小説
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歩く
足で歩いて進む。
du nébro, ráumimor du orén.
読み:ドゥ ネーブロ、ラウミモル ドゥ オレーン。
| du | nébro, | ráum-imor | du | orén. |
| 下手 | 霧<対格> | 歩く-<我々が> | 下手 | 縁<対格> |
「霧の季節まで、我々は縁へ歩いて通う。」
場面の枠に置いた時の句は、動きの動詞の文でも時の読みになる。
na ráumim sórel, éso tról némes gráis.
読み:ナ ラウミン ソーレル、エーソ トロール ネーメス グライス。
| na | ráum-im | sórel, | és-o | tról | ném-es | gráis. |
| <〜ない> | 歩く-<私が> | 今日 | いる-<(重いものが)> | 足<主格> | <私>-<属格> | 悪い |
「今日は歩けない。足が悪いんだ。」
日常会話の文。高原語には「〜できる」を表す専用の形がないので、直説法の否定で「歩かない・歩けない」の両方を表す。tról は重性の子音語幹名詞で、主格と対格が同じ形。
lúin ráumimor an dún, ráuma ólmar an némorei.
読み:ルーイン ラウミモル アン ドゥーン、ラウマ オルマル アン ネーモレイ。
| lúin | ráum-imor | an | dún, | ráum-a | ólmar | an | némor-ei. |
| とき | 歩く-<我々が> | 上手 | 丘<対格> | 歩く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 上手 | <我々>-<与格> |
「丘を上るときは、年長者が我々の上手を歩く。」
坂道の作法を説明する文。坂を上るときは目上の者が先(上の位置)を歩き、下るときは目下の者が先を歩く。lúin の節は主節の前に置く。an+対格の an dún は「丘の上手へ」、an+与格の an némorei は「我々の上手の側で」。
mé ráum glüníñoi!
読み:メー ラウン グリュニーニョイ!
| mé | ráum | glüníñ-oi! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 歩く<命令法><あなたが> | 薄氷-<与格> |
「「薄氷の上を歩くな!」」
親が子に言う、ありふれた禁止の言い方。禁止は mé + 命令法で言う。glüníño は道のりの対格で、「どこを歩くか」を表す。重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。
raumíre endríña glüníñoi, bruuméla du ílmo.
読み:ラウミーレ エンドリーニャ グリュニーニョイ、ブルーメーラ ドゥ イルモ。
| raum-ír-e | endríña | glüníñ-oi, | bruum-él-a | du | ílmo. |
| 歩く-<もし〜なら>-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 薄氷-<与格> | 落ちる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 下手 | 水<対格> |
「「子どもが薄氷の上を歩けば、水に落ちるだろう。」」
凍りの頃の事故を戒める文。条件の節は動詞を仮定法にするだけで作り、帰結の節は推量法で言う。水に落ちることは「下へ引かれる」恐ろしい出来事とされるので、du + 対格「下手へ」を使う。主語は人なので、動詞は軽性の形をとる。
ráumes glüníñoi.
読み:ラウメス グリュニーニョイ。
| ráum-es | glüníñ-oi. |
| 歩く-<あなたが> | 薄氷-<与格> |
「「お前は薄氷の上を歩いているぞ。」」
危うい立場にいる相手をいさめる慣用句。glüníño は道のりの対格。2人称を使うので、目下の相手や親しい相手に言う。「渡り氷を歩く」と言えば、確かな立場にいることになる。
ráuman faronárai tráumoi véinoros.
読み:ラウマン ファロナーライ トラウモイ ヴェーノロス。
| ráum-an | faronár-ai | tráum-oi | véinor-os. |
| 歩く-<彼らが> | 運び人-<〜たちが> | 渡り氷-<与格> | 湖-<属格> |
「「運び人たちが、湖の厚い氷の上を歩いて渡る。」」
湖が厚く凍ると、氷の上が道にも市にもなる。tráumo は道のりの対格。重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。
éso glünó véinoros múrno, mé ráumir!
読み:エーソ グリュノー ヴェーノロス ムルノ、メー ラウミル!
| és-o | glünó | véinor-os | múrno, | mé | ráum-ir! |
| いる-<(重いものが)> | 氷<主格> | 湖-<属格> | 腐り氷 | <禁止・願いの打ち消し> | 歩く-<皆で〜せよ> |
「湖の氷は腐っている、皆、乗るな!」
霧期に湖畔の村で交わされる警告。前半は繋辞の文で、múrno は述語の名詞。後半は複数の相手への禁止で、mé + 命令法・複数 -ir を使う。主節を接続詞なしで二つ並べるので、間に区切りを入れる。
ráumimor an þráin dórel.
読み:ラウミモル アン スライン ドーレル。
| ráum-imor | an | þráin | dórel. |
| 歩く-<我々が> | 上手 | 峰<対格> | 明日 |
「明日、我々は峰へ登る。」
高原語の移動の表現では、上るか下るかをかならず言い分ける。峰へ行くときは an+対格「上手へ」を使う。þráin は重性の子音語幹なので、対格は主格と同じ形になる。時制がないので、未来のことは dórel「明日」で示す。
du pó ráumes?
読み:ドゥ ポー ラウメス?
| du | pó | ráum-es? |
| 下手 | 何<対格> | 歩く-<あなたが> |
「下手のどこへ歩いていくのか。」
方向を決めない「どこへ」はないので、du pó「下手の何へ」を前置詞句ごと文頭に出す。2人称を使っているので、下向きか並びのくだけた問いになる。目上の人には推量法と役職名を使う。
lúin tóro nébro, ráuman faronárai du orén.
読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ラウマン ファロナーライ ドゥ オレーン。
| lúin | tór-o | nébro, | ráum-an | faron-ár-ai | du | orén. |
| とき | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | 歩く-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 下手 | 縁<対格> |
「霧が来ると、運び人たちは縁のほうへ歩いていく。」
lúin の節を主節の前に置いている。霧 nébro は重性o語幹なので、動詞は -o をとる。行き先は du+対格「下手へ」で言う。高原語の移動の言い方では、上るのか下るのかをかならず言い分ける。
mé ráum du dún dréum!
読み:メー ラウン ドゥ ドゥーン ドレウン!
| mé | ráum | du | dún | dréum! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 歩く<命令法><あなたが> | 下手 | 丘<対格> | 暗い |
「暗い丘を下りていくな!」
禁止は「mé+命令法」で言う。du+対格で「下手へ」。丘 dún は重性なので、対格も主格と同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。
ráumimor un drúnoroi.
読み:ラウミモル ウン ドルーノロイ。
| ráum-imor | un | drúnor-oi. |
| 歩く-<我々が> | <〜で・〜に> | 崖道-<与格> |
「私たちは崖道を歩く。」
日常の案内。動詞が文頭で、主語の代名詞は省略。unは「〜の内に」の前置詞で、drúnorは重性子音語幹なので与格はdrúnoroi。
anórel, ráumim dáu fúneloun.
読み:アノーレル、ラウミン ダウ フーネロウン。
| anórel, | ráum-im | dáu | fúnel-oun. |
| 昨日 | 歩く-<私が> | 二 | 綱-<双数・与格> |
「昨日、二綱歩いた。」
旅の記録のような淡々とした一叙述。場面としての時間語 anórel を文頭に置く。主語の人称は動詞語尾のみで示す。歩く経路・距離を示す単位名詞は自動詞 ráum- に対して双数与格 fúnel-oun をとる。dáu に対応して単位名詞は双数。
troltáulin pǘlmo, ráumim du orén.
読み:トロルタウリン ピュルモ、ラウミン ドゥ オレーン。
| troltául-in | pǘlmo, | ráum-im | du | orén. |
| 履く-<〜して・〜く> | 草鞋<対格> | 歩く-<私が> | 下手 | 縁<対格> |
「草鞋を履いて、私は縁の方へ歩いていく。」
日常の場面。副動詞接尾辞 -in により、同一主語のまま「草鞋を履いている」状態を背景として示す。主節は ráumim「私は歩く」。du は「下手へ」を表す前置詞で、orén「縁」は重性名詞のため単数の対格は主格と同形となる。
ráuma endríña krúndoi.
読み:ラウマ エンドリーニャ クルンドイ。
| ráum-a | endríña | krúnd-oi |
| 歩く-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 泥地-<与格> |
「子どもがぬかるみを歩いている。」
ráum-「歩く」では、歩く道・舞台は裸の与格で示す。un を添えた前置詞句にはしない。
ké ráuman faronárai drúnoroi es orénos du kéndor?
読み:ケー ラウマン ファロナーライ ドルーノロイ エス オレーノス ドゥ ケンドル?
| ké | ráum-an | faron-ár-ai | drúnor-oi | es | orén-os | du | kéndor? |
| <〜か> | 歩く-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 縁の石段道-<与格> | から | 縁-<属格> | 下手 | 市<対格> |
「運び人たちは、縁の石段道を、縁から市まで歩いているのか。」
日常の問いかけ。faronárai は faronár の複数。drúnor は重性子音語幹として与格単数 drúnoroi を取る。 ráum-「歩く」は道・経路を裸の与格で取るため un は用いない。 es orénos du kéndor が両端を指定することで、縁の石段道をひと続きの区間として指す用法を示す。
旅をする
道のりを歩いてたどる。道のりの対格をとることがある(ráuma lisár dáu dǘnur…「書記が丘を二つ越えて歩く」)。
ráumau lisár si senár du orén.
読み:ラウマウ リサール シ セナール ドゥ オレーン。
| ráum-au | lis-ár | si | sen-ár | du | orén. |
| 旅をする-<双数> | 書く-<〜する人・主格> | と | 見る-<〜する人・主格> | 下手 | 縁<対格> |
「書記と目付は、縁へ旅をする。」
単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。都から縁の市まで、何日もかけて下っていく旅を言う。
lúin ráumsan faronárai téir lóurul, hélan.
読み:ルーイン ラウンサン ファロナーライ テール ロールル、ヘーラン。
| lúin | ráums-an | faron-ár-ai | téir | lóur-ul, | hél-an. |
| とき | 旅をする<〜し終えた>-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 三 | 瀬-<〜たちを> | 座る-<彼らが> |
「瀬を三つたどり終えると、運び人たちは腰を下ろす。」
ráum- の語根は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して ráums- にする。téir lóurul は、どれだけの道のりをたどったかを表す道のりの対格で、téir「三」の後ろの重性名詞は複数 -ul になる。川沿いの道を、瀬をひとつずつ数えながら進む言い方。
足で歩くことを表す。湖都の石畳の坂道や崖道のように、高原の道には上り下りが多い。そのため、坂で目上の人とどちらが上を歩くかが、礼儀の大事な決まりになっている。長い道のりを旅することにも使う。
完了語根は ráums-。歩く道は与格、向きは前置詞で示す。尊敬は auráum-。
古高原語から受け継いだ語。
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