小説
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胸
首と腹のあいだの体の前面。
glǘno brés némes.
読み:グリューノ ブレース ネーメス。
| glǘn-o | brés | ném-es. |
| 凍る-<(重いものが)> | 胸<主格> | <私>-<属格> |
「胸まで冷えこむ。」
凍りの頃の嘆き。brés は体の部分なので重性で、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。持ち主は名詞の後ろに属格 némes で置く。glǘn- は湖が凍るときにも使う動詞で、体が冷えこむことも言う。
lúin tóro nébro, éso brés némes gróm.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、エーソ ブレース ネーメス グローン。
| lúin | tór-o | nébro, | és-o | brés | ném-es | gróm. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | いる-<(重いものが)> | 胸<主格> | <私>-<属格> | 重い |
「霧が来ると、胸が重くなる。」
霧期の不調を語る文。lúin の節は主節の前に置く。霧 nébro も胸 brés も重性なので、どちらの動詞も -o をとる。述語の形容詞 gróm は重性・主格で語尾がつかない。霧は病を運ぶ「下の国の息」とされる。
ái, mombrúumo brés némes.
読み:アイ、モンブルーモ ブレース ネーメス。
| ái, | mombrúum-o | brés | ném-es. |
| おや, | 石落ちる-<(重いものが)> | 胸<主格> | <私>-<属格> |
「おや、胸がすっとした(ほっとした)。」
くだけた日常の独白・短い応答。主語は「私の胸」。体の部分名詞は文法上重性なので、動詞は3人称単数・重性の-oで受ける。直接「安堵した」と言わず、身体から重みが落ちる感覚として述べる婉曲表現。改まった場では使わない。
na mombrúumo unlóur brés toráres.
読み:ナ モンブルーモ ウンロール ブレース トラーレス。
| na | mombrúum-o | unlóur | brés | torár-es. |
| <〜ない> | 石落ちる-<(重いものが)> | まだ | 胸<主格> | 客-<属格> |
「客の胸はまだすっとしない(心配が残り、ほっとしていない)。」
長い懸念がまだ解けていないことを言う、くだけた観察・愚痴。否定のnaは動詞の前に置き、unlóur「まだ」は動詞の直後に置く。主語「客の胸」が重性なので動詞は3人称単数・重性の-oで受ける。
bresérim réines.
読み:ブレセーリン レーネス。
| bres-ér-im | réin-es. |
| 胸-<〜でする>-<私が> | 雨-<属格> |
「私は雨に驚く。」
くだけた日常会話。一人称は動詞の語尾 -im で示し、主語の代名詞は省略する。原因は裸の属格 réines で示す。brés「胸」に接尾辞 -ér- がついた語で、直説法には時制がなく、文脈により「驚く/驚いた」と読む。
ké breséres elþés?
読み:ケー ブレセーレス エルセース?
| ké | bres-ér-es | elþ-és? |
| <〜か> | 胸-<〜でする>-<あなたが> | 火-<属格> |
「火に驚いたのか。」
友人や子どもへのくだけた問い。文頭に疑問小辞 ké を置く。二人称の語尾 -es だけなら主語の代名詞を省ける。原因は裸の属格 elþés で示す。目上の相手には ké と二人称ではなく、推量法を使う。
gíro glünó brés.
読み:ギーロ グリュノー ブレース。
| gír-o | glünó | brés |
| 刺す-<(重いものが)> | 氷<主格> | 胸<対格> |
「氷が胸を刺す。」
氷そのものが胸を刺す物理的な感じ、あるいは冷たい氷によるずきりと刺す感覚。身体部位 brés は重性で、目的語も形を変えない。
胸の内
思い・心の内。息が宿るところとして。
léunim virán brésos némes.
読み:レウニン ヴィラーン ブレーソス ネーメス。
| léun-im | vir-án | brés-os | ném-es. |
| 申す-<私が> | 言葉-<対格> | 胸の内-<属格> | <私>-<属格> |
「胸の内の言葉を申し上げます。」
改まった場で本心を打ち明けるときの前置き。léun- は「言う」の謙譲の補充形。属格が二つ続き、virán brésos némes で「私の胸の内の言葉」になる。
pón nóuro brés táses?
読み:ポーン ノーロ ブレース ターセス?
| pón | nóur-o | brés | tás-es? |
| 何<対格> | 思う-<(重いものが)> | 胸の内<主格> | <あなた>-<属格> |
「お前は胸の内で何を思っている?(直訳:お前の胸は何を思っている)」
親しい者か目下の者への問い。2人称 tás を使うので、下向きかくだけた話し方になる。疑問詞を文頭に出す問いには ké をつけない。胸を主語にして思いのありかを言う言い方で、動詞は重性の brés に一致して -o をとる。息が宿る場所として、胸は思いのありかとされる。
胸。息(selvá)が宿り、そこから口へ昇っていく所と考えられている。そのため、思いや心の内を言うときにもこの語を使う。体の部分としては重性だが、宿る息は軽性である。
名詞・重性・子音語幹。属 brésos、与 brésoi、複 brésul。尊敬形 aubrés。
古高原語 *brés- から
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