小説
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家
住まいの建物。
hóinim du bóral némes.
読み:ホイニン ドゥ ボーラル ネーメス。
| hóin-im | du | bóral | ném-es. |
| 帰る-<私が> | 下手 | 家<対格> | <私>-<属格> |
「(下手の)自分の家へ帰る。」
日常の言い方。bóral は重性の子音語幹名詞で、石の土台と伐った材で建てるため重性になる。主格と対格が同じ形。高原語には方向を言わない「〜へ」がないので、家へ帰るときも、家が上手にあれば an、下手にあれば du を使って上下を言い分ける。
bróla houmár snélo ível bóralos.
読み:ブローラ ホウマール スネーロ イーヴェル ボーラロス。
| bról-a | houm-ár | snélo | ível | bóral-os. |
| 作る-<(軽いものが)> | 炉-<〜する人> | 屋根<対格> | 新しい | 家-<属格> |
「家の主が家の屋根を新しく葺く。」
snélo は重性の o語幹名詞(nébro と同じ型)で、主格と対格が同じ形。名詞句は「名詞–形容詞–属格」の順で、形容詞 ível は重性・対格なので語尾がつかない。高原の屋根は傾きが急で、板か黒い薄石で葺く。
bróla kelár bóral némei.
読み:ブローラ ケラール ボーラル ネーメイ。
| bról-a | kel-ár | bóral | ném-ei. |
| 作る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人> | 家<対格> | <私>-<与格> |
「樵が私に家を建ててくれる。」
VSO の基本の文。bóral は重性の子音語幹名詞で主格と対格が同じ形なので、動詞のすぐ後ろの kelár が主語、その次の bóral が目的語だと語順で決まる。受け手は与格 némei。家は石の土台に柱の木で組み、中心に炉を据える。
bróla kelár snélo bóralos.
読み:ブローラ ケラール スネーロ ボーラロス。
| bról-a | kel-ár | snélo | bóral-os. |
| 作る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人> | 屋根<対格> | 家-<属格> |
「樵が家の屋根を葺く。」
snélo は重性の o語幹名詞で、主格と対格が同じ形。属格 bóralos は名詞の後ろに置いて「家の」を表す。高原の家の屋根は傾きが急で、板か黒い薄石で葺く。
brúumo reinándo bóralos só.
読み:ブルーモ レイナンド ボーラロス ソー。
| brúum-o | reinándo | bóral-os | só. |
| 落ちる-<(重いものが)> | 樋<主格> | 家-<属格> | この<重性> |
「この家の樋が落ちた。」
reinándo は甕も樋も表す。軒から落ちるものとして言われていれば、樋の意味だとわかる。重性なので動詞は -o をとる。時制がないので、文脈によって「落ちる」とも「落ちた」とも訳せる。
bróla kelár reinándo bóralos só.
読み:ブローラ ケラール レイナンド ボーラロス ソー。
| bról-a | kel-ár | reinándo | bóral-os | só. |
| 作る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人> | 樋<対格> | 家-<属格> | この<重性> |
「樵がこの家の樋を作る。」
重性の reinándo は主格と対格が同じ形なので、VSO の語順で目的語だとわかる。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」で、指示詞 só は中心の名詞 reinándo(重性)に合わせる。樋は軒に渡して雨水を甕へ導く。
ombrélo bóral só.
読み:オンブレーロ ボーラル ソー。
| ombrél-o | bóral | só. |
| 足りる-<(重いものが)> | 家<主格> | この<重性> |
「この家は、すべてがそろっている。」
比喩的な意味。家計・備え・役割のすべてが欠けなく整っていることを指す。bóral は重性子音語幹。só は重性の指示詞で名詞句を閉じる。改まった場で家柄を称える言い方。
hoinénde, faronár! éso bóral fóum.
読み:ホイネンデ、ファロナール!エーソ ボーラル フォーン。
| hoin-énd-e, | faronár! | és-o | bóral | fóum. |
| 帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>, | 運び人<主格>! | いる-<(重いものが)> | 家<主格> | 暖かい |
「「おかえり、運び人。家は暖かい。」」
遠役や崖道から帰った運び人を出迎える場面。hoinénde のあとに、戻った者の居場所としての家が今も暖かいことを述べる。bóral は重性なので存在動詞は éso。形容詞は主格無標で名詞に後置する。
un bóraloi, éso krén ául an þúlnoi.
読み:ウン ボーラロイ、エーソ クレーン アウル アン スルノイ。
| un | bóral-oi, | és-o | krén | ául | an | þúln-oi. |
| 中に | 家-<与格> | いる-<(重いものが)> | 天井<主格> | 高い | 上手 | 床-<与格> |
「家の中で、天井は床より上にある。」
un+与格が場面の枠を作る。形容詞 ául に続く an+与格は比較で、家屋の構造上、天井が床より上にあることを示す。構造を説明する文脈向きの文。
館
丘の上の大家の屋敷。『丘の上の家の方』のように、目上の人を住まいで遠回しに言うのに使う。
glóira aurél bóralos áurenos.
読み:グロイラ アウレール ボーラロス アウレノス。
| glóir-a | aurél | bóral-os | áur-en-os. |
| お越しになる-<(軽いものが)> | あの方 | 館-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「高き館の方がお越しになる。」
目上の人の個人名は口にしないので、住んでいる館で遠回しに言う。bóral は重性なので、分詞 áuren も重性の属格 -os で一致する。動詞は人を受けるので軽性の -a をとる。丘の上にある家ほど身分が高いので、áuren「高き」を添えると大家の館の意味になる。
glóira ausenár es aubóralos.
読み:グロイラ アウセナール エス アウボーラロス。
| glóir-a | au-sen-ár | es | au-bóral-os. |
| お越しになる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | から | <お〜になる・御〜>-館-<属格> |
「目付殿が御館からお越しになる。」
目上の人の住まいなので bóral に au- をつけて「御館」とする(b- の前では接頭辞はそのままの形)。es+属格で「〜から」。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。身分の高い人は住まいで言い表すことが多く、「丘の上の館の方」のように館そのものがその人を指す言い方にもなる。
住まいとしての家、建物。石を積んだ土台の上に、伐った柱の木で組んだ建物で、急な屋根を板か黒い薄石で葺く。伐った材と石でできているので重性。家族や世帯の意味では hóum「炉」を使い、bóral はあくまで建物を指す。
重性・子音語幹。主対 bóral、属 bóralos、与 bóraloi、複 bóralul。
古高原語 *bóral- から。基本の名詞で、派生・複合の構造は確認できない。
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