を数えている意味にはならない。3複数の動詞は性を区別しない。
lúin héla éndra, éso heló klér.
読み:ルーイン ヘーラ エンドラ、エーソ ヘロー クレール。
| lúin | hél-a | éndra, | és-o | heló | klér. |
| とき | 座る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 居る-<(重いものが)> | 尻<主格> | 冷たい |
「人が座ると、尻は冷たい。」
暮らしの心得や書物のような場面を想定した文。lúin で「〜とき」節を導き、節内も動詞を先頭に置いた VSO とする。heló は重性単数の主語で、klér はそれに一致して単数主格形のまま。
anlúin, máinan éndrai hégro bóules.
読み:アンルーイン、マイナン エンドライ ヘーグロ ボーレス。
| anlúin, | máin-an | éndr-ai | hégro | bóul-es. |
| 昔 | 食べる<〜し終えた>-<彼らが> | 人-<〜たちが> | 団子<対格> | どんぐり-<属格> |
「昔、人々はどんぐり団子を食べた。」
歴史的な過去は完遂相の直説法で表す。hégro bóules は熟語的にどんぐり団子を指す。
buldúlan aursárai éndrais
読み:ブルドゥーラン アウルサーライ エンドライス
| buldúl-an | aursár-ai | éndr-ais |
| 根を下ろす-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 人-<〜たちを> |
「祖先たちが、人々の根となる。」
儀礼や系譜の唱えに用いる句。主語 aursárai は軽性複数で、動詞は 3人称複数 -an をとる。目的語 éndrais は軽性複数の対格。人数を表すには数詞や双数を避け、複数形だけで表す。比喩的な主語が人を支える基盤になるという意味。
vrunkríla éndra fúnel an nébroi
読み:ヴルンクリーラ エンドラ フーネル アン ネーブロイ
| vrunkríl-a | éndra | fúnel | an | nébr-oi |
| ほどく-<(軽いものが)> | 人<主格> | 綱<対格> | 上手 | 霧-<与格> |
「人は霧の前に綱をほどく。」
主語 éndra は軽性単数なので動詞は3人称単数軽性の語尾 -a をとる。前置句 an nébroi は「霧の前に」という時間の句。
sán éndrai eulérenai es némores.
読み:サーン エンドライ エウレーレナイ エス ネーモレス。
| sán | éndr-ai | euléren-ai | es | némor-es. |
| いる<彼らが> | 人-<〜たちが> | 流れの違う-<〜たちが> | から | <我々>-<属格> |
「人々は我々とは違う(身内ではない)。」
人を指して euléren を使うと、単に性質が違うのではなく、「別の流れ」に属する、つまり身内でないという冷ややかな意味になる。es némoresは「我々から/我々の身内から」。
flínim viráis te na lísa éndra.
読み:フリーニン ヴィライス テ ナ リーサ エンドラ。
| flín-im | vir-áis | te | na | lís-a | éndra. |
| 受け入れがたいと思う-<私が> | 言葉-<〜たちを> | <関係節> | <〜ない> | 書く-<(軽いものが)> | 人<主格> |
「人々が書き残さない言葉は、受け入れがたい。」
帳場や書の文脈で、書き残されない言葉を不当・不自然とみなす言い方。主文の目的語は軽性複合語viráの複対形viráis。関係節はteで導かれ、te句では関係の要となる目的語の空白をそのまま空ける。不定の一般的主語としてéndraを主格に置き、関係節内の動詞lís-aはその軽性の主語に一致する。teは無強勢で、指示詞の強勢あるtéと転写上は区別される。
dulþóla éndra selván nébroi.
読み:ドゥルソーラ エンドラ セルヴァーン ネーブロイ。
| dulþól-a | éndra | selv-án | nébr-oi. |
| 息を伏せ殺す-<(軽いものが)> | 人<主格> | 息-<対格> | 霧-<与格> |
「人は霧の中で息を伏せ殺す。」
習俗や一般の行為について記す直説法。総称的な主語「人」を軽性の単数として受け、無時制で習慣的な行為を表す。目的語の「息」と場所の与格が文の後半に続く。
dulráuna éndra lundéi
読み:ドゥルラウナ エンドラ ルンデー
| dulráun-a | éndra | lund-éi |
| 流される-<(軽いものが)> | 人<主格> | 歌-<与格> |
「人は歌の流れに身を預ける。」
祭や夜の語り物で、長い歌に聞き手が乗せられる場面を示す比喩用法。主語 éndra は総称として単数扱いする。lundéi は与格で、流れる媒体としての歌を示す。
他人・世間の人
不特定の誰か、世間の人々。複数 éndrai は「人々・世の人」の意味で使う。
víra éndra ré tóro nébro es dáloros.
読み:ヴィーラ エンドラ レー トーロ ネーブロ エス ダーロロス。
| vír-a | éndra | ré | tór-o | nébro | es | dálor-os. |
| 言う-<(軽いものが)> | 世間の人<主格> | <〜と(節)> | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | から | 下の国-<属格> |
「世の人は、霧は下の国から来ると言う。」
言い伝えを紹介するときの決まった言い方。éndra を、特定の誰かではない主語として使うと、「世の人」「人は」という意味になる。ré の後ろの節では、主語の霧 nébro が重性なので、動詞は -o をとる。
mé vír sérin, findéla éndra.
読み:メー ヴィール セーリン、フィンデーラ エンドラ。
| mé | vír | sérin, | find-él-a | éndra. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 言う<命令法><あなたが> | このように | 聞く-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 他人<主格> |
「そんなことを言うな、人に聞かれるぞ。」
目下の者や身内をたしなめるときの言い方。後半は推量法で、「誰かが聞くだろう」という意味になる。ここの éndra は特定の人ではなく、不特定の他人を指す。
人間一般を指すいちばん基本の語。身分や性別、年齢を問わず「人」を表す。軽性の名詞の代表で、高原の人々にとって、人は上へ昇る息をもつ「軽いもの」である。目上の人をこの語で指すのは素っ気なく、ふつうは役職名や座名を使う。人を重性の一致(動詞の -o など)で受けると、強い侮辱になる。人数を数えるときは目下の者にかぎって数詞をつけられるが、税や兵役では人ではなく「炉」を数える。
名詞(軽性・a語幹、強勢は語根)。対 éndran、属 éndres、複 éndrai
古高原語 *éndra から。森の言葉でも同じ形で使われる。
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