小説
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軽い
物の重さが少ないこと。比較では fláin du 〜 の形で「より重い」の婉曲な言い換えにも使う。
éso gandér fláin du kelárei.
読み:エーソ ガンデール フライン ドゥ ケラーレイ。
| és-o | gandér | fláin | du | kel-ár-ei. |
| いる-<(重いものが)> | 硬木<主格> | 軽い | 〜より劣って | 伐る-<〜する人>-<与格> |
「硬木は軽さでは樵に及ばない(樵より重い)。」
du+与格で、性質の程度が劣ることを表す。下向きの性質を an で比べると皮肉に響くので、改まった話し方では反対の軽い性質を du で比べて言い換える。意味は gróm an kelárei と同じになる。
faronérim fáron fláin.
読み:ファロネーリン ファーロン フライン。
| faronér-im | fáron | fláin. |
| 担ぐ-<私が> | 荷<対格> | 軽い |
「私は軽い荷を担ぐ。」
崖道でよく聞く言い方。荷は重性で主格と対格が同じ形なので、形容詞も重性・対格の形(語尾なし)になる。
éso fáron némes fláin.
読み:エーソ ファーロン ネーメス フライン。
| és-o | fáron | ném-es | fláin. |
| いる-<(重いものが)> | 荷<主格> | 私-<属格> | 軽い |
「私の荷は軽い。」
「AはBだ」の文で、繋辞 és- を文頭に置いている。荷 fáron は重性なので、繋辞は -o をとる。形容詞 fláin は重性・主格の形で、語尾はつかない。
éso ómbo lisáres fláin.
読み:エーソ オンボ リサーレス フライン。
| és-o | ómbo | lis-ár-es | fláin. |
| いる-<(重いものが)> | 指<主格> | 書く-<〜する人>-<属格> | 軽い |
「書記の指は軽やかだ。」
書法の上手な人をほめる言い方。指は体の部分なので重性で、繋辞も述語の形容詞も重性の形になる。重いはずの体の部分が「軽い」と言われるところに、ほめる響きがある。
gróm kréin, fláin selvá.
読み:グローン クレーン、フライン セルヴァー。
| gróm | kréin, | fláin | selvá. |
| 重い | 骨<主格> | 軽い | 息<主格> |
「骨は重く、息は軽い。」
諺。繋辞 és- を落として述語の形容詞を先に置く、格言の語順になっている。体(骨)は下へ沈み、息(魂)は上へ昇るという世界観を言い表す。弔いの席でも引かれる。
gróm frélo, fláin aurá.
読み:グローン フレーロ、フライン アウラー。
| gróm | frélo, | fláin | aurá |
| 重い | 魚<主格> | 軽い | 縁鷲<主格> |
「重きは魚、軽きは縁鷲。」
「重いものは下へ、軽いものは上へ」という世界観を言い表す格言。諺では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置く。水に沈む魚は重性、空を昇る鷲は軽性で、両者が文法の性でも対になっている。
gléin nourá, fláin selvá.
読み:グレーン ノウラー、フライン セルヴァー。
| gléin | nourá, | fláin | selvá. |
| 清い | 心 | 軽い | 息 |
「清きは心、軽きは息。」
諺。繋辞を落とし、形容詞を先に出す格言の語順。心が清ければ息(言葉)は軽く昇る、という教え。
gróm hémbro, fláin selvá.
読み:グローン ヘンブロ、フライン セルヴァー。
| gróm | hémbro, | fláin | selvá. |
| 重い | 恥<主格> | 軽い | 息<主格> |
「重きは恥、軽きは息。」
諺。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置くのは格言の形。恥は人を重くして下へ引くものとされ、重性名詞になる。
gróm grúndo, fláin selvá.
読み:グローン グルンド、フライン セルヴァー。
| gróm | grúndo, | fláin | selvá. |
| 重い | 負い目<主格> | 軽い | 息<主格> |
「重きは負い目、軽きは息。」
諺。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置いているので、格言だとわかる。負い目は人を「重く」して下へ引くものとされる。形容詞は主語に一致するが、どちらも単数の主格なので語尾はつかない。
dulénde fláin, faronár!
読み:ドゥレンデ フライン、ファロナール!
| dulénde | fláin, | faronár! |
| 道中ご無事で | 軽い | 運び人 |
「運び人よ、道中ご無事で。」
崖道の上り口で、荷を担いで下りていく運び人を見送るときの言い方。dulénde はもとは dúl-「下る」の願望法で、fláin「軽く」を添えるのが決まった形。「足取りも魂も軽いまま下りられるように」という含みがある。
dulénde fláin! hóin an glünlúinei.
読み:ドゥレンデ フライン!ホイン アン グリュンルーイネイ。
| dulénde | fláin! | hóin | an | glünlúin-ei. |
| 道中ご無事で | 軽い | 帰る<命令法><あなたが> | 上手 | 凍りの頃-<与格> |
「道中ご無事で。凍りの頃の前に帰ってこいよ。」
縁の市へ下りる家族を見送るときの、くだけた言い方。後半は命令法2人称単数(むき出しの語幹)で、目下や身内への言い方になる。an+与格「〜の上手で」は時間では「〜の前に」を表す。凍りの頃には崖道が凍るので、その前に帰れという意味。
nagróm. éso fáron fláin.
読み:ナグローン。エーソ ファーロン フライン。
| nagróm. | és-o | fáron | fláin. |
| どういたしまして | いる-<(重いものが)> | 荷<主格> | 軽い |
「どういたしまして。荷は軽かったよ。」
荷を担いでもらった礼への返事。「重くない」の nagróm に「荷は軽い」と重ねて、相手の気づかいを打ち消している。荷 fáron は重性なので、繋辞は -o、述語の形容詞 fláin は重性・主格の形(語尾なし)になる。
éso fleló só fláin
読み:エーソ フレロー ソー フライン
| és-o | fleló | só | fláin |
| いる-<(重いものが)> | 素焼き<主格> | この<重性> | 軽い |
「この素焼きは軽い。」
日常で釉をかけない土器を評す文。fleló は仕上げの性質を指す語だが、仕上げを施した器をまとめて指す名詞としても働く。重性o語幹名詞として扱われ、指示詞は重性の só を取る。
ésa snéla fláin.
読み:エーサ スネーラ フライン。
| és-a | snéla | fláin. |
| いる-<(軽いものが)> | 布<主格> | 軽い |
「布は軽い。」
「布は軽い」の判断文。繋辞 és- は3人称単数・軽性の語尾 -a をとる。
ésa vandíña fláin
読み:エーサ ヴァンディーニャ フライン
| és-a | vandíña | fláin |
| いる-<(軽いものが)> | 小分銅<主格> | 軽い |
「小分銅は軽い。」
主語 vandíña は軽性a語幹の単数主格。存在動詞は軽性の ésa。述語形容詞 fláin は主語に一致し、軽性単数主格は無表記。
上品な
人や言葉が礼にかない、上品であることをほめて言う。
selvána aurél virán fláinan.
読み:セルヴァーナ アウレール ヴィラーン フライナン。
| selván-a | aurél | vir-án | fláin-an. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 言葉-<対格> | 上品な-<軽性・対格> |
「あの方は上品なお言葉をおっしゃる。」
目上の人をほめる言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。fláin は「軽い」から転じて、礼にかなった上品さを表す。軽い言葉ほど上へ昇る、という考え方がもとになっている。
nóurim ré ésa lisár té fláin.
読み:ノーリン レー エーサ リサール テー フライン。
| nóur-im | ré | és-a | lis-ár | té | fláin. |
| 思う-<私が> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | あの<軽性> | 上品な |
「あの書記は上品だと思う。」
ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。指示詞 té は強勢をもち、名詞句の終わりの目印になる。
重さが少ないことを表す形容詞。軽いものは上へ昇るという世界観から、人や言葉について言えば上品、礼にかなった、というほめ言葉になる。改まった話し方では、下向きの性質を an で比べて皮肉に響くのを避けるため、「より重い」と言う代わりに fláin du 〜「軽さで〜に劣る」と言い換える(éso gandér fláin du lónei)。
形容詞。名詞の後ろに置き、一致する。
古高原語 *fláin から。動詞から派生した分詞ではなく、本来の形容詞。
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