þíl-

品詞
動詞(他動詞・自動詞)
意味
分かる
発音
[ˈθil]
読み
スィール
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 分かる

    話や事柄の筋道を理解する。

    lísin þíla endríña lisáis.

    読み:リーシン シーラ エンドリーニャ リサイス。

    lís-inþíl-aendríñalis-áis.
    書く-<〜して・〜く>分かる-<(軽いものが)>子ども<主格>字-<〜たちを>

    「その子は字が書ける。」

    副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を知っていて「できる」(能力)。

    ké rímbin þíles?

    読み:ケー リンビン シーレス?

    kérímb-inþíl-es?
    <〜か>数える-<〜して・〜く>分かる-<あなたが>

    「お前は数えられるのか。」

    能力を尋ねる。2人称を使うので下向きの話し方。目上の人には使わない。

    rímbin þílim, salóur na rímbin vúurim sórel.

    読み:リンビン シーリン、サロール ナ リンビン ヴーリン ソーレル。

    rímb-inþíl-im,salóurnarímb-invúur-imsórel.
    数える-<〜して・〜く>分かる-<私が>しかし<〜ない>数える-<〜して・〜く>届く-<私が>今日

    「数え方は知っているが、今日は数えられない。」

    能力の þíl- と、可能の vúur- を並べて使い分ける。

    na þílim virán dáloros.

    読み:ナ シーリン ヴィラーン ダーロロス。

    naþíl-imvir-ándálor-os.
    <〜ない>分かる-<私が>言葉-<対格>下の国-<属格>

    「下の国の言葉は分からん。」

    都の人が干潟語について言う、くだけたひとこと。virán dáloros「下の国の言葉」は、「泥の言葉」ほどあからさまな蔑みではないが、距離を置いた言い方。属格は名詞の後ろに置く。

    na þílim virán sé.

    読み:ナ シーリン ヴィラーン セー。

    naþíl-imvir-ánsé.
    <〜ない>分かる-<私が>言葉-<対格>この<軽性>

    「この言葉がわからない。」

    日常の言い切りの否定。na は直説法の動詞 þílim の直前に置く。主語は1人称単数の語尾 -im でわかるので、代名詞は言わない。指示詞 sé は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。

    ké þíles virán némes?

    読み:ケー シーレス ヴィラーン ネーメス?

    kéþíl-esvir-ánném-es?
    <〜か>分かる-<あなたが>言葉-<対格><私>-<属格>

    「私の言うことが分かるか。」

    言葉が通じるかを確かめる、日常の問い。所有者は属格の代名詞 némes で表し、名詞の後ろに置く。

    na þílim sáindaran sé.

    読み:ナ シーリン サインダラン セー。

    naþíl-imsáindar-ansé.
    <〜ない>分かる-<私が>証文-<対格>この<軽性>

    「この証文が分からない。」

    書きものを読むときの言い方。くだけた話し方では、na þílim が縮んだ間投詞 naþíl「わからん」もよく使う。

    ké þíles? naþíl.

    読み:ケー シーレス?ナシール。

    kéþíl-es?naþíl.
    <〜か>分かる-<あなたが>わからん

    「「分かるか?」「わからん。」」

    二人の発話。高原語には「いいえ」がないので、正式には動詞を繰り返して na þílim と答える。naþíl は否定の小辞 na と þíl-「分かる」の語幹がくっついて固まったくだけた言い方で、人称の語尾をつけない。森や崖道、市で使い、改まった場では使わない。

    ké vóilin þíles sóndelan un þailviréi?

    読み:ケー ヴォイリン シーレス ソンデラン ウン サイルヴィレー?

    kévóil-inþíl-essóndel-anunþailvir-éi?
    <〜か>読む-<〜して・〜く>分かる-<あなたが>書物-<対格>内に高原語(雅称)-<与格>

    「書物を高原語(雅称)で読めるか。」

    学び舎で能力を尋ねる文。副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を身につけていてできることを問う。ここでのþailviráは、都の改まった言葉としてだけでなく、高原語全体を雅に呼ぶ名として使う。

    ké prambérin þíles dervó só?

    読み:ケー プランベーリン シーレス デルヴォー ソー?

    képrambér-inþíl-esdervósó?
    <〜か>品定めする-<〜して・〜く>分かる-<あなたが>挽き石<対格>この<重性>

    「この挽き石を品定めできるか。」

    prambér-in þíl- は能力表現。主語の2人称は þíles の語尾で示す。対象の dervó só は重性単数の目的語。

  2. 了解した

    完了形 þéilim などで、相手の言うことを受けとめたと答える応答の言い方。

    ké þíles? þílim.

    読み:ケー シーレス?シーリン。

    kéþíl-es?þíl-im.
    <〜か>了解する-<あなたが>了解する-<私が>

    「「分かったか?」「承知した。」」

    二人の発話。時制がないので、同じ形で「分かったか」とも「分かるか」とも言える。はい・いいえにあたる語がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。目上の人には dómim「はっ」などを使う。

    þílim, gélim du orén dórel.

    読み:シーリン、ゲーリン ドゥ オレーン ドーレル。

    þíl-im,gél-imduoréndórel.
    了解する-<私が>行く-<私が>下手縁<対格>明日

    「了解した、明日縁へ下りていく。」

    同じ段どうしの頼みに応じる言い方。時制がないので、明日のことも直説法 gélim で言える。gél- は方向をもたない「行く」だが、du で「下手へ」の向きを示す。

  3. 澄む

    詩や古い言い方で、水が澄んで底まで見えるようになること。

    lúin glǘno véinor, þílo ílmo véinoros.

    読み:ルーイン グリューノ ヴェーノル、シーロ イルモ ヴェーノロス。

    lúinglǘn-ovéinor,þíl-oílmovéinor-os.
    とき凍る-<(重いものが)>湖<主格>澄む-<(重いものが)>水<主格>湖-<属格>

    「湖が凍るころ、湖の水は底まで澄む。」

    湖畔で言われる古い言い方。lúin の節は主節の前に置く。「澄む」の意味では自動詞として使い、目的語をとらない。

    þílo séimo, glóumo rúndo.

    読み:シーロ セーモ、グローモ ルンド。

    þíl-oséimo,glóum-orúndo.
    澄む-<(重いものが)>静み水<主格>濁る-<(重いものが)>走り水<主格>

    「静み水は澄み、走り水は濁る。」

    諺。落ち着いた心は澄み、急ぐ心は乱れる、という戒めとして引かれる。þíl- の「澄む」と対にして使う。

    þílo þéul, áura selvá.

    読み:シーロ セウル、アウラ セルヴァー。

    þíl-oþéul,áur-aselvá.
    澄む-<(重いものが)>湧き水<主格>昇る-<(軽いものが)>息

    「湧き水は澄み、息は昇る。」

    詩の言い方。水は重性なので動詞は -o、息は軽性なので -a で受ける。重性と軽性の対を並べた句。

解説

物事の筋道が見通せるようになる、理解することを表す。もとは「水が澄んで底まで見える」という意味の語で、高原では「分かる」を「澄む」になぞらえる。完了形 þéilim「分かった」は、相手の話を了解したことを示す応答として日常よく使われる(「はい」にあたる語がないので、この動詞の繰り返しで受け答えをする)。対になる「分からない・惑う」は glóum-「濁る」で言う。

文法

完了語根 þéil-。理解の対象は対格、またはなくてもよい。尊敬 auþíl-、謙譲 duþíl-。

語源

形容詞 þáil「澄んだ」と同じ語根の母音交替形。

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