faronár

品詞
名詞
意味
運び人
発音
[faroˈnar]
読み
ファロナール
分野
人・親族

意味

  1. 運び人

    崖道で荷を担いで運ぶ働き手。

    fléira aulisár si tóra faronár.

    読み:フレーラ アウリサール シ トーラ ファロナール。

    fléir-aau-lis-ársitór-afaron-ár.
    お出ましになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>と来る-<(軽いものが)>荷-<〜する人>

    「書記の方がお出ましになり、運び人も来る。」

    目上の人と目下の人は、一つの主語に並べずに二つの文に分けるのが改まった言い方。

    dúla faronár es orénos. mé vír þelán éles!

    読み:ドゥーラ ファロナール エス オレーノス。メー ヴィール セラーン エーレス!

    dúl-afaronáresorén-os.mévírþel-ánél-es!
    下る-<(軽いものが)>運び人<主格>から縁-<属格><禁止・願いの打ち消し>言う<命令法><あなたが>名前-<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「運び人が縁から下りた(落ちて死んだ)。その名を口にするな。」

    崖から落ちて死ぬことは、いちばん恐れられる死である。そのため brúum-「落ちる」とは言わず、dúl-「下る」で遠回しに言う。高原語には時制がないので、dúla は文脈によって「下りた」の意味になる。死後一年は死者の名を口にしない禁忌があるので、すぐ後に禁止の文が続く。

    ésa faronár té gróm.

    読み:エーサ ファロナール テー グローン。

    és-afaronártégróm.
    いる-<(軽いものが)>運び人<主格>あの<軽性>粗野な

    「あの運び人は粗野だ。」

    人をけなす用法で、陰口に使う。人を指すので繋辞は軽性の -a のまま、形容詞も軽性の形になる。ここで動詞まで重性の éso にすると、人を「重いもの」扱いすることになり、ずっと強い侮辱になる。

    séiran faronárai társan.

    読み:セーラン ファロナーライ タルサン。

    séir-anfaronár-aitárs-an.
    待つ-<彼らが>運び人-<〜たちが>お前たち-<対格>

    「運び人たちがお前たちを待っている。」

    語順は「動詞–主語–目的語」。társ の対格は、子音語幹と同じく -an をつけて társan とする。2人称複数の代名詞なので下向きか並びの話し方で、目上の人たちには使わない。

    flúuna faronár míran.

    読み:フルーナ ファロナール ミーラン。

    flúun-afaronármír-an.
    洗う-<(軽いものが)>運び人<主格>自分-<対格>

    「運び人は自分の体を洗う。」

    再帰代名詞 mír の対格 míran が、主語自身を目的語として受けている。él を使って flúuna faronár élan と言うと、別の人を洗う意味になる。mír は主語を指し返す語なので、主格では使わない。

    tóra faronár an séndo es orénos.

    読み:トーラ ファロナール アン センド エス オレーノス。

    tór-afaronáranséndoesorén-os.
    来る-<(軽いものが)>運び人<主格>上手ここ<対格>から縁-<属格>

    「運び人が縁からここへ上ってくる。」

    道筋を言う文。行き先は an+対格で「上手のここへ」と、高さを決めて言う。出どころは、方向を問わない es に属格を組み合わせて言う。時制がないので「上ってくる」とも「上ってきた」とも訳せる。

    tór an téndo, faronár.

    読み:トール アン テンド、ファロナール。

    tóranténdo,faronár.
    来る<命令法><あなたが>上手あそこ<対格>運び人

    「あそこへ上って来い、運び人。」

    下向きの命令。命令法2人称単数は、語幹をそのまま使う。行き先は an+対格で「上手のあそこへ」と言う。相手への呼びかけには呼格を使わず、役職名を文末に読点で区切って添える。

    tóran pómbarin faronárai es orénos.

    読み:トーラン ポンバリン ファロナーライ エス オレーノス。

    tór-anpómbarinfaronár-aiesorén-os.
    来る-<彼らが>いくつか運び人-<〜たちが>から縁-<属格>

    「縁から運び人が何人か上がってくる。」

    pómbarin は数詞と同じく名詞の前に置き、後ろの名詞は複数にする。運び人は働き手なので数えてよい。目上の人には、はっきりしない数であっても pómbarin は使えない。その場合は fléiran ausenárai「目付の方々がお出ましになる」のように、ひとまとまりの複数で言う。

    lúin glǘno véinor, tóran faronárai snírai séndo.

    読み:ルーイン グリューノ ヴェーノル、トーラン ファロナーライ スニーライ センド。

    lúinglǘn-ovéinor,tór-anfaronár-aisnír-aiséndo.
    とき凍る-<(重いものが)>湖<主格>来る-<彼らが>運び人-<〜たちが>少ない-<〜たちが>ここ

    「湖が凍るころには、ここへ来る運び人は少なくなる。」

    lúin の節は主節の前に置く。湖 véinor は地の上の水なので重性で、動詞は -o をとる。主節の主語 faronárai は軽性・複数・主格で、snírai はそれに一致する。運び人のような働き手は数えてよいので、snír で多い少ないを言ってもかまわない。凍りの頃の崖道を言う文。

    gélan faronárai du orén dáu fréimau sórel.

    読み:ゲーラン ファロナーライ ドゥ オレーン ダウ フレーマウ ソーレル。

    gél-anfaronár-aiduoréndáufréim-ausórel.
    行く-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手縁<対格>二度回-<双数>今日

    「運び人たちは今日、縁へ二度下りる。」

    崖道の仕事ぶりを述べる日常の文。回数は、数詞と fréim の対格で、動詞を修飾する副詞のように言う(道のりの対格と同じ使い方)。dáu の後ろなので双数の fréimau になる。fréim は軽性の子音語幹として変化する。

    méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。

    méir-ahoumártambórfaronár-ei,rées-énd-ogromóél-eskrán.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>運び人-<与格><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(重いものが)>体<主格><3人称単数・軽性>-<属格>硬い

    「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」

    「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。

    dúlan faronárai du múndo orénos.

    読み:ドゥーラン ファロナーライ ドゥ ムンド オレーノス。

    dúl-anfaronár-aidumúndoorén-os.
    下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手出口<対格>縁-<属格>

    「運び人たちは縁の口へ下りていく。」

    múndo orénos「縁の口」は、崖道が崖の麓に開く下の口を指す。縁の市はここに立つ。du+対格で「下手へ」。属格の orénos は名詞の後ろに置く。

    na ésa sóila faronáres áuren.

    読み:ナ エーサ ソイラ ファロナーレス アウレン。

    naés-asóilafaronár-esáur-en.
    <〜ない>いる-<(軽いものが)>結い髪<主格>運び人-<属格>昇る-<〜した・〜された>

    「運び人の結い髪は高くない。」

    髪を高く結うほど身分が高いとされるので、九段下りの運び人の結い髪は低い。直説法の文なので na で否定する。述語の分詞 áuren(「高い」、もとは「昇った」)は、軽性の主語 sóila に一致している。

    flúuna faronár fréun.

    読み:フルーナ ファロナール フレウン。

    flúun-afaronárfréun.
    洗う-<(軽いものが)>運び人<主格>額<対格>

    「運び人が額を洗う。」

    崖道を上りきった運び人が汗をぬぐう、日常の動作。fréun は体の部分なので重性の子音語幹で、対格は主格と同じ形。主語の faronár は人なので、動詞は軽性の -a をとる。語順は動詞–主語–目的語。

    ténda dubrél fréun faronáres.

    読み:テンダ ドゥブレール フレウン ファロナーレス。

    ténd-adubrélfréunfaronár-es.
    織る-<(軽いものが)>弟妹<主格>額帯<対格>運び人-<属格>

    「年下のきょうだいが、運び人の額帯を織る。」

    額帯は、運び人が額にかけて背の荷を支える帯。体の部分の名がそのまま道具の名になったもので、性は重性のまま。重性なので、対格は主格と同じ形 fréun になる。持ち主は属格 faronáres で後ろに置く。

    táula ráuvan gleinó es drálos faronáres.

    読み:タウラ ラウヴァン グレイノー エス ドラーロス ファロナーレス。

    tául-aráuvangleinóesdrál-osfaronár-es.
    取る-<(軽いものが)>森の巫<主格>護符<対格>から首-<属格>運び人-<属格>

    「森の巫が、運び人の首から護符を外す。」

    まじないの場面の文。es+属格で「〜から」を表す。首 drál は体の部分なので重性で、属格は -os。gleinó は重性o語幹で、主格と対格が同じ形になる。

    dulíþa faronár fáron es rúunos.

    読み:ドゥリーサ ファロナール ファーロン エス ルーノス。

    dul-íþ-afaronárfáronesrúun-os.
    下る-<〜させる>-<(軽いものが)>運び人<主格>荷<対格>から背-<属格>

    「運び人が背から荷を下ろす。」

    崖道の運び人の仕事を述べた文。rúun は重性の子音語幹で、属格は rúunos。es+属格で「〜から」を表す。使役の dulíþ-「下ろす」は、後ろに強勢をもつ接辞がないので、-íþ- が強勢をとる。

    léima faronár klóno du ausenárei.

    読み:レーマ ファロナール クローノ ドゥ アウセナーレイ。

    léim-afaronárklónoduau-sen-ár-ei.
    置く-<(軽いものが)>運び人<主格>膝<対格>下手<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>

    「運び人は目付殿の下手で膝をつく。」

    目上の人の前で頭を低くする作法の描写。「膝をつく」は léim-「置く」+膝の対格 klóno で言う。klóno は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形。du+与格「〜の下手で」は、相手より低い位置に身を置くことを表す。目付は役職名に au- をつけて高める。

    snéima faronár, faronéra fáron.

    読み:スネーマ ファロナール、ファロネーラ ファーロン。

    snéim-afaronár,faronér-afáron.
    身をかがめる-<(軽いものが)>運び人<主格>担ぐ-<(軽いものが)>荷<対格>

    「運び人は身をかがめて荷を担ぐ。」

    体の動きとしての「かがむ」。二つ目の節では主語を言わないが、動詞の語尾から前の節と同じ運び人だとわかる。額に帯をかけて背の荷を支える担ぎ方を描いている。

    ombéra senár faronáran ré dulíþa fáron es orénos.

    読み:オンベーラ セナール ファロナーラン レー ドゥリーサ ファーロン エス オレーノス。

    ombér-asenárfaronár-anrédul-íþ-afáronesorén-os.
    名指しする-<(軽いものが)>目付<主格>運び人-<対格><〜と(節)>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

    「目付は、縁から荷を落としたと運び人を名指しで咎める。」

    人を名指しして咎める意味。ré の後ろの節で、何を咎めたかを言う。縁の市の目付が揉め事を裁く場面の言い方。

    ésa ambrél némes faronár.

    読み:エーサ アンブレール ネーメス ファロナール。

    és-aambrélném-esfaronár.
    いる-<(軽いものが)>兄・姉<主格><私>-<属格>運び人

    「私の兄(姉)は運び人だ。」

    繋辞の文。ambrél は男女を区別せず、同じ流れ・同じ瀬で年上の者を指す。崖道の家族などの日常の言い方。

    ésa séulin némes faronár.

    読み:エーサ セウリン ネーメス ファロナール。

    és-aséulinném-esfaronár.
    いる-<(軽いものが)>友<主格><私>-<属格>運び人

    「私の友は運び人だ。」

    日常の会話で人を紹介する文。繋辞 és- を先頭に置き、「és-+主語+述語」の順に並べる。「私の友」は名詞の後ろに属格を置いて séulin némes と言う。séulin はとくに同じ段の者どうしの親しい仲間を指す。

    faronéran faronárai fáronul du orén.

    読み:ファロネーラン ファロナーライ ファーロヌル ドゥ オレーン。

    faronér-anfaronár-aifáron-ulduorén.
    担ぐ-<彼らが>運び人-<〜たちが>荷-<〜たちを>下手縁<対格>

    「運び人たちが荷を担いで縁へ下っていく。」

    乾風期の崖道のありふれた光景を言う文。faronár は軽性の子音語幹なので、複数主格は -ai。fáron「荷」は重性なので、複数対格は -ul。du+対格で下手(南)への方向を表す。縁の orén は重性なので、主格と対格が同じ形になる。

    tóran téir faronárai es orénos.

    読み:トーラン テール ファロナーライ エス オレーノス。

    tór-antéirfaronár-aiesorén-os.
    来る-<彼らが>三運び人-<〜たちが>から縁-<属格>

    「縁から運び人が三人上がってくる。」

    運び人のような働き手は、数詞で人数を数えてよい。目上の人を数えるのは失礼なので、このような言い方はしない。三以上の数詞の後ろでは名詞が複数になる。es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。

    ráuman faronárai tráumoi véinoros.

    読み:ラウマン ファロナーライ トラウモイ ヴェーノロス。

    ráum-anfaronár-aitráum-oivéinor-os.
    歩く-<彼らが>運び人-<〜たちが>渡り氷-<与格>湖-<属格>

    「「運び人たちが、湖の厚い氷の上を歩いて渡る。」」

    湖が厚く凍ると、氷の上が道にも市にもなる。tráumo は道のりの対格。重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。

    émbelan faronárai krámbo.

    読み:エンベラン ファロナーライ クランボ。

    émbel-anfaronár-aikrámbo.
    祀る-<彼らが>運び人-<〜たちが>崖山羊<対格>

    「運び人たちは崖山羊を祀る。」

    崖道の運び人の信仰を述べる文。krámbo は動物なのに重性o語幹に属する古い語で、主格と対格が同じ形になる。そのため、目的語だとわかるのは VSO の語順(動詞のすぐ後ろの faronárai が主語)による。

    táulan faronárai drúmo ré noiréndan.

    読み:タウラン ファロナーライ ドルーモ レー ノイレンダン。

    tául-anfaronár-aidrúmorénoir-énd-an.
    取る-<彼らが>運び人-<〜たちが>苔<対格><〜と(節)>眠る-<〜しますように>-<彼らが>

    「運び人たちは、眠るために苔を集める。」

    崖道の野宿を語る文。苔は寝具や家のすき間の詰め物に使われる。drúmo は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。目的の「〜するために」は ré+願望法で表す。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。

    lúin hóinan faronárai, manélan.

    読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、マネーラン。

    lúinhóin-anfaronár-ai,man-él-an.
    とき帰る-<彼らが>運び人-<〜たちが>食事をとる-<〜だろう>-<彼らが>

    「運び人たちが戻ったら、食事にするだろう。」

    lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。主節は推量法で、これから先のことを言う。推量法の -él- には強勢があり、語根の強勢を奪う(mán- → manélan)。主節の主語は、語尾から時の節と同じ運び人たちだとわかるので言わない。

    kráilir trúndo, faronárai.

    読み:クライリル トルンド、ファロナーライ。

    kráil-irtrúndo,faronár-ai.
    つかんで離さない-<皆で〜せよ>杭<対格>運び人-<〜たちが>

    「杭につかまれ、運び人たち。」

    崖道や降ろし場で、風や凍った足場のときに掛ける下向きの命令。2人称複数の命令法 -ir を使う。日常では呼格を使わず、呼びかける相手の名詞を読点で区切って文末に置く。

    hóu, faronár! dómim, drénim selúin.

    読み:ホー、ファロナール!ドーミン、ドレーニン セルーイン。

    hóu,faronár!dómim,drén-imselúin.
    おーい運び人はっ参る-<私が>今

    「「おい、運び人!」「はっ、ただいま参ります。」」

    二人の発話。呼ばれた目下の者が、目上の人のところへ行くことをへりくだって言う。drén- は gél-「行く」の謙譲の補充形で、規則どおりに du- をつけた形はない。呼びかけは呼格を使わず、職名をそのまま言う。

    ké ráines ré dúlan faronárai du orén dórel?

    読み:ケー ライネス レー ドゥーラン ファロナーライ ドゥ オレーン ドーレル?

    kéráin-esrédúl-anfaronár-aiduoréndórel?
    <〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手縁<対格>明日

    「運び人たちが明日縁へ下りることを、お前は知っているか。」

    知っている内容を ré の節で示す、日常の問い。ké は文のいちばん前に置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。下向きか並びの相手に使う言い方。

    dróuma faronár es fáronos grómos.

    読み:ドローマ ファロナール エス ファーロノス グローモス。

    dróum-afaronáresfáron-osgróm-os.
    嘆く-<(軽いものが)>運び人<主格>から荷-<属格>重い-<重性・属格>

    「運び人は荷が重いと嘆く。」

    嘆きの対象は es+属格で示す。形容詞 gróm は、fáron(重性)の属格に一致して -os をとる。崖道の運び人のぼやき。

    povéra senár faronárei ré pá dulíþa fáron só.

    読み:ポヴェーラ セナール ファロナーレイ レー パー ドゥリーサ ファーロン ソー。

    povér-asen-árfaronár-eirépádul-íþ-afáronsó.
    取り調べる-<(軽いものが)>見る-<〜する人>運び人-<与格><〜と(節)>誰<主格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>この<重性>

    「「目付は運び人を取り調べ、誰がこの荷を下ろしたのかと問いただす。」」

    「取り調べる」の意味では、調べられる人を対格の目的語にとる。ré の節の中では、疑問詞 pá「誰」が動詞の前に出ている。重性の指示詞 só は、名詞 fáron の後ろに置く。

    na esíro fáron, na eséla lúsa faronárei.

    読み:ナ エシーロ ファーロン、ナ エセーラ ルーサ ファロナーレイ。

    naes-ír-ofáron,naes-él-alúsafaronár-ei.
    <〜ない>いる-<もし〜なら>-<(重いものが)>荷<主格><〜ない>いる-<〜だろう>-<(軽いものが)>日々の糧<主格>運び人-<与格>

    「荷がなければ、運び人に日々の糧はなかろう。」

    崖道の暮らしを言う、決まった言い方。条件の部分は、接続詞を使わずに仮定法だけで作る。荷 fáron が重性なので、動詞は -o をとる。帰結の部分は推量法で、lúsa(軽性)に一致して -a になる。lúsa は「食い扶持」の意味。

    hóu, senár! tórau dáu faronárau.

    読み:ホー、セナール!トーラウ ダウ ファロナーラウ。

    hóu,senár!tór-audáufaronár-au.
    おーい番人来る-<双数>二運び人-<双数>

    「おーい、番人!運び人が二人来るぞ。」

    崖道の口でのくだけた呼びかけ。呼格は使わず、名詞をそのまま呼びかけに使う。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、動詞も双数で受ける。双数の動詞は人称と性を区別しない。

    na ráina faronár lisáis, ráina símbo.

    読み:ナ ライナ ファロナール リサイス、ライナ シンボ。

    naráin-afaronárlis-áis,ráin-asímbo.
    <〜ない>知る-<(軽いものが)>運び人<主格>字-<〜たちを>知る-<(軽いものが)>焼印<対格>

    「運び人は字を知らないが、焼印なら知っている。」

    後半の文は、主語が前半と同じなので省いている。símbo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。ここでは単数で「焼印というもの」を総称している。同じ形の焼印が何百本もの丸太に押されているので、字の読めない者もまず焼印の形を覚える。

    faronéran faronárai aurfáron an orén.

    読み:ファロネーラン ファロナーライ アウルファーロン アン オレーン。

    faronér-anfaronár-aiaurfáronanorén.
    担ぐ-<彼らが>運び人-<〜たちが>上げ荷<対格>上手縁<対格>

    「運び人たちが上げ荷を縁の上へ担ぎ上げる。」

    崖道の日常の描写。aurfáron は重性の子音語幹なので、主格と対格が同じ形になる。an+対格は「上手へ」の移動を表し、崖の下から縁へ荷を運び上げる向きをはっきり示す。

    gélan faronárai or kórvo.

    読み:ゲーラン ファロナーライ オル コルヴォ。

    gél-anfaronár-aiorkórvo.
    行く-<彼らが>運び人-<〜たちが>東へ倉<対格>

    「運び人たちは倉の東の方へ向かっていく。」

    東への移動を言う文。or+対格で、目印の東側へ向かう動きを表す。kórvo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。この場所で止まっていることを言うなら、与格の or kórvoi にする。

    hóinan faronárai vel orén.

    読み:ホイナン ファロナーライ ヴェル オレーン。

    hóin-anfaronár-aivelorén.
    帰る-<彼らが>運び人-<〜たちが>西へ縁<対格>

    「運び人たちは縁の日の入り側へと帰っていく。」

    西への移動を言う文。vel+対格で「西へ」の意味になる。属格と組んだ vel orénos なら「縁の日の入り側から」になる。高原では南北を an・du の高さで言い、東西はこの or・vel で言い分ける。

    dúlan faronárai du dúror.

    読み:ドゥーラン ファロナーライ ドゥ ドゥーロル。

    dúl-anfaronár-aidudúror.
    下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手下手・南<対格>

    「運び人たちは南の縁へと下りていく。」

    dúror は重性の子音語幹で、主格と対格が同じ形になる。du+対格で「下手へ」。高原では南は低い土地なので、崖道を下る動きと南へ向かう動きが同じ言い方になる。

    tóra faronár es vélunes.

    読み:トーラ ファロナール エス ヴェールネス。

    tór-afaronáresvélun-es.
    来る-<(軽いものが)>運び人<主格>から西-<属格>

    「西から運び人がやって来る。」

    方角としての vélun。es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。前置詞 vel「日の入り側」はこの語から生まれたが、方角そのものを名詞として言うときは vélun を使う。

    dúlan faronárai es méndales orénos.

    読み:ドゥーラン ファロナーライ エス メンダレス オレーノス。

    dúl-anfaronár-aiesméndal-esorén-os.
    下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>からまん中-<属格>縁-<属格>

    「「運び人たちは縁のまん中から下りていく。」」

    崖道の主な道筋が、長川の峡谷に沿って縁のまん中を通っていることを言う。「〜のまん中から」は、es+méndal の属格に、全体を表す名詞の属格を続けて言うので、属格が二つ続く。

    tóra faronár un dáloros.

    読み:トーラ ファロナール ウン ダーロロス。

    tór-afaronárundálor-os.
    来る-<(軽いものが)>運び人<主格>中へ・中から下の国-<属格>

    「運び人が下の国の奥から上がってくる。」

    un+属格で「〜の中から」を表す。方向を問わない es+属格と違い、包まれた内側から出てくることを言う。

    lúin tóra þailúin, dúlan faronárai du orén.

    読み:ルーイン トーラ サイルーイン、ドゥーラン ファロナーライ ドゥ オレーン。

    lúintór-aþailúin,dúl-anfaronár-aiduorén.
    とき来る-<(軽いものが)>澄みの頃<主格>下る-<彼らが>運び人-<〜たちが>下手縁<対格>

    「澄みの頃が来ると、運び人たちが縁へ下りていく。」

    「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。þailúin は節の主語で、動詞は軽性の tóra で受ける。崖道がいちばんにぎわい、縁の市が盛りを迎える時期を言う、決まった言い回し。

    dulénde fláin, faronár!

    読み:ドゥレンデ フライン、ファロナール!

    duléndefláin,faronár!
    道中ご無事で軽い運び人

    「運び人よ、道中ご無事で。」

    崖道の上り口で、荷を担いで下りていく運び人を見送るときの言い方。dulénde はもとは dúl-「下る」の願望法で、fláin「軽く」を添えるのが決まった形。「足取りも魂も軽いまま下りられるように」という含みがある。

    mé vróel, faronár!

    読み:メー ヴローエル、ファロナール!

    mévróel,faronár!
    <禁止・願いの打ち消し>ずれる<命令法><あなたが>運び人<主格>

    「運び人よ、今の位置から体をずらすな。」

    命令法2単は裸の語幹。句末の faronár は呼称。vróel! は「体をずらすな」の意味で、崖道や降ろし場の安全語として使う。

    krúnan faronárai gandér.

    読み:クルーナン ファロナーライ ガンデール。

    krún-anfaronár-aigandér.
    支える-<彼らが>運び人-<〜たちが>硬木<対格>

    「運び人たちが硬木を支えている。」

    降ろし場や荷場での共同作業を示す文。複数人が体重をかけて硬木の重みに耐えている。硬木は重性名詞で、対格語尾はつかないが、VSO語順により目的語とわかる。主語が複数なので動詞は3PLを用いる。

    múndaura faronár sé.

    読み:ムンダウラ ファロナール セー。

    múndaur-afaronársé.
    笑う-<(軽いものが)>運び人<主格>この<軽性>

    「この運び人は笑っている。」

    運び人どうしのくだけた場面。人を指す faronár は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の語尾 -a を受ける。指示詞 sé は軽性の名詞句に付く軽性形。múndaur- は声そのものではなく、口角と口の動きそのものを描く動詞で、声を出して笑う語とは焦点が違う。

    lúin vréna faronár, géla endríña.

    読み:ルーイン ヴレーナ ファロナール、ゲーラ エンドリーニャ。

    lúinvrén-afaronár,gél-aendríña
    ときうなずく-<(軽いものが)>運び人<主格>行く-<(軽いものが)>子ども<主格>

    「運び人がうなずくと、子どもは行く。」

    lúin で時節を作る。無言のうなずきが、子どもに出かける合図になっている。

    lúin þóra faronár, þréuna.

    読み:ルーイン ソーラ ファロナール、スレウナ。

    lúinþór-afaronár,þréun-a
    とき立つ-<(軽いものが)>運び人<主格>よろける-<(軽いものが)>

    「運び人が立ち上がると、よろける。」

    時間の節は lúin で導き、主節の前に置く。主節の主語は同一主語として省略。立ち上がり直後のふらつきを述べる、日常的な描写の文。

    salkráila faronár fúnel.

    読み:サルクライラ ファロナール フーネル。

    salkráil-afaronárfúnel.
    外に解く-<(軽いものが)>運び人<主格>綱<対格>

    「運び人が綱を解く。」

    荷の作業場での文。主語の faronár は人の名詞なので軽性となり、動詞は3人称単数軽性の -a をとる。目的語の fúnel は重性語幹として、対格が無標。

    hóu! þréela faronár.

    読み:ホー!スレーラ ファロナール。

    hóu!þréel-afaronár
    おい!振り返る<〜し終えた>-<(軽いものが)>運び人<主格>

    「おい!運び人が振り向いた。」

    呼びかけに気づいて体を回す場面。完了相は語根 þrel- の e を ee に変えた þréel-。主語 faronár は人なので軽性、動詞は3人称単数・軽性 -a を受ける。gloss では呼びかけ hóu! を独立語として区切った。

    vrúela faronár dulfáron.

    読み:ヴルーエラ ファロナール ドゥルファーロン。

    vrúel-afaronárdulfáron.
    懸ける-<(軽いものが)>運び人<主格>下ろし荷<対格>

    「運び人が下ろし荷を懸ける。」

    他動詞用法。主語 faronár は人を指すので軽性語尾 -a をとる。目的語 dulfáron は重性名詞で、対格は主格と同形。動詞の直後に主語、その後に目的語という基本語順に従う。

    hoinénde, faronár! éso bóral fóum.

    読み:ホイネンデ、ファロナール!エーソ ボーラル フォーン。

    hoin-énd-e,faronár!és-obóralfóum.
    帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>,運び人<主格>!いる-<(重いものが)>家<主格>暖かい

    「「おかえり、運び人。家は暖かい。」」

    遠役や崖道から帰った運び人を出迎える場面。hoinénde のあとに、戻った者の居場所としての家が今も暖かいことを述べる。bóral は重性なので存在動詞は éso。形容詞は主格無標で名詞に後置する。

    ké súndau orenvandár si faronár?

    読み:ケー スンダウ オレンヴァンダール シ ファロナール?

    késúnd-auorenvandársifaronár?
    <〜か>世間話する-<双数>縁商人<主格>と運び人<主格>

    「縁商人と運び人は世間話をしているか。」

    縁の市でのくだけた問い。ké は文頭に置く。顔見知りの二人を並べると動詞は双数になる。

    dulpovéra faronár glünó.

    読み:ドゥルポヴェーラ ファロナール グリュノー。

    dulpovér-afaronárglünó.
    下を確かめる-<(軽いものが)>運び人<主格>氷<対格>

    「運び人が氷の下を確かめる。」

    凍りの頃の崖道や縁で日常的に使う言い方。主語 faronár は軽性の人を指す語なので、動詞は3人称単数・軽性 -a。glünó は重性 o 語幹で、対格も同名。

    krasíþa faronár gandér.

    読み:クラシーサ ファロナール ガンデール。

    kras-íþ-afaronárgandér
    割る-<〜させる>-<(軽いものが)>運び人<主格>硬木<対格>

    「運び人が硬木を劈く。」

    楔や刃で筋に沿って開くように割る意の例。主語 faronár は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。対象 gandér は重性で、対格の語尾はつかない。

    klonhéla faronár kundárei.

    読み:クロンヘーラ ファロナール クンダーレイ。

    klonhél-afaronárkundár-ei.
    膝をつく-<(軽いものが)>運び人<主格>役人-<与格>

    「運び人が役人の前で膝をつく。」

    帳場や役所で、運び人が申し開きをする場面に近い。与格が「目の前にいる相手」の位置を示す。運び人も役人も人を指すため、動詞は軽性の語尾で受ける。

    sénim snuló faronáres.

    読み:セーニン スヌロー ファロナーレス。

    sén-imsnulófaronár-es
    見る-<私が>たこ<対格>運び手-<属格>

    「運び人のたこを見る。」

    労働でできた手を見分ける場面を示す用例。名詞句は「名詞+属格」の語順。たこは目的語で単数対格だが、重性o語幹では主格と同型。

    anórel, snánda faronár.

    読み:アノーレル、スナンダ ファロナール。

    anórel,snánd-afaronár.
    昨日負ける-<(軽いものが)>運び人<主格>

    「昨日、運び人は後れを取った。」

    帳簿や報告のような平文。時制語形はないが、anórelで過去として読む。人語 faronár は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a を受ける。

    brúna faronár tauló

    読み:ブルーナ ファロナール タウロー

    brún-afaronártauló
    背負う-<(軽いものが)>運び人<主格>獲物<対格>

    「運び人が獲物を背負う。」

    主語 faronár は人を指す語なので軽性。動詞は主語に一致して軽性の -a をとる。目的語の tauló は重性だが、重性名詞の単数対格は主格と同形で、格語尾は現れない。市や荷の受け渡しで、実務的な運び・配付の対象として使う。

    sakopúl, faronár, ende.

    読み:サコプール、ファロナール、エンデ。

    sakopúlfaronárende.
    塩額当<命令法><あなたが>運び人<主格>どうぞ

    「運び人さん、塩を額に当てて、どうぞ。」

    市井での命令。命令法は語幹そのまま。縁の市では ende を文末に読点で区切って添えて柔らかくする。faronár は呼格ではなく、主格形のまま区切って添えた呼びかけ。

    senkríla ráuvan es faronáres.

    読み:センクリーラ ラウヴァン エス ファロナーレス。

    senkríl-aráuvanesfaronár-es.
    視線を断つ-<(軽いものが)>森の巫<主格>から運び人-<属格>

    「森の巫は運び人から視線を断つ。」

    儀礼的な場面で、続いていた視線の接触を切る意。単に「相手を見ない」のではなく、交わされていた視線を形式的に絶つニュアンス。`faronár` は人なので、文法上の扱いも軽性。

    króirau faronár si orenvandár.

    読み:クロイラウ ファロナール シ オレンヴァンダール。

    króir-aufaronársiorenvandár.
    近づく-<双数>運び人<主格>と縁商人<主格>

    「運び人と縁商人が近づいた。」

    意味2。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。運び人と縁商人はもともと立場や交際の距離が遠い二者なので、この言い方には関係・序列の間隔が縮まったという含みが出やすい。市での交際や、記録にあられた交流を言う文。

    faronéra faronár faroníño

    読み:ファロネーラ ファロナール ファロニーニョ

    faronér-afaronárfaroníño
    担ぐ-<(軽いものが)>運び人<主格>豆<対格>

    「運び人が豆(小さな荷)を担ぐ。」

    意味2の婉曲表現。運び人 faronár は人なので軽性。faroníño を「荷の重さが手に残した小さな荷」とみなし、farónér- の目的語に取る。

    anórel, bróna faronár.

    読み:アノーレル、ブローナ ファロナール。

    anórel,brón-afaronár.
    昨日起きる-<(軽いものが)>運び人<主格>

    「昨日、運び人は起きた。」

    記録のような文。anórel を場面の枠に置き、主語 faronár は軽性子音語幹の単数。動詞は主語に合わせて 3 人称単数・軽性の bróna をとる。

    plúna houmár faronáran du orén.

    読み:プルーナ ホウマール ファロナーラン ドゥ オレーン。

    plún-ahoumárfaronár-anduorén.
    使いに出す-<(軽いものが)>家の主<主格>運び人-<対格>下手縁<対格>

    「家の主は運び人を縁へ使いに出す。」

    家庭・職場での日常の文。段の低い運び人を、所定の用向きに遣る言い方。やや直截だが、この範囲では普通に使える。

    findíþa senár virán faronárei.

    読み:フィンディーサ セナール ヴィラーン ファロナーレイ。

    find-íþ-asenárvir-ánfaronár-ei.
    聞く-<〜させる>-<(軽いものが)>目付<主格>言葉-<対格>運び人-<与格>

    「目付が運び人に言葉を伝える。」

    市や役所の場面。伝達内容は virán のように対格に、受け手は faronárei のように与格に置く。findíþ- は単に何かを言うのではなく、言葉が聞き手に届くことを焦点とする。

    graunvrúna faronár sámon múl.

    読み:グラウンヴルーナ ファロナール サーモン ムール。

    graunvrún-afaronársámonmúl.
    頭から被る-<(軽いものが)>運び人<主格>皮<対格>厚い

    「運び人は厚い皮を頭から被る。」

    屋外の作業中の日常の文。主語 faronár は人なので軽性3人称単数 -a。目的語 sámon は重性で対格が無標識、形容詞 múl も語尾がつかない。毛皮ではなく厚い皮を頭から被るため2番の語義。

    monpúla faronár tráumo só.

    読み:モンプーラ ファロナール トラウモ ソー。

    monpúl-afaronártráumosó.
    軽く打つ-<(軽いものが)>運び人<主格>渡り氷<対格>この<重性>

    「運び人がこの渡り氷を軽く叩いて確かめる。」

    崖道や渡り氷の張りを確かめる際の手順を示す文。打って離し、音と手応えを聞く動作に使う。

    prémpa faronár endríñan orénoi.

    読み:プレンパ ファロナール エンドリーニャン オレーノイ。

    prémp-afaronárendríñ-anorén-oi.
    受け止める-<(軽いものが)>運び人<主格>子ども-<対格>縁-<与格>

    「運び人が、縁で子どもを受け止める。」

    縁での場面を短く言い切る文。orénoi は orén の与格で「縁で」。

    prémpa faronár krunó vróelen.

    読み:プレンパ ファロナール クルノー ヴローエレン。

    prémp-afaronárkrunóvróel-en.
    支え止める-<(軽いものが)>運び人<主格>棒<対格>傾く-<〜した・〜された>

    「運び人が、傾いだ棒を支え止める。」

    倒れかけた物に受け面を作って、その場で勢いを止める動作。vróelen は krunó に一致する重性の単数主格形の分詞。

    tóra faronár es funelóros.

    読み:トーラ ファロナール エス フネローロス。

    tór-afaronáresfunelór-os.
    来る-<(軽いものが)>運び人<主格>からフネロール-<属格>

    「フネロールから運び人が来る。」

    記録・帳簿的な文。出どころを示す前置句 es 属格。地名 funelór は重性子音語幹として扱い、属格語尾 -os を付ける。主語 faronár は人を指すため軽性で、動詞は軽性の 3人称単数語尾 -a を取る。

    lúnda faronár lundáis aurándos

    読み:ルンダ ファロナール ルンダイス アウランドス

    lúnd-afaronárlund-áisauránd-os
    歌う-<(軽いものが)>運び人<主格>歌-<〜たちを>社-<属格>

    「運び人が社の歌を歌う。」

    社で歌われる歌の場面。faronár は単数の主語で、動詞は軽性単数一致 -a をとる。aurándo は重性o語幹名詞で、属格は -os。

    buldúla faronár dulfáron un krailándoi

    読み:ブルドゥーラ ファロナール ドゥルファーロン ウン クライランドイ

    buldúl-afaronárdulfáronunkrailánd-oi
    支える-<(軽いものが)>運び人<主格>下ろし荷<対格>内に継ぎ場-<与格>

    「運び人が継ぎ場で下ろし荷を根を下ろすように支える。」

    降ろし場での仕事の手順を示す日常の文。主語 faronár は人なので軽性、動詞は 3人称単数・軽性 -a をとる。dulfáron は重性で、対格が主格と同形。un は与格支配の前置詞。krailándo の与格は krailándoi で、形態素は krailánd-oi となる。buldúl- は krún- より、荷をその場で長くとどめて支えるニュアンスが強い。

    éso sélmo faronáres snír.

    読み:エーソ セルモ ファロナーレス スニール。

    és-osélmofaronár-essnír.
    いる-<(重いものが)>汗<主格>運び人-<属格>少ない

    「運び人の汗が少ない。」

    書物の描写のような文。主語 sélmo が重性なので繋辞は-3SG.HV。属格 faronáres は faronár+-es。形容詞 snír が属格より後ろにあるため名詞句の外に出た述語と読み、「運び人の汗は少ない」とする。汗の量を記述する文。

    na vándim tromsnórul faronárar, salóur vándim fáron.

    読み:ナ ヴァンディン トロンスノールル ファロナーラル、サロール ヴァンディン ファーロン。

    navánd-imtromsnór-ulfaronár-ar,salóurvánd-imfáron.
    <〜ない>量る-<私が>歩幅-<〜たちを>運び人-<〜らの>,しかし量る-<私が>荷<対格>

    「運び人たちの歩幅は量らず、荷を量る。」

    帳場や書面の作法を示す文。人の歩みを直接量るのではなく、荷の重さを見積もる。salóurは流れを変える逆接。tromsnórulは重性子音語幹の複数対格で主格と同形、faronárarは運び人の複数属格。

    éso tromsnór só póilma faronáres.

    読み:エーソ トロンスノール ソー ポイルマ ファロナーレス。

    és-otromsnórsópóilmafaronár-es.
    いる-<(重いものが)>歩みの癖<主格>この<重性>仕草<主格>運び人-GEN.

    「この歩みの癖は、運び人の所作だ。」

    書物語や解説でtromsnórの比喩用法を言い換える文。述語名詞póilmaは自分の性・主格のまま置かれる。tromsnór第二の義「歩みの癖」を明示する。

    vrúna faronár fúnel fáronoi.

    読み:ヴルーナ ファロナール フーネル ファーロノイ。

    vrún-afaronárfúnelfáron-oi.
    巻く-<(軽いものが)>運び人<主格>綱<対格>荷-<与格>

    「運び人が荷に綱を巻きつける。」

    通常の叙述。主語 faronár は軽性なので動詞は -a。直接目的語 fúnel は重性のため無標識、巻きつける先 fáronoi は与格語尾 -oi を受ける。

    un nébroi, gúma tíula faronáres.

    読み:ウン ネーブロイ、グーマ ティーウラ ファロナーレス。

    unnébr-oi,gúm-atíulafaronár-es
    内に霧-<与格>くぐもる-<(軽いものが)>音<主格>運び人-<属格>

    「霧のなかでは、運び人の声がくぐもる。」

    tíula に属格を添えた名詞句で、人に関わる音=声として読む。運び人 faronár は人の語なので軽性。動詞は主語の tíula に一致して軽性の3人称単数になる。

    elþaséna faronár filó só.

    読み:エルサセーナ ファロナール フィロー ソー。

    elþasén-afaronárfilósó.
    疵を確かめる-<(軽いものが)>運び人<主格>縫い目<対格>この<重性>

    「運び人がこの縫い目を火の光で確かめる。」

    第三者について述べる日常の仕立て・検めの文。filó は重性の名詞なので、対格でも形が変わらない。指示詞 só は重性で一致する。elþasén- には、品物を火の光に当てて疵や目を確かめる動作が含意されている。

    féla faronár fúnel du orén.

    読み:フェーラ ファロナール フーネル ドゥ オレーン。

    fél-afaronárfúnelduorén
    引く-<(軽いものが)>運び人<主格>綱<対格>下手縁<対格>

    「運び人が綱を縁の方へ引く。」

    崖道の日常。運び人 faronár は人を指すので軽性、動詞は 3 人称単数・軽性 -a。fúnel も orén も重性で、単数対格は主格と同じ。du orén は「下手へ、縁へ」の方向句。fél- は本来の krémb- に代えて、縁・崖道でよく使う。

    bala faronár orén.

    読み:バラ ファロナール オレーン。

    bal-afaronárorén
    空ける-<(軽いものが)>運び人<主格>縁<対格>

    「運び人が縁の道を空ける。」

    `orén` は「縁・縁沿い」を指す重性子音語幹で、目的語(対格)は主格と同形。縁沿いの道・崖道の意味をさして使う。

    tráumoi, tróma faronár.

    読み:トラウモイ、トローマ ファロナール。

    tráum-oi,tróm-afaronár.
    渡り氷-<与格>踏みしめて確かめる-<(軽いものが)>運び人<主格>

    「渡り氷では、運び人が踏みしめて確かめる。」

    書き言葉。動詞の前に場所の tráumoi を場面の枠として置き、読点で区切ったあとに基本の VSO が来る。tróma は自動詞用法。渡り氷の上では足で強く踏みしめ、地面の状態を確かめる意になる。

    šelva faronár prámbo tásei.

    読み:シェルヴァ ファロナール プランボ ターセイ。

    šelv-afaronárprámbotás-ei
    ささやく-<(軽いものが)>運び人<主格>値<対格><あなた>-<与格>

    「運び人があなたに値をささやく。」

    荷の受け渡しや市でのくだけた場面。faronár は人間なので軽性の主語、prámbo は重性なので対格形が主格と同一。šelv- は改まった場では使わず、声量の低さだけを指す。

    krémera faronár fáron krélvoi

    読み:クレーメラ ファロナール ファーロン クレルヴォイ

    krémer-afaronárfáronkrélv-oi
    環に掛ける-<(軽いものが)>運び人<主格>荷<対格>鉤-<与格>

    「運び人が荷を鉤に掛ける。」

    krémer-の他動詞用法。荷を目的語にとる。荷は重性なので対格語尾がなく、fáronの形のまま。主語のfaronárは人なので軽性となり、動詞は3人称単数・軽性の-aをとる。

    ké tromráuma faronár?

    読み:ケー トロンラウマ ファロナール?

    kétromráum-afaronár?
    <〜か>急ぐ-<(軽いものが)>運び人<主格>

    「運び人は急いでいるのか。」

    日常の問いかけ。疑問の小辞 ké が文頭に立ち、主語 faronár は軽性なので、動詞は 3 人称単数・軽性の -a をとる。踏みしめる足音を連想させる語として、改まった場では避けられやすい。

    kréimo plíndo dulfáron faronárei.

    読み:クレーモ プリンド ドゥルファーロン ファロナーレイ。

    kréim-oplíndodulfáronfaronár-ei.
    述べる-<(重いものが)>荷札<主格>下ろし荷<対格>運び人-<与格>

    「荷札は運び人に下ろし荷について述べている。」

    縁の市での荷札の叙述的用法。木製の荷札は重性なので、動詞は重性の語形をとる。荷札に書かれた内容を、荷札自身を主語として述べる。

解説

崖道で額にかけた帯で荷を背負い、上り下りする人々。身分はいちばん下の九段下りだが、彼らがいなければ交易は止まる。干潟語も少し話し、くだけた崖道の言葉で冗談を飛ばす。崖から落ちる危険にいちばん近い場所で働くことも、低く見られる理由の一つになっている。

文法

名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。対 faronáran、複 faronárai。崖道の言葉では今の脱落で faronár のまま変わらない

語源

fáron「荷」+ -ár「〜する人」。「荷の人」の意。

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